第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)  経営の基本方針

  ① 社是                至誠通天

                            [至誠通天とは] 人生を送るうえで、悪いことは予告なしに突然に起こってくるが、

                      よい結果は、ある日突然にうまれてくるものではない。毎日毎日頭

                                           を打ち、すねを打ちながら精一杯前へ前へと進んでいけば、自分の

                                           誠意はいつか必ず天に通じて、よい結果がむくわれてくるものであ

                       る。

                                                      (創業社長小森敏之氏のことば)

 

  ② 経営理念             日々の活動に精一杯の真心を込め、誠意を尽くすことにより、社会に貢献します。

    ③ 経営方針・未来像     丸大食品グループは美味しさと健康を追求し、安全、安心な食品を通してお客様の

               幸せな食生活に貢献します。

    ④  スローガン          「変革」

⑤ 価値観

・私たちは、お客様に喜ばれる美味しさを創ります

 

・私たちは、夢と働きがいのある企業を創ります

 

・私たちは、時代の変化に対応し、新しい価値を創ります

 

 

⑥ 行動指針

《お客様》

安全・安心でよりよい商品づくりを追求します

 

 

お客様の健康で幸せな食生活に貢献します

 

《株主様》

企業価値の向上を目指し、経営基盤の強化と事業拡大を図ります

 

《従業員》

日々の活動を通して自己成長のできる職場をつくります

 

 

従業員とその家族の幸福を目指します

 

《社 会》

地域社会への貢献と環境保護を通じ、社会的責任を果たします

 

 

(2)  経営環境

わが国の総人口は減少局面を迎え、様々な変化が当社グループの経営環境に影響を与えております。主な当社グループを取り巻く経営環境は以下のとおりであります。

 

   ① 総人口、日本人人口、生産年齢人口の減少と少子高齢化

 ・高水準の有効求人倍率と最低賃金の引き上げ、「同一労働同一賃金」への対応。

   ② 加工食品市場の量的飽和もしくは縮小の傾向

     ・食品メーカーの「企業間競争」「価格競争」の激化。

   ③ 共働き世代の増加や生産年齢人口における女性比率の高まり

     ・生活行動や消費行動の変化。

   ④ Eコマースの拡大とドラッグストアの躍進

     ・物流コストの増加と低価格志向の定着。

   ⑤ 国内外の疫病と米中貿易摩擦、地政学的リスクの高まり

     ・畜肉等の原材料価格上昇と不安定な相場。

 

以上、当社グループの基幹事業である加工食品市場、とりわけハム・ソーセージ市場が飽和状態であることから、食品メーカーの「企業間競争」は激しさを増しております。原材料費、エネルギーコスト、物流コスト等の上昇に加え、生産年齢人口の減少による人手不足や人件費上昇も懸念されるなど厳しい経営環境が続いております。

 

 

(3)  優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループを取り巻く今後の経営環境は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限が緩和され、経済活動の平常化の動きが期待される一方で、少子高齢化や人口減少による国内市場の縮小や消費者の価値観の多様化などによる市場環境の変化、物価上昇に伴う消費者の節約志向を背景とした競合他社との価格競争が一層高まることが想定されるなど、依然として不透明な状況が続くと見込まれます。

業界としては、原材料価格やエネルギーコストの上昇が企業収益を圧迫し、消費者物価にも大きな影響を与え、消費行動や市場構造の変化への対応が求められております。また、食の安全・安心への関心の高まりに加え、気候変動や環境問題への対応、人権や労働環境などの社会問題、持続可能な調達活動など、企業が果たすべき役割や責任もますます重要になっております。

当社グループでは、こうした経営環境の変化に柔軟に対応すべく、原則として毎年改定を行うローリング方式の中期経営計画として2023年4月を起点とする三ヵ年数値計画を発表しております。この計画を実現することで真に社会的存在価値が認められる企業を目指し、「新たな顧客価値の創造」、「収益構造の改革」、「事業領域の拡大」、「人財の育成」、「持続可能な社会への貢献」という5つの基本方針のもと、持続的な成長と更なる企業価値の向上を図ってまいります。

 

(4)  中期経営戦略(中期三ヵ年経営計画)

2023年4月を起点とした中期三ヵ年経営計画(2023年4月1日~2026年3月31日)の基本方針は以下のとおりであります。 

  ① 新たな顧客価値の創造

付加価値政策である商品の差別化・コスト改善・集中化を実現するため、お客様視点による商品・価格・場所・販売促進のマーケティングミックスを行うことで魅力的な商品開発につなげます。また、品質向上への取り組みを強化するとともに、生産技術力を高め新製法、新素材を活用してまいります。

  ② 収益構造の改革

全ての部門で生産性を上げコスト競争力をつける政策を実施します。販売部門におきましては、利益データを販売時に反映して利益意識の改革を継続します。製造部門におきましては、更なる改善を進め製造原価の低減を目指し、物流コストにつきましても調査・分析・ロジスティクス改革を進めてまいります。

  ③ 事業領域の拡大

環境変化に対応するためグループ経営を更に進化させるとともに、変化する社会環境に対応した新たな商品カテゴリーの展開のために伸長市場への挑戦を行ってまいります。

  ④ 人財の育成

多様化する働き方に対応し働きがいのある企業をつくる人事制度の再構築を行い、将来を背負う人財をキャリアプランに沿って育成してまいります。

  ⑤ 持続可能な社会への貢献

企業の持続的な成長や中期的な収益も含め社会的信頼を高めるため、サステナブル経営を推進してまいります。「FSSC22000」の認証取得拡大による商品品質の向上はもとより、コーポレート・ガバナンスとリスク管理を強化させ、ESG・SDGsなどにも取り組み、社会的責任を果たしてまいります。

 

 

(5)  成長戦略

① 概要

 

新たな顧客価値の創造

A マーケティングの変革

(A) マーケティングプロセスの改革。

  ・コンサルティング活用と組織内連携強化。

(B) 価値に重点を置いた消費者視点の商品開発。

  ・各社各部門の商品ブランド育成。

  ・お客様とのコミュニケーション強化。

(C) 魅力の発信を強化。

  ・積極的なニュースリリースと戦略的な広報活動。

B 品質向上への取り組み

(A) 食品安全マネジメントシステムの認証取得推進。

(B) 新製法や新素材を活用して美味しさの追求を行う。

(C) グループ全体の品質管理体制の強化。

(D) お客様のご意見、ご指摘を活かせる仕組み作り。

 

 

収益構造の改革

C 生産拠点の再編

(A) 生産能力調整を行い、固定費を削減。

D 不採算事業の収益改善

(A) 不採算事業の収益改善。

  ・事業毎に選択と集中を進める。

(B) 不採算商品の収益改善。

  ・集約、廃止、商品の作り替え等を進める。

E 物流コストの削減

(A) 物流拠点の統合。

  ・13カ所 → 8カ所

F 業務改革

(A) デジタル活用による業務効率化。

(B) 定型業務の自動化。

(C) 製造ロス削減。

(D) 物流、購買の見直し。

 

 

事業領域の拡大

G グループ各社の業容拡大

(A) 食肉販売会社のエリア拡大。

(B) 伸長事業への資源投下による拡大。

(C) アフターコロナを見据えた事業展開。

(D) 業務食材部門の拡大。

・外食、給食、スーパーマーケットデリカ部門等への業務用食品の販売強化。

H 伸長市場への挑戦

(A) 植物性食品の販売拡大。

  ・商品開発の強化により、販売アイテムを拡充。

(B) 健康食品の販売拡大。

  ・国内、海外への展開拡大。

 

 

 

   ② カテゴリー別戦略

お客様視点に応じた品揃えや、多様化する食のシーンに対応できる新形態を創出し新しい素材や工程などの開発に取り組み、お客様に喜ばれる商品創りを目指します。また、ローコスト体質のための高い生産性を目指し、効率的な設備投資や改善活動を進めてまいります。

 

各セグメントのカテゴリー別戦略は、以下のとおりであります。

 

A 加工食品事業

 

 (A) ハム・ソーセージ部門

  〔商品政策〕

a 付加価値の向上

・新しい価値の訴求。

・お客様の声を反映した商品改良。

b 主力商品の拡販

・特色ある原材料を使用した新商品展開。

・定番商品のシリーズ展開。

c 新規取り組み商品の育成

・他メーカーとの提携。

・新規カテゴリーの創出。

 

 

  〔具体的戦略〕

・商品開発の強化。

・収益基盤の見直しとチャネル別の利益管理。

・エリア営業力の強化と業務の効率化。

・多様化したお客様のニーズに対応するためのマーケティングミックス。

・健康、栄養素材の新たな価値訴求商品の開発。

・他企業などとの協業を推進。

・新シリーズの投入によるギフト品強化。

 

 

     (B) 調理加工食品部門

  〔商品政策〕

a 伸長市場へ集中販売

・レトルト食品の拡販。

・トッピングラインの活用。

b 環境負荷低減

・プラスチック包材削減。

・フードロス対策。

c 新規領域の開拓

・植物性食品の拡販。

・調理おかず商品の導入。

 

 

  〔具体的戦略〕

・主力商品であるレトルトカレー、スンドゥブなどのスープ品目拡大。

・調理加工食品の開発による新しいメニュー提案。

・植物性食品の加工技術向上。生産能力拡大。

・コンビニエンスストア、外食関係の販路拡大。

・保存性と利便性の高い冷凍流通商品の拡充。

・ホイップ済みクリームラインの設備増強。

・健康を意識した次世代植物性代替ミート商品の拡販。

・ハム・ソーセージを具材に「焼き」「フライ」等の調理を加えた付加価値商品の拡販。

・新規事業やM&Aによるグループ会社の規模拡大・増強。

・マーケティング活動の活性化。

・フードロス、環境負荷に対応した積極的取り組み。

 

 

 

     B 食肉事業

  〔原料調達力強化〕

a 差別化原料の調達

・サプライヤーとの関係強化。

b 海外加工品の輸入

・関税引下げ、撤廃への対応。

c 外部環境変化対応

・健康志向への対応。

・環境負荷の低い原料の調達。

 

 

  〔具体的戦略〕

・バリューチェーンの構築によるオリジナルブランド商品の取扱い強化やコスト削減。

・アウトパック、スライス品の食肉加工事業強化。

・加工品の輸出入事業拡充。

・グループ会社の強化。

・外食産業向け販売の強化。

・展開エリアの拡大。

 

 

 (6) サステナビリティを巡る取り組み

    ① 人財の育成

      A 競争優位性のある組織能力の実現

          ・若手社員の育成(若手層の階層別研修の拡大。若手中堅人財の抜擢人事)。

          ・次世代幹部候補人財の育成(管理職、経営者候補選抜型研修)。

・多様な価値観・専門性を養成する人財育成の教育マネジメント強化(複線型キャリアを想定した専門職制度設計)。

      B 採用活動の多様化、競争激化による人財不足への対応

            ・働き方改革の推進。

      ・多様な働き方の選択肢提供。

       勤務地限定社員制度拡充、テレワーク、フレックスタイムの拡充。

            ・ダイバーシティ推進、女性活躍推進に向けた取り組み。

・仕事と育児の両立支援を進め、『次世代育成支援対策推進法』に基づく認定を取得(「くるみん認定」)。

      C 健康経営の強化

      ・ストレスチェック、メンタルヘルスのフォロー体制強化。

      ・少子高齢化への取り組み。

        脳機能サポート素材「プラズマローゲン」の研究開発。

 

    ② 持続可能な社会への貢献

      A ガバナンス体制の強化

            ・企業経営について客観性・透明性を高めるため、委員会を設置してガバナンス強化。

            コンプライアンス委員会(委員長は独立社外取締役)、指名報酬委員会(独立社外取締役が過半数)。

・当社グループ全従業員に対して「丸大食品グループ行動基準」の周知徹底を図り、毎月定期的にコンプライアンス教育を実施。

 

B ESG・SDGsの取り組み

    「サステナビリティ基本方針および行動指針」の策定並びに「サステナビリティ委員会」を設置。

      (A) 気候変動への適応と緩和

            ・TCFD提言への対応。

・2023年4月1日付で、「サステナビリティ委員会」の運営と推進のため、「サステナビリティ推進室」を新設。

            ・環境保全活動の推進、省エネルギー設備導入等、環境負荷低減の強化。

            ・モーダルシフトなど、物流、輸送に関わる温室効果ガス削減の取り組み強化。

       (B) 資源循環型社会への貢献

             ・包装・容器の軽量化による廃棄物削減の推進。

             ・包装・容器の3R推進(リデュース、リユース、リサイクル)。

             ・食料品廃棄物の飼料や肥料へのリサイクル促進。

             ・環境に配慮した包装・容器採用の推進。

       (C) フードロスへの取り組み

             ・食品廃棄物の削減、再利用の推進。

             ・食育活動の推進。

       (D) 貧困と飢餓への支援

             ・子ども食堂の支援(商品提供)。

             ・植物性代替ミート商品の開発(「Plant RECIPE」シリーズ)。

 

 (7)  新型コロナウイルス感染症の影響と対応

食品業界におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による制限緩和から経済活動が回復に向かっておりますが、先行きへの不安による消費者の節約志向の高まりから企業間競争が激しさを増す一方で、企業への安全・安心に対する取り組みがより一層強く求められるものと思われます。

一方で、地政学リスクの高まりによる原材料費やエネルギーコスト、物流コストなどの上昇が継続すると予想され、消費者マインドの低下や家計の節約志向が個人消費に影響を及ぼす等、依然として先行き不透明な状態が想定されます。

当社グループは、2023年4月を起点とした中期三ヵ年経営計画(2023年4月1日~2026年3月31日)に基づき、各セグメント別のカテゴリー別戦略を進めてまいりますが、ウィズコロナの下で、景気動向・個人消費への対応を適切に行うことで、社会的使命を遂行するとともに、各ステークホルダーに対する責任を果たしてまいります。

 

(8)  経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、経営環境の変化に柔軟に対応するため、原則として毎年改定を行うローリング方式の中期経営計画として三ヵ年数値計画を発表しております。計画数値をあらためて検証の上、見直しを行い、新たに2023年4月を起点とした中期三ヵ年経営計画(2023年4月1日~2026年3月31日)を策定いたしました。

計画最終年度である2026年3月期の連結業績を、売上高2,450億円、営業利益率1.4%、営業利益35億円に成長させることを目標とする経営指標といたします。

2024年3月期の連結業績につきましては、価格改定を上回る原材料やエネルギーコストの上昇などから厳しい経営環境が続いておりますが、外食産業向け等業務用商品の需要回復や、価格改定の浸透が進むと仮定し、売上高2,270億円、営業利益率0.7%、営業利益15億円を予想しております。なお、ウクライナ情勢等の長期化などが懸念されるなかで、供給面での制約や原材料価格やエネルギーコストの上昇、金融資本市場の変動等による景気下振れリスクもある等、業績見通しは、現時点で見込める影響を考慮したものであり、必要に応じて修正開示を行う可能性があります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

  当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、以下のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

ガバナンス

・「サステナビリティ基本方針」及び「サステナビリティ行動指針」のもと活動する。

・活動内容は代表取締役社長が委員長を務める「サステナビリティ委員会」を通じて定期的に進捗状況を取締役会に報告し、持続可能な成長と企業価値向上の実現に努めていく。

・2023年4月1日付で、「サステナビリティ推進室」を新設し、各事業部門・グループ会社の状況を把握しサステナビリティ活動を推進していく。

戦略

(1)気候変動

・自社工場での生産商品を対象に、TCFDが提言する気候変動のシナリオ分析と気候変動のリスクと機会を選定し、財務インパクトの評価を実施する。

・評価を踏まえ今後、自社及び環境に影響するリスクと機会について財務影響を考慮した上で対応策の優先順位を検討し、必要な予算措置を含めて対策を推進する。

(2)人的資本・多様性

・多様性を確保すべく、女性がさらに活躍できる環境の整備や支援体制の強化、リスキリングを促す教育プログラムの実施のほか、事業戦略に対応した多様な価値観・専門性を持った人財を適宜採用する。

・丸大食品グループの永続的な事業運営を継続するため、次世代経営者育成を目的とした選抜研修を実施し、後継者の安定確保を推進する。

・従業員の心身の充実を図りウェルビーイングを高めるため、柔軟性の高い勤務形態を取り入れるとともに、さらなる健康経営の推進を図り従業員の健康に対するフォロー体制の強化と快適な職場環境の構築を推進する。

 

リスク管理

・サステナビリティ推進室では、サステナビリティに関する情報のモニタリングを行い、集められた情報はサステナビリティ委員会を通じて取締役会に報告し、リスクや懸念事項については対応策の強化などPDCAを確実に推進する。

指標と目標

(1)気候変動

・2030年度 温室効果ガス排出量(スコープ1および2)2013年度比46%以上削減。

・2030年度 食品廃棄物再生利用実施率95%。

(2)人的資本・多様性

・女性管理職比率 2022年度実績4.1% → 2032年度目標10%以上。

 

 

 

 [サステナビリティの取り組み]

当社グループは、G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)によって設立されたTCFD(気候変動関連財務情報開示タスクフォース)提言のフレームワークに基づいて分析と開示をしてまいります。

2022年5月から11月までの間で、経営戦略室を事務局とする部門横断プロジェクト(※)で気候変動シナリオ分析を行いました。分析は加工食品事業、食肉事業において気候変動で受ける影響の大きい自社工場での生産商品を対象とし、気候変動に伴うリスクと機会の重要性を評価しました。また、中期2030年、長期2050年として、今回は2030年の将来を対象に1.5℃シナリオと4℃シナリオを作成し、その内容について影響を評価しました。

  (※)参加部門:経営戦略、総務、マーケティング、営業、生産、設備、資材、原料、ロジスティクス

 

 

(1)1.5℃シナリオ、4℃シナリオに基づく将来の世界観

    シナリオとしては、以下のとおり2つのシナリオを想定しました。

2030年 1.5℃シナリオ(SSP1-1.9)

2030年 4℃シナリオ(SSP5-8.5)

温室効果ガス削減に積極的に取り組み、炭素税導入など規制の強化への対応費用や温室効果ガス削減の対応費用が上昇する。一方、植物性食品などの開発が進むことで市場に評価され機会がうまれる。

温室効果ガス削減の政策がだされるが対策が進まず、対応の為の費用は抑えられるが、気候変動の進展とともに原料価格の高騰、自然災害による浸水被害のリスクが高まる。

 

 

(2)気候変動リスク・機会及び影響度評価

  「(1)1.5℃シナリオ、4℃シナリオに基づく将来の世界観」に記載の1.5℃シナリオ、4℃シナリオのそれぞれについて、部門横断プロジェクトにおいてリスクと機会の発生可能性と影響度の観点から重要度の評価を大・中・小の3段階で行いました。その結果、以下のとおりの項目が抽出されました。

項 目

内   容

インパクト

1.5℃

4℃

移行リスク

環境規制対応のためのコストの増加。

炭素税導入による原材料調達コストの増加。

炭素税導入によるエネルギーコストの増加。

消費者の嗜好の変化への対応の遅れによる売上減少。

気候変動対応への遅れが資金調達やサプライヤーの商品選択へ悪影響。

物理リスク

気温上昇による原料価格高騰等コストの増加。

自然災害がもたらす浸水被害や物流遅延により操業に影響。

機会

低炭素への対応のため物流効率化によるコスト削減。

気候変動への対応により社会的評価が高まり資金調達が安定。

植物性代替ミート商品や長期保存商品、低カーボンフットプリント製品開発による新たな市場の創出。

 

 

(3)温室効果ガス排出削減のための取り組み内容

  以下の項目に取り組んでおります。

項 目

内   容

環境負担軽減

プラスチック包材削減。

フードロスへの取り組み。

環境負荷の低い原材料の調達。

Fun to Shareへの賛同。

クールビズ&ウォームビズの実施。

店頭資材など環境への配慮。

コージェネレーションシステムの導入。

モーダルシフトへの取り組み。

北海道の環境保全活動。

丸大里山の森づくり活動(大阪府や高槻市などとアドプトフォレスト制度を締結)。

「丸大那須の森」里山活動(栃木県那須町の所有地での里山づくり)。

「丸大みよしの森」緑化活動(広島県三次市の所有地での植林活動)。

市場拡大

植物性食品の開発。

長期保存商品の開発。

 

 

 

(4)「サステナビリティ基本方針および行動指針」の策定並びに「サステナビリティ委員会」「サステナビリティ推進室」設置

社会や環境に配慮した事業活動を通じて持続可能な社会の発展に貢献していくため、2021年12月20日「サステナビリティ基本方針および行動指針」の策定並びに、持続可能な社会の実現に向けた取り組みをさらに推進するため、「サステナビリティ委員会」を設置いたしました。

当社グループでは、気候変動対策をはじめとするサステナビリティへの取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を認識し、サステナビリティ委員会において「サステナビリティ行動計画」を策定・実行することにより持続可能な成長と企業価値向上を実現してまいります。

2023年4月1日付で、「サステナビリティ委員会」の運営と推進のため、「サステナビリティ推進室」を新設いたしました。

 

私たち丸大食品グループには、「日々の活動に精一杯の真心を込め、誠意を尽くすことにより、社会に貢献します」という経営理念があり、世代を超えて今に受け継がれています。この経営理念のもと、「食を通じて社会に貢献する企業」であり続けるために、美味しさと健康を追求し、安全、安心な食品を通して、お客様の幸せな食生活に貢献してまいります。

 

〔丸大食品グループ サステナビリティ基本方針〕

私たちは、地球環境や社会問題の解決を人類共通の課題と認識し、「わんぱくでもいい。たくましく育ってほしい。」の想いを子供たちの未来に願い、社会や環境に配慮した事業活動を通じて、持続可能な社会の発展に貢献してまいります。

 

〔丸大食品グループ サステナビリティ行動指針〕

1.私たちは、すべての事業活動において、法令や社内規程などを遵守し、誠実で透明性の高いコンプライアンス経営に努めます。

2.私たちは、原料調達・製造・物流・販売などのすべての事業活動において環境負荷の低減に努め、エネルギー使用量やCO排出量の削減に取り組み、環境や社会に配慮した商品の提供を行います。

3.私たちは、安全で安心な商品を提供し、すべての人が健康で豊かな生活を送れる社会の実現に努めます。

4.私たちは、すべての従業員が働きやすい環境を整備し、一人ひとりの個性を尊重することで、ワークライフバランスの実現に努めます。

5.私たちは、「人財育成」に取り組み、すべての従業員へ人権やコンプライアンスについて教育を行い、グループ全体の意識向上に努めます。

6.私たちは、社会貢献活動を通じて、ステークホルダーのみなさまとのコミュニケーションを図ることで、より広い視野での事業活動を推進します。

7.私たちは、丸大食品グループにおけるESG情報を積極的に開示します。

 

(5)その他サステナビリティについての取り組み

  以下の項目に取り組んでおります。

 

〔食育活動〕

 『健全な心と体は正しい食生活から。丸大食品では食に関する様々な活動を通じて社会に貢献していきます。』

・食育推進活動を積極的に実施(食育イベントへの参加や講習、お料理教室など)。

・「よりよい食生活」をテーマとした社会貢献活動。

・情報発信(ホームページ、行政と連携した情報発信)。

・子ども食堂への食材支援。

 

 

  〔コミュニケーション〕

   『丸大食品はスポーツや社会貢献活動を通じて、お客様とのコミュニケーションを積極的に図っていきます。』

・「未来のわんぱくアスリート」の育成活動として各種スポーツ教室を実施(バレーボール教室、かけっこ教室、サッカー大会等)。

・環境美化活動(事業所周辺の清掃活動への参加等)。

 

 

  〔キャリア教育〕

   『次世代を担う学生に教育の機会を提供するため、積極的に出前授業や企業訪問を受け入れています。』

・一部の教育機関(中・高・大)と連携し、キャリア教育の授業、講義を実施。

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 財務面のリスク

 

      リスク内容

          主要な取り組み

減損リスク

・単体の固定資産の減損リスク

 6期連続の営業赤字で減損兆候あり

・子会社等の事業計画未達

・不動産や有価証券などの資産の時

  価変動リスク

・十分な将来キャッシュ・フロー向上施策の構築と実行。

 

・事業計画の達成状況を親会社としてモニタリング。

・遊休資産の活用と売却。

得意先の経営破綻リスク

・予期せぬ得意先の経営破綻

・情報収集、与信管理、債権保全等。

市況変動のリスク

・畜産物による疫病の発生

・セーフガード発動による仕入数量の

  制限や仕入価格の上昇懸念

・国際的な需給の変化

・原油価格変動による影響

・原材料調達ルートの分散化などによる安定的な原材料の

  確保。

・高付加価値商品の開発等への取り組み。

為替変動のリスク

・諸外国の現地通貨に対する為替相場

  の変動

・一部円建てでの輸入取引を行うとともに、外貨建ての輸

 入取引は、先物外国為替契約を利用し、リスクを軽減。

感染症・自然災害リスク

・新型ウイルス等による感染症の拡大
・地震、台風等自然災害の影響による

 事業停滞

・予防や拡大防止に対して適切な管理体制を構築。

・自然災害に対する被害・損害を最小限にするための防災、

  減災、危機管理体制のさらなる構築。

退職給付債務のリスク

・年金資産の時価の変動や、運用利回

  り、割引率等の退職給付債務算定に

 用いる前提に変更があった場合

・当社は企業年金のアセットオーナーとして、企業年金基

 金に適切な人財を配置し、運用状況の適宜モニタリング

 を実施。

・確定給付企業年金制度の一部を、確定拠出年金制度に移

 行(2016年度)し、リスクを軽減。

 

 

 

 

(2) 重要性(マテリアリティ)項目

 

      リスク内容

    サステナビリティについての主要な取り組み

安全・安心の確保

・社会全般にわたる品質問題など予測

  が困難な事故や社会的混乱の発生

・風評被害による影響

・品質クレーム等による社会的信頼の

  低下

・HACCPシステムをベースとした食品安全に関する国際規格である「FSSC22000」の認証取得を拡大。

・品質保証部門による厳しい品質管理体制を構築。

・品質不良・不具合の発生防止を含め、安全性確保と品質向上に向けて一層の取り組み強化。

法的規制への対応

・法的規制が変更された場合に伴う事

  業活動の制限

・食品衛生法、JAS法、食品表示法等の「食の安全・安心」に関する法規制や環境・リサイクル関連法規など、各種法的規制の適用。

・法務部門と関連部門の連携による関連諸法規の遵守に向けた体制強化。

生活者のライフスタイルの変化

・生活者のライフスタイルの変化、価

  値観の多様化への対応遅れによる成

  長機会の損失

・食を通じた市場ニーズへの迅速な新商品投入戦略の対応強化。

・お客様目線にたった製品・サービスの提供や適切な情報開示の実践。

持続可能な原材料調達

・サプライチェーンの各段階における

 社会・環境問題への対応の遅れ

・気候変動や地政学的リスク

・安定した原材料調達に向けたサプライヤーとの連携強化。

・人権デュー・ディリジェンスによる重要原材料の責任ある調達体制の構築。

・関係法令等の遵守、公正な取引・商慣習の推進。

・サプライヤーとの持続可能な相互発展を目指した事業活動の推進。

フードロスの低減

・食資源の枯渇

・食品廃棄物の削減の対応遅れによる

 社会的信頼の低下

・製造過程における廃棄物ロスに貢献する製造方法の改善・改良。

・保存性向上による製品廃棄ロス、不良返品の削減。

気候変動への適応と緩和

 ・温室効果ガス排出削減への対応遅れ

   による生産コストの上昇
 ・地球温暖化への対応遅れによる社会

   的信頼の低下

・製品ライフサイクル全体でのカーボンニュートラルに向けた長期的な取り組み。

・TCFDに対応した情報開示の取り組み。

・省エネルギー推進による環境負荷低減。

・省エネ設備の導入など、生産に関わるエネルギー削減の取り組み強化。

・モーダルシフトなど、物流、輸送に関わる温室効果ガス削減の取り組み強化。

資源循環型社会実現への貢献

 ・廃棄物削減への対応遅れによる生産

  コストの上昇
 ・環境に配慮した包装資材への転換遅

   れによる社会的信頼の低下

・包装・容器の軽量化による廃棄物削減の取り組みの推進。

・包装・容器の3R推進(リデュース、リユース、リサイクル)。

・食料品廃棄物の飼料や肥料へのリサイクル促進。

・環境に配慮した包装・容器採用の推進。

水資源の保全

 ・渇水・洪水・水質悪化による生産停

   滞

・生産工場における排水処理施設の保全。

・森づくり活動による環境保全推進。

多様な人財の活躍

・競争優位性のある組織能力の実現

・採用活動の多様化、競争激化による

  人財不足・コストの上昇
 

・多様な価値観・専門性を養成する人財育成の教育マネジメント強化。

・働き方改革の推進。

・ダイバーシティ推進、女性活躍推進に向けた取り組み。

・仕事と育児の両立支援を進め、『次世代育成支援対策推進法』に基づく認定を取得(「くるみん認定」)。

ガバナンスの強化

・脆弱なガバナンス体制による企業経

  営を脅かすリスクの増大
・リスク管理体制の対応遅れによる事

  業継続への影響

・金融危機、貿易摩擦等の不安定な政

 治・経済・社会情勢による組織運営

 への混乱や事業採算性低下

・デジタル技術革新に対応できないこ

  とによる競争力低下

・脆弱なITマネジメント体制による

 競争力低下

・知的財産リスクによる事業への影響

・当社グループ全従業員への「丸大食品グループ行動基準」の教育・浸透。

・コーポレート・ガバナンス体制の強化として、危機管理委員会、企業倫理委員会、コンプライアンス委員会、指名報酬委員会の設置。

・丸大ホットライン(内部通報制度)の整備。

 

・基幹システムを最大限活用した迅速な経営の意思決定や業務効率化の推進。

・IT管理運用規程の制定による情報セキュリティの強化。

 

・知的財産リスクマネジメント。

健康経営の強化

・健康管理体制の対応遅れによる社会

  的信頼の低下

・健康経営に向けた取り組み強化。

・ストレスチェック、メンタルヘルスのフォロー体制強化。

・少子高齢化への取り組み(脳機能サポート素材「プラズマローゲン」の研究開発、健康に配慮した商品の供給(「だしのちからでおいしさそのまま」)。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症への警戒が続くなかで、感染防止と経済活動の両立を目指し、まん延防止等重点措置等の行動制限もなかったことに加え、各種政策等の効果もあり、個人消費など緩やかに持ち直しの動きが続きました。しかしながら、世界的な金融引締め等が続くなか、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなるほか、物価上昇や供給面での制約、金融資本市場の変動など、景気の先行きは予断を許さない状況となっております。

 

当業界におきましては、外食需要に回復の動きが見られるものの、ウクライナ情勢等による不透明感に加え、急激な円安進行も加わり原材料やエネルギーなどの製造コストが上昇するなかで、食料品や日用品をはじめとする生活必需品の相次ぐ値上げなどは家計に大きな影響を与え、消費者の節約志向が一層高まるなど、厳しい環境が続いております。食肉相場におきましては、国産牛肉は、物価高の影響などにより需要が減少したことなどから、前年を下回って推移しております。米国産牛肉・豚肉の現地相場は総じて前年を下回って推移しておりますが、為替相場の影響で輸入価格は高値で推移しております。また、国産豚肉は、輸入豚肉の価格上昇などの影響から需要が高まり前年を上回って推移しております。

 

このような状況のなか、当社グループは、お客様に、より安全でより安心して召し上がっていただける食品を提供する総合食品メーカーとして、真に社会的存在価値が認められる企業を目指し、企業活動を推進してまいりました。

また、価格改定による利益改善や合理化によるコスト削減に努めてまいりましたが、価格改定による消費者の節約志向の高まりもあり、当連結会計年度における加工食品事業の売上高は減収、価格改定を上回る原材料やエネルギーコストの上昇などから、セグメント利益の確保は厳しい状況となりました。このような経営環境のもと、当社グループの価値最大化を目的として、収益構造の改革を実施してまいります。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

A 財政状態

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ26億42百万円減少し、1,262億61百万円となりました。負債は、前連結会計年度末に比べ38億31百万円増加し、572億46百万円となりました。純資産は、前連結会計年度末に比べ64億74百万円減少し、690億14百万円となりました。

 

B 経営成績

当連結会計年度における売上高は前年同期比1.5%増の2,219億79百万円、営業損失は14億円(前年同期は営業損失8億65百万円)、経常損失は8億97百万円(前年同期は経常損失3億80百万円)となりました。構造改革費用26億21百万円の特別損失計上に加え、繰延税金資産取崩しにより法人税等調整額を11億59百万円計上したことで、親会社株主に帰属する当期純損失は49億87百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失3億76百万円)となりました。

 

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

 

 

 

2022年3月期

2023年3月期

 

 

 

 

 

 

   対前年

   増減額

   対前年

   増減率

 

 加工食品事業

     148,011

     147,093

     △918

   △0.6%

 

 

ハム・ソーセージ

      66,484

      64,392

   △2,092

   △3.1%

 

 

調理加工食品

      81,526

      82,700

     1,174

     1.4%

 

 食肉事業

      70,455

      74,758

     4,303

     6.1%

 

 その他

         143

         127

      △15

  △11.1%

売 上 高

     218,610

     221,979

     3,369

     1.5%

 

 

 

 

 加工食品事業

     △1,076

     △1,653

     △576

     -

 

  (売上高比率)

   (△0.7%)

   (△1.1%)

 (△0.4%)

        -

 

 食肉事業

         173

         203

        30

    17.7%

 

  (売上高比率)

     (0.2%)

     (0.3%)

   (0.1%)

        -

 

 その他

          38

          49

    11

    29.3%

セグメント利益又は
損失(△)

       △865

     △1,400

     △534

        -

     (売上高比率)

   (△0.4%)

   (△0.6%)

 (△0.2%)

        -

 

 

(加工食品事業)

ハム・ソーセージ部門では、「燻製屋熟成あらびきポークウインナー」は、SNSを活用したメニュー提案やキャンペーンなどの販促活動を実施し売上拡大を図りました。また、消費者の細分化されたニーズに応えるため、「糖質カット 特級あらびきウインナー」など特長が異なる3種類のウインナー「特級あらびき」シリーズの展開や、グローバル人気キャラクターブランド「BT21」を起用したフィッシュソーセージ・ウインナーなどの新商品を投入しました。中元・歳暮ギフトは、国産豚肉を使用した「藻塩MEISTER糖質ゼロ」を投入するなど拡販に努めました。価格改定により消費者の節約志向が高まり、販売数量が減少したことなどから、当部門の売上高は前年同期比3.1%の減収となりました。

 

調理加工食品部門では、「スンドゥブ」シリーズは、キャンペーンなどの販促活動に加え、SNSの活用による認知度向上などを図りました。「ビストロ倶楽部濃厚カレー」は、売場獲得に努めた結果、売上高を伸ばし、「サラダチキン」シリーズは、新商品の投入などから売上高は前年を上回りました。また、「おうちde旅する」シリーズから、「ビリヤニの素」「ガパオの素」などの新商品を投入したことに加え、コンビニエンスストア向け米飯商品や、ホイップ済みクリームの売上高が堅調に推移したことなどから、当部門の売上高は前年同期比1.4%の増収となりました。

 

以上の結果、加工食品事業の売上高は前年同期比0.6%減の1,470億93百万円となりました。合理化によるコスト削減に努めましたが、ハム・ソーセージ部門の減収や価格改定を上回る原材料・エネルギーコストの上昇などから、16億53百万円のセグメント損失(前年同期は10億76百万円の損失)となりました。

 

(食肉事業)

牛肉につきましては、消費者の節約志向の高まりなどから量販店向け販売が低調に推移しましたが、外食産業向け販売に回復がみられたことなどから、牛肉全体の売上高は前年を上回りました。豚肉につきましては、外食産業への販売強化に努めたことや量販店向け販売単価が上昇したことなどから、国産、輸入ともに、売上高は前年を上回りました。

 

以上の結果、食肉事業の売上高は前年同期比6.1%増の747億58百万円となりました。セグメント利益は、前年同期比17.7%増の2億3百万円となりました。

 

 

(その他事業)

その他事業の売上高は前年同期比11.1%減の1億27百万円、セグメント利益は前年同期比29.3%増の49百万円となりました。

 

(新型コロナウイルス感染症の影響)

当連結会計年度につきましては、新型コロナウイルス感染症への警戒が続くなかで、感染防止と経済活動の両立を目指し、まん延防止等重点措置等の行動制限もなかったことから、外食需要に回復の動きが見られました。

操業面では、内食・中食需要向け商品の生産を強化、臨時休校に対する従業員の特別有給休暇や、施設・備品等のアルコール消毒を行うなど感染対策を徹底するとともに、従業員の体調に配慮し、円滑な工場運営に努めてまいりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増 減 額

営業活動によるキャッシュ・フロー

7,030

2,906

△4,123

投資活動によるキャッシュ・フロー

△5,688

△4,516

1,172

財務活動によるキャッシュ・フロー

△1,826

534

2,361

現金及び現金同等物の増減額

△485

△1,074

現金及び現金同等物の期末残高

7,990

6,916

△1,074

 

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失の計上や運転資金の増加による減少要因がありましたが、減価償却費の計上などから、29億6百万円増加しました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券や固定資産の売却による収入がありましたが、生産設備の増強・合理化や品質向上のための固定資産の取得による支出などから、45億16百万円減少しました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いや自己株式の取得による支出がありましたが、有利子負債の増加などから、5億34百万円増加しました。

 

 以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末から10億74百万円減少し、69億16百万円となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

A 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(屯)

前年同期比(%)

加工食品事業

188,163

△5.1

食肉事業

11,556

△6.6

その他

合計

199,719

△5.2

 

(注) 食肉事業については算出方法を変更したことに伴い、前年同期比は前連結会計年度の実績を組み替えて算出しております。

 

B 受注実績

当社グループは、主として消費動向の予測に基づく見込み生産によっております。

 

 

C 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

加工食品事業

147,093

△0.6

食肉事業

74,758

6.1

その他

127

△11.1

合計

221,979

1.5

 

   (注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

A 経営成績

(売上高)

売上高は、食料品や生活必需品の相次ぐ値上げなどにより、消費者の節約志向が一層強まるなかで、特にハム・ソーセージ部門が低調に推移しましたが、外食需要に回復の動きが見られたことなどから、前年同期比1.5%増の2,219億79百万円となりました。各セグメント別の売上高は、加工食品事業が前年同期比0.6%減の1,470億93百万円、食肉事業が同6.1%増の747億58百万円、その他事業が同11.1%減の1億27百万円となりました。

 

(売上原価、売上総利益)

売上原価は、原材料価格やエネルギーコストの上昇などから、前年同期比2.6%増の1,914億95百万円、売上原価率は、前年同期比0.9%上昇の86.3%となりました。

売上総利益は、前年同期比4.6%減の304億83百万円となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

販売費及び一般管理費は、合理化等コスト削減に努めたことなどから、前年同期比2.9%減の318億84百万円となりました。

営業利益は、ハム・ソーセージ部門の売上高が低調に推移したことや、価格改定を上回る原材料価格やエネルギーコストの上昇などから、14億円の営業損失となりました(前年同期は営業損失8億65百万円)。

各セグメント別の損益は、加工食品事業が前年同期を下回り16億53百万円のセグメント損失(前年同期は10億76百万円の損失)、食肉事業が前年同期比17.7%増の2億3百万円のセグメント利益、その他事業が同29.3%増の49百万円のセグメント利益となりました。なお、各セグメント別の状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 B 経営成績」に記載のとおりであります。

 

(経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益)

経常利益は、営業損失の拡大などから、8億97百万円の経常損失となりました(前年同期は経常損失3億80百万円)。

親会社株主に帰属する当期純利益は、構造改革費用26億21百万円の特別損失計上に加え、繰延税金資産取崩しにより法人税等調整額を11億59百万円計上したことで、49億87百万円の親会社株主に帰属する当期純損失となりました(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失3億76百万円)。

 

                                      (単位:百万円)

 

 

 

2022年3月期

2023年3月期

 

 

 

 

 

対前年

増減額

対前年

増減率

売上高

     218,610

     221,979

       3,369

       1.5%

売上原価

     186,651

     191,495

       4,843

       2.6%

(売上高比率)

(85.4%)

(86.3%)

(0.9%)

 

売上総利益

      31,958

      30,483

     △1,474

    △4.6%

(売上高比率)

(14.6%)

(13.7%)

(△0.9%)

 

販売費及び一般管理費

      32,823

      31,884

       △939

     △2.9%

(売上高比率)

(15.0%)

(14.4%)

(△0.6%)

 

営業損失(△)

       △865

     △1,400

       △534

     -

(売上高比率)

(△0.4%)

(△0.6%)

(△0.2%)

 

経常損失(△)

       △380

       △897

       △517

          -

(売上高比率)

(△0.2%)

(△0.4%)

(△0.2%)

 

親会社株主に帰属する当期純損失(△)

       △376

     △4,987

     △4,611

          -

(売上高比率)

(△0.2%)

(△2.2%)

(△2.0%)

 

 

 

 (中期経営計画の進捗状況)

当社グループは、経営環境の変化に柔軟に対応するため、原則として毎年改定を行うローリング方式の中期経営計画として三ヵ年数値計画を発表しております。計画数値をあらためて検証の上、見直しを行い、新たに2023年4月を起点とした中期三ヵ年経営計画(2023年4月1日~2026年3月31日)を策定いたしました。

なお、中期三ヵ年経営計画の内容につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

B 財政状態

(単位:百万円)

 

前連結会計年度末

当連結会計年度末

増 減 額

総資産

128,903

126,261

△2,642

負債

53,414

57,246

3,831

純資産

75,489

69,014

△6,474

自己資本比率

58.1%

54.1%

△4.0%

1株当たり純資産

2,969円87銭

2,731円3銭

△238円84銭

 

当連結会計年度末における総資産は、原材料及び貯蔵品が11億69百万円、商品及び製品が11億42百万円増加しましたが、有形固定資産が27億66百万円、現金及び預金が10億74百万円減少したことなどから、前連結会計年度末に比べ26億42百万円減少し、1,262億61百万円となりました。

負債は、支払手形及び買掛金が1億59百万円減少しましたが、有利子負債が21億18百万円、繰延税金負債が9億68百万円、未払金が4億98百万円増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ38億31百万円増加し、572億46百万円となりました。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失49億87百万円の計上、剰余金7億55百万円の配当、自己株式2億76百万円の取得などから、前連結会計年度末に比べ64億74百万円減少し、690億14百万円となりました。

 

以上の結果、当連結会計年度末の自己資本比率は54.1%となり、前連結会計年度末から4.0%低下しておりますが、ほぼ同水準を維持しており、当社グループの財務体質は一定の健全性を保っていると判断しております。

また、セグメントごとの資産は、加工食品事業が836億15百万円(前年同期は853億53百万円)、食肉事業が206億33百万円(前年同期は198億17百万円)、その他及び全社資産が220億11百万円(前年同期は237億33百万円)であります。加工食品事業における主な資産の減少要因は、有形固定資産の減少によるものであります。

 

C キャッシュ・フロー並びに資本の財源及び資金の流動性

 

 

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

自己資本比率

      57.0%

      56.5%

      58.7%

      58.1%

      54.1%

時価ベースの
自己資本比率

      36.1%

      37.7%

      33.2%

      28.9%

      28.8%

キャッシュ・フロー
対有利子負債比率

       2.7年

       2.3年

       2.7年

       2.9年

       7.8年

インタレスト・
カバレッジ・レシオ

      31.3倍

      39.7倍

      32.9倍

      31.9倍

      13.0倍

設備投資(百万円)

       9,589

       9,167

       6,133

       7,374

       6,859

減価償却費(百万円)

       6,433

       6,801

       7,798

       7,945

       7,693

 

 (注)自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

※ 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

※ 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

※ 2022年3月期の期首より会計方針の変更をしております。2021年3月期の数値につきましては、当該会計方針の変更を反映した遡及適用後の数値を記載しております。

 

当社グループは事業活動のための適切な資金を確保し、資金の流動性を維持するとともに、健全な財政状態を目指すための安定的な営業キャッシュ・フローの創出が資本財源の最優先事項の一つであると考えております。

また、株主価値をさらに高めていくためにも、強固な財務体質を維持しながら、継続的な成長経営を基盤とする資金調達が出来る環境を作っておきたいと考えております。

当連結会計年度は、前連結会計年度に引き続き設備投資が減価償却を下回りましたが、2019年3月期~2020年3月期においては、減価償却を上回る設備投資を継続して行ってまいりました。そのなかで自己資本比率やキャッシュ・フロー対有利子負債比率、インタレスト・カバレッジ・レシオなど当社グループは一定の財務健全性を有し、成長戦略に向けての資金調達が可能な財務基盤を維持していると判断しております。

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりでありますが、営業活動によるキャッシュ・フローは29億6百万円増加し、投資活動によるキャッシュ・フローは45億16百万円減少した結果、フリー・キャッシュ・フローは16億9百万円減少しました。有利子負債は15億70百万円増加し、配当金を7億55百万円支払い、自己株式を2億76百万円取得、現金及び現金同等物は10億74百万円減少しました。

配当政策につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりでありますが、当社グループは、株主の皆様への利益還元を経営上の最重要課題の1つとして位置付けており、連結業績や財務状況等を総合的に勘案しつつ、安定配当を継続するという基本方針に基づき、当事業年度の配当につきましては、1株当たり普通配当20円とすることを決定いたしました。

 

当社グループは、中期経営計画を策定する上での参考や政策保有株式保有の合理性検証のため、資本コストを試算しております。しかしながら、資本コストは計算の基礎となる数値の採用において多様な考え方がありますので具体的な数値については公表しておりません。資本コストは投資家が期待するリターンでありますので、機関投資家等との対話を通じて適切な資本コストの認識に努め、事業計画や株主還元に活かしてまいりたいと考えております。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製品製造のための原材料費、労務費、経費や販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要の主なものは、生産設備の増強・合理化や品質向上のための設備投資によるものであります。これらの必要資金は、主に営業キャッシュ・フローを源泉とする自己資金により調達しております。なお、当連結会計年度において増資や社債発行等の重要な資金調達は実施しておりません。2024年3月期の設備投資予定総額(資産ベース)は、40億50百万円であり、これらの大半は自己資金及びリースによる調達を予定しております。

また、当社グループは効率的な資金調達を行うため取引銀行と当座貸越契約を締結しており、その契約に基づく当連結会計年度末の借入未実行残高は229億92百万円であります。当連結会計年度末の現金及び預金69億16百万円との合計は299億8百万円であり、当連結会計年度の平均月商を超えていることから、緊急の資金需要に対しては一定の水準を保っていると判断しております。また、当連結会計年度末において、新規発行未定ながら発行予定額を200億円として社債の発行登録をしており、設備資金、投融資資金、借入金返済資金及び運転資金の資金需要に備えております。

 

② 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成のために必要となる見積りにつきましては、合理的な基準をもとに算定を行っております。

これらの見積りについて、過去の実績やその時点で入手可能な情報などから、妥当と考えられる様々な要素をもとに判断をしておりますが、見積りの前提となる条件や事業環境が変化した場合など、見積りと将来の実績が異なることがあります。
  連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループでは、基礎研究に裏付けられた安全で鮮度の高い商品開発と、戦略的なマーケティングに支えられた企画を推進しております。最新のマーケティングデータや市場分析を踏まえた企画・開発を行っております。消費者調査をはじめとするマーケティングリサーチを徹底して行い、お客様のニーズに沿った商品開発を展開することで、よりお客様に必要とされるメーカーとなるべく努めています。私たちが大切にしているのは、心から「美味しい」と言っていただくための商品作りです。

当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は601百万円であり、主として加工食品事業の研究開発活動に支出したものであります。

 

(加工食品事業)

ハム・ソーセージ部門では、消費者の多様化する嗜好性に応えるため、おいしさに加えて「健康」、「濃厚」、「お弁当」の3つの切り口にこだわった「特級ウインナー」シリーズを発売しました。「糖質カット特級あらびきウインナー」は、15種類のスパイスと藻塩を使用することで、糖質を70%カットしてもおいしく仕上げました。「濃厚ジューシー特級あらびきウインナー」は、当社ウインナーカテゴリー史上最大のジューシーなあふれる肉汁が味わえる一口サイズのウインナーを実現しました。「特級あらびきウインナー」は、お弁当でも使いやすいように冷めてもおいしく、皮残りしないうす皮タイプを開発しました。また、たんぱく質への意識の高まりを背景に、イミダゾールジペプチドを配合し、国産鶏肉を使用した高たんぱくのチキンソーセージ「プロテインスティック」シリーズからプレーンとブラックペッパーの2種類を発売しました。

 

調理加工食品部門では、簡単調理で本場韓国の味をお楽しみいただける「韓美食堂」シリーズから、高麗人参エキス入りの鶏肉の濃厚煮込みスープの素「参鶏湯」と、自家製辛味調味料(タデギ)の旨辛さと、テンジャン・魚醤の旨味がクセになる味わいに仕上げた煮込み料理の素「カムジャタン」を発売し5品展開にしたことに加え、魚介の旨味が効いた旨辛スープが特長の海鮮鍋料理の素「ヘムルタンの素 海老味」「ヘムルタンの素 牡蠣味」を発売しました。また、おうちで海外旅行気分が味わえる「おうちde旅する」シリーズから、世界三大炊き込みご飯の1つとも称される「ビリヤニの素」とバジルと魚醤の香りをお楽しみいただけるタイ料理「ガパオの素」を発売しました。スナック類からは、仕事や家事で毎日忙しい方への想いから立ち上げた新ブランド「Cafelf」からは、こだわりの自家製生地でくちどけの良い食感に仕上げたスコーン「おいしいひと休み Cafelf チョコレートスコーン」など3種類を発売しました。

 

中央研究所では、プラントベース食品の開発を事業部開発部門とともに取り組んでおります。プラントベース食品は環境問題、健康への意識の高まり、動物福祉の観点から世界的に注目されている分野であり、将来予想されているたんぱく質不足を見据え次世代たんぱく質素材として研究開発を進めております。鶏由来プラズマローゲンは、2022年2月に新しく表示しようとする機能性として「認知機能速度の維持」を届出したことで新規のご採用が増え、既存のお客様のリピート数も増加しました。2023年度も引き続き共同研究による新知見をニュースリリース、展示会、業界サイト、勉強会などを通じて広く告知し、プラズマローゲンの認知度向上に努めてまいります。

 

(食肉事業及びその他)

特記すべき内容はありません。