第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)会社の経営の方針

当社グループの社是「人生はやまびこである」のもと、全従業員は「正しきことは正しく報われる」という創業者野崎正平の信念を受け継ぎ、「誠実」「謙虚」「感謝」の心で行動することとしています。また、経営理念「安全・安心を基本として、ユーザーに信頼され、愛され、感動される商品・サービスを提供することで、社会になくてはならない企業として貢献します。」のもと、水産練製品・惣菜の製造販売及びきのこの生産販売を主体とした事業を展開し、常に「安全・安心な品質」と「お客さまに愛されるおいしさ」を追求することで事業の永続的な発展を図っています。

事業の展開に当たっては、法令の遵守、人権の尊重、公正な取引及び商品・サービスの安全・安心に取り組むとともにお客さま、お取引先さま、株主・投資家の皆さま及び従業員並びに地域社会から満足していただけるよう次の基本方針のもと企業価値の向上に努め、当社グループの一層の発展を目指していきます。

① すべての事業分野において品質保証体制の強化を図り、お客さまに安全で安心な商品・サービスの提供を行っていきます。

  水産練製品・惣菜事業のマーケティング機能を強化することにより、お客さまに信頼され、愛され、感動される商品を開発、提供しブランド価値の向上を図っていきます。

・魚肉たんぱく製品のおいしさや健康機能を追求した「安全・安心で高品質な商品」を国内外に拡販し、水産

練製品業界のトップブランドを目指す。

・DXによる工場の合理化・少人化を実現し、付加価値や生産性の向上に結びつけ、収益の最大化を図る。

・原材料の持続可能性を実現する新たな価値を持った食の提供により、一正ブランドの向上を図る。

  きのこ事業の技術研究並びに商品開発を強化し、事業規模及び事業領域の拡大を目指していきます。

・栽培技術の更なる進化による安定栽培の維持と最大収穫量の実現を通し、拡販による収益の最大化を図る。

・おいしさや栄養機能等の調査・研究を進め、付加価値の向上と一正まいたけブランドの確立を実現する。

・AI・IoTにより管理、最適化されたスマートファクトリーのもとで、環境に配慮した省エネ・循環型ビジネ

スモデルの構築を目指す。

(2)超長期ビジョン

当社グループでは、30年後のありたい姿で 

ある“ICHIMASA30ビジョン” (2016~2045

年度)を次のとおり制定し、30年後のありたい姿から今を変革していくというバックキャスティング思考をもとにグループ経営を行っています。

 ①「“安全・安心”に“健康・環境”と

 “心の豊かさ”をプラスして世界中に日

  本の“食”で貢献するグローバル企 

  業」

 ②「常に技術を探求し、未来に向けてあ

  らゆる“食”の情報を発信する食品バ 

  イオ企業」

 ③「あらゆるステークホルダーの皆さま

  に“食”を中心に“幸せ”と“喜び” 

  をお届けするあたたかい企業」


 

 

(3)第二次中期経営計画の総括

当社グループでは、2021年7月から2026年6月までの5か年を第二次中期経営計画「成長軌道への5年」と位置づけ、引き続き収益力、財務基盤の強化に取り組むとともに、海外事業の更なる拡大を図っていきます。

 

1)経営基本方針

 「国内外のマーケットへの果敢なチャレンジを通じ、事業の成長力・収益力基盤を確立し、ファーストステー ジ「成長軌道」を確実に実現する。」

・国内マーケットは少子高齢化のもと縮小が予想されるが、商品力、生産力、販売力に磨きをかけ、競争優位性を確立しシェア拡大を目指す。

・海外マーケットでは成長マーケットを分析し、水産練製品・惣菜事業、きのこ事業ともに拡販を推進する。

 

2)全社戦略と主な戦術・施策

 上記の経営基本方針のもと、5つの重要戦略キーワードから全社戦略を設定し、全従業員が戦略実行に向けた戦術を策定し、施策を実行していきます。

全社戦略

主な戦術・施策

①「変革」と「創造」

 持続的成長と働きがい向上のために人財投資を積極的に行うとともに、「変革」と「創造」を基軸とした考動を通じ経営環境の変化を克服する。

 

 

・IWS(いちまさワークスタイル)、新しい働き方の確立

・働きやすい・働きがいのある・多様な人財が活躍する会社づくり

・風通しが良く誰もが自由に発想し、創造的な意見が飛び交う組織風土への変革

・成長する意志ある誰もが成長できる能力開発環境の構築

・すり身原料にとらわれない商品の研究開発

・魚肉たんぱく、まいたけの機能性共同研究

②「選択」と「集中」

 水産練製品・惣菜事業は商品・市場・生産等の「選択」と「集中」を徹底し、魚肉たんぱく製品の強みを活かした攻めの販売施策を通じ国内において圧倒的な基盤をつくる。

 

・魚肉たんぱく製品の強みを活かした主力商品のリニューアル継続やサステナブルな商品の開発強化

・主力商品である「サラダスティック」の販売強化と新設する本社第二工場の合理化・省人化・量産体制の確立

・販売・廃止の生産アイテム選択を着実に実施し、生産効率化・生産性向上と販売の強化・効率化の両立を実現

・販売地域の「選択」と「集中」による海外拡販強化

・多様な国際ニーズに対応した商品開発と市場開拓

③「デジタルトランスフォーメーション(DX)」

 全社で「DX」の推進に取り組み、ニューノーマルでの競争優位性を確立し、事業収益の最大化を実現する。

 

 

(顧客価値の創出)

・DXを活用した市場データの深度ある収集、分析と提供

・フードテックによる応用、実現の可能性の探求

(生産性向上・働き方改革)

・全社業務プロセスの見直しによるデータのデジタル化、業務の自動化・省人化推進

・DXによる新しい製造方法の研究開発

・スマートファクトリーを目指した生産データのデジタル化とデータの有効活用による生産性向上

・生産管理システムによる品質向上と効率化推進

・SFA・CRM、オンライン商談などによる営業活動の効率化

・ゼロトラストモデルによるサイバーセキュリティ対策構築

④「新規事業」

 「新規事業」への取組みは、第二次中期経営計画  期間中に探索を行い事業化に着手する。

・水産練製品・惣菜事業+きのこ事業+「第3の事業」の主力3事業の構築を指向

・新規専担部署の設置

⑤「アライアンス」

  お取引先さまと強固かつ高品質な「アライアンス」体制を構築し、ともに環境・経済・社会等の変化に対応する

・品質向上の技術・知的サポート実施

・「一正やまびこ会」等を通じたアライアンス活動の実施

・「いちまさ通信」による情報提供の継続

・運行管理システムの構築・運営

 

 

3)第二次中期経営計画最終年度数値目標(連結ベース)

 

項目

2026年6月期
(当初)

2026年6月期
(変更後)

増減

売上高

   400億円

   362億円

▲38億円

営業利益

    26億円

    11億円

▲15億円

自己資本利益率(ROE)

    10%

    5%

▲ 5%

投下資本利益率(ROIC)

    9%

    4%

▲ 5%

自己資本比率

    60%台

    50%台

▲10%台

 

2021年8月に第二次中期経営計画を公表以来、数値目標の達成に意欲的に挑戦してきましたが、世界的な経済・社会情勢の大きな変化、国内水産練製品市場の成長鈍化や原材料費やエネルギー価格の高騰、きのこ事業の業績が当初の想定を大幅に下回るなど、取り巻く環境は非常に厳しい状況で推移しています。

このような状況を踏まえ、2025年8月8日に適時開示のとおり、中期経営計画の最終年度の数値目標を下方修正しました。こうした厳しい経営環境に対応すべく、引続き事業構造の見直しを行い、継続的な企業価値の向上を目指していきます。

 

当社グループの経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標は上記のとおりですが、各数値については有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。

 

 

(4)経営環境

① 国内外の市場環境

  2024年の国内出生数、出生率は9年連続で減少、出生数は過去最少の約68万人と初めて60万人台となり、合計特殊出生率も過去最低の1.15となるなど、少子高齢化は加速し、国内市場はこれまで以上に厳しい経営環境が予想されます。

 世界的な食料需要の拡大、気候変動を要因とする天候不順、政治的な不安定性や紛争といった地政学的な要因の影響等により、原材料やエネルギー等の価格は、当面、現在の水準に高止まりするものと想定しています。 

 また、米国のトランプ大統領が2025年4月に打ち出した相互関税が、世界経済に与える影響も注視が必要な状況にあります。

 国内では賃上げの動きが中小企業や地方にも広がるなど、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加等を背景に、景気は緩やかな回復基調で推移していますが、米国を中心とする世界経済の動きは円ドル等の為替や金利、株式市場に大きく影響を与えており、原材料やエネルギー等の価格の商品への価格転嫁による国内の物価上昇により、2025年5月まで実質賃金が5か月連続マイナスとなるなど、消費者の生活防衛意識は日増しに強まっています。

 2025年の訪日外国人客数は、上半期に過去最速で年間2,000万人を突破し、国内経済はインバウンド効果に

よる消費の拡大と地域活性化への効果を期待する声が広がっている一方、外国人観光客数の増加が「オーバーツーリズム」として住民生活に悪影響を及ぼす懸念も報道されています。

 海外では、健康志向が高まっている米国や西欧諸国などの先進国、そして成長を続ける東南アジア諸国などの新興国において、水産練製品の需要が拡大しており、市場の成長余地は大きいと考えられます。

 また、CO2排出量や食品ロスの削減など、持続可能な社会を実現するために、ESG経営の実践やSDGs目標の達成に向けた社会的な要請は日増しに強まっています。

 

(5)対処すべき課題

① 国内水産練製品・惣菜事業

 国内では、加速する少子高齢化、未婚率や核家族化による単身世帯の増加、食の多様化とグローバル化などの要因により、水産練製品市場は概ね横ばいで推移しており、国内各メーカーにとって新たな需要を創出するための商品開発が共通の課題となっています。

 このような市場の状況に対応するために、水産練製品・惣菜事業においては、お客さまのニーズやライフスタイルの変化に迅速に対応し、新商品を開発するとともに、常に付加価値向上を図るための主力商品のリニューアルを継続し、競争優位性の確立を目指していきます。

 特に、地球環境の維持をはじめとする社会的価値の視点で商品を選択するお客さまが今後も増えていくと考えており、これらの状況を踏まえ、当社はサステナビリティへの取組みを強化し、変化するお客さまのニーズに応え、美味しさと社会的価値を兼ね備えた付加価値の高い商品の開発を進めます。

 また、原材料であるすり身の価格は世界的な需要拡大による品薄傾向等を背景に高止まっており、そのほか副材料、エネルギー等の価格も高い状況が続いています。

 さらに、生産年齢人口の減少による労働力不足は一層深刻になると予想されており、安定した生産を継続し商品供給責任を果たすためにも、生産アイテムの削減を行うことで生産効率化を進め、収益及び競争優位性の確立を図ることとしています。加えて、ファクトリーオートメーションによる省人化が急務であるとの認識のもと、FAシステム部において工場でのAI 、IoT活用を急ピッチで進めています。

 商品開発・リニューアルに当たっては、安全・安心・健康・おいしさの観点から、減塩商品のラインナップの充実や簡便・即食タイプの高たんぱく商品、国産原材料にこだわった商品、すり身を使用した代替シーフードの“ネクストシーフード”シリーズなど、新しい発想による、これまでにない商品開発も行っています。健康長寿社会の進展にあわせ、安全・安心・健康へのニーズは引続き根強く推移することが予想され、さらなる健康機能の付加についても検討していきます。

  また、2024年7月にマーケティング開発本部を設置し、お客さま視点に基づき、マーケティング・技術研究・商品開発を一気通貫させ、持続可能な成長企業に必要である「お客さま視点での全社連動」を行うことで、これまで以上に、ニーズの変化や新たなトレンドを迅速に把握し、商品力の向上に結び付け、配荷の増加を目指していきます。

② 海外水産練製品・惣菜事業

 国内市場は市場縮小が避けられない一方で、健康志向の高まりから海外での水産練製品需要はカニ風味かまぼこを中心に伸長しており、欧米諸国のほか、アジア各国、中東地域への輸出量も増加しています。当社グループでは、2015年8月にインドネシアに合弁会社を設立し、成長が続く東南アジアを中心に、合弁会社から北米、中東等への輸出を強化してきましたが、“ICHIMASA30ビジョン”(2045年度のありたい姿)のありたい姿のひとつである「世界中に日本の“食”で貢献するグローバル企業」を実現するための施策のひとつとして、2024年12月に追加株式を取得し出資比率を引上げ、連結子会社化しました。今後も海外での生産・販売体制を強化し、企業価値の向上とビジョン実現に向けて取り組んでいきます。

直近の経済情勢では、米国のトランプ大統領が2025年4月に打ち出した相互関税は、当社商品の輸出に少なからず影響を及ぼしており、今後も相互関税の動向に注視が必要な状況にあります。また、2023年から続く中国による日本産水産物の全面輸入停止及び香港の新潟県産品の輸入停止措置は、2025年5月に日中両政府間で再開に必要な要件で合意し、手続きに入ることが明らかになりましたが、原発事故以降続けられている新潟県を含む10都県の食品を対象にした輸入停止措置は、水産物も含め継続される見込みであり、今後も当社商品の輸出に少なからず影響を及ぼすことが考えられます。

③ 国内きのこ事業

  少子高齢化や人口減少の影響により市場は全体的に横ばい傾向にあり、需要と供給のアンバランスによる価格の変化が収益に直接影響を与えるため、需要の見極めが重要となります。そのうえで、デリカ惣菜向けなど業務用需要の取り込みを進め、販売チャネルの拡大を図ります。また、労働力確保が一層困難となる環境を踏まえ、省人化をこれまで以上に推進するとともに、包装効率の高い商品形態へのシフトを進めます。さらに、これまで培ってきた培養技術を応用し、新たな事業領域への展開を目指し、持続的な成長に取り組んでいきます。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え及び取組みは、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)サステナビリティに関する基本方針

 当社グループは、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティに関する事項について、中長期的な企業価値向上の観点から、「ESG経営宣言」を次のとおり定め、積極的・能動的な対応を進めています。

 

 <ESG経営宣言>

 当社グループは「人生はやまびこである 正しきことは正しく報われる」という創業者野崎正平の信念を受け継ぎ、環境・社会の課題解決に取り組み、「持続可能な社会の実現への貢献と企業価値向上を両立する」ESG経営を推進します。

■人と組織を大切にします

■食の安全・安心と新たな価値をお届けします

■「海の命」「山の命」を守り、自然の「恵み」を大切に活用します

■地球温暖化防止に向けた取組みを進めます

■すべてのステークホルダーの皆さまとの協働を重視した経営を行います

■透明性の高い健全経営を行います

 

(2)サステナビリティ全般に関する事項

①ガバナンス

当社グループは、代表取締役社長執行役員を委員長とするサステナビリティ委員会において、サステナビリティに関わる基本方針、事業活動やコーポレート業務における戦略・戦術に関し、審議・監督を行うとともに、その内容を定期的に取締役会に報告しています。

また、当社グループは、グループ全体のリスクマネジメントを経営の重要事項として位置づけ、資産の保全、事業継続並びに社会的責任を果たすことを目的に、代表取締役社長執行役員を委員長とするリスク管理委員会を設置し、リスク管理に関わる基本方針、リスク管理業務における方針・運営に関し、審議・監督を行うとともに、その内容を定期的に取締役会に報告しています。

二つの委員会は、当社グループのサステナビリティ戦略の立案・推進を行う両輪として、綿密に連携を図る体制としています。


②リスク管理

当社グループでは、リスク管理委員会において、グループトータルの対象リスクの抽出、現状把握及び対応策(回避、損失防止、損失削減、分離・分散)の検討を行います。リスクの詳細については、「3.事業等のリスク」に記載しています。

サステナビリティに関する事項である食品安全、環境、労働安全衛生及び人的資本等個別テーマについては、それぞれに適合するマネジメントシステム規格等に沿って、重大なリスクを内包する可能性の高い業務を特定し、1年に1回以上の頻度で管理責任者及び事務局が、リスクと機会を洗い出しています。

抽出されたリスクと機会はサステナビリティ委員会事務局に提出され、サステナビリティ委員会が内容を審議・承認しています。

 

(3)サステナビリティ主要課題に関する戦略、指標及び目標

①環境課題:気候変動への対応

   a.取組方針

当社グループは、気候変動を経営の重要課題として捉え、TCFDが2017年に公表し、2021年10月に改訂したTCFD提言への賛同を表明するとともに、 気候変動が社会と企業に与えるリスクと機会を提言に沿った形で評価し、当社グループのレジリエンスの状況を評価します。

   b.戦略、指標及び目標

    <戦略>

    ・当社グループの事業に影響を及ぼす気候変動関連リスクと機会の特定に当たり、主要事業である水産練製品・惣菜事業、きのこ事業を対象にシナリオ分析を実施しました。シナリオ分析は、国際機関等が公表するモデルシナリオをもとに、4℃シナリオと2℃シナリオの2つを設定して分析・評価を行っています。

    ・シナリオ分析結果

1)水産練製品・惣菜事業の重要な原料である海洋資源への影響は大きく、現状の魚種・漁場・漁獲シーズンの変化があることを認識しました。当社グループは、直接漁獲を行うわけではありませんが、原料購入コストへの影響及び魚種の変化への対応が必要になります。

2)当社グループの事業に大きな影響のあるエネルギーへの影響については、政府の脱炭素政策に合わせたCO2排出量削減への対応として、炭素税等カーボンプライシングを前提とした財務影響が生じます。

    ・リスクと機会


 

    ・リスクと機会に対する戦略的対応

     1)CO2排出量削減への取組み

サステナビリティ委員会で、2030年CO2排出量削減目標の達成に向けた年度別目標を審議し、グリーン電力の導入、太陽光発電パネルの設置及びカーボンオフセット契約の締結等具体的な施策を推進しています。

     2)水産資源の減少・枯渇に対する取組み

一般社団法人細胞農業研究機構への参画や他社との共同研究を通じた培養魚肉の開発を推進するとともに、従来の水産練製品にすり身の付加価値を強化した「ネクストシーフード」の開発を推進しています。

    <指標及び目標>

・当社グループは、気候変動課題の経営・事業に及ぼす影響の軽減並びに取組みを評価・管理するため、CO2排出量(Scope1+Scope2)を指標とし、2030年度のCO2排出量を50%削減(2013年度比)とする目標を設定しています。

・一方、サプライチェーンとの協働のベースにもなるScope3は排出量の算定を完了し、2022年11月のサステナビリティ委員会での確認を経て、取締役会に報告を行っています。また、サプライチェーン全体でC02削減に取り組むため、お取引先さまを対象とした環境勉強会を定期的に開催しています。今後、サプライチェーンの皆さまと排出量の算定とその削減について共有と協議を進めていきます。

②社会課題:人的資本への対応

   a.取組方針

 当社グループは、「人」が最大の経営資本であり、企業成長の源泉は従業員と考えています。企業の持続的な成長のために「人」に積極投資を行うことで、働きやすい・働きがいのある職場環境を整備し、従業員が能力を最大限に発揮することにより、商品・サービスの質を向上させ、企業価値の向上と経営理念の実現を目指します。

   b.各種基本方針

    (人財育成方針)

 当社グループは、従業員一人ひとりが、経営理念に共感したうえで自身の将来の目指すキャリアを描き、自律的に能力や技術を磨いて、キャリアプランが実現できることを通じて、従業員エンゲージメントの向上を図ります。

 また、新しい働き方(「IWS」いちまさワークスタイル)の目指すべき姿を「社員が働きやすく、働きがいを持ち、人と組織が共に成長し合う企業」を実現する働き方と再定義し、当社グループ内の良好なコミュニケーションを確保することとともに、従業員協働による成長を促します。

 さらに、女性、高齢者、障がい者、中途採用者及び外国人等、多様な人財を採用し、公正・適切な人事評価や公平・平等な教育機会を通じて、性別・年齢・国籍等の如何によらない人財育成やキャリア形成を進めます。

    (社内環境整備方針)

 当社グループは、多様な人財が、失敗を恐れずに「変化」に挑戦し続けるために、従業員一人ひとりの人格・個性・多様性等を尊重し、すべての従業員が働きがい、幸福感、安心感及び誇りを持って仕事に挑戦し、成長できる組織風土を醸成します。

 また、全社的なライフワークバランス施策の推進、職場の安全衛生の確保、健康経営の実現に向けた体制の整備、多様な働き方を可能とする施策の推進等、従業員が能力を最大限発揮できる、働きやすい就労環境・人事制度を整備します。

   c.戦略

・引き続き女性の積極的な採用と経験・専門性を持った中途採用等を通じ、多様な人財を確保するとともに、多様な人財が活躍できる施策を展開します。

・ライフワークバランス施策を推進するとともに、職場環境の整備、福利厚生制度の充実を図り、「働きやすい・働きがいのある」会社を実現します。

・「IWS」の定着や自己啓発制度の拡充、研修チャネル・プログラムの充実により、従業員の自発的な成長とキャリアプランの実現を可能とする施策を実施します。

   d.指標及び目標

指標

2024年6月期

2025年6月期

目標

新卒採用における女性比率

53.8%

52.0

50%以上維持

採用における中途採用者比率  

55.9%

52.8

2026年6月期50%

男女の平均継続勤続年数の差異

0.3年

0.4

2026年6月期0

休業災害度数率

2.63

1.07

2026年6月期1.00

一月当たりの平均残業時間

11時間

11時間

2026年6月期10時間

有給休暇取得率

90.2%

85.9

2026年90

人材開発・研修の総費用 

3,397万円

3,074万円

3,000万円以上維持

 

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがありますが、これらに限られるものではありません。

なお、文中の将来に関する事項については、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

 


(1)社会リスク

① 国内人口減少に係るリスク

国内では少子高齢化が加速し、今後も長期的に市場の縮小が予想されるなかで、競合他社の新商品の上市や販売プロモーションの強化などにより、当社グループ商品の競争優位性の低下やシェアの減少が生じ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応)

当社グループは、常に消費者ニーズやライフスタイルの変化に迅速に対応し、新商品開発を推進するとともに、新たな消費機会を提供していく戦略を展開しています。また、継続的な商品リニューアルを通じて付加価値を向上させる取組みも行っています。さらに、お取引先さまとの緊密なコミュニケーションによる未導入商品の拡販、若年層・若年家族層へのSNS活用による購買機会を拡大させる取組みを行っています。同時に、海外市場への進出を進め、海外需要の開拓にも力を入れています。

 

② 温暖化・気候変動に係るリスク

  当社グループは、地球環境の維持が最も重要な課題であるとの認識のもと、「ESG経営宣言」及び「環境方針」を定め、地球温暖化の防止と循環型社会の実現に向けて取組みを行っています。しかしながら、将来的に気候変動のリスクを緩和するために、当社グループの取組みを超えた環境規制強化、カーボンプライシングの導入、環境負荷に対する課金が行われた場合、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応)

   当社グループは、TCFDの提言への賛同を表明しており、CO2排出量の削減を指標・目標として明示することにあわせ、環境コストの経営に対する影響を多角的な視点からシミュレーションしながら取り組んでいます。生産プロセス及び設備の効率向上、必要なエネルギー使用量の削減を通して、コスト削減と環境への負荷軽減を同時に実現することや太陽光発電システムなどの再生可能エネルギー由来電力などの持続可能なエネルギー利用に関する最新技術の導入を進めています。

 

③ お客さまニーズに係るリスク

お客さまニーズの変化は、市場環境や競争状況に大きな影響を及ぼす要因の一つであり、常にお客さまの要求や嗜好が変化しており、この変化に対応できないことで当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応)

当社グループは、お客さまニーズやトレンドを把握するために、継続的な市場調査と競合分析を実施しています。2024年7月にマーケティング開発本部を設置し、お客さま視点に基づき、マーケティング・技術研究・商品開発を一気通貫させ、持続可能な成長企業に必要である「お客さま視点での全社連動」を行うことで、これまで以上に、ニーズの変化や新たなトレンドを迅速に把握し、商品力の向上に結び付け、配荷の増加を目指していきます。

 

④ 流通の変化に係るリスク

当社グループの商品は、総合スーパー、食品スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストアなどを通してお客さまにお届けしています。これらの業界動向やお取引先さまの経営状態、販売政策等の変化が、当社グループ商品の販売機会や販売価格に影響を及ぼす可能性があります。加えて、インターネットによる商品販売の増加は、将来的な商品開発、販売政策に大きな影響を及ぼすと考えています。

(リスクへの対応)

当社グループは、お取引先さまの店舗への巡回訪問などの活動を通して、未導入商品の拡販や魅力的な売り場づくりの提案を行っており、商品の認知度や魅力を高める取組みを行っています。また、自社のホームページ、総合スーパーのEC販売サイトを活用して、インターネット販売の増加を図るとともに、お客さまのニーズに柔軟に対応した商品の販売を行っています。また、データ分析で販売ノウハウを蓄積し、販売戦略の最適化に努めています。こうした様々な取組みを通して、変化する流通市場環境に適応し、販売機会の最大化と競争力の向上を図っています。

 

⑤ 物流に係るリスク

当社グループは、国内生産拠点で製造、生産した商品を、総合スーパー、食品スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストアなどへ主にトラックで輸送しています。物流業界ではドライバー不足、倉庫内作業者不足や高齢化が深刻な問題となっており、将来的に物流の供給力が不足することで、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。また、近年異常気象により大雨や大雪による交通障害が増えており、さらに今後予測される南海沖地震等による災害時には、一定期間の交通遮断等が業績に影響する可能性があります。

(リスクへの対応)

当社グループは、各地に物流拠点を設置し、これらの拠点を中心にした効率的な物流網の構築を進めています。また、パレット輸送や鉄道コンテナ輸送などの活用により、物流業界への負担を軽減する取組みを行っており、物流供給力の低下によるリスクに対処するだけでなく、より持続可能な物流体制の構築にも努め、将来の物流の変化にも迅速に対応していくことを目指しています。また、災害対応として、東西に業務課を設置し、災害時には一定期間の受給・物流業務を相互に代替できる体制を構築しています。さらに、障害が想定されるエリアに近接してデポを配置することで、障害発生が予測される際には前倒しでの配荷を行い、災害復興時には迅速な供給を実現するBCP体制を整備しています。

 

⑥ 海外事業に係るリスク

当社グループは、国内で製造された商品の輸出やインドネシアの連結子会社における水産練製品の製造販売など、海外事業を展開しています。しかしながら、輸出先やインドネシア国内等の経済状況や政治的な動向、食品の安全性に関する問題、法律や規制に関する課題など、予期せぬ事態が発生することにより事業展開が計画通りに進行しない可能性があります。こうした事態が発生した場合、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応)

当社グループは、世界各地の経済や政治的な動向を継続的に把握し、食品規制の変更などの情報を収集し、市場分析を通して経営戦略・戦術を策定しています。また、インドネシアの連結子会社においては、海外での会社運営や製造に精通した人材を派遣することにより、現地にて適切に事業を運営しています。さらに、継続的なミーティングにより意思疎通を図り、営業推進とリスク対応の両面から事業の管理体制を強化しています。

 

⑦ 感染症のリスク

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、各国の経済活動に大きな影響を及ぼしましたが、日本国内では、2023年5月に新型コロナウイルス感染症が感染症法上の5類に移行し、感染時の対応も個人の選択を尊重し、国民の自主的な取組みをベースとしたものに変わっています。当社グループ内で様々な感染症が広がることによって工場の操業停止や営業活動の停滞が生じた場合、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応)

当社グループは、世界保健機関や厚生労働省などのホームページからの情報を常に収集し、社内に周知するとともに、「新型コロナウイルス等感染防止マニュアル」に基づき、引続き従業員とその家族の安全確保を最優先に感染防止対策に万全を期し、商品供給責任を果たすよう企業活動の継続に努めています。

 

(2)経営リスク

① 原材料、副材料等の調達に係るリスク

当社グループは、国内外から原材料、副材料のほか、設備やその部品等を調達しています。主要な原材料であるスケソウダラを中心としたすり身は、水産資源の保護を目的とした漁獲規制の強化や国際的な需要増加、為替変動などによって価格が上昇する可能性があります。

また、多くの副材料を国内外から調達しており、主要産地での温暖化にともなう天候不順による農産物の不作や鳥インフルエンザなどの様々な感染症の発生等により、供給不足や価格上昇が発生する可能性があります。

さらに、生産設備や設備部品の調達においても、世界的な半導体不足は落ち着きを見せつつあるものの、深刻さを増す人手不足による納入期間の長期化などにより、一時的な生産停止や調達価格の上昇が考えられます。これらが将来的に当社グループの想定を超える場合には、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応)

当社グループは、すり身については常に市況情報を把握し、適切な価格やタイミングで購入することや、様々な魚種や漁場、また購買先を分散化することによりリスクを低減するとともに、代替材料の検討を進めながら安定調達体制の強化に努めています。 

副材料についても、購買先の分散化や副材料の種類を減らすことで調達リスクの軽減を図っています。また、生産設備等に関しても、納期の長期化を想定した前倒しでの設備導入計画の策定や予備部品の確保等により、生産の安定性を確保しています。

 

② 価格競争に係るリスク

当社グループが提供する水産練製品やきのこ類などの主力商品には、複数の競合先があります。競合他社との競争が激化しており、この競争激化が価格の下落などの影響を及ぼす可能性があり、その結果、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応)

当社グループは、独自の技術開発や機能性の研究を積極的に推進しています。これにより、他社と差別化された付加価値の高い商品を提供することで、市場において競争力を保ちつつ、価格競争による影響を最小限に抑えることを目指しています。さらに、お客さまニーズやトレンドの変化を迅速に捉え、市場ニーズに合った商品の開発を行っています。これにより、お客さまにとって魅力的な選択肢を提供し、競合他社との差別化を図っています。

また、当社グループの持続可能な社会への取組みをお取引先さま、お客さまに案内することにより、当社グループ商品への支持を得る努力を始めています。こうした取組みを通して競争激化に対応し、業績への影響を軽減することを目指しています。

 

③ エネルギー調達に係るリスク

当社グループは、水産練製品やきのこ類などの主力商品を製造・生産するために電気及びガスを中心としたエネルギーを必要としており、その多くは海外からの輸入に依存しています。このエネルギー供給国の政治的な不安定性や紛争といった要因によって供給が途絶える可能性や、需給バランスが崩れることにより急激なエネルギー価格の変動が発生するリスクがあります。また、将来的には環境法規制の変更により、特定のエネルギー源の利用が制限される可能性も考えられます。これらのリスクは、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

当社グループは、生産プロセス及び設備の効率向上に取り組み、必要なエネルギー使用量の削減を通して、コスト削減と環境への負荷軽減を同時に実現する方針を推進しています。また、太陽光発電システムなどの再生可能エネルギーや省エネ技術など、持続可能なエネルギー利用に関する最新技術の導入を進め、環境への配慮とエネルギー調達リスクの軽減を両立させることを目指しています。こうした対策を継続的に検討し、実行していくことで、当社グループはエネルギー調達リスクに対する強固な戦略を展開しています。

 

④ 季節変動に係るリスク

当社グループの主力事業である水産練製品・惣菜事業及びきのこ事業は、第2四半期連結会計期間において特に売上高と利益が集中する傾向があります。また、おでん具材の揚物や鍋物具材のまいたけは、秋から春先の需要期間における気候や気温の変動に影響を受ける傾向があり、地球温暖化の進行などによって販売機会が減少する可能性があります。こうした要因により、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応)

当社グループは、年間を通じて販売を平準化するために、他の四半期連結会計期間においても新たな商品開発や食べ方提案を強化しています。さらに、気候変動や気温の影響を最小限にするために、生産プロセス及び設備の効率性向上や太陽光発電システムなどの再生可能エネルギーや省エネ技術などの持続可能なエネルギー利用に関する最新技術の導入を進めています。こうした対策により、リスクに柔軟かつ効果的に対応する体制整備を行っています。

連結業績

 

売 上 高

営業利益又は
営業損失(△)

金額(千円)

百分比(%)

金額(千円)

当連結会計年度の第1四半期連結会計期間

7,344,544

21.2

△51,904

当連結会計年度の第2四半期連結会計期間

11,708,805

33.9

1,075,667

当連結会計年度の第3四半期連結会計期間

8,394,782

24.3

121,379

当連結会計年度の第4四半期連結会計期間

7,130,933

20.6

△254,030

合    計

34,579,066

100.0

891,111

 

 

(2)オペレーショナルリスク

① 人材確保に係るリスク

当社グループが持続的に成長していくためには多様かつ優秀な人材の獲得と育成が不可欠です。個々の従業員エンゲージメントが高く、成長できることが、当社グループの持続的成長に繋がると考えています。しかしながら、国内の少子高齢化は加速しており、また雇用の流動性が高まることによって、特に若年層を中心とした人材確保がますます難しくなると予想しています。将来的には、人材確保が困難となる可能性や人材が流出する可能性、そして人材育成が計画通りに進まない可能性が考えられます。これらの状況が発生した場合、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応)

当社グループは、ライフ・ワーク・バランスを重視した取組みや健康経営の推進を通して、従業員が充実した働き方を実現できる環境を整えています。多様な人材が能力を発揮できるような組織の構築や、労働環境の整備・改善による「働きやすい、働きがいのある会社」の実現を目指しています。

さらに、新しい働き方(「IWS」いちまさワークスタイル)「社員が働きやすく、働きがいを持ち、人と組織が共に成長し合う企業」を実現する働き方の確立を目指しています。また、職制や職能に応じた全社研修プランにより、誰もが自ら学び成長を実現できる研修環境を整備し、従業員一人ひとりが自らの能力を高め、組織全体の持続的な成長に貢献することを目指しています。

また、デジタルトランスフォーメーションやファクトリーオートメーションを進め、少子高齢化社会の人手不足に対応した製造、販売、管理体制を目指しています。

 

② 食の安全に係るリスク

当社グループは、「安全・安心を基本として、ユーザーに信頼され、愛され、感動される商品・サービスを提供することで、社会になくてはならない企業として貢献します。」との経営理念のもと、食の安全・安心に取り組んでいます。しかしながら、将来において当社グループが販売した商品に品質問題が発生し、健康への危害が生じ、これが拡大することで、当社グループの想定を超えて大規模な商品回収等が発生した場合には、当社グループの社会的信用が損なわれ、企業価値が低下するだけでなく、業績及び財政状態にも影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループ以外でも、食品業界において重大な品質問題が発生した場合、波及的に当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応)

  当社グループは、ISO22000、FSSC22000、GLOBALG.A.P等の認証取得に加えて、生産管理システムの導入を進めることで、トレーサビリティの管理体制を強化しています。さらに、バリューチェーン全体での安全・安心を確保するために、お取引先さまとの協働により商品の安全性を高める様々な取組みを行い、徹底した品質管理体制を構築しています。

 

③ 情報セキュリティに係るリスク

当社グループは、開発、生産、販売、管理などの業務において、重要な企業情報やお客さま等の個人情報について社内の情報基盤やクラウドサービス、データセンターを利用した情報システムで管理しています。しかしながら、将来的に、システムを構成する機器の故障・不具合、自然災害や停電といった要因による機器やソフトウェアの損傷や情報消失に加え、近年、より巧妙化・高度化が進んでいるサイバーテロとしての標的型攻撃メール、不正アクセス、ランサムウェア感染などにより情報漏洩、あるいはシステム障害が発生する可能性があります。これらの事態が発生した場合、当社グループの事業活動の停止、社会的信用が損なわれ、あるいは損害賠償の発生などにより、当社グループの業績及び財政状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応)

  当社グループは、「情報管理関連規程・マニュアル」に基づき、情報セキュリティ対策と個人情報保護を徹底しています。さらに、サイバーセキュリティリスクの性質・度合いに応じて、情報システム上のトラブルや脆弱性が生じないように、専門部署による監視体制の強化、多層防御の導入、外部専門機関との連携、従業員への定期的なセキュリティ教育などにより対策を講じています。このようなセキュリティ対策の継続的な強化によって、情報漏洩やシステム障害などのリスクを最小限に抑えることを目指しています。

 

④ 法的規制変更に関連するリスク

  当社グループは、食品衛生法、製造物責任法、不当景品類及び不当表示防止法、労働基準法、環境法令などの規制や海外進出先の現地法令などを遵守しながら事業活動を展開しています。しかしながら、将来的に予測不可能な法的規制の新設や変更があった場合、企業活動に制約が生じる可能性があります。また、法令違反や社会的要求に反する行動によって処罰を受けた場合、企業活動の制限や対応コストの増加、当社グループの社会的信用が損なわれ、企業価値の低下が考えられ、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応)

当社グループの「行動規範」に基づいて、国内外の法令の遵守、人権の尊重、公正な取引などに取り組んでいます。リスク管理の統括部門であるリスク統括室と各担当部門が連携し、関連法令の遵守に努力しています。また、従業員向けの定期的なコンプライアンス研修や「コンプライアンスの手引き」の配布などを通して、法令遵守の徹底を促しています。これにより、法的規制変更によるリスクに対応するだけでなく、組織全体で法令遵守を徹底する企業文化を醸成し、企業価値の維持・向上と業績・財政の安定を図ることを目指しています。

 

(4)財務リスク

① 保有資産の減損に係るリスク

当社グループは、事業運営に使用するための固定資産や有価証券を保有しています。しかしながら、これらの保有資産から生じる将来の収益性や資産価値に変化が生じ、減損処理が必要とされる場合、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

当社グループは、経営会議において経済的合理性を検証した投資や保有の判断を行っています。また、これらの投資や保有については実施後も継続的にモニタリングを行い、変動する経済動向や市場状況に適切に対応しています。これにより、保有資産の価値変動によるリスクを最小限に抑え、業績及び財政状況の安定を維持する努力をしています。

 

② 金利・為替変動リスク

 2024年3月に日銀は金融政策決定会合で、賃金の上昇をともなう2%の物価安定目標の実現が見通せる状況になったとして、「マイナス金利政策」を解除し、同年7月には、年0%~0.1%程度だった政策金利を年0.25%程度とする利上げを実施し、更に2025年1月には政策金利を0.5%程度への利上げに踏み切り、デフレからの脱却や景気回復に向け、日本の金融政策は「金利のある世界」への回帰へと大きな転換点を迎えました。また、米国FRB(米国の連邦準備制度理事会)による金利政策は2024年9月から12月に3回連続で1.0%の利下げを実施しましたが、政権の政策的要因が円ドル相場等の為替市場に大きく影響を与え、当社グループの想定を超えた金利の上昇や為替の変動は業績及び財政状態にも影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応)

主に日本、米国の景気や物価、金融政策、為替、海外の金利、株価などの金利・為替変動要因を継続的に注視しながら、常に対応を検討しています。今後、金利が大きく上昇することが確実に見込まれる、あるいは為替が大きく変動し、過度な円安が進行し、当社グループの収益に影響を及ぼすことが見込まれる状況においては、金利・為替をリスクヘッジすること等により、影響を軽減することも考えていきます。

 

(5)災害・事故リスク

① 自然災害等に関するリスク

当社グループは、本社を含む国内に7つの生産拠点、1つの栽培センター、4支社、8支店、また連結子会社を国内、海外に1社ずつ有しています。これらの施設は地震や台風などの大規模な自然災害や地球温暖化の進行等による局地的で被害が深刻な豪雨災害が発生する可能性があります。これらにより、管理部門の機能停止、工場の生産設備の被災、サプライチェーンの寸断、営業活動の制限などが引き起こされ、企業活動が広範囲にわたって停止する可能性が考えられます。同様に、生産拠点で大規模な火災などの事故が発生する場合も、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応)

当社グループは、「事業継続計画(BCP)」や「自然災害対応マニュアル」にガイドラインを定め、迅速な対策本部の設置や全社的な対応体制の構築を行っています。また、定期的な避難訓練の実施や従業員安否確認システムの活用による安全確認、クラウドサービスやデーターセンターの活用による情報システムの防御など、危機管理体制の構築に取り組んでいます。また、生産設備の定期点検や老朽化した設備の更新なども行っており、大規模な事故の発生を未然に防ぐための取組みを行っています。

さらに災害等の緊急事態に対応した安定した供給・ロジスティクスに関する機能を維持するため、これらの機能を東西2カ所に分散・設置し、相互補完を行う体制を整備しています。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 業績全般の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は、次のとおりです。

① 経営成績の状況

当連結会計年度(2024年7月1日~2025年6月30日)における我が国経済は、賃上げの動きが中小企業や地方にも広がるなど、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加等を背景に、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方で、原材料や資材価格の高止まり、エネルギー価格の上昇、円安の進行、米国の関税政策強化や長期化する不安定な世界情勢など、外部環境の不透明感が続いています。また、物価上昇の影響により実質賃金の伸び悩みや生活防衛意識の一層の高まりが見られ、個人消費の回復には足踏みも見受けられました。

  食品業界は、コスト上昇に対応した商品価格の改定が継続するなか、消費者の節約志向や生活防衛意識が一段と強まっており、当社グループを取り巻く経営環境はかつてない厳しさとなっています。

  このような状況のもと、当社グループでは、“ICHIMASA30ビジョン”(2045年度のありたい姿)を目指し、2021年7月から2026年6月までの第二次中期経営計画の4年目を迎え、“国内外のマーケットへの果敢なチャレンジを通じ、事業の成長力・収益力基盤を確立し、ファーストステージ「成長軌道への5年」を確実に実現する。”を基本方針として経営課題に取り組んでいます。

  また、地球環境の維持は企業活動の持続的な成長・発展のためには不可欠であり、「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」の達成を目指し、当社グループもステークホルダーの皆さまと協働しながらサステナブルな課題の解決に取り組んでいます。

    以上により、当連結会計年度の売上高は345億79百万円(前連結会計年度比91百万円(0.3%)の増加)、営業利益は8億91百万円(前連結会計年度比3億80百万円の減少)、経常利益は9億7百万円(前連結会計年度比3億40百万円の減少)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は7億46百万円(前連結会計年度比2億10百万円の減少)となりました。

 

 セグメントの状況は、次のとおりです。

(水産練製品・惣菜事業)

売上は、2025年3月1日納品分より実施した価格改定の効果に加え、スティックタイプのカニかまを中心とした販売数量の伸長や、消費者ニーズを捉えた保存性・利便性に優れた商品の堅調な推移が寄与しました。また、サラダスティックは玉子焼き風味や焼きえび風味など、需要喚起を目的とした新商品の発売も奏功し、売上は前年同期を上回りました。さらに、おせち商材では蒲鉾・伊達巻が安定した販売を維持し、農林水産大臣賞を受賞した「京禄」の販売が大幅に伸長したことなどから、全体として売上は前年同期を上回る結果となりました。

利益は、工場の生産性向上に努めたものの、原材料費や労務費等のコスト増加の影響を受け、前年同期を下回る結果となりました。

以上の結果、当セグメントの売上高は304億69百万円(前連結会計年度比1億65百万円0.5%)の増加)、セグメント利益(営業利益)は10億7百万円(前連結会計年度は13億9百万円のセグメント利益(営業利益))となりました。

(きのこ事業)

売上は、天候不順による野菜の生育不良や相場高騰に伴うきのこ需要の増加により、販売価格は前年を上回りました。一方、販売量は、酷暑の影響を受け生育が不調となったことや、残暑や暖冬の影響による鍋シーズンの立ち上がりが遅れたことにより販売数量が伸び悩みました。春以降は大容量で鮮度感を訴求した株割パック商品等の販促を強化したものの、需要期の販売数量の減少を補いきれず、売上は前年同期を下回りました。

利益は、包装部門の合理化・省人化によるコスト削減や、生産の効率化に努めましたが、原材料や労務費、エネルギー価格等の高騰が続いたことに加え、生育不調の影響もあり、前年同期を下回る結果となりました。

以上の結果、当セグメントの売上高は37億69百万円(前連結会計年度比21百万円0.6%)の減少)、セグメント損失(営業損失)は2億51百万円(前連結会計年度は1億57百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。

(運送・倉庫事業)

運送部門は、収益力の高い自社便事業の拡大を目的とした新規顧客の獲得や、適正運賃への改定に取り組みましたが、主に輸入青果物の定期便減便や設備投資関連費用の増加が影響し、売上高および利益は前年を下回る結果となりました。

倉庫部門は、取扱構成比の高い水産物の不漁に加え、寄託者の原料調達方法が保管コストを意識した当用買いへと変化したことなどから、在庫水準が低調に推移し、売上高は前年を下回りました。一方で、継続的な収益性向上を目的とした庫内管理の最適化を推進した結果、利益は前年を上回りました。

以上の結果、当セグメントの売上高は3億39百万円(前連結会計年度比52百万円13.3%)の減少、セグメント利益(営業利益)は1億25百万円(前連結会計年度は1億10百万円のセグメント利益(営業利益))となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における資産合計は304億13百万円(前連結会計年度末比9億79百万円の減少)となりました。これは主に原材料及び貯蔵品並びに連結の範囲の変更による土地などの有形固定資産の増加及びのれんの計上の一方、現金及び預金並びに売掛金減少によるものです。

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は155億4百万円(前連結会計年度末比13億83百万円の減少)となりました。これは主に短期借入金及び1年以内返済予定の長期借入金の増加の一方、未払金及び未払費用の減少によるものです。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は149億8百万円(前連結会計年度末比4億3百万円の増加)となりました。これは主に配当金の支払いの一方、親会社株主に帰属する当期純利益の計上によるものです。なお、自己資本比率は、46.2%から48.8%へ2.6ポイントの増加となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)残高は、前連結会計年度末に比べ21億22百万円減少して10億61百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によって獲得した資金は16億15百万円(前連結会計年度末は51億98百万円の獲得)となりました。これは主に棚卸資産の増加額4億25百万円並びに未払消費税等の減少額3億82百万円の一方、税金等調整前当期純利益10億66百万円及び減価償却費18億34百万円の計上によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によって支出した資金は25億91百万円(前連結会計年度末は17億43百万円の支出)となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入1億35百万円の計上の一方、有形固定資産の取得による支出25億53百万円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によって支出した資金は11億37百万円(前連結会計年度末は16億48百万円の支出)となりました。これは主に長期借入れによる収入19億円の一方、長期借入金の返済による支出24億16百万円及び配当金の支払額2億22百万円によるものです。

(キャッシュ・フロー関連指標の推移)

 

2021年6月

2022年6月

2023年6月

2024年6月

2025年6月

自己資本比率(%)

61.2

54.8

44.3

46.2

48.8

時価ベースの
自己資本比率(%)

77.7

59.0

44.8

44.8

44.8

キャッシュ・フロー対
有利子負債比率(年)

1.6

3.1

2.0

6.2

インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)

90.9

72.8

89.4

19.1

 

(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。

2 株式時価総額は、期末時価終値×期末発行済株式数(自己株式数控除後)により算出しています。

3 キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。
  有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。
  また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。

4 2023年6月期の「キャッシュ・フロー対有利子負債比率」及び「インタレスト・カバレッジ・レシオ」については、営業キャッシュ・フローがマイナスのため、記載していません。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

 a. 生産実績

  当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2024年7月1日

至  2025年6月30日)

前年同期比(%)

金額(千円)

水産練製品・惣菜事業

30,422,147

100.7

きのこ事業

3,754,039

98.3

運送・倉庫

合計

34,176,187

100.5

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しています。

 

 b. 受注実績

(水産練製品・惣菜事業、きのこ事業)

見込生産を行っているため、該当事項はありません。

(運送・倉庫)

該当事項はありません。

 c. 販売実績

  当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2024年7月1日

至  2025年6月30日)

前年同期比(%)

金額(千円)

水産練製品・惣菜事業

30,469,732

100.5

きのこ事業

3,769,548

99.4

運送・倉庫

339,784

86.7

合計

34,579,066

100.3

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しています。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、本文における将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものです。

① 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度の売上高は345億79百万円(前連結会計年度比91百万円の増加)となりました。なお、売上高等の詳細については、「(1)業績全般の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載しています。

売上総利益は生産効率向上や省人化によるコスト削減を実施した一方、賃上げ影響による労務費アップ及びエネルギー費用の増加並びに設備投資による償却負担も増加したことにより前連結会計年度から1億37百万円の減少、配送コストの上昇やベースアップに伴う給与などの販管費2億43百万の増加したことにより、営業利益は8億91百万円(前連結会計年度比3億80百万円の減少)となりました。

支払利息や為替差損を計上する一方、営業利益や受取手数料の計上により経常利益は9億7百万円(前連結会計年度比3億40百万円の減少)となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、減損損失及び固定資産の除売却損を計上する一方、経常利益及び投資有価証券売却益、段階取得に係る差益の計上により7億46百万円(前連結会計年度比2億10百万円の減少)となりました。

 

② 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容

財政状態の状況の分析・検討内容については、「(1)業績全般の状況の概要   ②財政状態の状況」に記載しています。

 

③ キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容

キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1)業績全般の状況の概要   ③キャッシュ・フローの状況」に記載しています。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 a. 資本政策の方針

当社グループは、企業価値の継続的な向上を目指し、収益基礎の強化、生産設備等への投資を行っていきますが、これらの資金が効率的かつ安定的に調達されるよう、株主資本と負債のバランスを適切な水準に維持します。その際、株主資本の水準については、資本の効率性とともに、事業にともなうリスクに対して十分なレベルであることなどを考慮して決定します。

 b. 資金需要の動向

当社グループの運転資金需要は、製品製造のための原材料費、労務費、経費及び販売活動等のための販売費、人件費、その他経費等です。設備投資需要は、製品製造のための建物及び生産設備等への設備投資です。

 c. 資金調達の方法及び状況

当社グループの資金調達は、主に営業キャッシュ・フローを財源とする自己資金に加え、銀行等金融機関からの資金調達を有効に活用しています。銀行等金融機関からの資金調達については、設備資金及び長期運転資金は長期借入及び社債発行を基本とし、それ以外の主に営業取引に係る短期資金は、短期借入を基本としています。

また、長期性の資金調達に際して、調達コストの低減に努める一方、過度な金利変動リスクに晒されないよう金利の固定化を図るとともに、自己資本比率、ROE、ROICといった財務指標への影響度等を総合的に勘案したうえで、最適な資本構成を目指して実施しています。

 d. 資金の流動性

流動性に関しては、事業活動に必要な水準の手元流動性を確保するため、金融機関とシンジケート形式によりコミットメントライン契約、当座貸越契約の締結により資金調達の十分な流動性を確保しています。

 

⑤ 重要な会計方針の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。連結財務諸表の作成に当たり、資産、負債、収益及び費用の報告に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は、実際の結果と異なる可能性があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用した重要な会計方針は、「第5 [経理の状況] 1 [連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載していますが、次の重要な会計方針は、連結財務諸表における見積りの判断に影響を及ぼすものと考えています。

a.固定資産の減損

 当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価に当たり、事業等を基礎としてグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしています。

 固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の見積りに重要な変更があった場合、固定資産の減損損失が発生する可能性があります。

b.棚卸資産の評価

 当社グループは、棚卸資産の評価について、商品及び製品、仕掛品は総平均法による原価法により算定し、原材料は個別法による原価法により算定しており、貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定額を計上しています。

 

 

⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 [事業等のリスク]」に記載しています。

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループの水産練製品・惣菜事業及びきのこ事業の研究開発活動は、「食の安全・安心・健康」をテーマに、「すべてはお客さまのために」のもと、社会環境の変化に対応し、多様化するニーズを捉えた商品開発に取り組んでいます。

当連結会計年度における研究開発費の総額は464,645千円です。

 

(1) 水産練製品・惣菜事業

高まる健康志向、簡便性志向などニーズが多様化するなかで、おいしさを最優先に購買層や使用用途の拡大を目指し、積極的に商品開発に取り組んできました。

当連結会計年度の主な開発製品としては、次世代に向けた魚由来のたんぱく質が摂取できるおつまみ商品として、「パクっとたんぱくカニカマバー」シリーズ2品を発売しました。

また、メーカーシェアNo1のカニ風味かまぼこ「サラダスティック」のシリーズとして「焼きえび風味」と「卵焼き風味」を発売し、ブランド育成及び需要喚起を図りました。

年末のおせち商品として、縁起の良いだるまのキャラクターを使用した「開運だるま蒲鉾」を発売し、若年層及びファミリーをターゲットとして、次世代の顧客獲得を強化しました。

食品ロス対策の視点から包装変更(ピロー包装)した「白身魚揚げ6個」及び「プチお魚厚揚げ8個」を発売しました。賞味期限の延長商品の拡充を行い、お客様や流通の皆様より高い支持をいただいています。

業務用商品では、動物性原料及び着色料不使用の環境及び健康に配慮した「ネクストシーフード明太子風味」を開発しました。社会課題や食の多様化と向き合い、一正の提案する未来の食としてネクストシーフードブランドの育成を図ります。

研究部門では「一正のフードテック推進」のもと取り組んできた研究成果の発信の場として、6月に「大阪・関西万博」に参加し、ネクストシーフード(ネクストシーフードうに風味、ネクストシーフード明太子風味)を来場者に披露しました。

さらに、山形大学(工学部古川教授)とともに当社原料をベースに3Dフードプリンターを用いて作成した次世代水産物を発表しました。

魚類筋肉細胞培養研究においては、マルハニチロ株式会社、インテグリカルチャー株式会社との共同研究および自社研究を継続・実施しています。加えて、分野最先端の大学との共同研究を行い連携を図ることで、迅速な課題解決を行います。

また、環境負荷軽減を目的とした新加工技術研究を推進するとともに、水産資源有効利用研究およびかまぼこの健康機能性研究においては、学会等で研究成果の発表を実施しました。

引き続き変化するニーズを捉え、新規需要を喚起する新商品開発・新技術研究を行うとともに、主力商品の付加価値向上による事業基盤の強化を推進していきます。

なお、当事業に係る研究開発費は333,915千円です。

 

(2) きのこ事業

きのこ事業においては、栽培の安定に寄与する品種を作出するための育種開発、栽培研究および品質管理体制強化に取り組んできました。

また、新規テクノロジーや新規研究カテゴリーの探求を進めることで、今後の事業展開に向けた研究開発を推進していきます。

なお、当事業に係る研究開発費は130,729千円です。

 

(3) 運送・倉庫事業

該当事項はありません。