第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、人が生きていくうえで欠かすことのできない食の分野を受け持つ企業グループとして、「おいしさ・やさしさ・ユニークさ」をもって、世界の食と健康に貢献することをめざしています。

事業活動と社会活動をともに推進することで、サラダとタマゴのおいしさと魅力を世界にお届けし、健康的な食生活の実現と豊かな食文化の創出をめざします。また、私たちの活動は自然の恵みによって支えられています。持続可能な社会の実現に貢献するとともに、資源の有効活用と環境保全に真摯に取り組むことで、持続可能な地球環境を次世代につなぎます。

当社グループは、内食・中食・外食に幅広く深く展開しているとともに、赤ちゃんからお年寄りまで、人の一生のさまざまな食の場面に深く関わっています。これからもグループの理念を大切にし、“キユーピーグループならでは”のこだわりある商品とサービスを、心を込めてお届けすることをすべての役員ならびに従業員が常に意識し、実践していきます。

 

(2) 中長期的な経営戦略、経営環境および対処すべき課題等

当社グループは、「おいしさ・やさしさ・ユニークさ」をもって世界の食と健康に貢献するグループをめざし、長期ビジョン「キユーピーグループ 2030ビジョン」を掲げています。

近年、少子高齢化、共働きや単身世帯の増加などにより世帯構成が変わり、家庭での調理において時短や簡便性などが求められています。また、食品を購入する場面ではECやドラッグストアなどが広がりをみせています。新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大は当社グループの業績へ大きな影響を及ぼすとともに、これらの流れをさらに加速させ、新たな生活様式を生みました。家で過ごす時間が増えたことで家庭での調理が見直されるようになり、買い物の回数・時間の減少による容量や日持ち、予防や免疫などの衛生・健康面のニーズでも変化がみられており、新型コロナウイルス感染症の拡大が収束した後も当面続いていくと想定しています。

2021-2024年度中期経営計画では、お客様や市場の多様化に対応し、「持続的成長を実現する体質への転換」をテーマに「利益体質の強化と新たな食生活創造」「社会・地球環境への取り組みを強化」「多様な人材が活躍できる仕組みづくり」の3つの経営方針を定めています。これを支える仕組みとして、これまでの事業担当制から市場担当制へ移行することで各市場に求められる対応を迅速に実現していきます。

 

[経営方針と主な取り組み]

0102010_001.jpg

 

◇利益体質の強化と新たな食生活創造

海外を成長ドライバーとして展開の拡大を進めていきます。中国と東南アジアを中心に人材、商品開発、マーケティング、ガバナンスなどの経営基盤の強化を行うために経営資源を集中的に投下し、さらに北米での需要開拓を積極化していきます。従来の店舗での販促活動とデジタルマーケティングの活用を融合することにより、ブランド認知率と商品使用率の向上に取り組み、当社の顧客層である富裕層から上位中間層へ開拓を進めます。また、海外の主力市場である中国においては、2021年1月に中国国内で4つ目の生産拠点となる広州工場が稼働しました。広州工場は最新鋭の設備と考え方を取り入れた工場で、生産性の大幅な向上が見込まれており、これらを足掛かりとして地域と需要の拡大を促進します。

国内では、市場担当制へ移行し、モノ(商品)視点から市場を軸としたお客様視点に転換することにより、お客様の食生活における悩みの解決や新たな食シーンの創造につながるような商品やサービスをスピーディーに提案していきます。重点領域として、マヨネーズやドレッシングを中心としたサラダとタマゴに特化していきます。さらに、デジタル活用を進めることで、お客様とのつながりをさまざまな角度から構築し、新しい可能性を広げていきます。

市販用においては生活様式が変化している中でも、生活必需品となる商品を育成します。マヨネーズはサラダにかける以外にもさまざまな調理シーンで利用される万能調味料としての使い方を提案してきました。その他の主力商品においても、幅広い調理シーンへの提案を強化することで、マヨネーズのような汎用性のある商品への育成をめざしていきます。また、2020年に開始したフレッシュストックTM事業を中心にお客様の課題解決につながる商品をお届けし、ブランドや商品の認知拡大を進めていきます。

業務用においては、グループが持つ販路を活用し、内・中食向け業態へ経営資源を集中させ、事業ポートフォリオの再構築により収益性と効率性を向上させます。おいしさと技術で新たな価値を創出し、顧客ニーズの創造を提案することで、業務用市場の活性化に貢献していきます。

1年目となる2021年度は、新型コロナウイルス感染症拡大による影響が続くなか、下期にかけて主原料高騰の影響を受けるなど厳しい経営環境となりました。このような状況において、2021年7月にマヨネーズの価格改定を実施するなど原料高騰リスクへの対応を中長期的な視点で進めてきました。2年目となる2022年度は、同じような状況が続くものと想定されますが、国内外ともにマヨネーズを中心とした価格改定の浸透を進めるとともに、原料相場に左右されない強い体質への転換に取り組んでいきます。海外では、中国・東南アジア・北米を中心に、より地域の食文化への浸透を加速させ、成長ドライバーとして拡大を進めていきます 。

 

◇社会・地球環境への取り組みを強化

当社グループでは、自然の恵みに感謝し、限りある資源を大切にするという想いで、環境活動に長年取り組んできました。気候変動リスクや食品ロス、海洋プラスチック問題など地球規模での問題が次々に顕在化している中、持続可能な社会の実現への貢献とグループの持続的な成長の実現をめざして、「キユーピーグループ サステナビリティ基本方針」を定めました。そして、サステナビリティに向け「持続可能な開発目標(SDGs)」を参考に特定した重点課題への取り組みを進めています。

社会・地球環境に対する企業の責任に向き合い、複雑化する社会課題に対し、バリューチェーン全体で連携し取り組みを進めていくことで、ブランド価値向上に努めていきます。

 

<サステナビリティ基本方針(一部抜粋)>

当社グループは、「愛は食卓にある。」への想いを大切に、さまざまな課題に対して「おいしさ・やさしさ・ユニークさ」をもって取り組み、解決をめざします。

そして、商品の設計、原料調達から、生産、販売、消費までのバリューチェーン全体を通じて人と環境をおもいやり、笑顔の溢れる未来を創ります。

 

<サステナビリティ目標>

0102010_002.png

 

 

◇多様な人材が活躍できる仕組みづくり

持続的成長を実現する人材を育成していくために、多様な人材が活躍できる仕組みづくりを実施していきます。

海外展開および市場担当制への移行においては、多様な視点で物事や現象を捉え、それをチャンスに変えることが必要となります。市場で起こる変化点を俯瞰して捉えるためには、市場に精通し、複数の経験やスキルを持った人材の育成が重要です。人材流動性の促進を強化することで、多様なスキルを持つ人材の育成を進めていきます。

また、他部門とのプロジェクトや会議への積極的な参画、社内やグループ内へのインターンシップなどを通じて、多様性を認め合い、関わり合いを持つことができる風土を醸成していきます。

さらに、外部資源を活用しながら学びの場を提供していくことで、新たな経験や知識を習得し、一人ひとりが能力を発揮できる環境を構築していきます。

なお、人材の活躍の重要な指標である女性管理職比率(対象:キユーピー株式会社)は、2024年11月期18%、2030年11月期30%をめざします。

 

[キャッシュ・フローの配分と経営指標について]

◇キャッシュ・フローの配分

持続的な成長を実現するために、適正な投資の実行や株主還元を行いながら、健全な経営基盤を確立します。

キャッシュ・フローの配分については、4年間の累積営業キャッシュ・フローを1,400億円とし、その範囲内でのコントロールを基本とします。設備投資は約700億円の計画とし、資産や投資の効率性を重視します。内部留保については、自己資本比率60%以上を目安とし、将来の成長のため、新規展開の資金を確保したうえで株主還元を拡充します。

 

◇経営指標

 

2024年11月期目標

ROE

8%以上

営業利益率

7.5%

海外売上高伸長率(現地通貨ベース)

(年率)10%以上

 

 

(3) 新型コロナウイルス感染症の影響について

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナウイルス)の拡大により、当社グループにおいても食生活に関わる変化が業績に大きな影響を及ぼしました。当社グループでは、3つの方針のもと、対策・対応に取り組んでいます。

〈方針1〉国や自治体の対策に協力し、感染リスクを抑制する

当社グループでは、従業員と家族、お客様・お取引先をはじめとするステークホルダーの皆様の感染リスクの抑制を考慮した対応に努めることを目的に新型コロナウイルス緊急対策本部を設置し、感染防止策を徹底しています。

新型コロナウイルス感染拡大、緊急事態宣言発令に合わせ、在宅勤務やフレックス勤務、時差出勤の活用で感染リスク抑制に取り組み、在宅などで業務遂行できるようにオンライン・モバイル環境の整備拡充など、従来から取り組んできた新しい働き方の定着と拡大を図りました。併せて、従業員のストレス軽減やメンタルヘルス不調の予防(従業員相談窓口の設置や動画によるエクササイズ推奨)にも取り組んでいます。なお、これらの働き方は感染リスクが低下した後も定着に努め、生産性の向上につなげていきます。

〈方針2〉食品メーカーとしての使命を果たす

お客様へ安全・安心な商品を継続して供給し続けることが当社の使命です。原資材の調達状況など事業継続に対する影響を注視しつつ、需要の変化に柔軟に対応できる体制を整えるとともに、外出制限などでストレスがたまるお客様の「おうち時間」を楽しく過ごしていただけるよう、料理レシピなどのコンテンツを発信しています。

〈方針3〉キユーピーならではの社会的な貢献を行う

社会的な貢献として、子供を中心とした地域社会、食事にお困りの高齢者や介助されるご家族や医療関係に従事する方々に商品や食事を提供するなど、当社グループならではの食を通じた支援活動を行っています。

また、「子ども食堂」が行う子どもや生活困窮家庭への持ち帰りの食事提供などを支援するため、キユーピーみらいたまご財団を通じて寄付を行っています。

 

2【事業等のリスク】

この有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるものには、以下の表内のようなものがあります。

当社グループは、これらのリスク発生(顕在化)の可能性を認識したうえで、発生の抑制・回避に努めています。そのためにリスクマネジメント基本規程において当社のリスク管理を体系的に定め、個々のリスクを各担当部門が継続的に監視しています。直近の業績への影響が大きなリスクについては経営会議、全社的なリスクについてはリスクマネジメント委員会、気候変動を含む社会・環境に関するリスクについてはサステナビリティ委員会でそれぞれ情報を共有し、リスクの評価、優先順位および対応策などを管理しています。また、リスクマネジメント担当取締役は、全社的リスクの評価や対応の方針・状況などを定期的に取締役会へ報告しています。

しかしながら、当社グループの取り組みの範囲を超えた事象が発生した場合には、当社グループの信用、業績および財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、以下の表内の内容は、当社グループに係るすべてのリスクを網羅したものではありません。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

事象

リスク

リスクへの対応策

市場の動向

長期にわたり漸次的にその影響が大きくなる可能性がある主なリスクは次のとおりです。

 

・国内人口減少による長期的な市場縮小

・野菜価格変動によるマヨネーズ・ドレッシングの販売影響

国内では「市販用」と「業務用」の2体制でフレキシブルな市場対応を図り、持続的成長につなげていきます。当社グループの内食、中食、外食への展開力を生かし、サラダとタマゴの可能性を広げ、健康寿命延伸に貢献することで事業機会の創出をめざし、お客様の食生活におけるお悩みの解決や新たな食シーンの創造につながるような商品、サービスをスピーディーに提案し、市場と需要の開拓を推進しています。特に成長が見込まれるドラッグストアなど未開拓販路を開拓することに加え、デジタルマーケティングを強化することで、D2C市場へのアプローチを進めています。

海外では、中国、東南アジアと北米を重点エリアとし、当社グループのこれまでの顧客層である富裕層から中間層へ開拓を進めます。またデジタルコミュニケーションとマーケティング機能を強化し、「キユーピーブランド(丘比、KEWPIE)」の認知率と商品使用率の向上に取り組んでいきます。そのために人材や商品開発、マーケティング、ガバナンスなど経営資源を集中的に投下し、持続的な成長を図っています。

 

 

事象

リスク

リスクへの対応策

主要原料の調達

・食油調達においては、大豆や菜種の相場、為替相場および需給などの変動による短期、長期的な価格変動リスクにより大きな影響が出る可能性があります。

・鶏卵調達においては、突発的な鳥インフルエンザ発生、産卵鶏の羽数変動、長期的な鶏卵の消費動向などによる価格変動および調達困難リスクにより大きな影響が出る可能性があります。

当社グループでは、より良い原料を安定的に調達するために調達先と適切なコミュニケーションを図り、信頼関係と相互理解を深め、サプライチェーンにおけるさまざまな課題解決を行い、社会的な配慮のもと持続可能な調達(購買価格の安定化や必要数量の確保)に向けた取り組みを進めています。

食油調達については、製造者との信頼関係を基本に、期近の手配ではなく余裕をもった先物での手当てを行うなど価格変動の影響を抑制する取り組みを進めています。パーム油は熱帯林の伐採や農場労働者の人権など課題解決に貢献するために、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)に加盟し、持続可能な調達に取り組んでいます。

鶏卵調達については、大手生産者を中心に各地の生産者との年間数量計画、一定価格契約、相場でのスポット契約の組み合わせ、また一部地域で鳥インフルエンザが発生して卵の移動が制限されたとしても他の地域の工場でカバーできる全国調達・割卵工場体制整備などの取り組みを進めています。また、中長期的な持続可能性の観点から、採卵鶏のアニマルウェルフェアの課題に関係する業界や行政と連携しながら取り組んでいきます。

製造物責任

異物混入や誤表示など、消費者に健康被害を及ぼす恐れのある製品事故は、重篤なリスクとして常に認識しています。

当社グループ創業以来の品質第一主義を基本として、食品安全マネジメントシステム(FSSC22000)の認証、グループを横断した品質監査の実施、FA(ファクトリー・オートメーション)を活用した製品保証やトレーサビリティ、また自社モニタリングや調達原料の品質規格管理システムの構築など、制度・システム面から品質保証の充実を推進しています。

加えて、従業員の品質に対する意識と理解が最も重要なことから、OJTや勉強会などさまざまな機会を通じた知識・技術の習得はもちろん、品質第一主義の浸透にも努めており、永続的な企業発展の基盤となる「安全・安心で高品質な食品の提供」を担保するため、万全な体制で取り組んでいます。

自然災害などの不測の事態

巨大台風、豪雨・長雨による洪水や大規模地震などの自然災害の影響が大きくなる可能性があります。それらにより次のようなリスクを想定しています。

 

・製造や物流施設・設備などの破損

・原資材やエネルギーの調達困難

・操業に必要な人員の不足

過去の災害の経験を活かし、当社グループ横断で危機発生時の事業継続計画(BCP)を整備し、対策に取り組んでいます。

東京にある本社の代替機能を関西に設置する体制の整備、非常時の通信ネットワークの整備や物資の備蓄、生産設備や物流設備の補強、不測の事態において生産可能状況を確認するシステムの整備、主要商品に関する生産や原資材調達機能および受注機能を2拠点化することなどにより危機発生時に備えており、災害の種類毎にマニュアルを整備しています。

さらにそれらを確実に運用できるようにするために大規模災害対応訓練(初動対応訓練や商品供給訓練、安否確認訓練)も行っています。

 

 

事象

リスク

リスクへの対応策

システム障害

近年、ランサムウェアなど高度化した外部からのサイバー攻撃によりシステムが停止することで事業活動に大きな影響が出る可能性があります。

当社グループでは、サイバー攻撃を受けた場合の備えとして「防御システムの多層化」を実施し、迷惑メールや不正アクセスを防ぐ対策に加えて、24時間監視し不審なプログラムの挙動を判定し実行防止するEDRシステムなどによる対策を行っています。

並行して従業員の「リテラシー向上」に向けた対策として、攻撃メールへの対応模擬訓練、情報セキュリティ教育など定期的に実施し、更に従業員の情報セキュリティ意識を高く保てるよう情報推進委員会が適宜情報を発信しています。

新型コロナウイルス感染症

感染の拡大、外出自粛や飲食店への営業時間短縮要請、緊急事態宣言によって生活が制限され、事業活動(特に業務用市場関連)で大きな影響を及ぼしています。

従業員の感染、事業所でのクラスター発生により事業活動に影響が出る可能性もあります。

当社グループでは、選択と集中で重点領域、商品展開領域の適正化を図り、分散している機能や潜在価値を集約することで効率性を改善します。特に影響を受ける業務用市場関連では、デリカ、ベーカリー、冷食加工業態などを強化する販路とし、調味料とタマゴに経営資源を集中し、よりお客様のニーズにスピーディーに対応できる提案などにより、需要減少へ対応し、収益性向上を図ります。

また、主要商品に関する生産や原資材調達および受注機能を2拠点化することなど備えを進めています。

新型コロナウイルス感染症発生の初期段階より国・自治体の指針に沿って対応しつつ、従業員とその家族の安全確保を最優先とし、事業活動を継続させるために職場での感染リスク抑制・感染防止策の取り組み、ワクチン接種休暇付与や職域接種など対応を継続しています。

また、主にスタッフ・営業部門は、新型コロナウイルス感染症予防に対応した働き方で経験し、学んできたことや得られた成果をさらに発展させるよう、最適なアフターコロナの働き方を追求しています。

人材、労務関連

人材、労務に関しては、主に次のようなリスクを常に想定しています。

 

・製造や物流現場の活動を担う人材が不足すること

・不適切な労働時間管理、過重労働

・ハラスメント

当社グループでは、継続的な採用、教育の充実、労働環境の最適化などにより人材の確保、定着に取り組んでいます。

具体的には、作業の効率化、省力化を推進しています。具体的にはIoT、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)や各種ロボット、AIの活用に取り組んでいます。加えて出入国管理法の改正を受けて、外国籍の方が就労し易い環境整備も進め、雇用を拡大していきます。

すべての職場の従業員一人ひとりが安心して働くことができ、仕事と家庭生活の両立が実現できる雇用環境の整備を進め、テレワークの積極的な活用、労働時間の適正化や法令に基づく適正な労務管理、ハラスメント予防に関する従業員教育の徹底、内部通報制度(ヘルプライン)の設置などにより労務関連リスクの低減に取り組んでいます。

これらに加え、持続的成長を実現する人材を育成していくために、多様な人材が活躍できる仕組みづくりを実施し、併せて専門性の高い外部人材の採用や登用を推進しています。

 

 

事象

リスク

リスクへの対応策

海外展開

海外展開においては、主に次のようなリスクを想定しています。

 

・脆弱な経営基盤によるトラブル

・情報管理の不備による漏洩

・模倣品の流通による競争力の侵害およびブランドイメージ毀損

海外子会社においても当社グループの理念を浸透させるための現場教育、各種研修などを行っています。また、内部統制システム整備を進めており、具体的には決裁権限の明確化、契約書・規程管理や経理・財務規程、反贈収賄規程、人事評価制度など各種規程や制度の整備・運用、内部通報制度の導入、事業継続計画(BCP)および危機管理訓練などにより経営基盤の強化に取り組んでいます。

さらに会社情報や重要技術情報の取り扱い・セキュリティに関する規程の導入および盤石なICTネットワークの構築に取り組んでいます。

模倣品対策では、市場に出回る当社商標権の侵害品や紛らわしい他社品を排除するとともに、悪意ある商標出願を権利化させないように取り組んでいます。

地球環境問題、気候変動

地球環境問題、気候変動においては、主に次のようなリスクを想定しています。

 

・原資材調達難、価格高騰

・CO排出規制強化

・エネルギーコスト増

・大雨、洪水による生産設備被災

 

これらサステナビリティへの取り組み、対応が不十分と評価された場合、漸次的にレピュテーションが低下する可能性があります。

当社グループでは、サステナビリティにむけての重点課題として環境面では「資源の有効活用・循環」と「気候変動への対応」を特定し、グループ全体で取り組んでいます。資源の有効活用・循環では、卵殻や野菜(キャベツなど)の芯・外葉など野菜未利用部の肥料化、飼料化などの有効活用に取り組んでいます。また、賞味期限・消費期限延長や需要と供給のマッチングを一層推進し、食品ロスの削減(商品廃棄量の削減)を進めています。プラスチック排出削減と再利用に関しては、容器包装の軽量化、薄肉化および生産活動で使用するプラスチックの使用量・排出量削減を進めています。さらに環境負荷の少ない素材に置き換える研究に着手し、プラスチック使用量のさらなる削減と資源循環型社会の実現に貢献しています。

気候変動への対応では、製造工程における効率改善、省エネ設備の導入などの展開に加えて、太陽光発電設備の新設による再生可能エネルギーの活用を進めています。物流では長距離トラック輸送から鉄道・船舶輸送へのモーダルシフト、異業種メーカーとの共同輸送、積載効率の向上を積極的に推進しています。オフィスではエネルギー使用の最適化に取り組んでいます。これらによりCO排出量の削減を進めています。当社グループの事業は、自然の恵みに強く依存しているため、原材料の収量の減少や品質の低下、価格高騰など、気候変動によるさまざまな影響を受ける可能性があります。そのために機動的な価格適正化や、原料相場に強い体質へ転換するためにポートフォリオの最適化やグループ連携による調達体制の構築を進めています。今後の気候変動に関連する事象を、経営リスクとして捉えて対応すると同時に、新たな機会も見いだし、企業戦略へ活かしていきます。このようなことからTCFD提言への賛同を表明し、TCFDが提言するフレームワーク、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4項目に基づいた情報を掲載しています。

https://www.kewpie.com/sustainability/pdf/sustainability_20220111_tcfd.pdf

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

①財政状態および経営成績の状況

当連結会計年度より、連結子会社であった株式会社キユーソー流通システムの株式を一部譲渡し持分法適用関連会社へ移行しました。これにより、売上高1,404億23百万円、営業利益28億37百万円の減少影響が生じています。

当連結会計年度における当社グループは、新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動の制限や国際的な穀物相場高騰の影響など先行き不透明な状況が続きました。

売上高については、海外で新型コロナウイルス感染症の収束から外食需要の回復がみられ受注が増加しましたが、物流事業の持分法適用関連会社への移行の影響により減収となりました。営業利益については、海外の売上増加など増益要因はあったものの、主原料高騰の影響や物流事業の持分法適用関連会社への移行の影響により減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益については、特別損失の減少により増益となりました。

当連結会計年度の連結業績は次のとおりです。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自 2019年12月1日

至 2020年11月30日)

当連結会計年度

(自 2020年12月1日

至 2021年11月30日)

増減(金額)

増減(比率)

[参考]

前連結会計年度

(遡及後)

売上高

531,103

407,039

△124,064

△23.4%

390,680

営業利益

28,303

27,972

△331

△1.2%

25,466

経常利益

28,989

29,698

709

2.4%

26,812

親会社株主に帰属する

当期純利益

11,591

18,014

6,423

55.4%

11,591

※当連結会計年度において、企業結合に係る暫定的な会計処理を行っており、前連結会計年度に係る各数値については、暫定的な会計処理の確定の内容を反映させています。

※前連結会計年度(遡及後)は、物流事業を除いた遡及適用後の数値を記載しています。

 

 

◇ セグメント別の状況

当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しています。

・国内の「調理・調味料」「サラダ・惣菜」「タマゴ」は「市販用」「業務用」へ再編

・「調理・調味料」に含まれていた海外部分を分離し、「海外」を新設

・「物流」は持分法適用関連会社へ移行

以下は前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。

 

[売上高の内訳]

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2019年12月1日

至 2020年11月30日)

当連結会計年度

(自 2020年12月1日

至 2021年11月30日)

増減(金額)

増減(比率)

市販用

168,031

172,678

4,647

2.8%

業務用

145,035

149,792

4,757

3.3%

海外

47,163

53,383

6,220

13.2%

フルーツ ソリューション

16,473

16,878

405

2.5%

ファインケミカル

7,942

8,770

828

10.4%

物流

140,423

△140,423

共通

6,034

5,536

△498

△8.3%

 合  計

531,103

407,039

△124,064

△23.4%

 

 

 

[営業利益の内訳]

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2019年12月1日

至 2020年11月30日)

当連結会計年度

(自 2020年12月1日

至 2021年11月30日)

増減(金額)

増減(比率)

市販用

15,824

17,195

1,371

8.7%

業務用

7,787

6,292

△1,495

△19.2%

海外

4,947

7,229

2,282

46.1%

フルーツ ソリューション

561

719

158

28.2%

ファインケミカル

1,156

1,075

△81

△7.0%

物流

2,837

△2,837

共通

1,329

1,328

△1

△0.1%

全社費用

△6,141

△5,868

273

 合  計

28,303

27,972

△331

△1.2%

 

<市販用>

・新型コロナウイルス感染症拡大による内食需要の高まりを受け、主力商品を中心に売上高が伸長したことにより増収

・売上増加や売上総利益率の改善に努めたことなどにより増益

<業務用>

・タマゴ商品の販売価格が鶏卵相場の高騰影響により上昇し増収

・新型コロナウイルス感染症拡大による需要減少とアイテム精鋭化の終売影響等により減益

<海外>

・前年度実施した北米タマゴ事業譲渡の影響があったが、中国を中心に新型コロナウイルス感染症からの回復がみられ増収

・各エリアにおける売上拡大や付加価値の高いドレッシングの販売が堅調に推移したことから増益

<フルーツ ソリューション>

・家庭用ジャム・スプレッドは前年の巣ごもり需要の反動があったが、食品メーカー向けの新規受注などにより増収増益

<ファインケミカル>

・通信販売が好調に推移し増収となったが、原料販売の不振や生産操業度低下により減益

<共通>

・食品メーカー向け製造機械の売上減少により減収減益

 

◇ 財政状態の状況

・総資産は、3,810億3百万円と前期末比732億73百万円減少

 主に受取手形及び売掛金の減少169億8百万円、建物及び構築物の減少162億34百万円、機械装置及び運搬具の減少189億92百万円、土地の減少226億54百万円、投資有価証券の増加165億19百万円によるものです。

・負債は、1,117億2百万円と前期末比552億18百万円減少

 主に支払手形及び買掛金の減少138億13百万円、長期借入金の減少355億5百万円によるものです。

・純資産は、2,693億1百万円と前期末比180億55百万円減少

 主に利益剰余金の減少76億90百万円、自己株式の減少100億27百万円、非支配株主持分の減少239億52百万円によるものです。

 また、2021年1月に連結子会社であった株式会社キユーソー流通システムの株式の一部譲渡により、当連結会計年度から持分法適用関連会社へ移行したことで、総資産1,052億64百万円、負債622億41百万円が減少しています。

 

②キャッシュ・フローの状況

 

現金及び現金同等物の残高は、667億3百万円と前期末比9億26百万円増加となりました。

 各キャッシュ・フローの状況は、下記のとおりです。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が288億60百万円、減価償却費が153億36百万円、法人税等の支払いが73億83百万円となったことなどから385億33百万円の収入(前期は349億55百万円の収入)となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が77億43百万円、無形固定資産の取得による支出が38億42百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出が88億1百万円となったことなどから202億77百万円の支出(前期は260億39百万円の支出)となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いが56億65百万円、自己株式の取得による支出が100億4百万円となったことなどから187億1百万円の支出(前期は5百万円の収入)となりました。

 

 なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は、下記のとおりです。

 

2017年

11月期

2018年

11月期

2019年

11月期

2020年

11月期

2021年

11月期

自己資本比率(%)

54.2

53.9

53.0

52.8

64.5

時価ベースの自己資本比率(%)

101.6

93.9

78.3

68.5

84.2

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

2.2

1.5

1.5

2.3

1.1

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

75.8

122.5

144.7

103.7

159.0

(注)自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。

※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。

※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っているすべての負債を対象としています。

※キャッシュ・フローおよび利払いは、それぞれ連結キャッシュ・フロー計算書の「営業活動によるキャッシュ・フロー」および「利息の支払額」を使用しています。

 

 

③ 生産、受注および販売の実績

a.生産実績

  当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度(百万円)

(自  2020年12月1日

至  2021年11月30日)

前年同期比(%)

市販用

109,580

103.1

業務用

97,003

108.2

海外

34,812

103.9

フルーツ ソリューション

11,561

97.9

ファインケミカル

3,899

96.0

共通

1,895

40.2

合計

258,752

103.5

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

b.商品仕入実績

  当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度(百万円)

(自  2020年12月1日

至  2021年11月30日)

前年同期比(%)

市販用

14,105

110.3

業務用

17,672

108.3

海外

2,453

114.5

フルーツ ソリューション

1,318

104.0

ファインケミカル

100

96.2

共通

3,293

96.9

合計

38,944

81.4

(注)  上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

 

c.受注実績

  主要製品以外の一部の製品について受注生産を行うほかは、すべて見込み生産のため記載を省略しています。

 

d.販売実績

  当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度(百万円)

(自  2020年12月1日

至  2021年11月30日)

前年同期比(%)

市販用

172,678

102.8

業務用

149,792

103.3

海外

53,383

113.2

フルーツ ソリューション

16,878

102.5

ファインケミカル

8,770

110.4

共通

5,536

91.7

合計

407,039

76.6

(注)1.外部顧客に対する売上高を記載しています。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

①重要な会計方針および見積り

  当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の報告金額および報告期間における収益・費用の報告金額に影響する見積り、判断および仮定を必要としています。過去の実績や状況を踏まえ合理的と考えられるさまざまな要因に基づき、継続的に見積り、判断および仮定を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

  なお、連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5  経理の状況」に記載しておりますが、次の重要な会計方針が財務諸表作成における重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えています。

 

(1)  固定資産の減損処理

  保有する固定資産について、原則として継続的に収支の把握を行っている管理会計上の区分(会社別、事業別かつ事業所別)を単位としてグルーピングを行い、当該資産グループ単位で減損の兆候を把握しています。減損損失を認識するかどうかの判定および使用価値の算定に際して用いられる将来キャッシュ・フローは、経営環境などの外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報に基づき、合理的な仮定を置いて計算しています。

  将来の市場環境の変化などにより、見積り額と実態に乖離が生じた場合、減損損失が発生する可能性があります。

 

  新型コロナウイルス感染症拡大による影響につきましては、「第5 経理の状況 1. 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

(2)  貸倒引当金の計上基準

  貸倒引当金については、債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については過年度実績率を基礎とした将来の貸倒予測率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しています。将来、顧客の財政状態が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。

 

(3)  投資有価証券の減損処理

  投資有価証券の評価方法については、時価のある有価証券については時価法を、時価のない有価証券については原価法を採用しています。保有する有価証券につき、時価のあるものは株式市場の価格変動リスクを負っていること、時価のないものは投資先の業績状況等が悪化する可能性があること等から、合理的な基準に基づいて投資有価証券の減損処理を行っています。

  この基準に伴い、将来の市況悪化または投資先の業績不振等により、現状の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生し、減損処理が必要となる可能性があります。

 

(4)  繰延税金資産の回収可能性の評価

  繰延税金資産については、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討し、回収可能見込額を計上しています。しかし、繰延税金資産の回収可能見込額に変動が生じた場合には、繰延税金資産の取崩しまたは追加計上により利益が変動する可能性があります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

 a.財政状態および経営成績の分析

 当連結会計年度における財政状態および経営成績の分析につきましては、「3  経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (1)経営成績等の状況の概要  ①財政状態および経営成績の状況」に記載のとおりです。

 

 b.資金の財源および資金の流動性

(1)  キャッシュ・フロー

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況につきましては、「3  経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (1)経営成績等の状況の概要  ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

(2)  資金の需要

 さらなる企業価値の向上を図るための設備投資、事業投資、債務の返済および運転資金などの資金需要に備え、資金調達および流動性の確保に努めています。

 

(3)  資金の調達

 必要な資金は内部資金より充当し、不足が生じた場合は銀行借入および社債発行により調達しています。

 

(4)  資金の流動性

 複数の金融機関との当座貸越契約を設定しています。また、当社および国内連結子会社における余剰資金の一元管理を図り、資金効率の向上と金融費用の削減を目的として、キャッシュ・マネジメント・システムを導入しています。

 

 c.目標とする経営指標の達成状況等

 当社グループは、2021年度からの4年間を対象とする中期経営計画を策定し、最終年度である2024年11月期において、「ROE(自己資本利益率) 8%以上」「営業利益率 7.5%」「海外売上高伸長率(現地通貨ベース) (年率)10%以上」を目標として掲げています。

 中期経営計画の初年度にあたる当連結会計年度におきましては、ROE(自己資本利益率)が7.4%、営業利益率が6.9%、海外売上高伸長率(現地通貨ベース)は前年比18.5%の増加となりました。

 

◇経営指標

 

2021年11月期

2024年11月期目標

ROE(自己資本利益率)

7.4%

8%以上

営業利益率

6.9%

7.5%

海外売上高伸長率(現地通貨ベース)

(前年比)18.5%

(年率)10%以上

(注)海外売上高伸長率は前年の北米タマゴ事業の業績を除いて算出しています。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当社グループは、世界のお客様の楽しく健やかな食生活に貢献するために、「人の健康」「地球の健康」「未来の食生活の創造」を研究領域とし、研究開発に取り組んでいます。

 

今年度は、市場担当制への転換に対し、研究開発の組織体制の変更として、食創造研究所の「調理・調味料開発部」を「市販用開発部」と「業務用開発部」に分け、より市場を意識した開発に専念できる体制としました。また、昨年度スタートした「フレッシュストックTM」事業が本格始動し、量販店の生鮮売場向け商品として「わたしのお料理」シリーズ、惣菜向け商品として「わたしのお惣菜」シリーズを展開しました。

社会性の取り組みとしては、プラスチック削減に向けた取り組みを推進し、キユーピー テイスティドレッシングシリーズで、再生プラスチックを配合したボトルを採用し、商品化しました。また、お客様の多様な価値観に向き合い、新たな食シーンの提案として、植物性原料によるスクランブルエッグ状商品「HOBOTAMA」を業務用で発売しました。発表当初より、プラントベースフードに興味のあるお客様だけでなく、アレルギーに悩むお客様からも多くの反響をいただきました。これからもお客様に寄り添い、新たな食生活をお届けしていきます。

100年以上食に向き合ってきたキユーピーとして、未来の豊かな食生活の創造に向けた取り組みにも挑戦しています。農林水産省の戦略プロジェクトにも採択された一般社団法人「SPACE FOODSPHERE」による宇宙開発領域の研究開発においては、「QOLマネジメントシステムの開発」に参画します。これまで培ってきた食の技術を月面という極限環境下での快適な食に活かすとともに、今後地球上でも起こりうる社会課題の解決にも繋げていきます。

また、血液中のマイクロRNAの測定による将来の発がんリスク判定と、発がんリスク低減をめざしたマイクロRNA改善につながる食生活提案の事業化をめざしています。現在、横浜国立大学と東京医科大学との共同で、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が運営する「人と共に進化する次世代人工知能に関する技術開発事業」のプロジェクトとして研究を進めています。

2030ビジョンに掲げた「サラダとタマゴのリーディングカンパニー」をめざし、鶏卵の機能性を解明し養鶏産業発展にも貢献できるようなテーマにも取り組んでいます。具体的には、鶏卵摂取による認知機能改善効果を明らかにする研究を、生物系特定産業技術研究支援センターが運営する「イノベーション創出強化研究推進事業」のプロジェクトとして、東京大学等5者で共同研究を進めています。

生産技術部門では、これまで築き上げた豊富なコア技術の活用展開を行い、研究部門の開発商品を品質第一で効率よく生産するための設備開発を行っています。新しい技術としてAIを活用した取り組みやシミュレーション技術を利用した開発リードタイムの短縮、そして人手のかかる工程の自働化に向けて、外部と協働しながら広くグループの生産効率向上や品質保証体制を高める生産環境の実現を推進しています。

なお、当連結会計年度における当社グループの研究開発費は、4,033百万円です。

また、報告セグメントにおける研究開発活動の概要とその成果は次のとおりです。

 

(1)市販用、業務用、海外、フルーツ ソリューション、ファインケミカル

 

<市販用>

 市販用では新商品の開発に加えて、既存品の改良を通じた更なるおいしさや機能性の追求と汎用化に向けた提案を実施しています。また、日々の食生活を通じたより積極的な健康へのアプローチとして、BMIが高めの方に対し内臓脂肪を減らす機能があることが報告されているローズヒップ由来ティリロサイドを含む、機能性表示食品のマヨネーズタイプ「キユーピー フィッテ」を発売すると同時に、「キユーピー アマニ油マヨネーズ」などの改良を行いました。ドレッシングにおいても「キユーピー ごまドレッシング」などの機能性表示食品を新たに発売しました。また、ドレッシングを使用することで野菜の苦みや青臭さが軽減することを研究成果として発表し、子どもの野菜嫌い克服につながるような取り組みを行っています。ソースカテゴリーではパスタを中心にアレンジレシピに広がりを与える「キユーピー レシピひろがるパスタソース」や、「キユーピー 3分クッキング 蒸し煮用ソース」を発売し、蒸し煮という野菜の新たな調理方法を提案しています。

 「フレッシュストックTM」事業においては、「わたしのお料理」シリーズで精肉売場向けの「お肉のからめやき」や「豚鍋のつゆ」、鮮魚売場向けの「鮭の蒸し焼きソース」など新たなコンセプトを持った新商品を展開しました。また、「わたしのお惣菜」シリーズでは、主菜になるおかずシリーズや惣菜売場の揚げ物に合うソースシリーズに加えて、従来のフレッシュサラダの消費期限よりも長い20日の鮮度保持を実現した「冷圧フレッシュ製法」によるサラダシリーズを展開し、好評をいただいています。デリア食品株式会社では、機能性表示食品「カラダ想いメニュー」シリーズの販売エリアを北海道、関西、九州エリアへ拡大しました。今後も同シリーズは新たなメニューや機能を充実させて、健康意識の向上や野菜摂取量の増加につながる商品を開発し、お客様の健康寿命の延伸に貢献していきます。株式会社サラダクラブでは、パッケージサラダの更なる鮮度保持に取り組み、「千切りキャベツ」に次ぐ主力商品である「ミックスサラダ」の消費期限を1日延長し5日間としました。今後もパッケージサラダがお客様の食生活に欠かせない商品として、いつでも便利にお使いいただけるシーンを追求していきます。同じく、「フレッシュストックTM」事業においては、市販用卵加工品も拡充しました。増加している単身・共働き世帯、高齢者世帯などのお客様が冷蔵庫に簡単に常備でき、手軽にご使用いただけるカップ入り商品として「キユーピーのたまご ゆでたまご」のテスト販売を開始しました。また、キユーピーのたまごブランドの「つぶしてつくろう」シリーズから「つぶしてつくろう たまごのタルタル」を発売しました。

 

<業務用>

 業務用では、独自性を起点においしさと機能性を提案する開発を実施しています。マヨネーズ・ドレッシングでは、手づくりのポテトサラダの味を工業的に実現できる「キユーピークリーミィマヨネーズ」とベーカリー業界向けの「キユーピー粗挽きブラックペパーマヨ」、シェフが手づくりしたようなおいしさと状態を実現した「キユーピーこく味黒胡麻ドレッシング」などを発売しました。また、「キユーピー具沢山フィリング黒胡麻」、「スノーマン具沢山ソースサルサピカンテ(高粘度タイプ)」などを発売し、惣菜やベーカリー向けにおいしさや彩りを加える具沢山シリーズを拡充しました。業務用においても健康志向の高まり、人手不足や簡便性の観点からニーズの高いロングライフサラダにおいては、「キユーピーのサラダ ごろっとポテトのサラダ(国産野菜使用)」、「キユーピーのサラダ 15種素材のヘルシーサラダ」など合計8品を発売しました。

 冒頭に記載した国内初の卵代替のプラントベースフード「HOBOTAMA」は、豆乳加工品をベースに、卵加工品で培った独自技術を活かして、スクランブルエッグのような見た目と食感を再現しました。シェフが丁寧に手づくりしたような半熟感を再現しており、飲食店などで提供するメニューの付加価値を高めることができます。プレーンな味わいで、パンや野菜などと相性が良く、サンドイッチや朝食メニューなどに幅広く使用できます。

 キユーピー醸造株式会社では、米飯・惣菜の食感を保持するための酵素製剤、ライスイージー2(米飯用)、デリカイージー(惣菜用)を発売しました。

 

<海外>

 海外では世界の食と健康に貢献するグループとして、現地のニーズに沿った商品づくりと健康への情報発信、サラダを中心とした野菜摂取の向上のためのマヨネーズ、ドレッシングといった調味料を中心に開発を進めました。中国では、業務用としてベーカリー、サンドイッチ、寿司などの業態、メニュー向けのマヨネーズを開発し、使用用途の拡大を図るアイテムの投入を進めました。パッケージの変更など、お客様に分かりやすく手に取りやすいデザインなどに変更し浸透を進めています。ドレッシングでは、当地の麺料理である拌麺と言われるメニュー向けの調味料を開発し、野菜以外のメニューへの拡大を図りました。マレーシアでは、「キユーピーチリマヨ」を家庭用で発売し、マレーシアで親しまれている調味料とのコラボレーションにより浸透を進めています。また、業務用では「メンタイマヨ」を発売し、ハラル認証を取得しつつ日本の風味を展開し新たな食シーンを提案するなど、ローカルの食文化と新しい食の提案をバランスよく進め、市場の活性化に寄与することが出来ました。ベトナムでは「キユーピー焙煎ごまドレッシングチリ&チーズ風味」を発売しました。野菜だけでなく肉料理にも合う味付けに仕立て、ドレッシング用途の拡大を図りました。「キユーピーマヨネーズスイートテイスト」では、保存料不使用としお客様の新たなニーズを発掘する開発を進めています。インドネシアでは業務用市場向けに、「キユーピーメンタイマヨ」を発売しました。現地の流行となっている創作メニュー「ナシメンタイ」の定着を進めました。各国のトレンドを捉えつつ、新しいマヨネーズ、ソースの開発と定着を図る活動を進めています。

 

<フルーツ ソリューション>

 ジャム・スプレッド類では「アヲハタカロリーハーフ」3品をリニューアルし、よりパンに合う仕立てとするとともに、「アヲハタまるごと果実 オレンジ」についてオレンジの食感と香りをアップさせ品位を一新しました。新製品としてアヲハタ55シリーズより「4種のベリー」などを季節限定発売し、イチゴ、ブルーベリー、ママレードのポーションタイプ8個入りボックスタイプを発売しました。また、「アヲハタ ワイルドブルーベリー&メープルシロップ」を発売しています。ヴェルデブランドではトーストスプレッドシリーズの「ガーリックトーストスプレッド」等計3品について油脂の変更を行い、素材の風味をより感じられるよう改良を行うとともに、「ガーリックシュリンプ」を発売しました。また、「アヲハタ ひとくち柑橘」を発売し、さっと、どこでも一口で食べられるフルーツ加工品として新たな食シーンを提供しています。

 

<ファインケミカル>

 ファインケミカルでは、ヒアルロン酸、タマゴ成分、独自の機能性素材の可能性を最大限に引き出す研究と商品開発を進めています。

 ヒアルロン酸の医薬分野では、新たな分子量帯で中国の医薬原料登録が終了し、販売体制を整えました。食品分野では、ヒアルロン酸の摂取により乾燥肌のみでなく、シワの改善効果があることをヒト試験で明らかにし、抗シワ素材としての提案を開始しました。独自タマゴ成分である加熱変性リゾチームでは従来のノロウイルスの不活化効果に加え、新型コロナウイルスに対する不活化効果を帯広畜産大学、国際医療福祉大学との共同研究で明らかにしました。

 独自素材を活用した通販専用商品として、ヒアルロン酸を配合した手・首周りをケアするスキンケア商品として「ハンデコルテ」を、酢酸菌酵素を活用した飲酒ケアサプリメントの「よいとき」を、従来の摂取目安は2粒でしたが1粒で体感できるようリニューアルし「よいときOne」として発売しました。

 

(2)共通

   該当事項はありません。