文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
① 社是 至誠通天
[至誠通天とは] 人生を送る上で、悪いことは予告なしに突然に起こってくるが、よ
い結果は、ある日突然にうまれてくるものではない。毎日毎日頭を
打ち、すねを打ちながら精一杯前へ前へと進んでいけば、自分の誠
意はいつか必ず天に通じて、よい結果がむくわれてくるものである。
(創業社長小森敏之氏のことば)
② 経営理念 日々の活動に精一杯の真心を込め、誠意を尽くすことにより、社会に貢献します。
③ 経営方針・未来像 丸大食品グループは美味しさと健康を追求し、安全、安心な食品を通してお客様の
幸せな食生活に貢献します。
④ スローガン 「変革」
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループを取り巻く今後の経営環境は、不安定な国際情勢による原材料価格やエネルギーコストの上昇、急激な為替変動、世界的な貿易構造の変化に伴う景気の下振れリスクなど、将来の見通しに関する不確実性が高まることが懸念されます。また、国内人口減少や高齢化などの社会構造の変化などによる人手不足、輸送能力の不足、消費者の行動変容による市場構造の変化など、先行き不透明な環境が続くと見込まれます。
さらに、食の安全・安心や健康への関心の高まりに加え、食品ロスなどの環境・社会問題への対応、労働環境の整備、持続可能な調達活動など、企業が果たすべき役割や責任もますます重要になっております。
当社グループでは、こうした経営環境の変化に柔軟に対応すべく、原則として毎年改定を行うローリング方式の中期経営計画として2025年4月を起点とする三ヵ年数値計画を発表しております。この計画を実現することで「食を通じて人と社会に貢献する企業」を目指し、「新たな顧客価値の創造」、「収益構造の改革」、「事業領域の拡大」、「人財の育成」、「持続可能な社会への貢献」という5つの基本方針のもと、持続的な成長と更なる企業価値の向上を図ってまいります。
(3) 中期経営戦略(中期三ヵ年経営計画)
2025年4月を起点とした中期三ヵ年経営計画(2025年4月1日~2028年3月31日)の基本方針は以下のとおりであります。
① 新たな顧客価値の創造
・伸長市場、顧客価値に重点を置いた商品開発、新技術の開発。
② 収益構造の改革
・ポートフォリオの見直し、資産効率の改善、サプライチェーンの効率化。
③ 事業領域の拡大
・事業展開エリアの拡大、業態別マーケティング強化、新たな市場開拓。
④ 人財の育成
・人的資本強化、人財スキルの向上、従業員エンゲージメントの向上。
⑤ 持続可能な社会への貢献
・環境課題への対応、社会的責任の遂行、リスク管理とガバナンスの充実。
(4) 事業別戦略
① 加工食品事業
A ハム・ソーセージ部門
(テーマ)収益の改善
B 調理加工食品部門
(テーマ)売上の拡大
②食肉事業
(テーマ)事業領域の拡大
(5) DX推進
・生産性の向上 … デジタル技術の活用レベルを段階的に引き上げ、生産性の向上と競争力の強化を進める。
▶ AI活用の推進…生成AI試用→実用段階への移行。
▶ RPAの活用、使用領域の拡大…定型業務の自動化。
▶ 営業スタイル変革…営業支援端末のスマートデバイス化、支援機能の段階的拡充・営業活動の効率化。
▶ 生産工程管理の強化…AI画像診断等のデジタル技術導入。
▶ DXリテラシーの推進。
(6) サステナビリティの取り組み
① 「持続可能な社会への貢献」について
A 気候変動への対応
2023年4月1日付で、「サステナビリティ委員会」の運営と推進のため「サステナビリティ推進室」を設置。
・温室効果ガス削減の取り組み
▶ 温室効果ガス排出量 2030年度目標を設定。
2030年度目標(スコープ1および2) 温室効果ガス排出量 77,760 t-CO2
※2023年度実績 温室効果ガス排出量 113,217 t-CO2
▶ 非化石エネルギーの活用や省エネルギー設備導入等で環境負荷低減。
丸大食品グループ 5製造拠点で太陽光発電設備を導入(2024年度~2025年度)
省エネルギー設備導入(重油からガスへ変更)
▶ モーダルシフトなど、物流、輸送に関わる温室効果ガス削減の取り組み強化。
・資源循環型社会への貢献
▶ 包装・容器の軽量化による廃棄物削減の推進。
▶ 包装・容器の3R推進(リデュース、リユース、リサイクル)。
▶ 食料品廃棄物の飼料や肥料へのリサイクル促進。
▶ 環境に配慮した包装・容器採用の推進。
B 食を通じての貢献
・サステナブルフードの提案
▶ 代替ミート商品の開発 ~ プラントベース料理素材の美味しさの追求。
・植物性素材を取り入れたスイーツを開発
▶ トーラク㈱の新しいスイーツのかたちNATUEATS(ナチュイーツ)。
・高齢化への取り組み
▶ 脳機能サポート素材「プラズマローゲン」 ~ 神奈川県主催の実証事業「睡眠分科会」に参画。
・環境に配慮したパッケージ資材の商品に環境コミュニケーションマークを表示
▶ 包材サイズ・束テープサイズ変更によるプラスチック使用量削減。
▶ 包装の厚みを薄くし、プラスチック使用量削減。
▶ 表面に紙素材を使用した包材でプラスチック使用量削減。
▶ 再生PETを使用した包材。
▶ 環境に優しいバイオマスインキ(植物由来)を一部使用。
▶ ギフト用包装箱を小型化し廃棄物を削減。
② 「人的資本戦略」について
A 人財の育成
・グループ会社全体の教育体系の充実
▶ 若手社員の育成(新入社員、若手社員、中堅社員に合わせた階層別研修の実施)。
▶ 次世代幹部候補人財の育成(管理職、経営者候補選抜型研修)。
▶ 自己啓発の推奨(通信教育の充実と援助の拡大)。
・多様な働き方、活躍する職場環境の整備
▶ 複線型キャリアを想定した専門職制度設計。
▶ ダイバーシティ推進、女性活躍推進に向けた取り組み。
B 能力を発揮できる職場環境の構築
・健康経営の推進(2025年健康経営優良法人に大規模法人部門で認定)
・仕事と子育ての両立支援(次世代育成支援行動計画を実行 7期連続で「子育てサポート企業」認定)
・企業経営について客観性・透明性を高めるため、委員会を設置してガバナンス強化
▶ コンプライアンス委員会(委員長は独立社外取締役)、指名報酬委員会(独立社外取締役が過半数)。
▶ 丸大食品グループ従業員全員へ「丸大食品グループ行動基準」の周知徹底を図り、毎月定期的に全従業員に対してコンプライアンス教育を実施。
(7) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、経営環境の変化に柔軟に対応するため、原則として毎年改定を行うローリング方式の中期経営計画として三ヵ年数値計画を発表しております。計画数値をあらためて検証の上、見直しを行い、新たに2025年4月を起点とした中期三ヵ年経営計画(2025年4月1日~2028年3月31日)を策定いたしました。
計画最終年度である2028年3月期の連結業績を、売上高2,500億円、営業利益70億円、営業利益率2.8%、ROE(自己資本利益率)6.9%に成長させることを目標とする経営指標といたします。
2026年3月期の連結業績につきましては、売上高2,400億円、営業利益60億円、営業利益率2.5%、ROE7.1%を予想しております。なお、原材料価格やエネルギーコストの上昇、急激な為替変動、世界的な貿易構造の変化に伴う景気の下振れリスクなど、将来の見通しに関する不確実性が高まることが懸念されるため、業績見通しは、現時点で見込める影響を考慮したものであり、必要に応じて修正開示を行う可能性があります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)気候変動への取り組み
当社グループは、G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)によって設立されたTCFD(気候変動関連財務情報開示タスクフォース)提言のフレームワークに基づいて分析と開示をしてまいります。
① 1.5℃シナリオ、4℃シナリオに基づく将来の世界観
シナリオとしては、以下のとおり2つのシナリオを想定しました。
② 気候変動リスク・機会及び影響度評価
「① 1.5℃シナリオ、4℃シナリオに基づく将来の世界観」に記載の1.5℃シナリオ、4℃シナリオのそれぞれについて、部門横断プロジェクトにおいてリスクと機会の発生可能性と影響度の観点から重要度の評価を大・中・小の3段階で行いました。その結果、以下のとおりの項目が抽出されました。
③ 気候変動への対応
以下の項目に取り組んでおります。
(2)人的資本・多様性の取り組み
多様な人財が活躍できる環境をつくることで企業価値の向上につなげてまいります。
① 人財育成
以下の項目に取り組んでおります。
② 環境整備
丸大食品グループは従業員の健康保持・増進を重要な経営課題と捉え、健康経営宣言を発信いたしました。(2020年9月制定)
丸大食品㈱とグループ会社のトーラク㈱が、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する「健康経営」の取り組みが優良であると認められ、「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」として認定されました。
③ 人権への対応
丸大食品グループの役員ならびに従業員が厳守すべき人権に関する方針として、「丸大食品グループ人権規程」を策定しています。
人権デュー・ディリジェンスについては重要事項と認識し様々な課題に対応してまいります。
(3)持続可能な社会への貢献
以下の項目に取り組んでおります。
(4)丸大食品グループ サステナビリティ基本方針・サステナビリティ行動指針
私たち丸大食品グループには、「日々の活動に精一杯の真心を込め、誠意を尽くすことにより、社会に貢献します」という経営理念があり、世代を超えて今に受け継がれています。
この経営理念のもと、「食を通じて社会に貢献する企業」であり続けるために、美味しさと健康を追求し、安全、安心な食品を通して、お客様の幸せな食生活に貢献してまいります。
〔丸大食品グループ サステナビリティ基本方針〕
私たちは、地球環境や社会問題の解決を人類共通の課題と認識し、「わんぱくでもいい。たくましく育ってほしい。」の想いを子供たちの未来に願い、社会や環境に配慮した事業活動を通じて、持続可能な社会の発展に貢献してまいります。
〔丸大食品グループ サステナビリティ行動指針〕
1.私たちは、すべての事業活動において、法令や社内規程などを遵守し、誠実で透明性の高いコンプライアンス経営に努めます。
2.私たちは、原料調達・製造・物流・販売などのすべての事業活動において環境負荷の低減に努め、エネルギー使用量やCO2排出量の削減に取り組み、環境や社会に配慮した商品の提供を行います。
3.私たちは、安全で安心な商品を提供し、すべての人が健康で豊かな生活を送れる社会の実現に努めます。
4.私たちは、すべての従業員が働きやすい環境を整備し、一人ひとりの個性を尊重することで、ワークライフバランスの実現に努めます。
5.私たちは、「人財育成」に取り組み、すべての従業員へ人権やコンプライアンスについて教育を行い、グループ全体の意識向上に努めます。
6.私たちは、社会貢献活動を通じて、ステークホルダーのみなさまとのコミュニケーションを図ることで、より広い視野での事業活動を推進します。
7.私たちは、丸大食品グループにおけるESG情報を積極的に開示します。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(2) 重要性(マテリアリティ)項目
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、一部に足踏みが残るものの、景気は緩やかに回復しております。しかしながら、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響や、通商政策など米国の政策動向が景気を下押しするリスクのほか、金融資本市場の変動の影響が懸念されるなど、先行き不透明な状況が続いております。
当業界におきましては、世界的な食肉需要の増加に伴う輸入食肉の現地相場高や為替変動による影響、原材料価格の高騰、人件費、物流費などのコスト増加が継続するなか、価格改定の実施に伴う物価上昇を背景に、消費者の節約志向が一層高まるなど、依然として厳しい状況が続いております。
このような状況のなか、当社グループは、お客様に、より安全でより安心して召し上がっていただける食品を提供する総合食品メーカーとして、真に社会的存在価値が認められる企業を目指し、企業活動を推進してまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
A 財政状態
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ8億99百万円減少し、1,209億20百万円となりました。負債は、前連結会計年度末に比べ51億55百万円減少し、539億12百万円となりました。純資産は、前連結会計年度末に比べ42億55百万円増加し、670億7百万円となりました。
B 経営成績
当連結会計年度における売上高は前年同期比2.7%増の2,349億70百万円、営業利益は同75.4%増の54億69百万円、経常利益は同66.4%増の60億56百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は54億88百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失94億14百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
(加工食品事業)
ハム・ソーセージ部門では、「燻製屋」シリーズやロースハム、ハーフベーコンの「いつも新鮮」シリーズなどの主力商品を中心に、販促活動などを実施し継続的な売上確保を図りました。また、新商品の「燻製屋ウインナー レモン&パセリ」の積極的な拡販や、環境に配慮したパッケージ資材を使用したロースハムなどの「たっぷり使える」シリーズ、徳用タイプのウインナー、人気キャラクター起用の「ちいかわウインナー」などの売上拡大に努めました。以上のことから、当部門の売上高は前年同期比6.2%の増収となりました。
調理加工食品部門では、「ビストロ倶楽部濃厚カレー」などのレトルトカレー商品は、売場の活性化を図り販売を強化したほか、量販店向け販売の飲料類やヨーグルト、季節のこだわり素材を生かしたチルドデザートなどの売上拡大に努めました。また、外食産業向け業務用商品は、様々な業態への商品提案の実施などから販路拡大を図り拡販に努めました。以上のことから、当部門の売上高は前年同期比1.4%の増収となりました。
以上の結果、加工食品事業の売上高は前年同期比3.4%増の1,576億60百万円となりました。セグメント利益は、原材料価格の高騰などコスト増加要因があるものの、販売数量の伸長や価格改定、継続的なコスト削減の効果などから、前年同期比132.6%増の49億43百万円となりました。
(食肉事業)
牛肉につきましては、量販店・外食産業向け販売を中心に、国産牛肉や豪州産牛肉の取り扱い拡大に取り組みましたが、米国産牛肉の販売数量及び売上高の減少から前年を下回りました。豚肉につきましては、輸入・国産豚肉ともに販売数量は減少しましたが、国産豚肉の販売単価の上昇などから量販店・外食産業向け販売が堅調に推移し、売上高は前年を上回りました。
以上の結果、食肉事業の売上高は前年同期比1.2%増の771億83百万円となりました。セグメント利益は、コスト高や相場高に対する価格転嫁がしきれず、前年同期比47.5%減の4億95百万円となりました。
(その他事業)
その他事業の売上高は前年同期比1.1%減の1億26百万円、セグメント利益は前年同期比37.3%減の30百万円となりました。
(単位:百万円)
営業活動によるキャッシュ・フローは、運転資金の増加による減少要因がありましたが、税金等調整前当期純利益の計上、減価償却費の計上などから、53億96百万円増加しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の売却による収入がありましたが、生産設備の増強・合理化や品質向上のための固定資産の取得による支出などから、28億84百万円減少しました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債の減少や配当金の支払い、自己株式の取得による支出などから、31億96百万円減少しました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末から6億84百万円減少し、89億83百万円となりました。
A 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当社グループは、主として消費動向の予測に基づく見込み生産によっております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
A 経営成績
(売上高)
売上高は、ハム・ソーセージ部門の主力品を中心とした販促による売上確保や、デザート・ヨーグルト類の売上拡大、食肉事業の量販店向け販売が堅調に推移したことなどから、前年同期比2.7%増の2,349億70百万円となりました。各セグメント別の売上高は、加工食品事業が前年同期比3.4%増の1,576億60百万円、食肉事業が同1.2%増の771億83百万円、その他事業が同1.1%減の1億26百万円となりました。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は、原材料価格の高騰などの影響から前年同期比1.9%増の1,978億70百万円となりましたが、価格改定や合理化による収益改善などから、売上原価率が前年同期比0.6%低下したことにより、売上総利益は、前年同期比7.0%増の371億円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は、前年同期比0.2%増の316億30百万円となりましたが、継続的な経費削減などから、売上高比率13.5%、前年同期比0.3%の低下となりました。
営業利益は、原材料価格の高騰などのコスト増加要因がありましたが、加工食品の販売数量の伸長や価格改定、継続的なコスト削減の効果などから、前年同期比75.4%増の54億69百万円となりました。
各セグメント別のセグメント利益につきましては、加工食品事業が前年同期比132.6%増の49億43百万円、食肉事業が同47.5%減の4億95百万円、その他事業が同37.3%減の30百万円となりました。なお、各セグメント別の状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 B 経営成績」に記載のとおりであります。
(経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益)
経常利益は、営業利益の増益などから、前年同期比66.4%増の60億56百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産処分損益22億51百万円、減損損失11億35百万円などの計上から、54億88百万円の親会社株主に帰属する当期純利益となりました(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失94億14百万円)。
(単位:百万円)
(中期経営計画の進捗状況)
当社グループは、経営環境の変化に柔軟に対応するため、原則として毎年改定を行うローリング方式の中期経営計画として三ヵ年数値計画を発表しております。計画数値をあらためて検証の上、見直しを行い、新たに2025年4月を起点とした中期三ヵ年経営計画(2025年4月1日~2028年3月31日)を策定いたしました。
なお、中期三ヵ年経営計画の内容につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
B 財政状態
(単位:百万円)
当連結会計年度末における総資産は、原材料及び貯蔵品が12億13百万円、商品及び製品が8億46百万円増加しましたが、受取手形及び売掛金が29億68百万円減少したことなどから、前連結会計年度末に比べ8億99百万円減少し、1,209億20百万円となりました。
負債は、支払手形及び買掛金が34億44百万円、有利子負債が20億55百万円減少したことなどから、前連結会計年度末に比べ51億55百万円減少し、539億12百万円となりました。
純資産は、自己株式6億41百万円の取得、剰余金4億97百万円の配当がありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益54億88百万円の計上により、前連結会計年度末に比べ42億55百万円増加し、670億7百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末から3.8%上昇し、54.7%となりました。
また、セグメントごとの資産は、加工食品事業が688億95百万円(前年同期は719億9百万円)、食肉事業が218億57百万円(前年同期は204億14百万円)、その他及び全社資産が301億66百万円(前年同期は294億96百万円)であります。加工食品事業における主な資産の減少要因は、売掛金やリース資産の減少によるものであります。
C キャッシュ・フロー並びに資本の財源及び資金の流動性
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※ 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
※ 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
※ 2022年3月期の期首より会計方針の変更をしております。2021年3月期の数値につきましては、当該会計方針の変更を反映した遡及適用後の数値を記載しております。
当社グループは事業活動のための適切な資金を確保し、資金の流動性を維持するとともに、健全な財政状態を目指すための安定的な営業キャッシュ・フローの創出が資本財源の最優先事項の一つであると考えております。
また、株主価値をさらに高めていくためにも、強固な財務体質を維持しながら、継続的な成長経営を基盤とする資金調達が出来る環境を作っておきたいと考えております。
2021年3月期~2024年3月期においては設備投資が減価償却を下回りましたが、2025年3月期は減価償却費を上回る設備投資を行いました。そのなかで自己資本比率やキャッシュ・フロー対有利子負債比率、インタレスト・カバレッジ・レシオなど当社グループは一定の財務健全性を有し、成長戦略に向けての資金調達が可能な財務基盤を維持していると判断しております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりでありますが、営業活動によるキャッシュ・フローは53億96百万円増加し、投資活動によるキャッシュ・フローは28億84百万円減少した結果、フリー・キャッシュ・フローは25億11百万円増加しました。有利子負債は20億53百万円減少し、配当金を4億97百万円支払い、自己株式を6億41百万円取得、現金及び現金同等物は6億84百万円減少しました。
配当政策につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりでありますが、当社グループは、株主の皆様への利益還元を経営上の最重要課題の1つとして位置付けており、連結業績や財務状況等を総合的に勘案しつつ、安定配当を継続するという基本方針に基づき、当事業年度の配当につきましては、1株当たり普通配当50円とすることを、2025年6月26日開催予定の定時株主総会で決議して実施する予定であります。
当社グループは、中期経営計画を策定する上での参考や政策保有株式保有の合理性検証のため、資本コストを試算しております。当社グループの資本コストは5.0~5.5%程度(※)と認識しており、2025年4月を起点とした中期三ヵ年経営計画の計画最終年度である2028年3月期には、ROEを6.9%まで高めることを目標としています。なお、資本コストは投資家が期待するリターンでありますので、機関投資家等との対話を通じて適切な資本コストの認識に努め、事業計画や株主還元に活かすことで、企業価値の向上に取り組んでまいります。
(※)CAPM(資本資産評価モデル)ベース
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製品製造のための原材料費、労務費、経費や販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要の主なものは、生産設備の増強・合理化や品質向上のための設備投資によるものであります。これらの必要資金は、主に営業キャッシュ・フローを源泉とする自己資金により調達しております。なお、当連結会計年度において増資や社債発行等の重要な資金調達は実施しておりません。2026年3月期の設備投資予定総額(資産ベース)は、70億円であり、これらの大半は自己資金及びリースによる調達を予定しております。
また、当社グループは効率的な資金調達を行うため取引銀行と当座貸越契約を締結しており、その契約に基づく当連結会計年度末の借入未実行残高は245億95百万円であります。当連結会計年度末の現金及び預金89億83百万円との合計は335億78百万円であり、当連結会計年度の平均月商を超えていることから、緊急の資金需要に対しては一定の水準を保っていると判断しております。また、当連結会計年度末において、新規発行未定ながら発行予定額を200億円として社債の発行登録をしており、設備資金、投融資資金、借入金返済資金及び運転資金の資金需要に備えております。
② 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成のために必要となる見積りにつきましては、合理的な基準をもとに算定を行っております。
これらの見積りについて、過去の実績やその時点で入手可能な情報などから、妥当と考えられる様々な要素をもとに判断をしておりますが、見積りの前提となる条件や事業環境が変化した場合など、見積りと将来の実績が異なることがあります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
当社グループでは、基礎研究に裏付けられた安全で鮮度の高い商品開発と、戦略的なマーケティングに支えられた企画を推進しております。最新のマーケティングデータや市場分析を踏まえた企画・開発を行っております。消費者調査をはじめとするマーケティングリサーチを徹底して行い、お客様のニーズに沿った商品開発を展開することで、よりお客様に必要とされるメーカーとなるべく努めています。私たちが大切にしているのは、心から「美味しい」と言っていただくための商品作りです。
当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は
(加工食品事業)
ハム・ソーセージ部門では、発売30周年を迎える「燻製屋ウインナー」について、改めて「熟成のおいしさ」をお客様に伝え、LTV(顧客生涯価値)を向上させることに注力いたしました。「燻製屋のおいしさが伝わる」と「売場での視認性向上」の2点にこだわり、パッケージをリニューアルいたしました。また、「燻製屋」の商品認知と商品理解に繋がる販促企画をSNSを中心に実施しております。期間限定で販売していた「燻製屋ウインナー レモン&パセリ」はお客様にご好評をいただき、通年販売の定番商品としてお楽しみいただけるようになりました。簡便志向の高まりから、仕事や学校、家事など忙しい毎日を送る方を応援する、調理パックに肉団子と甘酢たれが入った、フライパンいらずの進化型レンジ調理商品「楽チンレンジCOOK」を発売しました。また、ハサミ不要で開封できる便利なジッパー付き形態を採用した「たっぷり使えるミニミニウインナー」を発売しました。麺売り場の提案から「具のっけ亭」シリーズでは厚切りチャーシュー、キザミハムに加え「鶏チャーシュー」を発売しました。環境に配慮したパッケージ資材を使用した「たっぷり使える」シリーズからロースハム・ベーコンに加えて「ビアソーセージ」を発売しました。
調理加工食品部門では、「スンドゥブ」シリーズの大幅リニューアルを実施し、先味の強化と旨味とコクを引き立たせた味に仕上げました。「韓国列伝」シリーズから牛骨の旨みが溶け出した白濁スープににんにくがほのかに香る優しい味わいの「ソルロンタンの素」、生姜の香り豊かな「サムゲタンの素」を発売しました。また、スナック類からは、「Cafelf」シリーズから、アールグレイの香り豊かな「おいしいひと休み Cafelf アールグレイスコーン」を発売しました。デザート・飲料類では、新たな価値を訴求するため、「SWEET CAFÉ」シリーズから、待望の新商品「のむ珈琲ゼリー」と「プリンwith珈琲ゼリー」を発売しました。「のむ珈琲ゼリー」は生クリーム入りソースと絡み合った珈琲ゼリーの、とぅるとぅる食感が特徴でストローでお楽しみいただけるよう開発しました。「プリンwith珈琲ゼリー」はプリンの中にカットされた珈琲ゼリーが入った商品で北海道産生クリームを使用したなめらかでクリーミーな味わいのプリンと、ぷるぷるしたほろ苦い珈琲ゼリーが織りなす革新的な味わいを実現しました。
中央研究所では、プラントベース食品の開発を事業部の開発部門と共に取り組んでおります。植物由来の代替食品の開発と普及を目指す「フードテックワン」に参画し、開発したプラントベース食品を使ったメニューを百貨店の飲食スペースで提供しました。また、将来予想されている「たんぱく質不足」を見据えて、他の有望なたんぱく質素材についても検討を開始しています。2024年は紅麹問題の影響で健康食品業界全体が停滞し、鶏由来プラズマローゲン販売にも少なからず影響がありましたが、既存顧客からは堅実なリピートをいただいております。また、神奈川県の未病産業研究会・睡眠分科会に参画し、プラズマローゲンの認知度向上に努めました。さらに、2025年度にも他の自治体における健康推進事業への参加も検討してまいります。
(食肉事業及びその他)
特記すべき内容はありません。