第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 なお、新型コロナウイルス感染症の拡大並びにウクライナ情勢により、翌連結会計年度以降の経済全体の見通しは依然として不透明でありますが、新型コロナウイルス感染症並びにウクライナ情勢が当社グループに与える影響は現時点で軽微であるため、経営方針・経営戦略等を見直す必要はないと判断しております。新型コロナウイルス感染症並びにウクライナ情勢の影響により、当社グループの経営環境に重要な変化が生じた場合には、適切に対応してまいります。

 

(1) 経営方針

 当社グループは、顧客第一主義のもと「お客様により良い商品、サービスを提供することにより喜びと満足のある生活に貢献する」ことを経営理念としております。「安全でおいしい商品」「確実なサービス」をお客様にお届けし、お客様から支持されることによって信頼される企業グループを目指しております。そしてこれらにより利益ある成長を目指して企業価値を高めることが、社会、株主、従業員等すべてのステークホルダーの利益増大につながると認識しております。

 

(2) 経営戦略等

 当社は2020年~2022年3月期3ヵ年中期経営計画(以下「前3ヵ年中期経営計画」という。)の成果と課題を踏まえて、2022年5月13日に2023年~2025年3月期3ヵ年中期経営計画(以下「3ヵ年中期経営計画」という。)を発表いたしました。

 事業を取り巻くリスクの高まりを覚悟する中で、SDGsを強く意識し、当社が食を通じた社会課題解決に貢献する企業であるために、新たな事業領域へ挑戦し、世界基準で社会・環境の重点課題に取り組み、会社の発展を促し、社会の一員として持続可能な社会づくりへの貢献を推進してまいります。

 このような中、3ヵ年中期経営計画では、次の4つの基本戦略を掲げ、当社の創業100年を見据え、「5つの笑顔(お客様、社会、次世代、地球、社員)を届けることで社会の中で信頼され、必要とされ続ける企業グループ」という目指すべき姿の実現に向けて、「将来の成長に向けた礎を築く3年間」と位置づけ、「飽くなき進化」をテーマに部門の垣根を越えた取り組みを行ってまいります。

 

① 新たなる食文化・食生活の創造

・「既存主力商品」のさらなる成長

・「新たな需要を見据えた商品」の開発

・「新たな事業領域」への挑戦

 

② 海外展開の深化

・米国・メキシコにおける物量シェアの改善と営業利益率の向上

・ブラジル国内自社生産に向け販路拡大の継続

・インド事業の黒字化に向けた生産・販売の強化

 

③ 経営基盤の強化

・開発力の強化

・販売経路・方法の見直し

・ガバナンスの整備

・次世代の人材育成

・IT・AIの整備

 

④ 社会課題・環境への対応

・持続可能な社会の実現と企業価値の向上

 

(3) 経営環境

 当社グループが4つの基本戦略策定にあたり、認識している経営環境は次のとおりであります。

① 新たなる食文化・食生活の創造

 当社グループは、マーケティング強化により、新たな事業領域である「健康やわらか食」並びに「魚惣菜冷食」への展開を図っていきます。「健康やわらか食」では高齢化社会、健康志向等の社会課題を解消する新機軸商品で既存事業を一層強化します。「魚惣菜冷食」では水産食品事業と低温食品事業の強みを引き出し、新たな魚食習慣を創出することで次の成長に繋げていきます。様々な社会課題があるなか、グループ力を結集し、新たな価値・商品を創出していくことが企業として必要不可欠と考えております。

 

② 海外展開の深化

 米国・メキシコでの持続的成長に向けた取り組み、今後の成長を目指すブラジル、インドでの取り組みに集中することにより、海外での中長期における着実な成長路線を確立します。米国では販売チャネル別の戦略強化の取り組みを積極化します。新商品の市場投入を進めるとともに、若者世代への浸透を考えたマーケティング活動も強化させます。メキシコではカップ麺のシェアアップは継続した上で、袋麺の販売強化に取り組みます。ブラジルでは現地向けの新商品の開発、若者世代へのプロモーション強化等を通じて、販路拡大に取り組みます。インドではさらなる認知度アップを目指し、高付加価値商品の投入等を通じて、生産・販売の強化に取り組みます。

 

③ 経営基盤の強化

 「食」の事業を通じた「5つの笑顔」を実現するために、これまでの強みを土台に、開発力、営業力の強化、ガバナンスの整備、人材育成と最先端の機械設備を常に意識した経営基盤の強化に取り組みます。「これからの時代」に適合した企業経営基盤の構築が企業として必要不可欠と考えております。

 

④ 社会課題・環境への対応

 持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指すことが必要不可欠と認識し、気候変動への対応等、社会課題・環境に対して重点課題を定め、中長期の目標を設定し、課題の解決に取り組みます。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは3ヵ年中期経営計画の目標達成に向けて、基本戦略として掲げた施策に着実に取り組むとともに、消費者の変化、取引先の変化、事業を取巻く環境の変化にしっかりと対応し、当社グループの中長期ビジョンである「5つの笑顔」をお届けできる会社を目指して、一層の成長を目指してまいります。

 なお、4つの基本戦略に基づいたセグメント別の取り組みは次のとおりであります。

① 水産食品事業

・簡便、個食、健康等の価値を付与した商品の強化による魚離れの原因解消

・国内、海外工場の再編により、競争力の高い商品を供給する仕組みの構築

・仕入、製造・加工、物流、販売の見直しによる資産(在庫)の効率化

 

② 海外即席麺事業

・世代別、エリア別に、消費者・小売・競合の状況を踏まえた拡販によるシェア取り戻し

・労働者確保、生産体制の再考により製造数量増、物流費・動力費の上昇抑制を図る

・ノンフライ麺等、健康意識への高まりや環境に配慮した商品の提案等新カテゴリー発掘

 

③ 国内即席麺事業

・既存主力商品(「赤いきつねうどん」、「緑のたぬき天そば」、「麺づくり」等)のさらなる強化

・価値訴求型商品(「マルちゃんZUBAAAN!」等)の育成と開発推進

 

④ 低温食品事業

・既存主力商品(「マルちゃん焼そば3人前」)の商品・販売施策強化によるさらなる成長

・価値訴求型商品の育成

・簡便商品・健康訴求商品(「パリパリ無限シリーズ」)の強化

・冷凍麺・冷凍食品の市場拡大への対応

 

⑤ 加工食品事業

・備蓄需要等、商品特性を最大限に活かした、商品企画・販売施策の実行による売上の拡大

・たんぱく質強化等、健康カテゴリーの強化

・具材の開発等、他部門との連携強化

・原料価格上昇への対応や、生産の効率化等、収益基盤の安定化に向けた取り組みの推進

 

⑥ 冷蔵事業

・食品を中心とした取扱いの拡大と共に食品以外の取扱い拡大にも挑戦

・働きやすい、利用しやすい冷蔵倉庫の環境整備を目指し効率化や省力化への取り組みを推進

・持続可能な事業として環境負荷低減となるフロン冷媒設備の更新に関する取り組みを推進

 

(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高、営業利益であります。

 3ヵ年中期経営計画の最終年度である2025年3月期において、売上高430,000百万円、営業利益42,000百万円を目指します。

 セグメント別の売上高及び営業利益の目標は次のとおりであります。

セグメントの名称

売上高(百万円)

営業利益(百万円)

 水産食品事業

29,200

400

 海外即席麺事業

159,000

22,000

 国内即席麺事業

104,800

11,000

 低温食品事業

56,000

6,100

 加工食品事業

22,000

500

 冷蔵事業

23,000

2,100

 その他

36,000

800

 調整額

△900

合計

430,000

42,000

 

(6) 前3ヵ年中期経営計画の達成状況

 「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 (1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」という。)に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 短期・中期の視点から経営戦略・経営成績等に影響を与える可能性のある重要なリスク

① 経済状況

 当社グループは、加工食品を中心とした食品製造販売業を営んでおります。そのため、家畜伝染病、残留農薬問題等の食品に係る諸問題の発生が、輸入量の減少、仕入価格の高騰、消費の低迷等を引き起こし売上高等に影響を与える可能性があります。当社グループは消費者の不信を取り除き、安心して購入していただけるようにISOの認証取得及び製品情報管理システムの構築等を積極的に推進するとともに、より一層の原材料等の管理体制の強化を図っておりますが、自然又は人為的な諸問題により影響を受ける可能性があります。

 また、食品業界全体が、依然として商品単価の変動が続き、販売競争がますます厳しくなっております。このような厳しい販売競争に対応するために、当社グループは、生産・物流体制の再構築を進め、より一層のコスト削減並びに積極的な営業活動を推進しておりますが、所得の伸び悩み等から消費者心理の低迷等消費動向に影響を受ける可能性があります。

 

② 為替レートの変動

 当社グループは、米州に連結子会社があり、特に米国のマルチャン,INC.は連結売上高に占める割合が10%を超える重要な連結子会社であります。また、水産食品事業においては海外の連結子会社をはじめ輸出入取引を行っております。

 このような中、輸出入取引においては為替レートの変動によるリスクをヘッジすることを目的として、為替予約等を行い為替の変動による影響を最小限にしております。しかしながら、予測を超えて急激に為替レートが変動した場合には当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 また、当社グループは連結財務諸表作成のため連結決算日の直物為替相場により円貨に換算しており、期初に想定した為替レートに対する変動が当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

③ 市場環境

 当社グループの事業の中心となっている国内即席麺事業等において、特に即席麺類の分野では業界全体で年間何百種類という新商品が発売されており、商品サイクルが非常に短い状況となっております。このような状況下で、当社グループにおいても消費者の健康志向の高まり等消費者ニーズにあった商品開発に注力しております。

 当社グループが業界や消費者ニーズの変化を十分に予測できず、消費者に受け入れられる魅力ある新商品の開発ができない場合には、将来の成長と収益性を低下させる可能性があります。

 

④ 販売価格

 当社グループの国内即席麺事業等においては、末端の小売価格の変動に伴い、当社グループの卸売価格が影響を受けることがあります。また、各分野におけるシェアの確保等販売競争の厳しさが増す中で、値引リベート、特売費等の販売促進費が増加し、収益を圧迫する要因となっております。既存競合先間の提携等により市場におけるシェアが大きく変動するようなことが起これば、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 当社グループの水産食品事業は、漁獲量等により市場価格が変動し、これが販売価格にも影響を与え、これにより当社グループの収益に影響を与える可能性があります。また、国内即席麺事業等の一部の原材料(小麦粉等)や加工食品事業に含まれる米飯事業の米価も同様に収穫高等による市場価格の変動の影響を受け、これが製造コストに影響し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 製品事故

 当社グループは、ISOの認証取得、製品情報管理システムの構築、トレサビリティ管理等安全な食品作りに積極的に取り組んでおりますが、原材料の腐敗や農薬等の問題、製造工程での異物の混入、アレルゲン問題、流通段階での破袋等によるカビの発生等、製品事故が発生する可能性があります。当社グループにおいてもこれらの製品事故を未然に防ぐための設備の充実、管理体制の強化等を図っておりますが、製品事故が発生する可能性があります。そのため製造物責任賠償保険等にも加入しております。

 万が一製造物責任賠償につながるような大規模な製品事故が発生した場合には、製品回収等多額のコストの発生や当社グループの評価に影響を与え、それによる売上高の減少等当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

⑥ 天候及び自然災害等の影響

 当社グループの販売する製品には猛暑、冷夏、暖冬等の天候により売上高に影響を受けるものがあります。また、製造拠点における大規模な地震や台風等の自然災害により生産設備に損害を被った場合、並びに、それらに起因する電力供給量の低下等のインフラ使用制限等の影響を受けた場合、操業中断による製造能力低下に伴う売上高の減少、設備の修復費用の増加等により当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 なお、新型コロナウイルス感染症は世界中に拡大しており、当社グループは感染拡大を防止するため、衛生管理の徹底や時差出勤・在宅勤務等の効率的な事業運営を実施しております。新型コロナウイルス感染症が当社グループに与える影響は現時点で軽微でありますが、さらに感染が拡大した場合、従業員の感染による操業停止やサプライチェーンの停滞等により、当社グループの事業、経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

⑦ 情報システム

 当社グループでは適切なシステム管理体制をとっております。当社グループではコンピュータウイルス対策や情報管理の徹底を進めておりますが、予測不能のウイルスの侵入、情報システムへの不正アクセス及び運用上のトラブル等により情報システムに障害が発生する可能性があります。その場合、顧客対応に支障をきたし、それに伴う費用発生等により当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(2) 中期・長期の視点から経営戦略・経営成績等に影響を与える可能性のあるリスク

① 製品の海外での委託製造

 当社グループの水産食品及び冷凍食品類の一部の製品において、海外の会社に製造を委託し、製品を仕入れております。その際に各製造委託会社が所在する国により、食品衛生等に関する法的基準の相違、食品衛生に対する意識の違いから、日本における食品衛生等の法的基準に適合しない農薬等の薬品使用等による製品事故が発生する可能性があります。また、当社グループにおいてもこれらを未然に防ぐために日本の基準の教育・指導の徹底、現地での立会い及び製品検査等の強化を図っておりますが、製品事故が発生する可能性があります。

 日本の食品衛生等に関する法的基準に適合しない製品が発生した場合には、製品回収及び廃棄処理等の多額の費用の発生や当社グループの評価に影響を与え、それによる将来の売上高減少等当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

② 公的規制

 当社グループは各事業活動において食品衛生、食品規格、通商、独占禁止、特許、消費者、租税、環境、リサイクル関連等の法規制の適用を受けており、当社グループはこれらの規制を遵守しております。不測の事態でこれらの規制を遵守することが出来なかった場合、事業活動が制限される可能性があり、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1.経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2020年3月31日)を当連結会計年度の期首より適用しており、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。

(1) 経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にありました。先行きにつきましては、感染対策に万全を期し、経済社会活動が正常化に向かう中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直していくことが期待されますが、ウクライナ情勢及び感染症が内外経済に与える影響や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。

 このような状況の中、当社グループは「Smiles for All.すべては、笑顔のために。」という企業スローガンの下で「食を通じて社会に貢献する」「お客様に安全で安心な食品とサービスを提供する」ことを責務と考え取り組むとともに、厳しい販売競争に対応するため、より一層のコスト削減並びに積極的な営業活動を推進してまいりました。

 この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は361,495百万円(前年同期比6.1%増)、営業利益は29,737百万円(前年同期比18.4%減)、経常利益は31,834百万円(前年同期比17.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は22,414百万円(前年同期比22.9%減)となりました。

 なお、当連結会計年度の為替換算レートは122.41円/米ドル(前連結会計年度は、110.71円/米ドル)であります。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

① 水産食品事業

 水産食品事業は、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策としての外出自粛等による影響で、コンビニエンスストア向け商品の販売量が減少しましたが、一部スーパーマーケットの総菜部門や食品宅配事業向けの販売が伸長したこと等により増収となりました。その結果、売上高は25,017百万円(前年同期比0.5%増)、セグメント利益は、マグロの原材料価格高騰や鮭鱒の仕入れコストの増加等はあったものの、魚卵の原価率改善や出荷数の増加等により161百万円(前年同期比917.0%増)となりました。

 

② 海外即席麺事業

 海外即席麺事業は、新型コロナウイルス感染症拡大前と比較して需要が高い状況が継続する中、米国は、袋麺では主力商品「Ramen」シリーズが増収となり、カップ麺では主力商品の「Instant Lunch」シリーズを始め、「Yakisoba」「Bowl」シリーズも好調に推移し増収となりました。メキシコは、主力商品のカップ麺、袋麺ともに好調に推移したことで増収となりました。その結果、売上高は114,235百万円(前年同期比21.5%増)、セグメント利益は、売上高増加による効果はあったものの、主原料価格上昇による原材料費の増加、運賃単価上昇による物流費の増加等により10,057百万円(前年同期比37.5%減)となりました。

 

③ 国内即席麺事業

 国内即席麺事業は、新型コロナウイルス感染症拡大前と比較して需要が高い状況が継続する中、カップ麺では「赤いきつねうどん」「緑のたぬき天そば」等の和風シリーズが前年並みだったことに加え、「MARUCHAN QTTA」シリーズ、「麺づくり」シリーズ、「ごつ盛り」シリーズといった主力商品が好調に推移し増収となりました。袋麺では11月に発売10周年を迎え、記念商品も発売した「マルちゃん正麺」シリーズを中心に拡売に努めたものの減収となりました。その結果、売上高は95,528百万円(前年同期比0.3%減)、セグメント利益は、人件費や運賃保管料の減少はありましたが、動力費や販売促進費等の増加により10,849百万円(前年同期比18.5%減)となりました。

 

④ 低温食品事業

 低温食品事業は、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策としての外出自粛等による影響で、外食向けや事業所給食向け等の業務用商品の販売が引き続き縮小傾向となりました。生麺では内食需要が継続する中、主力商品の「マルちゃん焼そば3人前」シリーズ、「マルちゃんの生ラーメン3人前」シリーズを中心に拡売に努めたものの減収となりました。その結果、売上高は51,311百万円(前年同期比2.6%減)、セグメント利益は、売上高の減少や動力費の増加等により6,372百万円(前年同期比6.6%減)となりました。

 

⑤ 加工食品事業

 加工食品事業は、新型コロナウイルス感染症拡大前と比較して需要が高い状況が継続する中、米飯ではレトルト米飯商品の1食増量企画や新商品の発売等により好調だったことに加え、無菌米飯商品が堅調に推移したことにより増収となりました。フリーズドライ商品では5食入り袋スープ「素材のチカラ」シリーズ等を中心に販売先の拡大や家庭内喫食機会の増加により引き続き好調に推移し増収となりました。その結果、売上高は19,494百万円(前年同期比4.6%増)、セグメント利益は、動力費の増加はあったものの、売上高の増加、人件費の減少等により230百万円(前年同期はセグメント損失666百万円)となりました。

 

⑥ 冷蔵事業

 冷蔵事業は、新型コロナウイルス感染症拡大や国際的な物流の混乱等の影響により保管在庫が前年を下回る厳しい状況となりましたが、外出自粛による巣ごもり需要により、市販用冷凍食品の取扱い増加や宅配品の取扱いも堅調に推移しました。その結果、売上高は22,142百万円(前年同期比4.9%増)、セグメント利益は、電力料金の値上げによる動力費の増加はあったものの、人件費等の減少に加えて、前年の新冷蔵庫稼働の一時的費用が無くなったことにより2,342百万円(前年同期比89.1%増)となりました。

 

⑦ その他

 その他は、主に弁当・惣菜事業であります。売上高は33,765百万円(前年同期比0.3%増)、セグメント利益は766百万円(前年同期比47.5%増)となりました。

 

 また、当連結会計年度における経営成績の状況とそれらの要因は次のとおりであります。

① 為替変動の影響

 前連結会計年度からの為替レートの変動により、当連結会計年度の売上高は10,918百万円の増加、営業利益は646百万円の増加と試算されます。ただし、この試算は、当連結会計年度の外貨建の売上高、売上原価、販売費及び一般管理費を前連結会計年度末の直物為替相場により円貨に換算して算出したものであり、為替変動に対応した販売価格の変更の影響は考慮されておりません。

 

② 売上高

 連結売上高は、前連結会計年度に比べ6.1%増収の361,495百万円となりました。これは主に、海外即席麺事業が増収となったことによるものであります。

 

③ 売上原価、販売費及び一般管理費

 売上原価は、原材料価格が上昇してきたことにより、前連結会計年度に比べ9.3%増加し、270,977百万円となりました。

 販売費及び一般管理費は、運送費及び保管費が増加したこと等から前連結会計年度に比べ7.8%増加し、60,780百万円となりました。

 

④ 営業利益

 営業利益は、上記のとおり、主に売上原価が増加した結果、前連結会計年度に比べ18.4%減益の29,737百万円となりました。

 

⑤ 営業外損益

 営業外収益は、受取利息が減少したこと等から前連結会計年度に比べ6.5%減少し、2,469百万円となりました。

 営業外費用は、支払利息が減少したこと等から前連結会計年度に比べ8.0%減少し、372百万円となりました。

 

⑥ 特別損益

 特別利益は、補助金収入が減少したこと等から前連結会計年度に比べ79.0%減少し、430百万円となりました。

 特別損失は、関係会社株式評価損がなくなったことから前連結会計年度に比べ63.0%減少し、678百万円となりました。

 

⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益

 親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ22.9%減益の22,414百万円となりました。

 これにより、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の284.64円に対し、当連結会計年度は219.48円となりました。

(2) 財政状態の状況

 当社グループの当連結会計年度末における総資産は454,670百万円で、前連結会計年度末に比べ26,019百万円(6.1%)増加しました。

 当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の状況とそれらの要因は次のとおりであります。

① 流動資産

 流動資産は、前連結会計年度末に比べ25,427百万円(10.7%)増加し、263,406百万円となりました。これは主に、有価証券が23,000百万円増加したことによるものであります。

 

② 固定資産

 固定資産は、前連結会計年度末に比べ592百万円(0.3%)増加し、191,264百万円となりました。これは主に、機械装置及び運搬具(純額)が3,596百万円増加したことによるものであります。

 

③ 流動負債

 流動負債は、前連結会計年度末に比べ1,188百万円(2.1%)増加し、59,038百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が3,626百万円増加したことによるものであります。

 

④ 固定負債

 固定負債は、前連結会計年度末に比べ1,005百万円(3.7%)増加し、28,487百万円となりました。これは主に、退職給付に係る負債が1,289百万円増加したことによるものであります。

 

⑤ 純資産

 純資産は、前連結会計年度末に比べ23,825百万円(6.9%)増加し、367,145百万円となりました。これは主に、利益剰余金が13,223百万円、為替換算調整勘定が11,585百万円増加したことによるものであります。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比べ3,481百万円減少し、29,351百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ14,490百万円減少し、33,293百万円となりました。これは主に、売上債権の増加により資金が減少したことと税金等調整前当期純利益が減少したことによるものであります。

 

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ22,676百万円減少し、27,308百万円となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入が増加したことによるものであります。

 

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ1,005百万円増加し、9,596百万円となりました。これは主に、配当金の支払額が増加したことによるものであります。

(4) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

 水産食品事業

5,277

58.7

 海外即席麺事業

95,808

123.3

 国内即席麺事業

106,792

100.6

 低温食品事業

48,213

97.8

 加工食品事業

26,360

101.2

 その他

32,793

96.2

合計

315,246

104.3

(注)1 金額は、販売価格によっております。

 

② 受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

 その他

27,676

101.4

合計

27,676

101.4

(注)1 当社製品は主として見込生産によって製造されております。

   2 受注生産を行っている主な連結子会社は、㈱フレッシュダイナー、ミツワデイリー㈱、㈱シマヤであります。

 

③ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

 水産食品事業

25,017

100.5

 海外即席麺事業

114,235

121.5

 国内即席麺事業

95,528

99.7

 低温食品事業

51,311

97.4

 加工食品事業

19,494

104.6

 冷蔵事業

22,142

104.9

 その他

33,765

100.3

合計

361,495

106.1

(注)1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

 三井物産㈱

114,605

33.6

114,748

31.7

 

 

2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループは経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標を売上高、営業利益としており、前3ヵ年中期経営計画の最終年度である2022年3月期において、売上高450,000百万円、営業利益31,500百万円を目指しておりました。

 前3ヵ年中期経営計画の最終年度である2022年3月期の達成状況は次のとおりであります。

 なお、2022年3月期の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用しておりますが、前3ヵ年中期経営計画の金額を遡及修正することが困難なため、対応する2022年3月期実績値についても当該会計基準等を適用する前の金額となっております。したがって、2022年3月期実績値は連結損益計算書の金額と異なっております。

 売上高は計画比10,623百万円減の439,376百万円、営業利益は計画比1,762百万円減の29,737百万円となりました。

 また、前3ヵ年中期経営計画の当連結会計年度における達成状況をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

① 売上高

セグメントの名称

2022年3月期計画(百万円)

2022年3月期実績(百万円)

2022年3月期計画比(百万円)

 水産食品事業

40,000

25,706

△14,293

 海外即席麺事業

96,500

114,235

17,735

 国内即席麺事業

136,500

135,364

△1,135

 低温食品事業

74,600

74,391

△208

 加工食品事業

28,500

26,469

△2,030

 冷蔵事業

22,400

22,142

△257

 その他

51,500

41,065

△10,434

合計

450,000

439,376

△10,623

 

② 営業利益

セグメントの名称

2022年3月期計画(百万円)

2022年3月期実績(百万円)

2022年3月期計画比(百万円)

 水産食品事業

500

161

△338

 海外即席麺事業

12,200

10,057

△2,142

 国内即席麺事業

10,500

10,849

349

 低温食品事業

5,700

6,372

672

 加工食品事業

0

230

230

 冷蔵事業

1,800

2,342

542

 その他

1,700

766

△933

 調整額

△900

△1,043

△143

合計

31,500

29,737

△1,762

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「1.経営成績等の状況の概要 (3) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社グループは、3ヵ年中期経営計画において、3ヵ年合計で約30,000百万円以上の株主還元、約30,000百万円の更新投資、約50,000百万円の成長投資、約10,000百万円の経営基盤強化投資等を予定しております。その所要資金については、3ヵ年合計で120,000百万円を計画している営業キャッシュ・フロー等の自己資金を充当する予定であります。

 なお、セグメント別の成長投資の考え方は次のとおりであります。

 

① 水産食品事業

 加工度を高めた水産食品投入に向けた魚惣菜冷食設備への投資を行います。

 

② 海外即席麺事業

 生産体制の再考により需要増に応じた製造数量の増加と物流費、動力費の上昇抑制を図るため、新ライン増設を視野に入れた投資を行います。

 

③ 国内即席麺事業

 既存主力商品のさらなる強化を見据えた投資を引き続き行います。

 

④ 低温食品事業

 生麺の西日本拠点の整備を目的とした投資を行います。

 

⑤ 加工食品事業

 主にフリーズドライの商品供給能力向上を目的とした投資を行います。

 

⑥ 冷蔵事業

 主に関東地区における設備の増強と環境に配慮した自然冷媒への切り替えを目的とした投資を行います。

 

(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

5【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、総合研究所が中心となりグループ各社の研究開発部門と連携し、水産食品、即席麺、低温食品、加工食品など多様な商品の開発を行っております。

 研究開発におきましては、「Smiles for All.すべては、笑顔のために。」というスローガンに基づき、安全・安心を第一においしさの探求はもちろん、昨今の内食需要の高まり・働き方の変化・持続可能な社会の実現といった社会的要請に対し、簡便・個食・時短などを追求した商品や環境へ配慮した商品の研究・開発に取り組みました。また、将来を見据えた新たな価値の創造のための基礎研究開発や社会的課題の解決・環境保全への取り組みを進めました。

 研究開発活動の主な内容は、次のとおりであります。

 

 水産食品事業は、コンビニエンスストアやスーパーマーケット向けの鮭フレークやいくら、たらこ等の業務用水産食品の開発のほか、「魚を手軽に」をコンセプトにした市販冷凍魚総菜「ChoiFish」ブランドで新たに「さばのレモン焼」「明太ポテト焼」「赤魚のアクアパッツァ」を発売し、シリーズの拡充を図りました。

 海外即席麺事業は、主力商品である即席麺において、既存商品の仕様を見直し、品質の向上を図るとともに、多様化する消費者の嗜好や時代のニーズに対応するための新形態、高付加価値商品への参入に向けた開発を進めました。

 国内即席麺事業は、2021年11月で発売10周年を迎えた「マルちゃん正麺」ブランドにおいて、袋麺の期間限定記念商品として「旨辛醤油味」「鶏白湯味」を発売、カップ麺では、滑らかさはそのままに弾力を向上させた、より生麺らしい麺にリニューアルを行い、ブランド全体の商品力アップを図りました。

 また、“おうちに居ながらお店品質のあの味を楽しめるラーメン”をコンセプトに、熟成麺のような食感の麺に濃厚でインパクトのある本格的なスープをあわせた3食袋麺の新ブランドとして「マルちゃんZUBAAAN!」シリーズを開発、袋麺市場の活性化に取り組みました。

 低温食品事業は、チルド品では、「マルちゃん焼そば 3人前」シリーズの「同 ソース味」のほか、焼そばを洋風にアレンジした「同 ナポリタン」「同 たらこバター味」を発売し、主力商品である3食焼そばの充実を図りました。

 また、世帯構成の変化に対応するため、2食焼そばで拡充に取り組み、独自の蒸し製法による細麺の「至福の食卓 だし香る芳醇ソース味」、太麺の「同 濃厚お好みソース味」をリニューアル、期間限定で「同 丸鶏うま塩味」を発売しました。さらに、水でほぐすだけで喫食できる「つるやか」シリーズは、茹でたてのおいしさがさらに長持ちするようにリニューアルを行いました。

 食品ロス削減の対応として、「北の味わい ざるラーメン」シリーズ、「マルちゃんの冷し中華」シリーズの賞味期限延長を図り、リニューアル発売しました。

 介護食市場に向けて、「健康やわらか食」の開発を進めており、その第一弾として業務用冷凍食品「やわらかソース焼そば(野菜入り)」を発売しました。

 加工食品事業は、米飯商品「玄米ご飯」「麦ごはん」について、より穀物の美味しさが感じられるよう改良を加え、リニューアル発売しました。また、新ブランド「街かど食堂」シリーズ3品を発売し、米飯商品のラインナップ拡充を図りました。フリーズドライ商品では、賞味期限の延長や年月表示への切り替えを行い、食品ロスの削減に寄与しました。ハムソーセージでは、近年の健康志向を踏まえ、たんぱく質を多く配合した「フィッシュ&チキン プレーン味」「同 スモーク味」2品を発売しました。

 

 なお、上記以外にも事業の拡大やグローバル化への安全・安心への取り組みとして、国内外の各工場と連携し、製品検査や分析精度の向上・発展に取り組んでおります。また、健康への取り組みとして、各種減塩商品を上市しました。さらに、社会課題への取り組みとして、加工原料の再利用の取り組みや食品ロス削減をテーマに東京大学との取り組みを行っております。

 

 当連結会計年度における研究開発費は1,815百万円であります。なお、研究開発費については、セグメント別に関連付けることが困難であるため、その総額を記載しております。