第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、次の3要素をグループ理念体系と位置づけております。グループ理念体系により、めざす方向性を明確にし、一貫性をもった事業活動による成長を図っております。

『創業理念』

日本中の家庭が幸福であり、そこにはいつも温かい家庭の味ハウスがある。~幸せな家庭のマーク~

『グループ理念』

食を通じて人とつながり、笑顔ある暮らしを共につくるグッドパートナーをめざします。

『ハウスの意(こころ)』

社是(「誠意・創意・熱意を持とう。」)・ハウス十論で構成

 

(2)経営環境

当社の経営環境は、コロナ出口における経済活動再開に伴う需給バランスの乱れやロシアによるウクライナ侵攻を背景にした原材料・エネルギーコストの高騰や世界的なインフレの進行および各国通貨の金利上昇など先行き不透明な状況が続いているなか、国内における人口減少や超高齢社会の進行、それに伴う労働力不足、海外における人口の増加、異常気象による天然資源・食糧・水の不足など社会問題はますます深刻化しております。

このような状況下で、当社グループにおいては、一部製品・サービスで価格改定を実施し、足元の急激な環境変化に対応するとともに、将来のあるべき姿を見据え、バックキャスト視点でクオリティ企業への変革を推進しております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

当社グループは、「食を通じて人とつながり、笑顔ある暮らしを共につくるグッドパートナーをめざします。」というグループ理念の考え方のベースとなる、一企業市民として果たすべき「お客様に対して」「社員とその家族に対して」「社会に対して」という「3つの責任」を企業活動の柱としております。2021年4月よりスタートした第七次中期計画では、「3つの責任」全てにおいて明確な行動計画を設定して、クオリティ企業への変革に向けた取組を加速しております。

「お客様に対して」では、グローバルにプレゼンスのあるクオリティ企業に向けて、バリューチェーン経営による事業規模倍増というあるべき姿を描いたうえで、バックキャスト視点で立案した戦略を推し進めております。「スパイス系」「機能性素材系」「大豆系」「付加価値野菜系」の4系列のバリューチェーンをグループの強みを最大限発揮する領域と定め、各々のバリューチェーンの強化に取り組んでおります。既存領域では、収益基盤の強化および生産性の向上に取り組み、成長領域および新規領域では、経営資源を重点的に配分してお客様への提供価値の拡大に取り組んでおります。

「社員とその家族に対して」では、一人ひとりの個性をいかすことを基本に、「働きがい変革の実行」や「個性の発揮と融合の支援」を重要テーマとしてダイバーシティの実現に取り組んでおります。

「社会に対して」では、「循環型モデルの構築」と「健康長寿社会の実現」を重要テーマとして「人と地球の健康」の実現に向け、バリューチェーン全体で社会課題の解決に向けた取組を進めております。

 

①お客様に対する責任

スパイス系バリューチェーンにおいては、川上ではグループ一次加工機能の集約を進めるとともに、川下ではお客様の多様化に対応した顧客接点の拡大を推進しております。ギャバンスパイスマニュファクチャリング社の一次加工拠点としての機能をグループで活用し、スパイス系バリューチェーンのグローバル展開を支える拠点に進化させるため、新たに工場建設用地の取得契約を締結いたしました。カレー事業が伸長する中国においては、第三生産拠点となる浙江ハウス食品社のライン増設を実施いたしました。また、日本・中国に次ぐ新たなカレー事業の柱をアセアンに構築するために、インドネシアに現地企業ロダマスグループとの合弁会社ササハウスフーズインドネシア社を設立いたしました。

 

機能性素材系バリューチェーンにおいては、国内での基盤強化と機能性素材のグローバル展開を並行して進めております。当期は、国内では固定費削減に努めるとともにゼリー製品の事業拡大に取り組む一方で、アセアンでの事業推進・拡大・経営統括を担うべく、ハウス食品グループアジアパシフィック社をタイに設立いたしました。また、乳酸菌L-137の強みが発揮できる欧米を中心とした海外ソリューション型BtoB(飼料、素材)を優先し、営業人員・体制のグローバルシフトを加速しております。

大豆系バリューチェーンにおいては、世界的に健康志向や環境意識の高まりを背景にプラントベースドフード市場が拡大しておりますが、当社グループが米国で展開するTOFUは、「食肉に代わる良質な植物性タンパク食品」として注目を集め販売が拡大しております。ハウスフーズアメリカ社では、旺盛な需要に対応するべく、2023年6月にロサンゼルス工場の新ラインを稼働させるほか、2025年にはケンタッキー州に大量・省人化生産を可能にした第3工場の稼働を予定しております。また、2022年9月にはメインストリーム市場への展開加速に向けて、米国・カナダにおける豆腐を含むプラントベースドフードを製造販売するキーストーンナチュラルホールディングス社をグループに迎え入れました。同社は、クリーンな原材料やおいしさに拘り、多くのお客様に健康的な食生活を提供するというビジョンを掲げ、近年着実な成長を遂げております。今後同社が保有する製品開発力やハウスフーズアメリカ社および当社グループが保有する技術との連携により、プラントベースドフード市場へのグローバルな展開に取り組んでまいります。

これらのように、第七次中期計画の2年目である2023年3月期は、グローバルにプレゼンスのあるクオリティ企業への変革に向けた経営資源の投下や組織体制の構築などを着実に推進しております。

 

4系列バリューチェーン

取組領域とテーマ

2023年3月期の主要な取組

トピックス

ねらい

スパイス系バリューチェーン

スパイス・カレーを取扱うグループ各社が共創、シナジ―創出をめざす

ギャバンスパイスマニュファクチャリング社工場建設用地の取得契約を締結

ギャバンスパイスマニュファクチャリング社を、グループのグローバル展開を支える一次加工機能を担う拠点へ

国内グループ生産拠点の再編

(2023年3月期~2027年3月期)

成熟する国内市場にて伸長が続くスパイス事業の成長と収益力改善の両立のため、国内スパイス生産拠点における課題である役割や機能の重複を改善

浙江ハウス食品社生産ライン増強

伸長する中国カレー市場の需要に対応

ササハウスフーズインドネシア社設立

カレー事業で日本・中国に次ぐ柱をアセアンに構築

機能性素材系バリューチェーン

機能性素材の国内外での展開

ハウス食品グループアジアパシフィック社設立

アセアンでの事業推進・拡大・経営統括

乳酸菌事業の米国での販売機能強化

エビデンスの支持が高い海外を重点化する体制へ

大豆系バリューチェーン

拡大するTOFU需要への対応と、プラントベースフード市場への挑戦、米国外での大豆活用

ロサンゼルス工場B棟稼働(2023年6月)

TOFUの需要拡大に対する生産能力増強

キーストーンナチュラルホールディングス社グループ化

メインストリーム市場への展開加速

ドイツ事務所開設

欧州への大豆事業拡大

付加価値野菜系バリューチェーン

アグリ領域での新たなバリューチェーン構築にチャレンジ

㈱農業総合研究所との資本業務提携(2023年4月契約締結)

両社のリソースを活用し、スマイルボールを含む付加価値の高い農産物および新規事業の共創を検討

 

 

②社員とその家族に対する責任

クオリティ企業への変革に向けて、第七次中期計画では「ダイバーシティの実現」を掲げ、「属性の多様性・経験の多様性・適性の多様性」の切り口で取組を推進しております。「属性」の面では、女性の活躍支援を進めて女性管理職比率を高めており、また障がい者雇用も法定雇用率を上回る水準としております。「経験」の面では、グローバル人材の育成、キャリア採用の強化、更に社外での経験も成長機会と捉え副業制度の導入など、多くの施策を進めております。また「適性」については、一人ひとりの適性を可視化し、多様な経験と組み合わせた新たな人材育成体系の構築を進めております。こういった取組に加え、介護や育児といった生活上の変化に対し、介護に対するサポートや男性社員の育児休業の取得促進を行い、ライフイベントも含め多様な社員の支援を行っております。

また、これらの多様性をいかすための組織風土づくりの一環として、2023年4月からハウス食品㈱において、人事制度を改定しております。これまでの「資格等級・能力給」を軸とした体系から「役割等級・役割給」を軸とした体系に移行し、年齢や社歴に関係なく一人ひとりが担う役割と成果にしっかりと報いていくことで、グループの多様な人材が集い活躍する、より働きがいのある企業グループをめざしてまいります。

 

③社会に対する責任

「循環型モデルの構築」に向けては、2022年5月にScope1,2領域で2050年カーボンニュートラル宣言を行い、サプライチェーンを含めたCO2削減を進めております。2022年9月にはJFEエンジニアリング㈱と「多拠点一括エネルギーネットワークサービス」の基本合意を締結いたしました。本サービスは2024年4月開始を予定しており、ハウス食品㈱の静岡工場敷地内にJFEエンジニアリング㈱が導入した設備から発電された電力を国内の関係会社・事務所に融通するもので、同一企業グループ8社17拠点への電力融通は、拠点数として国内最多レベルとなります。また、食品メーカーとして食品残渣の発生抑制を中心に廃棄物削減の取組も進めております。インドネシアのジャワアグリテック社では、食品残渣から作った堆肥を自社農園で使用する取組を進めております。

 

●財務戦略

第七次中期計画の期間中に、4系列バリューチェーンの成長領域へ400億円、既存領域へ200億円、デジタル変革・環境領域へ100億円の、計700億円の事業投資を計画しております。また、当社グループが保有するいわゆる政策保有株式の一部売却を原資とした、120億円の自己株式取得を計画しております。

 

事業投資実績

投資領域

(第七次中期計画目標)

2022年3月期実績

2023年3月期実績

成長領域

(400億円)

35億円

240億円

既存領域

(200億円)

56億円

52億円

デジタル変革・環境領域

(100億円)

23億円

14億円

合計

(700億円)

114億円

306億円

 

●コーポレート・ガバナンスの強化

当社グループは、内部統制システムをコーポレート・ガバナンス体制の充実と企業理念・経営目標の実現・達成のための仕組みととらえ、企業価値のさらなる向上と持続的な発展をめざし、グループ経営の視点でリスクマネジメント、コンプライアンスを含めたガバナンス体制の構築と運用の強化を図っております。

当社は、監査等委員会設置会社であり、監査等委員である取締役が取締役会における議決権を有することにより、監査・監督機能を強化し、コーポレート・ガバナンス体制を一層充実させることを目的としております。監査等委員会は、監査等委員である取締役5名(うち、社外取締役4名)で構成され、取締役の職務の執行および取締役会の決議の適法性、妥当性の監査・監督を行っております。

取締役会は取締役12名(うち、社外取締役4名)で構成され、当社グループの重要な業務執行を決定するとともに、他の取締役およびグループ会社の業務執行を監視・監督しております。なお当期から、取締役会の運営強化と実効性向上を目的として、全取締役へのアンケート形式による取締役会実効性評価を開始しております。

取締役会の任意の諮問機関として、委員の過半数を独立した社外取締役で構成し、独立社外取締役を委員長とする指名諮問委員会および報酬諮問委員会を設置し、取締役の選任・解任、報酬決定の手続きにおいて、客観性と透明性を確保しております。また、ガバナンス強化の一環として2022年1月に経営会議の諮問機関である投資委員会を新設いたしました。4系列バリューチェーンの構築に欠かせない資本提携を目的とした合併や買収等において、成長投資資源をより有効に活用するために、案件起案時の審議フェーズと、投資実行後のモニタリングフェーズの両面でチェック機能を強化することで企業価値向上につなげてまいります。

 

●次期の主な取組

第七次中期計画に基づき、既存領域では収益基盤の強化および生産性の向上に取り組み、成長領域および新規領域では、グループ最適の観点から経営資源を重点的に配分することで、バリューチェーンの幹を太くし、持続的な成長を実現してまいります。

スパイス系バリューチェーンにおいては、業務用市場におけるプレゼンス向上をめざし、ハウス食品㈱の業務用食品事業を同社から切り離し、㈱ギャバンと統合させることで、2023年4月よりハウスギャバン㈱が始動いたします。素材からメニュー提案までの幅広い品揃えと提案力をもったソリューション・カンパニーとして、売上高500億円、ROS10%をめざしてまいります。また、日本・中国に次ぐ第3の日本式カレー市場の創出に向けて、インドネシアの家庭用市場開拓のチャレンジを開始いたします。

機能性素材系バリューチェーンにおいては、国内事業の基盤強化を継続するとともに、海外ではアセアンにおけるビタミン飲料市場の深耕とエリア拡大を図るとともに、確かなエビデンスや高い加工特性を評価いただいている乳酸菌事業の事業立上げに取り組んでまいります。

大豆系バリューチェーンにおいては、ハウスフーズアメリカ社においては旺盛な需要に対応するべく生産体制強化を図るとともに、プラントベースドフード領域内において独自ポジションを確立すべく、キーストーンナチュラルホールディングス社とのシナジー創出に向けた取組を推進してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

 ハウス食品グループでは、グループ理念として「食を通じて人とつながり、笑顔ある暮らしを共につくるグッドパートナーをめざします。」を掲げています。経済的価値をつくり出しながら、社員の生きがい・やりがいを生み出し、社会との調和を図るといった、「お客様への責任」 「社員とその家族への責任」 「社会への責任」という「3つの責任」をステークホルダーとともに果たしていくという考え方がグループ理念の根本にあり、CSR方針にこの「3つの責任」を位置づけ、本業を通じて健全な社会と健やかな暮らしへの貢献を目指しています。同時に、「3つの責任」に取り組むことが、企業における持続可能性と関連していると考えております。

 

<グループCSR方針>

 私たちは本業を通じて、健全な社会とすこやかな暮らしに貢献するため、3つの責任を果たします。

 ~3つの責任の取組み~

 ・お客様とともに

安全・安心で価値ある商品・サービスを提供し続け、心身ともに健康で豊かな暮らしに貢献します。

 ・社員とその家族とともに

雇用を生み出し、社員の基本的人権、多様性を尊重します。また、人としての成長をうながし、社員とその家族の生活を豊かにします。

 ・社会とともに

健全な経営と事業活動により、自らの価値向上に努め、社会の発展に寄与します。

責任ある社会の一員として、法令順守はもとより、道徳観、倫理観を持って行動します。

環境に配慮した企業活動を行い、恵み豊かな地球の存続に貢献します。私たちは本業を通じて、健全な社会とすこやかな暮らしに貢献するため、3つの責任を果たします。

 

■ガバナンス

 ハウス食品グループが現在取り組んでいる第七次中期計画は、“「食で健康」クオリティ企業への変革”の実現に向けて各種重点テーマを設定しており、その計画や目標設定は、グループ本社経営会議で議論した上で、グループ本社取締役会で承認、最終的な意思決定をしています。

 また、設定した重点テーマおよび目標の進捗確認は、グループ経営会議及び取締役を中心に構成するグループCSR委員会において年1回以上の報告を行い、経営に対する監督・指導を行うとともに、グループ内の連携強化を図っています。

 中期計画における当社の重要な経営課題として、「社員とその家族への責任」の重点テーマでは「ダイバーシティの実現」に向けた取り組みを推進しております。

 また、「社会への責任」の重点テーマでは、食を生業とする企業として、限りある食資源を価値につなげることのできる「循環型モデルの構築」に向け、バリューチェーン全体での環境負荷低減に向けた「気候変動への対応」を推進しております。

 

■リスク管理

 ハウス食品グループの中期計画では、「社員とその家族への責任」については、人事部門を中心に、また「社会への責任」においてはCSR部門を中心にリスクと機会の評価を行い、その中で優先度の高いリスク機会項目の対応策を検討しています。検討した対応策は全社戦略に織り込み、グループ本社経営会議に答申後、グループ本社取締役会にて意思決定を行っています。

 対応策の進捗管理については、グループ経営会議やグループCSR委員会への報告を年1回以上行っています。

 

 

<気候変動への対応>

 私たちの事業は、スパイスをはじめ原材料の多くを自然の恵みに頼っており、地球の健康なくしては成り立たないものです。気候変動は世界規模で影響を与える問題であり、国内外で事業展開しているハウス食品グループにとって、「社会への責任」として取り組むべき重要な課題と認識しています。

 

[TCFD提言に基づく情報の開示]

 ハウス食品グループは、2021年5月に、G20金融安定理事会(FSB)が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」へ賛同を表明し、TCFDコンソーシアムに加盟しました。そして、2022年度より気候変動問題の主管部門であるCSR部を中心に、TCFD提言に沿った気候変動対応に関する情報開示を進めております。

 

■ガバナンス

 ハウス食品グループでは、バリューチェーン全体での環境負荷低減をグループの重点課題と位置づけ、CO2削減の戦略および目標を中期計画に織り込み推進しています。中期計画の取り組み項目および目標は、グループ本社経営会議で議論した上で、グループ本社取締役会で承認、最終的な意思決定をしています。

 また、設定した取り組み項目および目標の進捗確認は、取締役を中心に構成するグループCSR委員会で行い、経営に対する監督・指導を行うとともに、グループ内の連携強化を図っています。

 

 2022年5月に2050年のカーボンニュートラル(Scope1、2)を目標に設定し、開示するとともに、削減取り組みの加速につなげています。

 

 気候変動対応の推進体制は以下の通りです。

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会議体

開催頻度

気候変動の役割

監視・監督

グループ本社取締役会

1回/月

・気候変動対応を含め、CSR方針に基づく3つの責任に関する取り組みの戦略決議

監視・指導

グループCSR委員会

1回/年

・グループ全体の気候変動対応を含めたCSR活動に対する監督

・グループ全体の気候変動対応に関する取組みの効果的、効率的な推進および連携強化のための指導

執行

グループ本社経営会議

2回/月

・気候変動対応を含む戦略および目標を織り込んだ中期計画の検討、取締役会への答申

・中期計画に基づく具体策の遂行責任

グループ環境全体会議

1回/年

・グループ各社の目標に対する進捗確認

・グループCSR委員会への報告

グループ環境戦略会議

随時

・気候変動対応を含む環境戦略の取り組み強化に向けて、2021年度より新設

・気候変動対応を含むグループ環境目標と現状のギャップを踏まえ、グループ横断の取り組みを技術的な面から探索

・グループ本社経営会議への検討内容の答申

 

■リスク管理

 ハウス食品グループでは気候変動を重要な経営リスクと位置付け、「社会への責任」におけるグループの重点課題として取り組んでいます。気候変動対応の主管部署であるCSR部を中心にリスクと機会の評価を行い、その中で優先度の高いリスク機会項目の対応策を検討しています。検討した対応策は全社戦略に織り込み、グループ本社経営会議に答申後、グループ本社取締役会にて意思決定を行っています。

 対応策の進捗管理については、グループ環境全体会議がグループCSR委員会への報告を行っています。

 2022年度より、TCFD提言に基づくシナリオ分析を行い、リスクと機会について再度精査を行いました。今後、優先的に取り組むリスク機会項目を特定、対応策を検討し、全社戦略に反映していきます。

 

<人的資本>

■人材育成および社内環境整備について

 サステナビリティ全般に記載の「3つの責任」の一つである、「社員とその家族への責任」において、社員の成長支援や就労環境の充実を通じ“働きがい”を感じられる企業になっていくことで、社員と社が共に成長をしていくということを当社の基本スタンスとしております。

 また、第七次中期経営計画では、クオリティ企業への変革に向けて、「社員とその家族への責任」では「ダイバーシティの実現」を掲げ、その実現に向け「属性の多様性・経験の多様性・適性の多様性」の切り口で取り組みを推進しております。さらに、これらの多様性が活かせるよう、「多様性を受け入れ、チャレンジを後押しする組織風土づくり」をグループ社員、全員参加で取り組んでおります。

 当社グループは、社員一人ひとりが“働きがい”を感じられる職場へと変革し、社員一人ひとりの“多彩な個性の発揮と融合”を強力に支援することで、今後とも社員とともに成長してまいります。

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(注)1.女性管理職比率については、国内グループ全社の合計値となります。

   2.組織風土診断は4段階評価を実施し、「社員から見た組織風土の状態」を可視化したものになります。

3 【事業等のリスク】

当社グループはグループ理念「食を通じて人とつながり、笑顔ある暮らしを共につくるグッドパートナーをめざします。」の実現に向けて、「3つの責任」(お客様に対して、社員とその家族に対して、社会に対して)の全てにおいて企業市民としての責任を果たしながら、“「食で健康」クオリティ企業への変革”を進めております。

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等(以下「財政状態等」)に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できないまたは問題視されていないリスクの影響を将来受ける可能性があります。当社グループは、これらのリスク発生(顕在化)の可能性を認識し、発生の抑制・回避に努めております。また、リスクが顕在化した際には、経営および事業リスクの最小化に取り組んでまいります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)お客様に対する責任に関連するリスク

事業会社として持続的に成長し、世の中に独自の価値を提供し続けるための活動に関する主要なリスクは以下のとおりです。

① 国内市場動向に関するリスク

《背景》

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

中長期では景気減速や人口減少などにより、国内需要全体が低下する影響があります。

コロナ禍を経て、働き方や食事への接し方の変化など、お客様のライフスタイルは大きく変化しています。また、原料高等による物価上昇に伴い、消費動向にも変化が出てきています。

当社グループは売上の約8割を国内販売が占めており、国内市場の縮小が当社の財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

また、お客様変化や物価高に迅速に対応することは新たな成長機会になる一方、対応が遅れた場合には、提供価値(製品・サービス)が毀損するリスクがあります。

新価値創出や生産性向上を進め、リスク対応力の強化と機会獲得に取り組みます。

・当社グループの価値提供領域を「スパイス系」「機能性素材系」「大豆系」「付加価値野菜系」の4系列のバリューチェーン(以下「VC」)と定め、国内外で価値創造を推進

・既存成熟領域での生産性向上による収益力強化、国内外の成長領域への経営資源の重点配分

・グループ横断取組(以下「GOT」)の実行による、グループ経営資源の共有化・効率化と価値提供力の向上

・事業開発・R&D・人材開発が三位一体となり、新価値創出を推進

 

② 事業拡大に関するリスク

《背景》

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

当社グループは、2013年の持株会社体制移行後、2015年に㈱壱番屋を、2016年に㈱ギャバンを、2022年に米国キーストーンナチュラルホールディングス社をグループに迎えるなど、VCの拡大を進めております。また2017年にはコーポレートベンチャーキャピタルを設立し、事業シナジーが見込まれる企業への投資を通じた新たな価値基盤の創出に取り組んでおります。その結果、企業買収に伴うのれんや無形資産を計上することがあります。

当社グループの成長戦略との親和性が高く、ユニークな強みを持つ事業会社をグループに迎えることで、当社グループのバリューチェーンの強靭化が図られる一方、事業計画の未達や市場環境の変化等によって、期待されるキャッシュ・フローを生み出せない場合、また当初想定したシナジーが得られない場合、企業買収に伴うのれんや無形資産について減損損失等が生じるリスクがあります。

・経営会議等における投資計画の検証(財務的視点での妥当性、事業戦略視点での収益性や成長性リスク等)

・投資委員会(経営会議の諮問委員会)の運営を通じた、M&A等の事業投資に関わる妥当性・効率性の確保、並びに投資前後の各フェーズにおけるチェック体制の強化

 

 

③ 技術革新に関するリスク

《背景》

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

成熟した食品産業においては、既存の事業競合に加え、異業種参入や新技術の台頭により競争環境も多様化しております。

お客様や社会が直面する課題の解決に繋がるR&D機能の強化やデジタル化、グローバル化への対応強化による成長機会の獲得に努めておりますが、こうした対応が遅れた場合、競争優位性が低下し、提供価値が陳腐化するリスクがあります。

・R&D重点領域およびテーマの設定と経営資源の集中投下

・イノベーション創出力と実現力向上への意識改革、風土醸成

・グループ企業間の技術課題の解決だけでなく、事業創造をめざしたVC間の連携強化

・オープンイノベーションを通じた共創戦略の推進

・デジタル投資の積極化による基盤構築と新価値創出

 

④ 海外事業展開に関するリスク

《背景》

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

進出各国・地域においてカレー製品、豆腐製品、機能性飲料製品等の事業を展開しております。食文化は元来保守的な性質を有しており、進出各国の食文化へ浸透、定着には、緻密な事前調査や継続的な事業基盤の強化が必要不可欠です。

また、世界情勢が刻々と変化するなか、有事顕在化への備えが求められます。

当社グループが保持する知見・ノウハウを成長領域に積極的に配分することで、早期の事業拡大に取り組んでおります。一方、進出各国・地域の食文化への浸透、定着が想定を下回ることで事業計画の遅れや減損損失が生じる恐れがあります。

また、事業規模に見合う経営基盤の構築や整備の遅れ、各国法令の発布や改正への対応の遅れ、カントリーリスク顕在化等により、利益創出力の低下、ガバナンス不全等が生じるリスクがあります。

・食文化の受容性や認知度に関する緻密な市場調査に基づいた市場ポテンシャルの予測

・経営マネジメント人材の継続的な育成・確保、外部機関とも連携した各国法令情報の収集等による事業基盤の強化

・グループ本社と海外事業会社が連携し、事業規模に応じたリスクマネジメント体制の構築・整備

・複数エリアへの事業展開を進めることによる事業基盤分散、カントリーリスク低減

 

⑤ 食の安全・安心に関するリスク

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

価値ある商品やサービスをお客様に安全・安心に提供し続けるために、グループ一丸となって品質の維持・向上に取り組んでおります。しかしながら万一、製品、サービスの品質トラブルが発生した場合には、お客様の健康危害や不安の発生、それに伴う企業ブランドの毀損、社会的信用の失墜、対応に係るコスト増加のリスクがあります。

・グループ品質保証会議・グループ品質保証責任者会議を通じて、品質保証に関する重要課題について討議を行い、継続的なグループの品質保証活動を推進

・製品の品質・安全の信頼性向上をめざし、各事業会社の特性に応じたISO9001やFSSC22000等の国際的な品質・食品安全マネジメントシステムの認証取得および運用

・品質情報リスクマネジメント活動を通じて法規制順守やお客様の安全への関心事をグループ全体で検討・対応することで食品安全の活動を推進

・食の安全、安心をテーマとして、HACCP学習会や製品の表示学習会、または品質の基本などの様々な社内外の活動を通して人材育成を推進

・生産現場の「安全・安心」のための創意・工夫を称賛するプロフェッショナル表彰制度等を通じて品質を重視する組織風土の醸成

・製品設計から販売に至る各工程では、お客様の声を反映した活動を通じて製品の品質向上を図るとともに、製品パッケージやWEB等では、お客様に分かりやすい情報発信を徹底

 

 

(2)社員とその家族に対する責任に関するリスク

当社グループの中長期的な成長には、性別や国籍などの属性の多様性とともに、一人ひとりが持つ多様な経験や適性をいかしていくことが欠かせません。社員一人ひとりが尊重され、仕事を通じて豊かな人生を過ごしていけるよう、成長や活躍を支援する活動における主要なリスクは、以下のとおりです。

① 多様性のある人材の確保、育成、活躍に関するリスク

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

グループ各社の特性や成長ステージ、また、GOTの具現化やグローバルな事業領域拡大に応じて人材を適切に確保・育成し供給できないこと、多様性やチャレンジを尊重する組織風土が醸成できないことは、イノベーション創出力の毀損、事業における機会損失や優秀人材の流出を起こすリスクがあります。

・事業の成長領域に対する人材投下と育成

・高度な専門性や新たな知見を有する社外人材の獲得

・社内公募制や副業制度、およびグループ内外での人材交流により、社員が多様な成長経験を積むことの支援

・アセスメントを通じた適性の把握と、適性の強化・拡大に向けた社内外での学習機会の更なる提供

・定期的に実施する組織風土診断の実施と、その結果を受けてのディスカッション等を通じた、性別、国籍、キャリア、障がいの有無等を問わず、多様な人材が成長に向けてチャレンジをできる組織風土づくり

・グループ理念やハウスの意、およびハウス食品グループ行動指針等の規範を理解・共有することでの差別やハラスメントのないコンプライアンスを順守する安全・安心な職場環境づくり

 

(3)社会に対する責任に関連するリスク

社会に存在する企業市民として、本業を通じて社会の様々な課題解決に貢献するための活動に関する主要なリスクは以下のとおりです。

① 持続可能な原材料調達に関するリスク

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

当社グループはスパイスをはじめ様々な原材料を世界各国から調達しており、持続可能な原材料調達の推進は事業活動を継続する上で必要不可欠です。

原材料の調達にあたっては、国際的な需要の拡大に伴う食資源の調達競争の激化や需給動向の変化、気候変動・生物多様性や地政学的リスク、資材お取引先での感染症集団発生による原材料の供給停止・遅れ、VCの各段階における社会・環境問題への対応の遅れ等により、調達の不全やコストの増加、社会的信用の失墜等に繋がるリスクがあります。

・川上領域の取組強化に向けた各種施策の遂行(産地多様化による安定調達、技術開発・品質向上等における調達地との協働取組、サプライヤー監査の実施等)

・持続可能な調達の実現に向けた仕組みの構築(生産地の社会課題や環境等に配慮した原材料調達の推進(RSPO認証パーム油、FSC認証紙)、第三者機関(Sedex)等を活用した人権デューデリジェンスの強化、環境負荷の低い調達方法への見直し)

・重要原材料の安全在庫基準の見直し、その他原材料の安全在庫基準内での運用

・製品・サービスの適切な価格改定によるコスト増加影響の低減

 

 

② 気候変動に関するリスク

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

気候変動は世界規模で影響を与える問題であり、国内外でVCを構築する当社グループにとって重要な課題と認識し対策を実施しております。気温の上昇や異常気象、自然災害等によって原材料の調達不全やコスト増、生産停止等の事業活動の分断、消費動向の変化等が生じるリスクがあります。また、脱炭素への対応が不足および遅延することで、排出量などによるコストの上昇や事業活動の制限、企業価値の毀損が生じるリスクがあります。

・2050年カーボンニュートラルに向けたグローバルかつバリューチェーン全体での気候変動取組の促進

・環境投資判断基準の策定による環境負荷低減に向けた投資の促進

・Scope1・2の排出削減取組の加速(再生可能エネルギーへのシフト)、Scope3への対応

・食品ロスや工程ロスの低減(飼料肥料化・フードバンク・廃棄抑制、環境に配慮した容器包装の開発等による資源循環、再資源化の促進

・TCFDに即した情報開示など、積極的な情報開示によるパートナーシップの強化

 

③ 大規模自然災害、重篤な疾病の流行に関するリスク

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

当社グループの事業は、大規模な自然災害の発生・重篤な感染症の大流行により、財政状態等に影響を及ぼすリスクがあります。

・大規模災害発生、重篤な感染症の大流行に際して、食品企業の使命として人命の安全を確保しながらも製品供給を果たすための生産・供給体制の整備等の危機管理体制を構築

・国内外グループ会社の事業特性や事業規模に応じた事業継続計画(BCP)の策定と定期的な訓練等を通じた事業継続マネジメント(BCM)の運用

 

(4)その他共通のリスク

① 法的規制とソフトローに関するリスク

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

当社グループは、食品衛生法、製造物責任法、不当景品類および不当表示防止法等の各種規制や、海外進出先における現地法令等の適用を受けております。

各国の法令等を順守して、国内・海外の事業活動を行っておりますが、社会環境の変化、価値観の多様化のなかで、新たな法令等が制定されております。

既存の法令等はもちろん、新しい法令等の制定や改正の情報を適時入手し、その内容にそった実務対応が適切にできていない場合には、また、多様化した価値観を尊重した道徳観、倫理観をもった事業活動ができていない場合には、事業活動が制限される可能性があるほか、お客様利益の損失、法令違反や社会的要請に反する行動等による処罰や事業活動の制限を受けた場合の対応コストの増加、信用失墜による企業価値の低下等につながるリスクがあります。

・グループ共通の価値観である「ハウスウェイ」や行動原則である「ハウス食品グループCSR方針」「ハウス食品グループ行動指針」に基づく、役員・社員一人ひとりの関係各国における法令・国際ルールの順守、現地の人権、文化、伝統、慣習の尊重による友好的な関係の維持・促進

・ハウス食品グループの取締役等で構成される「グループCSR委員会」を通じて、グループ全体のCSR重要テーマの取組状況のモニタリング・レビューの実施

・CSR重要テーマであるコンプライアンスについては、「コンプライアンス推進委員会」を設置し、各社の課題解決を推進

・コンプライアンス上の問題の早期発見、解決に向けた「グループ共通コンプライアンス・ヘルプライン」の整備、周知徹底

・各種法令に係る主管部門や法務部門による新規法律情報、法改正情報の収集とその実務対応

 

 

② 為替変動に関するリスク

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

当社グループが海外から調達する原材料において、為替変動の影響により調達コストが増加する可能性があります。

当社グループの外貨建て債権債務については、為替変動の影響により為替差損益が発生する可能性があります。

当社グループの海外売上高比率は約2割の水準でありますが、海外事業展開の加速に取り組んでおり、今後重要性が高まることを見込んでおります。連結財務諸表作成のため、展開各エリアの現地通貨で作成された財務諸表を円換算しており、為替変動の影響があります。

(海外から調達する原材料)

・合理的な範囲で輸入原料の国内在庫を積み増すことで将来的な為替変動によるリスクを低減

(外貨建て債権債務)

・為替予約や通貨スワップ等により将来的な為替変動によるリスクのヘッジ

 

③ 情報セキュリティに関するリスク

《リスク概要・影響》

《主要な対策》

当社グループ(海外拠点含む)は、開発・生産・物流・販売・労務等の情報や通信販売等によるお客様の個人情報について、多くをITシステムにより管理しております。災害によりソフトウエアや機器が被災した場合のシステム作動不能や内部情報の消失、想定を超えたサイバー攻撃等によるシステム障害や情報漏洩、改ざん等の被害が発生した場合、また働き方の多様化に伴う情報の持ち出しや不適切な取扱いにより社有情報の外部漏洩が発生した場合、財政状態等や社会的信用に影響を及ぼすリスクがあります。

・海外拠点含む情報セキュリティを包括的に管理するための組織体制強化と、各国独自法令含むルールの徹底

・ソフトウエアや機器によるシステムセキュリティ対策、社員教育や訓練の実施

・在宅勤務やWEB会議等の働き方の多様化に対する定期的な社内調査による現状確認の実施

・守るべき社有情報の特定と影響評価の実施、適切な情報漏洩防止策の設定と実施の徹底

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

(1)経営成績

当社グループは、現在5つの事業セグメントによる事業管理を行っておりますが、将来的なあるべき姿に向けた戦略面においては、第七次中期計画より掲げる“「食で健康」クオリティ企業への変革<第二章>4系列バリューチェーンへのチャレンジ”というテーマに則り、「スパイス系」「機能性素材系」「大豆系」「付加価値野菜系」の4つのバリューチェーン毎に戦略を立案および遂行しております。

当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症からの経済活動の再開に伴う需給ギャップの発生、国際情勢などを背景とした世界的なインフレの進行、各国通貨政策のギャップ、円安の進行など事業環境の変動は大きく、先行きの不透明な状況が続きました。

そのような状況のなか、当社グループの業績を5つの事業セグメントベースで総括いたしますと、世界的な原材料価格やエネルギーコスト、人件費などの上昇に対して国内外のグループ各社が価格改定や効率化を進めた結果、健康食品事業、海外食品事業および外食事業は増収増益となりましたが、香辛・調味加工食品事業において価格改定でコスト増を吸収しきれず減益となった影響が大きく、グループトータルでは増収減益という結果となりました。

なお、当社は2022年9月30日付で米国キーストーンナチュラルホールディングス社を子会社化しており、当第4四半期連結会計期間より、同社の連結業績を海外食品事業セグメントに計上しております。

 

これらの結果、当社グループの経営成績は以下のとおりとなりました。

 

2023年3月期

金額(百万円)

前期比(%)

売上高

275,060

108.6

営業利益

16,631

86.5

経常利益

18,253

86.4

親会社株主に帰属する当期純利益

13,703

98.2

 

当社が重視する経営指標は次のとおりとなりました。

 

2022年3月期

2023年3月期

ATO(総資産回転率)

0.67回

0.71回

ROS(売上高営業利益率)

7.6%

6.0%

ROA(総資産営業利益率)

5.1%

4.3%

ROE(自己資本当期純利益率)

5.3%

5.1%

 

 セグメント別の経営成績の概況(セグメント間取引消去前)は、次のとおりであります。

事業の種類別

セグメント

売上高

営業利益

(セグメント利益又は損失(△))

金額

(百万円)

前期比

(%)

金額

(百万円)

前期比

(%)

香辛・調味加工食品事業

119,802

102.0

7,915

62.7

健康食品事業

16,520

114.5

1,908

海外食品事業

48,875

125.0

5,368

102.3

外食事業

48,371

106.5

2,268

151.0

その他食品関連事業

50,699

111.3

1,234

83.4

小計

284,266

108.5

18,693

90.2

調整(消去)

△9,206

△2,062

合計

275,060

108.6

16,631

86.5

(注)1.調整(消去)の内容は、セグメントに配分していない損益およびセグメント間取引に係る相殺消去であります。

 

<香辛・調味加工食品事業>

当事業セグメントは、グループの収益を支えるコア事業としての役割を務めてきましたが、当連結会計年度は原材料価格やエネルギーコスト上昇の影響を大きく受けました。2022年8月に主力のルウ製品をはじめとした一部製品の価格改定を行いましたが、大幅なコスト増を吸収することができず、減益となりました。

以上の結果、香辛・調味加工食品事業の売上高は1,198億2百万円、前期比2.0%の増収、営業利益は79億15百万円、前期比37.3%の減益となりました。結果、売上高営業利益率は6.6%となり、前期より4.1pt減少いたしました。

 

<健康食品事業>

当事業セグメントは、国内の構造改革の推進とともにグローバルな機能性素材系バリューチェーンの早期構築に取り組んでおります。当連結会計年度は、「1日分のビタミン」を中心とするゼリー製品に注力するほか、コロナ禍の影響で苦戦していた「ウコンの力」が回復基調にあることに加え、固定費削減などの構造改革の努力もあり、3年ぶりに営業黒字を確保いたしました。

以上の結果、健康食品事業の売上高は165億20百万円、前期比14.5%の増収、営業利益は19億8百万円、前期からは20億46百万円改善いたしました。結果、売上高営業利益率は11.5%となり、前期より12.5pt向上いたしました。

 

<海外食品事業> 連結対象期間:主として2022年1月~12月

米国豆腐事業は、原材料価格や人件費が急騰するなか2022年1月、11月と年2回の価格改定を実施し、コスト増の吸収に努めました。また2022年9月にはM&Aによりキーストーンナチュラルホールディングス社をグループ化しておりますが、M&Aに係るアドバイザリー費用やのれん償却の影響により、事業全体では増収減益となりました。

中国カレー事業は、ゼロコロナ政策の影響を受け業務用事業が苦戦するものの、家庭用事業は家庭内調理の増加や価格改定も寄与して好調に推移し、事業全体では増収増益となりました。

タイ機能性飲料事業は、コロナ収束に伴う経済活動再開により都市部に人流がシフトし、トラディショナルトレードを中心に苦戦しましたが、為替影響もあり増収増益となりました。

以上の結果、海外食品事業の売上高は488億75百万円、前期比25.0%の増収、営業利益は53億68百万円、前期比2.3%の増益となりました。結果、売上高営業利益率は11.0%となり、前期より2.4pt減少いたしました。

<外食事業> 連結対象期間:㈱壱番屋は2022年3月~2023年2月、海外子会社は2022年1月~12月

当事業セグメントは、ウィズコロナへの環境変化や利便性向上に対応しながら、常にお客様の期待値を超える外食チェーンをめざし、国内外の事業拡大に取り組んでおります。

㈱壱番屋の国内既存店売上高は、コロナ時の行動制限が緩和され外食産業の需要が復活するなか、原材料価格やエネルギーコストの急騰を2022年6月、12月の2回の価格改定で吸収し、コロナ前の水準には至らないものの増収増益を確保しました。一方、海外事業に関しては中国のロックダウンの影響が大きく、海外事業全体では減益となりました。

以上の結果、外食事業の売上高は483億71百万円、前期比6.5%の増収、営業利益は22億68百万円、前期比51.0%の増益となりました。結果、売上高営業利益率は4.7%となり、前期より1.4pt向上いたしました。

 

<その他食品関連事業>

㈱デリカシェフは、デザートや焼成パン類が堅調に推移し前期並みの売上は確保したものの、原材料価格の高騰や製造経費の増加により営業利益を大きく落としました。

㈱ヴォークス・トレーディングは、取引先への価格転嫁が進んだことに加え、外食需要の回復や輸出商材が好調に推移したこともあり増収増益となりました。

以上の結果、その他食品関連事業の売上高は506億99百万円、前期比11.3%の増収、営業利益は12億34百万円、前期比16.6%の減益となりました。結果、売上高営業利益率は2.4%となり、前期より0.8pt減少いたしました。

 

 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

香辛・調味加工食品事業

106,109

+2.4

健康食品事業

15,944

+10.0

海外食品事業

27,698

+33.5

外食事業

12,741

+8.3

その他食品関連事業

21,352

+0.2

合計

183,845

+6.9

(注)1.金額は販売価格により算出しております。

 

② 受注状況

主要製品の受注生産は行っておりません。

 

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

香辛・調味加工食品事業

119,802

+2.0

健康食品事業

16,520

+14.5

海外食品事業

48,875

+25.0

外食事業

48,371

+6.5

その他食品関連事業

50,699

+11.3

小計

284,266

+8.5

調整(消去)

△9,206

合計

275,060

+8.6

(注)1.調整(消去)の内容は、セグメントに配分していない損益およびセグメント間取引に係る相殺消去であります。

2.当連結会計年度における主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

加藤産業㈱

31,467

12.4

32,639

11.9

三菱食品㈱

17,192

6.8

17,345

6.3

 

(2)財政状態

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて147億11百万円増加し3,967億32百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末に比べて21億83百万円減少し1,549億40百万円、固定資産は、前連結会計年度末に比べて168億94百万円増加し2,417億91百万円となりました。

流動資産の減少の主な要因は、受取手形及び売掛金が39億18百万円、商品及び製品が27億14百万円、原材料及び貯蔵品が15億78百万円増加した一方で、キーストーンナチュラルホールディングス社のグループ化等により現金及び預金が102億52百万円減少したことなどによるものです。

固定資産の増加の主な要因は、投資有価証券が76億21百万円減少した一方で、キーストーンナチュラルホールディングス社のグループ化等によりのれんが122億19百万円増加したことや、建設仮勘定が66億71百万円、退職給付に係る資産が38億76百万円増加したことなどによるものです。

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて119億35百万円増加し953億89百万円となりました。

流動負債は、前連結会計年度末に比べて50億45百万円増加し566億54百万円、固定負債は、前連結会計年度末に比べて68億90百万円増加し387億35百万円となりました。

流動負債の増加の主な要因は、未払法人税等が11億31百万円減少した一方で、支払手形及び買掛金が22億42百万円、短期借入金が13億3百万円増加したことなどによるものです。

固定負債の増加の主な要因は、繰延税金負債が13億68百万円減少した一方で、退職給付に係る負債が40億76百万円、リース債務が31億17百万円増加したことなどによるものです。

当連結会計年度末の純資産は、自己株式の取得により自己株式が増加した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が増加したことや、為替換算調整勘定が増加したことなどから、前連結会計年度末と比べて27億76百万円増加の3,013億43百万円となりました。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の70.4%から68.6%となり、1株当たり純資産が2,700円99銭から2,791円64銭となりました。

 

 

(3)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー194億83百万円に対し、「連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得」「有形固定資産の取得」などの投資活動によるキャッシュ・フロー△214億67百万円、「短期借入金の返済」「自己株式の取得」などの財務活動によるキャッシュ・フロー△127億39百万円を減じました結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は626億82百万円となり、期首残高より130億23百万円減少いたしました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動による資金の増加は194億83百万円(前期比+33億43百万円)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益212億73百万円などによるものであります。

 また、前連結会計年度に比べての増加は、退職給付に係る負債の増減額の増加(前期比+24億89百万円)、法人税等の支払額の減少(前期比+15億37百万円)、税金等調整前当期純利益の減少(前期比△20億96百万円)などが要因であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動による資金の減少は214億67百万円(前期比△110億68百万円)となりました。これは主に連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出160億56百万円、有形固定資産の取得による支出140億84百万円、有価証券の売却による収入78億80百万円などによるものであります。

 また、前連結会計年度に比べての減少は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出の増加(前期比△160億56百万円)、有形固定資産の取得による支出の増加(前期比△22億21百万円)、投資有価証券の取得による支出の減少(前期比+83億54百万円)などが要因であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動による資金の減少は127億39百万円(前期比△26億72百万円)となりました。これは主に短期借入金の返済による支出721億78百万円、自己株式の取得による支出60億3百万円、配当金の支払額45億33百万円、短期借入れによる収入733億81百万円などによるものであります。

 また、前連結会計年度に比べての減少は、短期借入金の返済による支出の増加(前期比△296億55百万円)、自己株式の取得による支出の増加(前期比△20億2百万円)、短期借入れによる収入の増加(前期比+304億16百万円)などが要因であります。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性について

(財務戦略の基本的な考え方)

当社グループは、財務体質の健全性の維持と資金効率の向上を両立しつつ、企業価値向上のために資金を適切に配分することを財務戦略の基本方針としております。

財務体質の健全性の維持に関しては、「シングルA(安定的)」以上の信用格付の取得・維持を目指し、信用力および透明性の向上を図ります。

資金効率の向上に関しては、当社および国内子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより、国内子会社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで資金効率の向上を図っております。

企業価値向上に関しては、第七次中期計画の期間中に、4系列バリューチェーンの成長領域へ400億円、既存領域へ200億円、デジタル変革・環境領域へ100億円の、計700億円の事業投資を計画しております。また、当社グループが保有する政策保有株式の一部売却を原資とした、120億円の自己株式取得を計画しております。

なお、コロナ出口における経済活動再開に伴う需給バランスの乱れやロシアによるウクライナ侵攻を背景にした原材料・エネルギーコストの高騰や世界的なインフレの進行および各国通貨の金利上昇など先行き不透明な状況が続いているなか、国内における人口減少や超高齢社会の進行、それに伴う労働力不足、海外における人口の増加、異常気象による天然資源・食糧・水の不足など社会問題はますます深刻化しております。

このような状況下で、当社グループにおいては、一部製品・サービスで価格改定を実施し、足元の急激な環境変化に対応するとともに、将来のあるべき姿を見据え、バックキャスト視点でクオリティ企業への変革を推進しております。食品企業の使命として人命の安全を確保しながらも製品供給を果たすため、今後も当社グループの企業価値向上に努めてまいります。

 

(経営資源の配分に関する考え方)

当社グループは、適正な手元資金の水準について、事業上の資金を回収するまでの運転資金調達期間(売上高の約1.8か月分)の観点と不測の事態に対応できる安全資産の額の観点から検証し、適正な水準を設定しております。適正な水準を超える分については、追加的に配分可能な経営資源と認識し、企業価値向上のために既存領域での生産性向上による収益力強化と国内外の成長事業領域への経営資源の重点配分に取り組んでまいります。

 

(資金需要の主な内容)

当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用などがあります。投資活動に係る資金支出では、香辛・調味加工食品事業において、国内業務用市場でのプレゼンス向上をめざしたハウスギャバン株式会社の立ち上げ(2023年4月)に伴う本社移転工事や

CO2削減に向けたレトルト製品レンジパウチ化のための設備更新があり、海外食品事業において、米国での健康志向や環境意識の高まりを背景に強い需要の続く豆腐製品の生産ライン拡張、中国での家庭用カレールウ事業拡大に向けた生産ライン拡張、インドネシアでの家庭用カレールウ進出を背景にした小型ルウの設備の設置などがあります。また、持続的な成長の実現のため、既存領域だけでなく、4系列バリューチェーンによる成長実現を目指し、成長領域や新規領域についても、投資を行ってまいります。

 

(資金調達)

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、営業活動によるキャッシュ・フローを内部的な資金の源泉と考えており、設備投資のための資金については、主として内部資金により充当することとしており、必要に応じて金融機関からの借入金や社債の発行等により充当することとしております。

 

(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

1.香辛・調味加工食品事業、健康食品事業、海外食品事業

 当社グループ(当社および当社の関係会社)は、“「食で健康」クオリティ企業への変革”というテーマを掲げております。国内市場で長年にわたりご愛顧をいただいている各製品ブランド力の維持・強化に努めると共に、成熟した市場の中で「食で健康」という領域にフォーカスし、お客さまの立場に立った新しい価値をご提供し続けることができるよう、研究開発活動を行っております。

 当社グループにおきましては、研究開発本部、ハウス食品㈱の開発研究所(千葉県四街道市)、ハウスウェルネスフーズ㈱の開発研究所(千葉県四街道市、兵庫県伊丹市)の3部門が、研究開発活動を担っており、「新たな需要の創造」と「確かな設計」の両立を目指し、変化する社会にあって安心してご使用いただけ、ご満足をいただける食品を創出するために、広範な研究開発を実施しております。

 

(1)研究開発取組概要

① 製品開発・技術開発分野

 製品開発・技術開発分野では、日本の成熟市場では潜在化しやすいお客さまニーズを掘り起こし、「新しい価値」を有した製品づくりに努めるとともに、お客さまの食生活と健康に貢献するべく、「よりおいしく、より簡便に、より健康に」にこだわりを持ち、品質の一層の向上に努め、独自性のある技術に裏打ちされた製品の開発に取り組んでおります。

 香辛・調味加工食品事業におきましては、今年で60周年を迎える「バーモントカレー」ブランドから、初のレトルトタイプである「レトルトバーモントカレー」<甘口>・<中辛>を開発いたしました。バーモントカレーのまろやかさとスパイス感のバランスを表現するため、複数の原料とスパイスを組み合わせて加熱する製法を新たに導入して、具材とルウを煮込んだまろやかでコクのあるバーモントカレーらしい味わいを再現し、自信を持って「バーモントカレー」と呼べるレトルトカレーを開発することができました。

 健康食品事業におきましては、朝食に1品プラスしたい時や、ヘルシーに小腹を満たしたい間食時に飲むことで、ビタミンA,C,E、食物繊維、鉄、カルシウムを手軽にまとめて補給できる栄養サポートゼリー飲料「まるでスムージー」シリーズに新フレーバー<バナナ&フルーツミックス味>と甘さと後味を改良しリニューアルした<ベリーミックス&ピーチ味>を発売いたしました。

 グループ全体として環境に優しいモノづくりに取り組む中、今期はバーモントカレー大箱(230g)タイプの製品に石油由来のプラスチック原料の削減や植物由来の原料を一部使用したトレイを新たに開発して採用しています。年間で約206tのCO2排出量の削減が見込まれ、環境配慮の面でも大きな意義があると考えております。

 

② 基礎研究分野

 基礎研究分野では、食品科学のみならず、生化学、植物育種・栽培学、化学工学、生理学など多方面からの研究を行い、高水準の技術保有に努めております。当連結会計年度では、弘前大学大学院医学研究科の共同研究講座「食と健康 科学講座」において、健康寿命延伸につながる新たな食スタイルを提案することを目指して、青森県の岩木健康増進プロジェクト健診・いきいき健診や沖縄県のやんばる版プロジェクト健診での味覚感受性試験や食事内容調査、食生活アンケートを行ない、味覚や食事内容、食生活と様々な健康指標との関連性の解析を進めました。また、過去にドライアイ検査への活用を検討していたタマネギ催涙因子発生技術を活用して、岩木健康増進プロジェクト健診にて500名を超える方を対象に目が刺激を感じるまでの応答時間の検査と涙液の回収を行いました。今後、涙液成分と様々な健康指標との関連性の解析を進めて行きます。一方で、食の分野においては、新たに特定原材料に指定された「くるみ」のPCR検出技術の開発と性能評価を行ないました。このくるみのPCR検出技術については、既に開発済の「小麦」「そば」「落花生」のPCR検出技術と併せて、改正された「食品表示基準について」に収載されました(令和5年3月9日消食表第102号)当社が作出した独自素材であるスマイルボール(涙の出ないタマネギ)の研究におきましては、より高品質なものを安定的にお客様へお届けするために、継続的な品種改良と並行して生産者の方々と一緒に最適な栽培方法の検討を進めております。

 健康関連の分野では、健康維持に必要なビタミンや、さまざまな生理機能があるといわれるスパイスに加え、近年その健康維持への効果が期待されている乳酸菌につきまして、これらの効果を検証するための試験、ならびに、新しい作用を見出すための基礎研究を継続して精力的に取り組んでおります。当連結会計年度では、「ウコンエキスによる空腹時血糖値改善作用」、「乳酸菌L-137による肌機能改善作用」に関する原著論文が学術誌に掲載されました。

 

(2)研究体制・しくみ

 当社グループの3つの研究所は、基礎研究・機能性研究、製品開発、技術開発、容器包装開発、お客様生活研究、グループ技術連携、研究企画、運営の各部門で構成しており、それぞれの部門において専門的な研究開発活動に取り組む一方、リノベーションを行った千葉研究センターを中心に、部門間の垣根を越え、お互いが有機的に連携して相乗効果を高める取組み(One Day a Weekなど)を継続して進めております。また、海外事業における製品開発サポート体制も継続的に強化しております。

 組織をフラットな小グループ制とし、柔軟性ある運用により市場の変化と商品の多様化にフレキシブルに対応するとともに、保有技術を目に見えるサービスにいかに具現化していくかというこだわりを持って運営にあたっております。

 

(3)研究開発費

 当連結会計年度における研究開発費の総額4,434百万円であります。

 

2.外食事業、その他食品関連事業

 特に記載すべき事項はありません。