第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、以下の企業理念・価値観のもと、株主・顧客・取引先・従業員等全てのステークホルダーの信頼と期待に応えるべく、惣菜を通じて健康で豊かなライフスタイルの提案を行ってまいります。2022年6月の創業50周年という節目に策定した「ビジョン2030」に基づき、今後ますます重要となる持続可能な食の未来を実現することを目指してまいります。

 

理念       私たちは、SOZAIへの情熱と自ら変革する行動力をもって、豊かなライフスタイル

         の創造に貢献します。

価値観      「健康」「安心・安全」「美味しさ」「鮮度」「サービス」「環境」

ビジョン2030 食の可能性を切り拓き、豊かな未来を共創する。

         SUSTAINABLE FOOD COMPANY

 

(2)経営戦略

当社グループにおきましては、「私たちは、SOZAIへの情熱と自ら変革する行動力をもって、豊かなライフスタイルの創造に貢献します。」という企業理念のもと、2030年に目指す姿を「ビジョン2030」として策定するとともに、ビジョン達成に向けた具体的な戦略として、中期経営計画(2023年4月期~2025年4月期)を策定いたしました。中期経営計画では、コロナ禍で加速した生活者の食への価値観の変化や買い方の多様化をチャンスと捉え、SOZAIビジネスの更なる進化に向け、人財の活躍促進を図り、新たな事業展開の礎をつくることを基本方針とし、その推進のために「商品力・技術力の進化」「新たな顧客接点の拡充」「経営基盤の強化」を3つの基本戦略としております。

 

(3)経営環境及び優先的に対処すべき事業上の課題

中期経営計画2年目となる2024年4月期は、人流の回復に伴う経済活動の持ち直しはあったものの、想定していた客数の増加には至りませんでした。また、原材料やエネルギー価格の上昇に対し価格改定や品揃えの工夫等の取り組みにより売上原価はコントロールしたものの、主に店舗スタッフの時給単価改定による人件費の上昇を吸収するには至らず、売上・営業利益ともに計画に未達となりました。

今後の当社グループを取り巻く環境は、高齢化・単身化・共働き化等の社会構造の変化の加速や冷凍食品技術の進化により、ご自宅でバラエティに富んだ中食・惣菜等の購買ニーズがさらに高まること、それらニーズの高まりに対し、内食・外食・他業種など業種・業界の垣根を越えた競争が激化していくことが予想されます。一方、エネルギーや原材料価格の高止まりや、最低賃金や採用コストの上昇などにより、引き続き厳しい事業環境が続くことが想定されております。中期経営計画公表時点(2022年6月9日)では、これら外部環境の変化を想定できておらず、計画の前提条件に乖離が生じたため、足下の経営環境を踏まえ、中期経営計画を修正いたします。

2025年4月期の売上高は53,467百万円(前期比4.1%増)を計画しております。ロック・フィールドメンバーズの関係性強化によるファン顧客の来店頻度の増加や冷凍食品の販路・量的拡大等の取り組みにより、売上高は中期経営計画の当初計画を上回ります。一方、営業利益は2,042百万円(前期比17.5%増)を計画しております。原材料やエネルギー価格の上昇に対し、価格戦略の継続的な取り組みにより一定の原材料原価率の低減を見込むものの、2024年4月期 第3四半期以降、想定を上回る店舗スタッフの時給単価上昇や人材確保難による採用コストの上昇などが大きく影響し、生産性向上の取り組みを実施するも、中期経営計画の当初計画を下回ります。2025年4月期の対処すべき課題としては、人件費及び経費等の増加に対する収益構造の改善と認識しており、業務の整理と組織改革に取り組んでまいります。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは、事業を継続的に発展させていくためには、生販一体のビジネスモデルの強みを活かし、生産性を高めることにより、適正な利益確保を図っていくことが必要であると考え、事業活動による収益性を示す「連結営業利益率」を重要な経営指標として位置付けております。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

当社グループは、「豊かなライフスタイルの創造に貢献する」を企業理念とし、2023年4月期からは「ビジョン2030」に、「食の可能性を切り拓き、豊かな未来を共創する。SUSTAINABLE FOOD COMPANY」を掲げ、お客様、取引先、従業員と一体となり、事業活動を通じて社会に貢献することを目指しております。

 

(1)ガバナンス

当社グループは、サステナビリティに関する取り組みを重要な経営課題と捉え、年度事業計画や中期経営計画に反映させ、全社をあげて中長期的な課題の解決に取り組んでおり、具体的な取り組みや進捗状況については、経営会議で審議のうえ、取締役会にて監視・監督を行うガバナンス体制を構築しております。推進にあたっては、ESG関連の各種委員会、環境管理委員会、SDGs推進会議、人財会議等の仕組みを設けることで、各実行部門における活動の活性化を図っております。

 

会議体

開催頻度

役割

出席役員等

取締役会

13回/年

持続的成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、サステナビリティ課題等への取り組みについて適切な対応が行われているかの監視・監督を行っております。

代表取締役社長

(議長)

役員全員

執行役員全員

経営会議

3回/月

経営戦略及びサステナビリティ課題等に対し、当社の基本方針及び基本計画を討議し、方向性を決定しております。

社内役員全員

執行役員全員

本部長全員

危機管理委員会

1回/月

自然災害、環境汚染を含む会社における危機管理に関する重要事項を検討及び審議することを目的としており、危機事象が業務に及ぼす影響の評価や、対応要領及び事業継続計画の策定、危機管理に関する教育及び訓練等を実施しております。

経営企画担当役員

執行役員全員

本部長全員

コンプライアンス

委員会

1回以上/年

適宜

代表取締役社長を議長とした諮問機関として、コンプライアンス違反事象やコンプライアンス教育計画等、コンプライアンス上の課題に対し、調査・審議しております。

代表取締役社長

(議長)

社内役員全員

執行役員全員

環境管理委員会

1回/月

ISO 14001を骨格とする環境マネジメントシステムに基づき、各ファクトリーの環境取り組みの推進、管理をしております。環境管理委員会で報告、検討された重要事項については、SDGs推進会議と情報を共有しております。

代表取締役社長

生産部門執行役員

SDGs推進会議

4回/年

年度事業計画や中期経営計画に基づくESG課題及び部門ごとに設定したESG課題への対応を進め、四半期ごとにSDGs推進会議にて経営に報告され、適宜必要な指示・助言を受けております。また、特に重要な事項については、随時、経営会議に上程又は報告されます。

代表取締役社長

経営企画担当役員

管理部門執行役員

人財会議

4回/年

人事方針に基づき、人事戦略の課題に対する各種施策の立案と進捗管理を行っております。

社内取締役全員

執行役員全員

 

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(2)リスク管理

当社グループは、気候変動・自然災害及び人的資本に関するサステナビリティ課題を、リスクのみならず機会の面からも適切に対応することが持続的な成長につながると考えています。経営会議や危機管理委員会、人財会議など各種会議体でリスクと機会を共有し、リスクマネジメント活動のPDCAサイクルを管理しています。また、全社のリスク管理を統括する部門として危機管理室を設置しています。危機管理室長はリスク管理のために必要な社内会議に出席し、全社の総合的なリスク管理を行っています。リスク対応としては、危機管理規程を定め、経営危機が発生した場合には直ちに対策本部を設置し、状況に応じて適切に対応するための仕組みを構築するとともに、特に重要な事項についてリスクを極小化するための対策を行っております。

・気候変動・自然災害について

3.事業等のリスク」に記載しております。

・人材の確保について

3.事業等のリスク」に記載しております。

 

(3)戦略

当社グループは、中長期的な企業価値の向上に向けて、環境への配慮、社会課題の解決、ガバナンスなどの要素を含むサステナビリティ課題への対応が重要な経営課題であるとの考えに基づき、事業を通じて積極的に取り組む重点領域・重点課題を定め、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進し、リスク低減と収益機会の増大を図っております。

重点領域

重点課題

取り組み

環境

地球温暖化、食品ロス、プラスチック問題

生販一体の強みを活かした商品、原材料、エネルギーのムダのない利用

健康

超高齢化社会、ワークライフバランス

全ての従業員がイキイキと活躍、安心して働き続けられる環境づくり、風土醸成

健康寿命の延伸

お客様のココロとカラダの健康に貢献する商品・サービスの提供

共創

地域・コミュニティとの共創

生産者の方々や取引先などとの相互理解、連携による社会課題の解決

経営基盤の強化

ガバナンス、自然災害などへの危機対応

信頼される企業市民としてのガバナンス強化と危機対応のためのBCPの作成

 

<気候変動への対応>

当社グループは、事業における気候変動のリスクと機会を明らかにし、適切な対応策を検討するために2022年に実施したシナリオ分析においては、環境省や国際エネルギー機関(IEA)などの情報を基に、2030年の世界を想定した2つのシナリオ、世界の平均気温が4℃以上上昇する「4℃シナリオ」と、パリ協定で合意された2℃未満の上昇に抑えられる「2℃シナリオ」について分析を行いました。2℃シナリオでは、気候変動による影響により原材料の品質低下や生産量の減少が予想され、これに伴い調達コストが上昇することがわかりました。また、環境関連の規制強化や炭素税導入などの対策が進むことで、移行リスクが高まることもわかりました。一方、4℃シナリオでは、異常気象などの物理的リスクが高まり、災害の激甚化が生産・物流・販売拠点に被害をもたらす可能性があります。また、原材料不足や使用可能な原材料の品目数の減少により、商品開発に制約が生じる可能性も考えられます。これらの要因は、当社グループが理念に掲げる「豊かなライフスタイルの創造」の実現に大きな影響を及ぼす可能性があることを示しています。

2030年の世界においては、物理リスクよりも移行リスクが、利益に与えるインパクトは大きいと試算しております。その対策として、環境に配慮した消費者の行動変容への対応や、新たな技術・環境対応型素材の活用により、温室効果ガスの削減を進めております。さらに、当社グループのビジネスモデルを活かし、原材料の生産者と消費者をつなぐサプライチェーン全体への影響力を発揮し、持続可能なフードシステムを構築していくことを目指しています。

また、ロック・フィールドメンバーズを中心としたお客様に対し、当社グループの取り組みや想いを伝え、価値共感の輪を広げていくことが、機会の拡大につながると考えています。また「ビジョン2030」と中期経営計画には、このシナリオ分析を反映させており、今後も継続的にリスクと機会を見直し、対応策の実施を進めてまいります。

 

気候変動シナリオに基づく事業への影響

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リスク対応策と機会

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<人的資本について>

当社グループの成長の原動力は人財です。その人的資本の考え方をベースに、「ビジョン2030」実現に向けた「5つの約束」として、仲間のチャレンジを奨励し、個人と会社が共に成長できる風土をつくることを宣言しました。従業員ひとりひとりがより広い視野と高い視座、豊かな創造力と感受性を持ってチャレンジしていくことが必要であり、仲間のチャレンジを積極的に応援し、互いに高め合い、連携し合うことで、個人も会社も成長していくことを目指すべく、多様な人財の活躍促進に向けて人事制度を刷新し、健康経営の推進として健康方針に基づく取り組みを推進しております。

 

「ビジョン2030」実現に向けた約束

施策

取り組み

仲間のチャレンジを推奨し、個人と会社が共に成長できる風土をつくる

多様な人財の活躍促進

人事制度

の刷新

経験や保有能力を軸とした制度から役割や成果を軸とした制度への変更

勤務地・勤務時間の選択区分による4つの働き方コースの新設

プロフェッショナル人財の成長を奨励・支援する制度の導入

女性活躍への取り組み

育児をしながら安心して働けるよう、神戸ヘッドオフィス・ファクトリー、静岡ファクトリーに企業内保育室を設置

健康経営の推進

健康宣言・健康方針に基づく取り組み

従業員レストランで当社が推奨する健康的な食事の摂り方「2:1:1食事バランス」に則ったメニューをはじめ、栄養バランスのとれた食事を提供

アプリを活用した社内ウォーキング大会の開催などを通じて運動習慣者を増やす取り組みの実施

従業員の健康意識を高めるために、毎月「食」「運動」「睡眠」をテーマに健康情報を発信

ストレスチェックの集団分析や健康診断、また全社員が実施している当社独自の自己申告制度の意識調査において従業員の心と体の健康をサポートできる施策の実施

 

※健康宣言・健康方針

https://www.rockfield.co.jp/sustainability/society/humancapital/health/

 

(4)指標及び目標

<気候変動への対応>

当社グループは、温室効果ガス(GHG)排出抑制に向けて、GHG排出量の削減率を指標とし、2031年4月期までにScope1とScope2の排出量を2019年4月期比で30%削減する目標を設定しております。また、食品の製造小売企業として、資源の有効活用を気候変動に関連する重要な取り組みと位置付け、「店舗における食品ロス発生量」「生産拠点における食品残渣発生量」「化石燃料由来のプラスチック使用量」についても、非財務目標に設定し目標達成に向けて全社的な活動を推進しております。

 

環境(E)取組項目

基準年

2031年4月期目標

温室効果ガスの排出量(Scope1&2)

2019年4月期

30%削減

店舗食品ロス発生量

50%削減

ファクトリー食品残渣発生量

30%削減

化石燃料由来のプラスチック使用量

50%削減

 

<人的資本について>

当社グループは、人的資本の戦略に基づき、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

 

施策

指標

目標

2026年4月期

実績

(2024年4月期)

多様な人財の

活躍促進

女性の管理職比率

15.0%

11.4%

女性の監督職比率

35.0%

31.0%

男性労働者の育児休業取得率

75.0%

71.4%

障がい者雇用率

2.7%

2.3%

定年退職後の再雇用率

95.0%

90.9%

健康経営の推進

健康経営優良法人(大規模法人部門)認定

継続認定

認定済

適正体重維持者率

67.0%

66.2%

運動習慣者率

24.0%

22.5%

(注)全て期末時点の目標及び実績であります。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)事業運営に関するリスク

 

①食の安心・安全の確保について

当社グループは、「安心・安全」を価値観に据え、お客様が安心してご利用いただける惣菜を提供するため、品質保証部による法定の食品衛生検査はもとより、HACCPに沿った衛生管理を徹底しております。また、原材料のトレーサビリティや残留農薬の自主検査等を強化し、安全性と信頼性の確保に努めております。しかしながら、食中毒の発生や期限表示の誤りなど、安全性に問題が発生した場合、お客様の信頼を失い、ブランドイメージの毀損や、店舗の営業停止に伴う売上・利益の減少、商品回収に伴う費用が発生する可能性があります。

 当社グループはこれらのリスクに対応するため、品質保証部による定期的な監査を通じて取引先の衛生管理や表示管理体制を確認するとともに、購買本部と取引先との連携により、有事に速やかに対応できる協力体制の構築に取り組んでおります。

 

②人材の確保について

当社グループの惣菜事業は労働集約型の産業であり、従業員は経営を支える柱であります。特に、店舗及びファクトリーでは6,554名(2024年4月30日時点)のパート従業員を雇用しており、今後、少子高齢化が進む中で人材確保が重要な課題であると認識しております。人材の確保が困難な状況に陥った場合、新規出店や生産量の抑制、時給上昇による人件費の増加等が発生し、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、パートタイム労働者の処遇改善に関する法改正が行われた場合、企業側が負担する人件費の増加や対応の遅れによる法令違反の可能性があります。

 当社グループはこれらのリスクに対応するため、販売店舗や生産ラインの生産性向上、機械化・少人化への取り組みを継続するとともに、子育て世帯をサポートする企業内保育所の運営等、労働環境の改善や柔軟な働き方を可能にする取り組みを行うとともに、労働関係法令を遵守するための社内体制を整備しております。また、従業員が働きやすく、風通しのよい職場作りに取り組むとともに、ハラスメントなど職制ラインによる解決が難しい場合に利用できる従業員相談窓口(ホットライン)を設置しております。なお、相談内容が重大なコンプライアンス違反と認められる場合には、コンプライアンス委員会にて対応し、取締役会に報告する体制を構築しております。

 

③原材料の調達について

当社グループは、野菜をはじめとする農産物、水産物、畜産物など、多くの自然の恵みによって支えられています。特にサラダの原材料である野菜に関しては、国内の契約農家や生産者との長年の取り組みを通じて、信頼関係に基づく安定的な調達体制を築いてきました。しかしながら、担い手不足に加え、近年では異常気象や自然災害(台風、干ばつ、洪水など)が多発しており、これらが収穫量や品質に大きな影響を及ぼすことで、原材料の供給不足や品質低下が生じ、商品の生産や供給に支障をきたす可能性があります。

当社グループはこれらのリスクに対応するため、引き続き契約農家や生産者との信頼関係を築いていくとともに、新たな調達産地の開拓や複数の調達ルートを確保することで、質と量の両面において、安定した原材料の調達に取り組んでおります。

また、牛肉や魚介類等の一部の原材料は輸入しており、急激な円安の進行や世界的な食糧獲得競争の激化による原材料価格の上昇や、地政学的リスクによる輸送の停滞が発生することで、原材料の供給不安や調達コストの上昇が予想されます。

 当社グループはこれらのリスクに対応するため、国際情勢や世界経済の動向を注視しながら、生販一体のビジネスモデルの強みを活かした先行調達による調達リスクの軽減や、一部の輸入原材料を国産化する取り組みを推進することで、柔軟かつ適切に対応できる調達体制の構築を進めております。

 

④マーケットの変化と市場創造について

当社グループは、創業以来、生活者の潜在的なニーズを掘り起こすための商品の企画力・開発力を磨き、まだ世にない商品・サービスを提案し続け、「惣菜」を世の中に拡げてきました。一方、食品業界は消費者の嗜好や需要の変化に敏感であり、新たな食のトレンドや業界の垣根を越えた競争が激化するとともに、新型コロナウイルス感染症をきっかけとした生活者の行動や意識の変化により消費者ニーズが多様化するなど、国内マーケットは急激に変化しております。これらの環境変化に迅速に対応できない場合、競争力やブランド力の低下が生じ、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループはこれらのリスクに対応するため、生活者の変化や食のトレンドを先読みし、「惣菜」を通して価値を提供するべく、引き続き、惣菜の新しい価値を生み出す革新力や商品の企画力・開発力を強化してまいります。

 

⑤出店施策について

当社グループは、百貨店や駅・駅ビルを中心に店舗展開を行っております。今後も出店先の各種条件を勘案し、百貨店、駅・駅ビル等への積極的な店舗展開を行っていく方針です。しかしながら、日本国内における景気の変動やそれに伴う消費動向の変化などにより、経営効率の改善等を目的として不採算店舗の撤退やブランド再構築のための業態変更・統合を行うことも予想されます。このような場合、一時的に退店費用等の多額の損失が発生する可能性があり、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループはこれらのリスクに対応するため、市場の動向を把握しながら、郊外の駅ビル・商業施設、都市部の再開発等に合わせた新規出店や、オンラインショップ、外販(卸)の取引拡大等、生活者の変化に応じた販売・出店施策を推進し、出店立地に応じたブランドの活用を通じて、出店地域でのシェア拡大と利益の最大化に取り組んでおります。

 

⑥商品・原材料の配送について

当社グループの惣菜事業は全国の店舗に365日、日配でチルド商品を配送しており、異常気象や交通事故等の要因により、配送遅延や商品の破損等の問題が発生し、商品が店舗に届かないリスクが存在します。また、2024年問題によるドライバーの就業規制の厳格化を契機として、今後もドライバー不足による納品への影響や人件費の高騰による運賃の上昇が予想されます。

当社グループはこれらのリスクに対応するため、継続的に取引先との連携を強化し協働を図りながら、配送条件等の見直しや積載率及び運行効率の向上等に取り組むことで、安定した供給体制の整備を進めております。

 

(2)経営基盤に関するリスク

 

①気候変動・自然災害について

 近年、異常気象による自然災害は、頻発化・激甚化しております。当社グループの主要な生産拠点である神戸や静岡、また主要な販売拠点である首都圏や関西地区等において大規模な自然災害が発生した場合、生産ラインの中断や販売店舗の休業による売上減少、建物・設備の修繕等に伴うコスト増加のリスクがあります。さらに、原材料の産地において水災や風災等の被害が発生した場合、調達価格の上昇や供給不足といったリスクが生じる可能性があります。また、気候変動に対する政策や法的規制の強化、温室効果ガスの排出に関連する法的規制の強化や新たな税制の導入によるコストの増加により、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループはこれらのリスクに対応するため、有事の際には被災したファクトリーの製品を他のファクトリーでも生産できる相互補完的な体制の構築や、オンラインショップや外販(卸)等の強化による販路の多様化を目指しております。また、天候不順等による調達リスクを極小化するために、調達地域の分散や原材料の計画的な調達に積極的に取り組んでおります。さらに、当社グループでは風力発電や太陽光発電の設置、非化石燃料電源やカーボンニュートラルLNGの導入、環境配慮型の包装資材への切り替え等、温室効果ガス排出抑制に向けた取り組みを推進しております。

 

②情報セキュリティについて

当社グループは、会員サイト「ロック・フィールドメンバーズ」を運営し、多数の会員の個人情報を保持しております。これらの個人情報や会社の機密情報等の重要な情報の紛失、漏洩、改ざん等を防止するため、システムを含め、情報管理において適切なセキュリティ対策を実施しております。しかしながら、自然災害やコンピュータウイルス感染、サイバー攻撃等の予期しない事態により、情報システムが崩壊し、停止又は一時的な混乱が生じる可能性や、顧客情報を含む内部情報の紛失、漏洩、改ざんのリスクが存在します。これらの事態が発生した場合、営業活動に支障をきたすだけでなく、個人情報流出等による企業価値の毀損を招き、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループではこれらのリスクに対応するため、復旧用サーバーをクラウド環境に設置し、自然災害等によるシステム停止を回避しております。また、サイバー攻撃への具体的な対策を強化するためにペネトレーションテストを実施し、強化すべきポイントを明らかにし、セキュリティ対策を行っております。また、セキュリティ対応方針を整理するためにハード・ソフト対策のみならず使用方法・教育を含めたセキュリティポリシーを策定し、優先順位を決めて、より効果的な対策を実施してまいります。

 

 

③法的規制のリスクについて

当社グループの惣菜事業に関する主たる法的規制は「食品衛生法」「食品表示法」「水質汚濁法」「製造物責任法(PL法)」「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)」等が関係しております。これらの法的規制が強化されたり、予期しない新たな法的規制が導入された場合、設備投資等の新たな費用が発生・増加することが予想され、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループはこれらのリスクに対応するため、法改正に関する情報収集に取り組むとともに、食品衛生や環境に関する法定基準に加えて、自社基準をより厳格に設定し運営を行うことで、法的規制による予期せぬ費用の発生を最小限に抑える取り組みを行っております。

 

④サプライチェーンにおける人権リスクについて

当社グループの惣菜事業では、原材料の調達から生産、物流、販売まで、多くの人々が関与しており、企業の社会的責任を果たすためにはサプライチェーン全体で人権に関するリスクを管理することが重要であると考えております。これまで、取引先との関係におきましては、下請法やパートナーシップ構築宣言の遵守等、公平かつ公正な取引を推進し、また従業員との関係におきましては、従業員相談窓口(ホットライン)の設置等、安心して働ける環境の整備に取り組んでまいりました。また、日本でもサステナビリティ経営の一環として、ビジネスにおける人権が重要な課題と認識されるようになり、2022年9月に経済産業省が公表した「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」により、企業が遵守すべき行動が具体的に示されました。これらガイドラインに沿った適切な取り組みをしない場合、お客様及び取引先からの信頼を失うリスクが存在します。

 当社グループではこのようなリスクに対応するため、「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」で求められている人権方針を2023年6月に策定しました。併せて調達方針を策定し、取引先からの通報・相談のホットラインを開設しました。今後は、人権リスクや人権へのマイナスの影響を調査・評価し、それらを予防・軽減・是正する取り組みを進めてまいります。

 

⑤感染症等によるパンデミックの発生について

当社グループは、百貨店や駅・駅ビルなどの商業施設で店舗展開を行っており、これらの施設では、新型コロナウイルス感染症が拡大した際には、緊急事態宣言の発出により、臨時休業や営業時間の短縮といった制限を受ける状況に直面しました。感染症の国内での拡大や、社内での集団感染が発生した場合、関連する事業所や生産ライン又は販売店舗を一時閉鎖する必要が生じ、事業継続が困難になる可能性があります。

 当社グループはこれらのリスクに対応するため、感染症が拡大し、パンデミックに陥った場合に備え、危機管理規程に基づく対策本部の設置を定め、適切な管理体制を構築しております。また、従業員の安全と健康を最優先に考え、適切な対応を徹底することや、感染者が発生した場合の事業継続計画(BCP)等を通じて、影響を最小限に抑える取り組みを行っております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」と

いう。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

当連結会計年度(2023年5月1日~2024年4月30日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、社会経済活動の正常化や個人消費の持ち直しにより、緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、緊迫した世界情勢に加え、円安の進行やエネルギー・原材料価格高騰の長期化に伴う物価上昇等もあり、依然として先行き不透明な状況が続いております。

中食・惣菜業界におきましても、エネルギーや原材料価格の高止まりに加え、労働人口減少による人手不足や最低賃金の引き上げによる人件費の高騰の影響が大きくなっております。また、ベースアップ等で賃金水準は上昇に向かっているものの、物価高の影響で実質賃金は減少が継続しており、生活者の節約志向が高まるなど、引き続き厳しい状況となっております。

このような状況のもと、当社グループにおきましては、創業50周年を機に2022年6月に発表した「ビジョン2030:食の可能性を切り拓き、豊かな未来を共創する。SUSTAINABLE FOOD COMPANY」と、2023年4月期を始期とする3ヶ年の中期経営計画達成へ向け、「商品力・技術力の進化」「新たな顧客接点の拡充」「経営基盤の強化」の3つの基本戦略の取り組みを推進しております。

 

1.商品力・技術力の進化

サラダや料理など、商品の付加価値向上に取り組みました。冷凍食品におきましては、「RFFF(ルフフフ)」と「神戸コロッケ」のブランド認知度向上や利用機会の促進を行い、外販(卸)の本格化に向けたマーケティング強化に取り組みました。

2.新たな顧客接点の拡充

2023年6月よりロック・フィールドメンバーズの「ファンポイントプログラム」に4つの会員ステージを導入し、ファン顧客づくりと長期的な関係性構築へ向けた取り組みを行いました。また、ご自宅へお届け可能なクリスマス・年末年始商品の拡充やオンラインショップの利便性向上によって、予約販売を伸ばすとともに、会員数も2024年4月末時点で26万名を超えるなど、想定を上回るペースで会員数が増加しました。

3.経営基盤の強化

・人財の活躍促進

2022年7月に刷新した人事制度の理解浸透を図るとともに、当社の競争力の源泉として今後の会社の成長を牽引するプロフェッショナル職群に関するランク認定及び任用ルールを新たに策定しました。

・ESG基盤の強化

社内で実施した取締役会の実効性評価アンケートの結果を受けて、中長期戦略につながる議論の機会を増加させるなど、取締役会の実効性向上及びガバナンス強化に取り組みました。

環境保全の観点から、2023年8月より静岡ファクトリー及び企業内保育所「風車の丘保育室」において、購入電力を再生可能エネルギーへ切り替えました。

・生産性向上・効率化の取り組み

店舗におきましては、業務の標準化と売上規模別のマンニングの最適化を推進するとともに、自動発注や適正在庫の自動設定などデジタルを活用した取り組みを行いました。生産部門におきましては、生産パーツ数のコントロールや削減に取り組み、3つの生産拠点における生産最適化を行いました。間接部門におきましては、人事・労務管理部門で新たな業務支援システムを導入し、各部門の労務管理業務の効率化も見据えたデジタル化を推進いたしました。

 

主な業態別の概況は以下のとおりであります。

 

 「RF1」におきましては、「野菜、“才”発見。」のメッセージのもと、店頭やブランドサイトにおいて、野菜の魅力の発見と、更なるブランドへの愛着や共感の醸成の情報発信強化に取り組みました。また、月ごとにテーマとなる野菜を設定し、「甘さ際立つ『ホワイトコーン』のサラダ」や「熊本県産『カワカミ蓮根』のサラダ 柚子の香り」などの商品や、「京野菜入り 緑の30品目サラダ」や「香川県産アスパラガス『さぬきのめざめ』のサラダ」など、こだわり素材の魅力を伝える商品を提案しました。また、クリスマス・年末年始には「待っていた時間が、輝きはじめる。」をテーマに、大切な人との集いの時間を楽しんでいただくためのサラダや料理・オードブルなどの提案を行い、売上高は31,413百万円(前期比1.6%増)となりました。

 

「グリーン・グルメ」におきましては、ブランドメッセージである「多彩な食卓、豊かな暮らし」のもと、セレクトショップとして「RF1」のサラダを中心に、「いとはん」「融合」のサラダや料理の提案を強化いたしました。旬の素材を使用した「旬を楽しむ  無花果と燻製ハムのサラダ」や「涼を味わう きすのみぞれ添え」「牛いちぼのローストとグリルコーンのサラダ」など、和・洋・アジアの味わいを提案し、売上高は10,169百万円(前期比2.8%増)となりました。

 

「いとはん」におきましては、コクと甘みが美味しく、粒皮が薄くて食べやすい品種のとうもろこし「恵味」を使用した「とうもろこし『恵味』の和さらだ」や、旬の筍の食感と桜海老の香りを楽しむ「京都産筍と桜海老の磯辺揚げ」、秋田県の郷土食「いぶりがっこ」にクリームチーズを合わせた「秋田名物いぶりがっことクリームチーズのポテトさらだ」など、旬の素材や和の調理法を活用した和さらだや料理の提案を行い、売上高は3,648百万円(前期比5.8%増)となりました。

 

「神戸コロッケ」におきましては、定番商品である「シンプルなじゃがいもコロッケ」「旨み堪能 牛肉コロッケ」などのブラッシュアップに加え、季節素材を使用した「宮崎県産新ごぼうのコロッケ」「徳島県産れんこんのコロッケ」、歳時記限定として「明太ポテトのハートコロッケ」「にゃんこロッケ」などの提案を行い、売上高は3,028百万円(前期比3.2%増)となりました。

 

「融合」におきましては、2001年創設からの歩みを振り返り、文化と文化がまざりあう多彩なアジアの食を提供する業態として2023年9月にリブランディングを実施し、ブランドステートメントとロゴマークを刷新しました。また、「冷やしトムヤムヌードル」をはじめとしたアジアの麺や、「鰹とみょうがの生春巻き」「レモングラス香る サーモンの生春巻き」「鶏肉と生姜の揚げ春巻き」などの新商品提案を行い、売上高は951百万円(前期比0.6%増)となりました。

 

「ベジテリア」におきましては、ケールと季節素材を組み合わせた「フレッシュケール&デラウェア」「フレッシュケール&紅ほっぺ」や、旬の素材を使用した「長野県小布施の青りんご ブラムリー」「福岡の香る柑橘『果のしずく』」、健康サポートとして「ビタミンCサポート アセロラ&ベリー」「紫の果実と野菜&カスピ海ヨーグルト」などの提案を行い、売上高は875百万円(前期比11.8%増)となりました。

 

「外販(卸)」におきましては、冷凍食品ブランド「RFFF(ルフフフ)」及び「神戸コロッケ」について、ECサイトや地域密着型の小売店を中心に、引き続き取引先及び取扱い店舗を積極的に拡大し、売上高は743百万円(前期比16.4%増)となりました。

 

「その他」におきましては、当社オンラインショップにてロック・フィールドメンバーズ会員との継続的な関係づくりを目的に、2024年1月から定期便シリーズ「毎月とどく、美食便」「うつわと料理の定期便」の展開を開始しました。また、連結子会社である岩田(上海)餐飲管理有限公司におきましては、2024年1月にRF1「南京IFC City Super店」を新規出店し、合計4店舗となりました。中国マーケット全体としましては、不動産不況の継続や雇用・所得を巡る不透明感を背景に、個人の消費意欲が低迷、百貨店への来店客数が減少しました。前年の上海市でのコロナ感染拡大対策による全店休業からの反動もあり、売上高は528百万円(前期比25.1%増)となりました。

 

以上の結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は51,357百万円(前期比2.8%増)、営業利益は1,738百万円(前期比15.8%増)、経常利益は1,785百万円(前期比14.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,252百万円(前期比16.1%増)となりました。

 

なお、当社グループは惣菜事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

②財政状態の状況

(単位:百万円)

 

前連結会計年度末

当連結会計年度末

比較増減

[資産の部]

 流動資産

 固定資産

 資産合計

 

 

19,399

16,647

36,046

 

 

19,391

16,630

36,022

 

 

△7

△16

△24

 

[負債・純資産の部]

 流動負債

 固定負債

 負債合計

 

 

6,110

  777

6,887

 

 

5,704

1,178

6,882

 

 

△406

401

△4

 

 純資産合計

 

29,159

29,139

△19

 

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて24百万円減少し、36,022百万円となりました。これは現金及び預金の増加341百万円や、売掛金の減少370百万円、棚卸資産の減少27百万円、その他の増加47百万円による流動資産の減少7百万円及び、有形固定資産の減少259百万円、無形固定資産の増加123百万円、投資その他の資産の増加118百万円による固定資産の減少16百万円によるものであります。

 

 負債合計は、前連結会計年度末と比べて4百万円減少し、6,882百万円となりました。これは主に、買掛金の増加28百万円、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金含む)の減少365百万円、リース債務の増加94百万円、未払金の減少157百万円、未払費用の増加18百万円、未払法人税等の増加258百万円、賞与引当金の増加3百万円、ポイント引当金の増加162百万円、その他の減少51百万円等によるものであります。

 

 純資産合計は、前連結会計年度末と比べて19百万円減少し、29,139百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加1,252百万円、配当金の支払による利益剰余金の減少585百万円、自己株式の取得等による減少762百万円、その他有価証券評価差額金の増加60百万円等によるものであります。

 以上の結果、自己資本比率は80.9%、1株当たり純資産額は1,115円44銭となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

比較増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

2,213

3,565

1,352

投資活動によるキャッシュ・フロー

△1,078

△1,244

△165

財務活動によるキャッシュ・フロー

△1,836

△1,983

△146

フリーキャッシュ・フロー

1,134

2,321

1,186

 

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて340百万円増加し、13,764百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、3,565百万円(前期比1,352百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,804百万円、減価償却費1,718百万円、売上債権の減少額371百万円、ポイント引当金の増加額162百万円、法人税等の支払額377百万円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、1,244百万円(前期比165百万円の増加 )となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出960百万円、無形固定資産の取得による支出215百万円、長期前払費用の取得による支出128百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、1,983百万円(前期比146百万円の増加)となりました。これは主に長期借入れによる収入500百万円、長期借入金の返済による支出865百万円、自己株式の取得による支出769百万円、配当金の支払額585百万円、リース債務の返済による支出262百万円によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績について、当社グループは単一セグメントとしているため、製品別に示すと次のと

おりであります。

なお、同一製品が複数業態で販売されるため、業態別の生産実績は記載しておりません。

 

製品別

生産高(百万円)

前年同期比(%)

サラダ

23,988

102.0

デイリー惣菜

16,895

101.0

フライ

8,783

107.8

神戸コロッケ

4,169

110.8

ベジテリア

1,150

111.8

合計

54,988

103.4

(注)金額は販売価格によっております。

 

b.受注実績

当社グループでは見込み生産を行っておりますので該当事項はありません。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績について、当社グループは単一セグメントとしているため、業態別に示すと次

のとおりであります。

 

業態別

販売高(百万円)

前年同期比(%)

RF1

サラダ

16,875

100.0

 

フライ

6,214

108.0

 

その他惣菜

8,324

100.6

 

小計

31,413

101.6

グリーン・グルメ

10,169

102.8

いとはん

3,648

105.8

神戸コロッケ

3,028

103.2

融合

951

100.6

ベジテリア

 

875

111.8

外販(卸)

743

116.4

その他

528

125.1

合計

51,357

102.8

(注)総販売実績に対し、10%以上に該当する販売先はありません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりでありま

す。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、2023年5月に新型コロナウイルス感染症の分類が5類に引き下げられたことにより社会経済活動の正常化が進み、特にレジャーや観光、飲食店の利用機会が増加しました。スーパーマーケットやコンビニエンスストアでは、このような市場環境の変化に対応するため多様なジャンルの惣菜が提供されており、競争環境が一段と厳しさを増しております。

 

 一方、世界的なインフレの影響による食品価格の上昇は消費者の購買力に対する圧迫要因となっており、足元では賃金の上昇が物価の伸びに追い付かず、個人消費は停滞しております。また、オンライン注文やモバイルアプリの普及に伴うデジタルプラットフォームの利便性向上や、天気予報の精度向上等により、消費者が効率的に買い物を行う傾向が強まっており、これらの消費行動の変化は当社グループの事業活動に様々な影響を与えております。

 

 このような環境の中、当社グループは2023年5月に定番商品を中心とした価格改定により、前連結会計年度より続いていた原材料・エネルギー価格上昇への対応の遅れをカバーし、その後も付加価値の高い商品の継続的な開発により価値に見合った価格の商品提案を強化してまいりました。また、冷凍食品の「RFFF(ルフフフ)」・「神戸コロッケ」は、外販を軸に立地、客層、チャネル、取引形態、配送網を踏まえた取引先の拡大を進め、ロック・フィールドオンラインショップでは、お好きなメニューをお好きな数だけ選んでご注文いただくと毎月定期的に商品が届く、定期購入サービスを開始しました。

 

 

 

前連結会計年度

(百万円)

売上高比率

(%)

当連結会計年度

(百万円)

売上高比率

(%)

売上高

49,970

51,357

売上原価

21,545

43.1

21,712

42.3

売上総利益

28,425

56.9

29,644

57.7

販売費及び一般管理費

26,924

53.9

27,906

54.3

営業利益

1,500

3.0

1,738

3.4

経常利益

1,564

3.1

1,785

3.5

税金等調整前当期純利益

1,546

3.1

1,804

3.5

親会社株主に帰属する当期純利益

1,078

2.2

1,252

2.4

 

経営成績の分析

a.売上高

 当連結会計年度における売上高は、付加価値の高い商品の提案強化により客単価が上昇したことや、都心店舗の来店客数の回復等により、前連結会計年度に比べ2.8%増収の513億57百万円となりました。また、既存店舗の売上高は前連結会計年度に比べ2.0%の増収となりました。一方、祝祭日や週末における需要は旺盛であったものの、日常的な需要は低迷する傾向が続き、想定していた来店客数の増加には至りませんでした。

 

b.営業利益

 営業利益は前連結会計年度に比べ15.8%増益の17億38百万円となりました。価格改定効果及び、環境への取り組みを通じた工場の電気使用量の削減等により、売上原価率は前連結会計年度に比べ0.8ポイント低減しました。一方、販売スタッフの時給単価見直しの影響等により、販売費及び一般管理費率は0.4ポイント上昇しました。

 

c.親会社株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度は、政策保有株式の売却により、特別利益を92百万円計上しました。また、店舗の固定資産の減損により、特別損失を73百万円計上しました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ16.1%増益の12億52百万円となりました。

 

d.経営指標の達成状況

 当社グループの経営方針、経営戦略の進捗状況を評価するための指標及び目標は以下のとおりであります。

 

2024年4月期実績

2024年4月期予想

2025年4月期予想(※)

売上高

513.5億円

519.5億円

534.6億円

営業利益

17.3億円

21.6億円

20.4億円

営業利益率

3.4%

4.2%

3.8%

ROE

4.3%

3.6%

 

※中期経営計画の最終期である2025年4月期の業績予想につきましては、当初の予想から修正しております。

 詳細につきましては2024年6月11日に開示しております「中期経営計画修正に関するお知らせ」をご参照く

 ださい。

 

 当社グループは、事業活動による収益性を示す「連結営業利益率」を重要な経営指標として位置付けており、当連結会計年度の目標を4.2%と定めておりましたが、計画売上の未達と、主に店舗スタッフの時給単価上昇による人件費の増加が影響し、連結営業利益率は3.4%となりました。

 

財政状態の分析

 当連結会計年度の財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度のキャッシュ・フローは、本業を通じた営業活動により得られた資金が35億65百万円(前期比13億52百万円の増加)、投資活動により使用した資金が12億44百万円(前期比1億65百万円の増加)、また、財務活動の結果使用した資金が19億83百万円(前期比1億46百万円の増加)であります。

 

 当社グループの資金の財源につきましては、主に百貨店との売上に関する契約に基づき安定的に売上金の回収を行っており、また、直営店におきましては現金販売が中心となっているため、早期にキャッシュの回収を行うことができることから、生産活動(原材料の購入、労務費、設備の修繕費等)及び販売活動(人件費や販売促進のための広告宣伝費等)などによる運転資金につきましては営業活動の結果得られた資金から支出可能な状況にあります。また、大規模設備投資等の長期的な資金需要につきましては金融市場の動向等を勘案し、金融機関からの長期借入金による資金調達を行っております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

6【研究開発活動】

  当社グループは、「私たちは、SOZAIへの情熱と自ら変革する行動力をもって、豊かなライフスタイルの創造

に貢献します。」という企業理念のもと、これまで培ってきた調理技術を活かした料理や、旬の素材の美味しさを最大限に活かしたサラダ等の提供を目的として、研究開発活動を行っております。

 当社グループの研究開発は、開発担当者11名が推進しており、当連結会計年度における研究開発費は、総額140百万円となっております。

 なお、当社グループは惣菜事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。