第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、次の3要素をグループ理念体系と位置づけております。グループ理念体系により、めざす方向性を明確にし、一貫性をもった事業活動による成長を図っております。

『創業理念』

日本中の家庭が幸福であり、そこにはいつも温かい家庭の味ハウスがある。~幸せな家庭のマーク~

『グループ理念』

食を通じて人とつながり、笑顔ある暮らしを共につくるグッドパートナーをめざします。

『ハウスの意(こころ)』

社是(「誠意・創意・熱意を持とう。」)・ハウス十論で構成

 

(2)経営環境

当社の経営環境は、新型コロナウイルス感染症の拡大が続くなか、世界的なサプライチェーンの混乱や原材料価格・エネルギーコストの高騰に加え、ウクライナ情勢などの地政学的リスクの高まりにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。国内では、コロナ禍での内食需要の増加が一巡し、新たな生活様式の定着とともに、お客様ニーズの多様化や食の外部化の進展が見込まれます。また、生産年齢人口減少に加え、コロナ禍をきっかけにした働き方への意識の変化など雇用・労働環境が変化してきております。海外では、環境意識や健康意識の高まりを背景にプラントベースフード需要が拡大する米国、市場ポテンシャルの大きい中国やアセアンなど、引き続き市場の成長が見込まれます。同時に、CO2や廃棄物の削減をはじめとした地球環境等の社会問題の解決に向けた取組への要請が強まっております。

このような経営環境のなか、当社グループにおいては、一部製品・サービスにおいて価格改定を実施するとともに、お客様ニーズの変化への対応力を強化し、ダイバーシティの実現に向けた取組を進展させ、社会から求められる企業市民としての責務を果たしていくことをめざしてまいります。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

当社グループは、当期より第七次中期計画をスタートしており、「お客様に対して」「社員とその家族に対して」「社会に対して」という「3つの責任」全てにおいて、クオリティ企業への変革に向けた取組を推進してまいります。

 

「お客様に対して」では、「スパイス系」「機能性素材系」「大豆系」「付加価値野菜系」の4系列のバリューチェーンを当社グループの提供価値である「食で健康」をお届けする領域と定め、バリューチェーンごとの取組領域やテーマを明確にしております。既存領域では収益基盤の強化および生産性の向上に取り組み、成長領域および新規領域では、経営資源を重点的に配分して持続的な成長の実現に取り組んでまいります。

また、「スパイスVC-GOT」「生産GOT」「BtoB-GOT」の3つのGOT(グループ横断取組)を実行に移しております。「スパイスVC-GOT」では、グループの調達力強化をめざし、川上を起点としたグローバル戦略を推進してまいります。「生産GOT」では、グループとして最適な生産マネジメント体制の構築をめざしてまいります。「BtoB-GOT」では、国内BtoB事業においてハウス食品㈱と㈱ギャバンの強みを融合して、業務用市場でのプレゼンス向上を図ります。

さらに、事業開発、R&D、人材開発が一体となり、新価値創出によるトップライン伸長を図ってまいります。

 

「社員とその家族に対して」では、コロナ禍をきっかけにリモートで働く機会が増加し、働き方への意識が変化するなか、働きやすさと仕事のやりがいを追求し、社員一人ひとりが働きがいを感じられる職場に変革する「働きがい変革」を実行してまいります。また、キャリア形成に重点を置いた施策や女性活躍推進を進め、社員一人ひとりの「個性の発揮と融合」を強力に支援してまいります。「ダイバーシティの実現」により生産性を向上させ、個人とグループの成長をともにめざしてまいります。

 

「社会に対して」では、環境問題の深刻化により社会課題への取組要請が強まっていることから、サプライチェーンを含めたCO2および廃棄物削減への取組領域の拡大や、各バリューチェーンの強みをいかした新たな健康価値創出を図ることで、バリューチェーン全体で社会課題への取組を加速してまいります。

●財務戦略

第七次中期計画の期間中に、4系列バリューチェーンの成長領域へ400億円、既存領域へ200億円、デジタル変革・環境領域へ100億円の、計700億円の事業投資を計画しております。また、当社グループが保有するいわゆる政策保有株式の一部売却を原資とした、120億円の自己株式取得を計画しております。

 

●コーポレート・ガバナンスの強化

当社グループは、内部統制システムを、コーポレート・ガバナンス体制の充実と企業理念・経営目標の実現・達成のための仕組みととらえ、企業価値のさらなる向上と持続的な発展をめざし、グループ経営の視点でリスクマネジメント、コンプライアンスを含めたガバナンス体制の構築と運用の強化を図っております。

会社機関におきましては、監査・監督機能を強化し、コーポレート・ガバナンス体制を一層充実することを目的に、2021年6月25日開催の第75期定時株主総会決議に基づき、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行しております。監査等委員会は、監査等委員である取締役5名(うち、社外取締役4名)で構成され、取締役の職務の執行および取締役会の決議の適法性、妥当性の監査・監督を行っております。

取締役会は取締役12名(うち、社外取締役4名)で構成され、当社グループの重要な業務執行を決定するとともに、他の取締役およびグループ会社の業務執行を監視・監督しております。

取締役会の任意の諮問機関として、委員の過半数を独立した社外取締役で構成し、独立社外取締役を委員長とする指名諮問委員会および報酬諮問委員会を設置し、取締役の選任・解任、報酬決定の手続きにおいて、客観性と透明性を確保しております。

 

●次期の主な取組

第七次中期計画に基づき、既存領域では収益基盤の強化および生産性の向上に取り組み、成長領域および新規領域では、グループ最適の観点から経営資源を重点的に配分することで、バリューチェーンの幹を太くし、持続的な成長を実現してまいります。

国内においては、スパイス系バリューチェーンで、成長領域である国内BtoB事業の成長に向けグループ資源を再構成し、顧客価値を最大化し持続的成長をめざすことを目的に、ハウス食品㈱の業務用事業を㈱ギャバンに承継する吸収分割を実施いたします。また、成長するスパイス市場での収益基盤を強化し、コア事業の収益性改善により、国内収益基盤の更なる強化をめざすことを目的に、㈱ギャバン関東工場の生産能力増強に加え、ハウス食品㈱、㈱ギャバン、ハウスあいファクトリー㈱の生産拠点の役割を明確にし、各社の強みをいかした生産体制を構築してまいります。

海外においては、大豆系バリューチェーンで、米国での生産体制強化や欧州への展開などさらなる成長ステージへの基盤強化をすすめてまいります。また、機能性素材系バリューチェーンでは、ハウス食品グループアジアパシフィック社を設立し、東南アジア地域における経営統括、製品開発、技術・販売支援等を担い、機能性素材系バリューチェーンの確立と加速をめざしてまいります。

(4)目標とする経営指標

第七次中期計画最終年度(2024年3月期)における目標とする経営指標は、次のとおりです。

 

第七次中期計画最終年度

(2024年3月期)目標

売上高

3,050億円

営業利益

260億円

ATO

(総資産回転率)

0.80回

ROS

(売上高営業利益率)

8.5%

EBITDAマージン

13.2%

ROA

(総資産営業利益率)

6.8%

E-ratio

(自己資本比率)

70.6%

ROE

(自己資本当期純利益率)

6.1%

 

2 【事業等のリスク】

当社グループはグループ理念「食を通じて人とつながり、笑顔ある暮らしを共につくるグッドパートナーをめざします。」の実現に向けて、「3つの責任」(お客様に対して、社員とその家族に対して、社会に対して)の全てにおいて企業市民としての責任を果たしながら、“「食で健康」クオリティ企業への変革”を進めております。

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等(以下「財政状態等」)に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できないまたは問題視されていないリスクの影響を将来受ける可能性があります。当社グループは、これらのリスク発生(顕在化)の可能性を認識し、発生の抑制・回避に努めております。また、リスクが顕在化した際には、経営および事業リスクの最小化に取り組んでまいります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

<新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響>

COVID-19の発生以来、感染拡大と抑制施策が繰り返されるなか、当社グループはライフラインを支える「食」の一翼を担う企業グループとして、継続的に事業を進められるよう定められた流行フェーズ毎の対応ガイドに則ったうえで、業務のあり方の工夫や働く環境の整備等の感染防止に努めております。今後も更なる影響長期化の想定に加え、COVID-19がもたらした社会要請の高まりや生活者の行動変容への対応が必要不可欠と考えております。

《事業への影響》

家庭内食機会の拡大やその反動 、外食事業や業務用製品事業の市場縮小により財政状態等に影響を及ぼすリスクがあります。また、「ウコンの力」等の飲酒シーンと連動性のある製品を有しておりますハウスウェルネスフーズ㈱では、外出自粛、働き方・ライフスタイルの変化に伴い飲酒機会の縮減が継続することで財政状態等に影響を及ぼすリスクがあります。

《バリューチェーン全体への影響》

国内外に多数の製造・事業拠点を有しておりますほか、世界各地から原材料を調達しております。上述の通り感染防止策を講じておりますが、クラスターの発生による事業活動の一時停止や海外調達原料の供給不安等により、製品・サービスの供給に支障をきたすリスクがあります。

《事業の運営・拡大への影響》

COVID-19の環境下では、海外等の訪問が必要な事業投資において進行が困難になること、想定外の時間を要すること等が想定され、事業拡大が停滞するリスクがあります。

 

(1)お客様に対する責任に関連するリスク

 事業会社として持続的に成長し、世の中に独自の価値を提供し続けるための活動に関する主要なリスクは以下のとおりです。

① 国内市場動向に関するリスク

《背景》

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

当社グループ売上の約8割を国内販売が占めております。香辛・調味加工食品事業においては、ルウカレー等の調理型製品が売上の主軸であり、底流で続く食の外部化の進展により、健康食品事業においては、ライフスタイルの変化により市場縮小の可能性があります。

国内景気の動向や人口の減少が長期的な消費の低迷や販売競争の激化に繋がるリスクがあります。また、左記の市場縮小への対応が遅れることで提供価値が毀損するリスクがあります。

・当社グループの価値提供領域を「スパイス系」「機能性素材系」「大豆系」「付加価値野菜系」の4系列のバリューチェーン(以下「VC」)と定め、国内外で価値創造を推進

・既存成熟領域での生産性向上による収益力強化、国内外の成長領域への経営資源の重点配分

・グループ横断取組(以下「GOT」)の実行による、グループ経営資源の共有化・効率化と価値提供力の向上

・事業開発・R&D・人材開発が三位一体となり、新価値創出を推進

 

② 事業拡大に関するリスク

《背景》

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

当社グループは、2013年の持株会社体制移行後、2015年に㈱壱番屋を、2016年に㈱ギャバンをグループに迎えるなど、VCの拡大を進めております。また2017年にはコーポレートベンチャーキャピタルを設立し、事業シナジーが見込まれる企業への投資を通じた新たな価値基盤の創出に取り組んでおります。その結果、企業買収に伴うのれんや無形資産を計上することがあります。

事業計画の未達や市場環境の変化等によって、期待されるキャッシュ・フローを生み出せない場合、また当初想定したシナジーが得られない場合、企業買収に伴うのれんや無形資産について減損損失等が生じるリスクがあります。

・経営会議等における投資計画の検証(財務的視点での妥当性、事業戦略視点での収益性や成長性リスク等)

・M&A等の事業投資に由来する課題事項の知見蓄積と投資プロセス管理の強化を目的とした諮問機関(投資委員会)の設置

・投資実行後のモニタリングのルール強化(当初想定に対して事業上の変化が発生する場合には、遅滞なく投資委員会にて諮問を行い、経営会議にて経営判断を行う等)

③ 技術革新に関するリスク

《背景》

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

成熟した食品産業においては、既存の事業競合に加え、異業種参入や新技術の台頭により競争環境も多様化しております。

お客様や社会が直面する課題の解決に繋がるR&D機能の強化やデジタル化への対応に努めておりますが、こうした対応が遅れた場合、競争優位性が低下し、提供価値が陳腐化するリスクがあります。

・R&D重点領域およびテーマの設定と経営資源の集中投下

・イノベーション創出力と実現力向上への意識改革、風土醸成

・グループ企業間の技術課題の解決だけでなく、事業創造を目指したVC間の連携強化

・オープンイノベーションを通じた共創戦略の推進

・デジタル投資の積極化による基盤構築と新価値創出

④ 海外事業展開に関するリスク

《背景》

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

進出各国においてカレー製品、豆腐製品、機能性飲料製品等の事業を展開しております。食文化は元来保守的な性質を有しており、進出各国の食文化へ浸透、定着には、緻密な事前調査や継続的な事業基盤の強化が必要不可欠です。

進出各国の食文化への浸透、定着が想定を下回ることで事業計画の遅れや減損損失が生じる恐れがあります。

また、事業規模に見合う経営基盤の構築や整備の遅れ、各国法令の発布や改正への対応の遅れ、カントリーリスク顕在化等により、利益創出力の低下、ガバナンス不全等が生じるリスクがあります。

・食文化の受容性や認知度に関する緻密な市場調査に基づいた市場ポテンシャルの予測

・経営マネジメント人材の継続的な育成・確保、外部機関とも連携した各国法令情報の収集等による事業基盤の強化

・グループ本社と海外事業会社が連携し、事業規模に応じたリスクマネジメント体制の構築・整備

・複数エリアへの事業展開を進めることによる事業基盤分散、カントリーリスク低減

 

⑤ 食の安全・安心に関するリスク

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

価値ある商品やサービスをお客様に安全・安心に提供し続けるために、グループ一丸となって品質の維持・向上に取り組んでおります。しかしながら万一、製品、サービスの品質トラブルが発生した場合には、お客様の健康危害や不安の発生、それに伴う企業ブランドの毀損、社会的信用の失墜、対応に係るコスト増加のリスクがあります。

・グループ品質保証会議・グループ品質保証責任者会議を中心としたグループ全体での品質保証体制の強化・推進

・グループ会社の特性に応じたISO9001やFSSC22000等の国際的な品質・食品安全マネジメントシステムの取得および運用

・食品の安全・品質にかかわる法規制やお客様の食品安全への関心事等に関連する品質リスク情報のマネジメント

・食の安全・安心をテーマとした学習会を通じた人材育成

・プロフェッショナル表彰制度等を通じた、品質を重視する組織風土の醸成

・お客様の声を反映する活動を通じた商品設計から販売に至る各工程における品質保証の向上

・製品パッケージやWEB等を通じた分かりやすい情報開示の徹底

 

(2)社員とその家族に対する責任に関するリスク

当社グループの中長期的な成長には、性別や国籍などの属性の多様性とともに、一人ひとりが持つ多様な経験や適性をいかしていくことが欠かせません。社員が仕事を通じて豊かな人生を過ごしていけるよう、成長や活躍を支援する活動における主要なリスクは、以下のとおりです。

① 多様性のある人材の確保、育成、活躍に関するリスク

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

グループ各社の特性や成長ステージ、また、GOTの具現化やグローバルな事業領域拡大に応じて人材を適切に確保・育成し供給できないこと、多様性やチャレンジを尊重する組織風土が醸成できないことは、イノベーション創出力の毀損、事業における機会損失や優秀人材の流出を起こすリスクがあります。

・社内公募制や副業制度、およびグループ内外での人材交流により、社員が多様な成長経験を積むことの支援

・アセスメントを通じた適性の把握と、適性の強化・拡大に向けた社内外での学習機会の更なる提供

・事業の成長領域に対する人材投下と育成

・高度な専門性や新たな知見を有する社外人材の獲得

・性別、国籍、キャリア、障がいの有無等を問わず、多様な人材が成長に向けてチャレンジをできる組織風土づくり

・差別やハラスメントのないコンプライアンスを順守する安全・安心な職場環境づくり

・社員の健康支援制度

 

 

(3)社会に対する責任に関連するリスク

社会に存在する企業市民として、本業を通じて社会の様々な課題解決に貢献するための活動に関する主要なリスクは以下のとおりです。

① 持続可能な原材料調達に関するリスク

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

当社グループはスパイスをはじめ様々な原材料を世界各国から調達しております。

原材料の調達にあたっては、国際的な需要の拡大に伴う食資源の調達競争の激化や需給動向の変化、気候変動や地政学的リスク、資材お取引先での感染症集団発生による原材料の供給停止・遅れ、VCの各段階における社会・環境問題への対応の遅れ等により、調達の不全やコストの増加、社会的信用の失墜等に繋がるリスクがあります。

・川上領域の取組強化に向けた各種施策の遂行(産地多様化による安定調達、技術開発・品質向上等における調達地との協働取組、サプライヤー監査の実施等)

・持続可能な調達の実現に向けた仕組みの構築(生産地の社会課題や環境等に配慮した原材料調達の推進、第三者機関(Sedex)等を活用した人権デューデリジェンスの強化、環境負荷の低い調達方法への見直し)

・重要原材料の安全在庫基準の見直し、その他原材料の安全在庫基準内での運用

② 気候変動に関するリスク

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

気候変動は世界規模で影響を与える問題であり、国内外でVCを構築する当社グループにとって重要な課題と認識し対策を実施しておりますが、気温の上昇や異常気象、自然災害等によって原材料の調達不全やコスト増、生産停止等の事業活動の分断が生じるリスクがあります。また、脱炭素への対応が不足および遅延することで、生産コストの上昇や事業活動の制限、企業価値の毀損が生じるリスクがあります。

・環境投資判断基準の策定による環境負荷低減に向けた投資の促進

・CO2等の温室効果ガス排出に関する新たなエネルギー施策の検討と実施(スコープ1・2の排出削減取組の加速、スコープ3への対応)

・食品ロスや工程ロスの低減(飼料肥料化・フードバンク・廃棄抑制・原料使い切り技術確立)、環境に配慮した容器包装の開発等による資源循環、再資源化の促進

・再生可能エネルギーへのシフト

③ 天候要因、大規模自然災害、重篤な疾病の流行に関するリスク

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

当社グループの事業は、冷夏・猛暑・暖冬等の天候要因や、大規模な自然災害の発生・重篤な感染症の大流行により、財政状態等に影響を及ぼすリスクがあります。なおCOVID-19が当社グループに与える影響については前述<新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響>に記載しております。

・大規模災害発生、重篤な感染症の大流行に際して、食品企業の使命として人命の安全を確保しながらも製品供給を果たすための生産・供給体制の整備等の危機管理体制を構築

・国内外グループ会社の事業特性や事業規模に応じた事業継続計画(BCP)の策定と定期的な訓練等を通じた見直し

 

 

(4)その他共通のリスク

① 法的規制とソフトローに関するリスク

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

当社グループは、食品衛生法、製造物責任法、不当景品類および不当表示防止法等の各種規制や、海外進出先における現地法令等の適用を受けております。

各国の法令等を順守して、国内・海外の事業活動を行っておりますが、社会環境の変化、価値観の多様化のなかで、新たな法令等が制定されております。

既存の法令等はもちろん、新しい法令等の制定や改正の情報を適時入手し、その内容にそった実務対応が適切にできていない場合には、また、多様化した価値観を尊重した道徳観、倫理観をもった事業活動ができていない場合には、事業活動が制限される可能性があるほか、お客様利益の損失、法令違反や社会的要請に反する行動等による処罰や事業活動の制限を受けた場合の対応コストの増加、信用失墜による企業価値の低下等につながるリスクがあります。

・グループ共通の価値観である「ハウスウェイ」や行動原則である「ハウス食品グループCSR方針」「ハウス食品グループ行動指針」に基づく、役員・社員一人ひとりの関係各国における法令・国際ルールの順守、現地の人権、文化、伝統、慣習の尊重による友好的な関係の維持・促進

・ハウス食品グループの取締役等で構成される「グループCSR委員会」を通じて、グループ全体のCSR重要テーマの取組状況のモニタリング・レビューの実施

・CSR重要テーマであるコンプライアンスについては、「コンプライアンス推進委員会」を設置し、各社の課題解決を推進

・コンプライアンス上の問題の早期発見、解決に向けた「グループ共通コンプライアンス・ヘルプライン」の整備、周知徹底

・各種法令に係る主管部門や法務部門による新規法律情報、法改正情報の収集とその実務対応

② 為替変動に関するリスク

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

当社グループが海外から調達する原材料において、為替変動の影響により調達コストが増加する可能性があります。

当社グループの外貨建て債権債務については、為替変動の影響により為替差損益が発生する可能性があります。

当社グループの海外売上高比率は約2割の水準でありますが、海外事業展開の加速に取り組んでおり、今後重要性が高まることを見込んでおります。連結財務諸表作成のため、展開各エリアの現地通貨で作成された財務諸表を円換算しており、為替変動の影響があります。

(海外から調達する原材料)

・合理的な範囲で輸入原料の国内在庫を積み増すことで将来的な為替変動によるリスクを低減

(外貨建て債権債務)

・為替予約や通貨スワップ等により将来的な為替変動によるリスクのヘッジ

③ 情報セキュリティに関するリスク

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

当社グループは、開発・生産・物流・販売・労務等の情報や通信販売等によるお客様の個人情報について、多くをITシステムにより管理しております。災害によりソフトウエアや機器が被災した場合のシステム作動不能や内部情報の消失、想定を超えたサイバー攻撃等によるシステム障害や情報漏洩、改ざん等の被害が発生した場合、また働き方の多様化に伴う情報の持ち出しや不適切な取扱いにより社有情報の外部漏洩が発生した場合、財政状態等や社会的信用に影響を及ぼすリスクがあります。

・情報セキュリティを包括的に管理するための体制整備とルールの徹底

・ソフトウエアや機器によるシステムセキュリティ対策、社員教育や訓練の実施

・在宅勤務やWEB会議等の働き方の多様化に対する定期的な社内調査による現状確認の実施

・守るべき社有情報の特定と影響評価の実施、適切な情報漏洩防止策の設定と実施の徹底

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

(1)経営成績

当連結会計年度の事業環境は、長引く新型コロナウイルス感染症の影響に加え、世界的なサプライチェーンの混乱や原材料価格の急騰など、厳しい状況が続きました。

このような状況のなか、当社グループは、当期より第七次中期計画をスタートしております。当中期計画では、「お客様に対して」「社員とその家族に対して」「社会に対して」という「3つの責任」全てにおいてクオリティ企業への変革を加速するとともに、「スパイス系」「機能性素材系」「大豆系」「付加価値野菜系」の4系列バリューチェーンを私どもの提供価値である「食で健康」をお届けする領域と定め、経営資源を成長領域へ重点的に配分することで持続的な成長をめざしております。

その初年度である当連結会計年度の売上高は、前期に生じた巣ごもり特需の反動やコロナ影響の長期化などから香辛・調味加工食品事業や健康食品事業が低調に推移したものの、海外食品事業やその他食品関連事業が伸長したことで増収となりました。営業利益は、外食事業におけるのれん償却費の減少が寄与したものの、香辛・調味加工食品事業の減益影響が大きく、前期を下回る結果となりました。経常利益ならびに親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に計上した持分法による投資損失や減損損失が減少したほか、投資有価証券売却益を計上したことなどにより増益となりました。

 

これらの結果、当社グループの経営成績は以下のとおりとなりました。

 

2022年3月期

金額(百万円)

前期比(%)

売上高

253,386

101.3

営業利益

19,227

99.0

経常利益

21,125

106.5

親会社株主に帰属する当期純利益

13,956

159.5

 

当社が重視する経営指標は次のとおりとなりました。

 

2021年3月期

2022年3月期

ATO(総資産回転率)

0.68回

0.67回

ROS(売上高営業利益率)

7.8%

7.6%

ROA(総資産営業利益率)

5.3%

5.1%

ROE(自己資本当期純利益率)

3.5%

5.3%

 

当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2021年3月26日)を適用しております。なお、当該会計基準等の適用については、「収益認識に関する会計基準」第84項に定める原則的な取扱いに従って、新たな会計方針を過去の期間のすべてに遡及適用しているため、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。

 

 セグメント別の経営成績の概況(セグメント間取引消去前)は、次のとおりであります。

事業の種類別

セグメント

売上高

営業利益

(セグメント利益又は損失(△))

金額

(百万円)

前期比

(%)

金額

(百万円)

前期比

(%)

香辛・調味加工食品事業

117,422

97.5

12,628

80.9

健康食品事業

14,432

94.4

△138

海外食品事業

39,110

114.8

5,250

114.5

外食事業

45,422

101.6

1,502

その他食品関連事業

45,571

103.8

1,480

83.6

小計

261,957

101.4

20,721

99.1

調整(消去)

△8,571

△1,494

合計

253,386

101.3

19,227

99.0

(注)1.調整(消去)の内容は、セグメントに配分していない損益およびセグメント間取引に係る相殺消去であります。

 

<香辛・調味加工食品事業>

当事業セグメントは、既存事業の収益力強化とともに新価値創出に基づく成長実現に取り組んでおります。当連結会計年度は、前期生じた巣ごもり特需の反動影響を受けるなか、家庭用事業においてレトルト製品のレンジパウチ化を推進したほか、業務用事業において大容量レトルト製品の製造ラインを新たに稼働するなど、変容するお客様ニーズに即した付加価値の向上に取り組みました。

以上の結果、香辛・調味加工食品事業の売上高は1,174億22百万円、前期比2.5%の減収、営業利益は減収影響に加え、減価償却費の増加や下期以降の原材料価格の急騰もあり、126億28百万円、前期比19.1%の減益となりました。結果、売上高営業利益率は10.8%となり、前期より2.2pt減少いたしました。

 

<健康食品事業>

当事業セグメントは、国内の厳しい事業環境が継続するなか、第七次中期計画において構造改革の推進とともに機能性素材系バリューチェーンの早期構築に取り組んでおります。当連結会計年度は、低収益事業からの戦略的撤退や国内家庭用製品の営業機能の統合による顧客接点の拡大など、構造改革に取り組みました。売上高は、低収益事業からの撤退や外飲み機会が長期間抑制されたことによる主力製品の伸び悩みもあり減収となりました。利益面ではコロナ禍の影響が長引き引き続き厳しい状況にありますが、販売チャネルの多角化など構造改革の成果が一部に見られ、営業損失は前期から縮小しております。

以上の結果、健康食品事業の売上高は144億32百万円、前期比5.6%の減収、営業利益は1億38百万円の損失、前期からは2億58百万円改善いたしました。結果、売上高営業利益率は△1.0%となり、前期より1.6pt向上しております。

 

<海外食品事業> 連結対象期間:主として2021年1月~12月

米国豆腐事業は、拡大するプラントベースフードの需要を取り込むことができたものの、第3四半期以降サプライチェーンの混乱やインフレの進行により原材料価格や物流費等が急騰したことで、増収減益となりました。

中国カレー事業は、散発的な新型コロナウイルス感染症拡大による行動規制の影響を受けるなか、コロナ前の水準を上回る成長を実現し増収となりました。利益面は、事業活動の制限によりコストが抑制された前期の反動に加え、原材料価格の急騰もあり減益となりました。

タイ機能性飲料事業は、大容量パック製品を投入するなど新たなビタミン摂取シーンの創出に取り組みました。加えて、政府による消費刺激策もあり伝統的市場で配荷が促進されたことや税負担の軽減もあり、増収増益となりました。

以上の結果、海外食品事業の売上高は391億10百万円、前期比14.8%の増収、営業利益は52億50百万円、前期比14.5%の増益となりました。結果、売上高営業利益率は13.4%となり、前期と同水準になりました。

<外食事業> 連結対象期間:㈱壱番屋は2021年3月~2022年2月、海外子会社は2021年1月~12月

当事業セグメントは、コロナ影響の長期化に伴い厳しい事業環境となりましたが増収増益となりました。

㈱壱番屋は、継続的に店舗営業時間の短縮を余儀なくされたことで、国内既存店売上高は前期から1.4%減となりましたが、配達代行の導入店舗を増やすなど、拡大する宅配需要の取り込みに努めました。一方、海外店舗はエリアごとに状況が異なるものの、前期の大幅な落ち込みからは回復傾向にあります。

以上の結果、外食事業の売上高は454億22百万円、前期比1.6%の増収となりました。営業利益は15億2百万円、㈱壱番屋を連結子会社とした際に発生したのれんの償却が前期に完了したこともあり、前期から21億62百万円の増益となりました。結果、売上高営業利益率は3.3%となり、前期より4.8pt向上いたしました。

 

<その他食品関連事業>

㈱デリカシェフは、総菜や焼成パン類が伸長したことで生産性の改善が進み、増収増益となりました。

㈱ヴォークス・トレーディングは、MA米(ミニマム・アクセス米)の落札が増加したことで増収となりましたが、外食需要が長期的に低迷したことにより減益となりました。

以上の結果、その他食品関連事業の売上高は455億71百万円、前期比3.8%の増収、営業利益は14億80百万円、前期比16.4%の減益となりました。結果、売上高営業利益率は3.2%となり、前期より0.8pt減少いたしました。

 

 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

香辛・調味加工食品事業

103,647

△4.5

健康食品事業

14,496

+4.5

海外食品事業

20,748

+17.4

外食事業

11,768

△3.5

その他食品関連事業

21,306

+6.5

合計

171,965

△0.2

(注)1.金額は販売価格により算出しております。

 

 

② 受注状況

主要製品の受注生産は行っておりません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

香辛・調味加工食品事業

117,422

△2.5

健康食品事業

14,432

△5.6

海外食品事業

39,110

+14.8

外食事業

45,422

+1.6

その他食品関連事業

45,571

+3.8

小計

261,957

+1.4

調整(消去)

△8,571

合計

253,386

+1.3

(注)1.調整(消去)の内容は、セグメントに配分していない損益およびセグメント間取引に係る相殺消去であります。

2.当連結会計年度における主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

加藤産業㈱

32,548

13.0

31,467

12.4

三菱食品㈱

17,914

7.2

17,192

6.8

 

(2)財政状態

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて126億86百万円増加し3,820億21百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末に比べて1億84百万円増加し1,571億23百万円、固定資産は、前連結会計年度末に比べて125億2百万円増加し2,248億98百万円となりました。

流動資産の増加の主な要因は、現金及び預金が39億1百万円、有価証券が35億7百万円減少した一方で、受取手形及び売掛金が33億42百万円、商品及び製品が16億58百万円、原材料及び貯蔵品が8億95百万円増加したことなどによるものです。

固定資産の増加の主な要因は、ソフトウエア仮勘定が21億44百万円減少した一方で、投資有価証券が64億61百万円、退職給付に係る資産が43億77百万円、ソフトウエアが28億円増加したことなどによるものです。

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて10億2百万円増加し834億54百万円となりました。

流動負債は、前連結会計年度末に比べて3億円減少し516億9百万円、固定負債は、前連結会計年度末に比べて13億3百万円増加し318億45百万円となりました。

流動負債の減少の主な要因は、支払手形及び買掛金が14億83百万円増加した一方で、未払金が14億16百万円、電子記録債務が5億77百万円減少したことなどによるものです。

固定負債の増加の主な要因は、繰延税金負債が12億43百万円増加したことなどによるものです。

当連結会計年度末の純資産は、自己株式の取得により自己株式が増加した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が増加したことや、為替換算調整勘定が増加したことなどから、前連結会計年度末と比べて116億84百万円増加の2,985億67百万円となりました。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の69.8%から70.4%となり、1株当たり純資産が2,559円12銭から2,700円99銭となりました。

なお、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用し、当該会計方針を過去の期間のすべてに遡及適用しております。

 

(3)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー161億40百万円に対し、「有形固定資産の取得」「投資有価証券の取得」などの投資活動によるキャッシュ・フロー△103億98百万円、「短期借入れ」「短期借入金の返済」「配当金の支払」などの財務活動によるキャッシュ・フロー△100億68百万円を減じました結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は757億5百万円となり、期首残高より26億38百万円減少いたしました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動による資金の増加は161億40百万円(前期比△70億42百万円)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益233億69百万円、法人税等の支払額76億76百万円などによるものであります。

 また、前連結会計年度に比べての減少は、売上債権の増減額の増加(前期比△75億6百万円)、税金等調整前当期純利益の増加(前期比+113億4百万円)、減損損失の減少(前期比△94億39百万円)、のれん償却額の減少(前期比△16億64百万円)などが要因であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動による資金の減少は103億98百万円(前期比△18億40百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出118億63百万円、投資有価証券の取得による支出106億37百万円、有価証券の売却による収入95億円などによるものであります。

 また、前連結会計年度に比べての減少は、投資有価証券の取得による支出の増加(前期比△61億78百万円)、有価証券の売却による収入の増加(前期比+25億98百万円)、有価証券の取得による支出の減少(前期比+25億8百万円)などが要因であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動による資金の減少は100億68百万円(前期比△38億95百万円)となりました。これは主に短期借入金の返済による支出425億24百万円、自己株式の取得による支出40億1百万円、配当金の支払額46億11百万円、短期借入れによる収入429億65百万円などによるものであります。

 また、前連結会計年度に比べての減少は、短期借入れによる収入の減少(前期比△50億円)、自己株式の取得による支出の増加(前期比△39億95百万円)、短期借入金の返済による支出の減少(前期比+51億40百万円)などが要因であります。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性について

(財務戦略の基本的な考え方)

当社グループは、財務体質の健全性の維持と資金効率の向上を両立しつつ、企業価値向上のために資金を適切に配分することを財務戦略の基本方針としております。

財務体質の健全性の維持に関しては、「シングルA(安定的)」以上の信用格付の取得・維持を目指し、信用力および透明性の向上を図ります。

資金効率の向上に関しては、当社および国内子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより、国内子会社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで資金効率の向上を図っております。

企業価値向上に関しては、第七次中期計画の期間中に、4系列バリューチェーンの成長領域へ400億円、既存領域へ200億円、デジタル変革・環境領域へ100億円の、計700億円の事業投資を計画しております。また、当社グループが保有するいわゆる政策保有株式の一部売却を原資とした、120億円の自己株式取得を計画しております。

なお、新型コロナウイルス感染症の拡大が続くなか、世界的なサプライチェーンの混乱や原材料価格・エネルギーコストの高騰に加え、ウクライナ情勢などの地政学的リスクの高まりにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。国内では、コロナ禍での内食需要の増加が一巡し、新たな生活様式の定着とともに、お客さまニーズの多様化や食の外部化の進展が見込まれ、また、海外では、環境意識や健康意識の高まりを背景にプラントベースフード需要が拡大する米国、市場ポテンシャルの大きい中国やアセアンなど、引き続き市場の成長が見込まれ、当社グループは財務体質の健全性を維持しております。

食品企業の使命として人命の安全を確保しながらも製品供給を果たすため、今後も財務体質の健全性の維持および向上に努めてまいります。

 

(経営資源の配分に関する考え方)

当社グループは、適正な手元資金の水準について、事業上の資金を回収するまでの運転資金調達期間(売上高の約1.8か月分)の観点と不測の事態に対応できる安全資産の額の観点から検証し、適正な水準を設定しております。適正な水準を超える分については、追加的に配分可能な経営資源と認識し、企業価値向上のために既存領域での生産性向上による収益力強化と国内外の成長事業領域への経営資源の重点配分に取り組んでまいります。

 

(資金需要の主な内容)

当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用などがあります。投資活動に係る資金支出では、香辛・調味加工食品事業における「食の外部化」への対応強化に向けた大容量レトルトライン生産設備新設、国内家庭用製品の営業機能統合に向けたシステム改修、海外食品事業(米国豆腐事業)における健康志向や環境意識の高まりを背景に強い需要の続く豆腐製品製造設備の拡張、外食事業における新規出店や店舗譲受、店舗設備や内装の更新などがあります。

また、持続的な成長の実現のため、既存領域だけでなく、4系列バリューチェーンによる成長実現を目指し、成長領域や新規領域についても、投資を行ってまいります。

 

(資金調達)

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、営業活動によるキャッシュ・フローを内部的な資金の源泉と考えており、設備投資のための資金については、主として内部資金により充当することとしており、必要に応じて金融機関からの借入金や社債の発行等により充当することとしております。

 

(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

1.香辛・調味加工食品事業、健康食品事業、海外食品事業

 当社グループ(当社および当社の関係会社)は、“「食で健康」クオリティ企業への変革”というテーマを掲げております。国内市場で長年にわたりご愛顧をいただいている各製品ブランド力の維持・強化に努めると共に、成熟した市場の中で「食で健康」という領域にフォーカスし、お客さまの立場に立った新しい価値をご提供し続けることができるよう、研究開発活動を行っております。

 当社グループにおきましては、研究開発本部、ハウス食品㈱の開発研究所(千葉県四街道市)、ハウスウェルネスフーズ㈱の開発研究所(千葉県四街道市、兵庫県伊丹市)の3部門が、研究開発活動を担っており、「新たな需要の創造」と「確かな設計」の両立を目指し、変化する社会にあって安心してご使用いただけ、ご満足をいただける食品を創出するために、広範な研究開発を実施しております。

 

(1)研究開発取組概要

① 製品開発・技術開発分野

 製品開発・技術開発分野では、日本の成熟市場では潜在化しやすいお客さまニーズを掘り起こし、「新しい価値」を有した製品づくりに努めるとともに、お客さまの食生活と健康に貢献するべく、「よりおいしく、より簡便に、より健康に」にこだわりを持ち、品質の一層の向上に努め、独自性のある技術に裏打ちされた製品の開発に取り組んでおります。

 香辛・調味加工食品事業におきましては、従来にないおいしさを感じるカレーパウダーで新しい食の世界を作りたいと考え、特徴となる香りを引き出す技術を約10年かけて研究し、ギャバンのスパイス加工技術も取り入れることで今までにない製造方法を確立。焙煎香由来の香りのコクを引き出すことにこだわった「GABAN®カレーパウダー」<PROFESSIONAL BLEND>を開発いたしました。また、25周年を迎えた北海道シチューでは、定番製品のリニューアルに加え、期間・数量限定ながら「北海道産原料と上質な乳のおいしさ」にとことんこだわるために「濃縮ペーストルウ技術」を採用した「北海道シチュープレミアムクリーム」を開発いたしました。

 健康食品事業におきましては、日常生活での疲労感が気になる方に向けて、日常生活の一時的な疲労感を軽減することが報告されている秋ウコンエキスを配合した機能性表示食品、「ラクシテ」を開発いたしました。仕事や家事だけでなくプライベートも含めた日常生活で発生する疲労感の軽減をサポートします。また、ハウスグループの長年の研究でターメリックから発見した希少な健康成分ターメロノール類を、どなたでも毎日継続して摂取いただけるようにソフトカプセル2粒に配合した「ターメリック効果」を開発いたしました。

 グループ全体として環境に優しいモノづくりに取組む中、今期は「カリー屋カレー」シリーズを電子レンジ加熱にも対応したパウチへとリニューアルいたしました。トップブランドである「カリー屋カレー」シリーズで実施することで、調理時のCO2排出量削減につながり、環境配慮の面でも大きな意義があると考えております。

 

② 基礎研究分野

 基礎研究分野では、食品科学のみならず、生化学、植物育種・栽培学、化学工学、生理学など多方面からの研究を行い、高水準の技術保有に努めております。当連結会計年度では、弘前大学大学院医学研究科の共同研究講座「食と健康 科学講座」において、健康寿命延伸につながる新たな食スタイルを提案することを目指して、青森県の岩木健康増進プロジェクト健診・いきいき健診や沖縄県のやんばる版プロジェクト健診での味覚感受性試験や食生活アンケートを行い、味覚や食生活と様々な健康指標との関連性の解析を進めました。特に食事調査については、一定期間の実際の食事メニューから栄養素を算出する新しい手法の導入を試みることで、より実際に即した食事内容を把握することにも取組んでいます。一方で、食の安全の分野においては、油脂中に含まれて健康リスクが懸念される3-MCPD脂肪酸エステルとグリシドール脂肪酸エステルについて、弊社が開発した間接分析法の前処理工程の一部を機器メーカーとの共同により自動化することに取組み、成果を学会発表しました。技術開発以外では、近年の食物アレルギーの治療方針が「正しい診断に基づく必要最小限の原因食物の除去」となっていることを受けて、患者さんのQOL向上を目的に「加工食品のアレルゲン含有量早見表(編集:藤田医科大学 等)」を通して、ハウス食品の一部製品を対象にアレルゲン含有量情報を医師に提供しています。この取組みをより多くの医師の方々に知っていただくことを目的に、食物アレルギー研究会にも紹介しました。

 タマネギ栽培研究におきましては、お客様にさらに高品質なスマイルボール(涙の出ないタマネギ)を安定的にお届けするだけでなく、生産者の方々にも最適な栽培方法を提供するため、栽培法の検討、品種改良を継続的に進めております。またタマネギ研究の新たな取組としては、涙液が非侵襲的に採取可能な体液試料であることに着目し、過去にドライアイ検査への活用を検討していたタマネギ催涙因子発生技術をベースとして、従来技術で課題となっている採涙量の少なさを改善する技術を確立し、様々な活用の道を模索しています。ハーブ栽培研究につきましては、植物工場事業を行うファームシップ株式会社と共同研究を行い、バジルなどのハーブ類やサラダ野菜の栽培、生産技術開発を進めております。

 健康関連の分野では、健康維持に必要なビタミンや、さまざまな生理機能があるといわれるスパイスに加え、近年その健康維持への効果が期待されている乳酸菌につきまして、これらの効果を検証するための試験、ならびに、新しい作用を見出すための基礎研究を継続して精力的に取り組んでおります。当連結会計年度では、「ウコンエキスによる抗慢性炎症」に関する原著論文が学術誌に掲載されました。また、「乳酸菌L-137による肌機能改善効果」「乳酸菌L-137による炎症と脂質代謝に対する改善効果」ならびに「ウコンエキスによる抗慢性炎症および血糖改善効果」に関する研究成果を国内の学術大会において発表いたしました。

 

(2)研究体制・しくみ

 当社グループの3つの研究所は、基礎研究・機能性研究、製品開発、技術開発、容器包装開発、お客様生活研究、グループ技術連携、研究企画、運営の各部門で構成しており、それぞれの部門において専門的な研究開発活動に取り組む一方、リノベーションを行った千葉研究センターを中心に、部門間の垣根を越え、お互いが有機的に連携して相乗効果を高める取組み(One Day a Weekなど)を継続して進めております。また、海外事業における製品開発サポート体制も継続的に強化しております。

 組織をフラットな小グループ制とし、柔軟性ある運用により市場の変化と商品の多様化にフレキシブルに対応するとともに、保有技術を目に見えるサービスにいかに具現化していくかというこだわりを持って運営にあたっております。

 

(3)研究開発費

 当連結会計年度における研究開発費の総額4,417百万円であります。

 

2.外食事業、その他食品関連事業

 特に記載すべき事項はありません。