当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
《ミッション(使命・存在意義)》
くらしを見つめ、人々に心の満足を提供する
《ビジョン(目指す姿)》
私たちは地球の恵みを活かしたものづくりと、
卓越した物流サービスを通じて、
豊かな食生活と健康を支えつづけます。
《ニチレイが大切にする価値観~日々の行動や意思決定の規準~》
① お客様第一、安全第一、品質第一を貫く
お客様本位に徹するとはお客様との長期的な信頼の構築に努めることであり、その実現過程では安全第一、品質第一を貫かなくてはならない。この価値観は、ニチレイグループにおけるすべての事業活動の根幹である。
② 健全な利益を追求する
不公正・不当な利益は一切評価しない。コンプライアンスに違反する行為は、いとも簡単に事業継続を困難にし、企業の存続そのものを危うくする。ひとたび信頼を失えば、回復には途方もない時間がかかることを胸に深く刻み、フェアな競争に徹しなければならない。
③ 透明性の高い経営を推進する
すべてのステークホルダーから信頼されるため、誠実かつ公平な情報開示により説明責任を十分に果たして透明性の高い経営を推進し、企業価値を継続的に高めていく。
④ 持続可能な社会の実現に取り組む
食と健康を支える企業として、常に人々のくらしと未来を見据えて社会課題の解決に貢献するとともに、経済的・社会的・環境的側面に配慮しながら事業活動に取り組み、持続可能な社会の実現を目指していく。
⑤ 変革と創造に挑戦する
自由闊達な組織風土の中で失敗を恐れることなく、自己変革と新たな価値の創造に挑戦していく。
《ニチレイグループ サステナビリティ基本方針》
ニチレイグループは、地球環境・地域社会に及ぼす影響に配慮し、人権を尊重しながら、食の「調達」「生産」「物流」「販売」などの事業活動を通じて新たな価値を創造し、社会課題の解決に取り組みます。そして、これらの活動をステークホルダーの皆様に広く公表し、対話を深めながら、持続可能な社会の実現に向けて、豊かな食生活と健康を支える企業としての責任を果たしていきます。
ニチレイグループ サステナビリティ基本方針「ニチレイの約束」~持続可能な社会の実現に向けて~
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新たな価値の創造 |
新たな商品やサービスを創り出し、事業を通じてお客様および社会の課題を解決します |
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安全で高品質な商品 とサービスの提供 |
多様なニーズにこたえ、高い品質と安全性、安定した供給を実現し、お客様と社会からの信頼を獲得します |
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持続可能なサプライチェーンと 循環型社会の実現 |
継続的で良好なパートナーシップの構築を通じ、環境や人権・労働環境に配慮した、倫理的で持続可能なサプライチェーンと循環型社会の実現を目指します |
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気候変動への取り組みと 生物多様性の保全 |
温室効果ガス排出削減、食資源や水資源の適切な管理などを通じ、地球環境と生物多様性の保全に努めます |
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社会との共生 |
社会の一員として、ステークホルダーと広く対話し、共に考え、行動することで、地域の発展や社会課題の解決に貢献します |
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人財の多様性の尊重と 働きがいの向上 |
働く人の多様性を尊重するとともに、労働安全衛生の確保、公正な処遇、能力開発機会の提供に努め、個々の能力を最大限に発揮できる環境を実現します |
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コーポレートガバナンス の充実 |
適切な資源配分や意思決定の迅速化に努め、対話と情報開示を通じて、公正で透明性の高い経営を推進します |
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コンプライアンスの徹底 |
事業を展開する各国の法令の遵守、国際的な規範の尊重および企業倫理の徹底により、誠実な企業活動を実践します |
(2) 中期的な経営戦略、目標とする経営指標、経営環境及び対処すべき課題
《全体戦略、財務戦略及びセグメント別の事業計画》
① 全体戦略
2022年度-2024年度中期経営計画「Compass Rose 2024」では、サステナビリティ基本方針に基づく事業活動を通じて、豊かな食生活と健康を支える企業としての社会的責任を果たしつつ、資本効率を追求した経営に取り組み、社会的価値と経済的価値の向上を目指してまいります。
その実現のため、投下資本利益率(ROIC)に基づく事業ポートフォリオマネジメントを確立するとともに、成長分野への設備投資、海外事業拡大、環境対策、新規事業、デジタル活用による業務革新、人財投資などに経営資源を優先的に配分します。また社会課題を解決する新たな価値の創造や持続可能な調達、気候変動への取組みなどのグループ重要事項(マテリアリティ)の目標達成に注力しつつ、ESGへの取組みを強化してまいります。
2022年度は、世界的に大幅な物価上昇が続くなか、主力事業の価格改定や海外事業の好調な推移などにより売上高・営業利益ともに連結目標数値を上回る結果となりました。しかしながら、環境変化に即応した収益基盤の構築に課題を残しました。
2023年度は、原材料費や労働力不足に伴う人件費や物流費などのコスト上昇に加え、地政学リスクなどの影響で、厳しい事業環境となることが想定されますが、柔軟かつ迅速に施策を実行し収益力を強化することで、持続的な成長を目指してまいります。
なお、2023年度の連結業績は、売上高6,750億円、営業利益345億円を目指します。
ニチレイグループ重要事項(マテリアリティ)
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グループ重要事項(マテリアリティ) |
2030年のありたい姿 |
グループ施策 |
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食と健康における 新たな価値の創造 |
食と健康における既存事業領域を超えた挑戦により、新たな市場や顧客価値を創造する |
素材がもつ健康価値や冷力の新たな可能性を見出し、デジタルを活用した豊かな食生活と健康寿命の延伸に貢献している。 |
R&Dを強化し、地球環境に配慮した新たな食資源や健康価値素材を開発 |
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マーケティング・DX分野への資源配分による、おいしく健康に配慮した商品の開発や、食生活を豊かにするサービスの提供 |
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新たな領域で価値を創出・育成する仕組みを作り、イノベーション活動を推進 |
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食品加工・生産技術力の強化と低温物流サービスの高度化 |
食品の加工・生産、低温物流で培ったコアコンピタンスをさらに磨き上げ、グローバル市場において、社会課題の解決と競争優位性による収益力向上を実現する |
主力事業への経営資源集中により、キャッシュ創出力が一段と向上している。 |
加工食品・低温物流事業における積極的な設備投資を通じた能力増強・業務革新・環境負荷軽減・基盤整備などの推進 |
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海外事業が新たな収益の柱となっている。 |
グローバル人財の確保・育成や パートナー企業の開拓、 M&Aなどを通じた海外展開の加速 |
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持続可能な食の調達と循環型社会の実現 |
事業の基盤であるサプライチェーンに関わるさまざまな社会課題を解決し、持続可能な食の調達と循環型社会の実現に貢献する |
すべての原料・素材をニチレイグループサプライヤー行動規範・ガイドラインに準拠したサプライヤーやパートナー企業から調達している。 |
人権や環境に配慮したサプライチェーンの構築とデューデリジェンスに取り組む |
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新たなビジネスモデルの創出などにより、サーキュラーエコノミー(循環型経済)を推進している。 |
持続可能な資源調達やサーキュラーエコノミーの実現に取り組む |
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水リスクを把握し、水資源に関するレジリエンスが向上している。 |
全拠点での水リスクアセスメントを通じた水リスクの特定と保全活動を実施する |
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気候変動への取り組み |
気候変動の影響を大きく受ける食品・物流企業として、サプライチェーン全体での温暖化対策やエネルギー削減をステークホルダーとともに取り組む |
2050年のカーボンニュートラルの実現を目指し、グループ国内外におけるCO2排出量削減の取り組みが進んでいる。 |
食品工場・物流センターにおける原単位でのCO2排出量削減や再生可能エネルギーの活用を推進するとともに、TCFDの提言に基づく情報開示を行う |
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地球温暖化への取り組みとして生産・物流設備の脱フロン化が進展している。 |
国内におけるすべての冷凍・冷蔵設備の自然冷媒への置き換え |
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海外における実態の把握を通じた自然冷媒への置き換え |
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多様な人財の確保と 育成 |
持続可能な成長を実現するため、多様な人財を確保・育成するとともに、包摂的な企業風土を醸成する |
さまざまな個性や能力を持った多様な人財が、それぞれの力を最大限に発揮することで働きがいが向上し、グループの持続可能な成長を支えている。 |
施策の効果をモニタリングする グループ共通のエンゲージメントサーベイの導入 |
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グループ従業員がそれぞれのキャリア観などに応じた働き方を選択でき、かつ、生産性向上に寄与する人事制度 |
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ルールの整備と活用支援 |
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従業員一人ひとりが働きがいを感じ、健康で生き生きと働ける職場環境や企業文化づくりに向けたコミュニケーション活動の推進と公平な学びの機会の提供 |
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ニチレイグループ重要事項(マテリアリティ)
(KPI)
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グループ重要事項 (マテリアリティ) |
グループ目標(KPI) |
2024年度目標 |
2030年度目標 |
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食と健康における 新たな価値の創造 |
対象テーマ売上高 |
- |
1,000億円 |
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生活者・社外向けの情報提供数(延べ人数/年) |
- |
2億人 |
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食品加工・生産技術力の強化と低温物流サービスの高度化 |
EBITDAマージン |
10% |
12% |
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EBITDA年成長率 |
7%※1 |
7%以上※2 |
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海外売上高比率 |
20% |
30% |
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持続可能な食の調達と 循環型社会の実現 |
ニチレイグループサプライヤー行動規範・ガイドラインに準拠したサプライヤーやOEM先からの調達率 |
賛同率100% (国内・海外最重要先) |
調達率100% |
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主要原材料と重要サプライヤーへのESGデューデリジェンス実施率 |
国内畜産・水産100% (最重要先) |
100% |
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サーキュラーエコノミーの実現に向けたSDGs教育プログラムの受講率 |
100%(役職者) |
100%(全従業員) |
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全拠点における廃棄物リサイクル率 |
99% |
99% |
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全拠点での水リスクアセスメント実施 |
2023年度に実施 |
定期的に全拠点での |
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水産事業における水産物の持続可能な水産物調達ガイドラインに準じた調達率 |
100% |
100% |
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うち、MSC・ASC認証品等のグローバル水産物認証品比率 |
32% |
50% |
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持続可能なパーム油(RSPO認証油)の調達比率 |
100% (ブックアンドクレーム) |
100% (認証油) |
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気候変動への取り組み |
CO2排出量削減(2015年度比、国内Scope1・2) |
△30% |
△50% |
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自然冷媒化率 |
生産設備(国内) |
80% |
100% |
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低温物流関係(海外を含む) |
62% |
75% |
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多様な人財の確保と育成 |
女性取締役・監査役比率 (HD※3) |
20%以上 |
30%以上 |
|
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女性管理職比率 (HD※3) |
20% |
30% |
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人財投資額(2018-2020年度平均の人財投資額に対する倍率) |
1.7倍 |
2.0倍 |
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※1 2022-2024年の年成長率
※2 2025-2030年の年成長率
※3 HD:ニチレイ(持株会社)
マテリアリティのKPIの詳細は、当社ウェブサイトに開示しております。
https://nichirei.disclosure.site/ja/themes/219
② 財務戦略
営業キャッシュ・フローと資産流動化により創出された資金は、企業価値の維持向上のための投資と配当や自己株式の取得を通じた株主還元に振り向けます。
株主還元については、連結自己資本配当率(DOE)を基準として安定的な配当を継続するとともに、資本効率や市場環境などを考慮のうえ自己株式の取得を機動的に実施することを基本方針とします。
・連結自己資本当期純利益率(ROE)は10%以上を維持します。
・連結自己資本配当率(DOE)4.0%を目安に配当を実施します。
資本効率について、事業別のROIC目標を設定し、評価と資源配分を行うとともに、資本コストの低減を図り、グループ全体の企業価値向上を目指します。
<2023年度 セグメント別計画数値>
③ セグメント別の事業計画
(イ)加工食品事業
・高騰が続くコストに対して収益性・効率性の高いカテゴリーの更なる付加価値向上に注力するとともに、適正な価格改定と収益改善の仕組み化を図り機動的な体制を構築します。
・パーソナルユース需要や健康意識の高まりに応える新たな価値を創出します。
・生産体制の強化及び原材料調達のリスク分散による持続可能なサプライチェーンを構築します。
・北米における生産・供給体制の確立によるアジアンフーズカテゴリー需要の取り込みを強化します。
(ロ)水産・畜産事業
・カテゴリーの選択と集中による資本効率と収益性を向上します。
・独自性の高いこだわり素材の販売を拡大します。
・環境認証素材の水産品の取扱い拡大及び循環型農畜産サイクルの取組みを強化します。
(ハ)低温物流事業
・2024年の労働法規制対応を含む幹線輸送機能と冷凍食品物流プラットフォームを拡大します。
・保管運送一体運営の高度化により全国及び地域輸配送網を拡大します。
・業務革新、先端技術を活用した現場作業の高度化と効率化を実現します。
・将来の資本効率向上につながる設備投資を実施します。
・港湾拠点の活用や組織横断的な機能連携により欧州事業を拡大します。
(ニ)バイオサイエンス事業
・成長分野である分子診断薬事業への資源集中により経営基盤を強化します。
・免疫染色装置と検査試薬を一体とした分子診断薬の販売を拡大します。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ経営の推進
当社グループは長期経営目標「2030年の姿」実現に向け、2020年に5つのグループ重要事項(マテリアリティ)を特定しました。マテリアリティの特定にあたっては、ステークホルダーを特定し、社会課題(リスクと機会)を抽出した後、事業成長を実現する課題と企業価値の毀損を防ぐ課題の両軸から重要性評価を行い、課題をカテゴライズ・統合のうえ最終化しました。特定プロセスにおいては、社外取締役を含めた全役員が参画し、また社外有識者からのご意見を結果へ反映しております。
5つのマテリアリティはそれぞれにグループ目標(施策・KPI)を設定しています。中期経営計画「Compass Rose 2024」は、2030年へ向けたサステナビリティ経営の加速の期間と位置付け、グループ目標とともに事業別の目標を設定し、事業戦略とサステナビリティ戦略の一体化を図っております。
(2)ガバナンス
当社グループでは、サステナビリティ全体の戦略策定や、マテリアリティの進捗管理を行うグループサステナビリティ委員会を設置しています。同委員会は、当社の代表取締役社長を委員長、サステナビリティ担当役員のもとサステナビリティ推進部を事務局とし、社外取締役と社外監査役を含む全役員、各事業会社の経営企画部門・サステナビリティ部門の関係者をメンバーとしています。ここで審議・検討されたサステナビリティに係るリスクと機会、戦略、目標値などは、担当役員より取締役会に答申・報告を行い、適宜、戦略や目標、計画の見直しを行っています。2019年より実施している気候変動シナリオ分析の内容についても、同委員会の中での審議を経て開示に至っています(※)。
人的資本については、「多様な人財の確保と育成」をマテリアリティの一つとして特定し、社長の諮問機関であるグループ人財委員会において審議・検討を行っております。人的資本に係るリスクと機会、戦略、目標値などは、担当役員より取締役会に答申・報告を行い、適宜、戦略や目標、計画の見直しを行っています。
役員報酬制度においては、ESGに関するリスクと機会の適切な管理と気候変動への対応強化を目的として、ESG第三者評価を業績連動報酬の評価指標として2022年度より導入し、サステナビリティをめぐる課題への対応を強化しています。
※2021年度以前はグループ環境保全委員会
2022年度におけるグループサステナビリティ委員会の活動状況は以下の通りです。
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開催実績 |
4回 |
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主な議題 |
・再生可能エネルギーのポートフォリオ指針 ・Scope3 CO2排出量の現状 ・2022年度統合レポートでのマテリアリティKPI及びTCFDの開示内容 ・人権課題について ・持続可能な調達の実現に向けたサプライチェーンマネジメント ・持続可能な水産物・パーム油の調達ガイドラインの新設について ・マテリアリティ「多様な人財の確保と育成」の取組み及び人的資本開示 ・マテリアリティKPIの進捗及び2023年度目標 |
(3)リスク管理
当社グループが事業活動を行ううえでのさまざまなリスクを全体的視点から合理的かつ最適な部門・方法で管理し、代表取締役社長を委員長とするグループリスクマネジメント委員会で審議・検討しています。
ESG・サステナビリティに関わるリスク・機会に対しては、グループサステナビリティ委員会において管理し、審議を行っております。同委員会では、当社グループにとって重要なESG課題やリスクと機会に関するテーマを、当社のサステナビリティ部門が各事業会社の経営企画部門・サステナビリティ部門とともに抽出し、最も重要なテーマが同委員会にて審議されます。特に気候変動シナリオにおけるリスクは重要リスクの一つとして位置付けており、シナリオ分析で得られた事業リスクと機会への対応は、同委員会の中で審議・管理をしています。
また、人的資本に関わるリスク・機会に対しては、グループ人財委員会において管理し、特化した審議を行っております。同委員会では、当社グループにとって重要な人財関連のリスクと機会に関するテーマを、当社の人事部門が各事業会社の人事部門とともに抽出し、最も重要なテーマが委員会にて審議されます。
(4)テーマ別の戦略、指標及び目標
① 気候変動への対応(TCFD)
当社は2020年6月、TCFD提言への賛同を表明するとともに、「TCFDコンソーシアム」に参画しました。気候変動への取組みは、長期経営目標「2030年の姿」の実現に向けたマテリアリティの一つとしても位置付けており、気候変動に関連する社会課題の解決に向け、積極的に取組みを進めています。
気候変動に伴う外部環境の変化によって及ぼされるリスクへの適切な対応を進めるとともに、新たな事業機会の想定も踏まえた複数のシナリオを検討し適切に開示していきます。
(イ)戦略
(2020年度)
当社グループ全体のリスクと機会について2つの気候変動シナリオに基づく重要度の評価を行い、グループ共通の最重要リスクとして「低炭素政策全般(CO2排出量削減)」を特定し、長期CO2排出量削減目標を定め、取組みをスタートしました。
(2021年度)
食品・低温物流事業の共通リスクである「異常気象による水リスク」を選定し、国内拠点地域の河川の洪水リスクと高潮リスクについて調査を実施しました。
詳細は、「ニチレイグループ統合レポート2021」の59ページから61ページをご参照ください。
https://www.nichirei.co.jp/ir/library/integrated.html
(2022年度)
食品事業において重要な原料であるコメ及びチキンについて、将来の気候変動による収量への影響を調査しました。温暖化が進むシナリオの場合、コメについては現在の調達先エリアの収量は増加する結果となりました。また、チキンでは将来予測される気温上昇により収量が減少するエリアもありましたが、現状、調達先の養鶏場には空調設備が整っているため、収量への影響は少ないと考えられます。
詳細は、「ニチレイグループ統合レポート2022」の69ページから70ページをご参照ください。
https://www.nichirei.co.jp/ir/library/integrated.html
■CO2排出量削減への取組み
当社グループでは、長期CO2排出量削減目標達成を目指し、再生可能エネルギーを積極的に導入しています。
・オンサイト太陽光発電設備の設置
・オフサイトPPAによる再生可能エネルギー電力供給の推進
・電力会社のCO2フリーメニューへの切り替え
・グリーン電力証書・非化石証書の活用
■脱フロンへの取組み
自然冷媒への切り替え
2030年までに、加工食品事業の国内生産設備(自営食品工場及び投資工場)のフリーザーを100%、低温物流事業では海外拠点含む75%(貸借除く設備トンベース)を、自然冷媒機への切り替えを実施します。
(ロ)指標及び目標
<グループ長期環境目標と低炭素政策>
<2030年度目標>
CO2排出量50%削減(2015年度比、国内Scope1,2)
<2022年度CO2排出量実績(Scope1+2)>
国内 CO2排出量 216千㌧ 2015年度比CO2削減量 24.6%
海外 CO2排出量 123千㌧
② 持続可能なサプライチェーンの構築
(イ)戦略
「地球の恵みを活かしたものづくり」をビジョンに掲げる当社グループにとって、環境や人権に配慮した持続可能な食の調達は、事業の根幹であり、顧客価値の提供と当社グループの成長に直結すると認識しており、ニチレイグループ持続可能な調達方針」及びサプライヤーであるお取引先様に向けた「ニチレイグループサプライヤー行動規範・ガイドライン」に基づく取組みを進めております(※)。「持続可能な食の調達と循環型社会の実現」はマテリアリティの一つとして設定しており、持株会社・事業会社それぞれで目標を持ち、グループサステナビリティ委員会で審議と検討を行いながら、適切な開示に努めております。
(※)持続可能な水産物・パーム油の調達ガイドラインを制定しました。各ガイドラインは当社ウェブサイトに開示しております。
・ニチレイグループ持続可能な水産物調達ガイドライン
https://www.nichirei.co.jp/sustainability/social/supplychain/marine_products_guideline.html
・ニチレイグループ持続可能なパーム油調達ガイドライン
https://www.nichirei.co.jp/sustainability/social/supplychain/palm_oil_guideline.html
■持続可能な調達へ向けた取組み
・社内での人権教育、役員向けサステナビリティ勉強会の実施
・サプライヤーであるお取引先様へのサプライヤー行動規範・ガイドラインの周知・賛同の取組み、及びESGアンケートの実施
・サプライヤーであるお取引先様との人権デューデリジェンスの実施取組み
・加工食品事業におけるサステナビリティプラットフォーム(Sedex(※1))活用拡大の取組み
・水産事業におけるMSC・ASC認証水産品の取扱い拡大
・地域の生態系改善や水産資源の維持・保全を目指した当社独自の活動(「生命(いのち)の森プロジェクト」「生命(いのち)の海プロジェクト」等)の取組み
・RSPO(※2)認証油クレジット(ブックアンドクレーム方式)の購入
・循環型農畜産の養鶏事業の取組み
※1 Supplier Ethical Data Exchange:2004年に英国で設立された、サプライチェーンにおける責任あるビジネス慣行の実現を目指し、企業の倫理情報を管理・共有するためのプラットフォームを提供する非営利団体
※2 Roundtable on Sustainable Palm Oil:持続可能なパーム油のための円卓会議
(ロ)指標及び目標
当社グループは、マテリアリティの指標と目標を設定し、達成に向けた取組みを進めております。
③ 人的資本
(イ)戦略
サステナビリティ基本方針に基づき、「2030年の姿」を実現するためには、人財に関する拠り所を明確にする必要があることから、ニチレイグループの人財に関する理念とこの考え方に基づく人財方針を2022年7月に新たに制定しました。
グループ人財方針は
1.事業を通じた社会課題の解決に共感し、行動する人財の育成
2.多様な知とデジタルを掛け合わせ、新たな価値を創造し続ける組織の構築
3.挑戦を促す安全安心な企業文化の醸成
の3点を掲げており、これは「2030年の姿」及び「5つの重要事項」を達成するための人財面の課題を整理したものとなります。
これらの人財方針を具体的に取り進めるものとして5つの人財戦略を掲げました。まず従業員が活き活きと働くことが事業推進の大前提であるとの考えから「働きがい」と「健康経営」を土台とし、その上で、「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)」「新たな価値創造」「個人に即した学習機会」という企業価値向上に繋がる戦略を掲げております。経営課題の解決や、私たちが目指すあるべき人財や組織の実現を両立するものとして、この人財戦略を実行してまいります。
■グループ人財方針(どんな人財・組織を目指すのか)
・事業を通じた社会課題の解決に共感し、行動する人財の育成
「食は人と人とをつなぐ」という発想からニチレイグループが目指す社会的インパクトと社員一人ひとりが抱く志とを結び、主体的に行動する人財を育成します。
・多様な知とデジタルを掛け合わせ、新たな価値を創造し続ける組織の構築
様々な視点を取り入れ、データ・デジタル技術活用による環境変化に即応した行動により、人びとの豊かな食生活と健康に貢献する組織を構築します。
・挑戦を促す安全安心な企業文化の醸成
仕事への想いや考えを率直に伝えあい、お互いを信じ、受容することで、失敗を恐れずに新たな挑戦ができる企業文化を醸成します。
■人財戦略(現状とのギャップを埋める5つの観点)
(ロ)指標及び目標
当社及び国内主要会社においては、前述の5つの人財戦略を着実に進めるために、人財に関する8つのテーマを設定しています。
(1) 健康保持・増進による従業員パフォーマンス向上
食と健康を支える企業として、自社の従業員が、年齢・性別に関わらず常に心身共に健康でいきいきと働いていることは使命であると捉えています。従業員のパフォーマンス低下を招くプレゼンティーイズム・アブセンティーイズムを低減させる取組みとして、産業保健の体制整備、ヘルスリテラシー教育、治療と仕事の両立支援を進めています。その結果として「健康経営銘柄2023」を獲得できました。
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2022年度実績 |
2024年度目標 |
2030年度目標 |
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アブセンティーイズム(※1) |
3.6日 |
2.6日 |
1日 |
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プレゼンティーイズム(※2) |
79% |
85% |
90% |
※1 心身の体調不良が原因により業務自体が行えない日数
※2 通常発揮できるパフォーマンスのレベルを100%とした場合の、現在のパフォーマンスレベル
(2) 会社と従業員の相互信頼関係の強化
会社と従業員の相互信頼関係を重視し、エンゲージメントサーベイ結果を起点とした部門単位のアクションプランの作成及び実行に2023年度より取り組みます。
(3) 女性への機会提供と活躍実現
女性社員の役職・管理職に占める割合の増加と、働くことへの価値観の多様化に伴い、属性に拠らず活躍できる場を創出すると共に、女性役職者勉強会や車座、女性社員交流会など、従業員の能力を引き出す施策を展開しています。
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2021年度 実績 |
2022年度 実績 |
2024年度 目標 |
2030年度 目標 |
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女性取締役・監査役比率 |
20% |
13% |
20%以上 |
30%以上 |
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女性管理職比率 |
12% |
15% |
20% |
30% |
(注)ニチレイ(持株会社)のみの比率
(4) 海外事業推進を支える人財の育成
経営目標の達成には海外事業の成長が欠かせないため、海外事業の推進、支援に必要なスキルの取得機会や語学勉強機会、海外事業経験を含めたキャリアパスの提供、海外拠点の短期体験などを提供しています。
(5) デジタル・サステナビリティ関連教育の実践
これからの新しい時代・社会に合わせてデジタル・サステナビリティの取組みは不可欠です。そのために全従業員へのデジタル・サステナビリティに関する理解度を底上げする教育機会を提供しています。加えて、デジタルの取組みを推進する認定制度の導入と認定者を増やす取組みを行っています。
(6) 自立的な学習機会の提供と実践
会社から必要なスキルや経験を機会提供する一方で、従業員の自立的な学習も欠かせません。従業員一人ひとりが学習できる機会として、必須のeラーニング教育に加えて自発的に学習できる通信教育の提供や研修機会の拡充に取り組み、2030年度には人財投資額を前中期経営計画比2倍(※)に増やします。
※2018-2020年度平均の人財投資額に対する倍率
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2021年度 実績 |
2022年度 実績 |
2024年度 目標 |
2030年度 目標 |
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グループ人財投資額 |
0.8倍 |
1.2倍 |
1.7倍 |
2.0倍 |
(7) グループ内外から新たな視点を獲得
組織の活性化と新たな知見の獲得を促すには、グループ内外の人財と知見の交流を図ることが不可欠です。そのために2023年度より副業制度を導入し、活用を図ると共に、中途入社者についても計画的な採用を取り進めます。
(8) 法令遵守と安全・安心な労働環境の整備
法令遵守はもちろんのこと、従業員が安全、安心に働ける職場環境、制度の維持向上に、労使協働勉強会や労災教育、安全衛生委員会での周知や意見交換など、労使協働で取り組んでいます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経済状況及び事業環境について
<リスク>
国内市場では、世帯構成・ライフスタイルの変化を背景とした時短ニーズの増大や消費形態の多様化の傾向等により、新たな需要が生まれることが見込まれますが、その一方、本格的な人口減少に伴い長期的に総需要の縮小が懸念されます。海外市場においては、経済成長や事業環境の変化を背景とし、地域ごとに異なる様々な食と健康に関わるニーズの拡大が見込まれます。また、持続可能な社会の実現に向けて、企業に対する社会的な期待と要請は一層多様化、高度化しています。
<対応・取組み>
こうした環境の変化に対応するため、当社グループでは、食と健康を支える幅広い事業でイノベーションを推進してお客様及び社会の課題を解決する新たな価値を創造し、人々の豊かな食生活と健康に貢献することを目指しております。
(2) 食品に関する品質問題について
<リスク>
当社グループでは、食品の製造・販売を行っており、衛生基準や農薬・動物用医薬品残留基準の超過、異物混入、特定家畜伝染病(鳥インフルエンザ、アフリカ豚熱、口蹄疫等)など、食品に関する品質問題が発生する可能性があります。
当社グループが販売した商品において品質問題が発生した場合、その危害性と拡散性などから総合的に判断し適切な対応を行いますが、想定を超える大規模な商品回収等が発生した場合には、当社グループの社会的信用が毀損するとともに、業績に重大な影響を与える可能性があります。
また、当社グループ以外で食品に関する重大な品質問題が発生した場合においても、加工食品事業及び水産・畜産事業における商品・原材料の安定的な調達・販売に支障をきたす恐れ、あるいは食品輸入量の大幅な減少により低温物流事業における物流センターの稼働率が低下する恐れがあります。
<対応・取組み>
当社グループでは、お客様に信頼される商品とサービスの提供を目指し、食品安全マネジメントシステムの導入を始めとした商品開発から原材料調達、生産、販売まで一貫した品質保証体制の維持・向上に努めております。適切な原材料・商品の品質・生産管理、トレーサビリティシステムの構築、フードディフェンスの取組み、要員の育成・適正配置など、食品の「安全・安心」の確保を最優先課題として取り組んでおります。
(3) 多様な人財の確保及び育成等について
<リスク>
当社グループが持続的な成長を実現していくためには、多様で優秀な人財を確保・育成し、その能力を最大限に発揮することが重要です。しかしながら、国内においては少子高齢化に伴う労働力不足への対応が課題となっております。労働力不足を含む雇用情勢の変化や人財の流動化などにより、必要な人財の確保や育成が計画通り行えなかった場合、当社グループの事業運営に影響を与える可能性があります。
<対応・取組み>
当社グループでは、多様な働き方の実現や健康経営の推進、オフィスや生産工場・物流センターにおけるオペレーション業務の自動化・省力化・省人化といった働く環境の整備や生産性の向上に取り組んでおります。健康経営においては、ニチレイ健康推進センターを中心にがん検診等を含む健康診断の事後措置の徹底やヘルスリテラシー向上施策を実施し、2020年度、2021年度に続き「健康経営銘柄2023」に選定されました。あわせて、経済産業省より優良な健康経営を実践している法人として、「健康経営優良法人(ホワイト500)」にも制度創設以来7年連続で認定されました。人財育成においては、企業経営理念の理解・浸透や能力開発・能力発揮のための機会の提供等、人的資本への投資に努めております。
(4) 情報セキュリティについて
<リスク>
当社グループでは、事業運営を行う上で様々なシステムを使用し、また、多くの重要情報を取り扱っておりますが、運用上のトラブルやサイバー攻撃などによりシステムが停止したり、重要情報が改ざんされたりするなど、業務運営に支障をきたす恐れ、あるいはコンピュータウイルスや情報端末の管理不備等により、当社グループ外部へ重要情報の漏洩が発生する恐れがあります。これらシステム上のトラブルや情報漏洩が発生した場合、対応費用や社会的信用の低下などにより、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
<対応・取組み>
当社グループでは、外部からの攻撃に対してファイアウォールや侵入検知システム、適切な認証システムの整備などの技術上の対策を行うとともに、情報セキュリティに関する規程類の整備や、eラーニング等による従業員への教育などを行い、情報システムの適切な管理体制の構築に努めております。
(5) 商品や原材料等の価格変動について
<リスク>
当社グループが取り扱う商品や原材料には畜産品(鶏肉等)や水産品など、市況や作柄、漁獲量等により価格が大きく変動するものがあります。コスト上昇分がコストダウン施策により吸収しきれない場合や競争激化などにより価格改定が進まない場合、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
<対応・取組み>
加工食品事業では、配合技術・生産効率の向上による継続的な製造原価の低減や新たな付加価値商品の開発、水産・畜産事業では、需給バランスに沿った調達・販売、及び相場変動の影響を受けにくい加工品の取扱拡大や差別化商品の販売強化などに努めております。
(6) 原油価格等の変動について
<リスク>
当社グループでは原油価格等の高騰が、電力料、軽油・重油等燃料調達費用、商品・原材料の調達コストなどの増加につながります。これらの価格上昇をコストダウンで吸収できない場合、また価格改定が進まない場合、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
<対応・取組み>
当社グループでは、新技術の導入や業務改善等により継続的な原価低減に努めております。
(7) 為替変動の影響について
<リスク>
当社グループは、主要事業において商品や原材料の一部を海外より調達しているため、また海外に子会社を保有しているため、為替変動の影響を受けます。当社グループの業績に影響を与える通貨としては、米国ドル、タイバーツ、ユーロなどがあります。予測を超えた急激な為替レートの変動があった場合、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
<対応・取組み>
為替予約取引を実施するなど、為替変動による業績への影響を最小限にとどめるよう努めております。
(8) 法規制等の変更について
<リスク>
当社グループは、国内で事業を遂行していくうえで、食品衛生法、倉庫業法、貨物利用運送事業法、医薬品医療機器等法、独占禁止法、個人情報保護法、労働法、環境法令など様々な法規制の適用を受けており、また海外事業においても当該国での法規制等の適用を受けます。
今後予期し得ない法規制等の改正・新設やソフトローによる規制の強化等により事業活動が制限され、対応のための費用負担等が発生した場合、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
<対応・取組み>
当社グループでは、サステナビリティ基本方針「ニチレイの約束」に基づき、コンプライアンスを徹底するとともに、各国・地域の法規制等の動向に十分な注意を払い、情報収集に努めております。特に、環境・社会に関わる法規制等の変更については、リスクと機会の両面から検討し、対応を進めております。
(9) 持続可能な食の調達について
<リスク>
サプライチェーン上の人権や労働環境への配慮、天然水産資源の管理、食品ロスの削減、海洋プラスチック問題の解決などは、社会的な要請としてますます高まっており、今後法規制等の改正・新設やソフトローによる規制の強化等が行われる可能性があります。取組みが不十分な場合、あるいは取組みが不十分と見なされた場合、原材料等の安定調達に支障を来たすだけでなく、社会的信用の毀損や対応費用が発生し、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
<対応・取組み>
当社グループでは、持続可能な食の調達に向け、2022年に「ニチレイグループ持続可能な調達方針」を策定しました。その方針に準じ、お取引先様に向けた「ニチレイグループサプライヤー行動規範」と「ニチレイグループサプライヤーガイドライン」を策定。お取引先様へESGアンケートなどを実施するとともに、MSC・ASC認証水産物の取扱い、持続可能なパーム油の調達、循環型農畜産の養鶏事業等に取り組んでおります。
(10) 気候変動について
<リスク>
脱炭素社会移行の動きが加速する中、企業には大幅な温室効果ガスの排出削減や脱炭素化に向けた取組みが求められており、炭素税の賦課など、これを促進するための政策や規制強化が想定されます。冷凍・冷蔵技術を基盤とし、電力を中心にエネルギーを消費する当社グループにとって、CO2等排出削減の取組みが遅れた場合、その対応費用が増加する可能性があります。また、地球温暖化に伴う気温の上昇及び異常気象の発生により、原料調達、生産、物流などのサプライチェーンに影響が出た場合には、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
<対応・取組み>
当社グループでは、気候変動に対する取組みとして、フロン冷媒から自然冷媒等への切り替えを進めるとともに、太陽光発電設備の設置やグリーン電力証書の活用などのCO2を排出しない再生可能エネルギーの導入を合わせて行っております。また、TCFDの提言に準じた継続的な気候変動の影響の評価及びその情報開示を行ってまいります。
(11) 大規模自然災害について
<リスク>
巨大地震や近年増加傾向にある局地的な暴風雨などにより、当社グループの拠点及び近隣の道路・港・鉄道などに甚大な被害が発生した場合、あるいは市場の縮小、サプライチェーンの寸断、営業活動の制限が引き起こされた場合、その復旧までに長期間事業活動が停止し、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
<対応・取組み>
当社グループは、大規模自然災害への対策として、耐震補強工事や非常用発電機の配備などを進めるとともに、グループ全体では従業員安否確認システム、防災マニュアル・事業継続計画(BCP)の整備、データセンターの複数拠点化などを実施しております。
(12) 国際情勢について
<リスク>
ウクライナ情勢等の地政学的リスクによってエネルギー・原材料価格の上昇、金融市場への影響、サプライチェーンへの影響等が長期化した場合、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
<対応・取組み>
引き続き情勢を注視し、事業活動に及ぼす影響の最小化に努め、適宜適切な対応を進めてまいります。
(13) 技術革新について
<リスク>
デジタル技術やフードテックの急速な進展など、技術革新によって予測できない事業環境の変化が起こり、当社グループの持つ技術や提供する商品・サービスの競争力が低下した場合、当社グループの業績に重大な影響が生じる可能性があります。
<対応・取組み>
当社グループでは、食と健康の分野において、デジタル技術やデータ活用による業務プロセスの変革や様々なイノベーションに取り組んでおります。ISO56002に基づいたイノベーションマネジメントシステム(IMS)を構築し、運用しております。
(14) 固定資産の保有について
<リスク>
当社グループは、国内外に物流センターや生産工場を多数保有しております。また、海外事業や新規事業の展開に伴う出資などに伴い、のれんや投資有価証券を保有する場合があります。今後、物流センターでは荷主企業の移転や道路交通網の変化による立地条件の悪化、生産工場では設備の老朽化・陳腐化や販売不振による拠点再編、のれんや投資有価証券については出資時の事業計画から乖離が生じた場合などにおいては、収益悪化影響に加え、固定資産の減損や評価減、あるいは処分などにより、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
<対応・取組み>
当社グループでは投資案件ごとのPDCAサイクルを導入しており、投資起案時の検討項目や事後検証ルールを明確化し、適正に運用しております。
(15) 政策保有株式について
<リスク>
当社グループは政策保有株式を保有しておりますが、今後の経済環境や企業収益の動向により当該株式の時価や発行会社の財政状態が大幅に変動した場合、自己資本が毀損するなど、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
<対応・取組み>
個別の銘柄ごとに中長期的な経済合理性等を検証し、保有意義が薄いと判断する株式は売却しております。検証にあたっては、取引上の利益・配当金等の便益やリスクが資本コストに見合っているかを個別に精査したうえで、戦略的な重要性等の定性的評価も勘案し総合的に判断しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 経営成績の状況及び分析等
当期における世界経済は、新型コロナウイルスの影響が低下して正常化が進んでいるものの、エネルギー価格や原材料価格等が高騰しており、欧米の金融引き締めを背景に成長率は減速傾向にあります。
わが国経済においては、社会経済活動の再開やインバウンド消費への期待感から、景気は緩やかな回復基調にありますが、世界的なインフレや地政学リスクによる物価上昇や供給面での影響が懸念されます。
食品関連業界では、ライフスタイルの変化や外食需要の回復などにより、冷凍食品の市場は拡大しております。一方で、急激な為替変動や原材料価格の高騰など厳しい状況が継続しており、収益確保のための価格改定やサプライチェーンの再構築が課題となっております。また、気候変動や人権への対応などの社会課題が顕在化するなか、サステナビリティに対する社会的要請が一層高まっております。
当社グループは、中期経営計画「Compass Rose 2024」(2022年度~2024年度)の初年度として、「サステナビリティ基本方針~ニチレイの約束~」に基づく事業活動を通じて、豊かな食生活と健康を支える企業としての社会的責任を果たしつつ、資本効率を追求した経営に取り組み、社会的価値と経済的価値の向上を目指した施策に取り組みました。
この結果、グループ全体の売上高は、主力の加工食品事業や低温物流事業が堅調に推移し、6,622億4百万円(前期比9.9%の増収)となりました。利益面では、為替変動や原材料、エネルギーコストの高騰による影響を受けたものの、主力事業を中心にコストアップへの対応を進めたことや、バイオサイエンス事業が好調に推移したことから、営業利益は329億35百万円(前期比4.9%の増益)となり、経常利益は334億48百万円(前期比5.6%の増益)となりました。
特別利益は、投資有価証券売却益など総額は16億53百万円となる一方、特別損失は21億13百万円となりました。
以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は215億68百万円(前期比7.8%の減益)となりました。
[連結経営成績]
(単位:百万円)
|
|
当期 |
前期比 |
増減率(%) |
|
売上高 |
662,204 |
59,508 |
9.9 |
|
営業利益 |
32,935 |
1,525 |
4.9 |
|
経常利益 |
33,448 |
1,781 |
5.6 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
21,568 |
△1,813 |
△7.8 |
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
|
|
売上高 |
営業利益 |
||||
|
(セグメント) |
当期 |
前期比 |
増減率(%) |
当期 |
前期比 |
増減率(%) |
|
加工食品 |
275,697 |
31,460 |
12.9 |
13,962 |
△281 |
△2.0 |
|
水産 |
68,995 |
1,253 |
1.9 |
951 |
△5 |
△0.6 |
|
畜産 |
85,755 |
5,457 |
6.8 |
959 |
△208 |
△17.8 |
|
低温物流 |
244,207 |
19,660 |
8.8 |
15,147 |
521 |
3.6 |
|
不動産 |
4,532 |
217 |
5.0 |
1,798 |
145 |
8.8 |
|
その他 |
6,092 |
1,912 |
45.8 |
829 |
1,158 |
- |
|
調整額 |
△23,075 |
△454 |
- |
△713 |
196 |
- |
|
合計 |
662,204 |
59,508 |
9.9 |
32,935 |
1,525 |
4.9 |
(イ) 加工食品事業
《業界のトピックス》
加工食品業界では、生活者の行動制限が緩和されるなかで、引き続き内食・中食需要は堅調に推移し、外食需要も回復しました。一方、原材料やエネルギーコストの上昇、円安影響などにより、業界全体で価格改定の動きが相次ぎました。
《業績のポイント》
売上高は、価格改定を進めたことに加え、主力商品や新たな付加価値商品を拡販したことや、海外での売上げも伸長し増収となりました。営業利益は、価格改定効果やタイ子会社の業績改善があったものの、原材料・仕入れコストや動力燃料費の高騰などコストアップが響き、減益となりました。
(単位:百万円)
|
|
当期 |
前期比 |
増減率(%) |
|
|
売上高 計 |
275,697 |
31,460 |
12.9 |
|
|
|
家庭用調理品 |
81,405 |
4,582 |
6.0 |
|
|
業務用調理品 |
100,054 |
7,409 |
8.0 |
|
|
農産加工品 |
20,430 |
461 |
2.3 |
|
|
海外 |
58,902 |
18,068 |
44.2 |
|
|
その他 |
14,904 |
939 |
6.7 |
|
営業利益 |
13,962 |
△281 |
△2.0 |
|
(注)海外は2022年1月から2022年12月までの累計期間
家庭用調理品
タイ生産拠点の回復により主力のチキン加工品が伸長するとともに、「極上ハンバーグ」を含む食肉加工品が好調に推移しました。また、「今川焼」等のスナック類や「冷やし中華」「カレーうどん」等の麺類などのパーソナルユース商品も寄与し増収となりました。
業務用調理品
業態別ニーズに対応した商品開発を進めたことなどにより、中食・外食向けにチキン加工品やハンバーグ・カツ類を含む食肉加工品、春巻など主力カテゴリーの販売が好調に推移しました。
農産加工品
家庭用はブロッコリーの取扱いが大きく減少しましたが、業務用は回復した外食向けへのナス・コーン・ほうれん草等の取扱いが伸長し増収となりました。
海外
米国子会社のInnovAsian Cuisine Enterprises社では、旺盛な家庭用需要に対する主力商品の供給体制の強化を進めたことなどにより増収となりました。また、タイ子会社のGFPT Nichirei社は、欧州向けの販売が好調に推移したことや、鶏肉副産物の付加価値化を進めたことなどにより増収となりました。
(ロ) 水産事業
《業界のトピックス》
世界的に水産品への需要は高い水準を維持しているなか、水産資源の逼迫や急速な円安により、産地価格や物流費が高騰し調達価格に影響を及ぼしました。
《業績のポイント》
「えび」を中心に強みのある商材に注力するとともに、調達コストの増加に対応した販売価格の改定を進め増収となり、営業利益は海外事業が貢献したことなどにより前期並みを確保しました。
(ハ) 畜産事業
《業界のトピックス》
飼料価格や燃料費の高騰が畜産物の調達価格に影響を及ぼしました。また国産鶏肉では、国内で発生した鳥インフルエンザにより相場は上昇傾向に推移しました。
《業績のポイント》
中食・外食向けに加工品や輸入冷凍品が伸長したことにより増収となりましたが、飼料価格の高騰などにより増加した調達コストを吸収できず減益となりました。
(ニ) 低温物流事業
《業界のトピックス》
大都市港湾地区を中心に旺盛な保管需要により庫腹が逼迫する一方で、エネルギー価格の上昇や労働力不足により、電力料金や荷役作業料・輸配送コストの上昇が継続しました。
《業績のポイント》
物流ネットワーク事業や地域保管事業の売上げが堅調に推移したことに加え、海外事業も好調に推移し増収となりました。営業利益は、エネルギーコストの上昇があったものの、増収効果や業務改善及び運送効率化などの施策を推進したことなどにより増益となりました。
(単位:百万円)
|
|
売上高 |
営業利益 |
|||||
|
当期 |
前期比 |
増減率(%) |
当期 |
前期比 |
増減率(%) |
||
|
国内小計 |
177,098 |
2,736 |
1.6 |
13,530 |
86 |
0.6 |
|
|
|
物流ネットワーク |
104,631 |
1,683 |
1.6 |
5,418 |
△99 |
△1.8 |
|
|
地域保管 |
72,466 |
1,053 |
1.5 |
8,111 |
186 |
2.3 |
|
海外 |
63,745 |
17,825 |
38.8 |
2,406 |
329 |
15.8 |
|
|
その他・共通 |
3,363 |
△901 |
△21.1 |
△789 |
105 |
- |
|
|
合計 |
244,207 |
19,660 |
8.8 |
15,147 |
521 |
3.6 |
|
(注)海外は2022年1月から2022年12月までの累計期間
国内
地域保管事業において大都市圏を中心に旺盛な保管需要を着実に取り込んだことで保管貨物の在庫量が高水準で推移したことや、3PL事業において冷凍食品の荷動きが堅調に推移したことなどにより増収となりました。利益面では、エネルギーコスト高騰影響の一部を電力及び燃料サーチャージの収受で軽減するとともに、首都圏での集荷拡大や業務効率化などにより増益となりました。
海外
欧州地域において、前年度に実施した企業買収効果に加え、通関貨物の取扱いが好調に推移したことやクロスボーダー輸送などの運送需要を着実に取り込んだことにより増収・増益となりました。
(ホ) 不動産事業
《業績のポイント》
主力である賃貸オフィスビル事業において、リニューアル工事や省エネルギー対策工事を計画的に実施し安定収益の確保に努めたことなどにより増収・増益となりました。
(ヘ) その他の事業
《業績のポイント》
その他の事業のうち、バイオサイエンス事業は、新型コロナウイルス抗原検査キットの取扱いが大幅に増加したことに加え、分子診断薬やバイオ医薬品原料の販売が堅調に推移し増収・増益となりました。
② 財政状態及びキャッシュ・フローの状況及び分析等
(イ) 財政状態の状況及び分析等
|
(単位:百万円)
(注)D/Eレシオの算出方法:有利子負債÷純資産 |
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末より297億円増加し、4,573億円となりました。このうち流動資産は、販売が好調に推移したことによる売上債権の増加などにより163億円増加し、1,966億円となりました。また、固定資産は、主力事業の収益基盤拡大に向けた設備投資による有形固定資産の増加により133億円増加し、2,606億円となりました。
負債合計は、前連結会計年度末より141億円増加し、2,238億円となりました。有利子負債は短期借入金やコマーシャル・ペーパーの増加により98億円増加し、1,145億円となりました。
純資産合計は、前連結会計年度末より156億円増加し、2,335億円となりました。このうち自己資本は、親会社株主に帰属する当期純利益215億円の計上や配当金66億円の支払い、株主還元の充実及び資本効率の向上を目的とした自己株式1,826千株の49億円での取得、その他の包括利益累計額32億円の増加により132億円増加し、2,244億円となりました。
(ロ) キャッシュ・フローの状況及び分析等
(単位:百万円)
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
比較増減 |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
34,660 |
37,865 |
3,205 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△26,016 |
△26,844 |
△827 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△14,179 |
△8,591 |
5,587 |
|
フリーキャッシュ・フロー |
8,643 |
11,021 |
2,377 |
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期比で32億円増加し、378億円の収入となりました。経常利益は334億円、減価償却費は221億円を計上する一方、営業資金(売上債権・棚卸資産・仕入債務)の支出96億円や法人税等の支払い95億円などによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期比で8億円減少し、268億円の支出となりました。有形固定資産の取得による支出238億円や投資有価証券の取得による支出15億円などによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期比で55億円増加し、85億円の支出となりました。短期借入金及びコマーシャル・ペーパーが67億円増加する一方、配当金の支払い65億円や自己株式の取得による支出50億円、リース債務の返済による支出36億円などによるものです。
以上の結果、当期末における現金及び現金同等物は、前期末から44億円増加し277億円となりました。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える主な会計上の見積りは以下のとおりであり、継続して合理的に評価しております。
なお、見積り及び判断・評価については、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。
(イ)棚卸資産
棚卸資産の評価方法については、「第5 経理の状況」の注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項をご参照ください。
(ロ)有形固定資産及び無形資産
有形固定資産及び無形資産については、管理会計上の区分や投資の意思決定を行う際の単位や事業の相互補完性等を考慮して合理的にグルーピングを行い、当該資産グループ単位で減損の兆候を把握しております。減損の兆候がある資産グループについては、その資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には減損を認識し、帳簿価額を回収可能価額まで減額して減損損失を計上しております。当該方法では将来キャッシュ・フロー、割引率など多くの見積り・前提を使用しておりますが、将来キャッシュ・フローは企業に固有の事情を反映した合理的で説明可能な仮定及び予測に基づき、また、割引率は当該資産グループに固有のリスク、当社グループに要求される資本コスト、当該資産グループに類似した固有のリスクを反映した市場平均と考えられる合理的な収益率などを総合的に勘案して、それぞれ見積りを行っております。
(ハ)有価証券
投資有価証券の評価方法については、市場価格のない株式等以外のものについては市場価格等に基づく時価法を、市場価格のない株式等については原価法を採用しております。投資有価証券のうち、市場価格のない株式等以外のものについては、決算日現在の時価が取得原価に比べて40%以上下落した場合には回復可能性が明らかな場合を除き、また、30%以上40%未満下落した場合には回復可能性がないと認められる場合に減損処理を行っております。市場価格のない株式等については、発行会社の財政状態の悪化により、実質価額が取得原価に比べて50%以上下落した場合には回復可能性が明らかな場合を除き減損処理を行っております。
(ニ)繰延税金資産
繰延税金資産は将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高く税金負担額を軽減することができると認められる範囲内で計上しております。また、繰延税金資産は毎期見直しており、将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除の全部又は一部が将来の税金負担額を軽減する効果を有さなくなったと判断した場合、計上していた繰延税金資産のうち回収可能性がない金額を取り崩しております。
(ホ)貸倒引当金等の引当金
貸倒引当金等の重要な引当金の計上基準は、「第5 経理の状況」の注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項をご参照ください。
(ヘ)資産除去債務
資産除去債務の計上基準は、「第5 経理の状況」の注記事項(資産除去債務関係)をご参照ください。
(ト)販売促進費等
商品の販売促進の目的で当社が取引先に負担する費用の一部(以下、販売促進費等)については、販売促進費等が取引条件の決定時に考慮され実質的に販売価格を構成する一部と捉えられることから、販売促進費等の支払実績に基づき合理的に見積り、売上計上時に売上高から控除して計上しております。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
詳細につきましては、「3 事業等のリスク」をご参照ください。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
(イ) 資源配分の基本的方針
様々な課題に対応しながら成長と事業基盤強化のための投資を積極的に行うことに加えて、持続可能な社会の実現に向けた取り組みにも配分してまいります。そのために必要な資金を効率的かつ安定的に調達できるよう、資本効率性・成長性・健全性を考慮しながらバランスの取れた資本構成を維持します。資本効率性はROEとROIC、成長性は売上高とEBITDA、健全性はD/E比率、と各々目標とする経営指標を設定し、四半期ごとに外部環境の変化や事業計画の進捗をモニタリングしております。
株主への還元については、各事業年度の連結業績及びキャッシュ・フローなどを勘案しながら、連結自己資本配当率(DOE)を基準として安定的かつ継続的な配当を実施するとともに、資本効率や市場環境などを考慮のうえ自己株式の取得を実施することを基本方針としております。
(ロ) 資金需要と資金調達方法
運転資金需要のうち主なものは商品及び原材料の購入費、製造費、低温物流センターの運営費、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、設備投資資金需要のうち主なものは食品生産設備や低温物流設備の購入・建設費用等であります。
当社グループは国内連結子会社を含めたキャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入しており、運転資金及び設備投資資金の調達は、主に当社の借入れ及び社債の発行やグループ各社の事業活動から生じるキャッシュ・フローを資金集中することによる内部資金によっております。
(ハ) 財務政策
当社は、グループ企業価値の持続的な向上をめざし、成長と事業基盤強化のための投資に加え、食品安全、環境保全などの社会的ニーズに対応する投資も行ってまいりますが、これら事業の遂行に必要な資金を効率的かつ安定的に調達できるよう、資本効率性・成長性・健全性を考慮しながら、バランスの取れた資本構成を実現します。
営業キャッシュ・フローと資産流動化により創出された資金は、企業価値の維持向上のための投資と配当や自己株式の取得を通じた株主還元に振り向けます。
⑥ 中長期的な目標に照らした経営成績等についての分析
詳細につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 中期的な経営戦略、目標とする経営指標、経営環境及び対処すべき課題」をご参照ください。
(2) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
(単位:百万円)
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
増減率(%) |
|
加工食品 |
113,013 |
132,051 |
16.8 |
|
水産 |
9,617 |
9,308 |
△3.2 |
|
畜産 |
2,513 |
2,975 |
18.4 |
|
低温物流 |
301 |
294 |
△2.4 |
|
不動産 |
- |
- |
- |
|
その他 |
1,540 |
2,521 |
63.6 |
|
合計 |
126,986 |
147,150 |
15.9 |
(注)生産実績は、相殺消去前の製造総費用によっております。
② 仕入実績
(単位:百万円)
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
増減率(%) |
|
加工食品 |
74,845 |
86,912 |
16.1 |
|
水産 |
57,641 |
57,327 |
△0.5 |
|
畜産 |
69,885 |
74,589 |
6.7 |
|
低温物流 |
138 |
161 |
16.5 |
|
不動産 |
- |
- |
- |
|
その他 |
1,108 |
1,348 |
21.7 |
|
合計 |
203,619 |
220,339 |
8.2 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 「加工食品」、「水産」、「畜産」、「低温物流」及び「その他」の仕入実績は、商品の仕入代金及び引取諸掛等の合計額であります。
3 「不動産」の仕入実績は、商品の仕入代金等であります。
③ 受注実績
低温物流セグメント(㈱ニチレイ・ロジスティクスエンジニアリング)の受注実績は次のとおりであります。
なお、低温物流セグメント以外では、受注生産は行っておりません。
(単位:百万円)
|
受注高 |
受注残高 |
||||
|
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
増減率(%) |
前連結会計年度 (2022年3月31日) |
当連結会計年度 (2023年3月31日) |
増減率(%) |
|
3,124 |
2,164 |
△30.7 |
951 |
225 |
△76.3 |
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
④ 販売実績
(単位:百万円)
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
増減率(%) |
|
加工食品 |
243,963 |
275,398 |
12,9 |
|
水産 |
67,663 |
68,903 |
1.8 |
|
畜産 |
77,646 |
82,975 |
6.9 |
|
低温物流 |
207,242 |
226,710 |
9,4 |
|
不動産 |
2,901 |
3,043 |
4,9 |
|
その他 |
3,279 |
5,174 |
57,8 |
|
合計 |
602,696 |
662,204 |
9.9 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
三菱食品株式会社 |
74,412 |
12.3 |
75,363 |
11.4 |
資産の賃貸契約
|
契約会社 |
賃貸先の名称 |
住所 |
契約内容 |
契約期間 |
|
当社 |
三菱UFJ信託銀行株式会社 |
東京都 千代田区 |
一般定期借地権 (東京都中央区築地所在の土地) |
2003年6月30日~2052年11月30日 |
当社グループは、市場の変化に対応した新商品及び新技術の開発並びに新規事業の育成を目指した研究開発活動を行っております。
当連結会計年度の研究開発費は
セグメント別の研究開発活動の状況は次のとおりであります。
(1) 加工食品事業
当連結会計年度は、電子レンジ調理が可能な個食麺の第一弾として家庭用冷凍食品「冷やし中華」を発売しました。電子レンジは、食品に含まれる水分子をマイクロ波で振動させて加熱しています。氷は水分子が結合しており、マイクロ波の影響が小さいため溶けにくく、一方で冷凍麺は氷よりも水分子が点在しているため温まりやすいといった性質を持っています。このような食品ごとの特徴の差を応用し、「電子レンジで冷たい麺に仕上がる」という独自技術(特許申請済)を開発しました。本商品は構想から約5年、具現化するまで約3年かかっての商品化となりました。業界初となる氷の特性を利用するという発想は、冷凍食品を長年研究し続けてきた、当社グループならではのものであります。
(2) 低温物流事業
物流事業における労働力不足の対策として、作業の省人化、簡易化に資する技術検証、システム開発に取り組んでおります。
作業の省人化では、無人フォークリフトによる庫内作業の実証実験として、冷蔵(+7℃)・冷凍(-25℃)環境下における稼働実験、冷蔵と冷凍ゾーン間の移動実験、有人フォークリフトとの共存実験を進めております。また、様々な用途に合わせて最適な無人搬送機(AGV)を導入し、実業務における効果の検証を行っております。
作業の簡易化では、タブレットを利用した入出荷作業や人工知能を利用した賞味期限管理機能などを実装し、データを活用して最適な作業示唆・指示を行う作業タスクマネジメントシステムの研究・開発を進める一方、スマートグラスなどのウェアラブル端末や遠隔ロボットを利用した、新たな物流作業の実証実験にも取り組んでおります。
(3) その他の事業(バイオサイエンス事業)
分子診断薬、イムノクロマト製品の開発を行っております。分子診断薬製品では、N-Histofine® Simple Stain™ MAX PO(MULTI)など6品目について欧州体外診断用医療機器規制(IVDR)に基づくCEマークを取得したほか、がん組織から抽出したゲノム DNA 中の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)の検出を目的とするIdylla™ MSI Test「ニチレイバイオ」を体外診断用医薬品として販売開始しました。イムノクロマト製品では、新型コロナウイルスの感染拡大時に柔軟かつ迅速に市場に供給できるように、海外メーカーより新たに1テスト包装の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原を検出する迅速診断キットを体外診断用医薬品として販売開始しました。
(4) 全社(共通)
各事業の収益貢献を目的として、事業会社が抱える技術的課題に対して技術支援を行うとともに、中長期視点での新商品や新サービス、新事業創出に資する研究開発を実施しております。
技術支援については、新事業開発に向けた商品やサービス作りのための技術開発や新商品開発に向けた分析評価と技術情報の提供といった支援を幅広く行っております。中長期的な研究開発では、競争優位性の源泉となる基盤技術の深化と創出に関する取組み、社内外の技術や知識を融合するオープンイノベーション推進の取組みを進めております。具体例としては、食品の品質劣化を防ぐ保存技術の開発や冷凍の特性を活かした事業展開に向けた技術開発を行う「冷力研究」、おいしさの評価解析を行い、事業への活用を進める「おいしさ研究」、健康寿命延伸に向けたビジネス開発と栄養学研究に取り組む「健康研究」、心地良さや快適、健康に表現される人の幸せへと繋がる研究を実施する「人間科学研究」といった取組みを、社外の研究機関や民間企業との連携を通して行っております。