第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、常にコーヒーのおいしさを創造し、人びとのこころを満たし続けることを使命として、「品質第一主義」の経営理念に基づき、世界に通用するレギュラーコーヒーのリーディングカンパニーであり続けることを目指しております。この理念の下、当面の中期的な経営の基本方針を「お客様、株主、社員の満足度向上と社会との共生」におき、生活者の視点に立った魅力ある商品作り、CSR経営の展開による「企業プレゼンスの充実」に努めてまいります。

(2) 目標とする経営指標

 当社グループは、収益力を示す指標として売上高経常利益率を重視しております。そのためにイノベーションを伴った高付加価値商品の開発と市場創出を行い、差別化戦略を推進してまいります。また、確固とした収益構造を構築するため、社員一人ひとりのマンパワーの強化を行い、生産効率の改善やコストの削減を追求してまいります。なお、当連結会計年度は1.01%となっております。(前連結会計年度0.75%)

(3) 中長期的な会社の経営戦略

 当社は、2020年に創業100周年を迎えるにあたり、『100周年へのビジョン』として次の項目を掲げております。

   ・コーヒーに関して、信頼度No.1の会社であること

   ・コーヒーの可能性を追求し、その価値を提供できる会社であること

   ・そして、お客様から最初に選ばれるコーヒー会社であること

 その実現に向け、当社及び当社グループの連携を強化し、新たな需要の創出とその取り込みを図り顧客拡大を行い、グループ売上増を目指します。

(4) 対処すべき課題

 当社グループを取巻く経営環境は、海外経済の不確実性の高まりや金融資本市場の変動の影響、国内では緩やかな回復が見られるものの、労働需給バランスの変化に伴う人手不足の影響、生活者の消費マインドが依然として強い節約志向にあることなど、景気の先行きは引続き不透明な状況で推移するものと予想されます。

 コーヒー関連事業におきましては、価格競争の激化、商品・サービスの多様化及びライフサイクルの短期化、市場のボーダレス化などで企業間競争はさらに高まるものと見込んでおります。また、人手不足を背景とした人件費、物流費および仕入コストの上昇への対応などの問題を抱えております。

 飲食関連事業におきましては、業態の垣根を超えた企業間競争の激化、慢性的な人手不足による労働コストの上昇に加え、原材料価格の上昇への対応などの問題を抱えております。

 このような環境の下、当社グループの置かれているさまざまな状況とその変化をいち早く受け止め、グループ一丸となって「ブランド強化」、「収益力の強化」及び「グループガバナンスの深化」に注力し、引き続き、企業体質の強化と業績の向上に努める所存です。

 また、当社は2020年に迎える創業100周年のビジョンとして、コーヒーに関して信頼度No.1の会社であること、コーヒーの可能性を追求し、その価値を提供できる会社であること、そして、お客様に最初に選ばれるコーヒー会社であることを掲げ、その実現に向けて全社一丸となって取組んでまいります。

 

 

(5) 株式会社の支配に関する基本方針

 当社は、2008年4月23日開催の取締役会において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(以下「基本方針」といいます。)を定めるとともに、基本方針の実現に資する特別な取組みを行っており、その内容は以下の①及び②のとおりとなります。

 また、当社は、2008年6月24日開催の当社定時株主総会において、この基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みとして、当社株式の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)(以下「本プラン」といいます。)を承認いただき継続しておりますが、2019年6月25日開催の定時株主総会において本プランを継続することが承認されています。本プランの詳細につきましては、以下の③をご参照ください。

① 当社の財務及び事業の方針を決定する者の在り方に関する基本方針

  当社は、当社及び当社グループの企業価値(以下、単に「当社の企業価値」といいます。)、ひいては株主共同の利益を確保し、向上させていくことを究極の目的としているため、当社株式の大規模買付けや支配権の移転を伴う買収提案(以下「買収提案」といいます。)を行う者(以下「買収提案者」といいます。)のうち、その目的から見て当社の企業価値の向上や株主共同の利益の確保・向上に対し明白な侵害をもたらす者は、当社の財務及び事業の方針を決定する者としては、不適切であると考えております。

 また、買収提案が、当社の企業価値、ひいては株主共同の利益の確保・向上に寄与するものであれば、当社は、一概にこれを否定するものではないものの、当該買収提案に関して、株主の皆様に対し必要かつ十分な情報提供が行われない場合や検討のための十分な時間が与えられない場合には、当該買収提案が当社の企業価値、ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するかどうかについての株主の皆様の適切な判断を妨げる結果となります。そのため、当社は、買収提案者のうち、株主の皆様に対し、必要かつ十分な情報や検討時間等を与えない者についても、当社の企業価値、ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものではなく、買収提案者としては不適切であると考えております。

② 基本方針の実現に資する特別な取組み

当社の企業価値の源泉は、「コーヒーを究める」、「お客様、株主、社員の満足度向上と社会との共生」との企業理念、経営方針の下、1920年の創業以来、品質の高いコーヒーをお客様にご提供し、さらに当社に課された社会的責任も全うすることで培ってきた「キーコーヒーブランド」にあると考えております。このキーコーヒーのブランド力は、お客様の当社に対する長年の信頼と期待を基礎とし、現在の当社の企業価値、ひいては株主共同の利益の源泉であり、当社に対し安定的な収益をもたらすだけではなく、積極的な事業活動の展開を可能にするとともに、他方で社会的責任を果たすべく行動する規律、すなわち当社事業の原動力・推進力であるとともに、当社の歩むべき方向を定める道標であり、当社の価値を生み出す源そのものであります。より一層の企業価値の確保・向上を目指すべく、以下のような取り組みを行なっております。

(a)コーヒーへのこだわり

 当社は、海外からより品質の高いコーヒー豆を適正な価格で安定的に確保できる体制作りに注力するとともに、当社自身も、海外においてコーヒー農園を直営するなど、理想のコーヒー作りを追求するなどし、もって、キーコーヒーのブランド力の向上を図っております。

(b)生産設備の整備

 当社は、2001年以降、全国4箇所に存在する当社工場のリノベーションに取組み、現在では、全ての工場で、高度の衛生管理機能の整った生産及び物流体制が構築されており、このような生産設備を最大限に活かし、キーコーヒーブランドの存在価値を高めて参ります。なお、この当社4工場は、グローバルな食品安全認証システムである「FSSC22000」の認証を受けております。

(c)市場の開拓

 当社は、お客様のニーズに応じたコーヒー製品を提供することや、コーヒー市場の裾野拡大に向けた取組みを行う等により、キーコーヒーブランドに対する期待と信頼に応え、キーコーヒーブランドをより確固たる存在にしていきたいと考えております。

 

(d)研究開発

 当社は営業活動と密接に関連した開発研究所を設置し、コーヒーの基礎研究を行うとともに、新製品の開発、新技術の発明を目指しており、これにより、キーコーヒーブランドのさらなる発展を企図しています。

(e)CSR活動

 当社は、例えば、生産地の社会福祉に貢献し環境にもやさしいレインフォレストアライアンス認証コーヒーを100%使用した商品を開発するなど、CSR活動を通じて、求められる社会的責任を全うし、キーコーヒーブランドのさらなる発展を目指しております。また、当社が地域社会の人々と共に発展することを目指して行ってきたインドネシア・スラウェシ島におけるトラジャ事業は、CSRという言葉が市場で耳目を集める遥か以前から取組んできたCSR活動そのものであり、当社直営のパダマラン農園は、「レインフォレストアライアンス」の認証を取得するという国際的にも競争力のあるコーヒー農園となっております。さらに、トラジャの生産農家の栽培技術向上に資するべくコーヒーアワードを創設するなど現地との一体化と共生を深めております。

 また、2016年には未来に向けたコーヒー産業の発展を支援する世界的な非営利の研究機関「World Coffee Research」(本拠地:米国 テキサス州)の日本初のゴールドメンバーになり、同団体が取り組む、地球温暖化による気候変動や病害虫による被害に対して高品質なコーヒーの安定供給や生産者の経済的かつ社会的地位の向上等を目的とした「国際品種栽培試験」活動への協力を行っております。

(f)コーポレート・ガバナンスの強化

 当社は、2015年6月24日よりコーポレート・ガバナンスの一層の強化を図るため監査等委員会設置会社に移行しております。また、当社は、経営判断の意思決定スピードを速めるとともに経営と業務執行を分離することで執行責任と権限を明確にするために、執行役員制度を導入しており、月1回定例開催する取締役会や、必要に応じた臨時取締役会の開催のほかに、原則として週1回、経営陣である取締役、経営幹部である執行役員等で構成する業務執行会議を開催しております。なお、4名の監査等委員である取締役のうち3名を社外から招聘するなどしております。また、会社法の改正及びコーポレートガバナンス・コードとこれに関連する東京証券取引所上場規則の改正をふまえて内部統制システムの強化を図っております。

③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定がされることを防止するための取組み

(イ)当社発行株式の大規模買付行為に対する対応策(買収防衛策)による取組み

(a)本プランは、当社の特定の株主及び当該株主と一定の関係にある者の株券等保有割合・株券等所有割合の合計が20%以上となる当該株券等の買付けその他の取得等(以下「大規模買付行為」といいます。)を行おうとする者(以下「大規模買付行為者」といいます。)を適用対象としております。

 大規模買付行為者は、取締役会又は株主総会において、新株予約権の無償割当ての実施・不実施に係る決議がなされるまでの間、大規模買付行為を実施してはならず、また、買付意向表明書、独立委員会が提出を求める必要情報回答書・追加回答書の提出を通じて、独立委員会に対し情報を提供し、独立委員会は、必要に応じて、株主の皆様に対し、当該情報の全部又は一部を開示します。

(b)独立性の高い社外取締役等で構成され、独立委員会規則に従い運営される独立委員会は、上記の情報について、当社の企業価値、ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するか否かの観点から所定の期間内に評価・検討し、独立委員会としての意見を取りまとめます。その際、独立委員会は、必要に応じて、取締役会に対し意見等の提示を求めます。その上で、独立委員会は、所定の判断基準に従って、取締役会に対し、新株予約権の無償割当ての実施若しくは不実施又は株主総会の決議を得るべき旨を勧告します。これらの意見等の内容は、必要に応じて、株主の皆様にも適時適切に開示されます。

(c)取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重し、所定の要件に従って新株予約権の無償割当ての実施・不実施に係る決議を行うか、又は株主総会にその実施・不実施に係る議案を付議します。なお、新株予約権の無償割当ての実施に係る勧告がなされるのは、大規模買付行為が、(ⅰ)いわゆるグリーンメーラーであったり、当社の焦土化を意図している場合等で、当社の企業価値、ひいては株主共同の利益の確保・向上に対する明白な侵害をもたらすおそれがある場合、(ⅱ)強圧的二段階買付け等に当たる場合、(ⅲ)その条件が当社の本源的価値に鑑み不十分又は不適当である場合等に該当し、かつ、新株予約権の無償割当てを実施することが相当と認められる場合に限られます。

 

(d)取締役会又は株主総会によって、新株予約権の無償割当ての実施が決議された場合、当社は、大規模買付行為者による権利行使は認められないとの行使条件等が付された新株予約権を、当社を除くすべての株主に対して、無償割当ての方法により、その保有する当社普通株式1株につき新株予約権1個を上限として当該決議において別途定める割合で割当てます。ただし、新株予約権の無償割当てが実施された後であっても、当社独立委員会の勧告に従い、当該新株予約権の無償割当ての中止又はその無償取得を行うことがあります。

(e)本プランは、株主総会又は取締役会において本プランを廃止する旨の決議が行われない限り、2019年6月25日開催の第67期定時株主総会終了後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに係る定時株主総会終結時までを有効期間とします。

(ロ)上記③(イ)の取組みに対する取締役会の判断及びその理由

(a)本プランが本基本方針に沿うものであること

    本プランにおいては、大規模買付行為者に対し、大規模買付行為に関する必要かつ十分な情報を事前に提供すること及び取締役会又は株主総会において本プランの発動・不発動に係る決議がなされた後に大規模買付行為を開始することを求め、本プランの手続を遵守しない買収提案、必要かつ十分な情報と時間を提供しない買収提案、さらに、当社の企業価値、ひいては株主共同の利益の確保・向上の観点から問題のある買収提案に対して、取締役会が、新株予約権の無償割当てを実施することがあるとするものです。

 このように、本プランは、当社の企業価値、ひいては株主共同の利益の確保・向上に資さない大規模買付行為に対し、対抗措置を講じるものですので、取締役会としては、本基本方針の考え方に沿うと考えております。

(b)本プランが当社株主の共同の利益を損なうものでないこと

 本プランは、大規模買付行為に際して、株主の皆様に必要かつ十分な情報と検討時間を確保することを可能にする手続きを定めたものであり、この趣旨に反する大規模買付行為者に対し、対抗措置を講じることを定めています。

 また、本プランは、株主の皆様の株主総会におけるご承認を条件に導入・継続されるだけでなく、株主の皆様の意思により有効期間中でも廃止できることとされています。

 これらの設計は、いずれも、当社の企業価値、ひいては株主共同の利益の確保・向上を図ることを念頭に置いたものですので、当社取締役会としては、本プランが当社株主の共同の利益を損なうものでないことは明らかであると考えています。

(c)本プランが当社役員の地位の維持を目的とするものでないこと

 本プランは、大規模買付行為について、必ず取締役会からの独立性が担保された独立委員会の評価・検討を経ることとされ、取締役会は、独立委員会から出される勧告を最大限尊重する必要があるとされているほか、独立委員会から対抗措置を実施すべき旨の勧告がなされた場合であっても、取締役会が、当社の企業価値、ひいては株主共同の利益の確保・向上の観点から適切であると判断する場合には、株主総会を招集し、新株予約権の無償割当ての実施・不実施に係る議案を付議できるとされている点に特徴がありますが、独立委員会が新株予約権の無償割当ての不実施を勧告している場合にまで、取締役会に株主総会に対するかような議案の付議を認めているものではなく、当社取締役会が、当社独立委員会の勧告を無視し、株主総会を利用して新株予約権の無償割当てを実施するといった恣意的な行為ができないように設計されております。

 また、その他にも、新株予約権の無償割当てを実施するにあたっては、所定の合理的かつ詳細な客観的要件が充足される必要があること、有効期間を短期間に限定し、有効期間中であっても、株主の皆様の意思により廃止することが可能になっていることといった特徴があり、本プランの採否及び内容において、取締役会の恣意的な判断が極力排除されるように設計されております。

 そのため、取締役会としては、本プランが当社役員の地位の維持を目的とするものではないことは明らかであると考えています。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

① 原料調達

当社はレギュラーコーヒーの原料生豆を全量海外からの輸入により調達しておりますが、コーヒー生豆は国際相場商品であります。当社の求める品質の原料を最適な価格で調達できるよう様々な手段を講じておりますが、コーヒー生産国の政情、コーヒー産地の作柄や市況、輸送手段の状況、輸入時の検疫、また外国為替の変動等によっては、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② 天候

当社グループは、レギュラーコーヒーを中心とした事業を展開しており、これらの事業における製商品の売上は天候の影響を受けやすく、天候の変動等によっては、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③ 自然災害

当社グループは、大規模な地震・台風等の自然災害が発生した場合、事業活動の停止、生産設備や棚卸資産等の損壊等により、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

④ 海外事業

当社グループは、インドネシアにおける農園事業、台湾におけるレギュラーコーヒー販売事業などを行っております。事業を展開する各国における政治、経済、社会の変化など海外事業に伴うリスクに十分に対応できない場合、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 個人情報の管理

当社グループは、より良いサービスを提供するために顧客情報などの個人情報を保有しております。情報の取得や活用、保管にあたっては、適正かつ安全な方法にて取り扱うよう最大限の注意を払っておりますが、万一、情報の漏洩や改竄、紛失などが発生した場合、当社グループの信用低下を招き、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 安全性

当社グループは、「品質第一主義」の下、高品質の商品を安全かつ衛生的に製造し、お客様にご満足いただけるよう常に厳しい品質保証体制をとっております。万一、品質に関する事故が発生した場合には、お客様の安全を最優先に考え、速やかな情報開示と適切な対応処置をとる所存であります。しかし、その事故の規模によってはブランドイメージを著しく損ねる恐れがあり、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 減損会計

当社グループは、土地、建物や機械装置など様々な資産を所有しております。このような資産は、将来のキャッシュ・フローの状況によっては減損会計の適用を受け、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 有価証券

当社グループが保有する有価証券につきましては、時価を有するものは全て時価にて評価しているため、株式市場等における時価の変動の影響を受けており、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度におけるわが国経済は、各種政策効果による企業収益の回復や雇用・所得環境の改善などにより、緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、米中貿易摩擦の拡大、中国経済の減速、英国のEU離脱問題や欧州の不安定な政治情勢、金融資本市場の変動の影響などが懸念され、景気の先行きは不透明な状況で推移しました。

 コーヒー業界におきましては、業績に大きな影響を及ぼすコーヒー生豆相場は、世界最大のコーヒー生産国であるブラジルの豊作による潤沢な供給量や、裏作にあたる2019年度の良好な生産見通しなどを背景に総じて安定した動きで推移しました。一方で、生活者の節約・低価格志向は根強く、競合他社との販売競争がさらに激化していることに加え、慢性的な人手不足による人件費、物流費及び仕入コストが上昇するなど、厳しい経営環境が続いております。

このような状況の下、当社グループはコーヒーの持つ魅力を生活者にお届けし続けるという企業使命を果たすため、「品質第一主義」の経営理念に基づいて、「ブランド強化」、「収益力の強化」及び「グループガバナンスの深化」を3つの柱とし、新たな事業領域の開拓、生活者のニーズにお応えする新商品の開発やお取引先との絆を深める企画提案型の営業活動を継続して行いました。

「ブランド強化」については、発売40周年を迎えたフラッグシップブランド「トアルコ トラジャ」コーヒーの価値の訴求と販売拡大への取り組みや、生活者の多様化するニーズとライフスタイルの変化に対応した新商品開発、商品サブブランドのラインアップ展開、世界初のコーヒー生豆の精選技術開発、「KEY'S CAFÉ」の導入店促進などに注力しました。

「収益力の強化」については、販売利益の増加に向けて販売価格の改定や改善に取り組むとともに、製品統廃合の推進、工場間における最適製造体制の確立、製造効率と物流効率向上に向けた製品規格の整理統合を行うなど、コスト低減化を推進しました。

「グループガバナンスの深化」については、業務用市場における株式会社アマンドとの協同企画による新商品の開発、グループ連携による各社製品の新規販路拡大と物流機能の共有化、海外子会社との人事交流及びマーケティング機能の連携強化による事業拡充などに注力しました。

この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は、636億5百万円(前年同期比0.9%増)、営業利益は4億95百万円(同55.0%増)、経常利益は6億42百万円(同35.4%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、飲食関連事業において減損損失を計上したことにより、2億34百万円(同26.6%減)となりました。

セグメントの営業概況は次のとおりであります。

(コーヒー関連事業)

技術開発においては、コーヒー生豆の香味を向上させる当社が独自に開発した世界初の精選技術「KEY Post-Harvest Processing」や、ハンドドリップ抽出技術の教育・訓練を支援するアプリ「Brewmaster」など、先進性の高い技術とツールを開発し、9月のスペシャルティコーヒーイベント「SCAJ 2018」にて紹介しました。

業務用市場では、コスト上昇に対する収益改善に向けて販売価格の見直しに取り組むとともに、厳選した生豆で作り上げたグルメコーヒー「クレドール」シリーズをはじめ、トアルコ トラジャや氷温熟成珈琲など差別性の高いプレミアムコーヒーの拡販活動を推進しました。また、クリーミーな泡立ちの新感覚アイスコーヒー「コールド クレマ」の導入店拡大を推進しました。お取引先の売上支援策としては、「2018 カレーフェア」、「あったかシチューフェア」などを実施し、フェア活性化に向けて各種新商品を投入しました。また、シュクランジュシリーズでは、「真っ赤なりんごのケーキ」、「宇治抹茶ティラミス」などの季節に合わせた差別性のある新商品を発売しました。

 

家庭用市場では、販売価格の下落に対して価格販促の抑制などを行い、販売利益の改善に取り組みました。春夏新商品として、トアルコ トラジャシリーズ全般をリニューアルするとともに、発売40周年記念として「ドリップ オン トアルコ トラジャ ペランギアン」を期間限定で発売しました。また、「プレミアムステージ」ブランドをLP(ライブパック)豆製品にも展開し、「フルーティアロマ」などを発売しました。秋冬新商品としては注目が高まりつつあるオーガニック市場に向けて「プレミアムステージ有機珈琲」をVP(粉)とLP(豆)形態で発売、また、マイボトルにコーヒーバックとお湯を入れておくだけで、いつでもどこでも本格コーヒーが楽しめる「まいにちカフェ コーヒーバック」などを発売しました。

ギフト商品では、ブランド認知の拡大と新規顧客の獲得に向けて、中元期に「氷温熟成珈琲アイスコーヒー」ギフトなど、人気の飲料ギフトを中心に全38アイテムをラインアップしました。歳暮期には2018年度iTQi(国際味覚審査機構)において優秀味覚賞を受賞した「ドリップ オン」ギフトをはじめ、「トアルコ トラジャ&氷温熟成」ギフトやリプトン紅茶とのコラボレーションギフトなど、多様な飲用シーンにあわせて全31アイテムをラインアップしました。

業務用市場の活性化に向けてカフェ開業支援の施策として取り組んでおります、さまざまな立地環境に出店可能なパッケージカフェ「KEY'S CAFÉ」は11店舗出店となり、導入店舗総数は62店になりました。

業績につきましては、売上面では業務用市場において新規取引先の獲得に努めましたが、一般業務店の既存取引先数減少を補完するまでには至らなかったことや、度重なる自然災害によるお取引先の売上減少などが影響し前年を下回りました。家庭用市場においても、主力のレギュラーコーヒー製品の販売減少や、廉価なコモディティ商品の販売構成比が高まったことなどが影響し前年を下回りました。一方、原料用市場においては販売数量の伸長により前年を上回り、全体では前年並みの実績となりました。利益面では販売価格の改定や、利益重視の販売施策を進めたことなどにより販売利益率が上昇したことや、配送費や倉庫保管費などの物流コストの抑制と併せて、他の販管費の圧縮を行ったことにより前年に比べ増益となりました。

この結果、当連結会計年度におけるコーヒー関連事業の売上高は547億43百万円(前年同期比0.2%減)、営業利益は10億68百万円(同9.0%増)となりました。

(飲食関連事業)

株式会社イタリアントマトでは、販売促進及び商品開発として「スープパスタ」、「冷製パスタ」、「ドルチェ・グラニータ」、「濃厚クリームソースパスタ」など季節に合わせた限定メニューを販売、冬季には「グラタンフェア」を実施して集客力の強化を図りました。また、10月には創業40周年を記念して、期間限定ケーキ「ガトーマルジョレーヌ」を発売いたしました。店舗展開におきましては、5店舗を新規出店する一方、不採算店の閉鎖を進め、店舗総数は201店(直営店74店、FC店127店)となりました。

株式会社アマンドでは、アマンド六本木店において「トアルコ トラジャ発売40周年フェア」を開催し、トラジャ コーヒーのアレンジドリンクなどを販売しました。また、銀座店においては全席禁煙化としました。

業績につきましては、売上面では株式会社イタリアントマトにおいて、一部のFC店舗の直営化を進めたことにより、前年を上回りましたが、利益面では既存店舗における集客力の低下や天候不順など外的要因による売上減少、また付加価値の高いメニュー投入などの効果が不十分であったことや、原材料価格及び人件費の上昇の影響により、厳しい結果となりました。

この結果、当連結会計年度における飲食関連事業の売上高は51億85百万円(前年同期比13.6%増)、営業損失は1億62百万円(前年同期は1億25百万円の営業損失)となりました。

 

 (その他)

ニック食品株式会社は、主力の飲料事業において生産ロットの集約により生産効率の向上が図れたことや、外注加工事業において紅茶飲料の新規受託が大きく業績に貢献いたしました。通販事業を営むhonu加藤珈琲店株式会社では、多様化するニーズに対して、国際品評会入賞コーヒー豆の取扱いなどによる希少性の訴求や、お菓子とのセット商品、ポスト投函型商品の強化などの利便性の向上に取り組み、過去最高の売上高、営業利益を実現しました。

この結果、その他事業の当連結会計年度における売上高は、36億76百万円(前年同期比1.5%増)、営業利益は1億83百万円(前年同期は0百万円の営業利益)と大幅な増益となりました。

 


(コーヒー相場:ニューヨークコーヒー先物相場)

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

① 生産及び仕入実績

当連結会計年度の生産及び仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

a. 生産実績

<コーヒー関連事業>

 

品目

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

数量(トン)

前年同期比(%)

レギュラーコーヒー

38,832

104.7

合計

38,832

104.7

 

(注) 生産数量には外注支給を含んでおります。

 

<飲食関連事業>

品目

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

前年同期比(%)

生菓子及び焼菓子 (百万円)

945

119.5

合計 (百万円)

945

119.5

 

(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりせん。

 

b. 仕入実績

イ.商品仕入実績

品目

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

前年同期比(%)

コーヒー関連事業

 

 

 飲料・食品等 (百万円)

13,993

106.6

飲食関連事業

 

 

 食材等 (百万円)

719

107.8

合計 (百万円)

14,713

106.6

 

(注) 1.金額は、仕入価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりせん。

 

ロ.主要原材料の入手量、使用量及び在庫量

原材料名

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

入手量

前年同期比

使用量

前年同期比

期末在庫量

前年同期比

(トン)

(%)

(トン)

(%)

(トン)

(%)

コーヒー生豆

56,618

110.3

55,088

105.0

13,596

112.7

 

(注) 数量には外注製造委託分の生豆が含まれております。

 

② 受注状況

当社グループは販売計画に基づく見込生産を行っているため、受注生産はありません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

前年同期比(%)

コーヒー関連事業 (百万円)

54,743

99.8

飲食関連事業 (百万円)

5,185

113.6

その他 (百万円)

3,676

101.5

合計 (百万円)

63,605

100.9

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去致しております。

2.主な相手先別の販売実績金額及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

日本コカ・コーラ株式会社

13,780

21.9

14,245

22.4

三井物産株式会社

10,406

16.5

10,550

16.6

三菱商事株式会社

8,170

13.0

7,058

11.1

 

3.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 財政状態の分析

当連結会計年度末の資産の部は前連結会計年度末に比べ16億20百万円増加し、482億15百万円となりました。負債の部は17億69百万円増加し、145億45百万円となりました。純資産の部は1億49百万円減少し、336億70百万円となりました。

これらの主な要因は次のとおりです。

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は273億46百万円となり、前連結会計年度末より18億15百万円増加となりました。これは主に、現金及び預金の増加(19億48百万円増)であります。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は208億68百万円となり、前連結会計年度末より1億95百万円減少となりました。これは主に連結子会社化したことによる土地の増加(4億54百万円増)があった一方、減価償却が進んだことによる建物及び構築物の減少(1億68百万円減)、機械装置及び運搬具の減少(1億97百万円減)、差入保証金の減少(1億94百万円減)などによるものであります。

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は119億74百万円となり、前連結会計年度末より20億92百万円増加となりました。これは主に支払手形及び買掛金の増加(13億69百万円増)、未払法人税等の増加(2億3百万円増)などによるものです。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は25億71百万円となり、前連結会計年度末より3億22百万円減少となりました。これは主に再評価に係る繰延税金負債の減少(2億47百万円減)、長期借入金の減少(1億39百万円減)などによるものです。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は336億70百万円となり、前連結会計年度末より1億49百万円減少しました。これは主に利益剰余金の減少(1億53百万円減)などによるものであります。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益4億68百万円、減価償却費11億67百万円、仕入債務の増加13億70百万円などにより、32億57百万円の収入となりました。(前連結会計年度は10億41百万円の支出)

投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却及び償還による収入8億38百万円の収入があった一方、有形固定資産の取得による支出8億10百万円、投資有価証券の取得による支出3億54百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得3億89百万円などの支出により、8億10百万円の支出となりました。(前連結会計年度は14億70百万円の収入)

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払い3億87百万円などにより、4億92百万円の支出となりました。(前連結会計年度は18億58百万円の支出) 

以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は72億26百万円となり、前連結会計年度末より19億48百万円の増加となりました。

(4) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの主要な運転資金需要は、原材料費、労務費、商品仕入、販売費及び一般管理費等であり、設備投資資金需要は、機械設備新設及び改修、店舗出店等に係る投資資金であります。

また今後、当社グループの新たな収益の源泉となり、企業価値向上に貢献する新規事業や業務提携等への投資の検討を行ってまいります。

これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、必要に応じて金融機関からの借入等による資金調達にて対応していきます。

当連結会計年度におきましては、配当金の支払い3億87百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出3億89百万円などの支出があった一方、投資有価証券の売却による収入、棚卸資産を圧縮したことなどにより、当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物残高は前連結会計年度末に比べ19億48百万円増加し、72億26百万円となりました。

なお、キャッシュ・フローの状況の詳細については、(3)キャッシュ・フローの状況の項目をご参照願います。

(5) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

固定資産の譲渡

当社は2018年12月25日開催の取締役会において、下記の固定資産の譲渡を決議いたしました。
 なお、当該譲渡により引渡日の属する2020年3月期決算において、約833百万円の特別利益を計上する予定であります。

 (a)譲渡の理由

  経営資源の有効活用による資産の効率化を図るために、東京都港区に所有する土地・建物を譲渡することといたしました。

 (b)譲渡資産の内容

 ・ 所在地        東京都港区西新橋二丁目126番2、126番4

 ・ 土地面積        116.52㎡

 ・ 建物延床面積     244.17㎡

 ・ 譲渡益      833百万円

 ・ 現況        本社ビル別館

 (注)譲渡価額、帳簿価額は、譲渡先の意向により開示を控えさせていただきますが、市場価格を反映した適正な価額での譲渡となっております。譲渡益は譲渡価額から帳簿価額、譲渡に係る費用等の見積額を控除した概算額であります。

 (c)譲渡先の概要

譲渡先は一事業法人ですが、譲渡先との取り決めにより公表を控えさせていただきます。なお、譲渡先と当社の間には、資本関係、人的関係、取引関係および関連当事者として特記すべき事項はございません。

 (d)譲渡の日程

 ・ 取締役会決議     2018年12月25日

 ・ 契約締結日      2018年12月27日

 ・ 引渡日       2019年 9月30日

 

5 【研究開発活動】

当社グループでは、千葉県船橋市に開発研究所を設置し、市場のニーズを取り入れた魅力ある商品づくりを行うとの考え方にもとづき、生活者の視点から商品アイテムの見直し、改廃を行いながら研究開発に取り組んでおります。

研究開発を行っている項目は次のとおりです。

(1) コーヒーの基礎研究

(2) コーヒー及びその他の食品、飲料類の新製品、新技術の開発

(3) 当社グループ製品及び取扱商品の品質向上策の立案研究並びに品質保証のための活動

なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は234百万円であり、主要な支出はコーヒー関連事業であります。