文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、天然調味料のリーディングカンパニーとして次の3点を経営理念としております。
1.天然調味料の生産を通して、健康で豊かな食文化に寄与し、広く世界に貢献する。
2.顧客第一主義を理念とし、時代のニーズに対応したより早く正確な事業展開を図る。
3.事業を通じて株式価値の最大化を目指し、株主にとって絶えず魅力ある会社とする。
当社グループは、天然調味料の持つ「美味しく、健康に良く、使い易い」という特徴を十分生かした製品の開発・成長に長年努力し、技術改革による製品の高品質化を行うとともに、特に安全衛生管理を万全の体制とし「食の安全」を確保し、収益力向上に邁進してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社は、投下資本に対するリターンの最大化を図ることにより、株主にとって魅力ある企業経営を行うため、中期的にROE(株主資本当期純利益率)およびDOE(株主資本配当率)を主な経営指標としております。このため、当社グループでは長期経営計画による着実な経営を行い、DOEを3.0%、ROEを長期的に10%以上をそれぞれ目標としております。
(3)中期的な会社の経営戦略
当社グループは、継続的に中長期的視野によって経営を行っております。日本国内における食品業界は成熟市場でありますが、天然調味料市場においては当社の諸施策により拡大が期待できること、また、その拡大に対する国内原料が不足すること、更には世界的にこの事業の発展の可能性が高いこと等を経営戦略の基本としております。
この経営戦略に基づき、国内では長崎県佐世保市の九州第1工場、及び佐世保市郊外の九州第2工場において、天然調味料の製造、研究開発を行っております。
海外では、中国(青島有明食品有限公司)、台湾(台湾有明食品股份有限公司)、フランス(F.P. Natural Ingredients S.A.S.)、ベルギー(Ariake Europe N.V.)に子会社・工場を、オランダ(Henningsen Nederland B.V.)、中国(日照有明食品有限公司)に孫会社・工場を持ち、また、2016年3月にインドネシアにPT. Ariake Europe Indonesiaを設立し、「世界7極体制」を構築して最適地生産体制を実現しております。
中期的な会社の経営戦略のポイントは、
1.天然調味料専業メーカーから、総合調味料メーカーへ広く事業展開し、企業価値を高める。
2.国内マーケットの徹底的追求による需要拡大と、世界マーケットの開拓を行う。
3.技術革新によって、世界のリーディングカンパニーに成長する。
具体的には次の4点になります。
① 少子高齢化が進行し縮小する食品マーケットで、総合調味料メーカーとして国内需要を喚起する。
② 技術革新による積極的な設備投資と低コストで高品質な商品を実現する。
③ 海外戦略を積極的に進める。
④ 企業価値を高める有効な資本政策を実施する。
これらの長期ビジョンに基づいた年度計画の着実な業績の積み上げと収益基盤の確立により、長期安定的に株式価値を向上させることが、当社に投資していただいている投資家に対しての責務と考え、当社の最終的な経営方針としております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、天然調味料事業が国内・海外とも、今後大きく成長する産業として、全世界に総額200億円の設備投資を実行しております。必要資金は自己資金によってまかなっておりますが、この事業を達成することが、広く食品マーケットに貢献し、当社グループの収益基盤の安定成長に寄与すると考えております。
従いまして、これらの諸施策により、企業価値を高めると同時に事業を安定的に運営するために、多くの友好的な投資家作りを継続的に行えるような資本政策を立案・推進いたす所存であります。
(5)次期の業績の見通し
当社グループは、引き続き独自の技術力と営業力を遺憾なく発揮して、既存商権の維持拡大と新規商権の開拓を進め、売上の増強と企業価値の向上に努めます。また、海外事業においては新たな規模の拡大を図り、更なる成長を目指します。
当社の競争優位の源泉として、次の3点があげられます。
①中国、ヨーロッパを始め海外に6箇所の生産拠点を有する、グローバルエンタープライズです。従って、良質で廉価な原料調達が可能となります。
②コンピューター生産方式による大規模工場を確立しています。製造原価は規模に比例して逓減します。
③約50年の長い会社の歴史の中で、経験曲線が生きています。スキルや工程の「カイゼン」等が蓄積されています。
これらの利点によって、高品質な製品を安価で生産する仕組みが出来上がっております。
当社グループは、世界的な天然調味料の需要拡大、および当社の国際市場浸透を図って、過去数年間全世界で200億円を超える大型設備投資を実施してまいりました。これら国内外の設備投資の果実は着実に実現しております。
2025年3月期の単体の売上高は47,520百万円と、2015年3月期(31,296百万円)から約52%増加、連結売上高は65,400百万円と、2015年3月期(40,915百万円)から約60%増加しております。
また、利益面では、2025年3月期の当社の当期純利益は6,380百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は8,206百万円となっております。
次期もまた当社グループの独自技術と最新設備を最大限に活用し、上記の特色を生かして安定的な収益を確保すべく、全力を尽くします。
アリアケジャパン㈱は、経営理念である、「価値ある天然調味料を通して、健康で豊かな食文化の発展に寄与し、広く世界に貢献する」ことを基本理念とし、事業活動とサステナビリティの調和により、持続可能な社会の形成に貢献してまいりました。
当社の事業活動のベースとなる天然調味料事業は、畜産系の副産物である鶏がら・豚骨・牛骨などから高付加価値のガラスープ、エキス類を製造するというサステナブルなものです。今後、天然調味料及びその関連製品である既存カテゴリーを更に成長させるとともに大豆や野菜を原料とするプラントベースの新規カテゴリーの製品をあらたに加え、2030年度に海外子会社を含めた連結での売上高1,000億円を目指しています。その成長の過程を価値創造のプロセスとして、事業活動と連動し、気候変動対策の推進、持続可能な調達、資源の保全と有効利用、ダイバーシティーの推進、ガバナンスの強化などサステナビリティの課題に取組むことで社会的課題の解決に貢献し、持続可能な社会の実現を図ります。
当社は、昨年2024年8月に、アリアケジャパン サステナビリティ2023を作成し、当社のサステナビリティ経営について、広く対外的に開示を行いました。本年度は、最近制定の SSBJ開示基準(2025年3月)に基づき、サステナビリティ関連のリスク及び機会の分析とその開示、2030年度の排出削減目標の策定を行いました。今後も対外的開示の精度向上に務め、よりレベルの高いSSBJ開示基準準拠を目指して参ります。
本年度の開示につきましては、特にScope1,2について、当社の海外工場の排出データ等を収集し、精度の向上を図りました。今後はサプライチェーン排出量でもある、Scope3の算定・開示についても積極的に進めて行く所存であります。
尚、2024年度から企業の環境に与える影響についての情報収集・開示を行う国際的イニシアティブの一つであるCDPの認証取得にも対応しており、今後も開示のレベルを上げながら同認証機関のランクアップにも努めていく所存であります。(2024年評価:ランクC)
(1)ガバナンス
サステナビリティに関するリスク及び機会を監視し、管理するために、「サステナビリティ管理規定」を定め、サステナビリティ委員会を設置し、原則として四半期に一回開催し、サステナビリティに関する方針、取組むべき課題及び施策の検討、施策の進捗状況の確認、環境への取り組みや政府の政策に対する対応、自然への依存・影響を議論し、その結果を取締役会に報告いたします。
また、アリアケグループで働くすべての従業員は人々の健康と安全に深くかかわる「天然調味料」事業に携わるものとして、コンプライアンスはもとより、高い倫理観と誠実性、公正性に根差した社会良識をもって行動するよう「アリアケ企業行動基準」を定め、そのポリシーを浸透させています。
多様なステークホルダーの期待、信頼にこたえるため積極的かつ適正なコミュニケーションを図るとともに企業価値の向上に努めております。
「サステナビリティ委員会」
サステナビリティ経営を推進し、持続可能な社会の形成に貢献するため、2022年4月にサステナビリティ委員会を設置いたしました。当委員会は、原則として四半期に一回開催し、サステナビリティに関する方針、取組むべき課題及び施策の検討、施策の進捗状況の確認を行います。尚、サステナビリティ委員長でもある取締役社長自らが積極的に議論に参加し、環境対応への意識向上に務めることを通じ、全社的なサステナビリティ推進に大いにプラスとなると考えております。
「サステナビリティ経営方針」
1.天然素材を活かした事業そのもので循環型社会の構築に貢献
2.世界7極体制を基盤としたグローバルな成長
3.事業活動を通じて環境・社会課題を解決
4.時代のあらゆるニーズに応えるイノベーションの追求
(2)シナリオ分析
①「手法」
シナリオ分析では、気温上昇が1.5℃に抑えられた世界、気温上昇が4℃に進む世界などを想定し、各シナリオにおいて、気候変動が企業の財務に与えるリスクと機会を分析いたしました。
分析にあたっては、国際エネルギー機関(IEA)、国連気候変動政府間パネル(IPCC)の設定するシナリオを参照いたしました。各シナリオにおいて、産業ごとに、短期(1年未満)、中期(1~3年)、長期(3~10年)におけるリスクと機会の有無を判断し、当該産業が当社の調達・売上額に占める割合から、リスクや機会の大きさを高、中、低の3段階で評価しました。
②シナリオ分析結果 – 移行リスク(1.5℃シナリオ: NZE2050 )
・現行の規制においては、省エネ法や温対法等が短・中期的に変更される可能性が低いことを踏まえると、短中期の影響度は中程度でありますが、長期的にはこうした規制が厳しくなることが予想され、それに伴って食品業界と商業を含む各業界で調達価格の高騰などが起こる可能性があるため、長期的な影響度は高くなりました。新たな規制においては、中長期的にカーボンプライシング制度(炭素税、GX-ETSなど)の導入が進み、時間の経過とともにCO2排出権の価格高騰、規制強化などが進むと予測されていることから、食品業界と商業を含む各業界で調達価格の高騰などが起こる可能性があるため、中長期的影響が高くなりました。
・法規制リスクにおいては、 低炭素燃料の導入が予想より遅れること、低炭素技術の開発が遅れることから、当社の調達先として取引金額が大きいガス・電力会社や運輸業界等、排出量が大きい業界を中心に各業界で脱炭素関連の訴訟リスク等が高くなることが予想されるため、中長期的影響が高くなりました。
・技術リスクについては、当社の主な取引先である商業・飲食料品業では低炭素製品や技術へのシフトが進み、投資コストの上昇の可能性があるため調達・売上ともに中長期的の影響が高くなりました。
・市場・評判リスクにおいては、気候変動への取り組みや技術開発の遅延により、当社の主な調達・売上先である商業や飲食料品業では消費者の嗜好面でのリスク、顧客や株主からの信用低下リスクが上がることから中期的な影響度が高くなりました。しかし、長期的には移行に適応することでリスクは中程度に下がると想定しております。
③シナリオ分析結果 – 機会(1.5℃シナリオ: NZE2050)
・市場:中長期的に、民間金融機関による支援制度などのインセンティブ制度が充実し、飲食料品業、商業分野で新たな市場への参入が促進されると予想されることから、当社にとっても機会が生まれると考えられます。
・レジリエンス:省エネ対策や再エネプログラムへの参加が中長期的に進むと予想されることから、調達先の運輸・郵便業や電力・ガス・熱供給業など使用エネルギー量の高い関係者にはメリットとなり、当社の財務に良い影響を及ぼすと考えられます。
・資源の効率性:中長期的には効率的建物への移行が進み、様々な業界において活動費が抑えられます。また飲食料品業や商業においては、中長期的に生産や輸送手段の効率化のメリットが進むと予想されるため、当社の財務にも機会が生まれると予想されます。具体例として、産廃処理の「抽出残渣」の一部をバイオマス発電資源に流用する取組があげられ、廃棄物減容と化石燃料由来電力の抑制に資するものと考えます。
・エネルギー源:低排出エネルギー源や新技術の活用には時間がかかると予想されるため、短期の機会は低いものの、エネルギーに関する政策インセンティブの利用や炭素市場への参画は中長期的に進むと予想されることから、結果的に調達・売上への影響力は「中」程度となることを想定しております。
・製品・サービス:上記同様、低排出製品・サービスの開発には時間がかかると予想されるため短期の機会は小さいが、中長期的には、低排出製品等の新製品やサービスの開発が進み、時間が経過するにつれてそうした動きが強まることが想定されることから、中期では影響度は中程度、長期では高程度となると想定しております。既に、大豆を原料としたマヨネーズタイプの調味料等、環境負荷の少ない植物性素材への切替え・商品化にも積極的に取組んでいます。
④シナリオ分析結果 – 物理リスク(4℃シナリオ:RCP8.5)
・急性
干ばつ、熱波、竜巻、地滑り、地盤沈下、山火事など多様な項目の影響を考慮した結果、多くの産業分野において、短中期的な影響は大きくないという分析結果となりました。一方、洪水、台風、熱波、大雨などは製造や農産物に対して長期的に負の影響を及ぼすことが想定されます。そのため、当社の調達先のうち商業や飲食料品業に負の影響を及ぼし、当社の調達に中程度のリスクをもたらすと考えられます。
・慢性リスク
温度変化、降水パターンの変化、海面上昇、熱ストレス、海洋の酸性化など多様な項目の影響を考慮した結果、短中期的には急激な変化は起きませんが、長期的には変化が起こり、産業によっては負の影響があると考えられました。上記の急性リスクと同様、当社の顧客のうち、商業や飲食料品業は慢性的リスクの影響を受けるため、長期的には当社の調達にも中程度の影響が及ぶと考えられます。
(3)GHG排出量の算定と目標設定
2023年度グローバル・グロスベースでのScope1、Scope2の算定を行い、GHG削減目標を設定いたしました。
① 2023年度 Scope1・2排出量の算定
2023年度における温室効果ガス排出量は、Scope1,2の総計で非化石証書削減を含まない場合は74,372.5t-CO₂(Scope1が53%/Scope2が47%)、非化石証書削減を含んだ場合は53,288.5t-CO₂ (Scope1が74%/Scope2が26%)です。
2023年度 Scope1・2排出量
Scope 1 グローバル排出量: 約
Scope 2 グローバル排出量: 約
Scope 1 (直接排出)エネルギー別排出量
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・Scope1の排出量は39,354.6t-CO₂でした。
・最大の排出源は、国内のLNG使用が16,978t-CO₂とScope1の43%、次にベルギーでのLNG使用が6,379t-CO₂でScope1の16%、フランスでのLNG使用が5,526t-CO₂でScope1の14%を占める結果となりました。
Scope 2 (間接排出:電気使用)
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・Scope2は、他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出に該当します。当社の場合、該当するのは他社から供給された電気のみとなります。
・Scope2の排出量は13,933.9t-CO₂(非化石証書削減含む)/ 35,017.7t-CO₂(非化石証書削減含まない)です。
② GHG削減目標設定
・削減目標の設定
目標設定のグローバルスタンダードであるSBTiの基準を参考に目標設定を行いました。
SBTiでは、2022年7月以降、Scope1&2について、1.5℃目標への準拠が必須となっています。
1.5℃目標に準拠し、基準となる2023年度から2030年までに42%以上削減することを目標設定の目安とします。
・目標値
Scope1,2のグローバルの排出量を基準年2023年度比、42%以上の削減を行い、GHG 排出量を2030年度には4万tに抑えることを目標といたします。
③ 具体的削減策
Scope1に対しては、排出係数の低い素材・燃料への切替えが主となります。具体的には、SAF燃料やバイオ燃料の利用や、GHG排出量が少ない代替フロンへの切替え、またScope1排出割合が高いヨーロッパ地区の工場の稼働に伴う燃料使用を一部電化する等の取組が考えられます。
また、継続的取組としては、従前からの製造工程の省エネ・省エネ化があげられます。食品製造業として、安全・衛生面が第一優先順位であることに変わりはありませんが、それを満たした上で、引続きエネルギーの効率化にも取り組んで参ります。
Scope2に対しては、使用電力の再エネ化、それが難しい場合は非化石証書等の活用による実質再エネ化により、全体の排出量を落としてまいります。尚、国内工場の稼働に伴う電力に対しては、既に非化石証書の購入により実質電力再エネ化によるゼロ化を実現しており、この取り組みについては、引続き継続して対応してまいります。海外拠点でも今後同様の取組を進めていく予定ですが、排出量の大きい中国・台湾・インドネシアでの対応が実効性も高いため、優先して冷凍・冷蔵設備/空調設備/チラーなどインバーターやスケジュール管理が出来る設備への更新が有効と考えます。
④ 今後の取組に向けて
本年度より、SSBJ開示基準に沿った開示・報告を開始いたしましたが、環境経営に対する取組にはゴールはなく、全社をあげた不断の取組が必要と考えています。当社は、天然素材を使用した食品メーカーであることから、自然環境に依存する割合いは極めて高い、と認識しています。今後は、Scope3の各カテゴリーの算定・開示・分析を通じて、従前以上に自然環境に配慮した事業展開を図っていく所存であります。
(4)事業活動とサステナビリティを調和させた成長戦略
「21世紀の食文化クリエイターとして、笑顔あふれるサステナブルな食の未来を築く」をミッションとして、事業活動とサステナビリティを調和させた成長を図り、2030年度には連結で1,000億円の売上を目指します。
「マテリアリティ特定プロセス」
関連する「社内外の課題」「リスクおよび機会」「ステークホルダーのニーズと期待」の3つの視点から課題を抽出し、その中からマテリアリティ(重要課題)を特定し、管理項目を設定いたしました。
「マテリアリティ(重要課題)」
① 天然素材の健康で安全性の高い特性を活かした高品質の製品を安定的に供給します。サプライチェーン全体を通じて、持続可能性の追求に取組みます。
② 健康志向、少子高齢化、食の個別化、気候変動リスクの低減、資源の有効活用など、社会環境の変化に対応した製品の開発、提供を行います。
③ 限られた資源を有効に活用し、省エネルギー、省資源、リサイクルの推進及び温室効果ガス、食品ロス、プラスチック等の廃棄物の削減を推進します。
④ 社員の人格、多様性を尊重し、一人ひとりの能力を発揮できる場と社員の成長の機会を提供し、創造的で活力のある環境作りに努めます。
⑤ ガバナンスを強化し公正な経営体制を築くとともに、積極的かつ適正なコミュニケーションを図り、ステークホルダーの期待、信頼に応えてまいります。
「サステナビリティに関する重要なリスク及び機会」
特定したマテリアリティを踏まえ、重要なリスク及び機会を具体的に抽出し、管理項目を設定いたしました。
① 事業活動によるサステナビリティへの貢献
天然調味料事業そのものが循環型社会の構築に貢献する機会と捉え、更なる販売拡大を図ります。
・天然調味料及びその関連製品である既存カテゴリー製品群の拡販
・大豆や野菜を原料とするプラントベースの新規カテゴリーの製品の開発、製造及び販売
② 気候変動リスクの低減
事業活動からの二酸化炭素発生による気候変動へ与える影響を大きなリスクと捉え、GHG排出量の削減を最重要課題として取り組んでおります。
・再生可能エネルギー電力への転換
・太陽光発電の導入
・LNG気化器の空温式への変更
・廃熱の回収、再利用
・高効率・省エネ設備への更新
③ 資源の保全と有効活用
生産に使用する原材料、水による資源の枯渇をリスクとして、また、未利用資源の活用による新規製品の開発、製造を機会と捉え、以下の取組みを推進しております。
・水の回収と循環再利用
・未利用野菜・タンパク質などの回収と有効利用
・浄化槽浮上廃オイルなどの回収と燃料化利用
・食品系産業廃棄物の削減と、バイオマス発電への一部利用
「人材育成及び社内環境整備に関する方針」
2030年度連結売上1,000億円という目標を踏まえた持続的な企業価値向上に向け、競争優位を支えイノベーションを通じて新たな市場を創出・獲得する上での原動力となる人材の確保・育成、イノベーションを生み出す環境の整備を計画的に実施いたします。また、社員の人格、個性を尊重し、一人ひとりの能力を発揮できる場と社員の成長の機会を提供し、創造的で活力のある職場環境づくりに取組みます。
なお、連結グループに属する全ての会社で実施されているものではなく、連結ベースでの記載が困難であることから、当社における内容を記載しております。
① 人材育成
成長戦略を踏まえ、目標の達成に必要な人材を明確にし、現状人材とのギャップを埋める人材の確保および育成を行います。求めるスキル獲得に必要なキャリアプランに沿った教育の展開、自己啓発の支援等を積極的に進めます。
・職制および将来期待する役割に応じた教育プログラムの実施
・次世代幹部育成研修の実施
・集合研修の実施
・専門職を中心とした中途社員の積極雇用と中核人材への登用、育成
② 社内環境整備
自由で前向きな議論が新たな価値創造へ繋がるよう、多様性を尊重すると共に、心理的安全性が保て個性や能力を発揮でき、成果とともに働きがいとやりがいが高まる環境整備を行います。
・心理的安全性の浸透を目的とした管理職研修の実施
・エンゲージメントのモニタリング(2023年度より)
・人事評価制度の再構築(2023年度より3ヶ年計画)
・女性活躍の推進
・働き方の拡大、働きやすい仕組み作り
・障がい者の積極雇用
・安全対策室安全課・安全衛生委員会を中心とした健康経営の推進
(5)リスク管理
サステナビリティ委員会において、関連する「社内外の課題」「リスクおよび機会」「ステークホルダーのニーズと期待」の3つの視点から課題を抽出し、その中からマテリアリティ(重要課題)を特定、管理項目を設定し、サステナビリティ実行チームが実現に向けて活動を行っております。
また、リスク管理全般につきましては、リスク管理委員会を設置し、代表取締役社長を議長としてリスクへの対応方法や課題について、協議、決定いたしております。
(6)指標及び目標
「サステナビリティに関する重要な取組指標」
特に取り組まなければならないマテリアリティにつきまして、中期計画における取組指標を以下のように設定いたしました。なお、今回の取り組みにおいて気候変動リスクの低減につきましては連結ベースで設定し、その他の項目につきましては単体ベースでの目標を設定いたしました。
① 事業活動によるサステナビリティへの貢献
・既存カテゴリー製品売上 2030年度目標 製品売上比率2020年度比23%増(KPI 1)
2024年度実績値 22.9%(2020年度売上比)
・新規カテゴリー製品売上 2030年度目標 製品売上比率 2030年度5%(KPI 2)
2024年度実績値 0.31%(2024年度売上比)
② 気候変動リスクの低減
・GHG排出量(スコープ1・2) 2030年度目標 2023年度比42%以上削減(KPI 3)
③ 資源の保全と有効活用
・水の使用量 2030年度目標 2020年度原単位比10%削減(KPI 4)
2024年度実績 16.6%(2020年度原単位比)
・食品系産業廃棄物 2030年度目標 2021年度原単位比20%削減(KPI 5)
2024年度実績 5.8%増加(2021年度原単位比)
※本年度より原単位比での目標値へ変更いたします。
「人材育成及び社内環境整備に関する取組指標」
人材育成及び社内環境整備に関する取組指標を以下のように設定いたしました。
なお、連結ベースでの目標設定等は困難であるため、当社における内容を記載しております。
① 人材育成に関する指標
・教育プログラム・次世代幹部育成研修受講者数 2021年度:250名 2022年度:247名 2023年度:242名
2024年度:156名
② 社内環境整備に関する指標
・採用した労働者に占める女性労務者の比率 2022年度:41% 2023年度:43% 2024年度:31%
・男女間賃金差
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対象 |
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
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全労働者 |
61.9% |
64.2% |
63.5% |
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正規社員 |
66.9% |
76.1% |
73.0% |
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有期・パート |
70.9% |
83.6% |
80.6% |
(注)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
・障がい者雇用比率 目標2.7%(2026年度)2021年度:2.5% 2022年度:2.4%
2023年度:2.5% 2024年度:2.5%
・健康診断受診率 目標100%(2026年度)2021年度:96% 2022年度: 99%
2023年度:98% 2024年度:100%
・ストレスチェック受診率 目標100%(2026年度)2021年度:92% 2022年度: 94%
2023年度:94% 2024年度: 96%
※当社のサステナビリティへの取組の詳細につきましては、当社ホームページをご覧ください。
https:// www.ariakejapan.com/ja/index.html
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経済状況・消費動向について
当社グループが製品を販売している市場は、その多くの部分を日本国内が占めております。金融緩和を背景として日本の景気に明るい兆しも出てきましたが、本格的な経済成長につながるか否か、更に見極めなければなりません。
景気動向、それに伴う需要の減少、または消費動向に影響を与えるような不測の事態の発生は、当社グループの業績、および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 市場環境について
当社グループの売上高のかなりの部分は、顧客への原料として供給されていますが、その顧客は激しく変動する消費者の嗜好に対応して、厳しい競争に晒されております。
当社グループは、こうした市場環境にあって、継続して「安全、安心」で「美味しく、健康に良く、使い易い」製品を提供できると考えております。
当社グループが市場の変化を充分に予測できず、市場にマッチした商品やサービスを提供できない場合は、将来における売上を低迷させるとともに収益性を低下させ、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 新規事業について
当社グループにとって、将来の成長のために新規事業は極めて重要であります。そのため過去数年間にわたり、全世界で200億円にのぼる設備投資を実施し、工場の新設・拡張を実行いたしました。これらの事業運営が不測の事態によって順調に進展しない場合、当社グループの成長が計画どおり実現しない可能性があります。また、事業戦略の一環として企業買収等を行うことがありえますが、買収後に予期せぬ障害が発生して想定外の時間と費用がかかり、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 海外の事業運営について
当社グループは、複数の国で事業を運営しております。これらの運営にあたっては、下記のリスクが内在しております。
・予期しない法律または規制の変更
・政治、経済の混乱
・テロ、戦争等による社会的混乱
これらの要因は、当社グループにおける事業運営の低下の原因となるリスクを孕んでおり、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) 為替レートの変動リスクについて
当社は、海外子会社から原料を輸入しており、為替相場の急激な変動により、当社の業績、および経営状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 公的規制等について
当社グループでは、事業活動を展開する各国において、様々な公的規制を受けております。これらの規制を遵守できなかった場合は、当社グループの活動が制限される可能性や、コストの増加を招く可能性があり、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 個人情報漏洩に伴うリスクについて
2005年4月から施行された「個人情報保護法」に関しましては、同法の趣旨に沿った体制を構築し、遵守に心掛けております。
しかしながら、万が一、個人情報が漏洩し、お客様などに重大な損失を与えるような事態が発生した場合、当社グループの社会的信用が大きく損なわれ、結果として当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 天災リスクについて
当社グループでは、生産ラインの中断による潜在的なリスクを回避するため、必要だと考えられる定期的な災害防止検査と、設備点検を行っております。
しかしながら、天災等による生産整備における災害を完全に防止できる保証はありません。こうした影響は、売上高の低下、コストの増加を招く可能性があり、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応に努める方針です。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済対策等により企業収益の改善や雇用に改善がみられ、景気回復基調で推移いたしました。一方、依然として海外経済の不確実性や地政学リスクの高まり等により、先行きは未だ不透明な状況となっております。
このような状況下で、当社グループは「世界7極体制」を構築しているグローバルエンタープライズとして、また、天然調味料におけるリーディングカンパニーとして顧客ニーズを先取りし、全世界の既存事業の拡充と、新規事業の積極的な展開を図りつつ、「食の安全」「健康」「おいしさ」を追求してきました。
その結果、当連結会計年度の経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ9,137百万円増加し、145,734百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,033百万円増加し、17,351百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ8,104百万円増加し、128,383百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高は65,400百万円(前期比5,419百万円増加)前期比9.0%の増加、営業利益は11,117百万円(前期比2,454百万円増加)前期比28.3%増加、経常利益は12,001百万円(前期比1,289百万円増加)前期比12.0%増加、親会社株主に帰属する当期純利益8,206百万円(前期比853百万円増加)前期比11.6%増加となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
当社グループは単一セグメントのため、セグメントの業績は記載しておりませんが、地域ごとの売上高は、日本は47,760百万円(前期比6.2%増加)、アジアは10,367百万円(前期比8.1%増加)、欧州は7,272百万円(前期比33.8%増加)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益が12,100百万円(前期比11.9%増加)と増加しており、有形固定資産の取得による支出減により、当連結会計年度末には資金残高は58,958百万円となり、前連結会計年度末より10,510百万円増加(21.7%増加)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、税金等調整前当期純利益が12,100百万円(前期比1,285百万円増加)と増加し、減価償却費2,145百万円を計上及び売上債権の減少が935百万円等により12,170百万円(前期比3,361百万円の収入増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、設備投資947百万円(前期比2,080百万円支出減)、投資有価証券の取得による支出4,024百万円、投資有価証券の売却による収入4,132百万円等により675百万円(前期比15,173百万円の収入増)の収入となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は3,537百万円(前期比255百万円の支出増)となりました。これは主に配当金の支払3,503百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績を区分ごとに示すと、次のとおりであります。
|
区分 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
液体スープ(千円) |
4,447,209 |
100.5 |
|
液体天然調味料(千円) |
51,787,851 |
107.3 |
|
粉体天然調味料(千円) |
5,473,434 |
106.2 |
|
その他(千円) |
2,788,425 |
102.4 |
|
合計(千円) |
64,496,920 |
106.5 |
(2)商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績を区分ごとに示すと、次のとおりであります。
|
区分 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
液体天然調味料(千円) |
897,945 |
89.1 |
|
粉体天然調味料(千円) |
32,949 |
78.3 |
|
合計(千円) |
930,894 |
88.6 |
(3)受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(4)販売実績
当連結会計年度の販売実績を区分ごとに示すと、次のとおりであります。
|
区分 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
製品 |
|
|
|
液体スープ(千円) |
3,278,182 |
101.4 |
|
液体天然調味料(千円) |
53,163,257 |
110.1 |
|
粉体天然調味料(千円) |
5,791,980 |
108.9 |
|
その他(千円) |
2,366,197 |
101.2 |
|
小計(千円) |
64,599,618 |
109.2 |
|
商品 |
|
|
|
液体天然調味料(千円) |
777,708 |
100.3 |
|
粉体天然調味料(千円) |
23,561 |
87.8 |
|
小計(千円) |
801,269 |
99.9 |
|
合計(千円) |
65,400,887 |
109.0 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
||
|
三井物産流通グループ㈱ |
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
6,673,351 |
11.1 |
6,337,289 |
9.7 |
|
ベンダーサービス㈱は、2024年4月1日に三井物産流通グループ㈱に社名変更しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末における流動資産は84,106百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,945百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が9,753百万円増加、有価証券が1,000百万円、受取手形及び売掛金が707百万円、及び棚卸資産が25百万円減少したことによるものであります。固定資産は61,628百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,192百万円増加いたしました。これは主に投資有価証券が1,476百万円増加したことによります。
この結果、総資産は、145,734百万円となり前連結会計年度末に比べ9,137百万円増加いたしました。
(負債合計)
当連結会計年度末における流動負債は10,711百万円となり、前連結会計年度末に比べ96百万円増加いたしました。これは主にその他が324百万円増加したこと、及び支払手形及び買掛金が100百万円減少したこと等によるものであります。固定負債は6,639百万円となり、前連結会計年度末に比べ937百万円増加いたしました。これは主に繰延税金負債が896百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は、17,351百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,033百万円増加いたしました。
(純資産合計)
当連結会計年度末における純資産合計は128,383百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,104百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益8,206百万円及び剰余金の配当3,503百万円によるものであります。
この結果、自己資本比率は87.2%(前連結会計年度末は87.2%)となりました。
2)経営成績
(売上高)
売上高は、顧客第一の姿勢を貫いて拡販に努めた結果、前連結会計年度に比べ9.0%増加の65,400百万円となりました。そのうち、アリアケジャパン㈱の売上高は前期比6.3%増加の47,520百万円、子会社の売上高は前期比17.0%の増加となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、前連結会計年度に比べ5.7%増加の45,675百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ6.2%増加の8,607百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ11.6%増加の8,206百万円となりました。
3)経営成績に重要な影響を与える要因について
日本の食品業界は成熟市場である中、少子高齢化が進んでおり、当社を取巻く環境は厳しくなっています。当社の主力製品である天然エキスは国民の生活形態の変化や健康志向を背景にその拡大が期待できます。しかし人口減が続く国内においてその成長は限定的であり、また、国内市場における競争が更に激しくなると売上高に影響を与える要因となります。かかる事業環境の中で当社は自社の技術力や商品開発力によって天然素材を活かした新製品の開発、販売による新たな市場の創出により持続的成長を図ってまいります。
天然エキスの需要が旺盛の中、畜産系原料の変動は収益に影響を与える要因となります。価格改定はその影響を軽減する一つの方策ですが、当社は日常より、工場、営業、本社においてコスト管理を徹底しており、また、工場においては生産効率化に向けたイノベーションを図っております。
国内における原料調達は、創業来50年以上の事業の中で安定調達が出来る仕組みが確立されております。また、海外子会社の工場より戦略的に一部の原料を調達しておりますので、不測な事態の発生により一時的に原料調達に支障が生じてもグローバルで補完出来る体制が出来ております。なお、海外子会社からも原料輸入をしており、為替相場の急激な変動により当社の業績、および経営状況に影響を与える可能性があります。
海外での天然エキスに対する需要も主に健康志向を背景にその勢いは増しており、天然素材をベースとした多様な需要があります。それに応えるため、また、海外子会社の更なる成長を図るために既存の海外工場の増設や一部見直しによる生産体制の再構築、或いは将来的に新工場を構築する場合に生じる設備投資はコストの増加要因となりますが、売上増によるコストの吸収を図ってまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
1)キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
2)有利子負債
当連結会計年度(2025年3月31日)の有利子負債の概要は以下のとおりであります。
|
|
連結決算日後の返済予定額(千円) |
||||
|
有利子負債 |
合計 |
1年以内 |
1年超3年以内 |
3年超5年以内 |
5年超 |
|
短期借入金 |
- |
- |
- |
- |
- |
|
長期借入金 |
- |
- |
- |
- |
- |
|
リース債務 |
18,032 |
8,268 |
9,046 |
717 |
- |
3)財政政策
当社グループの運転資金の需要のうち主なものは、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資および有価証券の取得等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金を基本としており、設備投資資金の調達につきましては、自己資金を基本としております。
なお、当連結会計年度末における連結ベースの流動比率は785%、現金及び現金同等物の期末残高58,958,861千円に対し、リース債務を含む有利子負債の残高は18,032千円となっております。
4)目標とする経営指標の達成状況等
2026年3月期をゴールとする3カ年中期経営計画の経営目標に対し、当連結会計年度の売上高成長率は2年目の計画比104.0%となりました。
売上高営業利益率は17.0%となり、前連結会計年度の14.4%からは2.6ポイント良化しております。
ROEは6.66%となり、前連結会計年度の6.40%から0.26ポイント良化しておりますが、長期的な目標である10.0%を大きく下回っております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
④経営者の問題認識と今後の方針について
日本の食品業界は、少子高齢化の進行とともに長期的な消費逓減傾向に直面しており、先行きは未だ不透明であります。
このような状況の下、当社グループは自らの技術力と提案営業力をいかんなく発揮し、「食の安全」「健康」「おいしさ」を強くアピールして顧客のニーズを的確に捉え、安定的に成長する戦略を推進いたします。
また、全世界に構築した8拠点を通じて販路を世界に広げ、計画通りの売上高・利益を実現する所存であります。
該当事項はありません。
当社グループの国内の研究開発活動は当社の技術開発部で行っており、主要研究活動はユーザーの要望に応じた各種調味料、スープ類の試作およびテクニカルサービスと当社企画製品開発および新素材の調味料の基礎研究です。
なお、当連結会計年度の研究開発費は、セグメント情報を記載していないため、セグメントごとに金額は記載しておりませんが総額は