第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、「人・食・味を豊に社会に貢献する」ことを経営理念とし、お客様の要求に応える製品を提供し、その企業活動において社会に貢献できる事業活動を推進してまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

目標とする経営指標は、部門別利益管理を重視しております。各部門の利益率を向上することにより売上高を追求するだけでなく、1株当たり当期純利益(EPS)の増加を重点目標としております。また、中長期的な企業価値の向上の実現のため自己資本当期純利益率(ROE)や総資産経常利益率(ROA)の向上に努め、よりよい資産効率を図ってまいります。

 

(3) 経営環境

今後の見通しにつきましては、国内経済は徐々に回復傾向にあり、賃金の上昇による消費意欲の向上に期待する一方、不安定な国際情勢、資源・原材料価格の高騰、為替相場の変動など、先行きは不透明で経営環境は依然として厳しい状況で推移することが予想されます。

食品業界におきましても、原材料コストの上昇圧力が強い一方、低価格志向・節約志向に伴う価格競争の激化による厳しい経営環境が継続されるものと予想されます。また、人口減少と高齢化の進展、食の安心・安全に対する意識の高まりなどは依然として続いております。

このような状況の中で、当社は品質第一の姿勢を貫き、安心・安全な製品を提供することを基本として品質管理を徹底するとともに、生産面におきましては、人材育成の充実とローコストオペレーション体制を実現できるよう創意工夫し、収益基盤の強化を図ってまいります。

液体部門においては、1952年以降、醸造業の様々なノウハウを有しており、「うなぎのたれ」「つゆ」「白だし」「味だし」等は、そのノウハウによって生み出された自社製品であります。特に、うなぎのたれは業界トップクラスの生産量を誇り、国内外の生産者に向けて、お客様に合わせた粘度・色合い・味を提供しております。

粉体部門においては、時代とともに変化する生活スタイルに合わせて、より素早く・手軽に美味しさをお届けするために「粉末」「顆粒」とニーズに即した形状と「フィルム」「スタンドパック」「バルク」等の充填形態に対応し、お客様のご要望に対応しております。2019年の鳥取工場への事業集約により、製販一体となった事業体制を敷き、よりスピードアップした対応を目指しております。

さらに、企業活動における社会的責任の重さを充分認識し、環境保全活動への取り組み、コンプライアンス体制の強化等を推進し、お客様に信頼される企業を目指し、積極的に事業を展開し、社業の発展を図る所存であります。

 

(4) 中長期的な会社の経営戦略

当社売上の大きな構成を占める即席麺、チルド食品の麺類は、今後も安定した経営基盤として、新製品開発などの面で東洋水産㈱に協力し、受託量の拡大を図ります。

一方、当社が製品開発の主体を持っている液体や粉体は、今後発展の戦略分野と考え、メーカーとして整備、拡大を行いながら、研究開発の強化を図り、製品開発のスピードアップに取り組み、取引先の要望にいつでも応えられるよう生産、販売体制を整え、売上拡大を図り、売上高に占める自社開発製品の比率を上げながら、バランスのとれた売上構成を目指し、コストダウンや業務の効率化にも傾注し、安定した経営を目指します。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

顧客ニーズの変化に対応した製品開発を行うための研究開発を重視し、また、安心・安全な製品を提供することを基本として品質管理を徹底するとともに、企業は人材であるという観点から人材育成の充実と既存設備の有効活用を推し進め、効率的な生産・物流体制を構築し業務改善を徹底してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

 

(1) ガバナンス

当社は、「人・食・味を豊に」の企業理念の基、「食」を通じて笑顔が広がる豊な社会の実現に貢献する事を目指しておりますが、国際情勢や社会環境が大きく変化し、これまでにも増して環境への意識が高まっております。このような事業環境に即応し、安定的な成長を実現するため、取締役会を中心に多様性に対応した体制を構築しております。長期的な社会・環境の変化に伴うサステナビリティに関する取り組みについても、課題を考慮した経営を行うため、取締役会を最高意思決定機関と位置付け、取締役会の中で適宜、各管轄の取締役より活動内容の報告を行い、活動の推進を行っております。また、中期経営計画に合わせて、重要な課題の設定、モニタリング、対応策の推進に取り組んでおります。

 

(2) 戦略

当社は、中期経営計画において「社会と家族(自分)のために自分の力を発揮できる普通の会社」をビジョンに掲げております。事業を取り巻く国内外情勢は今後も変動する事が予測されますが、品質第一の姿勢を貫き、安心・安全な製品を提供する事を基本とし、人材育成の充実とローコストオペレーション体制を実現できるよう創意工夫することで、さらなる収益基盤の強化と安定化を目指し、安定的かつ持続的な成長を維持する事を目的としております。

当社としては気候変動を重要な経営課題と捉え、製造業としての在り方を見直し、これからの戦略を検討していきます。課題となる廃棄物の削減や省エネ活動の推進、自然エネルギーの導入、省エネチームの発足等限りある資源を有効に活用していけるよう進めていきます。

また、当社における、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針はダイバーシティ推進による人材育成と人材登用が非常に重要な事項であると考えております。

<人材育成>

まずは社内での改善提案活動を通じた人材育成とし個人が自ら考え・実行し、知識取得と経験からの学びから意識改革とスキル向上を目指していきます。そのうえで、多様な人材を育てる目的として研修や、資格取得への積極的な取り組み、部門異動等による多能工な人材の成長を促進させます。

<人材登用>

企業の存続や成長に欠かせない人材を研修や、改善活動等を通じ成長させることで次期幹部候補や積極的な女性役職者登用を推進し経営基盤の強化を図ります。

 

(3) リスク管理

当社は、当社を取り巻く環境、気候変動や生物多様性におけるリスクや機会について、事業上の課題や、環境側面の影響評価、ステークホルダーからの要望・期待など総合的に勘案して特定し、具体的に、全社、各事業において想定されるリスクと機会を洗い出し、全社的に取り組みをすすめていきます。

移行リスクでは、炭素税が導入された場合のコスト増やステークホルダーの行動変容への対応遅れなどが影響の大きいリスクとして特定され、再生可能エネルギーの導入や、環境配慮型製品の開発・設計といった対応策により管理していきます。物理リスクとしては、異常気象の発生によるサプライチェーンが分断される等が懸念されます。環境変化に応じて事業計画を見直していく事で対応してまいります。

 

(4) 指標及び目標

当社の、気候変動への対応として2030年度までに以下のCO2排出量目標、廃棄物削減目標を策定していきます。

スコープ1+2CO2排出量(原単位) 削減率     20%(対2018年)

廃棄物量(原単位) 削減率            15%(対2018年)

(注)原単位は売上高を基準として算出

また、当社のCO2排出量推移、産業廃棄物量推移は以下のとおりです。

CO2排出量の推移                              単位:t-CO2

 

2021年度

2022年度

2023年度

本社工場

13,850

9,980

7,816

鳥取工場

2,537

2,319

2,456

全社合計

16,387

12,299

10,272

 

 

産業廃棄物量の推移                              単位:t

 

2021年度

2022年度

2023年度

本社工場

1,836

1,478

1,329

鳥取工場

162

108

117

全社合計

1,998

1,586

1,446

 

また、当社では、上記「(2) 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標

実績(当事業年度)

管理職に占める女性比率

2025年度まで10

5.6

男性育児休業取得率

2025年度まで30

  0

教育制度利用率

2025年度まで15

8.4

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 特定の取引先への依存

当社の売上高は6割以上が東洋水産株式会社向けであります。当社は、東洋水産グループの一員として、東洋水産株式会社より即席麺・チルド食品等の生産を受託しております。長年築きあげてきた調味料の製造技術・設備を有しており、チルド食品においては中部地区の生産拠点として重要な役割を担っております。しかしながら、東洋水産グループの販売戦略や生産拠点の統廃合、効率的な生産物流体制の再構築等により、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 製品のクレーム

全ての製品についてクレームが無く、将来にクレームによる製品回収が発生しない保証はありませんが、製造物責任賠償については保険を付保しております。しかし、この保険が最終的に負担する賠償額をカバーできるという保証はありません。また、多額のコストにつながるクレームは、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 天候、自然災害及びその他の影響

当社は、食料品製造業を営んでおります。そのため、猛暑、冷夏等の天候により売上高に影響を受けることがあります。また、製造拠点における大規模な地震や台風などの自然災害により生産設備に損害を被った場合、製造能力低下に伴う売上高の減少、設備の修復費用の増加などにより当社の業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。さらに、新たな感染症等の発生、残留農薬問題などの食品に係る諸問題の発生が、仕入価格の高騰、消費の低迷などを引き起こし売上高等に影響を与える可能性があります。当社は消費者の不信を取り除き、安心・安全な製品の提供をモットーに、FSSC22000の規格に基づいた適切な品質管理を行っていきますが、自然又は人為的な諸問題により当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 法的規制に関するリスク

当社は、食品安全基本法をはじめ食品衛生法、製造物責任法、環境・リサイクル関連法規、不当景品類及び不当表示防止法などの様々な法的規制を受けております。

当社はコンプライアンス経営推進の基にこれらの法的規制の遵守に努めておりますが、将来これらの規制を遵守できなかった場合あるいは規制の強化、変更ないし予測し得ない新たな規制の設定などがあった場合には、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 訴訟に関するリスク

当社は、事業の遂行にあたって、各種法令・規制等に違反しないように、内部統制機能の充実やコンプライアンス経営を強化するとともに、必要に応じて顧問契約を締結している弁護士のアドバイスを受けております。

しかしながら、事業活動の遂行にあたって、当社及び全役職員が法令等に対する違反の有無に関わらず、製造物責任法・知的財産権等の問題で、訴訟を提起される可能性があります。また、訴訟が提起されることそれ自体、又は、訴訟の結果によって、お客様から信頼を失うことにより、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 有価証券の時価変動リスク

当社では、売買を目的とした有価証券は保有しておりませんが、様々な理由により、売却可能な有価証券を保有しております。

これらの有価証券のうち、時価を有するものについては、全て時価にて評価されており、市場における時価の変動は、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 人的資源に関するリスク

当社の調味料事業においては、味覚・嗅覚に依る付加価値を与えることが生業であり、このため、各製造工程において、高い知識・技術と経験に裏付けされた人材が不可欠であります。かかる認識の下、当社では、技術に精通した人材等を採用・育成していく方針ですが、適切な時期にこのような人材を採用ないしは育成できなかった場合には、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

また、製造工程においては、労働集約型ラインもあり、国内の生産年齢人口の減少が続く状況において、質の高い人材の確保は、大変重要な事項になると考えておりますが、製造現場をはじめとする人材獲得競争の激化により人材確保が計画通りに進まなかった場合、また、最低賃金の引き上げなど法改正への対応により労働条件などの環境に変化があった場合、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

(1) 財政状態の状況

当事業年度末における資産の部は24,871百万円となり、前事業年度末と比べ336百万円増加しました。これは主に、建物(純額)が123百万円、構築物(純額)が236百万円、機械及び装置(純額)が250百万円、建設仮勘定が2,329百万円、投資有価証券が412百万円増加し、現金及び預金が3,056百万円減少したことによるものであります。

負債の部は2,713百万円となり、前事業年度末と比べ168百万円減少しました。これは主に、未払費用が36百万円、未払法人税等が18百万円増加し、買掛金が54百万円、未払金が171百万円減少したことによるものであります。

純資産の部は22,157百万円となり、前事業年度末と比べ504百万円増加しました。これは主に、利益剰余金が181百万円、その他有価証券評価差額金が323百万円増加したことによるものであります。

この結果、当事業年度末の自己資本比率は89.1%(前事業年度末は88.3%)、1株当たり純資産は3,189円19銭(前事業年度末は3,116円45銭)となりました。

 

(2) 経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、円安の進行やウクライナ、中東情勢等に起因した物価上昇、加えて日本の金利上昇気配の高まりもあり、依然として国内景気の先行きは不透明な状況であります。

食品業界におきましては、消費者の購買行動が経済活動の正常化により戻った一方、物価の高騰等を背景に生活防衛意識はさらに強まり、低価格志向が続きました。また、円安等による原材料やエネルギー価格の上昇、労働環境の変化等により、依然として事業を取り巻く環境は厳しいものとなっております。

このような状況の中、当社は独自技術からの新たな食文化の創造を基本戦略とし、取引先への積極的な商品提案、開発体制の強化とともに、最適な設備投資と業務の効率化・適正な生産体制を図り、経営効率の向上と利益目標の達成に取り組んでまいりました。

この結果、当事業年度の経営成績は、売上高は13,804百万円と前年同期と比べ64百万円(0.5%)の増収となり、営業利益は586百万円と前年同期と比べ306百万円(34.3%)、経常利益は697百万円と前年同期と比べ312百万円(30.9%)、当期純利益は459百万円と前年同期と比べ223百万円(32.8%)の減益となりました。

セグメントの経営成績は次のとおりであります。

液体部門は、受託数の減少及び原材料高騰の影響が大きく、売上高は4,320百万円と前年同期と比べ14百万円(0.3%)の減収となり、セグメント利益(営業利益)は51百万円と前年同期と比べ181百万円(77.8%)の減益となりました。

粉体部門は、顆粒製品の受託が伸び、売上高は4,731百万円と前年同期と比べ744百万円(18.7%)の増収となり、セグメント利益(営業利益)は242百万円と前年同期と比べ84百万円(53.9%)の増益となりました。

チルド食品部門は、受託が低調に推移し、売上高は1,763百万円と前年同期と比べ16百万円(0.9%)の減収となり、セグメント利益(営業利益)は215百万円と前年同期と比べ89百万円(29.2%)の減益となりました。

即席麺部門は、カップ麺の受託が減少し、売上高は1,821百万円と前年同期と比べ803百万円(30.6%)の減収となり、セグメント利益(営業利益)は61百万円と前年同期と比べ121百万円(66.3%)の減益となりました。

その他は、水産物の取扱量が増加し、売上高は1,167百万円と前年同期と比べ153百万円(15.2%)の増収となり、セグメント利益(営業利益)は14百万円と前年同期と比べ0百万円(4.4%)の増益となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は5,523百万円となり、前事業年度末と比べ3,756百万円(40.5%)の減少となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において営業活動により得られた資金は914百万円となり、前年同期と比べ146百万円(13.8%)の減少となりました。得られた資金の主な要因は、税引前当期純利益664百万円及び減価償却費599百万円による資金の増加と法人税等の支払額204百万円による資金の減少であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において投資活動の結果使用した資金は4,392百万円となり、前年同期と比べ3,658百万円(498.5%)の増加となりました。使用した資金の主な要因は、有形固定資産の取得による支出3,717百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において財務活動の結果使用した資金は278百万円となり、前年同期と比べ0百万円(0.2%)の増加となりました。なお、財務活動による主な支出は、配当金の支払によるものであります。

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産金額(百万円)

前年同期比(%)

液体

4,363

100.2

粉体

4,956

123.6

チルド食品

1,763

99.1

即席麺

1,837

69.6

合計

12,921

101.1

 

(注) 1 生産金額は販売価格により算出しております。

(算式)   売上高÷売上数量×生産数量

2 生産実績には、見本品等を含んでおります。

 

(2) 商品仕入実績

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

その他

1,131

116.4

合計

1,131

116.4

 

(注) 金額は仕入価格によっております。

 

(3) 受注状況

当社は、液体及び粉体については見込み生産であり、液体及び粉体の一部、チルド食品及び即席麺については東洋水産㈱からの受託製造であります。

 

(4) 販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売金額(百万円)

前年同期比(%)

製品

液体

4,320

99.7

粉体

4,731

118.7

チルド食品

1,763

99.1

即席麺

1,821

69.4

小計

12,637

99.3

その他

1,167

115.2

合計

13,804

100.5

 

(注) 主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先名

第83期

第84期

販売金額(百万円)

割合(%)

販売金額(百万円)

割合(%)

東洋水産㈱

9,896

72.0

9,245

67.0

 

 

(経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)

経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成に当たって、資産・負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

①繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産は、将来減算一時差異を利用できる課税所得が生じる可能性が高い範囲内で認識しておりますが、課税所得が生じる時期及び金額は、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、実際に生じた時期及び金額が見積りと異なった場合、翌事業年度以降において認識する金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

②退職給付債務の測定

当社は、確定給付制度を採用しております。確定給付制度の退職給付債務の現在価値及び関連する勤務費用等は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、昇給率、及び死亡率等の様々な変数についての見積り及び判断が求められます。

数理計算上の仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌事業年度以降の財務諸表において認識する退職給付引当金及び退職給付費用の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

なお、当事業年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (退職給付関係) (6)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりであります。

 

(2) 当事業年度の経営成績の分析

①売上高・営業利益及び経常利益

売上高は主に即席麺及びチルド麺、液体の売上が減少しましたが粉体の売上が増加し、13,804百万円と前年同期と比べ64百万円(0.5%)の増収となりました。利益面につきましては、売上原価率が前年同期と比べ2.3%上昇し、売上高販管費率が0.1%減少した結果、営業利益は586百万円と前年同期と比べ306百万円(34.3%)、経常利益は697百万円と前年同期と比べ312百万円(30.9%)の減益となりました。

なお、セグメント別の売上高及び営業利益については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」「(2)経営成績の状況」に記載しております。

②当期純利益

当期純利益は投資有価証券の売却益や法人税の減少はありましたが、原材料高騰による売上原価が増加した事により459百万円と前年同期と比べ223百万円(32.8%)の減益となりました。

この結果、当事業年度の1株当たり当期純利益(EPS)は66.15円となり前年同期と比べ32.22円(32.8%)の減少となりました。

③自己資本当期純利益率(ROE)及び総資産経常利益率(ROA)

①及び②の結果、当事業年度の自己資本当期純利益率(ROE)は2.1%(前期比1.1ポイント減)となりました。また、総資産経常利益率(ROA)は2.8%(前期比1.3ポイント減)となりました。

 

(3) 戦略的現状と見通し

当社といたしましては、これらの状況を踏まえて、売上の大きな構成を占める即席麺、チルド食品の麺類は、今後も安定した経営基盤として、新製品開発などの面で東洋水産㈱に協力し、受託量の拡大を図ります。一方、当社が製品開発の主体を持っている液体や粉体は、今後発展の戦略分野と考え、メーカーとして必要性が高まる整備、拡充を行いながら、研究開発の強化を図り、製品開発のスピードアップに取り組み、取引先の要望にいつでも応えられるよう生産、販売体制を整え、売上拡大を図り、売上高に占める自社開発製品の比率を上げながら、バランスのとれた売上構成を目指し、コストダウンや業務の効率化にも傾注し、安定した経営を目指します。

 

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

①キャッシュ・フロー

当事業年度のキャッシュ・フローの分析については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」「(3)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

②財政政策

当社は現在、必要な運転資金及び設備投資資金については、自己資金にて全て賄っております。

当社は、今後も営業活動により得られるキャッシュ・フローを基本に将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達していく考えであります。

 

(5) 経営者の問題認識と今後の方針について

今後の見通しにつきましては、国内経済は徐々に回復傾向にあり、賃金の上昇による消費意欲の向上に期待する一方、不安定な国際情勢、資源・原材料価格の高騰、為替相場の変動など、先行きは不透明で経営環境は依然として厳しい状況で推移することが予想されます。

食品業界におきましても、原材料コストの上昇圧力が強い一方、低価格志向・節約志向に伴う価格競争の激化による厳しい経営環境が継続されるものと予想されます。また、人口減少と高齢化の進展、食の安心・安全に対する意識の高まりなどは依然として続いております。

このような状況の中で、当社は品質第一の姿勢を貫き、安心・安全な製品を提供することを基本として品質管理を徹底するとともに、生産面におきましては、人材育成の充実とローコストオペレーション体制を実現できるよう創意工夫し、収益基盤の強化を図ってまいります。

また、最適な設備投資と業務の効率化・適正な生産体制による筋肉質なコスト構造への転換を図るとともに、新たな事業にも積極的に挑戦して収益力を強化してまいります。

さらに、企業活動における社会的責任の重さを充分認識し、環境保全活動への取り組み、コンプライアンス体制の強化等を推進し、お客様に信頼される企業を目指し、積極的に事業を展開し、社業の発展を図る所存であります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

特記すべき事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社の研究開発活動は、当社主力製品であるチルド食品や即席麺等の麺類、液体・粉体の商品群に関連する新製品の開発を行っております。

現在、研究スタッフは11名であり、研究開発費は238百万円であります。

(1) 麺類

チルド食品、即席麺類(袋麺・カップ麺)の製麺プロセスを中心に麺質の改良、保存性の向上をテーマに開発を行っております。

(2) 調味料

調味料開発としては以下の3種に大別されます。

a) 上記麺類の開発に伴う添付調味料の開発であり、主に、めん類スープ、つゆとして地域性、独自性を主眼においた味の開発を行っております。
b) 液体としてスープ、つゆ、たれ類及び業務用液体調味料の開発を行っております。現在は、増粘剤を効果的に分散できる製造装置を利用した商品開発など多種多様な液体調味料の開発に取り組んでおります。
c) 粉体として粉末、顆粒両形状のスープ、調味料の味の開発及び顆粒造粒技術の研究開発を行っております。栄養補助食品分野では機能性成分を取り入れた粉末飲料等の開発、また、固形スープ調味料に関しても味の開発から固形化技術に至るまで幅広い研究開発を行っております。