当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、以下の企業理念、経営理念、品質・食品安全方針に基づいた活動を行うことを経営の基本方針としております。
企業理念
私たちは
お客様の生活文化の向上とともに歩み
より快適で健康な食生活を追求し
日々に新たに前進します。
経営理念
品質第一
参画経営
自主挑戦
品質・食品安全方針
私たちは、「企業理念」、「経営理念」を旨とし、法令を遵守してものづくりを行います。
私たちは、お客様の声に耳を傾け、安全で満足していただける商品を提供します。
私たちは、すべてのステークホルダーと充分なコミュニケーションを取り、
食品安全マネジメントシステムを継続して改善します。
当社グループは、凍豆腐をはじめとする大豆を原料とした食品の製造販売を主体に行っております。近年、お客様からは安心・安全で健康に配慮し、おいしさと便利さを追求した商品が求められております。そのための施策として、当社グループでは以下のことを行っております。
(品質に関する事項)
・食品安全マネジメントシステム「FSSC22000」を全工場で取得しバージョンの更新を継続しております。
・主原料である大豆は国際規格のグローバルGAP認証大豆とし品質面での向上を図っております。
(製造に関する事項)
・品質の確保、向上はコストアップ要因となりますが、継続的に生産性の向上を図るため、生産体制の改善、合理化投資などによりコストダウンに注力しております。
(販売に関する事項)
・健康機能について継続的に研究活動を行い、論文の発表などを通じお客様への認知を高めていく活動を行っております。
・お客様の節約志向は益々強まるものと思われますが、当社グループでは商品価値に見合った価格で購入いただける商品の販売を行っております。
当社グループの目標とする経営指標としましては、本業の収益力を表わす営業利益の向上に重点を置いております。
企業の継続的発展成長には売上高の増加は不可欠であり、既存事業の維持拡大はもとより、新たな事業・販売チャネルにも注力していく必要があります。とりわけ医療用食材は継続安定的に成長を続け、第3の柱として業績にも寄与してきております。但し利益を伴わない売上増加には一定の歯止めをかけ収益力の向上に努めてまいります。そのため、単品の収益管理を徹底し原価低減を推進してまいります。また、品質面での向上は企業の成長には欠かせない要件であり、FSSC22000の更新を継続してまいります。なお、増大する品質の維持・向上に伴うコストを吸収するため、生産体制の継続的な見直しと合理化等の設備新設、更新などを行ってまいります。これらにより売上高営業利益率を向上させ、高収益体制への転換を図るべく活動してまいります。
食品業界での熾烈な販売競争の中で生き残りと利益確保を目指し、お客様からの支持と信頼を獲得するため中長期的な戦略として次の項目に重点を置いて経営を進めてまいります。
①安心・安全を第一とした供給体制の確立と信用の醸成
・「安心・安全」に関わる過去の重大事故を振り返る日を定め、全社レベルでの安心、安全意識を高める
・商品設計から製造工程までのルールの見直し、安全性向上及び教育の徹底を図る
・FSSC22000及びSDGs(持続可能な開発目標)を基本とした経営の実践を推進する
②強靭な経営体力の形成
・商品設計開発(市場分析から発売まで:新商品、商品改廃等)の迅速化及び新規商品開発強化
・販売力強化(PR戦略含む)による売上及び収益アップ
・旭松グループ全体でのコスト削減、抑制対策による収益の向上
・省力化、効率化、合理化策(IoTも含めたシステム化)による収益構造の改善
・海外展開による販売機会の拡大
③将来に向けての人材確保
・働き方改革の推進と組織の見直し及び人事ローテーションによる人材の育成
・評価制度及び人材育成、教育体制(研修方法含む)の見直し
・規定、ルール等の周知徹底と社員の知識向上
当社グループでは、東欧・中東など地政学的リスクの継続、エネルギー価格の高止まり、人件費や物流コストの上昇、為替変動や原材料価格の変動などに伴う業績への影響など依然として厳しい収益環境が続くものと推測されます。
当社グループといたしましては、各事業での市場活性化のため、新商品の開発・発売を継続しつつ、新規チャネル・新規市場開拓を図り収益の拡大を行ってまいります。主力事業の凍豆腐におきましては、引き続き健康有用性に関する研究成果の情報発信を続けるとともに、利便性・簡便性の高い用途別商品開発により売上拡大を図ってまいります。加工食品事業につきましては、価値訴求型の新商品の開発・発売の継続により差別化を推進し競争力・収益力の向上を図ってまいります。
さらに、全体の売上拡大を図るため、当社グループの強みを生かし、医療用食材など成長が見込める新規事業の開発に注力し、新たな柱となる事業の育成を継続して進めてまいります。
収益力の改善につきましては、適切な価格を堅持したうえで付加価値訴求による売上拡大を図るとともにコスト上昇を極力吸収すべく効率的な生産体制への変更及び生産性向上のための設備投資や原材料調達方法、物流費抑制のための配送方法の見直しなどを継続的に推進してまいります。
また、企業価値の向上につきましては、当社グループの独自性を重視した持続可能な経営を進めていくため、引き続きSDGsに沿った取り組みを推進してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループでは、様々な社会課題の顕在化や価値観の変容に伴うESG(環境・社会・ガバナンス)を重視したサステナビリティ経営の重要性の高まりを受け、持続可能な社会の創造について責任をもって取り組んでいくべきであると考えております。そのため当社グループでは企業理念を軸として、SDGsへの取組みを推進すべく活動を行っております。
会社の経営方針においては「わが社の企業理念=SDGsの目指す方向」と掲げており、企業理念のもと、SDGsへの取組みを進めてまいりました。今後においても、当社グループの存在意義(パーパス)を明確にし、持続可能な経営を進めてまいります。また、地球に優しく、身体に優しい製品を高い技術と品質で開発し、グローバルに発信できる企業を目指してまいります。なお、「社会の利益」と「企業の利益」を同時に追求する経営として、「Creating Shared Value(共通価値の創造)」(CSV経営)を推進し、当社グループの存在意義を「Soybeans for the Future」(大豆で創造する持続可能な社会)と掲げ邁進してまいります。
サステナビリティの推進組織としては、SDGs推進委員会を設置し、毎月委員会を開催しております。組織横断的に各部部課長から委員を選抜し、委員長は部長クラスが務め、さらにオブザーバーとして2名の取締役を加えることで、経営との意思疎通のしやすさを意識した体制を構築しております。同委員会は気候変動や脱炭素、人的資本などのサステナビリティに関する重要課題のリスクや機会を議論し、具体的な活動につなげるためグループ各組織等への提言、答申などを行っており、重要な案件については経営会議、取締役会への報告を行っております。
①サステナビリティに関する戦略
当社グループではサステナビリティに関する重要課題を経営会議、取締役会等で議論し対応を行っております。その主な内容は以下のとおりであります。
(ⅰ)持続可能な原料調達への取組
当社の主要原料について、GAP認証圃場で栽培した大豆の調達に取り組みます。
当社製品に使用する大豆の大半(2024年実績で99.4%)が米国契約農場で栽培されており、同農場ではグローバルGAPの認証を取得しております。同認証は世界130か国以上で食品の安全、労働環境、環境保全に配慮した生産活動を行っている優良事業者を認証する農業生産工程管理の国際基準の仕組みであり、より安全で持続可能な原料調達の実現に寄与しております。さらには同農場などと酸化に強い高オレイン酸大豆を開発し賞味期限の延長などフードロスの削減に貢献しております。
(ⅱ)当社CO2の削減への取組
2022年以降、毎年2%の削減に取り組みます。
当社では2023年6月に本店・天竜工場、2024年1月に高森工場で太陽光発電設備が稼働し、2025年1月稼働の増設部分を合わせて2工場で年間721トンのCO2削減が可能となりました。今後も再生可能エネルギーの創出を計画的に行い気候変動リスクの低減に貢献してまいります。
(ⅲ)地元産大豆栽培を通した地域循環型社会実現への取組
地元生産大豆(つぶほまれ)使用の商品を2030年までに20商品開発します。
当社製品の製造過程で出る工場排水の浄化処理において沈殿した微生物塊を当社独自の技術で肥料化する施設「旭松バイオセンター」を設置しております。生産された肥料は地元農家の畑に撒き地元大豆(つぶほまれなど)の栽培を行っています。なお自社栽培を行っている大豆についてはアジアGAP認証を取得しております。その大豆を使用した「南信州ブランド」の商品開発を行っており2030年までに累計20商品の発売を目指しております。また大豆栽培においては農福連携の取組を行っており障がいのある方の就労、活躍の場を実現しております。
また、当社では、長野県SDGs推進企業に登録しESG経営に関する目標を定め具体的な活動を継続しております。その成果として主要取引銀行である株式会社八十二銀行と、2023年3月期において「ポジティブ インパクト ファイナンス」契約を締結し、企業活動が環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブな影響とネガティブな影響)を包括的に分析・評価し、当該活動の継続的な支援を目的とした融資を受けております。当該融資について同ファイナンスを活用し、評価書作成と格付機関(株式会社日本格付研究所)からの第三者意見を入手しております。以降、「ポジティブ インパクト ファイナンス」および評価書に基づき、決定されたポジティブインパクトの増大とネガティブインパクトの減少に向けた取組みを継続しております。
②人的資本に関する戦略
当社グループの人材育成は当社グループで働く従業員を最大のステークホルダーとして認識し、以下の様な方針を掲げております。
・入社時、若手社員、中堅社員、管理・監督職などへの勤務期間に応じた定期的な教育研修の制度のほか、各種ハラスメント研修や考課者研修、各職務で必要となる専門スキル習得、資格取得のための研修などを行うこととしております。
・社員は年度の目標設定時に人材育成目標または自己成長目標を必ず設定し、その達成度を評価する制度を設けております。
・品質面に関しては全社員を対象にFSSC22000内部監査員資格認定を基本としており、一層の品質強化に寄与しております。
・安全面に関しては専門の委員会を設置し生産工場での労働災害防止や全従業員に対しての交通安全啓蒙などを行っております。
・設備面では、特に生産工場の技術担当者や製造設備研究開発部署のスキルアップなどのため専門の委員会を設置しております。
・QC活動については50年以上前から生産に関する小集団改善活動を実施しており、職場のコミュニケーション向上にも寄与しております。現在は営業、管理を含めた全従業員を対象として食品メーカーとしての知識向上と自主的な改善活動に取り組んでおります。
また、当社グループの社内環境整備については以下の取組みを行っております。
・働く上で健康保持・増進が重要であるとの考え方から、従業員への健康面での福利厚生を継続的に充実させており、継続して健康経営優良法人の認定を受けております。
・食品製造を通じ食品安全の知識を広く身に付けてもらうためFSSC22000の継続取得を通じ食品安全の知識向上のための研修機会を充実させております。
・従業員の柔軟な働き方に対応するため、時間有給取得制度を導入しております。
・障がい者雇用については積極的に推進し平均を上回る実績を上げているほか、障がい者施設との協業により間接的ではありますが多様性も維持した雇用の確保に努めております。
当社グループでは経営リスクの管理について、管理部門を主要メンバーとした検討会議により定期的にモニタリングと検討を行い経営会議へ報告し、重要なリスク評価については取締役会へ報告しております。特に経営への影響が大きな項目についてはリスクを低減する仕組み、方法等を経営会議などで検討し実施に向け対応しております。また、製品の品質に関するリスクについては、食品安全マネジメント規格であるFSSC22000の仕組みを活用し全社品質安全推進委員会を設置して、リスク低減に向けた取組みを行っております。
①サステナビリティに関する指標及び目標
当社グループでは企業理念を軸に毎期の経営方針にてSDGsに沿った目標を定め、その具体的内容は長野県SDGs推進企業に登録され開示しており、主なものは以下となっております。
(注)各指標に対する目標及び実績は提出会社の集計となります。
②人的資本に関する指標及び目標
当社グループでは、上記「(2) 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については、提出会社においては具体的な取組みとともに、関連する指標のデータ管理が行われているものの、連結グループに属する子会社では労働者数の基準を満たさず、関連する指標のデータ管理が行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
(注)男性労働者の育児休業取得率の実績(当事業年度)につきましては、対象とする期間内において、育児休業取得事由に該当する男性労働者がいなかったため「―」と表示しております。
当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは主として下記のような事項が考えられます。当社グループはこれらのリスクに対して、その発生の回避、また、発生した場合の影響について最小限に止める努力をいたします。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、インバウンド需要の増加や雇用・所得環境の改善による個人消費の期待など緩やかな回復基調がみられた一方、円安によりエネルギー・原材料価格は高止まっており物流費、人件費の更なる上昇なども相まった物価上昇により消費者の節約志向は今まで以上に高まっております。また、長期化するウクライナや中東での紛争に加え、中国経済の先行き懸念、米国の政策動向といった海外景気の下振れリスクや為替変動の影響などにより、先行きは不透明な状況が続いております。
食品業界におきましても、輸入原材料等の調達コストの増大や物流費、人件費などの上昇の影響から、価格改定へ舵を切る企業が相次ぎ、消費者の節約意識も高まっております。また、食品に対する安全・安心への要求は依然として強く、高い品質・衛生管理体制の維持・向上が求められており、そのためのコストも継続して増大しております。
このような状況のなか、当社グループでも製造原価の上昇は避けて通ることはできず、収益面への影響は深刻な状況が続いており、企業努力では吸収しきれないコスト増への対応のため価格改定を余儀なくされております。品質面では、HACCPを包括した食品安全の国際規格FSSC22000のバージョンアップなど、一層の向上を図っております。また、合理化、省エネルギー、脱炭素、品質向上のため継続的かつ積極的に設備投資を行うとともに、SDGsに沿った取り組みを引き続き推進しております。本年度におきましても、主力の天竜工場や高森工場において太陽光発電設備の増設投資を実施いたしました。
当社グループの当連結会計年度の業績につきましては、過年度より数回にわたり実施した価格改定の影響もあり、販売数量の減少がみられ、売上高は80億1千7百万円(前年同期比1.0%減)となりました。利益面では、原材料やエネルギー価格など、製造コスト上昇の影響はあるものの、引き続き合理化や諸経費の削減などを図ってまいりました結果、営業利益は2億2千5百万円(同10.0%増)、経常利益は3億7百万円(同6.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2億3千8百万円(同2.6%増)となりました。
部門別概況は、次のとおりであります。
[凍豆腐]
凍豆腐では、市場の拡大・活性化を図るべく業界団体と協調し、凍豆腐に特に多く含まれるレジスタントプロテインの効果・効能を訴求するPR活動などを行ってまいりました。海外への進出についてはオランダフードバレーに参画し欧米市場への展開を進めており、この取り組みが評価され、農林水産省 近畿農政局 第2回 『関西 食の「わ」プログラム』に認定されました。また、帯広市川西農業協同組合との業務提携により北海道十勝産大豆を100%使用した凍豆腐の開発・発売を行っております。さらに、当社のブランドである「新あさひ豆腐」は公益社団法人学校給食物資開発流通研究協会から食育に関して非常に高い評価を得ており、令和7年度新規推奨品に選定されました。さらには大阪府泉大津市と食育についての包括協定を締結し凍豆腐の活性化に努めてまいりました。しかしながら、過年度からの価格改定などの影響から販売数量が減少し、売上高は34億9千2百万円(前年同期比4.5%減)となりました。
[加工食品(即席みそ汁等)]
加工食品では、継続した単品収益管理の徹底により収益力の改善を図るとともに商品の改廃のスピードアップを図っております。オートミール商品は減少したもののカップスープ商品などが好調に推移し、継続してきた単品収益管理の効果や価格改定の浸透もあらわれており、売上高は24億9百万円(同1.5%増)と増加いたしました。
[その他食料品]
その他食料品では、えん下困難者用食品を扱う医療用食材は豊富なメニューを調理済み・形態調整済み食品として取り揃えており、病院・介護施設での厨房業務の省力化や標準化、人手不足の解消などに寄与しており順調に推移いたしました。また、菓子加工品(フリーズドライ納豆)は同業企業とのコラボレーションなど販路の開拓により売上に貢献し、売上高は21億1千5百万円(同2.3%増)と増加いたしました。
当連結会計年度の資産合計は、前連結会計年度に比べ2億9千4百万円増加し102億3千4百万円(前連結会計年度比3.0%増)となりました。減少の要因としては、売掛金の減少9千万円などがあり、増加の要因として、棚卸資産の増加2億7千万円、太陽光発電設備などの取得による有形固定資産の増加8千4百万円などがあったことによるものです。
当連結会計年度の負債合計は、前連結会計年度並みの19億6千8百万円(同0.1%増)となりました。増加の要因としては、今後の支払手形の廃止を見据え、支払方法をでんさいに切換えたことにより、電子記録債務が1億2千4百万円増加しており、減少の要因として、支払手形及び買掛金の減少9千6百万円や、未払法人税等の減少4千8百万円などがあったことによるものです。
当連結会計年度の純資産合計は、前連結会計年度に比べ2億9千3百万円増加し82億6千5百万円(同3.7%増)となりました。増加の要因としては、利益剰余金の増加1億9千2百万円や、為替換算調整勘定の増加5千2百万円などがあったことによるものです。
以上により自己資本比率は前連結会計年度に比べ0.4ポイント増加し80.0%となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の増加は、4億7千8百万円であります。増減の主な内訳は、減少要因として棚卸資産の増加額で2億6千5百万円、未払金の減少額で2千5百万円があり、増加要因としては、税金等調整前当期純利益の計上3億5百万円や、減価償却費の計上4億8千3百万円などであります。
また、前連結会計年度に比べ資金の流入額が2億5千1百万円減少しています。減少の要因としましては、売上債権の増減による、流入の増加が1億1千4百万円あったものの、棚卸資産の増減差額で2億2千3百万円の減少などがあったことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、4億9千6百万円であります。減少の主な要因は、太陽光発電設備を中心とした有形固定資産の取得による支出4億2千2百万円などがあったことによるものです。
また、前連結会計年度に比べ資金の流出額が4千2百万円減少しております。流出額減少の要因としましては、定期預金の預入による支出と同払戻による収入を合わせ3千5百万円の流出減少や、無形固定資産の取得による支出の減少2千万円などがあったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、3千3百万円であります。減少の主な要因は、増加要因としては、長期借入金による収入が3億円あったものの、減少の要因として、長期借入金の返済による支出2億6千2百万円や配当金の支払4千5百万円があったことによるものです。
また、前連結会計年度に比べ資金の流出額が2千4百万円減少しております。資金流出減少の主な要因は、配当金の支払による支出の増加2千6百万円があったものの、長期借入金の返済による支出の減少6千2百万円などによるものです。
以上により当連結会計年度末における資金は、前連結会計年度末に比べ1千8百万円減少し9億6千2百万円となりました。
当社グループは、食料品の製造販売を行っており、管理しているセグメントにつきましても「食料品事業」の単一セグメントとしております。食料品事業セグメントの内訳としては下記のとおりとなります。
(注) 金額は期中平均販売価格で表示しております。
当社グループは見込生産をしておりますので、受注状況について記載すべき事項はありません。
(注) 1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、当社グループの判断により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なる可能性があります。引当金項目につきましては、「第5 経理の状況 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4 会計方針に関する事項 (3)重要な引当金の計上基準」に、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループ全体の経営成績等は、前連結会計年度と比較し減収増益となりました。
食料品セグメントのうち、主力事業である凍豆腐の売上高は34億9千2百万円(前年同期比4.5%減)となりました。凍豆腐は、食の多様化・人口減少等で長期的には市場が縮小傾向にありますが、当社グループではその健康機能性に着目し、研究成果を論文として継続的に発表したほか、業界団体と協調し、凍豆腐に多く含まれるレジスタントプロテインが、肥満や脂肪肝を予防する健康機能性を訴求するPR活動などを行い、市場の活性化に努めてまいりました。当連結会計年度も、前連結会計年度に引き続き、海外への市場拡大を目指しオランダフードバレーに参画し健康機能性の研究を続けており、国内外での市場の維持拡大に努めております。また、当連結会計年度におきましても、人件費や物流費など各種コストの上昇に加え、円安の影響などにより輸入原材料等の高騰を受け価格改定を行わざるを得ないこととなりました。度重なる価格改定の結果、販売数量が減少し減収となりました。加工食品(即席みそ汁等)の売上高は24億9百万円(前年同期比1.5%増)となりました。競合他社との価格競争は依然として激しく、単純な量的拡大での業績向上は困難な状況が続いておりますが、当社の強みである具材のバリエーションの強化や、SDGsに沿った取り組みとして、プラスチック削減を目指したカップ入りタイプ商品の強化を引き続き行い、売上の維持・拡大を図ってまいりました。そのほか、継続してきた単品収益管理の効果や価格改定の浸透、カップスープ新商品などがけん引し、増収となりました。その他食料品のうち医療用食材は、人員不足の介護現場において完全調理済み食品の利便性が高く評価され安定的に推移しております。
コスト面につきましては、急激な原材料・動力費・運送費等の値上がりによる大幅なコスト上昇を企業努力だけでは吸収することができず、やむを得ず前年度に続き当年度にも出荷価格の改定を実施いたしました。なお、品質に関して万全を期すため、引き続き積極的に品質投資を行っております。さらに、消費者の皆様に安心して召し上がっていただくため、また、その品質を伝えやすくするため、外部審査機関の認証「FSSC22000」のバージョンアップを継続して行い周知してまいりました。また、当社グループ凍豆腐製品の主原料である大豆につきましては、SDGsにも則したグローバルGAP(※)認証済みに全面的に切り替え、持続可能な生産活動に寄与し、より一層の品質向上に努めてまいりました。品質コストは食品メーカーとして安定的、継続的に企業価値の向上を目指すためには必要不可欠なものであります。短期的な利益の創出には相反するものですが、長期的な視野に立ち今後も積極的に推進してまいります。コスト削減策としては生産体制の継続的な見直し、製造方法の研究・技術開発による歩留まりの向上、原材料ロスの削減などを行っております。
利益面につきましては、固定費等諸経費の削減努力を続ける一方、当然ながら採算確保できない売り上拡大には一定の歯止めをかけ、安定的な適正利益の計上を目指した経営を継続してまいります。
国内の食品市場は人口減少に伴い長期的には縮小していくものと思われますが、その中でも当社グループの製品を選択していただけるよう差別化、付加価値の増大を推進してまいります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、(1) 経営成績等の状況の概要②財政状態の状況及び③キャッシュ・フローの状況に記載しております。
資産、負債・資本につきましては、安定した経営基盤を継続するため、また、利益向上のため将来性のある事業への投資を積極的に行っております。なお、当連結会計年度においては原材料調達リスク低減のため主要原材料の適正在庫確保に努めました。
キャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローの向上を第一に考え、利益の向上、適正在庫の実現などに取り組んでおります。投資活動によるキャッシュ・フローではSDGsの推進に沿った設備投資や省力化投資を主眼に行ってまいりました。財務活動によるキャッシュ・フローでは将来的な投資に関するものの一部を金融機関から調達いたしました。なお、借入につきましては、約定により返済しております。
(※)グローバルGAPとは、世界130か国以上で食品の安全、労働環境、環境保全などに配慮した生産活動を行っている優良事業者を認証する農業生産工程管理の国際規格です。
該当事項はありません。
当社グループでは、「お客様により快適で健康な食生活を提供する」という企業理念のもとに、常にお客様の立場に立った商品開発を基本方針にして、以下のような研究開発を行いました。
商品開発においては、凍豆腐の一般市販品では、帯広市川西農業協同組合との業務提携により北海道十勝産大豆を100%使用したОEM「十勝こうや豆腐5個入」等15アイテム、業務用では「新あさひ豆腐業務用1/20」等11アイテムを発売しました。
加工食品(即席みそ汁等)では、カップ「大妖怪極みダシ味噌汁」等15アイテムを発売しました。
その他食料品においては、「ふんわりなめらかほうれん草」等7アイテムを発売、乾燥納豆では十勝産大豆を使用したОEM「21gサクポリ納豆旨みしょうゆ味」等9アイテムを発売しました。また、ご当地大豆を大豆ミートに受託加工する取り組みとして、北海道十勝産大豆「ゆきほまれ」を使用した「十勝の大豆ミート業務用」等3アイテムを発売しました。
既存事業における新商品とリニューアル商品の商品開発・技術開発は商品開発部、技術開発部と研究所が連携し進めております。
新規事業については研究所が経営企画部と連携し行っています。
当連結会計年度における研究開発費は