第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものであります。

 

  (1)経営方針

当社グループは、創業者が掲げた「食足世平」「食創為世」「美健賢食」「食為聖職」の4つの精神をもとに、常に新しい食の文化を創造し続ける「食文化創造集団」となり、環境・社会課題を解決しながら持続的成長を果たすことによって、グループ理念である「EARTH FOOD CREATOR」の体現を目指してまいります。

また、総合食品企業グループとして、各カテゴリーの中で常にNo.1ブランドを創造・育成していき、No.1ブランドの集合体として形成される「ブランディングコーポレーション」の実現を目指し、より一層、ゆるぎない経営基盤を築きながら、企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に努めてまいります。

 

  (2)経営環境及び対処すべき課題等

今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症の影響長期化に加え、地政学的リスクの高まり、インフレ、政策金利の引き上げ、金融不安の拡大、約32年ぶりの円安水準、資源価格の高騰に伴う消費者物価指数の上昇など、先行き不透明な状況が続いております。

このような環境の中、当社グループは、2030年に向けた「中長期成長戦略2030」を策定し、ビジョンの実現と持続的成長に向け、以下の3つの成長戦略テーマに取り組んでまいります。

 

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中長期成長戦略2030

 海外事業+非即席めん事業のアグレッシブな成長によって、利益ポートフォリオを大きくシフトさせながら持続的成長を追求してまいります。ポイントは、①既存事業全体の利益をMid-single Digit、1桁台半ばで持続的に成長させていくこと、②「海外」及び低温・菓子・飲料からなる「非即席めん」の成長をさらにドライブさせ、2020年度時点では6:4となっていた、国内即席めんとそれ以外の構成比を逆転させていくこと、③それに新規事業によって長期的な収益をさらに積み重ねていくこと、の3つであります。

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* 非経常損益としての「その他収支」の影響を除いた実質的な営業利益の成長

** 2020(2020年度)の値は、2020年度IFRS営業利益から、国内その他セグメントの損益や非経常損益としての「その他収支」、加えて2019~2020年度において大幅な利益増大要因となったCOVID-19影響を控除したおおよその値

 

① 既存事業のキャッシュ創出力強化

(ア) 海外事業

・海外事業の成長ドライバー:Global Brandingの深化

 グローバルブランドと呼べるステージに到達した「CUP NOODLES」のコアバリューとエリア別の競争優位性をさらに明確化・確立し、さらなる成長のドライブコアといたします。

 

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・高付加価値市場におけるトップカンパニーへ

 ブランド戦略を各市場/事業のステージに応じたオペレーション戦略へと展開し、M&Aも活用しながらさらなる高成長を目指してまいります。

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 * 中国地域の戦略等は、当社が独自に設定したものであります。

 

 

(イ) 国内非即席めん事業(第2の収益の柱へ)

 国内非即席めん事業については、需要・供給両面からグループシナジーを徹底追求することにより、付加価値フォーカスでの各事業の成長/収益性向上をレバレッジしてまいります。

 こちらは、セグメントでいう「低温・飲料事業」、「菓子事業」を指すものであります。ポートフォリオシフトへの強い意志を込める意味で「非即席めん」として表現しております。2020年度時点では利益の面からは約10%程度の構成比でありますが、それぞれのNo.1領域を磨き続けることで着実に利益を増大させ続け、2030年には構成比約15%の柱に育て上げるのが戦略目標であります。

 

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* 20年度以降の営業利益については、IFRS営業利益から非経常損益としての「その他収支」を控除した金額を記載

 

(ウ) 国内即席めん事業(100年ブランドカンパニーへ )

 日清食品・明星食品からなる「国内即席めん事業」については、成熟市場にあっても着実な増収増益を重ね中長期的に成長し続けるために、需要開発・ブランド浸透・市場開拓・供給力強化への取り組みをさらに深化させてまいります。

 

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* 20年度以降の営業利益については、IFRS営業利益から非経常損益としての「その他収支」を控除した金額を記載

 

② EARTH FOOD CHALLENGE 2030

当社グループは、2022年11月に、森林破壊などによる自然や生物多様性の減少をプラスに回復させる「ネイチャーポジティブ」に向けた活動を推進し、2050年までにCO₂の排出量と吸収量を“プラスマイナスゼロ”にする「カーボンニュートラル」の達成を目指すことを宣言いたしました。ネイチャーポジティブに向けた活動に取り組むことで、EARTH FOOD CHALLENGE 2030で掲げる資源の有効活用、そしてCO₂排出量の削減を加速させてまいります。

 

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環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」

2030年に向けた環境目標

目標値

直近実績

資源有効活用へのチャレンジ

持続可能なパーム油の調達比率

100%

37.7% (※1)

水使用量…IFRS売上収益100万円あたり

12.3㎥/百万円

10.5㎥/百万 (※1)

廃棄物再資源化率…日本国内

99.5%

99.8% (※1)

販売・流通領域における廃棄物削減

…2015年度対比/日本国内

△50.0%

△47.1% (※2)

気候変動問題へのチャレンジ

CO2排出削減率:Scope1+2

…2018年対比/国内外(※3)

△30.0%

△4.0% (※1)

CO2排出削減率:Scope3

…2018年対比/国内外(※3)

△15.0%

0.4% (※1)

※1 2022年実績

※2 2021年度実績

※3 2023年5月にCO2排出削減の目標値をScope1+2 △42%(2020年比)、Scope3 △ 25%(2020年比)に

   上方修正。

 

 

③ 新規事業のビジョン

・背景となる社会課題と新規事業のビジョン

現代は豊かな食生活が実現した一方で、オーバーカロリーによる「肥満」、偏食や間違ったダイエット方法

による「隠れ栄養失調」、高齢者の低栄養による「フレイル」など、多くの健康問題に直面しております。

 

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日清食品独自のフードテクノロジーにより、見た目やおいしさはそのままに、カロリーや塩分、糖質、脂質

などをコントロールし、必要な栄養素を整えた食事を実現することで、社会課題の解決を目指してまいります。

 

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④ 「完全メシ」の展開

・「完全メシ」シリーズは、発売1年で1000万食を突破!!(※1)

2022年5月30日より、栄養とおいしさの完全バランスを実現した「完全メシ」シリーズを発売。

その後、冷凍食品やパンなどカテゴリーを拡大しております。新しいコンセプトと技術力が評価され、

多数のヒット賞を受賞いたしました。

 

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※1 2022年5月30日~2023年4月30日の「完全メシ」シリーズ累計出荷数から算出(当社調べ)

 

  (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

① 持続的な利益成長の考え方

成長投資の基盤となる“既存事業”の実質的成長を示す指標「既存事業コア営業利益」を定義し、これをMid-single Digitで成長させることを経済価値ターゲットの中核といたします。

既存事業コア営業利益とは、営業利益から新規事業にかかる損益および非経常損益としての「その他収支」を控除したものであり、中長期成長戦略上2022年3月期以降積極的かつ継続的な先行投資を予定する新規事業にかかる損益を分離し、その成長投資の基盤となる既存事業の実質的な成長を測定することを目的に採用している指標であります。

本指標は、当社グループが中長期的に持続的な成長を目指すうえでの重要経営管理指標であり、財務諸表の利用者が当社グループの業績を評価するうえでも有用な情報であると考えております。

 

② 中長期的な経済価値ターゲット

 持続的な利益成長に加え、効率的な資本活用、安全性ある負債活用、そして安定的な株主還元の4つをCSV経営上の中長期的経済価値ターゲットとして掲げ、非財務目標との同時実現を追求してまいります。

 

価値区分

経営指標

中長期的目標

財務

成長性

既存事業コア営業利益(注1)CAGR

1桁台半ば

効率性

ROE

長期的に10%

安全性

純有利子負債/EBITDA倍率

≦2倍

安定的株主還元

配当政策

累進的配当

相対TSR(TOPIX食料品対比)(注2)

>1倍

非財務

(注3)

有限資源の

有効活用

持続可能なパーム油の調達比率(注4)

100%

水使用量(IFRS売上100万円あたり)

12.3㎥以下

流通廃棄物削減率(2015年度対比/日本国内)

△50%

気候変動

インパクトの軽減

CO₂排出削減(Scope1+2) (2018年対比)(注5)

△30%

CO₂排出削減(Scope3) (2018年対比)(注5)

△15%

(注)1 IFRS上の営業利益から、積極的な先行投資を予定する「新規事業に係る損益」および非経常損益としての

「その他収支」を控除したNon-GAAPの重要経営管理指標

   2 相対TSR(TOPIX食料品対比)は、以下の算定式に基づき算出

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A:当事業年度の3事業年度前の1月~3月における3か月間の当社株式の終値平均

B:当事業年度の1月~3月における3か月間の当社株式の終値平均

C:当事業年度を含む過去3事業年度における1株当たり配当額の累計

D:当事業年度の3事業年度前の1月~3月における3か月間のTOPIX食料品(配当込み)の終値平均

E:当事業年度の1月~3月における3か月間のTOPIX食料品(配当込み)の終値平均

   3 非財務目標については、2030年度の目標値

    4 外部認証の活用および独自アセスメントによる

    5 2023年5月にCO2排出削減の目標値をScope1+2 △42%(2020年比)、Scope3 △25%(2020年比)に

      上方修正

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは環境や社会の課題を解決しながら持続的成長を果たすため、2020年4月、「サステナビリティ委員会」を設置いたしました。委員長は代表取締役社長・CEOが務め、事務局は経営企画部、環境推進部、広報部が担い、委員会傘下には、環境、人権、広報・教育、海外、ESG評価向上をテーマにした5つのワーキンググループを設け、各グループに関係部署が参画しております。

 委員会は、グループ全体のサステナビリティ・ESG課題に関する方針策定や施策を検討し、その活動内容を、サステナビリティ委員長および取締役会へ定期的に報告しております。

 また、2021年4月には取締役会の諮問機関として「サステナビリティ・アドバイザリーボード」を設置し、当社グループに影響を及ぼすESG (環境、社会、ガバナンス) 課題について、社内経営層と社外有識者が協議する機会を年2回設けております。協議した内容はウェブサイトなどで開示し、会社の経営方針や各種施策に反映しております。

 

(2)戦略

 当社グループは、人類を「食」の楽しみや喜びで満たすことを通じて社会や地球に貢献する「EARTH FOOD CREATOR」をグループ理念に掲げ、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指しております。当社グループが果たすべき責任、取り組むべき社会課題は、食の安全管理体制の構築や環境負荷の低減、ガバナンスの確立など幅広い領域に及んでおります。その中でも、当社グループが特に力を入れて取り組むべき重要課題=マテリアリティを、サステナビリティとウェルビーイングの2軸で設定しております。なお、その他の課題に関しては、主要なESG評価機関からの評価を各部門のKPIとして戦略を策定し、施策を実行しております。

 

① 気候変動等への対応

 近年、気候変動をはじめとする地球規模での環境問題が顕在化する中、世界中の人々の食を支えるグローバルカンパニーとして、より高いレベルでの環境対策推進を重要経営課題と位置付け、中長期成長戦略の一つとして環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」を2020年4月に策定しております。

 環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」は、地球資源を取り巻く環境の保護および資源の有効活用に挑戦する「資源有効活用へのチャレンジ (EARTH MATERIAL CHALLENGE)」と、当社グループの事業活動全般におけるCO2排出量削減に挑戦する「気候変動問題へのチャレンジ (GREEN FOOD CHALLENGE)」の2つを柱としております。

 「EARTH MATERIAL CHALLENGE」では「地球にやさしい調達」「地球資源の節約」「ごみの無い地球」の3つを、「GREEN FOOD CHALLENGE」では「グリーンな電力で作る」「グリーンな食材で作る」「グリーンな包材で届ける」の3つを活動テーマに据えております。

 また、特に気候変動問題を、重要な経営リスクの1つとして位置付けております。原材料価格の高騰や製造工場の被害、消費者の購買活動の変化など、当社グループの事業は、気候変動によってさまざまな影響を受けるためであります。当社グループでは、2019年度に事業活動に気候変動が及ぼす影響を把握するために、プロジェクトチームを立ち上げ、TCFD (気候関連財務情報開示タスクフォース) 提言を踏まえたシナリオ分析・インパクト評価を実施いたしました。分析には、IPCC (気候変動に関する政府間パネル) の温暖化の進行に関するシナリオ (RCP:代表的濃度経路) ※と社会経済に関するシナリオ (SSP:共通社会経済経路) を用い、TCFDが求める2℃シナリオを含む複数の異なる条件下で分析いたしました。結果の概要は以下となります。

 

※RCP2.6 (1986~2005年を基準としておおよそ1℃前後の上昇)、RCP6.0 (おおよそ2℃前後の上昇)、

 RCP8.5 (おおよそ4℃前後の上昇)の3つシナリオを活用

 

 主なリスクによる事業への影響度とその対応策

 

主なリスク

想定される事業への影響

主な対応策

 (財務影響軽減策)

移行

リスク

炭素税・国境炭素税などの規制

SBT目標WB2℃(世界の気温上昇を産業革命前より2℃を十分に下回る水準)に向け、取り組まなかった場合の影響額は2030年3,747百万円/年、2050年7,323百万円/年となった。SBT目標WB2℃を達成した場合の影響額は2030年2,623百万円/年、2050年1,465百万円/年となる。

製造工場への省エネ設備やシステムの導入、再生可能エネルギーの導入拡大、環境に配慮した製品の販売

物理

リスク

水リスク

洪水:リスクが高いと見られる製造拠点は国内4拠点、海外1拠点

製造工場などにおける水リスクの多角的な分析調査

高潮:リスクが高いと見られる製造拠点は国内4拠点

干ばつ:評価時点と比較して、2055年および2090年までにリスクが増大すると判明した拠点は南米と欧州の拠点

水ストレス:国内で4拠点、海外で7拠点

水の再利用などをはじめとした製造工場における効率的な水の使用

原材料調達先の変遷

小麦:オーストラリアにおける小麦の2000年比面積単位収穫量はRCP2.6およびRCP6.0で増加、アメリカ、カナダは変化なし

植物代替肉や培養肉などの開発、植物代替肉や培養肉などを利用した製品の開発、持続可能なパーム油の調達

大豆:2000年比面積単位収穫量は、RCP2.6では増加傾向、RCP6.0とRCP8.5では減少傾向

エビ・イカ:RCP2.6では大きな変化はなし、RCP8.5では漁獲量が減少

パーム油:RCP2.6では収穫量減少の懸念あり、RCP8.5では収穫量減少

 ※分析結果の詳細は当社グループのサステナビリティサイトで公開しております。

 (https://www.nissin.com/jp/sustainability/)

 

 また、2050年までにCO2排出量と吸収量を“プラスマイナスゼロ”にする「カーボンニュートラル」を2022年11月に宣言しております。

 

② 非財務価値の定量化

 当社グループが重点的に取り組むESG活動が企業価値にどのような効果があるのか、ESGと企業価値との関係性の分析にも取り組んでおります。その一つが、企業価値を表す指標の一つPBRとの関係性の分析であります。ESG活動が何年後のPBRに効果をもたらすかを、学術的に信頼度の高い手法を使い分析いたしました。結果、CO2排出量の削減を行うと8年後に1.0%PBRが向上するなど、当社グループが重点的に取り組んでいるESG活動と企業価値向上との間に相関関係があることを定量的に確認することができております。

 またESG指標同士の相関性を分析し、各ESGの取り組みがどのような経路を辿り企業価値の向上に繋がるのか、ストーリーの形で明らかにいたしました。例えば、エネルギー投入量に対する施策を行うことでCO2排出量は削減され、CO2排出量を削減したことで、自社が保有しているメディアで発信する機会が増加し、地域や社会におけるブランド価値向上につながります。次にブランド価値が上がると消費者の購買が増え売上が伸び、最終的には、当社グループが経営指標として上げるEPSとPERが成長・拡大しシェアホルダー価値につながってまいります。引き続きこうした分析に挑戦し、ESG活動と企業価値の関係性を明らかにしていきたいと考えております。

 

 

(ア)俯瞰型分析

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(イ)価値関連性分析

 

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③ コミュニティ投資

 当社グループは、日清食品の創業者である安藤百福が創設した「公益財団法人安藤スポーツ・食文化振興財団」の理念「食とスポーツは健康を支える両輪である」に賛同し、子どもたちの健全な心身の育成のためのスポーツ振興事業と食文化の向上に貢献する事業活動をサポートしております。同財団の活動は、全国小学生陸上競技交流大会等のスポーツ支援、自然体験活動の企画コンテストやロングトレイルの普及・振興事業、独創的な基礎研究・食品開発・ベンチャーを対象にした表彰事業等の食文化振興事業、体験型食育ミュージアム「安藤百福発明記念館」運営の4つの事業活動が柱となっております。当社グループは、2021年度より、同財団とともに、食科学の発展に寄与する研究に取り組む大学院生を支援する給付型奨学金「日清食品・安藤百福 Scholarship」を設立し、返済義務のない奨学金の給付をスタートさせております。2022年度は大学院生100名に年100万円の奨学金を給付しております。

 

 

④ 人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針

(ア) 人材に対する考え方について

 「企業在人・成業在天」

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 この言葉は、創業者の安藤百福が2007年に社員に向けて年頭のメッセージとして記したものであります。

 「企業は人である。人に対する評価がそのまま企業の評価につながる。また成業とは、大衆の声が天に通じたときに、はじめて大きな評価として返ってくるものだ。」という意味が込められております。この言葉にも象徴されるように、かねてより当社グループは人材を企業価値の源泉として捉えてまいりました。

 また、創業者は「私は日清食品を一つの人生大学というようなものにしたいと考えている。仕事を通じて、また職場の人間関係を通じて、真の人間らしさを学んでいただく場としたい。」という言葉も残しており、我々日清食品グループは社員が仕事と職場環境を通じて人間として成長できる機会を提供することを使命だと考えております。

 

(イ) 組織人材ポリシー(人材育成方針)

 創業者が世界初の即席めんである“チキンラーメン”、世界初のカップめんである“カップヌードル”を、さらに宇宙でも食べられる世界初の即席めんである“スペース・ラム”を生涯かけて創造したように、当社グループでは常に新しい食の文化を創造し続ける「EARTH FOOD CREATOR(食文化創造集団)」であることをグループのビジョンとしております。そのためには、多様な彩りや専門性を持った社員が互いに尊重し合い、グループのミッション・ビジョン・バリューに共感し、当社グループの一員として仕事を楽しみ、働きがいを感じながら活躍できる状態を目指しております。また自らが希望するキャリアを実現し、仕事を通して生涯成長できるよう様々な機会を提供することで、当社グループの持続的な成長を図ってまいります。

 

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(ウ)社内環境整備

a. ハングリーで自律的なキャリア形成

 当社グループは、社員が自らハングリーな気持ちで学び、希望するキャリアを実現することを奨励しております。

 

イ. 社内大学NISSIN ACADEMY

 社員のチャレンジを後押しするために、2020年にスキルやリーダーシップ等を学ぶ場として社内大学NISSIN ACADEMYを設立いたしました。部門独自の専門的スキルを学ぶ講座、汎用的なビジネススキルを学ぶ講座、リーダーとして必要な資質やスキルを学ぶ講座など多数取り揃えており、意欲があればスキルアップできる機会を充実させております。

 

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ロ. 社員のチャレンジとキャリア実現を支援する制度

 よりチャレンジングな目標を設定し達成した社員に報いられるよう、2021年には人事制度を改定いたしました。一人一人の社員が日々の仕事の中で成長を実感できるように、上司とメンバーとの1on1ミーティングや成長実感会議(半期に一度、部門の管理職が集い、社員一人一人の成長度や今後のキャリアを議論する人材レビュー会議)といった仕組みも取り入れております。また、「意欲ある人が良い仕事をする」という信念のもと、公募制度を活性化させており、多くの社員が自らの意思で希望するキャリアに就いて活躍しております。今後は社員の多様化する就業観に応えるべく、キャリアコースの選択肢を増やし、個々の職務に応じた処遇を設定することで、適所適材を実現してまいります。

 

ハ. 経営者人材育成

 当社グループが持続的に成長するために、経営者人材を育成することは最重要課題の一つと捉えております。主要ポストを設定し、当該ポストに必要なスキル・経験を定義づけ、後継者候補一人一人に対してジョブローテーションを含む育成計画を策定し、年に一度、CEOと部門長による面談で育成の進捗を確認しております。また、経営者に必要なマインドセットや知識・スキルを習得する研修プログラム「経営者アカデミー」を継続的に実施しております。

 経営者人材の育成にはできるだけ早い時期からマネジメント経験を積むことが重要だと考えております。そのため、組織をSBC(Strategic Business Cell)と呼ばれる小チームに分け、より多くの社員が早期にSBCリーダーとしてマネジメント経験を積めるようにしております。また、公募制度を活用し、非管理職の若年層でも自ら手を挙げ、管理職ポストにチャレンジし、活躍している社員も多くおります。

 

b. 当社グループのバリューへの共感

 世界中で活躍する全社員が一体感を持って仕事をするため、また、全ての活動の拠り所として日清食品のミッション・ビジョン・バリューと行動指針である日清10則の浸透に力を入れております。

 年に7、8回開催する朝礼でトップメッセージを発信したり、入社時や周年イベントとして理念研修を実施したり、チーム単位で創業者精神やビジョン等をディスカッションする職場ミーティングを年2回実施したりと、あらゆるタッチポイントで啓発を行っております。

 

 “NISSIN CREATORS AWARD”の実施

 当社のミッション・ビジョン・バリューを体現した創造的な仕事を表彰する“NISSIN CREATORS AWARD”を年に1回実施しております。世界各地の事業会社・多様な職種から多数のエントリーがあり、役員による審査とともに従業員投票を実施することで全社員参加型のイベントとしております。表彰候補案件に対し、功績が生み出されたプロセスを動画配信することで、受賞者の行動や想いを伝えております。この取り組みを通して、「EARTH FOOD CREATOR(食文化創造集団)」としてのスピリットを伝承していくとともに、社員同士が様々な創造的な仕事を理解し合い、称え合い、高め合う文化の醸成へと繋げていきたいと考えております。

 

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c. 多様性の尊重

 当社グループは、創造的かつ変化適応力の高い組織であり続けるために、多様な強み・ 専門性を持った人材の採用、起用を積極的に進めております。

 また、「日清食品グループ人権方針」では人種、民族、国籍、宗教、信条、出身地、 性別、性的指向、性自認、年齢、障がい等に基づく差別及びハラスメントの禁止を明示しており、多様な属性や価値観を持つ社員を尊重し、活躍できる職場を目指しております。

 

イ. ダイバーシティ委員会の活動

 2015年には社内有志メンバーによる「ダイバーシティ委員会」を設け、人事部と両輪となり、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを推進しております。意欲ある社員がハンズアップし、社内のコミュニケーション活性化や属性ごとの課題解決のためのENG(Employee Networking Groups)を発足し、様々なイベントや勉強会を実施することでインクルーシブな組織風土を醸成しております。会社も社員の自発的な活動を応援しており、メンバーとして活動に参加している社員には就業時間中の5~10%を当活動に充てることを公式に認めております。

 

ロ. 女性活躍推進

 ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの中でも女性活躍推進を経営の優先課題として捉え、育児と両立しながら働きやすい就業制度や社内の意識改革に力を入れてまいりました。その結果として国内中核企業において「プラチナくるみん(2019年認定)」、「準なでしこ(2019年、2020年認定)」に選定されております。現状は男性社員の育児参加を促すための啓発活動も実施しております。

 働きやすさに加え、重要なポジションで女性の活躍を増やしていけるよう、2025年度末の女性管理職比率10%(※1)を数値目標として掲げております。また、経団連が推進する「2030年30%へのチャレンジ(※2)」に賛同し、女性の人材プールの拡充と育成を推進しております。目標を達成するため、各部門での数値目標の設定、役員自らが育成にコミットするスポンサープログラムの実施、上司がダイバーシティ環境下でのマネジメント方法を学ぶ研修プログラムの実施、女性自身のリーダーシップ開発をする研修プログラムの実施、ダイバーシティ委員会主導での女性同士のネットワーキングの形成など多方面で推進しております。

 

 ※1 数値は国内中核企業(日清食品ホールディングス㈱、日清食品㈱、日清食品チルド㈱、日清食品

    冷凍㈱)の目標値。なお国内中核企業における比率は、グループ会社への出向者を含めた日清食

    品原籍の社員の集計値を指す。

 ※2 2030年までに役員に占める女性比率を30%以上にすることを目指した経団連の取り組み

 

(3)リスク管理

 当社グループでは、取締役会の管理下に「総合リスク対策委員会」を設置し、リスクの管理状況を把握し、企業価値の毀損を回避するよう努めております。各年度に1度、事業会社社長および各チーフオフィサーによるリスク評価報告を基に、発生可能性と影響度の2軸で構成されるリスクマップにて各リスクを4段階のステージに分けて評価し、管理方針を定めて管理状況を取締役会に報告しております。また環境・安全リスクに対応する組織をサステナビリティ委員会のもとに設置しており、環境面等における重大事故が発生した際は、マニュアルに従って直ちに対応し、事態の収拾と解決にあたります。

 リスクの抽出・評価アプローチおよび特定したリスクの管理方法について、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。

 

 

(4)指標及び目標

① EARTH FOOD CHALLENGE 2030

 当社グループは2020年4月に策定した環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」の中で、気候変動問題に対する取り組みや資源の有効活用に関する目標を定めております。

 

 環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」実績

2030年に向けた環境目標

目標値

直近実績

有効資源活用へのチャレンジ

持続可能なパーム油の調達比率

100%

37.7% (※1)

水使用量…IFRS売上収益100万円あたり

12.3㎥/百万円

10.5㎥/百万 (※1)

廃棄物再資源化率…日本国内

99.5%

99.8% (※1)

販売・流通領域における廃棄物削減

…2015年度対比/日本国内

△50.0%

△47.1% (※2)

気候変動問題へのチャレンジ

CO2排出削減率:Scope1+2

…2018年対比/国内外(※3)

△30.0%

△4.0% (※1)

CO2排出削減率:Scope3

…2018年対比/国内外(※3)

△15.0%

0.4% (※1)

※1 2022年実績

※2 2021年度実績

※3 2023年5月にCO2排出削減の目標値をScope1+2 △42%(2020年比)、Scope3 △25%(2020年比)に

   上方修正

 

 なお、販売・流通領域における廃棄物削減の一つとして、フードロス対策を実施しております。支援団体への寄贈実績は以下となっております。

フードバンク寄贈実績

寄贈食数

2020年度

2021年度

2022年度

70,276

344,698

683,674

 

② 人材育成方針及び社内環境整備の方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績

 組織のありたい姿を実現するためのマイルストンとして、指標ごとに下図の通り目標値を設定しております。年度ごとにモニタリングしながら人事施策に活かしてまいります。

 

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 ※1~4 社員エンゲージメント調査のポジティブ回答比率を目標値としている

      MVVはミッション・ビジョン・バリューを指す

      ①は国内中核企業(日清食品ホールディングス㈱、日清食品㈱、日清食品チルド㈱、日清食品

      冷凍㈱)の2022年度の実績値

      ②は海外含む主要事業会社の数値。海外事業会社のエンゲージメント調査は隔年実施のため数値は

      2021年度の実績値

   ※5 国内中核企業における比率は、グループ会社への出向者を含めた日清食品原籍の社員の集計値を

      指す

 

 

3【事業等のリスク】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものであります。

 

(1) リスクの定義及び管理体制

 当社グループ(以下「当社」という。)では、リスクを組織の収益や損益に影響を与える不確実性と定義しています。リスクにはプラス影響とマイナス影響の両面があり、環境変化の中で組織が行う事業・投資により発生するプラス・マイナス影響は機会、インシデントが与えるマイナス影響はリスクと区分しております。機会については、投融資委員会、経営会議、取締役会で判断され、リスクについては「総合リスク対策委員会」で管理されます。

 当社では、代表取締役副社長・COOを委員長とする「総合リスク対策委員会」を設置し、「日清食品グループリスク管理規程」に基づき、日清食品グループに係る種々のリスクの予防・発見・管理及び対応を行っております。特に、商品事故、BCP(事業継続計画)、コンプライアンス、情報セキュリティをグループの重点リスクと位置付け、「委員会」を設置し対応を行っております。また、環境・安全リスクに対応する組織を、サステナビリティ委員会のもとに設置しており、環境面等における重大事故が発生したときは、マニュアルに従って直ちに対応し、事態の収拾、解決にあたっております。

 リスク管理体制においては、3ラインモデルを確立し管理・運用しております。第1ディフェンスラインは、各事業部門(国内外関連会社含む)で、各事業部門が所管するリスクオーナーとしてコントロールを行っております。第2ディフェンスラインは、総合リスク対策委員会をはじめとする間接部門で、第1ディフェンスラインのリスク管理状況をモニタリングし、必要な支援・助言・監督を行っております。そして、第3ディフェンスラインは、内部監査部で、組織上独立性を有し、客観的にリスク管理状況を監査し、助言を行っております。

 

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(2) 総合リスク対策委員会の具体的な活動

 総合リスク対策委員会はリスクを一元的に俯瞰し、各主管部門のリスクを洗い出し、リスク事象を予防する仕組みの構築を指示しています。日清食品グループに甚大な影響を及ぼすリスク事象が発生した場合は「グループ重大事案対策本部」を設置し、速やかにリスク事象に対処し、再発防止の対策をたてます。また各年度に1度、事業会社社長および各チーフオフィサーによるリスク評価報告を基に、発生可能性と影響度の2軸で構成されるリスクマップにて各リスクを4段階のステージに分けて評価し、管理方針を定めて管理状況を取締役会に報告しています。

 

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(3) 投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 

① 製造物責任

 当社は、食品メーカーとして、お客様に安全・安心な食品を提供していくことを使命と考え、厳密な品質管理基

準を設け生産を行っています。製造工場の取り組みとして、工場への異物混入を防ぐために、社員が生産エリアに入る前に、毛髪や体毛の落下を防止する専用ユニフォームを着用し、非接触による自動検温、粘着ローラー掛け、手洗い、エアドライ、アルコール消毒、シューズクリーン、エアシャワーという段階を踏むなどの衛生管理の徹底や、高性能X線検査機の導入により、アルミニウム片等の異物検査を強化しています。また、製品が品質基準を満たしているかを確認するため、微生物検査やフライ油の酸価および過酸化物価検査、外観検査、重量検査を実施しています。さらに、製品に使われる原材料の自動トレースができるよう、ロットナンバー、製造年月日、納入業者などの原材料情報を管理して、トレーサビリティ、品質管理カメラ、生体認証設備により、問題が発生した場合に原因を究明できる体制を整えています。また、万が一、製造物責任を問われるような事態が発生した場合に備え、製造物責任賠償保険に加入しております。しかしながら、製造物責任上の事故が発生し、損害賠償請求や製品回収を余儀なくされるような事態が発生した場合、すべての賠償額を保険でカバーできる保証はなく、社会的評価や企業イメージの低下は、当社製品に対する消費者の購買意欲を減退させ、当社の財政状態及び業績に影響を及ぼすおそれがあります。

 

② 食品の安全・安心

 当社は、「人々の健康と安全を優先した製品およびサービスの創造開発に努める」「製品およびサービスは消費者の身体・財産を傷つけるものであってはならず、その品質に起因する問題には、誠実・迅速に対応して解決を図る」ことを行動規範に掲げています。これを実現するため、グローバル食品安全研究所を中心とした独自の品質保証体制を築き上げ、原材料の安全性及び各工場での品質管理体制の強化を図っております。研究所では、原材料に対して、農薬や動物用医薬品、重金属などの危害物質や放射性物質を分析するほか、遺伝子組み換え農産物やアレルギー物質のコンタミネーションの有無、最終製品の栄養成分などを確認しています。また、各工場の製造管理状態を「食品安全管理」「有害生物対策」「製造規範」「メンテナンス (機器の定期検査)」「清掃活動」の5カテゴリーで評価する日清食品 食品安全監査基準 (NISFOS) に基づいて監査し、そこで抽出された課題に対する改善策を提案しています。しかしながら、将来において当社の想定を超える食品の安全性に関する問題が発生した場合、又は当社製品に直接関係がない場合であっても、風評等により当社製品のイメージが低下するなどの事態が発生した場合、当社の財政状態及び業績に影響を及ぼすおそれがあります。特に、情報がグローバルに拡散される時代において、海外で発生した食品安全問題も国内に大きな影響を及ぼすおそれがあり、中国の日清 (上海) 食品安全研究開発有限公司では、2006年から日本のグローバル食品安全研究所と同様の分析を実施し、中国および日本向けの原材料に対する品質保証に取り組んでいます。

③ 災害・事故

 当社は、国内外に多数の事業所や工場を有しており、当該地域における大規模な地震や台風などによる風水害、その他の自然災害の発生に対して、事業継続計画(BCP)を策定の上、BCP委員会を設置し、定期的な見直しをしております。また新型コロナウイルス感染症についても、当社は従業員の安全確保と製品の安定供給を社会的責務と考え、オンライン会議の活用などによる在宅勤務環境を整備し、柔軟な勤務体制(ハイブリッドワーク)を構築するとともに工場では高度な衛生基準に基づく生産体制のもと迅速かつ適切な対策を講じております。しかしながら、大規模な地震や洪水などの自然災害や、重篤な感染症(新型コロナウイルス感染症等)のまん延等により、当社の営業拠点や工場が被災もしくは罹患者の増加などの商品供給体制に支障をきたす事象が生じた場合には、当社の財政状態、業績等に影響を及ぼすおそれがあります。このようなリスクを可能な限り回避するため、当社は、BCPに従い、被害状況に応じて災害対策本部を速やかに立ち上げ、社員の生命を守りながら、食品企業の使命として商品供給を第一に考えて、生産・供給体制を維持できる体制をとっております。

 

 

④ コンプライアンス

 当社は、世界の各拠点で事業を展開しており、その中で各国の法令や企業倫理等の社会的規範に抵触することで、刑事罰、行政処分、損害賠償責任等の法的責任の追及や、社会的制裁を受ける懸念があります。こうした事象が発生した場合、当社に対する信頼やブランド価値を低下させる可能性があります。これらのリスクに対して、取締役・CSO 兼 常務執行役員を委員長とする「コンプライアンス委員会」を原則四半期に一度開催し、内部通報窓口への相談・通報の傾向や発生事例の共有、予防策ならびに再発防止策の検討等を実施しています。また、法務部コンプライアンスグループを中心に組成するコンプライアンス委員会事務局および各社・各部署に配置する「コンプライアンス推進責任者」が、実務者として諸課題・諸事案への対応にあたっております。

 

⑤ 情報セキュリティ

 当社は、生産、販売、管理等の情報をコンピュータを利用した情報システムにより管理しています。これらの情報システムの運用は、構成する機器の故障・不具合や、社外からの電子的攻撃に対して、システム停止や外部への社内情報の漏洩が生じないよう万全の対策を講じています。しかしながら、当社の想定を超えた全世界的な大規模障害や、未知の技術による不正アクセスなどにより、システム障害や外部への社内情報の流出が発生した場合、当社の財政状態及び業績に影響を及ぼすおそれがあります。このようなリスクを可能な限り回避するため、全社的なセキュリティ戦略の策定、有事におけるインシデント対応、平時における教育・啓発等を主導する体制として、2023年3月にグループITガバナンス部を新設し、その下部組織に「サイバーセキュリティ戦略室」、「ITガバナンス室」を設置し、当社グループのITガバナンスを強化し、リスクの低減を図っております。

 

⑥ 環境

 当社は、気候変動やそれに起因する自然災害により、原材料価格の高騰、製造工場の被災、カーボンプライシング制度の導入や人々の行動様式の変容など、さまざまな影響を受ける可能性があります。そのため、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)提言に則ったシナリオ分析を進め、リスクおよび機会となる要因について科学的根拠をもとに業績に及ぼす影響を引き続き分析・評価しており、将来の不確実性に応じた戦略立案を進めております。そのような中で、当社は2020年4月に2030年までの環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」を策定し、気候変動に対する取り組みや資源の有効活用に関する目標を定めております。なかでも、CO2排出量の削減を重要課題と位置付けており、世界で議論されている「今後の平均気温の上昇を1.5℃に抑える」といった水準を意識した目標(スコープ1と2の合計排出量を2020年総量比42%削減、スコープ3では同25%削減。)を掲げております。さらに2021年2月、事業活動で使用する電力の再生可能エネルギー100%調達を目指す国際イニシアチブRE100(Renewable Energy 100%)に参画し、「2030年度までに国内外の事業活動で利用する電力の60%を再生可能エネルギーで調達する」「2050年度までに国内外の事業活動で利用する電力を100%再生可能エネルギーで調達する」ことを掲げ、国内外の製造工場を中心に電力の再生可能エネルギーへの切替えを進めており、規制対応リスクの軽減を図っております。

 

⑦ ブランド価値毀損

 「チキンラーメン」、「カップヌードル」をはじめとする日本国内における当社の主力製品は、その技術力と商品力により永年に渡りお客様に親しまれてまいりました。しかしながら、即席めん市場では毎年多くの新製品が投入されており、また、今後他社による画期的な技術革新や若年層を中心に価値観の変化が起きることで当社製品のブランド価値を低下させるおそれがあります。そのようなリスクを考慮し、当社の主力製品は、現状維持ではなく常に進化と革新を続け、ニーズの変化への対応や新しい顧客層の取り込みを行い、持続的なブランド価値の向上に努めております。また、海外においてもカップヌードルのグローバルブランディング戦略を中心に、主要地域ごとの市場環境や生活者の価値観の違いを捉えたブランド価値を高めるマーケティング活動をしております。

 

⑧ 有価証券の公正価値下落

 当社は、配当・キャピタルゲインの獲得以外に、経営戦略上、取引先との良好な関係を構築し、効率的・安定的な取引や業務提携等により事業の円滑な推進を図ることで中長期的な企業価値の向上を実現する観点から、必要と判断する株式などの有価証券を保有することがあります。当社が保有する有価証券は、将来の市況の悪化による公正価値下落や投資先の業績不振等により減損処理が必要となる場合があり、当社の財政状態及び業績に影響を及ぼすおそれがあります。

 

 

⑨ 固定資産の減損

 当社は、事業の用に供するさまざまな固定資産を有しております。それらの固定資産から生み出される将来の収益性によっては減損処理が必要となる可能性があり、当社の財政状態及び業績に影響を及ぼすおそれがあります。このようなリスクを低減するために、投融資委員会において社内基準に基づき経済合理性を十分に吟味し、投資判断を行っている他、実行後も投資効果について継続的にモニタリングを実施しております。

 

⑩ 為替変動

 当社は、グローバルに事業を展開しております。当社の主要な為替リスクとして為替相場の変動による外貨建て仕入値の高騰がありますが、為替予約をおこなうなど為替リスクを低減するための措置をとっております。また各海外地域において所在地国の通貨で作成された財務諸表は、連結財務諸表作成のために機能通貨である円に換算されており、為替相場の変動により当社の財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 人材

 国内においては生産年齢人口の減少や、コロナ禍後の働き方の変容により、優秀な人材とりわけグローバルな事業領域拡大に応じた人材を適切に確保・育成することが課題となっており、企業経営や主要事業に影響を及ぼすおそれがあります。当社では、多様な人材を受け入れ、個々の能力を存分に発揮できる職場環境の実現に向け、「ダイバーシティ委員会」を設置し、継続的な取り組みを行っているほか、障がい者の雇用を促進するために2013年に「日清食品ビジネスサポートプラス」を設立するなど、人材の確保に努めております。また、働き方改革の一環としてスマートワークプロジェクトに取り組み、より柔軟で生産性の高い働き方が実現できるよう、コアタイムのないフレックスタイム制の導入やテレワークの拡充など制度の整備とIT環境の整備を進め、残業時間の低減や有給取得率の向上にもつなげております。さらに、日清食品㈱では、2023年5月にマルチステークホルダー方針を策定し、Job型人事制度の導入、適切な方法による賃金の引上げ、福利厚生や働き方の選択肢の充実等を含めた総合的な労働条件の向上、従業員エンゲージメントの向上や人材育成の拡充等を通して、人材への取り組みを強化しております。

 

⑫ 原材料価格の変動

 当社製品の主要原材料は、小麦粉・パーム油などの農産物及び包材に使用する石油製品であり、その価格は市場の状況により変動いたします。これらの原産国で政情不安や国際紛争の発生、地球温暖化に伴う天候不順による農作物の不作など、原材料価格の高騰要因が、従来より増加しており、原材料価格が高騰した場合、当社の業績に影響を及ぼすおそれがあります。これらの課題に対するため、市況情報を常に把握し適切なタイミングで購入することや、原材料の産地や購買先を分散化することで価格高騰リスクを低減するなど、安定供給体制の強化に努めております。さらに各国で生産している戦略商品であるカップヌードルの原材料について、日清食品ホールディングス主導で共同調達を行い、安定供給とコストダウンを実現しております。しかしながら、気候変動や環境規制強化による供給の減少、国際的な需要拡大に伴う調達競争の激化、想定を超える原油価格の高騰、地政学的リスクなどの事象が長期化した場合には、原材料価格の高騰や、輸入先・輸入ルートの変更等による調達価格の上昇が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼすおそれがあります。当社では、国際情勢・市況情報など原材料調達に係る情報を常に把握し、変化に素早く対応できる体制を構築し、安定的に調達できるよう供給体制の強化に努めてまいります。

 

⑬ 物流

 物流業界におけるドライバー人材不足、倉庫内作業者不足の問題など、今後は市場供給力が停滞するおそれがあります。これに対して、「ホワイト物流」推進運動の趣旨に賛同し、自主行動宣言を行い、得意先のご協力のもとでのリードタイムの延長、パレットなどの活用、トラック予約受付システムの導入、荷主側の施設面の改善、物流の改善提案と協力などを行っております。また、複数企業との共同輸送や共同保管の取り組み、モーダルシフトの推進など、引き続き持続可能な物流体制にむけ活動してまいります。

 

 

⑭ 特定の取引先への依存

 当社は、製品の販売及び一部原材料の仕入において、特定の取引先に大きく依存しております。販売において、一部の会社につきましては特定の取引先に依存しておりますが、信用力の極めて高い大手取引先に取引を集中させることで、与信管理の省力化及び信用リスクの低減を図ることが可能なためであります。また、一部原材料の仕入についても特定の取引先に依存しているのは、これらの原材料を効率的に、かつ安定的に調達することが可能であるためであります。取引先に対する与信管理は適切に実施しているものの、これらの取引先の経営状態が悪化した場合は、当社は売掛金の回収が困難となったり、また、原材料の供給が断たれた場合には生産活動が停止することにより、当社の財政状態及び業績に影響を及ぼすおそれがあります。

 

⑮ 海外カントリーリスク

 当社は、海外においても、現地生産・現地販売を基本スタンスに即席めんをはじめとする食品を製造しています。これらの進出国において政情不安や国際紛争が発生した場合には従業員の安全を最優先に対応する方針ですが、このほかにも食品の安全性を脅かす事態や各国での法的規制により生産が困難になる場合、それらの子会社又は当社の財政状態及び業績に影響を及ぼすおそれがあります。これらの課題に対応するため、日清食品ホールディングスに専門性を有するプラットフォームを設置し、各海外現地法人のサポートに努める体制を構築しております。

 

⑯ 人口動態

 日本国内では、現在、少子高齢化が急速に進んでおり、当社の主たる購買層である若年ユーザー層の減少が続いており、即席めん市場は、近年の新型コロナウイルス感染症による需要増を除くと、長期的には横ばい傾向にあります。このような状況の中、当社では、シニア層・若年層・女性層など各ターゲット層に対応したきめ細かな製品開発により、新たな喫食機会や価値の創出を図り、顧客層の維持・拡大に努めております。一方で海外においては、若年層は増加しボリュームゾーンとなっているため積極的に若者へのアプローチを強化する製品開発・コミュニケーション活動を展開しております。このように国内と海外主要地域における様々な人口動態の変化に柔軟に対応しながら、グローバルでの顧客の継続的な拡大に取り組んでおります。

 

⑰ 顧客ニーズの多様化

 食における顧客ニーズの多様化が進む中、オーバーカロリーによる肥満や生活習慣病などの健康の問題が世界中で拡大しています。さらには、間違ったダイエット方法などによる隠れ栄養失調、シニアの食欲低下に伴う栄養摂取不足などによるフレイルなどの新たな社会課題にも直面しております。

 当社は、即席めん事業で培った独自のフードテクノロジーを駆使することで「見た目やおいしさはそのままに、カロリーや塩分、糖質、脂質などがコントロールされ、必要な栄養素のバランスを整えた食」を開発し、事業展開しております。この新規事業を中長期成長戦略の3つの成長戦略テーマの一つに掲げ、新たなビジネスモデルの創造を推進していくことで、社会課題の解決に努めてまいります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

    文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものであります。

 

  (1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響長期化に加え、地政学的リスクの高まり・インフレや政策金利の引き上げ・金融不安の拡大などの要因により、大きな影響を受けました。国内においても、約32年ぶりの円安水準や資源価格の高騰に伴う消費者物価指数の上昇など、先行きが不透明な状況が継続し、消費者の動向にも変化が生じています。

 かかる環境下、即席めん業界においては、原材料価格の高騰を中心とした不安定要因があったものの、新型コロナウイルス感染症の期間を通じて生じた生活様式・働き方の変化と相まって、インフレ的な環境下においても、即席めんの簡便性・利便性や相対的な価格の手頃感、そしてタイムパフォーマンスに優れている点などの商品価値が世界的に評価され、多くの地域で需要が増加し、世界総需要は過去最高となりました。

 こうした中で、当社グループは、2030年に向けた「中長期成長戦略2030」で掲げたビジョンの実現と持続的成長に向け、成長戦略テーマである①既存事業のキャッシュ創出力強化、②EARTH FOOD CHALLENGE 2030、③新規事業の推進に取り組んでおります。

 

a. 財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ249億50百万円増加し、7,083億74百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ15億91百万円増加し、2,404億24百万円となりました。

 当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末に比べ233億59百万円増加し、4,679億49百万円となりました。

 なお、詳細につきましては「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載しております。

 

b. 経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、売上収益では前期比17.5%増の6,692億48百万円となりました。利益面では、既存事業コア営業利益(注1)は前期比21.5%増の601億92百万円、営業利益は前期比19.4%増の556億36百万円、税引前利益は前期比17.8%増の579億50百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比26.4%増の447億60百万円となりました。

 また、為替変動による影響を除くと、売上収益では前期比10.9%増の6,316億62百万円、既存事業コア営業利益は前期比13.1%増の560億68百万円となりました。(注2)

 なお、詳細につきましては「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載しております。

 

(注1)既存事業コア営業利益とは、営業利益から新規事業にかかる損益および非経常損益としての「その他収支」

を控除したものであり、中長期成長戦略上、2022年3月期以降、積極的かつ継続的な先行投資を予定する新規

事業にかかる損益を分離し、その成長投資の基盤となる既存事業の実質的な成長を測定することを目的に採用

している指標であります。

(注2)2023年3月期の外貨金額を、前期の為替レートで円換算して比較しております。

 

     <連結業績>

 

 

 

(単位:百万円)

区分

前連結会計年度

当連結会計年度

前期比

自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

金額

売上収益

569,722

669,248

99,526

17.5

既存事業コア営業利益

49,559

60,192

10,633

21.5

営業利益

46,614

55,636

9,022

19.4

税引前利益

49,182

57,950

8,767

17.8

親会社の所有者に

帰属する当期利益

35,412

44,760

9,347

26.4

 

   報告セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、従来、「調整額」に含めて記載していた「新規事業」について、「その他」に含めて記載する方法に変更しております。

 以下の前期比較は前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

  (日清食品)

 日清食品㈱の販売状況は、カップめん類、袋めん類が売上を伸ばし、前期比で増収となりました。カップめん類では、2023年2月に発売した鶏のうまみをしっかりときかせた“コク旨”な鶏塩スープの「カップヌードル ねぎ塩」が大きく売上に貢献しました。また、「カップヌードル」のおいしさはそのままに塩分を30%カットするとともに、1日分のカルシウムとビタミンDを配合した2023年3月新発売の「カップヌードル 塩分控えめPRO 1日分のカルシウム&ビタミンD」をはじめ、「カップヌードルPRO」シリーズが順調に推移し、前期比で増収となりました。袋めん類では、2022年7月に発売を再開した“そのままかじる用”に新開発された「0秒チキンラーメン」、2022年9月にリニューアルした「日清これ絶対うまいやつ♪」シリーズ、おかずに、おやつに、お夜食にちょうどいい「お椀で食べる」シリーズが好調に推移し、前期比で増収となりました。カップライス類は、「日清カレーメシ」シリーズが引き続き好調で売上に貢献し増収となりました。

 利益面では、売上の増加による利益の増加がありましたが、原材料価格の上昇等により減益となりました。

 この結果、報告セグメントにおける日清食品の売上収益は、前期比4.5%増の2,202億4百万円、コア営業利益(注3)は、前期比13.2%減の265億54百万円、営業利益は、前期比13.1%減の267億95百万円となりました。

 

  (明星食品)

明星食品㈱の販売状況は、“全麺改良”をテーマに主要ブランドからプレミアム商品、バリュー商品まで商品価値向上を推進し、前期比で増収となりました。

カップめん類では、「明星 濃いぜ!一平ちゃんBIG」が貢献したほか、麺にねり込むソース量を増量し、香ばしさをアップした「明星 一平ちゃん夜店の焼そば」が好調でした。また、“アレンジして楽しめる一杯”として2022年9月に新発売した「でっせ」シリーズや、2022年7月にリニューアルした「明星 至極の一杯」シリーズなどバリュー商品も好調で、前期比で増収となりました。

袋めん類では、ホッとする味わいを訴求した「明星 チャルメラ」が、幅広い層から支持を得ている“ちいかわ”とのコラボパッケージの好評もあり売上を伸ばし、前期比で増収となりました。

利益面では売上の増加による利益の増加がありましたが原材料価格の上昇等により前期比で減益となりました

この結果、報告セグメントにおける明星食品の売上収益は、前期比6.8%増の405億11百万円、コア営業利益(注3)は、前期比3.9%減の23億13百万円、営業利益は、前期比2.9%減の23億73百万円となりました。

 

  (低温・飲料事業)

チルド事業は、「麺の達人」や「スープの達人」が伸長したほか、「日清焼うどん」や冷しめん類等が堅調に推移しました。一方、市場環境の変化等によりラーメン群全体では販売減となり前期比で減収となりました。利益面では、エネルギー費・原材料費の高騰により前期比で減益となりました。

冷凍事業は、ラーメン類では「冷凍 日清ごくり。」、「冷凍 日清本麺」、パスタ類では「冷凍 日清スパ王プレミアム」の各シリーズの売上が堅調に推移し、前期比で増収となりました。利益面では、原価率の上昇により前期比で減益となりました。

飲料事業は、日清ヨーク㈱の「ピルクル400」シリーズや「十勝のむヨーグルト」シリーズが好調に推移、更に2022年9月に発売した“睡眠の質を改善し、疲労感を軽減する”「ピルクル ミラクルケア」がプラスオンとなり、前期比で増収となりました。利益面では、エネルギー費・原材料費の高騰がありましたが、増収により吸収し、前期比で増益となりました。

この結果、報告セグメントにおける低温・飲料事業の売上収益は、前期比7.4%増の868億38百万円、コア営業利益(注3)は、前期比20.0%増の39億23百万円、営業利益は、前期比12.9%増の38億90百万円となりました。

 

  (菓子事業)

 菓子事業では、日清シスコ㈱は菓子の販売が堅調に推移したものの、シリアルの販売の伸び悩みや原材料高騰等により、前期比で減収減益となりました。ぼんち㈱は「ピーナツあげ」や「辛子明太子大型揚せん」をはじめとした主力商品が好調に推移しましたが、原材料高騰等の影響により、前期比で増収減益となりました。また、㈱湖池屋においては高付加価値戦略を着実に推進するとともに、主力商品の「湖池屋ポテトチップス」シリーズやリニューアルをした「スコーン」を中心に販売が拡大し、前期比で増収となりました。利益面では、海外における急激な原材料高騰等がありましたが、国内において順次実施している価格改定が奏功し、前期比で増益となりました。

 この結果、報告セグメントにおける菓子事業の売上収益は、前期比7.3%増の740億57百万円、コア営業利益(注3)は、前期比10.1%減の28億40百万円、営業利益は、前期比15.0%減の27億68百万円となりました。

 

  (米州地域)

 米州地域においては、既存商品の収益力向上に加え、新たな需要の創造に向けた付加価値商品の提案強化や導入推進に取り組んでおります。

 売上については、インフレや資材価格高騰等に伴い価格改定を実施し、価格浸透を図りつつ各国の戦略を着実に実行しております。ブラジルでは積極的な営業・マーケティング施策の連動により主力商品「Nissin Lamen」や「CUP NOODLES」の堅調な売上に加え、新商品「U.F.O.」の販売開始も売上増に貢献しました。米国においても、引き続き高い即席めん需要が続く中、価格改定の実施・浸透や差別優位性を明確にした付加価値商品の販売好調に加え、普及価格帯商品の堅調な推移により、セグメント全体で増収となりました。

 利益については、主要原材料の高騰がありましたが、価格改定による販売単価増の増収効果、高価格帯商品の販売食数増、為替影響等によりセグメント全体で増益となりました。

 この結果、報告セグメントにおける米州地域の売上収益は、前期比60.4%増の1,400億42百万円、コア営業利益(注3)は、前期比324.2%増の124億97百万円、営業利益は、前期比316.7%増の124億83百万円となりました。

 なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は、前期比31.1%増の1,145億29百万円となり、コア営業利益は、前期比247.0%増の102億23百万円となりました。(注4)

 

  (中国地域)

 中国地域においては、中国大陸での高付加価値商品市場が拡大しており、販売エリア拡大と中国版カップヌードル「合味道」のブランド強化に取り組んでおります。売上については、即席めんの価格改定影響により前期比で増収となりました。利益については、原材料費の上昇を売上増により吸収し、前期比で増益となりました。なお、対円での現地通貨高についても、売上、利益ともにポジティブな影響となりました

 この結果、報告セグメントにおける中国地域の売上収益は、前期比19.2%増の661億28百万円、コア営業利益(注3)は、前期比27.5%増の78億36百万円、営業利益は、前期比39.4%増の84億21百万円となりました。

 なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は、前期比3.5%増の574億2百万円となり、コア営業利益は、前期比11.2%増の68億35百万円となりました。(注4)

 

 また、報告セグメントに含まれない事業セグメントである国内のその他事業並びに欧州地域、アジア地域、新規事業を含んだ「その他」の売上収益は、前期比46.5%増の414億64百万円となり、コア営業利益(注3)は、前期比62.4%増の56億25百万円、営業利益は、前期比71.8%増の53億32百万円となりました。

 なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は、前期比34.6%増の381億19百万円となり、コア営業利益は、前期比37.9%増の47億77百万円となりました。(注4)

 

(注3)コア営業利益とは、営業利益から非経常損益としての「その他収支」を控除したものであります。

(注4)2023年3月期の外貨金額を、前期の為替レートで円換算して比較しております。

 

     <報告セグメントの売上収益及びセグメント利益>

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

報告セグメント

売上収益

前期比

セグメント利益

前期比

2022年3月期

2023年3月期

2022年3月期

2023年3月期

日清食品

210,783

220,204

9,421

30,839

26,795

△4,043

明星食品

37,920

40,511

2,590

2,445

2,373

△71

低温・飲料事業

80,867

86,838

5,971

3,444

3,890

445

菓子事業

69,031

74,057

5,026

3,257

2,768

△488

米州地域

87,328

140,042

52,713

2,995

12,483

9,487

中国地域

55,478

66,128

10,650

6,039

8,421

2,382

そ の 他

28,312

41,464

13,152

3,103

5,332

2,229

合  計

569,722

669,248

99,526

52,124

62,065

9,940

(注)セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、資金という。)は、873億88百万円となり、前連結会計年度末に比べ146億17百万円の減少となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 

 

(単位:百万円)

区分

前連結会計年度

当連結会計年度

前期比

自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

営業活動によるキャッシュ・フロー

52,936

64,809

11,873

投資活動によるキャッシュ・フロー

△3,468

△32,057

△28,588

財務活動によるキャッシュ・フロー

△44,449

△47,676

△3,226

現金及び現金同等物に係る換算差額

6,692

306

△6,386

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

11,711

△14,617

△26,328

現金及び現金同等物の期首残高

90,294

102,005

11,711

現金及び現金同等物の期末残高

102,005

87,388

△14,617

 

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金の増加は648億9百万円(前期比118億73百万円の資金の増加)となりました。これは主に税引前利益579億50百万円、減価償却費291億98百万円に対して、法人所得税の支払額が131億58百万円、運転資金等の増加が76億44百万円となったことによるものであります。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金の減少は320億57百万円(前期比285億88百万円の資金の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が252億79百万円、投資の取得による支出が105億54百万円となったことによるものであります。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の減少は476億76百万円(前期比32億26百万円の資金の減少)となりました。これは主に配当金の支払額が127億33百万円、自己株式の取得による支出が98億12百万円、長期借入金の返済による支出が86億75百万円、連結範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出が82億53百万円となったことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

 前期比(%)

 

日清食品(百万円)

159,879

13.8

 

明星食品(百万円)

28,844

8.5

 

低温・飲料事業(百万円)

49,955

8.9

 

菓子事業(百万円)

78,589

11.9

 

米州地域(百万円)

101,982

53.4

 

中国地域(百万円)

43,795

17.9

 

報告セグメント計(百万円)

463,047

19.7

 

その他(百万円)

26,875

43.8

合計(百万円)

489,922

20.8

 (注)1 米州地域が大きく増加したのは、好調な製品販売及び製造コストの上昇等に伴う増加のほか、為替変動の影響を受けたものであります。

    2 セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

b. 受注実績

 重要な受注生産は行っておりませんので、記載を省略しております。

 

c. 販売実績

    当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

 前期比(%)

 

日清食品(百万円)

220,204

4.5

 

明星食品(百万円)

40,511

6.8

 

低温・飲料事業(百万円)

86,838

7.4

 

菓子事業(百万円)

74,057

7.3

 

米州地域(百万円)

140,042

60.4

 

中国地域(百万円)

66,128

19.2

 

報告セグメント計(百万円)

627,783

16.0

 

その他(百万円)

41,464

46.5

合計(百万円)

669,248

17.5

 

 (注)1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

 相手先

 前連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

 当連結会計年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

三菱食品㈱

75,589

13.3

81,654

12.2

2 米州地域が大きく増加したのは、価格改定及び高付加価値製品の販売が好調であることに加えて、為替変動の影響を受けたものであります。

3 セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

  (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計方針 5.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績

 当連結会計年度の売上収益は、前期比17.5%増の6,692億48百万円となりました。

 国内即席めん事業においては、価格改定の影響により増収となりました。

 国内非即席めん事業においては、高付加価値製品が好調に推移していることに加えて価格改定の影響もあり、増収となりました。

 海外事業においては、価格改定による販売単価増や高付加価値商品の販売強化のほか、為替変動もポジティブな影響をもたらしたことで各地域において増収となりました。

 

 

 当連結会計年度の既存事業コア営業利益は、前期比21.5%増の601億92百万円となり、また当連結会計年度の営業利益は、前期比19.4%増の556億36百万円となりました。

 国内即席めん事業においては、価格改定による増収効果がありましたが、原材料・包材・エネルギーコスト上昇の影響により減益となりました。

 国内非即席めん事業においては、日清ヨーク㈱や㈱湖池屋が貢献し、増益となりました。

 海外においては、資材価格高騰の影響を価格改定、高付加価値製品の販売増により吸収し、さらにPremier Foods plcに対する株式投資について当連結会計年度より持分法を適用していることもあり、増益となりました。

 

 当連結会計年度の税引前利益は、前期比17.8%増の579億50百万円となり、また当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期比26.4%増の447億60百万円となりました。これらは主に、営業利益の増加によるものであります。

 

 なお、当社グループの経営に影響を与える主な要因は、「第2[事業の状況]3[事業等のリスク]」に記載しております。

 

b. 資本の財源及び資金の流動性

(キャッシュ・フローの状況)

 キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

(資金の需要と調達)

 営業活動により獲得したキャッシュ・フローは、企業価値向上に資する各種投資および配当を中心とする株主還元に優先的に配分を行っておりますが、一時的に資金が不足する場合には、必要に応じて、金融機関からの調達および保有資産の売却等によりキャッシュ・フローの確保を行っております。

 

 

(資金の流動性)

 当社グループは、従来より営業活動により安定したキャッシュ・フローを得ており、今後も引き続き資金源になると見込んでいることに加え、主要な国内金融機関に対して、アンコミットメントベースの融資枠を設定しております。また、当社及び主要な国内連結子会社における余剰資金の一元管理を図り、資金効率の向上と金融費用の削減を目的として、CMS(キャッシュマネジメントシステム)を導入しております。

 

c. 財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ249億50百万円増加し、7,083億74百万円となりました。

 これは主に非流動資産のその他の金融資産が340億85百万円、現金及び現金同等物が146億17百万円減少した一方、持分法で会計処理されている投資が435億32百万円、営業債権及びその他の債権が118億83百万円、棚卸資産が95億49百万円、有形固定資産が53億32百万円増加したことによるものであります。

 

 負債は、前連結会計年度末に比べ15億91百万円増加し、2,404億24百万円となりました。これは主に非流動負債の借入金が84億円、繰延税金負債が49億28百万円減少した一方、営業債務及びその他の債務が170億95百万円増加したことによるものであります。

 

 資本は、前連結会計年度末に比べ233億59百万円増加し、4,679億49百万円となりました。これは主にその他の資本の構成要素が112億18百万円、資本剰余金が62億77百万円減少した一方、利益剰余金が398億65百万円増加したことによるものであります。

 これらの結果、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の59.6%から60.8%となり、1.1ポイント増加しました。

 

d. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、2030年に向けた「中長期成長戦略2030」を策定いたしました。

 ビジョンの実現と持続的成長に向け、成長戦略テーマである①既存事業のキャッシュ創出力強化、②EARTH FOOD CHALLENGE 2030、③新規事業の推進に取り組んでおります。

 「中長期成長戦略2030」では、持続的な利益成長に加え、効率的な資本活用、安全性ある負債活用、そして安定的な株主還元の4つをCSV経営上の中長期的経済価値ターゲットとして掲げ、非財務目標との同時実現を追求してまいります。「中長期成長戦略2030」の2022年度の実績数値は下表のとおりです。

 

価値区分

経営指標

中長期的目標

2023年3月期実績

(※直近実績)

財務

成長性

既存事業コア営業利益(注1)

CAGR

1桁台半ば

19.9%

効率性

ROE

長期的に10%

10.7%

安全性

純有利子負債/EBITDA倍率

≦2倍

△0.4倍

安定的株主還元

配当政策

累進的配当

1株当たり140円

(2022年3月期:130円)

相対TSR(TOPIX食料品対比)(注2)

>1倍

1.13倍

非財務

(注3)

有限資源の

有効活用

持続可能なパーム油の調達比率(注4)

100%

37.7%

(注6)

水使用量(IFRS売上100万円あたり)

12.3㎥以下

10.5㎥

(注6)

流通廃棄物削減率(2015年度対比/日本国内)

△50%

△47.1%

(注7)

気候変動

インパクトの

軽減

CO₂排出削減(Scope1+2) (2018年対比)(注5)

△30%

△4.0%

(注6)

CO₂排出削減(Scope3)(2018年対比)(注5)

△15%

0.4%

(注6)

(注)1 IFRS上の営業利益から、積極的な先行投資を予定する「新規事業に係る損益」および非経

     常損益としての「その他収支」を控除したNon-GAAPの重要経営管理指標

   2 相対TSR(TOPIX食料品対比)は、以下の算定式に基づき算出

      0102010_026.jpg

A:当事業年度の3事業年度前の1月~3月における3か月間の当社株式の終値平均

B:当事業年度の1月~3月における3か月間の当社株式の終値平均

C:当事業年度を含む過去3事業年度における1株当たり配当額の累計

D:当事業年度の3事業年度前の1月~3月における3か月間のTOPIX食料品(配当 込み)の終値平均

E:当事業年度の1月~3月における3か月間のTOPIX食料品(配当込み)の終値平均

   3 非財務目標については、2030年度の目標値

   4 外部認証の活用および独自アセスメントによる

   5 2023年5月にCO₂排出削減の目標値をScope1+2 △42%(2020年対比)、Scope3 △25%

     (2020年対比)に上方修正

   6 2022年実績

   7 2021年度実績

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 (Premier Foods plcの株式追加取得に係わる売買契約締結)

  当社グループは、当社グループの投資先であるPremier Foods plcの株式3.9%をOasis Investments II Master Fund Ltd.より取得する売買契約を2022年5月24日に締結し、株式取得の完了後、Premier Foods plcは当社グループの持分法適用関連会社となっております。また当連結会計年度において同社の株式を追加取得したことにより、所有持分比率は25.0%となっております。

 

  当社グループとPremier Foods plcは、2016年3月に業務・資本提携関係を開始しております。当社グループが欧州地域で製造・販売する即席めんをPremier Foods plcの販売網を活用して拡販しているほか、Premier Foods plcが有するBatchelorsブランドの即席めんの共同開発やOEM供給を行うなど、さまざまな形で協働関係を構築しております。今回のPremier Foods plcの株式追加取得は、これまでの取り組みをさらに強化し、当社グループとPremier Foods社双方の企業価値の向上を図ることを目的としております。

6【研究開発活動】

(1)日清食品

 「EARTH FOOD CREATOR」というグループ理念に基づき、即席めんを中心とした製品開発、健康と栄養に関する基礎・応用研究及び環境保全対策の研究を行っております。即席めんでは、「カップヌードル」の美味しさはそのままに塩分を30%カットするとともに、1日分のカルシウムとビタミンDを配合した「カップヌードル塩分控えめPRO 1日分のカルシウム&ビタミンD」を発売いたしました。

 健康関連では、見た目や美味しさはそのままに、カロリーや塩分、糖質、脂質、たんぱく質などがコントロールされ、日本人の食事摂取基準で設定された33種類の栄養素をバランスよくすべて接種できる「完全メシ」ブランドの開発を進めております。また、将来的な食糧危機や地球温暖化解決の一助と期待される代替肉の開発や「培養肉」の研究(東京大学と共同研究)、パーム油を代替する酵母生産油脂の研究にも取り組んでおります。

 グローバルイノベーション研究センターでは、この他にも菓子類の開発や、製品開発を支える取り組みとして、本格的な美味しさを低コストで実現するために調味料や天然香料の研究開発を行っております。今後も新しい技術開発を進め、お客様のニーズに迅速に応えるべく付加価値の高い製品開発を行ってまいります。

 

(2)明星食品

 コーポレートスローガンの「おいしさ、キラリ☆」に加えて、「からだ、キラリ☆」、「地球、キラリ☆」を意識した研究開発活動を行っております。即席めんを主軸とする商品開発に加え、CSV経営のさらなる推進を目指し、健康増進、環境保全対策への取り組みのための研究開発を進めております。

 お客様のニーズへの対応と明星食品ブランドのブラッシュアップのため、主要アイテムを「全麺改良」として幅広く商品リニューアルを行いました。2022年6月にリニューアル発売した「明星 一平ちゃん夜店の焼そば」は麺へのソース量を従来の1.3倍量練り込むことで、更なるソースの香ばしさと味わいを表現いたしました。2022年9月リニューアル発売の「明星チャルメラ しょうゆラーメン」をメインとした「明星チャルメラ 袋麺」シリーズは、ホタテだしを麺に練り込むことで、旨味とコクを強化いたしました。

 健康訴求商品として、低糖質でありながら、つるみがありおいしく食べられる麺を開発し、「明星 ロカボNOODLESおいしさプラス こってり醤油/濃厚鶏白湯/ピリ辛酸辣湯」として商品化いたしました。低糖質に加え、高タンパク質、PFCバランスもとれており、おいしさと健康を両立させた商品であります。明星食品のノンフライ麺技術を進化させることで、低糖質でありながら「つるっと食感」を実現いたしました。具材には、大豆たんぱくを主原料とした「プロテインキューブ」を開発いたしました。減塩ブランドである「明星 評判屋」シリーズは「明星 評判屋 重ねだし醤油ラーメン」をメインに、新規減塩技術にて、日本食品標準成分表2020年版(八訂)から25%減塩を実現いたしました。

 環境保全対策として、バイオマスインキの使用を推進いたしました。主力商品である「明星 一平ちゃん夜店の焼そば 大盛」の外包装カラーシュリンクフィルムなどへの採用を拡大いたしました。

 

(3)低温・飲料事業

(チルド食品)

 チルドめんならではの本格感を訴求した製品に加えて、新たなチャネル拡大、環境に配慮、多様化するニーズに対応した製品の開発にも取り組んでおります。弊社独自の「おいしさ長持ち製法」で生めんなのに常温50日保存できる製品の拡充により、冷蔵コーナー以外の通販やお土産市場での販売が可能になり取り扱いチャネルが拡大いたしました。また、食品ロスやプラスチック原料の削減の為に賞味期限延長やトレー削減を行い、糖質OFFの「もちっとロカボ麺」や減塩だれの「日清のラーメン屋さん 冷し中華」を開発しました。

 新製品では、内食化による外食品質のニーズの高まりから「食べログ百名店 博多一双」、レトロな「日清Spa王 喫茶店のナポリタン/たらこバター醤油」、各ジャンルの主力ブランド「行列のできる店のラーメン 鶏しょうゆ/クリア豚骨/鶏塩そば」、「日清の太麺焼そば 豚ニンニク醤油味」などを新発売いたしました。アレンジを楽しめる素材麺とスープパック製品「麺の達人」、「スープの達人」も拡充いたしました。

 今後も、外食品質の本格的な製品や環境に配慮した地球にやさしい製品の開発、多様化するお客様のニーズに応える新価値の創造など、新技術や新製品の研究・開発に努めてまいります。

(冷凍食品)

 冷凍食品の強みを活かした「簡単に調理できる本格的な美味しい料理」を、中華めん、パスタ、和物、米飯ジャンルからバラエティ豊かな製品の開発に取り組んでいます。中華めんでは、粘度と濃厚なスープが特徴の思わず喉を鳴らす新ブランド「冷凍 日清ごくり。」、弊社独自の、ゆでたて直後の麺のおいしさをそのまま冷凍した「生麺ゆでたて凍結製法」の「冷凍 日清本麺 ワンタン麺」を開発いたしました。

 パスタでは、「冷凍 日清もちっと生パスタ 海老のチーズクリーム/ジェノベーゼ」、「冷凍 日清スパ王プレミアム 高菜とめんたいこ/サーモンのバター醤油」、和物では、「冷凍 日清具多 旨辛チゲうどん」、若年層向けのガツンとした食べ応えの「冷凍 日清まぜ麺亭 ニンニクまぜそば/こく旨醤油の極太まぜ麺」、米飯では、名店のラーメンの味を炒飯で再現した「冷凍 日清 麺屋の炒飯 篝監修 鶏白湯炒飯/麺屋一燈監修 濃厚魚介だし炒飯」などの新メニューを開発いたしました。

 これからも、「本格的な美味しさ」と「調理の簡便化」の研究開発を続け、お客様のニーズにお応えしてまいります。

 

(飲料)

 日清ヨーク㈱においては、開発研究所が関東工場内にあるという立地を生かし、スピード感をもって新商品やリニューアル品開発を行うと共に、乳酸発酵に関する研究を行っております。開発商品群としては、発酵乳、乳製品乳酸菌飲料、乳酸菌飲料、清涼飲料があり、「みんなイキイキ!」のコーポレートスローガンのもと、主力の「十勝のむヨーグルト」、「ピルクル」ブランドの一層の強化とともに、日清ヨーク㈱のコア技術である発酵技術を生かした高付加価値製品の開発にも注力し、美味しく健康に役立つ商品の開発を行っております。

 発酵乳では、高めの血圧を下げ、一時的な精神的ストレスも緩和できる機能性表示食品「毎日のむ血圧ケアヨーグルト」を発売いたしました。「十勝のむヨーグルト」はコップ一杯 (180g) あたり乳酸菌NY1301株を400億個含んだ “腸内環境を改善” する機能性表示食品であります。「プレーン」、「ブルーベリー」、「いちご」の定番フレーバーに加えて、季節ごとに「グレープフルーツ」、「レモン」、「りんご」、「みかん」、「輝く果実味」の期間限定フレーバーを発売し、ブランドに鮮度感をもたせております。また、糖質を気にされるお客様向けの「糖質オフ」も含めてブランドとしての品揃えを充実させております。

 乳製品乳酸菌飲料では、生きたまま腸に届く乳酸菌NY1301株を600億個含み「睡眠の質を改善し日常生活の疲労感軽減」、「腸内環境改善」をヘルスクレームとした機能性表示食品「ピルクル ミラクルケア」を発売いたしました。「ピルクル」のエクステンションとして、カルシウムと8種のビタミンが摂れる栄養機能食品「ピルクル400 Ca&V」、「ピルクル まろやかはちみつ」、「爽やかピルクル マスカット」、「ピルクル The濃厚」、「フルーツリッチピルクル あまおうMIX」を発売し、細分化するお客様の嗜好や健康意識に対応した商品ラインアップを揃えることで、「ピルクル」ブランドの活性化と価値の向上に努めてまいりました。

 乳酸菌飲料では、グルコサミン塩酸塩を1,500mg (65ml×2本あたり) 配合し、手軽においしくひざのケアができる機能性表示食品「ひざアクティブ ピルクル風味」について、従来の「ひざ関節の曲げ伸ばしをサポートし、ひざの不快感を緩和する」機能に加えて、乳酸菌NY1301株400億個による「腸内環境改善」の機能を追加するリニューアルを行っております。

 

(4)菓子事業

 日清シスコ㈱は、「もっと楽しく、健やかに。」のスローガンのもと、品質的価値や健康機能的価値をもつ付加価値の高い商品開発と、既存ブランドの強化に取り組んでおります。

 「シスコーン」シリーズを全品乳成分不使用配合にして、乳アレルギーのあるお客様にも安心してお召し上がりいただけるようリニューアルいたしました。一方、農水省のプロジェクトに参加して、国内牛乳・乳製品の消費拡大や酪農家を支援する一環で、「なぞのシスコーン ひみつのバナナ味」、「まほうのシスコーン パイナピー味」、「へんしんまぜまぜシスコーン いちごミルク味」など、牛乳が苦手なお子様が、楽しみながら牛乳と一緒に食べられる期間限定品を商品化いたしました。

 「ごろグラ」シリーズでは、「糖質40%オフ彩り果実」、パッケージに紙包材を使用し、植物由来の原料で仕上げた地球にやさしく社会貢献にもなる「Plant Based 3種のナッツとオーツ麦」を商品化いたしました。

 ビスケットカテゴリーでは、本来は捨てられるはずであったものに新たな価値を付加して生まれ変わらせる「アップサイクル」をコンセプトに、年間3~6t廃棄されているというおからに着目し、食物繊維豊富なおからを活用した、からだへの配慮とフードロス削減を目指した「アップサイクルクッキー いいとこどり ベイクドチーズ味/ココア味」を商品化いたしました。1食当たりの糖質を約8.8gに抑えた一口サイズの食べやすいクッキーであります。

 チョコレート菓子カテゴリーでは、カカオを贅沢に使用したマイルドビターチョコレートの「チョコフレーク マイルドビター」、「クリスプチョコ マイルドビター」を商品化いたしました。また、日清シスコ㈱のチョコフレーク史上、最高のチョコかけ量を実現した「チョコフレーク チョコかけ200%」を商品化し、ブランドの品揃えを充実させております。

 今後もグループの研究機関と連携を図りながら、お客様にもっと笑顔で元気になっていただける、日清食品グループならではのオリジナリティーの高いシリアル及び菓子の商品開発に取り組んで参ります。

 

 ㈱湖池屋は、「湖池屋プライドポテト」、「PURE POTATO じゃがいも心地」、「湖池屋ストロング」、「The KOIKEYA」等の高付加価値ブランドを中心として、社会変化・生活変化・意識変化に対応した新市場創造型の商品開発に取り組んでおります。

 新商品として、若年層を中心に広がる主食と間食の境界線がなくなる“分食化”に対応する次世代型の個包装スナックとして、細切りの国産じゃがいもをアンチョビオリーブの濃厚ソースと一緒に絡め、丸い1枚に整えた高密度ポテトチップス「濃いじゃが アンチョビオリーブ」を発売いたしました。また、湖池屋ポテトチップス60周年を記念し、減プラスチックへつながる取り組みとして、パッケージの素材に「紙」を使用した「The KOIKEYA」シリーズにおいては、独自の技術を元に海老本来の旨みを贅沢に味わえる「KOIKEYA The海老」を発売いたしました。

 既存商品として、「スコーン」では35年目のフルモデルチェンジを実施し、時代の変化にあわせ、本格的で濃厚な味わいはそのままに、生地の食感・味付け・パッケージデザイン等を刷新してリニューアル発売いたしました。また、地域とともにテーマに取り組み、商品を通じた社会貢献を目指すプロジェクトである「JAPANプライドポテト」においては、海岸清掃活動で回収された海洋プラスチック(ポリタンク)等をリサイクルした再生樹脂を使用した「オーシャンプラスチック買い物かご」を宗像市等に設置したことをはじめ、「宗像」、「小豆島」、「今金」、「金沢」、「熊本」の各展開地域への貢献・振興に沿った企画を実施いたしました。

 企業におけるSDGs推進活動の一環として展開するアニメーション湖池屋SDGs劇場「サスとテナ」は、2021年10月より放映を開始し、2022年4月、10月にシーズン2、シーズン3を放映いたしました。シーズン3においては、SDGsと並んで世界的にも重視されているウェルビーイング(well-being)の観点からも多くのテーマを取り上げたことに加えて、新たにアニメに登場する“SDGs怪獣”を募集する等、お客様とのコミュニケーション企画を実施いたしました。

 今後も「食でくらしをゆたかに。」をテーマに、社会に貢献する食のイノベーションの実現に向けた商品・ブランド・コミュニケーションの開発を続けてまいります。

 

 

(5)食品安全や環境経営への取組み

 グローバル食品安全研究所では、食品安全に関する先進研究として新規危害物質の探索・合成・分析法や、健康影響を評価する細胞試験法などを確立してまいりました。2021年12月に開催された東京栄養サミットにおいて、食物アレルゲン推奨表示項目の一斉分析法の開発とその運用をコミットメントの一つとして発表し、製品検査への運用を目指して分析法開発を進めております。また、2023年3月の食品表示基準改正により新たに特定原材料に指定された「くるみ」のPCR検出技術を開発し、くるみを含む食品の検査方法として通知法に採用されております。

 さらに、当社グループの事業分野拡大やグローバル化に対応し、国内事業を対象に実施していた各工場と研究所による製品検査の二重管理体制、及び分析技術の精度管理試験を通じた集中管理体制について、新規事業や海外事業へも拡大しております。今後も、新規事業・海外事業での品質保証体制への支援強化を継続し、新規分析法や迅速検査法の確立によりグループ事業全体の食品安全向上に貢献してまいります。

 製品や原料の生産現場における調査・監査体制につきましては、独自に定めた「日清食品 食品安全監査基準NISFOS(Nissin’s Inspection Standards for Food Safety)」による製造環境の調査を通じて改善を図っております。2020年度に、官能検査、原料の受入れに関する詳細確認、外国人従業員の増加、食品偽装への対応を強化するためにNISFOSを改訂し、2022年にはIRCA(International Register of Certificated Auditors)より、NISFOSがISO22000規格と同等以上の監査規格であると認定されております。これを用いた監査により、今後も各工場における品質・食品安全管理を強化してまいります。

 さらに、持続性のある地球環境を維持するためのCSV経営推進のための取り組みとして、日清食品独自の環境活動検査基準RISEA(Food Safety Research Institute's Inspection Standards for Environmental Activities)による調査を通じて、グループ工場における環境関連法規への遵守状況や、省エネルギーによる温室効果ガス削減および資源3R(抑制:Reduce、再利用:Reuse、再資源化:Recycle)などに関連する環境活動を評価しながら改善を図っております。

 当社グループの環境戦略であるEARTH FOOD CHALLENGE 2030の目標達成に向け設置されたサステナビリティ委員会および同・環境ワーキンググループの事務局としての活動もその重要度を増しております。加えて、2022年11月には、森林破壊などによる自然や生物多様性の減少をプラスに回復させる「ネイチャーポジティブ (Nature Positive)」に向けた活動を推進し、2050年までにCO2の排出量と吸収量を“プラスマイナスゼロ”にする「カーボンニュートラル」の達成を目指すことを宣言いたしました。

 CO2削減、プラスチック、水資源保全、食品廃棄物など様々な環境課題に対し、データ解析など研究所としての視点と、工場や製品開発部門などの現場とも連携し、目標達成のロードマップ策定と施策を立案・実行にすることにより、当社グループのCSV経営の推進に寄与できるよう取り組んでまいります。

 グローバル食品安全研究所での上記の様々な活動により、食物アレルゲン検査法開発やリスク評価手法開発について大学や公的機関と共同研究を推進し、2022年度には学会発表5件、学術論文1報の学術的成果も創出しております。

 

 当連結会計年度の研究開発費は11,353百万円であります。

 なお、当社グループの研究開発費用は、報告セグメント別に区分することが困難であるため総額で記載しております。