文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、社是「奉仕努力」のもと、「おいしい笑顔をお届けします」を経営コンセプトとして、「品質」と「ブランド」を重視し、安全・安心な商品の提供により、お客様においしい笑顔をお届けできるように努めております。また、経営コンセプトを実現するために以下7つのビジョンを掲げ、そのビジョンに向かい社員一人ひとりが意欲的に取り組んでおります。
おいしい笑顔は、シマダヤ社員一人一人が作るシマダヤブランドの心です。
技術のシマダヤ。
お客様の視点に立った魅力的な技術で、おいしい笑顔をお届けします。
コミュニケーションのシマダヤ。
お客様の声・社内の声、コミュニケーションはおいしい笑顔の基本です。
ソリューションのシマダヤ。
商品のみならず、お客様の問題解決によっておいしい笑顔をお届けします。
収益力のシマダヤ。
おいしい笑顔は、安定した経営基盤によって、継続的にお届けできるのです。
アイデアのシマダヤ。
おいしい笑顔は、優れたアイデアによってお届けできるのです。
人のシマダヤ。
おいしい笑顔は人への思いやりから生まれるのです。
さらに、持続可能な社会に向けて、健康寿命延伸を目的とした商品の開発・育成やプラスチック使用量の削減、国産原料の使用拡大などの取り組みを推進してまいります。
これからもより一層、ステークホルダーの皆様方に共感していただけるよう努力してまいります。
食品業界を取り巻く環境は、新型コロナウイルスに伴う制限の解除により経済活動は正常化したものの、国際的な政治情勢の変化や円安の進行等による原材料・資材及びエネルギーの調達不安や価格高騰に加え、国内人口の減少や少子高齢化による人手不足や人件費の上昇、物流費の高騰など依然として厳しい状況が続くと予測しております(注1)。
このような中、麺市場全体としては今後も堅調に推移すると予測しております。具体的に、家庭用チルド麺市場につきましては、節約志向による内食需要は高止まりするものの、各社の商品値上げによる需要停滞が影響し、今後は成長が鈍化すると予測しております。一方、家庭用冷凍麺市場につきましては、共働き世帯や単身者、高齢世帯の増加が予想される中、簡便性・時短・便利さを備えた商品が提供されることで、今後も堅調に推移すると予測しております。また、業務用市場につきましては、行動制限の解除やインバウンド消費の拡大もあり、今後さらに拡大すると予測しております(注2)。
当社グループにおいて、家庭用事業部門につきましては、1931年の創業以来、麺のリーディングカンパニーとして数々の画期的な商品を開発・提供しております。ゆでずにさっと水でほぐすだけで食べられる「流水麺」や、からだにやさしい「健美麺」、常温で100日保存可能なLL(ロングライフ)麺など、独自の技術で生み出した高い商品力により、お客様ニーズに合わせた商品を開発・提供しております。
業務用事業部門につきましては、高品質で多様なメニューに対応できる豊富なラインナップや、「健美麺」をはじめとした付加価値の高い商品、調理オペレーション効率化への貢献といった商品自体の強みがあります。また、得意先への直接訪問による提案型営業活動を行い、麺専業メーカーとしてのきめ細かい営業フォロー体制に強みを有しております。その結果として、2023年度業務用冷凍麺市場シェアでは第1位となっております。
当社グループを取り巻く環境の不確実性が高まっている中でも、当社グループは「品質」と「ブランド」を重視し、安全・安心な商品の提供により、皆様においしい笑顔をお届けできるように努めてまいります。また、健康寿命延伸を目的とした商品の開発・育成やプラスチック使用量の削減、国産原料の使用拡大など、持続可能な社会に貢献する取り組みを推進し、社会課題の解決に向けて積極的な事業活動を行ってまいります。
(注)1.原材料価格・エネルギー価格・人件費の推移
■原材料価格の推移(輸入小麦の政府売渡価格の推移 ※農林水産省「輸入小麦の政府売渡価格について」)
■エネルギー価格の推移
・天然ガス価格の推移(※World Bank Commodity Markets)
・電気料金の推移(※資源エネルギー庁)
■人件費の推移(※厚生労働省)
2.市場規模推移
<家庭用チルド・冷凍>㈱インテージSCIデータ 2018~2023年 <全国>市場規模(金額ベース)、
<業務用冷凍>TPCマーケティングリサーチ㈱調査 2018~2023年 市場規模推移より
単位(億円)
当社グループのミッションは、「シマダヤグループに関わる全ての人々に麺食を通して『おいしい笑顔をお届けします』」です。当社グループはおいしい笑顔をお届けできる企業を目指しており、その相手は、お客様だけではなく、従業員や社会など、シマダヤグループに関わる全ての人々に対して「おいしい笑顔をお届けする」という使命があります。従業員に対しては、挑戦を後押しし、働き甲斐を実感できる職場環境を構築してまいります。お客様に対しては、ライフスタイルに適応した簡便性の高い麺食や健康に役立つ麺食を提供し、お客様の課題やニーズに応えてまいります。社会に対しては、健康長寿社会へ貢献し、環境にも配慮して地球を守る活動を推進してまいります。これらの取り組みにより、「おいしい笑顔をお届けする」ということに繋がっていくと考えております。
このミッションを果たすべく、当社グループは、2025年3月期より新たな3ヵ年中期経営計画をスタートし、基本方針として「コア事業の『深化』と『利益成長』に挑戦し、収益構造を変革する」を掲げております。当社の重要課題として「家庭用事業部門の収益改善」が挙げられます。特にチルド麺については、市場が緩やかに縮小する中、販売拡大余地のある秋冬期や西日本地域での拡売とともに販売・商品・生産・物流等において業務改善を実施し、収益改善に努めてまいります。一方で、需要が高まっている冷凍麺については、生産キャパシティが確保できれば、拡大する大きなチャンスがあると捉えております。早急に生産体制を再構築し、生産キャパシティの確保に努めてまいります。さらには、当社は2031年には大きな節目であります創業100周年を迎えます。創業100周年を見据えて、この中期経営計画を遂行することにより、コア事業の『深化』と『利益成長』を進めてまいります。
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は売上高、営業利益、経常利益であります。
当社グループの優先的に対処すべき中期的課題は次のとおりです。
当社グループが今後継続的に利益を成長させ、事業を拡大していくためには、家庭用事業部門の収益改善は当社グループの重要課題であります。家庭用チルド麺については、今後市場が緩やかに縮小していくことが予測される中、販売・商品・生産・物流等で業務改善を実施し、収益改善に努めてまいります。当社グループのチルド工場は盛夏期を除き生産キャパシティに余裕があるため、販売の拡大が収益改善に繋がります。具体的には、近年の年間を通した気温上昇を商機と捉えた涼味商品の販売期間延長による秋冬期の拡売や、販売余地の大きい西日本地域に経営資源を投入することによる拡売に取り組んでまいります。また、家庭用冷凍麺については、お客様に品質や利便性等が再認識され需要が拡大する中、生産キャパシティを確保し、シェア拡大と収益力向上に努めてまいります。
当社グループの持続的成長を支え、「安全・安心」で高品質な商品を生産・供給するためには、生産体制の再構築は当社グループの重要課題であります。特に冷凍麺は近年需要が高まっている中で当社グループの冷凍麺工場の生産キャパシティは逼迫しており、今後輸出による海外売上の拡大を目指す上でも生産キャパシティの確保は喫緊の課題であります。また、収益性の低い工場については業務改善を実施し、収益力を強化してまいります。さらには、省人化や効率化に向けた投資によって、より生産性の高い工場を目指してまいります。
商品を安定供給し、利益成長を実現するためには、あらゆる分野で専門性の高い人財の育成や安定的な人財の確保が重要課題となります。当社グループでは、特にDX推進に必要な人財を育成するために従業員研修制度の充実や公正な人事制度の確立等に取り組むことで、将来的に当社グループの核となる人財の育成を図ってまいります。また、近年少子高齢化による生産労働人口の減少により、人手不足がますます深刻化する中、当社グループでは賃金制度の改定や採用活動の強化に取り組み、人財の確保や定着に努めてまいります。
当社が今後安定的に利益を確保していくためには、商品の収益性を高めることは必要不可欠であると認識しております。基幹ブランドをお客様ニーズに合わせて仕様を見直し、原価低減に努め、基幹ブランドの拡売を図ってまいります。また、収益性向上のために不採算商品を見極め、その商品から戦略的に撤退するという選択肢も視野に検討を進めてまいります。さらには、お客様の潜在的なニーズや課題を発見し、それに対応するための新規技術開発に取り組んでまいります。
当社グループの更なる発展とその企業価値を高めるため、内部統制の強化は経営上の重要課題であると考えております。不正行為や情報漏洩等に対するリスクマネジメントの取り組みやコンプライアンスの徹底に加え、適切な情報開示と透明性を確保し、更なる企業価値向上を目指してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、サステナビリティを巡る課題について専門的に取り扱う機関を設置しておりませんが、事業を通じてSDGsテーマをはじめとする社会課題の解決に貢献できるよう努めております。今後、取締役会または経営会議において、サステナビリティを巡る課題に取り組むための体制構築や基本的な方針の策定・課題の整理・監督などを検討してまいります。
当社グループにおける「環境活動方針」等については以下のとおりとなっております。
シマダヤグループ環境基本方針
(環境理念)
小麦とそばと塩と水。「めん」は自然の恵みそのものです。
シマダヤグループは、自然環境と企業活動の調和の重要性を認識し、めんを中心とする事業活動を通して環境保全に取り組み、健全で豊かな社会の実現に貢献します。
(環境行動指針)
1.環境関連法規の遵守
社会の一員として環境保全に取り組み、環境関連の法規制その他の要求事項を遵守します。
2.資源、エネルギーの有効利用
資源、エネルギーの節約、有効利用に取り組むとともに、廃棄物の削減、再資源化により環境への負荷の低減に努めます。
3.継続的な環境改善
事業活動のあらゆる面において環境に配慮し、絶えず見直し、継続的な改善に努めます。
4.環境保全意識の醸成
情報収集及び教育を積極的に行い、従業員一人ひとりの環境に対する意識の向上に努めます。
5.情報の公開
環境基本方針及び環境保全活動に関する情報を広く社内外に開示します。
なお、環境への取り組みや「シマダヤグループ社会・環境報告書」については当社ホームページに公開しております。
当社グループは、多様な価値観が社内に存在することが、会社の持続的成長につながるものと認識しております。当社グループの管理職のうち45.8%(2024年3月末時点)は中途採用者であります。一方で女性管理職の比率は現在8.4%(同)にとどまっているため、現状より増加させてまいりたいと考えております。なお、外国人につきましては、当社グループの事業業態や事業領域の観点から管理職への登用について目標を定めておりません。
当社の中核人材における多様性を確保するための人材育成方針として、女性社員においても他の社員同様に教育研修、キャリア面談を実施しキャリア意識の醸成を図り、中核人材として育成してまいります。また、男性社員の育児休業取得率向上(育児休業取得率2025年3月末までの期間内で30%を目標とする)にも取り組み、積極的に社内環境整備もしております。
具体的には以下の取組を行っております。
労働者に占める女性労働者の割合増加に向けて以下の取り組みを行っております。
・ 女性が活躍できる職場であることを周知し女性の採用比率を向上
・ 営業部門への女性労働者の配置を増加し多様な職務経験を付与
・ キャリア面談制度によるキャリア形成支援を実施
男性の育児休業取得率の向上に向けて以下の取り組みを行っております。
・ 男性の育児休業取得率の向上のための一般事業主行動計画を策定
・ 育児休業制度について資料を社内イントラネットにて周知、公開
・ 妊娠、出産(本人または配偶者)を申し出た労働者への個別面談、意向確認を実施
男女の平均勤続年数の差異の縮小に向けて以下の取り組みを行っております。
・ 育児や介護等による離職を防止するため、それぞれの制度の周知を実施
・ 介護休業、介護休暇の希望者に対する個別面談を実施
(3)リスク管理
当社グループは、リスク管理を経営の最重要課題の一つと位置づけ、リスクマネジメントの最高責任者を代表取締役社長とし、各取締役・グループ会社代表取締役が管掌部門におけるリスクマネジメントを統括する体制を整備しております。また、リスクマネジメント基本規程に基づき、企業活動に係るリスクの予防策又は対応策重点リスク等の対応及び課題を検討し、経営会議で定期的に報告を実施し、必要に応じて対策の見直しを指示し、リスクの回避、低減を図っております。
(4)指標及び目標
①サステナビリティに関する指標及び目標
当社グループにおける「中期環境目的・目標」については、以下のとおりとなっております。
<シマダヤグループ中期環境目的・目標>
シマダヤグループは有益な社会・環境影響をもたらす活動を実践し持続可能な社会の実現に貢献します。
・エネルギー由来CO2排出量の削減
・廃棄麺(スープ・具材・原料を含む)の削減
・有益な環境影響(省エネ・省資源等)をもたらす活動の実行
・健康・簡便・国産原料使用商品の開発・拡売
・環境に配慮した商品の開発・拡売
・業務の生産性の向上、環境教育の推進、コンプライアンスの徹底等をもたらす活動の実行
なお、上記の「中期環境目的・目標」についての2023年度実績値は、以下の通りとなります。
その他のサステナビリティに関する指標及び目標については、上記「(2)戦略 ①サステナビリティに関する戦略」についての検討および重要性(マテリアリティ)を踏まえて、今後、当社の取締役会等において、事業環境や事業内容も勘案のうえ設定の検討を進めてまいります。
②人的資本に関する指標及び目標
当社の人的資本に関する指標及び目標は、以下のとおりであります。また、女性活躍推進法(「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」)に基づく男女賃金格差の情報については、
1)労働者に占める女性労働者の割合
目標:2026年3月31日までの計画期間内に27%以上
実績:25.4% (2024年3月31日時点)
2)男女別の育児休業取得率
目標:2025年3月31日までの計画期間内に
男性30.0%以上
女性100.0%の維持
実績:男性80.0%
女性100.0% (男性、女性ともに2024年3月期の実績)
3)男女の平均勤続年数の差異
目標:2026年3月31日までの計画期間内に
男女の平均勤続年数に対する女性の平均勤続年数の割合を70%以上
実績:73.8% (2024年3月31日時点)
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
また、リスクを管理する体制・枠組みについては第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ③企業統治に関するその他の事項に記載しております。
(注)2024年3月期 売上高に関する情報
(単位:百万円/%)
(本スピンオフについて)
本書提出日時点において、当社の発行済株式総数の全てをメルコホールディングスが保有しており、2024年6月26日開催の同社定時株主総会において、本スピンオフの承認が得られたことを受け、2024年9月30日時点のメルコホールディングス株主に対してメルコホールディングス普通株式1株につき当社普通株式1株が交付される予定です。
本スピンオフ後、当社はメルコホールディングスと資本関係が解消され、同社グループから分離・独立することとなります。
メルコホールディングスグループは、着実に経営基盤の強化と事業分野の拡大を図ってまいりましたが、一方で事業分野の範囲が広すぎることによる、さまざまな問題点も顕在化してきました。経営環境・社会の変化が激しい現在の状況も踏まえつつ、こうした問題点を解消し、長期的な株主価値の最大化を目指すためには、スピンオフ上場を始めとする、組織再編の実施が必要不可欠との認識に至ったとのことです。
当社グループとしても、メルコホールディングスグループの一事業セグメントから分離・独立し、経営及び資本の独立を図ることにより、着実な事業戦略の遂行及び成長の加速が可能になると考えております。
当社グループは、第69期連結会計年度においてメルコホールディングスと次の取引を行っておりましたが、本書提出日時点において全ての取引を解消しております。
第69期連結会計年度における主な取引は次の通りです。
(単位:千円)
本書提出日時点の当社の株主の状況は「第四部 株式公開情報 第3 株主の状況」に記載の通りでありますが、本スピンオフの実施時点では当社の株主構成はメルコホールディングスの株主構成と全く同じものとなります。
また、当社の新規上場に際して、既存株主の売出しを行う予定であり、それによって株主構成は更に変化する見込みです。
参考として、2024年3月末時点におけるメルコホールディングスの大株主は下記の通りです。
a. 議決権保有割合
2024年6月26日開催のメルコホールディングスの第38期定時株主総会において、当社の全株式を現物配当(金銭以外の財産による配当)によりメルコホールディングス株主に分配することが決議されております。2024年3月末日時点において、メルコホールディングスの親会社である株式会社メルコグループのメルコホールディングス株式の議決権保有割合は46.41%、当社と親会社である株式会社メルコグループの役員を兼務する牧寛之(配偶者及びその子を含む)のメルコホールディングス株式の議決権保有割合は59.97%となっております。
b. 競合事業の有無
当社と親会社グループとの間の競業事業はありません。
当社の取締役(非常勤)である牧寛之は、親会社である株式会社メルコグループの代表取締役を兼務しております。
当社と親会社グループ各社との取引はありません。
当社の会社意思決定に際しての、親会社への事前承認事項はありません。
株式会社メルコグループは、本スピンオフ後もシマダヤ株式を中長期的に保有する方針であります。
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
第69期連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、人流の増加やインバウンド需要により景気は緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、様々な国際情勢による原材料・エネルギー価格の上昇、為替相場の変動等により景気の先行きについては依然として不透明な状況が続いております。
食品業界においては、原材料・エネルギーの世界的な需給逼迫や人手不足による賃金上昇に伴うコストアップを背景とし、各社の商品価格改定の実施傾向が続いております。このことから、お客様の経済性志向は益々強まっている一方で嗜好の多様化、SDGsへの意識の高まりにより高付加価値商品も求められております。
このような環境の下で当社グループにおいても2023年2月に商品価格改定を全社的に実施いたしました。両事業部門ともに平均販売単価は上昇しましたが、販売食数が落ち込むことは無く前年を上回る状況となりました。この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
第70期第1四半期連結累計期間(自 2024年4月1日 至 2024年6月30日)
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善などにより緩やかな回復の動きがみられました。しかしながら、国際情勢の緊迫化、物価の上昇、円安の進行などにより、先行きにつきましては、依然として不透明な状況が続いております。
食品業界では、原材料価格の高騰や製造労務費の上昇に伴う商品価格改定が継続する中で、お客様の経済性志向は益々強まっており、引き続き厳しい事業環境となっております。
このような環境の下、当社グループの当第1四半期連結累計期間の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
第69期連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
当連結会計年度末の流動資産におきましては、前連結会計年度末と比べて61億95百万円減少し、112億70百万円となりました。これは総売上高の増加により売掛金が13億19百万円増加するなどの増加要因があったものの、親会社への資金預け入れ払戻により関係会社預け金が63億円、月末休日影響等により現金及び預金が12億51百万円減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の固定資産におきましては、前連結会計年度末と比べて3億7百万円増加し、126億19百万円となりました。これは建物及び構築物が1億30百万円減少するなどの減少要因があったものの、当社保有株式の時価評価上昇等により投資有価証券が2億90百万円増加したこと等によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末の資産合計は前連結会計年度末に比べて58億87百万円減少し、238億89百万円となりました。
当連結会計年度末の流動負債におきましては、前連結会計年度末と比べて21億75百万円減少し、62億55百万円となりました。これは広告宣伝費等の増加により未払費用が10億95百万円増加するなどの増加要因があったものの、親会社への借入金返済により関係会社短期借入金が41億60百万円減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の固定負債におきましては、前連結会計年度末と比べて1百万円増加し、17億96百万円となりました。これは機械等の新規リースの開始によりリース債務が4百万円増加したこと等によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末の負債合計は前連結会計年度に比べて21億73百万円減少し、80億51百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産におきましては、前連結会計年度末と比べて37億13百万円減少し、158億37百万円となりました。これは利益剰余金が、親会社株主に帰属する当期純利益の獲得により25億24百万円増加したものの、配当金の支払64億20百万円により、38億95百万円減少したこと等によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末の総資産は238億89百万円となり、前連結会計年度末に比べ58億87百万円減少しました。
第70期第1四半期連結累計期間(自 2024年4月1日 至 2024年6月30日)
流動資産におきましては、前連結会計年度末と比べて8億76百万円増加し、121億46百万円となりました。これは休日影響・固定資産の減少等により現金及び預金が12億30百万円減少したものの、季節要因等による売上高の増加により売掛金が18億98百万円、夏季需要に向けた在庫確保により商品及び製品が1億13百万円増加したこと等によるものであります。
固定資産におきましては、前連結会計年度末と比べて2億84百万円減少し、123億35百万円となりました。これは役員保険の解約等により投資その他の資産が2億15百万円、減価償却等により機械装置及び運搬具が97百万円、建物が31百万円減少したこと等によるものであります。
以上の結果、当第1四半期連結会計期間末の資産合計は前連結会計年度末に比べて5億92百万円増加し、244億81百万円となりました。
流動負債におきましては、前連結会計年度末と比べて1億94百万円減少し、60億61百万円となりました。これは原材料仕入高増加により支払手形及び買掛金が5億24百万円増加するなどの増加要因があったものの、広告宣伝費の減少等により未払費用が3億20百万円減少したこと等によるものであります。
固定負債におきましては、役員退職慰労金支払による長期未払金の減少により前連結会計年度末と比べて47百万円減少し、17億48百万円となりました。
以上の結果、当第1四半期連結会計期間末の負債合計は前連結会計年度に比べて2億41百万円減少し、78億9百万円となりました。
純資産におきましては、前連結会計年度末と比べて8億33百万円増加し、166億71百万円となりました。これは保有株式時価下落影響等によるその他有価証券評価差額7百万円の減少要因があったものの、利益剰余金が親会社株主に帰属する四半期純利益の獲得により8億41百万円増加したことによるものであります。
以上の結果、当第1四半期連結会計期間末の総資産は244億81百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億92百万円増加しました。
第69期連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
このような経済状況の下、当社グループは経営コンセプトである「美味しい笑顔をお届けします」を念頭に食の安全・安心への取り組みを徹底するとともにお客様満足を追求した「流水麺」・「健美麺」・「真打」ブランドなどの高付加価値商品の安定供給に努め、売上・利益の拡大に取り組みました。
販売面につきましては、家庭用は、国産そば粉を使用し付加価値を高めたそば2人前をはじめとする「流水麺」や、節約志向に対応した「太鼓判」の拡販に積極的に取り組みました。また、記録的猛暑による夏季商品の拡大や家庭用冷凍麺の拡大もあり、売上高は242億42百万円(前年同期比11.4%増)となりました。業務用は、外食市場の回復による「太鼓判」の拡大や、ロングセラーの「真打」稲庭風うどん等の付加価値商品の提案を強化する営業活動により、売上高は147億31百万円(同19.3%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は389億73百万円(同14.2%増)となりました。利益面につきましては、あらゆる原材料の高騰、人手不足による製造労務費の上昇、今後の利益成長を見据えたテレビCMの積極投入等により費用が増加する一方で、引き続き原価の低減に取り組むと共に、2023年2月実施の商品価格改定の定着に努めました。その結果、営業利益は33億53百万円(前年同期比51.5%増)、経常利益は34億74百万円(同46.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は25億24百万円(同37.6%増)となりました。
第70期第1四半期連結累計期間(自 2024年4月1日 至 2024年6月30日)
当第1四半期連結累計期間におきましては引き続き食の安全・安心への取り組みを徹底すると共に、原材料の安定調達と商品の安定供給に努め、売上・利益の拡大に取り組みました。
販売面につきましては、家庭用は、主力ブランドの「流水麺」や節約志向に対応した「太鼓判」などの積極的な拡販により特に西日本エリアでシェアを伸ばし、売上高は66億43百万円(前年同期比3.5%増)となりました。業務用は、「真打」そば類などの付加価値商品の提案を強化し、低利益商品から高利益商品への切替を進めましたが、売上高は37億8百万円(同2.2%減)となりました。以上の結果、当第1四半期連結累計期間における売上高は103億51百万円(同1.4%増)となりました。
利益面につきましては、物流費、製造労務費が上昇する中、生産食数増加による生産効率改善や経費抑制などにより、引き続き利益確保に努めました。その結果、営業利益は11億45百万円(前年同期比0.9%減)、経常利益は、営業外収益で助成金収入があり11億83百万円(同0.7%増)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期に特別利益で政策保有株式の売却益があったため、8億41百万円(同3.7%減)と増収減益となりました。
第69期連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度と比べ12億51百万円減少し、39億97百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フロー状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果増加した資金は46億50百万円(前年同期比18億97百万円増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益35億円(前年同期比11億57百万円資金増加)、減価償却費13億98百万円(前年同期比14百万円資金減少)、その他債務の増加による資金増加13億39百万円(前年同期はその他債務の減少による資金減少59百万円)等の資金増加要因があった一方で、売上債権の増加による資金減少13億19百万円(前年同期比7億96百万円資金減少)、法人税等の支払4億69百万円(前年同期比33百万円資金減少)等の資金減少要因があったことによるものであります。
投資活動の結果増加した資金は48億4百万円(前年同期は58億63百万円の資金減少)となりました。これは主に、関係会社預け金の払戻による資金の増加63億円(前年同期は預入による支出45億円)等の資金増加要因があった一方で、有形固定資産の取得による支出15億3百万円(前年同期比1億20百万円資金減少)等の資金減少要因があったことによるものであります。
財務活動の結果減少した資金は107億6百万円(前年同期比93億87百万円減少)となりました。これは主に、配当金の支払64億20百万円(前年同期比59億97百万円資金減少)、短期借入金の返済による支出41億60百万円(前年同期は借入による収入15億60百万円)等の資金減少要因があったことによるものであります。
当連結会計年度における生産実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
(単位:千円)
(注) 金額は、販売価格で記載しております。
仕入実績は全体に占める金額が少額の為、記載しておりません。
当社グループの販売商品は、おおむね得意先よりの受注の下に生産され、出荷されるため、販売実績とほぼ同様であります。
当連結会計年度における販売実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
(単位:千円)
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において判断したものであります。
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 」に記載のとおりであります。
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、(経営成績等の状況の概要)に記載しております。
資本の財源及び資金の流動性につきましては、以下のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料・資材等の仕入のほか、従業員への給与であります。投資を目的とした資金需要は、生産工場への設備投資、研究開発による投資費用等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本としております。短期運転資金、設備投資や長期運転資金の調達につきましては自己資金を基本としており、必要に応じ金融機関からの長期借入を行っております。また、緊急時の資金需要確保のため、金融機関と当座貸越契約を締結し、流動性リスクに備えております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は16百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は39億97百万円となっております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成する上では、固定資産の減損損失、繰延税金資産の回収可能性など様々な会計上の見積りを行うことが必要となりますが、会計基準では、会計上の見積りを「資産及び負債や収益又は費用等の額に不確実性がある場合において、財務諸表作成時に入手可能な情報に基づいて、その合理的な金額を算出すること」と定義されております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
「3 事業等のリスク」に記載したとおり、外部環境、事業内容、組織体制等の様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があると認識しております。そのため、当社は常に業界の動向を注視しつつ、優秀な人材の確保と適切な教育を実施するとともに、内部管理体制の強化と整備を進めることで、経営成績に重要な影響を及ぼすリスク要因に適切な対応を図ってまいります。
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標」に記載のとおり、売上高、営業利益、経常利益であります。その推移を継続的に管理することで営業活動における新たな施策の立案を行っております。
その結果、当社が重視する経営指標は以下のとおりとなりました。
2023年2月実施の商品価格改定の定着に努めましたが、販売食数は前年を下回ることなく、売上高は前年を上回ることができました。経営戦略として「流水麺」・「健美麺」・「真打」等の高付加価値商品の安定供給に努めた結果、営業利益、経常利益も前年を大きく上回ることができました。
なお、売上高、営業利益、経常利益額の推移実績については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 」に記載しております。
該当事項はありません。
第69期連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
当社グループの研究開発活動は、開発研究所・研究開発部が中心となり、家庭用チルド麺・冷凍麺類、業務用冷凍麺・チルド麺類などの商品の研究開発を行っております。
研究開発におきましては、当社経営コンセプト「おいしい笑顔をお届けします」の実現及び経営方針の項目である「SDGsへの取り組み強化」に向けて、当社開発キーワードとして掲げている『7K』(「健康」「簡便」「高品質」「買いおき」「経済性」「国産」「環境」)に関連する研究開発を日々重ねており、社会環境・市場変化への対応や社会課題への取り組みを強化すると同時に、「安全・安心」で「お客様視点の価値ある商品」の開発に向けて鋭意努力してまいります。
当連結会計年度における当社開発研究所・研究開発部が支出した研究開発費の総額は、
国産原材料の拡大取り組みとして、主原料である小麦粉やそば粉の国産化に加え、家庭用チルド「中華焼ビーフン」の米粉を国産化することで品質価値向上を実現しており、今後さらなる国産原材料の拡大に取り組んでまいります。
健康機能研究については、「機能性表示食品(血糖値上昇抑制)」「糖質カット商品」「食塩ゼロ商品」「そばの健康機能性」等の研究及び商品開発を実施しております。
健康機能研究は、原材料メーカー・大学との共同研究(研究委託)を行っており、「機能性表示食品(血糖値上昇抑制)」の研究開発において成果を上げております。今後新たな健康機能研究及び新商品開発に向けて研究を進めてまいります。
家庭用チルド生中華麺類(「時計台」「もみ打ち」冷し中華他)・「鉄板麺」の賞味期限延長により、食品ロス削減に寄与できる成果を上げております。今後さらなる食品ロス削減に向けて新たな保存技術研究を行ってまいります。
環境取り組みとして、家庭用チルド商品(「時計台」らーめん類、まぜそば類、「もみ打ち」ざる麺類、「中華焼ビーフン」他)のプラスチックトレー不使用包装形態の実現によりプラスチック使用量を削減しており、今後さらなる環境取り組みを行ってまいります。
第70期第1四半期連結累計期間(自 2024年4月1日 至 2024年6月30日)
当社グループの研究開発活動は、開発研究所・研究開発部が中心となり、家庭用チルド麺・冷凍麺類、業務用冷凍麺・チルド麺類などの商品の研究開発を行っております。
研究開発におきましては、当社経営コンセプト「おいしい笑顔をお届けします」の実現及び経営方針の項目である「次世代成長を担う商品・サービスの探索・開発」に向けて、当社開発キーワードとして掲げている『7K』(「健康」「簡便」「高品質」「買いおき」「経済性」「国産」「環境」)に関連する研究開発を日々重ねており、社会環境・市場変化への対応や社会課題への取り組みを強化すると同時に、「安全・安心」で「お客様視点の価値ある商品」の開発に向けて鋭意努力してまいります。
当第1四半期連結累計期間における当社開発研究所・研究開発部が支出した研究開発費の総額は、112百万円であります。
家庭用チルド「本生」ラーメンの国産小麦粉化により、国産原材料の拡大及び品質価値向上を実現しております。
今後もさらなる国産原材料の拡大に取り組んでまいります。
健康機能研究については、「機能性表示食品(血糖値上昇抑制他)」「糖質カット」「食塩ゼロ」「そばの健康機能性」等の研究及び商品開発を実施しております。
健康機能性研究は、原材料メーカー・大学との共同研究(研究委託)を行っており、今後新たな健康機能性を有する新商品開発に向けて研究を進めてまいります。
食品ロス削減に向けて、家庭用チルド商品類を中心に賞味期限延長の研究及び商品開発を実施しており、今後さらなる食品ロス削減に向けて新たな保存技術研究に取り組んでまいります。
環境取り組みとして、家庭用チルド商品のプラスチックトレー不使用包装形態化及び包装フィルムサイズ縮小等のプラスチック使用量の削減検討を実施しており、今後さらなる環境取り組みを行ってまいります。