第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、人が生きていく上で欠かすことのできない食の分野を受け持つ企業集団として、「おいしさ・やさしさ・ユニークさ」をもって、世界の人々の食生活と健康に貢献し続けることを使命としています。

今後も創業以来受け継いできた品質第一主義を貫くとともに、“キユーピーグループならでは”のこだわりある商品とサービスを、心を込めてお届けすることを全ての役員ならびに従業員が常に意識し、実践していきます。

 

(2) 中長期的な経営戦略、経営環境および対処すべき課題等

当社グループは、「食で多くの方々に笑顔をお届けできる存在でありたい」という想いのもと、長期ビジョン「キユーピーグループ 2030ビジョン」を掲げ、世界の食と健康に貢献するグループをめざしています。

2019-2021年度中期経営計画では、「2030ビジョン」の第1ステージとして、国内での持続的成長と海外での成長加速の実現を方針として経営を進めてきました。

近年、少子高齢化、共働きや単身世帯の増加などにより世帯構成が変わり、家庭での調理において時短や簡便性などが求められています。また、食品を購入する場面ではECやドラッグストアなどが広がりをみせています。新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大は当社グループの業績へ大きな影響を及ぼすとともに、これらの流れをさらに加速させ、新たな生活様式を生みました。家で過ごす時間が増えたことで家庭での調理が見直されるようになり、買い物の回数・時間の減少による容量や日持ち、予防や免疫などの衛生・健康面のニーズでも変化がみられており、新型コロナウイルス感染症の拡大が収束した後も当面続いていくと想定しています。

このような大きな環境変化の中、現状の事業構造では持続的な成長を実現するのは困難であると判断し、2019-2021年度中期経営計画を2年間で終了し、新たに2021年11月期から4年間を対象とする2021-2024年度中期経営計画を策定しました。

2021-2024年度中期経営計画では、お客様や市場の多様化に対応し、「持続的成長を実現する体質への転換」をテーマに「利益体質の強化と新たな食生活創造」「社会・地球環境への取り組みを強化」「多様な人材が活躍できる仕組みづくり」の3つの経営方針を定めています。これを支える仕組みとして、これまでの事業担当制から市場担当制へ移行することで、市場の多様なニーズに対してグループ全体で迅速に対応していきます。

 

[経営方針と主な取り組み]

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◇利益体質の強化と新たな食生活創造

海外を成長ドライバーとして展開の拡大を進めていきます。中国と東南アジアを中心に人材、商品開発、マーケティング、ガバナンスなどの経営基盤の強化を行うために経営資源を集中的に投下し、さらに北米での需要開拓を積極化していきます。従来の店舗での販促活動とデジタルマーケティングの活用を融合することにより、ブランド認知率と商品使用率の向上に取り組み、当社の顧客層である富裕層から上位中間層へ開拓を進めます。また、海外の主力市場である中国においては、2021年1月に中国国内で4つ目の生産拠点となる広州工場が稼働します。広州工場は最新鋭の設備と考え方を取り入れた工場で、生産性の大幅な向上が見込まれており、これらを足掛かりとして地域と需要の拡大を促進します。

国内では、市場担当制へ移行し、モノ(商品)視点から市場を軸としたお客様視点に転換することにより、お客様の食生活における悩みの解決や新たな食シーンの創造につながるような商品やサービスをスピーディーに提案していきます。重点領域として、マヨネーズやドレッシングを中心としたサラダとタマゴに特化していきます。さらに、デジタル活用を進めることで、お客様とのつながりをさまざまな角度から構築し、新しい可能性を広げていきます。

<市販用>においては生活様式が変化している中でも、生活必需品となる商品を育成します。マヨネーズはサラダにかける以外にもさまざまな調理シーンで利用される万能調味料としての使い方を提案してきました。その他の主力商品においても、幅広い調理シーンへの提案を強化することで、マヨネーズのような汎用性のある商品への育成をめざしていきます。また、2020年に開始したフレッシュストックTM事業を中心にお客様の課題解決につながる商品をお届けし、ブランドや商品の認知拡大を進めていきます。

<業務用>においては、グループが持つ販路を活用し、内・中食向け業態へ経営資源を集中させ、事業ポートフォリオの再構築により収益性と効率性を向上させます。おいしさと技術で新たな価値を創出し、顧客ニーズの創造を提案することで、業務用市場の活性化に貢献していきます。

 

◇社会・地球環境への取り組みを強化

当社グループでは、自然の恵みに感謝し、限りある資源を大切にするという想いで、環境活動に長年取り組んできました。気候変動リスクや食品ロス、海洋プラスチック問題など地球規模での問題が次々に顕在化している中、持続可能な社会の実現への貢献とグループの持続的な成長の実現をめざして、「持続可能な開発目標(SDGs)」と連動した重点課題への取り組みを進めています。

これまでの取り組みにプラスチック排出削減と再利用を目標に加え、社会・地球環境に対する企業の責任に向き合い、複雑化する社会課題に対し、バリューチェーン全体で連携し取り組みを進めていくことで、ブランド価値向上に努めていきます。

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食と健康への貢献では、野菜をおいしく食べていただくための商品開発やメニュー提案に加え、正しい情報発信、地域に根差した食課題の解決などを通じて、健康寿命延伸に積極的に取り組んでいきます。また、工場見学や講演などの食育活動を通じて子どもの心と体の健康支援を行っていきます。

資源の有効活用と循環型経済の実現では、主要な原料であるキャベツの外葉や芯、じゃがいもの皮など未利用部の有効活用を進め、商品廃棄に関しては需要と供給のマッチングを一層進めるとともに、商品アイテムの精鋭化を通じて抑制に取り組みます。また、プラスチックの軽量化、薄肉化、代替素材の研究などプラスチック削減に取り組んでいきます。

気候変動への対応では、気候危機緩和への貢献と適応策の実施により、製造工程の見直し、再生可能エネルギーの計画策定、モーダルシフト、農産物調達との連動を進めていきます。

◇多様な人材が活躍できる仕組みづくり

持続的成長を実現する人材を育成していくために、多様な人材が活躍できる仕組みづくりを実施していきます。

海外展開および市場担当制への移行においては、多様な視点で物事や現象を捉え、それをチャンスに変えることが必要となります。市場で起こる変化点を俯瞰して捉えるためには、市場に精通し、複数の経験やスキルを持った人材の育成が重要です。人材流動性の促進を強化することで、多様なスキルを持つ人材の育成を進めていきます。

また、他部門とのプロジェクトや会議への積極的な参画、社内やグループ内へのインターンシップなどを通じて、多様性を認め合い、関わり合いを持つことができる風土を醸成していきます。

さらに、外部資源を活用しながら学びの場を提供していくことで、新たな経験や知識を習得し、一人ひとりが能力を発揮できる環境を構築していきます。

なお、人材の活躍の重要な指標である女性管理職比率(対象:キユーピー株式会社)は、2024年11月期18%、2030年11月期30%をめざします。

 

[キャッシュ・フローの配分と経営指標について]

◇キャッシュ・フローの配分

持続的な成長を実現するために、適正な投資の実行や株主還元を行いながら、健全な経営基盤を確立します。

キャッシュ・フローの配分については、4年間の累積営業キャッシュ・フローを1,400億円とし、その範囲内でのコントロールを基本とします。設備投資は約700億円の計画とし、資産や投資の効率性を重視します。内部留保については、自己資本比率60%以上を目安とし、将来の成長のため、新規展開の資金を確保した上で株主還元を拡充します。

 

◇経営指標

 

2020年11月期

(遡及後)

2024年11月期目標

ROE

4.8%

8%以上

営業利益率

6.5%

7.5%

海外売上高伸長率(現地通貨ベース)

(前年比)3.8%

(年率)10%以上

(注)1.2020年11月期(遡及後)は物流事業を除いた遡及後の数値を記載しています。

2.海外売上高伸長率は北米タマゴ事業の業績を含んでいません。

 

(3) 新型コロナウイルス感染症の影響について

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナウイルス)の拡大により、当社グループにおいても食生活に関わる変化が業績に大きな影響を及ぼしました。

新型コロナウイルスの影響は当面継続すると想定し、以下の方針のもと、対策・対応に取り組んでいます。

 

方針1.国や自治体の対策に協力し、感染リスクを抑制する

当社グループでは、従業員と家族、お客様・お取引先をはじめとするステークホルダーの皆様の安全確保を最優先に考慮した対応に努めています。新型コロナウイルス緊急対策本部の設置し、感染防止策を徹底しています。

新型コロナウイルス感染拡大、緊急事態宣言発令に合わせ、在宅勤務やフレックス勤務、時差出勤の活用で感染リスク抑制に取り組み、在宅などで業務遂行できるようにオンライン・モバイル環境の整備拡充など、従来から取り組んできた新しい働き方を拡大し、緊急事態宣言解除後においてもこれらの働き方が定着し、生産性の向上を図っています。あわせて、従業員のストレス軽減やメンタルヘルス不調の予防(従業員相談窓口の設置や動画によるエクササイズ推奨)にも取り組んでいます。

 

方針2.食品メーカーとしての使命を果たす

お客様へ安全・安心な商品を継続して供給し続けることが当社の使命です。原資材の調達状況など事業継続に対する影響を注視しつつ、需要の変化に柔軟に対応できる体制を整えるとともに、外出制限などでストレスがたまるお客様の「おうち時間」を楽しく過ごしていただけるよう、料理レシピなどのコンテンツを発信しています。

新しい生活様式における新たな食ニーズに対応するため「フレッシュストック™」事業を始動し、食ニーズの変化や、withコロナのニューノーマルに対して、当社グループの強みを生かした商品展開で市場を創造していきます。

方針3.キユーピーならではの社会的な貢献を行う

withコロナ時代の社会へ向けてさらなる貢献ができないかとの想いから、活動を進めています。子供を中心とした地域社会、食事にお困りの高齢者や介助されるご家族や医療関係に従事する方々に商品や食事を提供するなど、当社グループならではの食を通じた支援活動を行っています。

また、「子ども食堂」が行う子どもや生活困窮家庭への持ち帰りの食事提供などを支援するため、キユーピーみらいたまご財団を通じて寄付を行っています。

 

2【事業等のリスク】

この有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるものには、以下の表内のようなものがあります。

当社グループは、これらのリスク発生(顕在化)の可能性を認識したうえで、発生の抑制・回避に努めています。そのためにリスクマネジメント基本規程において当社のリスク管理を体系的に定め、個々のリスクを各担当部門が継続的に監視するとともに、全社的なリスクに関してはリスクマネジメント委員会(リスクマネジメント担当取締役が委員長)で情報を共有し、そのリスクの評価、優先順位および対応策などを総括的に管理しています。また、リスクマネジメント担当取締役は、全社的リスクの評価や対応の方針・状況などを定期的に取締役会へ報告しています。

しかしながら、当社グループの取り組みの範囲を超えた事象が発生した場合には、当社グループの信用、業績および財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、以下の表内の内容は、当社グループに係るすべてのリスクを網羅したものではありません。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

事象

リスク

リスクへの対応策

市場の動向

長期にわたり漸次的にその影響が大きくなる可能性がある主なリスクは次のとおりです。

 

・国内人口減少による長期的な市場縮小

・野菜価格変動によるマヨネーズ・ドレッシングの販売影響

国内では「市販用」と「業務用」の2体制でフレキシブルな市場対応を図り、持続的成長につなげていきます。当社グループの内食、中食、外食への展開力を生かし、サラダとタマゴの可能性を広げ、健康寿命延伸に貢献することで事業機会の創出をめざし、お客様の食生活におけるお悩みの解決や新たな食シーンの創造につながるような商品、サービスをスピーディーに提案し、市場と需要の開拓を推進しています。特に成長が見込まれるドラッグストアなど未開拓販路を開拓することに加え、デジタルマーケティングを強化することで、D2C市場へのアプローチを進めています。

海外では、中国、東南アジアと北米を重点エリアとし、当社グループのこれまでの顧客層である富裕層から中間層へ開拓を進めます。またデジタルコミュニケーションとマーケティング機能を強化し、「キユーピーブランド(丘比、KEWPIE)」の認知率と商品使用率の向上に取り組んでいきます。そのために人材や商品開発、マーケティング、ガバナンスなど経営資源を集中的に投下し、持続的な成長を図っています。

 

 

事象

リスク

リスクへの対応策

主要原料の調達

・食油調達においては、大豆や菜種の相場、為替相場および需給などの変動による短期、長期的な価格変動リスクにより大きな影響が出る可能性があります。

・鶏卵調達においては、突発的な鳥インフルエンザ発生、産卵鶏の羽数変動、長期的な鶏卵の消費動向などによる価格変動および調達困難リスクにより大きな影響が出る可能性があります。

より良い原料を安定的に調達するために調達先と適切なコミュニケーションを図り、信頼関係と相互理解を深め、サプライチェーンにおけるさまざまな課題解決を行い、社会的な配慮のもと持続可能な調達(購買価格の安定化や必要数量の確保)に向けた取り組みを進めています。

食油調達については、製造者との信頼関係を基本に、期近の手配ではなく余裕をもった先物での手当てを行うなど価格変動の影響を抑制する取り組みを進めています。パーム油は熱帯林の伐採や農場労働者の人権など課題解決に貢献するために、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)に加盟し、持続可能な調達に取り組んでいます。

鶏卵調達については、大手生産者を中心に各地の生産者との年間数量計画、一定価格契約、相場でのスポット契約の組み合わせ、また一部地域で鳥インフルエンザが発生して卵の移動が制限されたとしても他の地域の工場でカバーできる全国調達・割卵工場体制整備などの取り組みを進めています。また、中長期的な持続可能性の観点から、採卵鶏のアニマルウェルフェアの課題に関係する業界や行政と連携しながら取り組んでいきます。

製造物責任

異物混入や誤表示など、消費者に健康被害を及ぼす恐れのある製品事故は、大きく影響しかねないリスクとして常に認識しています。

創業以来の品質第一主義を基本として、食品安全マネジメントシステム(FSSC22000、JFS-C規格など)の認証、グループを横断した品質監査の実施、FA(ファクトリー・オートメーション)を活用した製品保証やトレーサビリティ、また自社モニタリングや調達原料の品質規格管理システムの構築など、制度・システム面から品質保証の充実を推進しています。

加えて、従業員の品質に対する意識と理解が最も重要なことから、OJTや勉強会などさまざまな機会を通じた知識・技術の習得はもちろん、品質第一主義の浸透にも努めており、永続的な企業発展の基盤となる「安全・安心で高品質な食品の提供」を担保するため、万全な体制で取り組んでいます。

自然災害などの不測の事態

巨大台風、豪雨・長雨による洪水や大規模地震などの自然災害の影響が大きくなる可能性があります。それらにより次のようなリスクを想定しています。

 

・製造や物流施設・設備などの破損

・原資材やエネルギーの調達困難

・操業に必要な人員の不足

過去の災害の経験を活かし、グループ横断で危機発生時の事業継続計画(BCP)を整備し、対策に取り組んでいます。

東京にある本社の代替機能を関西に設置する体制の整備、非常時の通信ネットワークの整備や物資の備蓄、生産設備や物流設備の補強、不測の事態において生産可能状況を確認するシステムの整備、主要商品に関する生産や原資材調達機能および受注機能を2拠点化することなどにより危機発生時に備えており、災害の種類毎にマニュアルを整備しています。

さらにそれらを確実に運用できるようにするために大規模災害対応訓練(初動対応訓練や商品供給訓練、安否確認訓練)も行っています。

 

 

事象

リスク

リスクへの対応策

新型コロナウイルス感染症

感染の拡大、外出自粛や飲食店への営業時間短縮要請、緊急事態宣言によって生活が制限され、事業活動(特に業務用市場関連)で大きな影響を及ぼしています。

従業員の感染、事業所でのクラスター発生により事業活動に影響が出る可能性もあります。

当社グループでは選択と集中で重点領域、商品展開領域の適正化を図り、分散している機能や潜在価値を集約することで効率性を改善します。デリカ、ベーカリー、冷食加工業態などを強化する販路とし、調味料とタマゴに経営資源を集中し、よりお客様のニーズにスピーディーに対応できる提案などにより、需要減少へ対応し、収益性向上を図ります。また、主要商品に関する生産や原資材調達および受注機能を2拠点化することなど備えを進めています。

新型コロナウイルス感染症発生の初期段階より国・自治体の指針に沿って対応しつつ、従業員とその家族の安全確保を最優先とし、事業活動を継続させるために職場での感染リスク抑制・感染防止策の取り組みを継続しています。

人材、労務関連

人材、労務に関しては、主に次のようなリスクを常に想定しています。

 

・製造や物流現場の活動を担う人材が不足すること

・不適切な労働時間管理、過重労働

・ハラスメント

継続的な採用、教育の充実、労働環境の最適化などにより人材の確保、定着に取り組んでいます。

製造現場では、作業の効率化、省力化を推進しています。具体的にはIoT、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)や各種ロボット、AIの活用に取り組んでいます。加えて出入国管理法の改正を受けて、外国籍の方が就労し易い環境整備も進め、雇用を拡大していきます。

すべての職場の従業員一人ひとりが安心して働くことができ、仕事と家庭生活の両立が実現できる雇用環境の整備を進め、テレワークの積極的な活用、労働時間の適正化や法令に基づく適正な労務管理、ハラスメント予防に関する従業員教育の徹底、内部通報制度(ヘルプライン)の設置などにより労務関連リスクの低減に取り組んでいます。

これらに加え、持続的成長を実現する人材を育成していくために、多様な人材が活躍できる仕組みづくりを実施し、併せて専門性の高い外部人材の採用や登用を推進しています。

海外展開

海外展開においては、主に次のようなリスクを想定しています。

 

・脆弱な経営基盤によるトラブル

・情報管理の不備による漏洩

・模倣品の流通による競争力の侵害およびブランドイメージ毀損

海外子会社においても当社グループの理念を浸透させるための現場教育、各種研修などを行っています。また、内部統制システム整備を進めており、具体的には決裁権限の明確化、契約書・規程管理や経理・財務規程、反贈収賄規程、人事評価制度など各種規程や制度の整備・運用、内部通報制度の導入、事業継続計画(BCP)および危機管理訓練などにより経営基盤の強化に取り組んでいます。

さらに会社情報や重要技術情報の取り扱い・セキュリティに関する規程の導入および盤石なICTネットワークの構築に取り組んでいます。

模倣品対策では、市場に出回る当社商標権の侵害品や紛らわしい他社品を排除するとともに、悪意ある商標出願を権利化させないように取り組んでいます。

 

 

事象

リスク

リスクへの対応策

地球環境問題

サステナビリティへの取り組み、対応が不十分と評価された場合、漸次的にレピュテーションが低下する可能性があります。

当社グループでは、サステナビリティにむけての重点課題として環境面では「資源の有効活用・循環」と「気候変動への対応」を特定し、グループ全体で取り組んでいます。

資源の有効活用・循環では、卵殻や野菜(キャベツなど)の芯・外葉など野菜未利用部の肥料化、飼料化などの有効活用に取り組んでいます。また、賞味期限・消費期限延長や需要と供給のマッチングを一層推進し、食品ロスを削減(商品廃棄量の削減)を進めています。プラスチック排出削減と再利用に関しては、容器包装の軽量化、薄肉化および生産活動で使用するプラスチックの使用量・排出量削減を進めています。さらに環境負荷の少ない素材に置き換える研究に着手し、プラスチック使用量のさらなる削減と資源循環型社会の実現に貢献しています。

気候変動への対応では、製造工程における効率改善、省エネ設備の導入などの展開に加えて、太陽光発電設備の新設による再生可能エネルギーの活用を進めています。物流では長距離トラック輸送から鉄道・船舶輸送へのモーダルシフト、異業種メーカーとの共同輸送、積載効率の向上を積極的に推進しています。オフィスではエネルギー使用の最適化に取り組んでいます。これらによりCO2排出量の削減を進めています。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

①財政状態および経営成績の状況

当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症拡大により緊急事態宣言が発出されるなど経済活動は大きく制限されました。緊急事態宣言解除後は徐々に経済活動が回復しているものの、依然として新型コロナウイルス感染症の影響が拡大するなど先行きは不透明な状況が続いています。

食品業界においては、外出自粛や営業時間短縮の要請などにより外食需要が低迷する一方で、巣ごもり消費による内食へのシフトやデリバリー・テイクアウト需要の高まりなど食の消費行動で大きな変化が生じました。

食品物流業界においても、緊急事態宣言を受け外食需要が大きく減退したことに加え、内食需要の急激な高まりにより、商品配送に関わる調整や人手の確保が取りづらい状況が続きました。

当社グループにおいても新型コロナウイルス感染症拡大により食生活に関わる変化が業績に大きな影響を及ぼしました。このような状況の中、コスト抑制に努めるとともに業務用市場の需要回復に努め、家庭用市場においては主力商品のさらなる基盤強化とグループの販路を活用した市場の開拓を進めてきました。

また、政府や各自治体のガイドラインに基づき従業員の感染拡大の抑制に取り組み、お客様へ安全・安心な商品の継続した供給に努めました。さらに、各団体・企業・自治体と連携し食料の提供を行うなど食を通じた支援活動を行いました。

 

売上高

国内・海外ともに内食需要の高まりにより家庭用商品は伸張しましたが、業務用商品の販売数量減少により、5,311億3百万円と前年同期に比べ△146億20百万円(△2.7%)の減収となりました。

・利益

販売費及び一般管理費などのコスト抑制に努めたことにより、下期の営業利益は前年同期に比べ12億円の増益となりましたが、上期の新型コロナウイルス感染症による業績影響を補うことができず通期では、営業利益は283億3百万円と前年同期に比べ△37億45百万円(△11.7%)、経常利益は289億89百万円と前年同期に比べ△42億86百万円(△12.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益は113億78百万円と前年同期に比べ△73億20百万円(△39.1%)の減益となりました。

 

◇ セグメント別の状況

[売上高の内訳]

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

 (自 2018年12月1日

 至 2019年11月30日)

当連結会計年度

 (自 2019年12月1日

 至 2020年11月30日)

増減(金額)

増減(比率)

調理・調味料

185,213

180,239

△4,974

△2.7%

サラダ・惣菜

90,291

90,897

606

0.7%

タマゴ

99,991

89,091

△10,900

△10.9%

フルーツ ソリューション

15,648

16,473

825

5.3%

ファインケミカル

8,348

7,942

△406

△4.9%

物流

140,976

140,423

△553

△0.4%

共通

5,253

6,034

781

14.9%

 合  計

545,723

531,103

△14,620

△2.7%

 

 

 

[営業利益の内訳]

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

 (自 2018年12月1日

 至 2019年11月30日)

当連結会計年度

 (自 2019年12月1日

 至 2020年11月30日)

増減(金額)

増減(比率)

調理・調味料

21,587

22,353

766

3.5%

サラダ・惣菜

3,185

3,655

470

14.8%

タマゴ

7,438

3,291

△4,147

△55.8%

フルーツ ソリューション

312

561

249

79.8%

ファインケミカル

1,236

1,156

△80

△6.5%

物流

4,133

2,837

△1,296

△31.4%

共通

1,349

1,329

△20

△1.5%

全社費用

△7,194

△6,881

313

 合  計

32,048

28,303

△3,745

△11.7%

 

調理・調味料

・国内・海外ともに新型コロナウイルス感染症拡大の影響による内食シフトで家庭用商品は伸張したが、外食需要の低迷により業務用商品の販売が減少し減収

・販売費及び一般管理費などのコスト抑制に努めたことにより増益

サラダ・惣菜

・日持ちを延長したカット野菜や練りサラダが伸張し増収

・主力商品の売上増加や生産性の向上により増益

タマゴ

・新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、国内の外食・製菓メーカー向け商品の販売数量減少により減収

・売上減少や生産操業度低下による影響により減益

フルーツ ソリューション

家庭用ジャム・スプレッドの伸張により増収増益

ファインケミカル

ヒアルロン酸の販売不振により減収減益

物流

・新規取引や既存顧客の取り扱いは増加したが、業務用食品を中心に出荷物量が減少し減収

・新型コロナウイルス感染症による影響や省人化機器への投資が先行したことなどにより減益

共通

・食品メーカー向け製造機械の販売増加により増収

・新規賃貸設備に伴うコスト増加により減益

 

◇ 財政状態の状況

・総資産は、4,517億23百万円と前期末比74億14百万円増加

 主に現金及び預金の増加100億58百万円、受取手形及び売掛金の減少98億68百万円、建物及び構築物の増加60億45百万円、機械装置及び運搬具の増加59億15百万円、建設仮勘定の減少99億16百万円、ソフトウエアの増加29億84百万円によるものです。

・負債は、1,663億46百万円と前期末比12億10百万円減少

 主に支払手形及び買掛金の減少114億71百万円、未払金の減少59億26百万円、借入金の増加140億76百万円によるものです。

・純資産は、2,853億77百万円と前期末比86億24百万円増加

 主に利益剰余金の増加49億41百万円、非支配株主持分の増加46億43百万円によるものです。

 

②キャッシュ・フローの状況

 

現金及び現金同等物の残高は、657億77百万円と前期末比90億円増加となりました。

 各キャッシュ・フローの状況は、下記のとおりです。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が228億25百万円、減価償却費が200億73百万円、売上債権の減少が100億41百万円、仕入債務の減少が114億9百万円、法人税等の支払いが90億79百万円となったことなどから349億55百万円の収入(前期は439億16百万円の収入)となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が207億7百万円、無形固定資産の取得による支出が47億46百万円となったことなどから260億39百万円の支出(前期は297億20百万円の支出)となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増減による収入が22億69百万円、長期借入れによる収入が98億円、長期借入金の返済による支出が32億36百万円、配当金の支払いが64億36百万円となったことなどから5百万円の収入(前期は46億2百万円の支出)となりました。

 

 なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は、下記のとおりです。

 

2016年

11月期

2017年

11月期

2018年

11月期

2019年

11月期

2020年

11月期

自己資本比率(%)

55.3

54.2

53.9

53.0

53.0

時価ベースの自己資本比率(%)

105.3

101.6

93.9

78.3

68.8

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.8

2.2

1.5

1.5

2.3

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

146.4

75.8

122.5

144.7

103.7

(注)自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。

※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。

※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っているすべての負債を対象としています。

※キャッシュ・フローおよび利払いは、それぞれ連結キャッシュ・フロー計算書の「営業活動によるキャッシュ・フロー」および「利息の支払額」を使用しています。

 

 

③ 生産、受注および販売の実績

a.生産実績

  当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度(百万円)

(自  2019年12月1日

至  2020年11月30日)

前年同期比(%)

調理・調味料

110,360

98.8

サラダ・惣菜

55,648

96.7

タマゴ

63,435

84.2

フルーツ ソリューション

11,806

97.5

ファインケミカル

4,063

86.2

共通

4,709

112.4

合計

250,023

94.1

(注)1.「物流」では生産活動を行っていません。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

b.商品仕入実績

  当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度(百万円)

(自  2019年12月1日

至  2020年11月30日)

前年同期比(%)

調理・調味料

7,585

92.1

サラダ・惣菜

11,168

107.8

タマゴ

12,494

73.2

フルーツ ソリューション

1,268

97.2

ファインケミカル

104

92.4

物流

11,838

93.5

共通

3,400

91.4

合計

47,858

89.5

(注)  上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

 

c.受注実績

  主要製品以外の一部の製品について受注生産を行うほかは、すべて見込み生産のため記載を省略しています。

 

d.販売実績

  当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度(百万円)

(自  2019年12月1日

至  2020年11月30日)

前年同期比(%)

調理・調味料

180,239

97.3

サラダ・惣菜

90,897

100.7

タマゴ

89,091

89.1

フルーツ ソリューション

16,473

105.3

ファインケミカル

7,942

95.1

物流

140,423

99.6

共通

6,034

114.9

合計

531,103

97.3

(注)1.外部顧客に対する売上高を記載しています。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

①重要な会計方針および見積り

  当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の報告金額および報告期間における収益・費用の報告金額に影響する見積り、判断および仮定を必要としています。過去の実績や状況を踏まえ合理的と考えられるさまざまな要因に基づき、継続的に見積り、判断および仮定を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

  なお、連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5  経理の状況」に記載しておりますが、次の重要な会計方針が財務諸表作成における重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えています。

 

(1)  固定資産の減損処理

  保有する固定資産について、原則として継続的に収支の把握を行っている管理会計上の区分(会社別、事業別かつ事業所別)を単位としてグルーピングを行い、当該資産グループ単位で減損の兆候を把握しています。減損損失を認識するかどうかの判定および使用価値の算定に際して用いられる将来キャッシュ・フローは、経営環境などの外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報に基づき、合理的な仮定を置いて計算しています。

  将来の市場環境の変化などにより、見積り額と実態に乖離が生じた場合、減損損失が発生する可能性があります。

 

(2)  貸倒引当金の計上基準

  貸倒引当金については、債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については過年度実績率を基礎とした将来の貸倒予測率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しています。将来、顧客の財政状態が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。

 

(3)  投資有価証券の減損処理

  投資有価証券の評価方法については、時価のある有価証券については時価法を、時価のない有価証券については原価法を採用しています。保有する有価証券につき、時価のあるものは株式市場の価格変動リスクを負っていること、時価のないものは投資先の業績状況等が悪化する可能性があること等から、合理的な基準に基づいて投資有価証券の減損処理を行っています。

  この基準に伴い、将来の市況悪化または投資先の業績不振等により、現状の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生し、減損処理が必要となる可能性があります。

 

(4)  繰延税金資産の回収可能性の評価

  繰延税金資産については、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討し、回収可能見込額を計上しています。しかし、繰延税金資産の回収可能見込額に変動が生じた場合には、繰延税金資産の取崩しまたは追加計上により利益が変動する可能性があります。

 

  新型コロナウイルス感染症拡大による影響につきましては、「第5 経理の状況 1. 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりです。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

 a.財政状態および経営成績の分析

 当連結会計年度における財政状態および経営成績の分析につきましては、「3  経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (1)経営成績等の状況の概要  ①財政状態および経営成績の状況」に記載のとおりです。

 

 b.資金の財源および資金の流動性

(1)  キャッシュ・フロー

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況につきましては、「3  経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (1)経営成績等の状況の概要  ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

(2)  資金の需要

 さらなる企業価値の向上を図るための設備投資、事業投資、債務の返済および運転資金などの資金需要に備え、資金調達および流動性の確保に努めています。

 

(3)  資金の調達

 必要な資金は内部資金より充当し、不足が生じた場合は銀行借入および社債発行により調達しています。

 

(4)  資金の流動性

 複数の金融機関との当座貸越契約を設定しています。また、当社および国内連結子会社における余剰資金の一元管理を図り、資金効率の向上と金融費用の削減を目的として、キャッシュ・マネジメント・システムを導入しています。

 

 c.目標とする経営指標の達成状況等

 当社グループは、国内での持続的成長と海外での成長加速の実現を方針として、2019-2021年度中期経営計画を策定し経営を進めてきましたが、少子高齢化や世帯構成の変化、また、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大などの大きな環境変化の中、現状の事業構造では持続的な成長を実現するのは困難であると判断し、2019-2021年度中期経営計画を2年間で終了し、新たに2021年11月期から4年間を対象とする2021-2024年度中期経営計画を策定しました。

 2021-2024年度中期経営計画では、最終年度である2024年11月期において、「ROE(自己資本利益率) 8%以上」「営業利益率 7.5%」「海外売上高伸長率(現地通貨ベース) (年率)10%以上」を目標として掲げています。

 当連結会計年度におきましては、ROE(自己資本利益率)が4.8%、営業利益率が6.5%、海外売上高伸長率(現地通貨ベース)は前年比3.8%の増加となりました。

 

◇経営指標

 

2020年11月期

(遡及後)

2024年11月期目標

ROE(自己資本利益率)

4.8%

8%以上

営業利益率

6.5%

7.5%

海外売上高伸長率(現地通貨ベース)

(前年比)3.8%

(年率)10%以上

(注)1.2020年11月期(遡及後)は物流事業を除いた遡及後の数値を記載しています。

2.海外売上高伸長率は北米タマゴ事業の業績を含んでいません。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当社グループは、「おいしさ・やさしさ・ユニークさ」を大切に、世界の食と健康に貢献するために、「調理・調味料」、「サラダ・惣菜」、「タマゴ」、「フルーツ ソリューション」および「ファインケミカル」の各事業に関する研究開発に取り組んでいます。

 

グループ研究開発として、「楽しく健やかな未来の食生活を世界に創造する」を掲げ、研究開発を行っています。研究の重点領域は、サラダ、タマゴ、食創造、未病改善と位置づけ、社外とのオープンイノベーションも積極的に取り組み、社会課題の解決につながる研究開発や食を通じて人々の健康につながる食生活を実現していきます。

今年度は「フレッシュストックTM事業」が始動し、研究開発では長年培ってきた味づくりの技術と日持ち技術を活かして、冷蔵庫にストックした商品で、手軽にアレンジしフレッシュな味わいを楽しめる商品ラインナップを開発しています。

また、社会課題の解決に向けて、資源の有効活用と環境保全の取り組みの1つである「卵殻と卵殻膜の価値探求と食と健康への貢献」が、第7回「食品産業もったいない大賞」において農林水産省食料産業局長賞を受賞しました。

生産技術部門では、これまで築き上げた豊富なコア技術の活用展開を行い、研究部門の開発商品を品質第一で具現化するための設備開発を行っています。また、新しい技術としてAIを活用した取り組みやロボットフレンドリーな環境を実現するための国の研究開発事業にも参画し、広くグループの生産効率向上や品質保証体制を高める生産環境の実現を推進しています。

なお、当連結会計年度における当社グループの研究開発費は、3,963百万円です。

また、報告セグメントにおける研究開発活動の概要とその成果は次のとおりです。

 

(1)調理・調味料、サラダ・惣菜、タマゴ、フルーツ ソリューション、ファインケミカル

当連結会計年度において、研究開発活動の中で創出した研究成果は、学会発表8件および論文掲載18件です。これらの取り組みを通じて、学術活動の振興にも寄与しています。

 

 

<調理・調味料>

 新商品の開発に加えて、既存品の改良を通じたさらなるおいしさ、機能性の追求と用途拡大に向けた提案を実施しています。

 マヨネーズでは、ロングセラー商品である「からしマヨネーズ」をよりからしの風味を生かし、お好み焼き等の用途に合った仕立てに改良しました。

 ドレッシングでは、基幹商品である「すりおろしオニオンドレッシング」を改良しました。また、新商品や既存品の改良以外にも、使用用途を広げる汎用性の機能に着目しました。例えば鶏肉を付け込んで調理することで、柔らかくおいしく仕上がることを研究報告し、これを「ドレテク」と称して、食卓をより楽しくする情報を発信しました。

 ソースカテゴリーでは、「パン工房」シリーズの改良、パスタソースでは「あえるパスタソース香ばしバター醤油」「Italiante4種のチーズソース」を新商品として発売しました。

 ベビーフードでは、「にこにこボックス」シリーズを発売しました。主食とおかずのセットを親子で楽しみながら便利に食事ができるよう、包材とデザインを工夫しています。

 「サラダクラブ素材パウチ」シリーズでは、使用するパウチを植物性由来のプラスチックを使用したバイオマスの導入を開始し、環境に配慮した開発を進めています。

 業務用では、新たなサラダメニューの提案として「ペイザンヌサラダドレッシング」、たれ使いも可能な「具沢山ドレッシングねぎ塩」を発売しました。また、ビュッフェメニューに新たなおいしさを提案する「スノーマン ごろごろ野菜の洋風筑前煮」「スノーマン ごろごろ野菜の柚子こしょうクリーム煮」、動物性原材料不使用の「スノーマン 白いんげん豆の煮込み」「ほしえぬ 野菜白湯スープ」を発売しました。

 連結子会社であるキユーピー醸造株式会社では、業務用に「ジュレ仕立て(香味野菜&野菜酢)」を発売しました。

 

<サラダ・惣菜>

 サラダ・惣菜では、当社研究開発本部、連結子会社であるデリア食品株式会社および株式会社サラダクラブなどと連携し、安全でおいしいサラダ・惣菜を提供する加工技術を磨き、伸張する市場に向けて商品開発を行っています。

 惣菜では、業界初となる機能性表示食品のポテトサラダを「カラダ想いメニュー」シリーズとして、首都圏で販売を開始しました。GABAを配合し、「血圧が高めの方に」と表示することで、血圧を気にされている方はもちろん、健康意識の高い方々にも好評をいただいています。

 

<タマゴ>

 家庭用市場に向けて、増加している単身世帯や共働き世帯、高齢者世帯などのお客様が冷蔵庫に簡単に常備でき、手軽にお使いいただくことができる商品として「そのままパクっと食べられるゆでたまご」のテスト販売を開始しました。フレッシュストックTM事業のアイテムの1つとして育成していきます。

 また、キユーピーのたまごブランドの「たまごのスプレッド」シリーズから「ショルダーベーコン味」を発売しました。

 業務用市場においては、スノーマンブランドの商品として、解凍するだけでも簡単にお使いいただける「鶏そぼろと大豆のたまごやき」「彩り野菜のたまごやき」を発売しました。昨今の社会情勢として人手不足が顕著になっていますが、さまざまなお客様から手軽に使えておいしいと好評をいただいています。

 

<フルーツ ソリューション>

 ジャム・スプレッド類の商品開発においては、「アヲハタ 55ジャム」発売50周年にあたりリニューアルを実施し、おいしさにこだわった改良とパッケージの一新を行いました。さらに春には「白桃&グアバ」「4種のベリー」、秋には「イチジク&ドライプルーン」「アップル&クランベリー」を季節限定発売しました。

 また、肉料理への用途展開として「アヲハタ お肉をおいしくする果実のソース」として「ベリーミックス」「りんご(レーズン入り)」2品を発売しました。

 ヴェルデブランドでは、ホイップシリーズの「カスタードホイップ バナナ味」、個食タイプのスプレッドシリーズ「ブルーベリー&はちみつオリゴ」の2品を発売しました。

 

<ファインケミカル>

 ファインケミカルでは、独自の分子量コントロール技術を磨き、海外向け医薬用発酵ヒアルロン酸の開発を進めました。低分子の化粧用ヒアルロン酸(HAbooster)を含む6つの独自ヒアルロン酸を配合したスキンケア商品「ヒアロワン」では、新たに乾燥による小ジワを目立たなくさせる効果を確認しました。

 タマゴ成分においては、卵殻膜の加水分解技術を見直し、新たな化粧用原料として加水分解卵殻(EMlastic)の発売を開始しました。

 マヨネーズの原料であるお酢を生産する酢酸菌が持つ新たな健康機能として、「花粉、ホコリ、ハウスダストなどによる鼻の不快感を軽減すること」を明らかにしました。本研究成果をもとに開発した機能性表示食品「ディアレ」の販売を開始しました。

 

 海外においては、現地での食と健康に貢献するため、学術を通じた健康栄養情報の発信と、商品開発を通じて、サラダを中心とした健康的な食生活を提案しています。

 中国では、上海市食品学会の中に「食・健康研究会」を設立し、キユーピーが培ってきた食と健康に関わるエビデンス情報をもとに、中国のお客様に向けて健康的な食生活を提案する土台作りを行いました。マヨネーズ全商品のパッケージを網目のデザインに変更したことに伴い、甘いタイプのマヨネーズである「丘比沙拉醤(香甜口味)」(日本名:スイートマヨネーズ)を現代の嗜好に合わせ、リニューアルを実施しました。また、さらなるドレッシング市場の拡大のため、中国全土で人気となっている麻辣風味を効かせた「丘比沙拉汁(藤椒口味)」(日本名:藤椒ドレッシング)を家庭用、業務用の両市場に向け発売しました。業務用市場専用では、特に中華系の料飲業態に向けて中国の伝統的な嗜好性を取り込んだ「丘比沙拉醤(咸蛋黄口味)」(日本名:塩漬け卵黄マヨネーズ)「丘比調味醤(腐乳風味)」(日本名:腐乳風味調味ソース)を発売しました。

 東南アジアでは、タイで、ドレッシングで健康的な食生活を実現してもらうことを目的とし、カロリーなどを制限した商品に与えられる認証「Healthier choice logo」を冠した「Kewpie Dressing Balsamic」(日本名:キユーピー・バルサミコドレッシング)および「Kewpie Japanese Dressing Yuzu shoyu」(日本名:キユーピー・ゆず醤油ドレッシング)の2品を発売しました。マレーシアでは、お客様が手軽に惣菜系パンを食べることができるソースとして、「Tuna Mayo Spread」(日本名:ツナマヨスプレッド)など3品を発売しました。ベトナムでは、深煎りごまドレッシングのシリーズに金柑風味を加えた「Kewpie DRESSING ROASTED SESAME YUZU& KUMQUAT TASTE」(日本名:キユーピー焙煎ごまドレッシング柚子金柑風味)「Kewpie DRESSING GRATED ONION」(日本名:キユーピーすりおろしオニオンドレッシング)を発売しました。インドネシアでは、業務用市場向けに具沢山フィリングを開発しました。「Crunchy Rich Filling Japanese Curry」(日本名:具沢山フィリングカレー)など3品を発売し、レストランやベーカリーへの付加価値提案につなげました。

 アメリカでは、日本から輸出されるキユーピーマヨネーズの人気が高まっていることもあり、現地で製造しているキユーピーマヨネーズ(Kewpie Mayonnaise)の風味をさらに日本製に近づけるリニューアルを行いました。

 ポーランドでは、ドレッシングをさらに強化するために既存品3品のリニューアル「Mosso Impression sauce for Salad Sesame」(日本名:ごまドレッシング)「Garlic Onion」(日本名:ガーリックオニオンドレッシング)「Wasabi Flavor」(日本名:ワサビ風味ドレッシング)と追加で2品「Basil」(日本名:バジルドレッシング)「Honey Mustard」(日本名:ハニーマスタードドレッシング)を発売しました。お客様の健康ニーズにお応えするために、添加物を抑えました。

 

(2)共通、物流

   該当事項はありません。