第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、次の3要素をグループ理念体系と位置づけております。グループ理念体系により、めざす方向性を明確にし、一貫性をもった事業活動による成長を図っております。

『創業理念』

日本中の家庭が幸福であり、そこにはいつも温かい家庭の味ハウスがある。~幸せな家庭のマーク~

『グループ理念』

食を通じて人とつながり、笑顔ある暮らしを共につくるグッドパートナーをめざします。

『ハウスの意(こころ)』

社是(「誠意・創意・熱意を持とう。」)・ハウス十論で構成

 

(2)経営環境

新型コロナウイルス感染症の拡大は、社会・経済・生活様式に大きな変化を与えることになりました。国内では、内食需要の増加から家庭用製品が伸長したものの、外食需要の減少から一部事業では厳しい状況が続いております。また、生産年齢人口の減少なども雇用・労働環境に影響を与えております。海外では米国・中国・アセアンなどで、引き続き市場の成長が見込まれます。一方、CO2や廃棄物の削減をはじめとした地球環境等の社会問題の解決に向けた取組への要請が強まっております。

このような経営環境の変化へ対応するため、当社グループにおいては、食シーンの変化に柔軟に対応し、ダイバーシティの実現に向けた取組を進展させ、社会から求められる企業市民としての責務を果たしていくことをめざしてまいります。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

当社グループは、現在の中期計画において“「食で健康」クオリティ企業への変革”をハウス食品グループのめざす姿と位置づけ、事業面だけではなく、グループ理念のベースとなる「お客様に対して」「社員とその家族に対して」「社会に対して」という、企業市民として果たすべき「3つの責任」の全てにおいて、クオリティ企業への変革を進めるための取組を推進しております。

本年4月からスタートする第七次中期計画では、“「食で健康」クオリティ企業への変革<第2章>4系列バリューチェーンへのチャレンジ”をスローガンに、「1:スパイス系バリューチェーン」の幹を更に太くすると共に、ビタミン、乳酸菌等の「2:機能性素材系バリューチェーン」、豆腐を中心とした「3:大豆系バリューチェーン」、そしてチャレンジ領域である「4:付加価値野菜系バリューチェーン」の育成に努め、経営資源を成長領域へ重点的に配分することで持続的な成長を実現してまいります。

 

●重点取組

「お客様」への責任

■4系列のバリューチェーン(以下「VC」という。)による成長実現

 

既存領域

成長領域

新規領域

スパイス系

VC

生産GOT

◇国内事業の深化

・収益力強化

・生産性向上

BtoB-GOT

◇国内BtoB事業拡大

◇スパイス素材活用技術
の応用

 

スパイスVC-GOT

 

◇スパイス調達変革

 

◇アセアン事業開拓

◇外食事業(国内):

カレー業態の収益性向上

◇中国:事業領域の拡大

◇外食事業:海外エリア拡大

◇アセアン:BtoCカレー

     事業の立ち上げ

機能性素材系

VC

◇国内事業の構造改革

◇BtoC営業機能統合

◇ダイレクト事業の拡大

◇海外ビタミン飲料事業の拡大(タイ→アセアン)

◇乳酸菌事業の海外展開

 (欧州・米国)

大豆系VC

◇米国におけるTOFU事業拡大

・R&D、生産機能強化:LA工場増強、第3拠点検討

◇米国外での事業展開

付加価値

野菜系VC

◇グループ内外の共創によりVC独自のビジネスモデルを創出

(注)1.二重線枠内は、いずれも新規領域として取組を推進するテーマであります。

 

■3つのGOT具現化

第六次中期計画で検討を進めたGOTの取組が第七次中期計画~第八次中期計画で実行フェーズに入る。

1)生産GOT:グループ競争力強化の実現

・グループとして最適な生産マネジメント体制構築。

2)BtoB-GOT:国内BtoBの新たな成長ストーリーを描く

・国内成熟市場における成長実現。

3)スパイスVC-GOT:グローバル競争力のあるスパイスVC構築

・川上(アセアン)起点のグローバル戦略の推進。

 

■共創による新価値創出

テーマ開発力やチャレンジ力を具備したイノベーション体質への変革をめざし、事業開発、R&D、人材開発が三位一体となって新価値創出に取り組む。

1)事業開発

・新規、既存の役割分担を解消。相互をブリッジさせ、グループ全体で新たな成長機会を貪欲に探索。

2)R&D(知の探索)

・技術のオープン化、多面活用への事業観点の育成。

3)人材開発

・チャレンジ人材の発掘・育成と挑戦する風土・機会づくり。

 

社員とその家族に対して

「ダイバーシティの実現」により、生産性を向上させ、社員とグループの成長を共にめざすという第六次中期計画からの考え方を継続し、深掘り、加速させる。

■働きがい変革の実行

・自らの成長のために「働き方変革」から「働きがい変革」へコンセプト進化。

■個性の発揮と融合を強力に支援

・多彩な個性を融合させ、グループシナジーの最大発揮へ(キャリア採用の強化、グループ横断人材交流、グローバル人材育成、キャリア形成支援、女性活躍推進)。

 

社会に対して

「人と地球の健康」をめざして、グローバル視点そしてバリューチェーン全体での取組を加速。

■循環型モデルの構築:VC全体での環境対応

・CO2削減の加速と取組領域の拡大。

・廃棄物削減活動の推進力強化と有価物化の推進。

■健康長寿社会の実現:本業を通じた健康づくりへの貢献

・事業を通じた健康価値の創出。

・未来の健康事業創出のタネを探索。

 

●セグメント別の事業戦略

セグメント

主要な取組

香辛・調味

加工食品事業

◇新価値創出に基づく成長

自由な発想やチャレンジによる領域拡大で成長を実現

◇コア事業としての収益力強化

収益構造変革への取組継続、効果的なマーケティング施策の追求による競争力の確保

◇本業を通じた社会課題解決へのアプローチ

生産部門でのCO2削減・廃棄抑制、レトルトレンジパウチ化によるCO2削減

健康食品事業

◇VC視点でグローバルにビジネスチャンスを掴み、持続可能なビジネスモデルに転換

機能性素材系VC構築に向け、ビタミン飲料、乳酸菌のグローバル展開に注力

◇国内既存事業の立て直し

損益構造改革の実行と新たな顧客接点の構築

海外食品事業

◇成長スピードを加速。地産地消による成長実現に向けて現地完結型経営に転換

・米国事業:更なる成長ステージへの基盤強化(生産供給体制増強・R&D強化)、エリア拡大

・中国事業:間口拡大を契機としたコア事業の持続的成長、現地に適合した事業領域の拡大

・アセアン:BtoCカレー事業の立ち上げにチャレンジするとともに、GOTと連携したBtoBスパイス事業の可能性を追求

・現地完結型経営に向けたガバナンスの強化

外食事業

◇ウィズ/ポストコロナでの国内需要の積極創出

イートイン以外のサービス・接点強化(宅配、ドライブスルー対応、業態開発等)

◇グループシナジーテーマの推進

新カレーソース開発による当社、㈱壱番屋、FCオーナー三者のメリット創出

その他

食品関連事業

◇㈱デリカシェフ:付加価値野菜系VCにおける共創

◇㈱ヴォークス・トレーディング:川上の強みを活かすとともに、VCを繋ぐ機能を発揮

 

●財務戦略

第七次中期計画の期間中に、4系列VCの成長領域へ400億円、既存領域へ200億円、デジタル変革・環境領域へ100億円の、計700億円の事業投資を計画しております。また、当社グループが保有するいわゆる政策保有株式の一部売却を原資とした、120億円の自己株式取得を計画しております。

 

●コーポレート・ガバナンスの強化

当社グループは、内部統制システムを、コーポレート・ガバナンス体制の充実と企業理念・経営目標の実現・達成のための仕組みととらえ、企業価値のさらなる向上と持続的な発展をめざし、グループ経営の視点でリスクマネジメント、コンプライアンスを含めたガバナンス体制の構築と運用の強化を図っております。

会社機関におきましては、監査・監督機能を強化し、コーポレート・ガバナンス体制を一層充実することを目的に、2021年6月25日付で監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行しております。監査等委員会においては、社外取締役4名を含む6名の監査等委員である取締役が、取締役の職務執行の監査を行っており、常勤の監査等委員である取締役2名は、主要なグループ会社の非常勤監査役を兼務することにより、グループにおける監査等委員監査の実効性の確保に努めております。

このほか、独立社外取締役を委員長とし委員の半数以上を独立役員で構成する、指名諮問委員会と報酬諮問委員会の2つの委員会を設置し、取締役の選任・解任、報酬決定の手続きにおける客観性と透明性を確保しております。

内部統制システムがグループとして有効に機能するよう、今後も継続的な改善に取り組んでまいります。

 

(4)目標とする経営指標

第七次中期計画最終年度(2024年3月期)における目標とする経営指標は、次のとおりです。

 

第七次中期計画最終年度

(2024年3月期)目標

売上高

3,050億円

営業利益

260億円

ATO

(総資産回転率)

0.80回

ROS

(売上高営業利益率)

8.5%

EBITDAマージン

13.2%

ROA

(総資産営業利益率)

6.8%

E-ratio

(自己資本比率)

70.6%

ROE

(自己資本当期純利益率)

6.1%

(注)1.2022年3月期の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用するため、上記の目標とする経営指標は当該会計基準等を適用した後の金額となっております。

 

2 【事業等のリスク】

当社グループはグループ理念「食を通じて人とつながり、笑顔ある暮らしを共につくるグッドパートナーをめざします。」の実現に向けて、「3つの責任」(お客様に対して、社員とその家族に対して、社会に対して)の全てにおいて企業市民としての責任を果たしながら、“「食で健康」クオリティ企業への変革”を進めております。

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等(以下「財政状態等」)に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できないまたは問題視されていないリスクの影響を将来受ける可能性があります。当社グループは、これらのリスク発生(顕在化)の可能性を認識し、発生の抑制・回避に努めております。また、リスクが顕在化した際には、経営および事業リスクの最小化に取り組んでまいります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

<新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響>

COVID-19の発生以来、感染拡大と抑制施策が繰り返されるなか、当社グループはライフラインを支える「食」の一翼を担う企業グループとして、継続的に事業を進められるよう定められた流行フェーズ毎の対応ガイドに則ったうえで、業務のあり方の工夫や働く環境の整備等の感染防止に努めております。今後も更なる影響長期化の想定に加え、COVID-19がもたらした社会要請の高まりや生活者の行動変容への対応が必要不可欠と考えております。

 

《事業への影響》

家庭内食機会が拡大する一方、外食事業や業務用製品事業の市場縮小により財政状態等に影響を及ぼすリスクがあります。また、「ウコンの力」等の飲酒シーンと連動性のある製品を有しておりますハウスウェルネスフーズ㈱では、外出自粛、働き方・ライフスタイルの変化に伴い飲酒機会の縮減が継続することで財政状態等に影響を及ぼすリスクがあります。

《バリューチェーン全体への影響》

国内外に多数の製造・事業拠点を有しておりますほか、世界各地から原材料を調達しております。上述の通り感染防止策を講じておりますが、クラスターの発生による事業活動の一時停止や海外調達原料の供給不安等により、製品・サービスの供給に支障をきたすリスクがあります。

《事業の運営・拡大への影響》

COVID-19の環境下では、海外等の訪問が必要な事業投資に対して検討を断念すること、進行が困難になること、想定外の時間を要すること等が想定され、事業拡大が停滞するリスクがあります。投資を判断した案件についても、直接的なコミュニケーションの設定ができず、その後のPMI業務等が円滑に進まないことや時機に見合う判断ができないこと等から財政状態等に影響を及ぼすリスクがあります。なお当社グループでは事業環境の変化を踏まえ、2021年3月期において持分法による投資損失および減損損失を計上しております。

 

(1)お客様に対する責任に関連するリスク

 事業会社として持続的に成長し、世の中に独自の価値を提供し続けるための活動に関する主要なリスクは以下のとおりです。

① 国内市場動向に関するリスク

《背景》

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

当社グループ売上の8割以上を国内販売が占めております。また、香辛・調味加工食品事業においては、ルウカレー等の調理型製品が売上の主軸であり、底流で続く食の外部化の進展により、健康食品事業においては、ライフスタイルの変化により市場縮小の可能性があります。

国内景気の動向や人口の減少が長期的な消費の低迷や販売競争の激化に繋がるリスクがあります。また、左記の市場縮小への対応が遅れることで提供価値が毀損するリスクがあります。

・既存成熟領域での生産性向上による収益力強化、国内外の成長領域への経営資源の重点配分

・スパイスを軸としてバリューチェーン(以下「VC」)上の展開領域を拡大

・グループ横断取組(以下「GOT」)の推進等、グループ内リソースの共有化・効率化による競争力強化、価値提供力向上

・グループとして強みをもつ機能性素材や大豆等について、VC視点でのビジネス創出への注力

・ニューノーマルを想定した事業戦略の検討、提案力強化

② 事業拡大に関するリスク

《背景》

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

当社グループは、2013年の持株会社体制移行後、2015年に㈱壱番屋を、2016年に㈱ギャバンをグループに迎えるなど、VCの拡大を進めております。また2017年にはコーポレートベンチャーキャピタルを設立し、事業シナジーが見込まれる企業への投資を通じた新たな価値基盤の創出に取り組んでおります。その結果、企業買収に伴うのれんや無形資産を計上することがあります。

事業計画の未達や市場環境の変化等によって、期待されるキャッシュ・フローを生み出せない場合、また当初想定したシナジーが得られない場合、企業買収に伴うのれんや無形資産について減損損失等が生じるリスクがあります。

・経営会議等における投資計画の検証(財務的視点での妥当性、事業戦略視点での収益性や成長性リスク等)

・投資実行後のモニタリングルール強化(当初想定に対して事業上の変化が発生する場合には、遅滞なく経営会議に報告し、経営判断を行う等)

・M&A等の事業投資に由来する課題事項の知見蓄積と投資プロセス管理、情報収集力の強化

③ 技術革新に関するリスク

《背景》

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

成熟した食品産業においては、既存の事業競合に加え、異業種参入や新技術の台頭により競争環境も多様化しております。

お客様や社会が直面する課題の解決に繋がるR&D機能の強化やデジタル化への対応に努めておりますが、こうした対応が遅れた場合、競争優位性が低下し、提供価値が陳腐化するリスクがあります。

・R&D重点領域およびテーマの設定と経営資源の集中投下

・イノベーション創出力と実現力向上への意識改革、風土醸成

・グループ企業間の技術課題の解決だけでなく、事業創造を目指したVC間の連携強化

・オープンイノベーションを通じた共創戦略の推進

・デジタル投資の積極化による基盤構築と新価値創出

 

④ 海外事業展開に関するリスク

《背景》

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

進出各国においてカレー製品、豆腐製品、機能性飲料製品等の事業を展開しておりますが、食文化は元来保守的な性質を有しており、進出各国の食文化へ浸透、定着には、緻密な事前調査や継続的な事業基盤の強化が必要不可欠です。また、連結財務諸表作成のため、各エリアの現地通貨で作成された財務諸表を円換算しており、中長期的な為替変動の影響があります。

進出各国の食文化への浸透、定着が想定を下回ることで事業計画の遅れや減損損失が生じる恐れがあります。

また、事業規模に見合う経営基盤の構築や整備の遅れ、各国法令の発布や改正への対応の遅れ、カントリーリスク顕在化等により、利益創出力の低下、ガバナンス不全等が生じるリスクがあります。

・食文化の受容性や認知度に関する緻密な市場調査に基づいた市場ポテンシャルの予測

・経営マネジメント人材の継続的な育成・確保、外部機関とも連携した各国法令情報の収集等による事業基盤の強化

・グループ本社と海外事業会社が連携した、事業規模に応じたリスクマネジメント体制の構築・整備

・複数エリアへの事業展開を進めることで事業基盤を分散、カントリーリスク低減を図る

⑤ 食の安全・安心に関するリスク

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

価値ある商品やサービスをお客様に安全・安心に提供し続けるために、グループ一丸となって品質の維持・向上に取り組んでおりますが、万一、製品、サービスの品質トラブルが発生した場合には、企業ブランドの毀損、社会的信用の失墜、対応に係るコスト増加のリスクがあります。

・グループ品質保証会議・グループ品質保証責任者会議を中心としたグループ全体での品質保証体制の強化・推進

・グループ会社の特性に応じたISO9001やFSSC22000等の国際的な品質・食品安全マネジメントシステムの取得および運用

・原材料をはじめとする法規制やお客様の食品安全への関心事等に関連する品質リスク情報のマネジメント

・食の安全・安心をテーマとした学習会を通じた人材育成

・プロフェッショナル表彰制度等を通じ、品質を重視する組織風土を醸成

・お客様の声を反映する活動を通じた、商品設計から販売に至る各工程における品質保証の向上

・製品パッケージやWEB等を通じた分かりやすい情報開示の徹底

 

(2)社員とその家族に対する責任に関するリスク

 当社グループの中長期的な成長には、多様な価値観や専門性を持つ社員一人ひとりの活躍が欠かせません。社員が仕事を通じて豊かな人生を過ごしていけるように幅広く、力強く支援するための活動に関する主要なリスクは以下のとおりです。

① 多様性のある人材の確保、育成、活躍に関するリスク

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

グループ各社の特性や成長ステージ、また、GOTの具現化やグローバルな事業領域拡大に応じた人材を適切に確保・育成できないこと、価値観の多様性を尊重する組織風土が醸成できないことは、イノベーション創出力の毀損、事業における機会損失や優秀人材の流出を起こすリスクがあります。

・多様な個性を持つ社員一人ひとりが能力を発揮できる人事制度の整備や仕事の進め方の変革(自らの成長のために「働き方変革」から「働きがい変革」へ)

・性別、国籍、キャリア、障がいの有無等を問わず、多彩な人材が活躍できる組織風土づくり

・グループ内外で人材交流を推進、人材育成プロセスの強化

・差別やハラスメントのないコンプライアンスを順守する職場環境づくり

・社内公募制、チャレンジ賞等を通じた、社員のチャレンジへの支援

・各種学習支援制度、社内研修の拡充による学びの場づくり

・社員の健康支援制度

 

(3)社会に対する責任に関連するリスク

 社会に存在する企業市民として、本業を通じて社会の様々な課題解決に貢献するための活動に関する主要なリスクは以下のとおりです。

① 持続可能な原材料調達に関するリスク

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

当社グループはスパイスをはじめ様々な原材料を世界各国から調達しております。

原材料の調達にあたっては、国際的な需要の拡大に伴う食資源の調達競争の激化や需給動向の変化、気候変動や地政学的リスク、VCの各段階における社会・環境問題への対応の遅れ等により、調達の不全やコストの増加、社会的信用の失墜等に繋がるリスクがあります。

・川上領域の取組強化に向けた各種施策の遂行(産地多様化による安定調達、技術開発・品質向上等における調達地との協働取組、サプライヤー監査の実施等)

・持続可能な調達の実現に向けた仕組みの構築(資材お取引先CSRガイドラインの策定、生産地の環境、人権、経済等に配慮した原材料調達の推進)

・重要原材料の安全在庫基準の見直し

② 気候変動に関するリスク

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

気候変動は世界規模で影響を与える問題であり、国内外でVCを構築する当社グループにとって重要な課題と認識し対策を実施しておりますが、気温の上昇や異常気象、自然災害等によって原材料の調達不全やコスト増、生産停止等の事業活動の分断が生じるリスクがあります。また、脱炭素への対応が不足および遅延することで、生産コストの上昇や事業活動の制限、企業価値の毀損が生じるリスクがあります。

・環境投資判断基準の策定による環境負荷低減に向けた投資の促進

・CO2等の温室効果ガス排出に関する新たなエネルギー施策の検討と実施(スコープ1・2の排出削減取組の加速、スコープ3への対応)

・食品ロスや工程ロスの低減(飼料肥料化・フードバンク・廃棄抑制・原料使い切り技術確立)、環境に配慮した容器包装の開発等による資源循環、再資源化の促進

・再生可能エネルギーへのシフト

 

 

③ 天候要因、大規模自然災害、重篤な疾病の流行に関するリスク

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

当社グループの事業は、冷夏・猛暑・暖冬等の天候要因や、大規模な自然災害の発生・重篤な感染症の大流行により、財政状態等に影響を及ぼすリスクがあります。なおCOVID-19が当社グループに与える影響については前述<新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響>に記載しております。

・大規模災害発生、重篤な感染症の大流行に際して、食品企業の使命として人命の安全を確保しながらも製品供給を果たすための生産・供給体制の整備等の危機管理体制を構築

・国内外グループ会社の事業特性や事業規模に応じた事業継続計画(BCP)の策定と定期的な訓練等を通じた見直し

 

(4)その他共通のリスク

① 法的規制とソフトローに関するリスク

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

当社グループは、食品衛生法、製造物責任法、不当景品類および不当表示防止法等の各種規制や、海外進出先における現地法令等の適用を受けております。

各国の法令等を順守して、国内・海外の事業活動を行っておりますが、社会環境の変化、価値観の多様化のなかで、新たな法令等が制定されております。

既存の法令等はもちろん、新しい法令等の制定や改正の情報を適時入手し、その内容にそった実務対応が適切にできていない場合には、また、多様化した価値観を尊重した道徳観、倫理観をもった事業活動ができていない場合には、事業活動が制限される可能性があるほか、お客様利益の損失、法令違反や社会的要請に反する行動等による処罰や事業活動の制限を受けた場合の対応コストの増加、信用失墜による企業価値の低下等につながるリスクがあります。

・グループ共通の価値観である「ハウスウェイ」や行動原則である「ハウス食品グループCSR方針」「ハウス食品グループ行動指針」に基づく、役員・社員一人ひとりの関係各国における法令・国際ルールの順守、現地の人権、文化、伝統、慣習の尊重による友好的な関係の維持・促進

・ハウス食品グループの取締役等で構成される「グループCSR委員会」を通じて、グループ全体のCSR重要テーマの取組状況のモニタリング・レビューの実施

・CSR重要テーマであるコンプライアンスについては、「コンプライアンス推進委員会」を設置し、各社の課題解決を推進

・コンプライアンス上の問題の早期発見、解決に向けた「グループ共通コンプライアンス・ヘルプライン」の整備、周知徹底

・各種法令に係る主管部門や法務部門による新規法律情報、法改正情報の収集とその実務対応

② 情報セキュリティに関するリスク

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

当社グループは、開発・生産・物流・販売・労務等の情報や通信販売等によるお客様の個人情報について、多くをITシステムにより管理しております。災害によりソフトウエアや機器が被災した場合のシステム作動不能や内部情報の消失、想定を超えたサイバー攻撃等によるシステム障害や情報漏洩、改ざん等の被害が発生した場合、また働き方の多様化に伴う情報の持ち出しや不適切な取扱いにより社有情報の外部漏洩が発生した場合、財政状態等や社会的信用に影響を及ぼすリスクがあります。

・情報セキュリティを包括的に管理するための体制整備とルールの徹底

・ソフトウエアや機器でのシステムセキュリティ対策、社員教育や訓練の実施

・在宅勤務やWEB会議に関する定期的な社内アンケート調査の実施、守るべき社有情報の特定、社員教育の再徹底等により、情報漏洩防止の徹底

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

(1)経営成績

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大が経済活動に与える影響は甚大であり、かつ長期化していることから依然として先行き不透明な状況が続いております。

このような状況のなか当社グループは、「食を通じて人とつながり、笑顔ある暮らしを共につくるグッドパートナーをめざします。」というグループ理念の実現に向けて、企業市民として果たすべき「3つの責任」(お客様に対して、社員とその家族に対して、社会に対して)の全てにおいて取組を進めながら、ライフラインを支える「食」の一翼を担う企業グループとして、製品・サービスの安定的な提供に努めてまいりました。

当連結会計年度の経営成績は、コロナ禍における消費行動の変化が各事業に大きな影響を及ぼし、明暗が分かれる状況となりました。外出自粛の影響等により健康食品事業や外食事業は低迷いたしましたが、内食需要の増加により国内外で家庭用製品の販売が伸長したことで、香辛・調味加工食品事業や海外食品事業は好調に推移いたしました。

なお当社グループでは、コロナ禍による事業環境の変化を踏まえ、第2四半期連結会計期間において営業外費用として持分法による投資損失を、特別損失として減損損失を計上しております。また、第4四半期連結会計期間において保有する投資有価証券の一部を売却し、特別利益として投資有価証券売却益を計上しております。

 

これらの結果、当社グループの経営成績は以下のとおりとなりました。

 

2021年3月期

金額(百万円)

前期比(%)

売上高

283,754

96.6

営業利益

19,397

102.1

経常利益

19,820

95.3

親会社株主に帰属する当期純利益

8,733

76.2

 

当社が重視する経営指標は次のとおりとなりました。

 

2020年3月期

2021年3月期

ATO(総資産回転率)

0.80

0.77回

ROS(売上高営業利益率)

6.5%

6.8%

ROA(総資産営業利益率)

5.1%

5.3%

ROE(自己資本当期純利益率)

4.6%

3.4%

 

 セグメント別の経営成績の概況(セグメント間取引消去前)は、次のとおりであります。

事業の種類別

セグメント

売上高

営業利益

(セグメント利益又は損失(△))

金額

(百万円)

前期比

(%)

金額

(百万円)

前期比

(%)

香辛・調味加工食品事業

146,340

100.9

15,614

110.7

健康食品事業

20,105

72.1

△413

海外食品事業

35,472

119.3

4,584

111.9

外食事業

44,567

84.9

△660

その他食品関連事業

45,542

98.4

1,770

98.8

小計

292,025

96.9

20,895

100.8

調整(消去)

△8,271

△1,498

合計

283,754

96.6

19,397

102.1

(注)1.調整(消去)の内容は、セグメントに配分していない損益およびセグメント間取引に係る相殺消去であります。

 

<香辛・調味加工食品事業>

当事業セグメントは、内食需要の増加からスパイスをはじめとする家庭用製品が伸長したことに加え、事業活動の制約により間接固定費が全体的に抑制されたこともあり増収増益となりました。

ハウス食品㈱は、簡便化やメニューバラエティの強化など、お客様ニーズの変化にきめ細やかに対応したほか、レトルト製品のレンジパウチ化を推進し、利便性と環境負荷低減の両面から提供価値の向上に努めました。一方、ハウス食品㈱や㈱ギャバンが手掛ける業務用製品事業は、徐々に回復傾向にあるものの、外食市場低迷の影響から減収となりました。

以上の結果、香辛・調味加工食品事業の売上高は1,463億40百万円、前期比0.9%の増収、営業利益は156億14百万円、前期比10.7%の増益となりました。結果、売上高営業利益率は10.7%となり、前期より0.9pt向上いたしました。

 

<健康食品事業>

当事業セグメントにとって当期は、大変厳しい業績となりました。外飲み需要の減少から収益の柱である「ウコンの力」が大幅減収となったほか、CVSを中心に販売を行う「C1000」も都市部を中心に販売機会が減少いたしました。

以上の結果、健康食品事業の売上高は201億5百万円、前期比27.9%の減収となりました。営業利益は、徹底したコスト削減に努めるも大幅減収の影響を吸収するに至らず、4億13百万円の損失となり、前期からは9億34百万円の減益となりました。結果、売上高営業利益率は△2.1%となり、前期より3.9pt減少いたしました。

 

<海外食品事業> 連結対象期間:主として2020年1月~12月

米国豆腐事業は、健康志向や環境意識を背景とする植物性タンパク市場の拡大を背景に、コロナ禍のなかでも販売を伸ばしました。しかし、2020年1月稼働のロサンゼルス工場新ラインに係る減価償却に加え、当該新ラインの立ち上げに課題を抱え、安定稼働に通年を要したことでコストが嵩んだこともあり、増収減益となりました。

中国カレー事業は、コロナ禍において内食需要が底上げされるなか、内陸部においても家庭用製品の間口が拡大し増収となりました。利益面では、増収効果に加え、上期において事業活動の制限からコスト投下量が縮小したこともあり増益となりました。なお、業務用製品に関しても経済活動再開後は回復基調にあります。

タイ機能性飲料事業は、物品税導入によりコストが増加したものの、生産供給量の大幅な増強により需給ギャップが解消されたことで市場拡大が進み、増収増益となりました。しかし、期末にかけて流通在庫の滞留が生じ、第4四半期連結会計期間の業績は前年を下回りました。

以上の結果、海外食品事業の売上高は354億72百万円、前期比19.3%の増収、営業利益は45億84百万円、前期比11.9%の増益となりました。結果、売上高営業利益率は12.9%となり、前期より0.9pt減少いたしました。

 

<外食事業> 連結対象期間:㈱壱番屋は2020年3月~2021年2月、海外子会社は2020年1月~12月

当事業セグメントは、自治体からの営業自粛要請やインバウンド需要の消失等、新型コロナウイルス感染症の拡大を背景に非常に厳しい事業環境となりました。㈱壱番屋は、感染防止対策に積極的に取り組み、安心してご来店いただける店舗運営に努めると共に、宅配やテイクアウトの拡大に努めましたが、店舗売上高が前年水準を大きく下回ったことが影響し、減収減益となりました。このような環境のなか同社では、2020年8月にインド1号店を出店したほか、同12月には北海道でジンギスカン店を展開する㈲大黒商事(現㈱大黒商事)を連結子会社化するなど、成長に向けた取組を推進しております。また、フランチャイズ加盟店に対しては、加盟保証金制度を廃止し全額返還する等の資金繰り支援策を実施しております。

以上の結果、㈱壱番屋とその他外食子会社を含む外食事業の売上高は445億67百万円、前期比15.1%の減収、営業利益は6億60百万円の損失、前期からは8億62百万円の減益となりました。結果、売上高営業利益率は△1.5%となり、前期より1.9pt減少いたしました。

なお、コロナ禍による事業環境の悪化をふまえ、第2四半期連結会計期間において、同社を連結子会社とした際に発生したのれんおよびその他の無形固定資産の減損処理を行い、特別損失を計上しております。これによりのれんについては当期でその償却を完了しております。

 

<その他食品関連事業>

㈱デリカシェフは、焼成パン類の不振から販売が減少したほか、総菜類の生産品目減少の影響もあり減収減益となりました。

㈱ヴォークス・トレーディングは、業務用製品の荷動きが鈍化したものの、旅費交通費等の固定費が抑制されたことから減収増益となりました。

以上の結果、その他食品関連事業の売上高は455億42百万円、前期比1.6%の減収、営業利益は17億70百万円、前期比1.2%の減益となりました。結果、売上高営業利益率は3.9%となり、前期並みの水準を確保しております。

 

 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

香辛・調味加工食品事業

131,919

3.8

健康食品事業

18,254

△29.6

海外食品事業

17,862

+14.0

外食事業

12,151

△12.0

その他食品関連事業

20,010

△3.9

合計

200,195

△1.6

(注)1.金額は販売価格により算出しております。

2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

② 受注状況

主要製品の受注生産は行っておりません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

香辛・調味加工食品事業

146,340

+0.9

健康食品事業

20,105

△27.9

海外食品事業

35,472

+19.3

外食事業

44,567

△15.1

その他食品関連事業

45,542

△1.6

小計

292,025

△3.1

調整(消去)

△8,271

合計

283,754

△3.4

(注)1.調整(消去)の内容は、セグメントに配分していない損益およびセグメント間取引に係る相殺消去であります。

2.当連結会計年度における主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

加藤産業㈱

37,390

12.7

39,165

13.8

三菱食品㈱

20,958

7.1

21,100

7.4

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)財政状態

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて19億56百万円増加し3,691億50百万円となりました。

 流動資産は、前連結会計年度末に比べて72億56百万円増加し1,569億9百万円、固定資産は、前連結会計年度末に比べて53億円減少し2,122億41百万円となりました。

 流動資産の増加の主な要因は、受取手形及び売掛金が46億70百万円、有価証券が13億78百万円減少した一方で、現金及び預金が124億81百万円、商品及び製品が12億14百万円増加したことなどによるものです。

 固定資産の減少の主な要因は、退職給付に係る資産が67億85百万円増加した一方で、契約関連無形固定資産が50億85百万円、商標権が46億54百万円、のれんが22億50百万円減少したことなどによるものです。

 当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて44億5百万円減少し818億59百万円となりました。

 流動負債は、前連結会計年度末に比べて18億10百万円減少し513億27百万円、固定負債は、前連結会計年度末に比べて25億94百万円減少し305億32百万円となりました。

 流動負債の減少の主な要因は、未払金が8億71百万円増加した一方で、支払手形及び買掛金が29億25百万円減少したことなどによるものです。

 固定負債の減少の主な要因は、長期預り保証金が17億14百万円減少したことなどによるものです。

 当連結会計年度末の純資産は、非支配株主持分が減少した一方で、退職給付に係る調整累計額が増加したことや、親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が増加したことなどから、前連結会計年度末と比べて63億61百万円増加の2,872億91百万円となりました。

 この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の67.7%から69.9%となり、1株当たり純資産が2,469円20銭から2,562円29銭となりました。

 

(3)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー231億81百万円に対し、「有形固定資産の取得」「有価証券の取得」などの投資活動によるキャッシュ・フロー△85億58百万円、「短期借入れ」「短期借入金の返済」「配当金の支払」などの財務活動によるキャッシュ・フロー△61億72百万円を減じました結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は783億43百万円となり、期首残高より84億73百万円増加いたしました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動による資金の増加は231億81百万円(前期比△10億37百万円)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益120億49百万円、減損損失100億75百万円、減価償却費100億35百万円、法人税等の支払額75億48百万円によるものであります。

 また、前連結会計年度に比べての減少は、税金等調整前当期純利益の減少(前期比△86億33百万円)、たな卸資産の増減額の増加(前期比△33億33百万円)、減損損失の増加(前期比+96億88百万円)などが要因であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動による資金の減少は85億58百万円(前期比△22億2百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出88億19百万円、有価証券の取得による支出45億8百万円、投資有価証券の取得による支出44億59百万円、有価証券の売却による収入69億2百万円、投資有価証券の売却による収入45億34百万円などによるものであります。

 また、前連結会計年度に比べての減少は、有価証券の取得による支出の増加(前期比△25億8百万円)、有価証券の売却による収入の減少(前期比△16億47百万円)、投資有価証券の売却による収入の減少(前期比△14億57百万円)、投資有価証券の取得による支出の増加(前期比△12億97百万円)、無形固定資産の取得による支出の増加(前期比△11億92百万円)、有形固定資産の取得による支出の減少(前期比+60億97百万円)などが要因であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動による資金の減少は61億72百万円(前期比+13億94百万円)となりました。これは主に短期借入金の返済による支出476億63百万円、配当金の支払額46億34百万円、短期借入れによる収入479億65百万円などによるものであります。

 また、前連結会計年度に比べての増加は、短期借入れによる収入の増加(前期比+131億19百万円)、短期借入金の返済による支出の増加(前期比△122億81百万円)などが要因であります。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性について

(財務戦略の基本的な考え方)

当社グループは、財務体質の健全性の維持と資金効率の向上を両立しつつ、企業価値向上のために資金を適切に配分することを財務戦略の基本方針としております。

財務体質の健全性の維持に関しては、「シングルA(安定的)」以上の信用格付の取得・維持を目指し、信用力および透明性の向上を図ります。

資金効率の向上に関しては、当社および国内子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより、国内子会社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで資金効率の向上を図っております。

企業価値向上に関しては、第七次中期計画の期間中に、4系列バリューチェーンの成長領域へ400億円、既存領域へ200億円、デジタル変革・環境領域へ100億円の、計700億円の事業投資を計画しております。また、当社グループが保有するいわゆる政策保有株式の一部売却を原資とした、120億円の自己株式取得を計画しております。

なお、新型コロナウイルス感染症の拡大は、社会・経済・生活様式に大きな影響を与えることとなり、外食需要の減少から一部事業では厳しい状況が続く一方、内食需要の増加から家庭用製品が伸長し、当社グループは財務体質の健全性を維持しております。

食品企業の使命として人命の安全を確保しながらも製品供給を果たすため、今後も財務体質の健全性の維持および向上に努めてまいります。

 

(経営資源の配分に関する考え方)

当社グループは、適正な手元資金の水準について、事業上の資金を回収するまでの運転資金調達期間(売上高の約1.8か月分)の観点と不測の事態に対応できる安全資産の額の観点から検証し、適正な水準を設定しております。適正な水準を超える分については、追加的に配分可能な経営資源と認識し、企業価値向上のために既存領域での生産性向上による収益力強化と国内外の成長事業領域への経営資源の重点配分に取り組んでまいります。

 

(資金需要の主な内容)

当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用などがあります。投資活動に係る資金支出は、香辛・調味加工食品事業における「食の外部化」への対応強化に向けた大容量レトルトライン生産設備への投資、将来の需要変化への対応を図る需給・生産管理一貫システムへの投資、海外食品事業(米国豆腐事業)における健康志向や環境意識の高まりを背景に強い需要の続く豆腐製品製造設備への投資、外食事業における店舗への投資などがあります。また、持続的な成長の実現のため、既存領域だけでなく、4系列バリューチェーンによる成長実現を目指し、成長事業領域や新規領域についても、投資を行ってまいります。

 

(資金調達)

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、営業活動によるキャッシュ・フローを内部的な資金の源泉と考えており、設備投資のための資金については、主として内部資金により充当することとしており、必要に応じて金融機関からの借入金や社債の発行等により充当することとしております。

 

(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

1.香辛・調味加工食品事業、健康食品事業、海外食品事業

 当社グループ(当社および当社の関係会社)は、“「食で健康」クオリティ企業への変革”というテーマを掲げております。国内市場で長年にわたりご愛顧をいただいている各製品ブランド力の維持・強化に努めると共に、成熟した市場の中で「食で健康」という領域にフォーカスし、お客さまの立場に立った新しい価値をご提供し続けることができるよう、研究開発活動を行っております。

 当社グループにおきましては、研究開発本部、ハウス食品㈱の開発研究所(千葉県四街道市)、ハウスウェルネスフーズ㈱の開発研究所(千葉県四街道市、兵庫県伊丹市)の3部門が、研究開発活動を担っており、「新たな需要の創造」と「確かな設計」の両立を目指し、変化する社会にあって安心してご使用いただけ、ご満足をいただける食品を創出するために、広範な研究開発を実施しております。

 

(1)研究開発取組概要

① 製品開発・技術開発分野

 製品開発・技術開発分野では、日本の成熟市場では潜在化しやすいお客さまニーズを掘り起こし、「新しい価値」を有した製品づくりに努めるとともに、お客さまの食生活と健康に貢献するべく、「よりおいしく、より簡便に、より健康に」にこだわりを持ち、品質の一層の向上に努め、独自性のある技術に裏打ちされた製品の開発に取り組んでおります。

 香辛・調味加工食品事業におきましては、共働き増加による簡便化ニーズや、コロナ禍による家庭内調理の増加に伴うレパートリー拡充ニーズに貢献するべく、カレーやシチューでおなじみのルウ技術を活用した、理想の炒め物が手軽に作れる「ごはんがうまい」シリーズ、独自の特許技術“素材いきいき製法”により、香り・旨みでダントツ感を表現した“驚きの美味しさ”を提供する「凄味」シリーズを拡充いたしました。また新たに、北海道産生乳100%の乳製品にこだわり、魚介素材の味を引き立たせる、“驚きあるクリーミーな美味しさ“を提供する新ブランド「The Creamy」を開発いたしました。

 健康食品事業におきましては、健康意識の高い方に向けて、「C1000ビタミンレモン乳酸菌L-137」を開発いたしました。ビタミンC 1000mgと「まもり高める乳酸菌L-137」10mg、ビタミンD 8.5μgを1本で手軽に補給できる清涼飲料水です。乳酸菌L-137 は10mgに100億個入っています。また、ビタミンDは目安量に対し足りないと言われており、テレワーク等の増加で日光にあたる時間が少なくなると心配されている方々等に注目されています。(注 ビタミンDは日光を浴びることによって体内でも作られます)。

グループ全体として環境に優しいモノづくりに取組む中、当連結会計年度では「プロ クオリティ」シリーズを電子レンジ加熱にも対応したパウチへとリニューアルいたしました。調理方法を湯せんから電子レンジに変えることで、水の使用が不要になるほか、温めに要する時間が短縮され、CO2排出量も約80%削減(※)できます。

 ※自社調べ 東京電力・東京ガス管内を想定(2015年度データ使用)。

 

② 基礎研究分野

 基礎研究分野では、食品科学のみならず、生化学、植物育種・栽培学、化学工学、生理学など多方面からの研究を行い、高水準の技術保有に努めております。当連結会計年度では、弘前大学大学院医学研究科の共同研究講座「食と健康 科学講座」において、健康寿命延伸につながる新たな食スタイルを提案することを目指して、青森県の岩木健康増進プロジェクト健診・いきいき健診や沖縄県のやんばる版プロジェクト健診での味覚感受性試験や食生活アンケートを行ない、味覚や食生活と様々な健康指標との関連性の解析を進めました。また、2019年の岩木健康増進プロジェクト健診で得られたデータの解析結果をもとに、「食事への興味・食習慣が味覚閾値に及ぼす影響について」を日本味と匂学会にて発表しました。一方で、製品および使用原料の安全性確保の観点から、食物アレルゲンの分析技術の強化・研究にも注力しております。当連結会計年度においては、弊社が開発した小麦、そば、落花生リアルタイムPCR技術を株式会社ファスマックにライセンスすることで、検査キット「食物アレルゲン検出 定性リアルタイムPCR用プライマー&プローブセット」を同社から発売しました。また、タマネギ催涙因子に関する研究については、2019年に引き続き農水省の戦略的プロジェクト研究推進事業に参画して、農研機構と連携して精力的に共同研究を進めました。

 タマネギ栽培研究におきましては、お客様にさらに高品質なスマイルボール(涙の出ないタマネギ)を安定的にお届けするだけでなく、生産者の方々にも最適な栽培方法を提供するため、栽培法の検討、品種改良、生産量拡大のための産地開拓を継続的に進めております。施設栽培技術研究につきましては、植物工場事業を行うファームシップ株式会社と共同研究を行い、バジルなどのハーブ類の栽培、生産技術開発、及び鮮度保持研究を進めております。

 

 健康関連の分野におきましては、健康維持に必要なビタミンや、さまざまな生理機能があるといわれるスパイスに加え、近年その健康維持への効果が期待されている乳酸菌につきまして、効果を検証するための試験、ならびに、新しい作用を見出すための基礎研究を継続して精力的に取り組んでおります。当連結会計年度では、ハウスウェルネスフーズが長年取り組んできた乳酸菌L-137の機能研究およびその素材開発ならびに商品開発が評価され、日本食品免疫学会において2020年度食品免疫産業賞を受賞いたしました。

 

(2)研究体制・しくみ

 当社グループの3つの研究所は、基礎研究・機能性研究、製品開発、技術開発、容器包装開発、お客様生活研究、グループ技術連携、研究企画、運営の各部門で構成しており、それぞれの部門において専門的な研究開発活動に取り組む一方、リノベーションを行った千葉研究センターを中心に、部門間の垣根を越え、お互いが有機的に連携して相乗効果を高める取組み(One Day a Weekなど)を継続して進めております。また、海外事業における製品開発サポート体制も継続的に強化しております。

 組織をフラットな小グループ制とし、柔軟性ある運用により市場の変化と商品の多様化にフレキシブルに対応するとともに、保有技術を目に見えるサービスにいかに具現化していくかというこだわりを持って運営にあたっております。

 

(3)研究開発費

 当連結会計年度における研究開発費の総額4,279百万円であります。

 

2.外食事業、その他食品関連事業

 特に記載すべき事項はありません。