当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、顧客第一主義のもと「お客様により良い商品、サービスを提供することにより喜びと満足のある生活に貢献する」ことを経営理念としております。「安全でおいしい商品」、「確実なサービス」をお客様にお届けし、お客様から支持されることによって信頼される企業グループを目指しております。そしてこれらにより利益ある成長を目指して企業価値を高めることが、社会、株主、従業員等すべてのステークホルダーの利益増大につながると認識しております。
また、当社グループは2023年~2025年3月期3ヵ年中期経営計画(以下「前3ヵ年中期経営計画」という。)の成果と課題を踏まえて、2025年5月12日に2026年~2028年3月期3ヵ年中期経営計画(以下「3ヵ年中期経営計画」という。)を発表いたしました。
(2) 経営環境
当社グループが3ヵ年中期経営計画の策定にあたり、認識している経営環境は次のとおりであります。
① 内部環境認識
・コストアップへの対応
・為替変動リスク
・外部環境の大きな変化への対応もあり、設備投資実行における遅延の発生
・株主還元強化の対応(前3ヵ年中期経営計画期間中、増配と自己株式の取得を実施)
② 外部環境認識
・世界的なインフレ傾向の継続
・為替変動リスク
・人手不足
・地球温暖化等の異常気象
・地政学的リスク
・物流への課題
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは前3ヵ年中期経営計画における環境整理と振り返りを行いました。その結果、認識している3ヵ年中期経営計画の課題は次のとおりであります。
・将来への投資と株主還元の両立
・リスク低減と新たな成長機会獲得
(4) 経営基本戦略等
3ヵ年中期経営計画の基本戦略として、「継続と継承」と「変革と進化」を掲げ、「企業価値を向上させることでステークホルダーを笑顔にしたい」というありたい姿を実現するため、より積極的な取組を行ってまいります。
①継続と継承
前3ヵ年中期経営計画の基本方針を継続し、やり残した課題を解決してまいります。
(新たなる食文化・食生活の創造、海外展開の深化、経営基盤の強化、社会課題・環境への対応)
②変革と進化
「ありたい姿」の実現に向けて、変革すべきものを変革し、「企業価値向上」を目指してまいります。
(新たな事業領域の拡大、海外展開のエリア拡大、成長投資・稼ぐ力向上、サステナビリティ経営)
(5) 3ヵ年中期経営計画での取組等
当社グループはステークホルダーから信頼され、必要とされる企業を目指すため、「顧客市場」と「資本市場」という2つの市場における価値向上を積極的に図ってまいります。
①顧客市場での価値向上
各事業での強みとグループの総合力を発揮し、売上・利益の財務価値とブランド等の非財務価値の向上を目指
してまいります。
また、将来への投資を積極的に行い、各事業における持続的な成長を目指してまいります。なお、3ヵ年中期
経営計画期間中に約130,000百万円以上の設備投資を計画しております。主な設備投資の内容は次のとおりで
あります。
1.成長投資
(海外即席麺事業)カリフォルニア工場の拡張
(海外即席麺事業)メキシコ工場の新設
(加工食品事業) フリーズドライ工場の拡張
2.効率化投資
(国内即席麺事業)具材設備の整備
(国内即席麺事業)即席麺工場の再編
(低温食品事業) 冷凍食品の強化
(低温食品事業) 生麺工場の再編
3.その他
(冷蔵事業) 自然冷媒への切替
(各事業共通) 基幹システムの統合
(各事業共通) 更新投資
②資本市場での価値向上
「資本コストや株価を意識した経営の実現」への対応を推進してまいります。
また、資本市場での価値向上における方針は次のとおりであります。
・ROE15%を将来的な目標に設定
現状において当社の株主資本コストは6~8%と認識しております。株主資本コストを上回るROEを継続しつつ、将来的にはROE15%を目指してまいります。
・財務戦略による資本効率の向上
総還元性向70%を目途とし、連結配当性向30%超の配当と自己株式の取得を継続してまいります。
・株主資本コストの低減
業績変動リスクの低減(期中平均レートの採用)やガバナンスの強化により、株主資本コストの低減を図ってまいります。
(6) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
①顧客市場での価値向上
当社グループの経営上の目標である「顧客市場での価値向上」の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高、営業利益であります。
3ヵ年中期経営計画の最終年度である2028年3月期において、売上高600,000百万円、営業利益82,000百万円を目指しております。
セグメント別の売上高及び営業利益の目標は次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
売上高(百万円) |
営業利益(百万円) |
|
水産食品事業 |
32,000 |
1,000 |
|
海外即席麺事業 |
298,000 |
60,000 |
|
国内即席麺事業 |
113,500 |
10,800 |
|
低温食品事業 |
65,000 |
7,400 |
|
加工食品事業 |
26,500 |
1,000 |
|
冷蔵事業 |
25,500 |
2,500 |
|
その他 |
39,500 |
900 |
|
調整額 |
- |
△1,600 |
|
合計 |
600,000 |
82,000 |
②資本市場での価値向上
当社グループの経営上の目標である「資本市場での価値向上」の達成状況を判断するための客観的な指標は、ROE、総還元性向及び連結配当性向であります。
3ヵ年中期経営計画の最終年度である2028年3月期において、ROE10%以上、総還元性向70%目途及び連結配当性向30%超を目指しております。
|
ROE |
10%以上 |
|
総還元性向 |
70%目途 |
|
連結配当性向 |
30%超 |
(7) 前3ヵ年中期経営計画の達成状況
「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 (1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
東洋水産グループは、「やる気と誠意」の精神を基本とし、「Smiles for All.すべては、笑顔のために。」のスローガンのもと、ステークホルダーの皆さまが笑顔になれるよう、商品・サービスを継続的に改善いたします。また、サプライチェーン全体で自然環境や資源の保護に配慮し、持続可能な社会の実現に向け取り組みます。
(1)ガバナンス
東洋水産グループの持続的な成長には、持続可能な社会の実現が不可欠だと考えています。そこで、当社グループでは、スローガン「Smiles for All. すべては、笑顔のために。」のもと「食」の事業を通じた「5つの笑顔(お客様、社会、次世代、地球、社員)」の実現とSDGsへの貢献を目指しております。
これまで、東洋水産グループでは、サステナビリティに関する各事柄について、該当する部署の担当役員が適宜把握及びチェックできる体制を整備しており、代表取締役が全体を統括することで、的確迅速な企業意思の決定ができるよう取り組んでまいりました。
今後は更なるサステナビリティ取組推進のため、2025年度よりCSR広報部が、取締役会よりサステナビリティ活動に関する監督の権限委譲を受け、サステナビリティに関するリスク及び機会の識別・評価・管理を実施し、CSR担当役員は定期的に取締役会へ報告いたします。取締役会はこれらの報告を受け、協議し、CSR広報部への監督・指示を行います。
上記のガバナンス体制の構築について2025年3月14日開催の取締役会にて協議されました。その後、業務分掌の規程改定の決裁を経て、決裁事項として、取締役会へ共有されております。今後、これまで以上に取締役会におけるサステナビリティ推進に関する監督機能の強化に努めてまいります。
(2)リスク管理
東洋水産グループの業務執行に関するリスク管理については、当社グループの事業継続や安定的発展を目的に、
各部にて自部門に内在するリスクの識別・分析・評価を行っております。
各部においては、当該リスク管理プロセスにおいて特定した業務執行に関するリスクを踏まえながら、サステナ
ビリティ課題の分析を実施し、サステナビリティ関連のリスク及び機会の識別・評価を進めております。
識別・評価したリスク及び機会に対して策定した対応策については、各部でその優先度や重要性に応じて進捗状
況のモニタリングを行い、必要な対応を検討しております。
その中でも、「気候変動への対応」を重要な課題の一つと認識し、2024年度はCO2排出量実績の国内グループの
スコープ3への拡大、国内即席麺事業及び低温食品事業を対象に、TCFDに基づく開示を行いました。上記の結果
は、CSR広報部担当役員より、取締役会へ報告されております。
また、2025年度以降のリスク管理における体制につきましては、「(1)ガバナンス」に記載のとおりでありま
す。
なお、東洋水産グループは、2025年4月1日付で、当社行動規範と品質、環境、人権、調達、情報セキュリティ
に関する方針を制定しております。
これらは、従前の行動規範の制定から時間が経過したため、現在の社会情勢を踏まえて、各事項に対する当社の
基本的な方針を改めて制定したものであり、今後のサステナビリティ課題の評価においても、これらを考慮してま
いります。
(3)戦略
上記のとおり、東洋水産グループは、東洋水産グループの事業に関するサステナビリティ課題全般に関連するリスク及び機会を識別・評価し、その対応策の検討に取り組んでおります。
現状では、国内事業における環境関連のサステナビリティ課題について優先的に分析を実施し、重要なリスク及び機会を選定しております。他方、海外の環境関連、及び国内・海外双方の環境以外に関連するサステナビリティ課題については、未だ分析中であるため、重要なリスク及び機会の特定には至っておりません。
国内事業における環境関連のサステナビリティ課題に対する分析の結果、特定したリスク及び機会のうち、原則として財務的影響が大きく、優先度が高いものを開示しておりますが、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針については、財務的影響の大きさに関わらず、東洋水産グループにとって重要と考えられる方針について開示しております。
①気候変動に関する戦略について
気候変動に関するリスク及び機会の識別・評価にあたっては、シナリオ分析を実施しております。シナリオ分析の対象は、東洋水産グループの事業として重要な位置づけにある国内即席麺事業及び低温食品事業とし、2030年度時点における移行リスク、物理リスク及び機会を特定し、その財務的影響と対応策を検討いたしました。リスクシナリオとして既存の政策と規制のまま推移する2100年の温度が4℃上昇する世界である4℃シナリオと、2100年の温度上昇を1.5℃以下に抑制する1.5℃シナリオという2つの外部シナリオを想定いたしました。
今回実施した気候関連のリスク及び機会のシナリオ分析の前提条件は次のとおりであります。
|
対象範囲 時間軸 |
国内即席麺事業、低温食品事業 2030年度 |
|
|
想定内容 |
参照シナリオ※ |
|
1.5℃シナリオ |
2100年の世界平均気温の上昇を産業革命前比で1.5℃に抑えるために、脱炭素に 向けた政策・規制の導入、技術開発、 またステークホルダーの意識変容が進展するシナリオ。 |
•IEA Net Zero Emissions (NZE) •IPCC SSP 1-1.9 |
|
4℃シナリオ |
2100年の世界平均気温が産業革命前比で4℃上昇し、気象災害が増加するシナリオ。政策・規制、技術、ステークホルダーの意識や行動は既存のまま推移すると想定。 |
•IEA Stated Policies Scenario (STEPS) •IPCC SSP 5-8.5 シナリオ |
※ 参照シナリオの概要
IEA NZE…世界エネルギー機関(IEA)による1.5℃相当シナリオ。2050年にネットゼロを達成するシナリオ。
IEA STEPS…世界エネルギー機関(IEA)による4℃相当シナリオ。既存の政策のまま追加的な施策がなく推移するシナリオ。
IPCC…気候変動に関する政府間パネル。
IPCC SSP1-1.9…IPCCによる1.5℃相当シナリオ。2050年頃にCO2排出量が実質ゼロになり、2100年時点の気温上昇が1.5℃に抑えられる。
IPCC SSP5-8.5…IPCCによる4℃相当シナリオ。CO2排出量、平均気温ともに上昇し続け、2100年にかけて4℃以上気温上昇すると想定。
シナリオ分析によって特定されたリスク及び機会のうち、財務的影響が大きく、優先度の高い項目とその対応策は下記のとおりであります。
|
カテゴリー |
リスクの内容 |
関連する事業 |
関連する バリューチェーン上の プロセス |
対応策 |
財務的影響 |
|
気候変動 (移行リスク) |
カーボンプライシング導入の場合、上流取引先のコスト 増加分が価格転嫁され、原材料の調達コストが増加する。 |
国内即席麺事業 低温食品事業 |
原材料調達 購買物流 |
包装材の省資源化
認証パーム油など環境 負荷の少ない原材料活用 |
大 |
|
気候変動 (移行リスク) |
カーボンプライシング導入の場合、製造拠点での製造 コストが増加し、製品への 価格転嫁が進まない場合、 収益低下リスクとなる。 |
国内即席麺事業 低温食品事業 |
製造 全般管理 |
代替燃料や自然冷媒への切替
製造工程の効率化等、 製造プロセスにおける 省エネ化
製造の知識・技術の伝承
再生可能エネルギーの 導入拡大 |
大 |
|
気候変動 (物理的リスク) |
温暖化の進行に伴う災害の 多発による原材料の不作、 価格高騰、供給難による資材変更、調達先の見直しによるコストが増加する。
環境負荷に関する社会的な 要求事項が高まり、環境負荷の低い原材料を利用せざるを得なくなり、調達コストが 増加する。 |
国内即席麺事業 低温食品事業 |
商品企画 原材料調達 |
調達先の地理的分散の 推進
認証パーム油の調達率の向上
代替原材料の研究開発
原材料の共通資材化の 推進
包装材の省資源化 |
大 |
※ 予想する財務的影響が10億円以上のものを財務的影響「大」としています。
②人的資本に関する戦略について
企業が業績を上げ、維持、発展していくためには、社員の成長が欠かせないと考え、社員教育は重要な経営課題と捉えており、社員の成長を支援する制度を整えております。
また、会社を支えているのは社員一人ひとりであり、会社が成長し続けるためには社員が健康で、安心して活き活きと働ける職場環境を整備することが重要と考えております。
人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、優先度の高い項目とその対応策は下記のとおりであります。
|
カテゴリー |
リスクの内容 |
関連する事業 |
関連するバリューチェーン 上のプロセス |
対応策 |
|
人材育成 |
専門人材不足
コンプライアンス遵守が困難になる |
グループ全事業 |
グループ全従業員 |
人材育成の強化を図るため、 各年代別の教育制度を構築、実施※1 |
|
社内環境整備 |
優秀な人材の確保が困難に なる
社員エンゲージメントの低下による生産性の低下 |
グループ全事業 |
グループ全従業員 |
職場環境の改善
社内啓発活動
マネジメント層の勉強会 (課長以上) ※2 |
※1 対応策の対象範囲は、国内グループであります。海外グループについては雇用環境が異なることから育成方針も
異なり、現在、現地の環境に応じた適切な対応策に関して分析中であります。
※2 対応策の対象範囲は、国内の主要なグループ会社(持分法適用会社を除く)である東洋水産㈱及びユタカフーズ㈱
となります。
東洋水産グループは、人材多様性に関する社内環境整備方針に係る国内グループの対応策を策定中となります。
現在は、国内の上場会社である2社を優先して対応しており、今後国内の他のグループ会社(持分法適用会社を
除く)の対応策の策定を進める方針であります。
また、海外グループについては雇用環境が異なることから、現在、現地の環境に応じた適切な対応策に関して分析中であります。
(4)指標及び目標
東洋水産グループが設定した気候変動及び人的資本に関する指標及び目標は下記のとおりであります。
①気候変動に関する指標及び目標について
|
対応策 |
項目 |
2030年度目標 |
2024年度指標 |
|
・包装材の省資源化 ・認証パーム油など環境負荷の少ない原材料活用 ・代替燃料や自然冷媒への切替 ・製造工程の効率化等、製造プロセスにおける省エネ化 ・製造の知識・技術の伝承 ・再生可能エネルギーの導入拡大 ※6 |
CO2排出量(原単位) ※2、3、4 |
20%削減※1 |
22.2%削減 |
|
フロン漏洩量 (CO2換算) ※2、5 |
85%削減※1 |
69.4%削減 |
|
|
・認証パーム油の調達率の向上 |
認証パーム油への代替率 ※2 |
100% |
81.6% |
※1 基準年度は2018年度となります。
※2 指標及び目標の対象範囲は、CO2排出量及びフロン漏洩量については国内グループ全体であり、認証パーム油への
代替率については国内及び海外グループ全体であります。
※3 CO2排出量の対象範囲はScope1、Scope2及びScope3の一部(自社商品配送に伴う排出量)であります。
※4 CO2排出量のうち、Scope3については、自社商品配送による排出量を除き、国内の実績値を把握し始めたところ
であり、今後は海外について実績値の把握を進めるとともに、その実績値の推移を踏まえて国内・海外ともに目標を設定する方針であります。
※5 フロン漏洩量について影響が大きい冷蔵事業、低温食品事業が国内中心であるため、国内を対象として目標を設
定し、施策を進めております。
※6 調達先の地理的分散の推進、代替原材料の研究開発、原材料の共通資材化の推進、包装材の省資源化について
は、取組を行っているものの、グループとしての具体的な目標については設定しておりません。今後、取組を進める中で検討し、目標を設定する方針であります。
CO2排出実績・・・Scope1、2、3別の総量実績
Scope1、2 (千t-CO2)
|
|
|
2023年度 |
2024年度 |
|
国内 |
Scope1 |
78.5 |
79.5 |
|
Scope2 |
87.5 |
91.6 |
|
|
Scope 1+2(合計) |
166.0 |
171.1 |
|
|
海外 |
Scope1 |
88.5 |
88.8 |
|
Scope2 |
27.3 |
27.0 |
|
|
Scope 1+2(合計) |
115.9 |
115.9 |
※ CO2排出量算出の根拠
電力:電気事業連合会2009年度実績に基づく使用端CO2排出原単位(0.351㎏-CO2/kWh)を使用。
電力以外:地球温暖化対策の推進に関する法律の換算係数を使用。
使用冷媒:環境省「フロン類算定漏えい量の算定・報告に用いる冷媒種類別GWP一覧」を使用。
※ 四捨五入表記のため、数値の和と合計が一致しない場合があります。
Scope3(国内のみ) (千t-CO2)
|
|
|
2022年度 |
2023年度 |
|
購入した製品・サービス |
カテゴリー1 |
701.7 |
669.6 |
|
資本財 |
カテゴリー2 |
31.1 |
39.1 |
|
Scope1、2以外の燃料 及びエネルギー活動 |
カテゴリー3 |
35.5 |
33.9 |
|
輸送・配送(上流) |
カテゴリー4 |
40.8 |
35.8 |
|
事業から出る廃棄物 |
カテゴリー5 |
3.7 |
3.7 |
|
出張 |
カテゴリー6 |
0.6 |
0.5 |
|
雇用者の通勤 |
カテゴリー7 |
2.3 |
2.3 |
|
リース資産(上流) |
カテゴリー8 |
対象外 |
対象外 |
|
輸送・配送(下流) |
カテゴリー9 |
2.9 |
3.4 |
|
販売した製品の加工 |
カテゴリー10 |
対象外 |
対象外 |
|
販売した製品の使用 |
カテゴリー11 |
- |
77.0 |
|
販売した製品の廃棄 |
カテゴリー12 |
4.3 |
3.6 |
|
リース資産(下流) |
カテゴリー13 |
0.9 |
0.9 |
|
フランチャイズ |
カテゴリー14 |
対象外 |
対象外 |
|
投資 |
カテゴリー15 |
対象外 |
対象外 |
|
合計 |
|
|
|
※ 対象組織は、東洋水産グループの国内生産工場・冷蔵倉庫・オフィス。
※ 環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(ver.2.7)」
に基づき算定。
※ カテゴリー4、9については2023年度より新たにベンダー工場分を追加して算定。
※ カテゴリー11については2023年度より算定。
②人的資本に関する指標及び目標について
|
対応策 |
項目 |
目標 |
指標 |
|
・人材育成の強化を図るため、 各年代別の教育制度を構築、 実施※1 |
|
|
|
|
・職場環境の改善
・社内啓発活動
・マネジメント層の勉強会 (課長以上) ※2 |
東洋水産㈱ |
※4 |
|
|
|
|
女性社員の平均勤続年数
|
|
|
|
|
男性の育児休業取得率
|
|
|
女性管理職比率※3 |
毎期 前年比増 |
女性管理職比率 6.9%(前年比0.2%増) |
|
|
ユタカフーズ㈱ |
|
|
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|
女性管理職比率 |
2025年度までに 10.0% |
女性管理職比率 11.8% |
|
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男性の育児休業取得率 |
2025年度までに 30.0% |
男性の育児休業取得率 0.0% |
|
|
教育制度利用率 |
2025年度までに 15.0% |
教育制度利用率 10.1% |
※1 指標及び目標の対象範囲は、対応策の対象範囲と同じ国内グループであります。海外グループについては今後、
対応策の対象範囲の拡大と併せて目標を設定する方針であります。
※2 指標及び目標の対象範囲は、対応策の対象範囲と同じ東洋水産㈱及びユタカフーズ㈱となります。国内の他のグ
ループ会社(持分法適用会社を除く)及び海外グループについては今後、対応策の対象範囲の拡大と併せて目標を設定する方針であります。
※3 課長級以上の役職者を管理職としております。
※4 東洋水産㈱の目標は2025年4月1日に見直しを行い、上記の目標について下記のとおり更新しております。
(期間2025年4月1日~2028年3月31日)
①男性の育児休業取得率を50%以上とする
②管理職に占める女性労働者の割合を10%以上とする
なお、女性社員の平均勤続年数については当初設定した目標に対して進捗が順調であることから、見直し後の目
標には含めず、今後はモニタリングを行いながら、更なる向上を図ってまいります。
(5)その他の環境保全に関する取組
財務的影響が大きくない項目についても、環境保全を推進すべく、取組を推進しております。
具体的には、環境負荷低減に向けた取組として、産業廃棄物の再資源化、食品ロスの削減、水資源の保全、持続可能な資材の調達の推進等を行っております。
各取組に関する詳細については、東洋水産グループコミュニケーションレポート2025をご参照ください。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」という。)に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 短期・中期の視点から経営戦略・経営成績等に影響を与える可能性のある重要なリスク
① 経済状況
当社グループは、加工食品を中心とした食品製造販売業を営んでおります。そのため、家畜伝染病、残留農薬問題等の食品に係る諸問題の発生が、輸入量の減少、仕入価格の高騰、消費の低迷等を引き起こし売上高等に影響を与える可能性があります。当社グループは消費者の不信を取り除き、安心して購入していただけるようにISOの認証取得及び製品情報管理システムの構築等を積極的に推進するとともに、より一層の原材料等の管理体制の強化を図っておりますが、自然又は人為的な諸問題により影響を受ける可能性があります。
また、食品業界全体が、依然として商品単価の変動が続き、販売競争がますます厳しくなっております。このような厳しい販売競争に対応するために、当社グループは、生産・物流体制の再構築を進め、より一層のコスト削減並びに積極的な営業活動を推進しておりますが、所得の伸び悩み等から消費者心理の低迷等消費動向に影響を受ける可能性があります。
② 為替レートの変動
当社グループは、米州に連結子会社があり、特に米国のマルチャン,INC.及びメキシコのマルチャン デ メヒコ,S.A. de C.V.は連結売上高に占める割合が10%を超える重要な連結子会社であります。また、水産食品事業においては海外の連結子会社をはじめ輸出入取引を行っております。
このような中、輸出入取引においては為替レートの変動によるリスクをヘッジすることを目的として、為替予約等を行い為替の変動による影響を最小限にしております。しかしながら、予測を超えて急激に為替レートが変動した場合には当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは連結財務諸表作成のため連結決算日の直物為替相場により円貨に換算しており、期初に想定した為替レートに対する変動が当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
なお、在外子会社の重要性が増してきたため、一時的な為替相場の変動による損益等への影響を緩和し、在外子会社の業績をより適切に連結財務諸表に反映させることを目的として、翌連結会計年度から在外子会社等の収益及び費用について、期中平均為替相場により円貨に換算する方法に変更する予定であります。
③ 市場環境
当社グループの事業の中心となっている国内即席麺事業等において、特に即席麺類の分野では業界全体で年間何百種類という新商品が発売されており、商品サイクルが非常に短い状況となっております。このような状況下で、当社グループにおいても消費者の健康志向の高まり等消費者ニーズにあった商品開発に注力しております。
当社グループが業界や消費者ニーズの変化を十分に予測できず、消費者に受け入れられる魅力ある新商品の開発ができない場合には、将来の成長と収益性を低下させる可能性があります。
④ 販売価格
当社グループの国内即席麺事業等においては、末端の小売価格の変動に伴い、当社グループの卸売価格が影響を受けることがあります。また、各分野におけるシェアの確保等販売競争の厳しさが増す中で、値引リベート、特売費等の販売促進費が増加し、収益を圧迫する要因となっております。既存競合先間の提携等により市場におけるシェアが大きく変動するようなことが起これば、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。なお、原材料価格や動力費等の上昇を補うため、価格改定を行うことがあり、その反動として販売数量が減少する可能性があります。
当社グループの水産食品事業は、漁獲量等により市場価格が変動し、これが販売価格にも影響を与え、これにより当社グループの収益に影響を与える可能性があります。また、国内即席麺事業等の一部の原材料(小麦粉等)や加工食品事業に含まれる米飯事業の米価も同様に収穫高等による市場価格の変動の影響を受け、これが製造コストに影響し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑤ 製品事故
当社グループは、ISOの認証取得、製品情報管理システムの構築、トレサビリティ管理等安全な食品作りに積極的に取り組んでおりますが、原材料の腐敗や農薬等の問題、製造工程での異物の混入、アレルゲン問題、流通段階での破袋等によるカビの発生等、製品事故が発生する可能性があります。当社グループにおいてもこれらの製品事故を未然に防ぐための設備の充実、管理体制の強化等を図っておりますが、製品事故が発生する可能性があります。そのため製造物責任賠償保険等にも加入しております。
万が一製造物責任賠償につながるような大規模な製品事故が発生した場合には、製品回収等多額のコストの発生や当社グループの評価に影響を与え、それによる売上高の減少等当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑥ 天候及び自然災害等の影響
当社グループの販売する製品には猛暑、冷夏、暖冬等の天候により売上高に影響を受けるものがあります。また、製造拠点における大規模な地震や台風等の自然災害により生産設備に損害を被った場合、並びに、それらに起因する電力供給量の低下等のインフラ使用制限等の影響を受けた場合、操業中断による製造能力低下に伴う売上高の減少、設備の修復費用の増加等により当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑦ 情報システム
当社グループでは適切なシステム管理体制をとっております。当社グループではコンピュータウイルス対策や情報管理の徹底を進めておりますが、予測不能のウイルスの侵入、情報システムへの不正アクセス及び運用上のトラブル等により情報システムに障害が発生する可能性があります。その場合、顧客対応に支障をきたし、それに伴う費用発生等により当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
(2) 中期・長期の視点から経営戦略・経営成績等に影響を与える可能性のあるリスク
① 製品の海外での委託製造
当社グループの水産食品及び冷凍食品類の一部の製品において、海外の会社に製造を委託し、製品を仕入れております。その際に各製造委託会社が所在する国により、食品衛生等に関する法的基準の相違、食品衛生に対する意識の違いから、日本における食品衛生等の法的基準に適合しない農薬等の薬品使用等による製品事故が発生する可能性があります。また、当社グループにおいてもこれらを未然に防ぐために日本の基準の教育・指導の徹底、現地での立会い及び製品検査等の強化を図っておりますが、製品事故が発生する可能性があります。
日本の食品衛生等に関する法的基準に適合しない製品が発生した場合には、製品回収及び廃棄処理等の多額の費用の発生や当社グループの評価に影響を与え、それによる将来の売上高減少等当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
② 公的規制
当社グループは各事業活動において食品衛生、食品規格、通商、独占禁止、特許、消費者、租税、環境、リサイクル関連等の法規制の適用を受けており、当社グループはこれらの規制を遵守しております。不測の事態でこれらの規制を遵守することが出来なかった場合、事業活動が制限される可能性があり、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
③ 世界的なインフレ傾向の継続
当社グループは各事業活動において原材料費や人件費等、多くのコストが生じております。昨今の世界的なインフレ傾向が継続するとこれらコストの増大を招く可能性があり、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
④ 人手不足
当社グループの各事業活動の継続には人的資本が必要不可欠であります。長期的に労働人口の減少が続く中、
事業の継続に必要な人手を確保出来なかった場合、事業活動が制限される可能性があり、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑤ 物流課題
当社グループの各事業活動の継続には安定した物流網が必要不可欠であります。2024年問題等に代表される物流危機等の影響で事業の継続に必要な安定した物流網の構築が出来なかった場合、事業活動が制限される可能性があり、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
1.経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、一部に足踏みもみられますが、緩やかに回復する状況にありました。
先行きにつきましては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期
待されますが、物価上昇やアメリカの政策動向及び金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。
このような状況の中、当社グループは「Smiles for All.すべては、笑顔のために。」という企業スローガンの下で「食を通じて社会に貢献する」「お客様に安全で安心な食品とサービスを提供する」ことを責務と考え取り組むとともに、厳しい販売競争に対応するため、より一層のコスト削減並びに積極的な営業活動を推進してまいりました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は507,600百万円(前年同期比3.8%増)、営業利益は75,488百万円(前年同期比13.2%増)、経常利益は83,919百万円(前年同期比12.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は62,867百万円(前年同期比13.0%増)となりました。
なお、当連結会計年度の為替換算レートは149.53円/米ドル(前連結会計年度は151.33円/米ドル)であります。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
① 水産食品事業
水産食品事業は、円安による原料価格の上昇等があったものの、既存顧客に対する積極的な営業活動による販売数量の伸長等から増収となりました。その結果、売上高は30,333百万円(前年同期比2.6%増)、セグメント利益は、利益率の高い商材の販売数量の伸長や、原料価格が安定したことで仕入コストを抑えられた商材もあったこと等により854百万円(前年同期比113.6%増)となりました。
② 海外即席麺事業
海外即席麺事業は、米国では下半期における経済不安や競合他社の積極的な営業活動により伸び悩みはあったものの、足元では回復傾向となり、通期では前年度を上回りました。メキシコでは価格改定や紙カップへの移行を進めながらも、カップ麺は堅調、袋麺は拡売により好調に推移いたしました。なお、年間を通して工場では安定した供給を継続できております。その結果、売上高は229,276百万円(前年同期比3.6%増)、セグメント利益は、運送費や人件費等の増加はあったものの、原材料費の減少や価格改定及び販売数量の伸長による売上高の増加等により54,412百万円(前年同期比17.5%増)となりました。
③ 国内即席麺事業
国内即席麺事業は、改定後の価格が浸透したこともあり、主力商品を中心に好調に推移いたしました。カップ麺では主力商品の「赤いきつねうどん」「緑のたぬき天そば」が堅調だったほか、「麺づくり」シリーズにて9月にリニューアル発売をした効果等により増収となりました。袋麺では「マルちゃん正麺」シリーズが堅調だったほか、「マルちゃんZUBAAAN!」シリーズも新商品の発売が寄与し、好調に推移いたしました。その結果、売上高は103,033百万円(前年同期比2.9%増)、セグメント利益は、人件費等の増加はあったものの、売上の拡大等により9,824百万円(前年同期比1.2%増)となりました。
④ 低温食品事業
低温食品事業は、主力商品の積極的な拡売と新商品の発売により堅調に推移いたしました。生麺では主力商品の「マルちゃん焼そば3人前」シリーズにてキャンペーン等の販売促進に加え、季節限定品の発売によりシリーズの活性化を図りました。その他の商品では夏季の涼味商品の伸長に加え、うどん関連では「玉うどん3食入り」シリーズの需要拡大により増収となりました。冷凍食品では産業給食や外食・行楽関係の需要拡大により冷凍麺等の業務用商品が伸長し、惣菜向け商品等の販売も拡大いたしました。その結果、売上高は59,831百万円(前年同期比5.2%増)、セグメント利益は、人件費や運送費、動力費等の増加はあったものの、売上の拡大等により8,044百万円(前年同期比8.3%増)となりました。
⑤ 加工食品事業
加工食品事業は、米飯商品を中心に需要が高まり、販売数量、金額ともに伸長いたしました。米飯商品では11月に価格改定を実施いたしましたが、米不足等の影響により需要の高い状況が続き、無菌米飯商品、レトルト米飯商品ともに好調に推移したことで増収となりました。フリーズドライ商品では主力商品の「素材のチカラ」シリーズが好調だったほか、秋冬にカップスープの新商品を発売したこと等で増収となりました。その結果、売上高は22,151百万円(前年同期比9.9%増)、セグメント利益は、売上の拡大等による影響はあったものの、主に原料米の価格高騰による原材料費等の増加により27百万円(前年同期比96.3%減)となりました。
⑥ 冷蔵事業
冷蔵事業は、物価上昇や円安の影響等により、輸入品は低調な荷動きとなりましたが、国内品を中心とした保管や関連する運送、付帯作業等の取扱いが堅調だったことに加え、各料金の価格改定を進めたことにより増収となりました。その結果、売上高は25,367百万円(前年同期比5.7%増)、セグメント利益は、設備更新等による減価償却費や物価上昇による人件費、運送費等の増加により2,274百万円(前年同期比0.4%減)となりました。
⑦ その他
その他は、主に弁当・惣菜事業であります。売上高は37,606百万円(前年同期比1.4%増)、セグメント利益は815百万円(前年同期比94.8%増)となりました。
また、当連結会計年度における経営成績の状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① 為替変動の影響
前連結会計年度からの為替レートの変動により、当連結会計年度の売上高は2,759百万円の減少、営業利益は606百万円の減少と試算されます。ただし、この試算は、当連結会計年度の外貨建の売上高、売上原価、販売費及び一般管理費を前連結会計年度末の直物為替相場により円貨に換算して算出したものであり、為替変動に対応した販売価格の変更の影響は考慮されておりません。
② 売上高
連結売上高は、前連結会計年度に比べ3.8%増収の507,600百万円となりました。これは主に、海外即席麺事業が増収となったことによるものであります。
③ 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、原材料価格及び人件費が上昇してきたことにより、前連結会計年度に比べ2.1%増加し、356,291百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、運送費及び保管費が増加したこと等から前連結会計年度に比べ3.3%増加し、75,820百万円となりました。
④ 営業利益
営業利益は、上記のとおり、主に海外即席麺事業が増収となった結果、前連結会計年度に比べ13.2%増益の75,488百万円となりました。
⑤ 営業外損益
営業外収益は、受取利息が増加したこと等から前連結会計年度に比べ2.2%増加し、8,929百万円となりました。
営業外費用は、貸倒引当金繰入額が減少したこと等から前連結会計年度に比べ8.5%減少し、499百万円となりました。
⑥ 特別損益
特別利益は、投資有価証券売却益が増加したこと等から前連結会計年度に比べ91.3%増加し、713百万円となりました。
特別損失は、減損損失が減少したこと等から前連結会計年度に比べ62.3%減少し、773百万円となりました。
⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ13.0%増益の62,867百万円となりました。
これにより、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の544.95円に対し、当連結会計年度は626.41円となりました。
(2) 財政状態の状況
当社グループの当連結会計年度末における総資産は594,978百万円で、前連結会計年度末に比べ23,983百万円(4.2%)増加しました。
当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① 流動資産
流動資産は、前連結会計年度末に比べ4,177百万円(1.2%)増加し、366,721百万円となりました。これは主に、有価証券が65,000百万円減少しましたが、現金及び預金が67,763百万円増加したことによるものであります。
② 固定資産
固定資産は、前連結会計年度末に比べ19,806百万円(9.5%)増加し、228,256百万円となりました。これは主に、建設仮勘定が17,731百万円増加したことによるものであります。
③ 流動負債
流動負債は、前連結会計年度末に比べ3,454百万円(4.9%)増加し、73,300百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が2,516百万円増加したことによるものであります。
④ 固定負債
固定負債は、前連結会計年度末に比べ1,419百万円(5.3%)増加し、28,033百万円となりました。これは主に、その他が1,827百万円増加したことによるものであります。
⑤ 純資産
純資産は、前連結会計年度末に比べ19,110百万円(4.0%)増加し、493,644百万円となりました。これは主に、自己株式の取得に伴う自己株式の増加により23,942百万円減少しましたが、利益剰余金が43,663百万円増加したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ2,684百万円減少し、39,381百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ8,281百万円増加し、78,779百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が増加したことによるものであります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ13,681百万円減少し、40,057百万円となりました。これは主に、定期預金の預入による支出、有形固定資産の取得による支出が増加、有価証券の売却及び償還による収入が減少しましたが、定期預金の払戻による収入が増加、有価証券の取得による支出が減少したことによるものであります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ30,822百万円増加し、43,536百万円となりました。これは主に、自己株式の取得による支出、配当金の支払額が増加したことによるものであります。
(4) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
水産食品事業 |
12,278 |
103.4 |
|
海外即席麺事業 |
187,486 |
100.9 |
|
国内即席麺事業 |
117,912 |
105.6 |
|
低温食品事業 |
58,698 |
103.7 |
|
加工食品事業 |
31,274 |
110.6 |
|
その他 |
36,543 |
102.8 |
|
合計 |
444,192 |
103.3 |
(注)1 金額は、販売価格によっております。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
その他 |
30,578 |
101.0 |
- |
- |
|
合計 |
30,578 |
101.0 |
- |
- |
(注)1 当社製品は主として見込生産によって製造されております。
2 受注生産を行っている主な連結子会社は、㈱フレッシュダイナー、ミツワデイリー㈱、㈱シマヤであります。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
水産食品事業 |
30,333 |
102.6 |
|
海外即席麺事業 |
229,276 |
103.6 |
|
国内即席麺事業 |
103,033 |
102.9 |
|
低温食品事業 |
59,831 |
105.2 |
|
加工食品事業 |
22,151 |
109.9 |
|
冷蔵事業 |
25,367 |
105.7 |
|
その他 |
37,606 |
101.4 |
|
合計 |
507,600 |
103.8 |
(注)1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
|
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
販売高(百万円) |
割合(%) |
販売高(百万円) |
割合(%) |
|
|
三井物産㈱ |
123,978 |
25.4 |
129,034 |
25.4 |
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標を売上高、営業利益としており、前3ヵ年中期経営計画の最終年度である2025年3月期において、売上高510,000百万円、営業利益72,000百万円を目指しておりました。
前3ヵ年中期経営計画の最終年度である2025年3月期の達成状況は次のとおりであります。
売上高は計画比2,399百万円減の507,600百万円、営業利益は計画比3,488百万円増の75,488百万円となりました。売上高、営業利益ともに海外即席麺事業が牽引し、過去最高の売上高、営業利益を達成いたしました。
また、前3ヵ年中期経営計画の当連結会計年度における達成状況をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
① 売上高
|
セグメントの名称 |
2025年3月期計画(百万円) |
2025年3月期実績(百万円) |
2025年3月期計画比(百万円) |
|
水産食品事業 |
29,700 |
30,333 |
633 |
|
海外即席麺事業 |
235,000 |
229,276 |
△5,723 |
|
国内即席麺事業 |
103,500 |
103,033 |
△466 |
|
低温食品事業 |
58,500 |
59,831 |
1,331 |
|
加工食品事業 |
21,000 |
22,151 |
1,151 |
|
冷蔵事業 |
24,300 |
25,367 |
1,067 |
|
その他 |
38,000 |
37,606 |
△393 |
|
合計 |
510,000 |
507,600 |
△2,399 |
② 営業利益
|
セグメントの名称 |
2025年3月期計画(百万円) |
2025年3月期実績(百万円) |
2025年3月期計画比(百万円) |
|
水産食品事業 |
500 |
854 |
354 |
|
海外即席麺事業 |
51,500 |
54,412 |
2,912 |
|
国内即席麺事業 |
10,000 |
9,824 |
△175 |
|
低温食品事業 |
7,500 |
8,044 |
544 |
|
加工食品事業 |
500 |
27 |
△472 |
|
冷蔵事業 |
2,000 |
2,274 |
274 |
|
その他 |
900 |
815 |
△84 |
|
調整額 |
△900 |
△763 |
136 |
|
合計 |
72,000 |
75,488 |
3,488 |
(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「1.経営成績等の状況の概要 (3) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループは、3ヵ年中期経営計画において、より積極的な投資と株主還元を両立し、現預金の水準は増やさない方針で進めることとしております。3ヵ年合計で約130,000百万円以上の設備投資と総還元性向70%を目途とした株主還元を予定しており、その所要資金については、3ヵ年合計で250,000百万円を計画している営業キャッシュ・フロー等の自己資金を充当する予定であります。
なお、主要な設備投資と株主還元の詳細は次のとおりであります。
① 主要な設備投資
1.成長投資
(海外即席麺事業)カリフォルニア工場の拡張
(海外即席麺事業)メキシコ工場の新設
(加工食品事業) フリーズドライ工場の拡張
2.効率化投資
(国内即席麺事業)具材設備の整備
(国内即席麺事業)即席麺工場の再編
(低温食品事業) 冷凍食品の強化
(低温食品事業) 生麺工場の再編
3.その他
(冷蔵事業) 自然冷媒への切替
(各事業共通) 基幹システムの統合
(各事業共通) 更新投資
② 株主還元
1.連結配当性向30%超による配当
2.自己株式の取得
(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、商品企画部門や国内外のグループ各社の研究開発部門と連携し、水産食品、即席麺、低温食品、加工食品等様々な商品の研究開発を行っております。
研究開発におきましては、「Smiles for All.すべては、笑顔のために。」というスローガンに基づき、安心・安全を第一においしさの探求に加え、昨今の食を取り巻く社会環境や生活様式の変化、気候変動等に対し、簡便・個食・時短・健康等を追求した商品や、環境に配慮した商品の研究・開発に取り組みました。また、将来を見据えた新たな価値の創造のための基礎研究開発、社会的課題の解決・環境保全等に取り組みました。
研究開発活動の主な内容は、次のとおりであります。
水産食品事業は、コンビニエンスストアやスーパーマーケットのおにぎりや総菜向けに鮭フレークやたらこ、いくら等の業務用水産食品の開発のほか、“魚を手軽に”をコンセプトにした市販用冷凍魚惣菜「Choi Fish」ブランドで新たに「Choi Fishいかと海老と野菜のアヒージョ」、「Choi Fish北海道サーモンのムニエル風」の2品を追加で発売し、8品体制の品揃えとなりました。また、業務用水産食品ではMSC認証を取得しているいくら、すじこ、たらこを用いた商品を発売いたしました。
海外即席麺事業は、主力商品である即席麺において既存商品を継続的に見直し、品質の向上を図るとともに、多様化する消費者の嗜好や時代のニーズに対応するため、「YAKISOBA」、「BOWL」で評価された辛い「FIRE」シリーズを袋麺で新発売し、新しい消費者の開拓に取り組みました。
国内即席麺事業は、発売以来一貫しておいしい麺にこだわってきた「麺づくり」シリーズにおいて、より茹でたての生麺に近い自然な香りのある麺を開発、2024年9月にリニューアル発売し、ブランドの底上げを図りました。また、独自技術により簡便性とお店品質の本格感が味わえる袋麺「マルちゃんZUBAAAN!」シリーズに、まろやかで味わい深いコクスープの「博多豚骨ラーメン」を追加で発売するとともに、シリーズ初となる有名ラーメン店の監修商品「らぁ麺飯田商店監修しょうゆらぁ麺」を発売し、認知度の向上を図りました。縦型カップ麺では本物のおいしさを追求した特許製法の新かため極細麺を開発し、新ブランド「とんこつパラダイス」シリーズより、とんこつラーメン好きに贈る一杯として「濃厚コク豚骨ラーメン」を発売し、市場の活性化に取り組みました。
低温食品事業は、モチっとしたソフトな弾力のある麺が特徴の「懐かしスパ」シリーズ2品を新発売いたしました。「マルちゃんの生ラーメン3人前」シリーズの内の1つである「タンメン」を茹で調理時の湯きりが不要の簡便調理可能な麺にリニューアルいたしました。また、火や電気を使わず、水でほぐすだけで食することができる「つるやか」シリーズでは従来のそば・うどん・そうめん・冷し中華に加え、冷麺を追加で発売し、5品体制の品揃えとなりました。「パリパリ無限」シリーズでは「マルちゃん焼そば3人前」の味を再現した焼そば味を新発売し、話題を呼びました。また、食品ロス削減にもつながる賞味期間延長として、「至福の食卓(細麺)」、「麺上手讃岐風うどん」、「つるやか冷し中華」を15日から21日間へ延長いたしました。これら商品のほか、プラスチック容器の削減等、環境に配慮した改良にも取り組みました。
加工食品事業は、食に対する需要の変化やニーズをとらえ、利便性や簡便性、常温での長期保存性を活かした商品開発に取り組みました。米飯商品では長寿商品の「ふっくら五目釜めし」、「味の一品五目釜めし」の具材や味付けを改良し、よりおいしくリニューアルいたしました。フリーズドライ商品では手頃な価格帯のカップ入りスープとして、「ラーメンスープにかきたまいれたら美味かった 醤油味・塩味」を新発売いたしました。また、たまごを使わないプラントベース商品である「かきたま風スープ」を素材のチカラブランドとして新発売し、様々なニーズや嗜好に合わせたラインナップを図りました。
なお、上記以外にも事業の拡大やグローバル化への取組、また、安心・安全の推進として、国内外の各工場と連携し、原料や製品検査、分析精度の向上・発展に取り組んでおります。さらに、社会課題への取組として、加工原料の再利用の取組や食品ロス軽減のテーマにも取り組んでおります。
当連結会計年度における研究開発費は