第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益の改善や個人消費の持ち直し、また、世界経済の回復基調を受けて輸出が持ち直したことなどにより、緩やかな回復基調が継続いたしました。
 このような経済環境のもと、当社グループは、グループの更なる事業基盤の強化を図り、事業環境の変化に対応し、新規顧客の獲得やきめ細かい技術指導を行うなど積極的な事業活動を行ってまいりましたが、当社グループの売上高は前年同期比0.9%減少25,363百万円となりました。
 利益面では、グループ全体で生産性の向上及びコスト削減の取り組みを実施し、また、設備等の償却負担の減少や在外子会社の利益面の改善等により、営業利益は前年同期比32.4%増加2,725百万円、経常利益は前年同期比35.8%増加2,923百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、加入していた厚生年金基金解散にともなう企業年金制度の新設による退職給付引当金繰入額を特別損失に計上いたしましたが、営業利益の増加により前年同期比36.3%増加1,856百万円となりました。

 

 セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

[化学品事業]

 化学品事業においては、建設機械向けをはじめとする鋳物用樹脂は低調に推移いたしましたが、電子材料向け樹脂は堅調に推移いたしました。その結果、売上高は前年同期比1.9%増加20,169百万円となりました。利益面では、グループ全体で生産性の向上及びコスト削減の取り組みを実施し、また、在外子会社の利益貢献により、セグメント利益(営業利益)は前年同期比22.8%増加2,542百万円となりました。

[食品事業]

 食品事業においては、異性化糖の各種飲料向けが伸び悩んだ結果、売上高は前年同期比11.0%減少4,949百万円となりました。利益面では、生産性の向上及びコスト削減など戦略的な損益改善に努めた結果、セグメント利益(営業利益)は25百万円(前年同期170百万円のセグメント損失(営業損失))と4期ぶりの黒字化を果たしました。 

[不動産活用業]

 不動産活用業においては、ほぼ前年並みで推移した結果、売上高は前年同期比1.1%増加245百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期並みの157百万円となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、4,158百万円の収入と前連結会計年度に比べ1,481百万円の収入の増加となりました(前連結会計年度2,677百万円の収入)。これは、主に税金等調整前当期純利益の増加と仕入債務の増減額の増加によるものです。
 投資活動によるキャッシュ・フローは、5,300百万円の支出と前連結会計年度に比べ3,487百万円の支出の増加となりました(前連結会計年度1,813百万円の支出)。これは、主に3ヶ月を超える定期預金への預入による支出の増加と有形固定資産の取得による支出の増加によるものです。
 財務活動によるキャッシュ・フローは、1,782百万円の支出と前連結会計年度に比べ3,639百万円の支出の増加となりました(前連結会計年度1,856百万円の収入)。これは、自己株式の取得による支出の増加によるものです。また、前連結会計年度には長期借入による収入があったことによります。
 この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前年同期比2,999百万円(26.7%)減少8,243百万円となりました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

化学品事業

19,179

+2.5

食品事業

4,307

△6.2

不動産活用業

合計

23,486

+0.8

 

(注) 1 金額は、販売価格によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注実績

当社グループは受注見込みによる生産方式をとっております。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

 

化学品事業

20,169

+1.9

 

食品事業

4,949

△11.0

 

不動産活用業

245

+1.1

 

合計

25,363

△0.9

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、創業以来、糖化業界及びフェノール樹脂業界において豊かな創造力により独自の技術を築いてまいりました。
 企業理念として「化学の知識とアイデアでソリューションを提供し、より豊かな未来社会創りに貢献する」を掲げ、経営基盤の充実に力を注ぎ、顧客を中心としたステークホルダーとともに繁栄することを目指してまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、経営環境に応じた経営効率の向上を図り、株主資本の効率的活用と収益性の観点から自己資本利益率(ROE)の向上と売上高営業利益率8%を目指すことを経営指標としております。
 なお、当連結会計年度においては、ROE4.8%、売上高営業利益率10.7%でありました。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、激変する経営環境のなか、安定的な収益力の基盤を確立するため国際化に対応した設備投資、技術開発のための先行投資を行ってまいりました。今後は、マーケティングを強化し新たな需要の創出を進めてまいります。また、基盤技術・生産技術・応用技術力を高め、事業基盤の強化を図ると同時に、事業体制強化のため、積極的に人材を育成することで収益性・成長性を備えた魅力あるGCIグループを目指してまいります。

 

(4) 会社の対処すべき課題

当社グループでは、新たに「化学の知識とアイデアでソリューションを提供し、より豊かな未来社会創りに貢献する」という理念を柱としたグループビジョンを掲げ、下記の2点を重要課題として取り組んでまいります。

 

① 開発型企業への変革

新規製品上市率30%という中長期的目標のもと、研究開発力をバックボーンとして、当社の主力製品であるフェノール樹脂及び澱粉糖製品分野でのコア技術の深耕及び蓄積を継続するとともに、マーケティング活動を通じ、グローバルな視点で新たなビジネスの仕組みや新需要の創出に挑戦していきます。また、基盤技術、生産技術、応用技術力を高め、製品の高付加価値化に挑戦するとともに、技術やノウハウを蓄積し、開発型企業として今後さらに研究開発活動の充実を図り、企業価値を高めてまいります。

 

② 経営の変革

取締役は、需要の変化及び市場動向など外部環境の変化にも細心の注意を払い、経営会議等を通してより迅速な意思決定ができる体制のもと企業経営を行っていくとともに、現在の経営環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針の立案に努めてまいります。
 また、執行部門に権限を委譲し、責任の明確化を図り、世界に通用する競争力のある新規製品を開発し、事業化を推進してまいります。
 同時に、会社内のコミュニケーションを強化し、社員一人ひとりが会社の価値観を共有し、信頼関係をベースに自発的に考え行動できる体制を目指します。

さらには、内部統制システム、コンプライアンス、リスク管理体制を強化して持続的発展の基盤をつくり、意識改革と体質強化を図ってまいります。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループでは、経営活動に脅威となる事象をリスクと認識し、そのリスクの顕在化を未然に防止するなど、経営への影響を最小限にとどめるよう対応に努めていく方針であります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)原材料の価格変動について

化学品事業の主原料であるフェノールの購入価格は、原油の市況に左右されます。また食品事業の主原料である澱粉の購入価格は、トウモロコシの市況に左右されます。

これらは、当社グループ製品の材料費のコストアップ要因となります。このコストアップに対して原価低減や製品価格への転嫁により対処していく考えでありますが、原材料価格が高騰した場合は、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 

(2)天候不順等について

飲料向け異性化糖などの食品事業は、天候による影響を受けます。冷夏などの天候不順による個人消費動向の変化が、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 

(3)保有有価証券について

当社グループは、事業政策上取引先等の株式の相互保有と余剰資金運用の一環として有価証券投資を行っております。運用及び投資対象銘柄につきましては、安全性を基本としておりますが、証券市場における市況の悪化等によっては、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 

(4)災害等による影響

当社グループは、製造ラインの中断によるマイナスの影響を最小限にするために、定期的に設備の点検、メンテナンスを行っております。しかし、当社グループの生産拠点である群馬工場及び滋賀工場等に大規模災害等が発生することによる悪影響を完全に防止できる保証はありません。地震、風水害、停電等による製造ラインの中断、さらには販売活動を行っている国々で発生した各種災害による経済活動に対する大きな影響は、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)海外子会社について

タイ王国及びインド共和国の海外子会社は、当社グループの化学品事業におけるフェノール樹脂製品及びRCS(レジンコーテッドサンド)製品を製造・販売しております。それぞれの国内において予期しない法律又は規制の変更や、政情不安・テロ・暴動・戦争や自然災害等不可抗力による災害が発生した場合、製造・販売に支障をきたし当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。
 また、為替について、想定を超える円・バーツ間及び円・インドルピー間の為替相場変動が発生した場合に当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 

但し、影響を与えるリスクは、これらに限定されるものではありません。

 

5 【経営上の重要な契約等】

 

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、主力製品であるフェノール樹脂及び澱粉糖製品分野でのコア技術の深耕及び蓄積を継続するとともに、従来の素材開発から新たに技術集約型である製品川下材料分野への用途展開を図り、それに必要な材料設計技術を新規コア技術として位置づけ、その獲得及び応用展開を目指しております。また、同時に今後成長が見込まれる環境低負荷材料、高付加価値材料及び機能性食品関連材料の新製品開発に注力しております。

現在、当社においては開発及び営業の緊密な連携により、タイムリーな顧客ニーズの取り込み及びシーズの開発促進を行う体制となっております。当期売上高に対する新製品売上比率は22%(当連結会計年度末現在、上市後5年以内の製品)でした。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は1,257百万円であり、セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。

 

[化学品事業]

主に当社が中心となり、電子材料、機能性材料、複合材料及び環境対応材料等の材料開発を行っており、材料設計技術としての高分子構造設計、アロイ、ブレンド、成形加工及び実用性評価技術に注力し、半導体、電気・電子、自動車及び工業材料分野への新製品上市を進めております。
 当連結会計年度では、電子材料分野においては、LCD及び半導体分野に使用されるレジスト材料について、国際競争力のある製品開発及び生産技術に注力しております。今後伸長が期待される有機EL向けについては次世代材料開発を鋭意強化しており、採用拡販が進んでおります。環境分野においては各種水処理向け材料開発により海外への用途拡大が進みました。
 また環境基準をクリアした低放散ホルマリン断熱材用バインダーについては数社採用を獲得し、販売拡大が進んでおります。鋳物材料としては新規フラン樹脂、硬化剤の製品ラインナップにより採用拡大を継続するとともに、次世代鋳物材料として産官学国家プロジェクトにおける砂型積層用3Dプリンター材料の開発に成功し、先行海外品よりも優れた耐火性を有する人工砂、良好な流動性を有するコーテッドサンドの商品化を達成しております。カイノール繊維については炭化や賦活の評価技術の向上に努め、更なる材料開発を進めております。

当連結会計年度に係る研究開発費は1,072百万円であります。

[食品事業]

当社が中心となり、穀物糖化機能食品材料の川下分野への材料開発を行っており、酵素応用技術、糖化パイロットプラント及び高度な分析技術等を駆使して技術集約型の新製品開発をすすめております。
 当連結会計年度では、新製品マルトトリオース(商品名ピュアトース)について用途開発を継続しており、機能解析、レシピ提案に引き続き注力しております。また、各種機能性シロップとしては大麦β-グルカン液状品等を開発し、従来とは差別化された機能食品製品として用途開発を進めております。

当連結会計年度に係る研究開発費は185百万円であります。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度における経営成績は、グループの更なる事業基盤の強化を図り、事業環境の変化に対応し、新規顧客の獲得やきめ細かい技術指導等を提供するなど積極的な事業活動を行ってまいりましたが、食品事業で前年の販売動向を下回りました。利益面では、グループ全体で生産効率向上及びコスト削減の取り組みを実施し、また、設備等の償却負担の減少や在外子会社の利益面の改善等により、営業利益は増加いたしました。今後は、中国をはじめとした新興国経済は回復の兆しが見られるものの、英国のEU離脱問題や米国新政権の動向、近隣諸国の情勢不安などにより、先行きは不透明な状況で推移すると予想されます。このような環境の中、当社グループは、グローバルに顧客満足の向上を目指し、顧客とともに繁栄するために開発型企業への変革と経営の変革を重要課題として取り組んでまいります。

 

(2)財政状態の分析

当社グループの当連結会計年度における資産合計は前連結会計年度末と比べ2,409百万円増加し、51,216百万円となりました。これは、主に評価額の増加に伴い投資有価証券が増加したことによります。
 負債合計は前連結会計年度末と比べ825百万円増加し、10,763百万円となりました。これは、主に返済により借入金が減少しましたが、設備関係未払金及び退職給付に係る負債が増加したことによります。
 純資産合計は前連結会計年度末と比べ1,583百万円増加し、40,452百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加し、また、その他有価証券評価差額金が増加したことによります。

なお、自己資本比率は前年同期比0.6ポイント減の76.5%となり、金利上昇の影響を受けにくい健全な財務体質を維持しております。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析

当社グループのキャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」をご覧ください。