第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、海外経済の不確実性やそれに伴う株価と為替の変動により先行き不透明な状況が続きましたが、雇用や所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調で推移しました。

食品業界においては、個人消費には持ち直しの動きが見られましたが、原材料単価の上昇、人口減少に伴う市場規模の縮小など、依然として厳しい状況が続きました。

このような環境の中、当グループは、当連結会計年度を初年度とする中期3か年経営計画がスタートし、“選択と集中”によるさらなる高成長・高収益性の事業形成を目指すとともに、企業価値の最大化を実現するための経営基盤の強化に取り組みました。また、平成29年1月16日に消費者庁が推進する消費者志向経営の実現に向けた考え方や取り組み方針を表明する「消費者志向自主宣言」を公表しました。

売上高は、昆布製品が前年実績をわずかに下回りましたが、ヨーグルト製品、惣菜製品、デザート製品、豆製品が前年実績を上回ったことから、608億60百万円(前期比3.6%増)となりました。

また、利益面では、売上高の増加とともに売上原価の低減が引き続き進んだことから、営業利益は53億52百万円(前期比7.6%増)、経常利益は57億3百万円(前期比6.1%増)となりましたが、前連結会計年度に投資有価証券売却益を特別利益として計上した影響が大きく、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は37億91百万円(前期比3.3%減)と前年実績には及びませんでした。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ19億92百万円増加し、156億35百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払やたな卸資産の増加等がありましたが、税金等調整前当期純利益を55億16百万円、減価償却費を21億37百万円計上したこと等から、56億60百万円の収入(前連結会計年度は45億97百万円の収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入があったものの、有形固定資産の取得による支出等により、21億46百万円の支出(前連結会計年度は17億2百万円の支出)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払、長期借入金の返済による支出等により、15億21百万円の支出(前連結会計年度は54億81百万円の支出)となりました。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。

 

分類

金額(百万円)

前年同期比(%)

惣菜製品

18,897

103.9

昆布製品

17,556

99.8

豆製品

13,806

100.4

ヨーグルト製品

6,499

139.7

デザート製品

3,181

104.1

その他製品

1,298

96.5

合計

61,238

104.5

 

(注) 上記金額は、消費税等抜きの販売価格により表示しております。

 

(2) 受注実績

当グループは、市場動向の予測に基づく見込生産を行っており、受注生産は行っておりません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。

 

分類

金額(百万円)

前年同期比(%)

惣菜製品

18,920

103.6

昆布製品

17,516

99.7

豆製品

13,702

100.8

ヨーグルト製品

6,216

127.4

デザート製品

3,177

105.9

その他製品

1,328

94.4

合計

60,860

103.6

 

 

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

㈱日本アクセス

10,616

18.1

10,445

17.2

 

2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当グループは、社是「創造一路」の精神の下、食品素材の持つ健康効果を追究し、価値ある商品の提供を通じて、人々のおいしく健康な食生活の実現に貢献してまいります。

当グループでは健康増進のために食品事業を展開する中で、当グループ製造の商品を市場でお買い上げ頂くお客様を何よりも大切にするとともに、法令・社会規範の遵守や環境保全・資源保護といった企業としての社会的責任を果たし、当グループを取り巻く多くのステークホルダーの信頼に応えることを通じて、当グループ全体の価値を向上させるべく、効率的かつ適正な企業運営の推進に努めることを基本方針としております。

 

(2) 目標とする経営指標

当グループは、継続的な成長、企業価値の最大化、株主の皆さまへの利益還元を満たすべく目標を設定し、業績の向上に取り組んでまいります。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

平成29年3月期(第57期)を初年度とする3か年の中期経営計画の策定にあたり、10年後の目指すべき姿と目標を「フジッコNEXTビジョン2025」として取りまとめ、その目指す姿を「美味しさと健康価値を創造し、顧客に愛されるフードカンパニー」としました。本中期3か年をファースト・ステージ「飛躍に向けた基盤固め」の重要な期間と位置付け、将来事業構成を見据えた持続的成長の志向だけでなく、長期的な視点に立った企業価値の最大化を実現するための企業基盤の強化も重要視しております。

 

以下の5つの指針の下、前中期経営計画からのポートフォリオ・マネジメントを踏襲・徹底し、さらなる高成長・高収益性の事業形成を目指してまいります。そして、中期経営計画の最終年度(第59期)において、売上高700億円、営業利益63億円を目指してまいります。

 

①基幹事業の収益力強化

豆と昆布のコア事業は安定収益事業でもあり、高いシェアを確保し、創出した利益を次なる成長のための投資に充当して成長と分配の好循環を創り出します。即ち、市場が縮小傾向の中、シェア確保の選択投資を行い、「健康」「簡便性」の訴求、新たなレシピ提案による利用シーンの拡大を促進し、市場減少に歯止めをかけます。

 

②成長事業の加速

ヨーグルト事業、OKAZU事業、通信販売事業を成長事業として重点的に事業拡大に取り組みます。

ヨーグルト事業は、研究エビデンスに裏付けられた高付加価値商品の提供により、「カスピ海ヨーグルト」ブランドの価値向上をもって事業拡大に注力いたします。

OKAZU事業は、国内で最も先進的な商品を提供し続け、価格競争力、ブランドロイヤリティーを獲得し、事業拡大とともに収益力の強化を図ります。

通信販売事業は、健康食品通販の乳酸菌市場ナンバー1に挑戦し独走するための基盤固めを強く推進すべく、メーカー通販らしい優れた商品戦略と新商品の開発に注力いたします。

 

③次世代事業への挑戦

次世代事業を介護食事業、海外事業、新規事業とし、今後の「成長の芽」として飛躍的な事業拡大に向けた準備を進めてまいります。

 

 

④開発機能の革新

社内外ネットワークの構築とともに、部門間の連携による研究開発テーマと事業開発のマッチング、次世代研究者の育成、新規事業分野を視野に入れた生産技術の研究を進めていきます。具体的には、乳酸菌の機能性研究の深耕、健康機能のエビデンス研究体制の強化、機能性表示食品制度の対応強化、「とかち連携事業」として着手した大豆ピニトールの実用化等に注力いたします。

 

⑤経営基盤の革新

持続的な成長と中長期的な企業価値の最大化を実現するため、経営基盤の革新を進めてまいります。「ガバナンス・コード」の実践とともに、監査等委員会設置会社への移行によりガバナンス体制を強化し、取締役会の監督機能と経営の透明性・客観性の向上に努めています。また、内部統制委員会による財務報告から業務執行までの内部統制範囲の拡大、リスクマネジメント委員会の発足による全社的リスクマネジメント、取締役会によるガバナンス等を通してリスク・コントロールを強化してまいります。

 

(4) 会社の対処すべき課題

①製品の安全性を確保する品質保証体制の強化

当グループは、製品の品質と安全性を確保するため、「ふじっ子あんしんシステム」の確立をもってグループ全体の品質保証の体制づくりに注力してまいりました。今後は、品質にかかる審査・監査・是正のサイクルをもって品質保証体制の強化を図る一方、お客様相談室による品質保証の監督機能を強化し、相互連携による全社的品質保証システムの構築を推進してまいります。

また、平成29年1月16日に公表の「消費者志向自主宣言」の具体的な活動として生産部門に「製品事故防止委員会」を設置し、「安心・安全操業」を第一に製品事故の撲滅に取り組んでおります。

 

②買収防衛策の実施

当社は、当グループの企業価値を毀損する態様での濫用的な買収等を未然に防止するため、株主総会の承認を受け買収防衛策を導入いたしました。そして、平成29年6月27日に開催の第57回定時株主総会において、従前の事前警告型ライツ・プラン(以下、「本プラン」といいます。)を継続する議案を付議し、承認されました。

当社取締役会は、買付者等から受領した情報提供回答書等を外部有識者で構成する企業価値判定委員会(以下、「判定委員会」といいます。)に提出し、判定委員会は、本プランの定める買収防衛策の発動の要否を判定し、その旨を当社取締役会に勧告します。当社取締役会は判定委員会の勧告を最大限尊重し、買収防衛策(本プラン)の発動又は不発動を最終的に決定いたします。当該取組みにつきましては、当社の基本方針に沿うものであり、株主の皆様方の共同の利益を損うものではなく、また、決して当社取締役の地位の維持を目的とするものではありません。

 

③社会貢献活動の推進

当グループは、美味しさと健康価値を商品として提供するとともに、日本の食卓・食材・食文化のよさを伝えるべく、親子料理教室、丹波篠山の黒豆作付け・収穫体験、ヨーグルトフォーラムの開催、「和食給食応援団」の参画等の食育活動に注力し、人々の幸せで健康な食生活に貢献してまいります。また、国内のみならず、世界の人々の健康にも貢献できるよう、ネパールにおけるヨード欠乏症の問題に「昆布ミネラル」の無償提供で支援してまいります。

 

④女性活躍の推進

当グループは、女性活躍の推進を重要な経営課題のひとつとし、「多様性こそフジッコ成長のチカラ」という方針の下、老若男女を問わず多様性を活かした企業を目指してまいります。平成28年4月に「女性活躍推進委員会」を発足し、平成29年4月には「ダイバーシティ推進室」を新設いたしました。今後も引き続き、いわゆる「女性活躍推進法」に求められている現状把握、改善目標、実行計画について検討してまいります。

 

 

 

4 【事業等のリスク】

以下の記載内容及び将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当グループが判断したものであります。

 

(1) 食品の安全性について

当グループは、「ポジティブリスト制」の対応とともに、残留農薬検査システム、遺伝子組み換え検査システム、製品履歴を管理する「フジッコトレースシステム」の導入により、品質管理、衛生管理、鮮度管理に取り組んでおりますが、今後も当グループ固有の品質問題のみならず、社会全般にわたる一般的な品質問題等が発生した場合、当グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(2) 原材料の価格変動について

当グループの取扱製品の主原料である昆布、豆は、主に北海道等国内産のものを使用しております。これらの原料は、在庫の備蓄により価格変動リスクを可能な限り抑えておりますが、産地の天候等により生産量及び価格が変動し、当グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、当グループは、原材料の一部を海外から調達しており、中長期的な為替変動は、当グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(3) 保有有価証券の価格変動について

第57期の連結貸借対照表において、投資有価証券を63億65百万円計上しており、連結総資産の8.6%を占めております。当グループの有価証券運用は短期的な売買を行わない基本方針でありますが、保有有価証券の著しい時価変動等があれば、当グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

特に記載すべき事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

(1)「カスピ海ヨーグルト」に関する研究

カスピ海ヨーグルトの大きな特徴のひとつは、糸引き性を伴う強い粘りです。この粘りは、クレモリス菌FC株が産生する菌体外多糖(エキソポリサッカライド)によるもので、免疫賦活作用を有しています。第57期は、神戸大学との共同研究でエキソポリサッカライド合成遺伝子群の解析を行い、その配列を決定しました。さらに、クレモリス菌FC株の全ゲノム解読も進めており、今後もカスピ海ヨーグルトの安定生産のための基礎的知見を積んでいきます。
 

(2)大豆の機能性研究

黒大豆種皮ポリフェノール抽出物及び煎り黒大豆を用いたヒト投与試験を行い、血管内皮機能の改善作用について検討しました。その結果、加速度脈波計により計測される血管年齢が、試験食品の摂取により改善されることを明らかにしました。黒大豆に含まれるポリフェノール類の抗酸化作用により、血管内皮機能が改善されたと考えられます。これらの結果は、日本農芸化学会2017年度大会において発表しました。

大豆に関する研究は、「戦略的イノベーション創造プログラム」、「ひょうご健康都市推進協議会」、「フードバレーとかち推進協議会」等の活動に参画し、積極的に進めています。
 

(3)昆布の研究

昆布には多量の食物繊維が含まれていますが、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の分別分析は通常できないとされています。AOAC(食品検査法の標準化や分析手法の妥当性を評価する国際的な機関)法を精査することにより、抽出に用いる溶媒によって、昆布に多量に含まれるアルギン酸の水溶性が大きく変化することが明らかになりました。日本で一般に行われている分析法では、アルギン酸は水溶化し、極めて強い粘性が出るために濾過ができず、分析困難になっていることが分かりました。昆布にはアルギン酸の他、ラミナランやフコイダンなどの陸上植物にはない食物繊維が含まれているため、生理活性においても特徴的な作用が期待されます。

 

(4)新たな機能性表示食品制度への取り組み

機能性表示食品は、6品を届出、受理され、合計8品になりました。第57期に新たに受理された品目は、「蒸し黒豆」、「お料理だいず水煮」、「煎り黒豆」(骨の成分の維持に役立つ。機能性関与成分は、大豆イソフラボン)、「きらめきアイ」(コントラスト感度の改善やブルーライトなどの光刺激からの保護によって、目の調子を整える機能。機能性関与成分は、ルテイン、ゼアキサンチン)、「うるるん姫」(肌のうるおいを保ち、乾燥をやわらげる。機能性関与成分は、ヒアルロン酸Na)、「楽々てくてくグルコサミン」(関節軟骨を保護する。機能性関与成分は、グルコサミン)です。

 

なお、当連結会計年度の研究開発費は6億41百万円であります。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要となる会計上の見積りは、合理的な基準に基づき行っております。詳細につきましては、「第5 経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

(2) 財政状態の分析

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ38億42百万円増加し、738億45百万円となりました。これは主に、現金及び預金、和田山工場新工場棟建設関連の建設仮勘定の増加によるものです。

流動負債は、前連結会計年度末に比べて10億36百万円増加し、109億52百万円となりました。これは主に、未払金の増加によるものです。固定負債は、前連結会計年度末に比べて12百万円増加し、19億89百万円となりました。

純資産は、前連結会計年度末に比べ27億92百万円増加し609億3百万円となりました。

これらの結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の83.0%から82.4%となりました。

 

(3) 経営成績の分析

① 売上高

売上高は、前連結会計年度に比べて21億42百万円増加し、608億60百万円となりました。これは主に、成長事業のヨーグルト製品、惣菜製品が大きく伸長したことによるものです。

 

製品分類別の分析は次のとおりであります。

惣菜製品は、日配惣菜の持続的な成長とともに、包装惣菜では、少量食べきりサイズの「おかず畑ミニ」シリーズが顕著に伸長し、惣菜製品の売上高は189億20百万円(前期比3.6%増)となりました。

昆布製品は、塩こんぶやとろろ昆布が伸長しましたが、佃煮が前年実績を下回ったため、昆布製品の売上高は175億16百万円(前期比0.3%減)となりました。

豆製品は、個食ニーズに対応した食べきりタイプの煮豆「おまめさん豆小鉢」や「そのままがおいしい蒸し大豆」をはじめ機能性表示食品を3品まで拡充した水煮・蒸し豆「ビーンズキッチン」シリーズが顕著に伸長したことから、豆製品の売上高は137億2百万円(前期比0.8%増)となりました。

ヨーグルト製品は、量販チャネル等の「カスピ海ヨーグルト」シリーズの再成長に加えて、通信販売チャネルのサプリメント「善玉菌のチカラ」も2桁成長を続け、ヨーグルト製品の売上高は62億16百万円(前期比27.4%増)となりました。

デザート製品は、競争激化により依然として厳しい市場環境が続いておりますが、主力品目の販売拡大に注力し、デザート製品の売上高は31億77百万円(前期比5.9%増)となりました。

 

 

② 売上原価、販売費及び一般管理費

売上原価は、売上高の増加を受け、前連結会計年度に比べて8億58百万円増加し、353億68百万円となりましたが、売上原価率は0.7ポイント改善しました。売上原価率の改善は、原材料のコストダウン、重油等のエネルギー単価の値下がり等によるものです。

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べて9億5百万円増加し、201億39百万円となりました。これは主に広告・販促投資、人件費等の増加によるものです。

 

③ 営業外損益、特別損益

営業外損益は、3億51百万円の黒字となりました。これは主に受取配当金、保険代理店売却による事業譲渡益の計上等によるものです。

特別損益は、1億86百万円の赤字となりました。これは主に固定資産処分損、関係会社株式評価損の計上等によるものです。

 

(4) キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローの状況については、「1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。