第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、品質第一主義に基づき、コーヒーを栽培・加工し、安心・安全にお客様に届けるまでのバリューチェーンを担っております。「コーヒーを究めよう。」、「お客様を見つめよう。」、「そして、心にゆたかさをもたらすコーヒー文化を築いていこう。」との企業理念を共有し、目指すべき「キーコーヒービジョン」として次の3つの項目を掲げております。

・コーヒーに関して、信頼度№1の会社であること。

・コーヒーの可能性を追求し、その価値を提供できる会社であること。

・そして、お客様から最初に選ばれるコーヒー会社であること。

 こうした企業理念、ビジョンに基づいた日々の活動により、企業価値の向上に努めてまいります。

 また、コーヒーのバリューチェーンを担う企業として、コーヒーの未来と持続可能な社会の実現に貢献するため「地球温暖化への対応」「環境負荷の低減」「責任ある調達と商品の開発・提供」「従業員のエンゲージメント向上とダイバーシティの推進」「コーポレート・ガバナンスの強化」を重要項目として特定しサステナビリティの実現に取り組んでまいります。

(2) 目標とする経営指標

 当社グループは、収益力強化を喫緊の課題と認識し、目標とする経営指標を営業利益額としております。後述の(4)対処すべき課題に記載した施策を実施し、収益力の強化を最優先に取り組んでまいります。

(3) 中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、当面の経営戦略として、収益力強化、経営基盤強化、グループ総合力強化に取り組み、社会的価値と経済的価値を高めることを中期目標に掲げております。

 具体的には(4)対処すべき課題に記載のとおりとなります。

(4) 対処すべき課題

 当社グループは、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて、以下の課題に優先的に取り組んでまいります。

 ① ROE向上

 コーヒー生豆相場の歴史的な高騰、為替相場の変動及び各種製造コストの上昇が常態化するなか、外部環境の変化に左右されにくい強靭な収益基盤を確立します。中長期的なROE向上の源泉として戦略的にブランド投資を実行し、ブランド価値向上を推進します。また、不採算取引の見直しとサプライチェーンの効率化を進め、創出した資金を成長投資へ最適配分することでROE向上を図ります。

 ② 新規事業・事業領域の拡大

 国内市場の成熟化を見据え、中長期的な成長を牽引する新たな収益源を育成します。主力事業であるコーヒー関連事業で培った強みが発揮できる領域を拡大し、次なる成長を牽引する商品・サービスの開発にも挑戦します。また、アジア市場におけるブランド認知と販売網の拡大を推進します。

 ③ サステナビリティの実現と人的資本の価値最大化

 コーヒーの2050年問題への対応や小規模コーヒー生産者への支援に取り組み、持続可能なバリューチェーンの構築に向けて、コーヒー生産地との共創による気候変動への対応策や環境負荷の低減を推進します。また、人的資本経営を推進するため、人財育成方針及び社内環境整備方針に係る指標の2025年度達成状況を踏まえ、適切な処遇改善や労働環境の整備を通じて、従業員のエンゲージメント向上とダイバーシティの推進を図ります。

 ④ 食の安全性の徹底と不測の事態への対応

 長年にわたり培った「品質第一主義」のもと、食の安全性の根幹となる品質保証体制の高度化により、品質リスクの未然防止を徹底します。また、不測の事態への対応として、激甚化する自然災害、地政学リスク及び高度化するサイバー攻撃に備え、サプライチェーンの強化と情報基盤の堅牢化を図り、商品の安定供給の責務を果たします。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 文中の将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

(1) ガバナンスとリスク管理

当社グループは、お客様、株主、従業員をはじめとする様々なステークホルダーの期待にお応えするため、役員や従業員が遵守すべきキーコーヒー行動規範やサステナビリティ関連方針を守り、持続的に企業価値を高めていきます。当社の取締役会は、当社業務に精通した業務執行取締役と、社外取締役3名を含む監査等委員である取締役で構成されており、経営上重要な事項の審議・決定及び業務執行の監督をしています。

当社グループのサステナビリティ経営の推進強化を図るために、サステナビリティ委員会を設置しています。本委員会は、代表取締役社長を委員長とし、取締役全員、コーヒーの未来部長、マーケティング本部長、SCM本部長、管理本部長、経営企画部長で構成され、サステナビリティに関する施策をより広範に推進していくための部署であるサステナビリティ推進室が事務局を担っています。また、傘下に「人権分科会」、「TCFD分科会」を設置しています。

サステナビリティ関連方針、重要項目の見直し、重要項目に対する課題(リスク・機会)の整理・識別・評価、具体的な取り組み・戦略、中長期目標や実施計画は、サステナビリティ委員会において協議された後、取締役会に上程され、取締役会が審議・決定します。また、執行部門のサステナビリティに関する取り組み状況は、サステナビリティ委員会が進捗を管理し、年1回取締役会に報告され、取締役会が執行状況の監督を行います。

 

2025年度のサステナビリティ関連の取り組みに係る報告・協議・決議の場として開催した委員会及び取締役会の開催実績

<サステナビリティ委員会>

年月

議題・内容

2025年5月

中期取り組みテーマ 2024年度実績確認

サステナビリティ関連の取り組み 2024年度開示案の検討

2025年9月

中期取り組みテーマ 2025年度進捗確認

GHG排出量削減に係る設備投資計画の報告

重要項目・中期取り組みテーマの見直しに係る協議

2025年11月

中期取り組みテーマ 2025年度進捗確認

重要項目・中期取り組みテーマの見直しに係る協議

2026年2月

中期取り組みテーマ 2025年度着地見通しの報告

新中期取り組みテーマ・目標及び2026年度取組計画の協議

 

 

<取締役会>

年月

議題・内容

2025年6月

サステナビリティ関連の取り組み 2024年度実績開示内容の決議

2025年8月

GHG排出量 2024年度実績報告

2026年3月

中期取り組みテーマ 2025年度着地見通しの報告

新中期取り組みテーマ・目標及び2026年度取組計画の決議

 

 

 

サステナビリティ推進体制図(2026年3月末時点)


サステナビリティ関連方針について

当社グループは、サステナビリティ経営を推進するための指針として各種方針を制定しています。方針の内容は、環境変化や社会の要請等により適宜見直しを行っていきます。

  ◎ サステナビリティ基本方針

  ◎ 環境方針

    ・環境に配慮した商品開発の考え方

  ◎ 品質・食品安全方針

  ◎ 人権方針

  ◎ 人的資本に対する考え方

    ・人財育成方針・社内環境整備方針・健康経営方針 ※健康経営推進体制表

  ◎ 責任ある購買・調達方針

    ・サプライヤーガイドライン

    ◎ コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方

・内部統制システムに関する基本方針

重要項目(マテリアリティ)について

当社は、重要項目を「地球温暖化への対応」、「環境負荷の低減」、「責任ある調達と商品の開発・提供」、「従業員のエンゲージメント向上とダイバーシティの推進」、「コーポレート・ガバナンスの強化」に定めています。重要項目の特定は2段階のプロセスとしました。まず、当社のバリューチェーンを「商品企画」、「コーヒー生産国」、「原料調達」、「生産管理」、「販売物流」、「コミュニケーション」と捉え、それぞれに対するリスクと機会を踏まえ、重要項目の候補を抽出しました。そのうえで、取締役会で、当社が社会や環境に与える影響度と中長期的な企業価値に与える影響度の二軸で評価し、重要項目を特定しました。重要項目は適宜見直しを実施し、サステナビリティ委員会での協議を踏まえ、取締役会にて決議を行います。

 

(2) 戦略

① 地球温暖化への対応に関する事項

(イ) 温暖化、気候変動への対応

 人為的行為による温室効果ガスの排出により地球温暖化が進行しており、パリ協定を受けて温室効果ガスの削減に向けた対応は世界で認識する共通の課題であり、早急な対応が求められています。

 当社では、レギュラーコーヒーを中心とした事業を展開しており、温暖化による気候変動や自然災害により事業リスクの発生可能性があります。そのため、地球温暖化への対応として、TCFD提言に示された項目に沿ってリスクと機会の分析を行い、その対応策の策定、実行を進めています。

(シナリオ分析の前提)

2025年度においても、長期目標として産業革命前から地球の気温が1.5℃/2℃または4℃上昇するシナリオを仮定として、気候変動による影響に関するシナリオ分析を実施しています。

1.5℃/2℃上昇シナリオ

4℃上昇シナリオ

社会全体が脱炭素に向けて変革を遂げ、温度上昇の抑制に成功するシナリオ

 

・炭素税導入など脱炭素の規制加速

・バリューチェーン全体でエネルギー費用、コスト

上昇

・消費者のエシカル消費が拡大

経済発展を優先し、世界の温度上昇とその影響が悪化するシナリオ

 

・異常気象等により農産物の収量や品質の低下による価格高騰

・異常気象の頻発化により事業停止、停滞の恐れ

・熱中症対策の飲料需要、コーヒー文化の変化等による新たな

市場拡大

 

※ 1.5℃/2℃上昇シナリオと4℃上昇シナリオ:IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)等から公表される気候関連シナリオの俗称で、各シナリオが示す温度に気温上昇を抑えるために必要な経済施策、またその温度上昇時に想定される環境被害などを示しています。

 

(1.5℃/2℃上昇シナリオ)

リスク・機会

考察

(▲リスク、●機会)

重要度

時間軸

リスクへの対応策

大分類

中分類

小分類

移行

リスク

政策と法

炭素価格の上昇

 

▲国内外で炭素税が導入され、工場、営業所等でのGHG排出量に対して炭素税が賦課され、経費が増加。

▲包装・原材料等に炭素税が転嫁され、売上原価が増加。

中~

長期

・燃料転換、省エネ推進

・再生可能エネルギー利用。

・環境配慮型の製造方法や商品開発。

 

移行

リスク

テクノロジー

低炭素な

新しい生産技術の開発

▲新技術に対する投資判断を誤ることで、短期間での設備更新が必要となり、製造原価が増加。

▲新しい低排出技術への移行経費の増加。

短~

中期

・新たな製造技術の研究

・GHG削減を考慮した効率化投資。

 

移行

リスク

市場

環境に配慮した商品に対する消費者の嗜好の変化

▲環境配慮型商品の需要が増加するなか、消費者、取引先等への対応が不十分となり、市場の支持を獲得できない。顧客離れとなり収益減少。

中~

長期

・環境配慮型の商品開発

 を進める。

・GHG排出量の少ない商 品開発や責任ある調達の取り組みを推進させる。

 

移行

リスク

評判

地域社会のレジリエンスに配慮する企業への消費者の嗜好の変化

▲GHG排出量削減など環境への取り組みが不十分である場合、消費者からの企業イメージが悪化し、収益減少。

移行

リスク

評判

気候変動の対応に対する株主の関心の拡大

▲気候変動への対応や情報開示への対応を怠ることによる企業評判および株価低下。

中~

長期

・気候変動対応に関する情報発信を強化する。

機会

 

商品、サービス

 

 

●GHG排出量の少ない商品・サービスの開発により、需要を獲得し、収益拡大。

→消費者や取引先(BtoB,BtoC)との関係において、信頼を築き収益拡大。

短~

中期

・GHG排出量の少ない商品・サービスの開発を推進させる(GHGの少ない製造、包材見直し等)

・環境配慮型の販売を強化し、市場拡大させる。

機会

資源

効率

 

●バリューチェーン全体で、より効率的な輸送手段を使用。

●より効率的な生産や流通プロセスを構築する。

→GHG削減に取り組むことで運用コストを削減でき、価格競争力が強化され収益拡大。

短~

中期

・バリューチェーン全体でGHG削減を強化させる。

 

 

※ GHG(Greenhouse Gas):温室効果ガス

 

(4℃上昇シナリオ)

リスク・機会

考察

(▲リスク、●機会)

重要度

時間軸

リスクへの対応策

大分類

中分類

小分類

物理

リスク

急性

異常気象の発生割合・深刻度の増加

▲異常気象の発生割合・深刻度の増加により、有形固定資産(工場、事業所等)や在庫などの物理的資産が破壊され、操業停止による収益減少。

▲輸送やサプライチェーンの中断、エネルギーや公益事業の停止がもたらされ、生産能力が低下し、収益減少。

短~

長期

・リスクの影響度に応じ

 た対応策。

・サプライヤーと情報連

 携を図る。

 

 

物理

リスク

慢性

長期的な気候の変化

(平均気温や降水等)

・海外

▲異常気象・気象パターンの変化により、コーヒー豆の生産量が減少し、調達困難となり原価高騰、収益減少。

▲原材料生産拠点において、気候変動・気象パターンの変化(洪水・干ばつなど)の影響により、物流の滞りや海運輸送ルートの変更・貿易規制・関税などがもたらされ、原価が増加。

長期

・コーヒー品種の開発、 

 栽培技術の研究。

・調達地域の多様化。

・コーヒー配合技術の研

 究。

物理

リスク

慢性

・国内

▲海面上昇リスクに伴い、施設(工場、事業所)撤退、資産への影響。

▲リスクが高まることにより、様々な保険料が増加し、経費増加。

機会

商品、

サービス

 

●影響度が少ないコーヒー生産地で収穫された生豆、品種での配合を用いて商品開発する。開発力による差別化を図り、収益増加。

●気温上昇による、熱中症対策の商品開発(コーヒー、飲料等)により、収益増加。

長期

・コーヒー栽培技術や研

 究成果を、新たなビジ

 ネスに繋げていく。

 

 

(ロ) 「コーヒーの2050年問題」に関する事項

農作物であるコーヒーは、環境変化の影響を受けやすく、地球温暖化の問題は、温度の上昇だけではなく、湿度の上昇や降雨量の減少など、様々な変化を引き起こし、コーヒー栽培にも影響を及ぼします。ワールド・コーヒー・リサーチ(WCR)の報告書によると、気候変動はさび病等の病害や虫害による生産量の減少やコーヒー豆の品質低下をもたらし、2050年にはアラビカ種のコーヒー栽培に適した土地は現在の50%にまで縮小する可能性が指摘されています(コーヒーの2050年問題)。当社グループでは、「コーヒーの2050年問題」の影響を軽減すべく、コーヒー品種の開発、持続可能な収穫ができるようコーヒー生産者の支援等の取り組みを推進します。

 

② 環境負荷の低減に関する事項

当社のレギュラーコーヒーの製造過程における省エネ化や製造工程での廃棄物リサイクル活動は、CO2削減にも貢献でき、商品包材使用量の削減や脱プラスチックへの取り組みは、消費者や取引先からの要望や期待があります。このような環境価値(Environmental Value)を高める商品開発を通じ、地球温暖化への対応と環境負荷の低減に取り組み、生物多様性を維持した、自然ゆたかな美しい地球を次世代に引き継ぐことが重要と考え、以下の取り組みを中心に推進します。

・包装容器に関するプラスチック使用量を削減(リデュース)

・持続可能な原料を使用した包装容器への転換(リプレイス)

・リサイクル可能な包装容器への転換(リサイクル)

・フードロス削減

 

③ 責任ある調達と商品の開発・提供に関する事項

当社は、原材料をグローバルに調達しており、当社グループ及びサプライチェーン上での人権、労働、環境、腐敗防止等の課題を認識し、課題解決に向けた取り組みが事業活動において不可欠だと認識しています。責任ある調達は、品質、機能、価格の条件だけではなく、人権、労働、環境、腐敗防止等の社会課題に関連する項目をも購買条件に取り入れるとともに、キーコーヒー行動規範や国際規範等を遵守し、2023年3月に「責任ある購買・調達方針」、「サプライヤー・ガイドライン」を制定しました。当社のみならず、サプライチェーン全体で課題解決していく必要があり、サプライヤーガイドラインをサプライヤーなどのビジネスパートナーに案内し、本内容に賛同いただけるようアンケートや面談等を通じてコミュニケーションを図り、社会課題に対する改善活動を実施しています。この取り組みを通じてサステナブルな調達を行い、ステークホルダーからのニーズを捉えた商品開発・提供に繋げていきます。

 

従業員のエンゲージメント向上とダイバーシティの推進に関する事項

当社は、持続可能な成長と発展には人的資本の価値を最大化することが重要であるとの認識のもと、2023年に「人的資本に対する考え方」及びそれに則った<人財育成方針><社内環境整備方針>を以下のとおり定めました。また、人的資本経営のさらなる推進を目的に、2025年に「健康経営方針」を策定し「健康経営推進体制」を定めました。

(人的資本に対する考え方)

私たちは、持続的な企業の成長と発展を実現するために、従業員一人ひとりが持てる能力やスキルを引き出し、企業価値を最大化する経営に取り組みます。従業員の心身の健康はその基盤であるとの認識のもと、健康経営は長期的な経営戦略の一環であると考えます。

企業・従業員の両者が、コーヒーのリーディングカンパニーとしての理念やビジョン、ミッションを共有し、しっかりとした帰属意識と相互の信頼のもと、共通する目的を果たしていくことで、人々の心にゆたかさが溢れる社会を創り上げることができると考えます。

従業員のエンゲージメント向上とダイバーシティの推進、そして健康と働きがいの両立を支える仕組みの整備を通じて、様々な立場の従業員が主体性を発揮し、イキイキと働きがいを持って成長・発展し続けることのできる組織集団への進化を目指します。

<人財育成方針>

1.キーコーヒービジョンを実現し続けるために、企業と従業員が継続的な対話を通じてそれぞれの存在意義・価値を認め合うことで共に成長します。

2.主体的意欲を刺激するアップスキリングの機会を提供し、情報に敏感なビジネス人財及び専門性の高いコーヒーのプロを育成します。

3.従業員一人ひとりの多様性を受け止め、活躍を促し組織の発展に繋げることのできる、求心力のあるマネジメント人財を育成します。

 

<社内環境整備方針>

1.予測不能な変化が続く環境において企業の適応力と可能性を広げ続けるために、多様なキャリアイメージの形成及びその実現を長期的に支援します。

2.誰もが働きやすい職場環境とするために、有給休暇の取得率向上等、従業員の生活の基盤を安定的に確保するための施策を実施し、柔軟な働き方を促進します。

<健康経営方針>

1.従業員の心身の健康を、持続的な企業の成長と発展の重要な基盤と位置づけ、健康経営を長期的な経営戦略の一環として推進します。

2.定期健康診断の受診およびストレスチェックの受検を全従業員に推奨・徹底し、これらを会社の責務として確実に遂行します。従業員が心身ともに健康保持・増進することでパフォーマンスを最大化させ、それを安定的に発揮できる環境づくりを通じて、組織全体の基盤強化を図っていきます。

3.人こそが企業の最大の競争力であるという考えのもと、働きがいと健康の両立を支援する取り組みを推進し、あらゆるステークホルダーの皆様からの信頼に応えていきます。

<健康経営推進体制表>


 

2023年4月、人的資本経営の取り組みに資する人財開発課を新設し、併せて人財開発課のパートナーとして、制度等の改革と浸透を目的に全社横断で人選した”ウェルビーイングプロジェクトチーム”を立ち上げました。この体制で、2023年度から導入した「従業員エンゲージメント調査」の結果をもとに、一人ひとりが働きがいを持って活躍し、成長できるための施策を策定し、推進しています。ダイバーシティの推進においては、女性活躍の土壌づくりが当社の課題と捉え、女性の職域開発や採用比率の向上に継続的に取り組むとともに2024年度には当社と縁の深いコーヒー生産国であるインドネシアより、特定技能外国人を3名受け入れました。様々な立場の従業員がイキイキと働くことのできる組織集団の形成に向けて取り組んでいます。また、2025年度には健康経営推進への取り組みが評価され「健康経営優良法人2026(大規模法人部門)」に認定されました。健康経営を長期的な経営戦略の一環として推進しています。

 


 

コーポレート・ガバナンスの強化に関する事項

当社は、サステナビリティに関する取り組みを推進していくためには、適切なガバナンス・リスク管理体制の構築が不可欠と考えており、「コーポレート・ガバナンスの強化」を重要項目として掲げています。当社のガバナンス・リスク管理の状況につきましては、(1)ガバナンスとリスク管理及び「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりです。

 

(3) 指標及び目標

■ 地球温暖化への対応

中期取り組みテーマ

指標

目標

2025年度実績

温暖化に適応した「コーヒー品種の開発」

環境変化に強いコーヒーの次世代品種開発についてWCRと協業し、2030年までに商用レベルの栽培試験を実施する。

この実現に向けWCRのボードメンバーとして活動拡大に貢献すると共に、次世代品種開発に能動的に関与する。

・IMLVT(国際多地域実証試験)の継続実施。

・WCRの活動拡大支援実施。

コーヒー生産者の支援

協力関係のある生産者にコーヒー苗木の配布や農法を支援し、持続可能な収穫ができるよう支援活動。

・協力関係のある生産者に

コーヒー苗木の配布、

農法支援を継続。

GHG(温室効果ガス)排出量の削減

GHG排出量の削減率

(連結ベース)

2050年カーボンニュートラルを目指し、2030年までにScope1+2排出量を46%削減(2013年度比)

・2025年度の温室効果ガス削減は、2026年9月末頃、当社コーポレートサイト公開のサステナビリティレポートにて掲載予定。

・2024年度の温室効果ガスは、Scope1+2排出量32.6%削減(2013年度比)。

再生可能エネルギー電気の導入率(連結ベース)

2030年までに50%導入

・2025年度の再生可能エネルギー電気の導入率は、2026年9月末頃、当社コーポレートサイト公開のサステナビリティレポートにて掲載予定。

・2024年度の再生可能エネルギー電気の導入率は、17.9%。

 

 

 

■ 環境負荷の低減

中期取り組みテーマ

指標

目標

2025年度実績

包装容器の見直し

プラスチック使用量

バイオマスプラスチックへの置き換えを推進し、2030年度までに自社製造NB商品のプラスチック使用量を重量換算で20%削減。(2018年度比)

・自社製造NB商品のプラスチック使用量を重量換算13.0%削減。(2018年度比)

フードロス削減の推進

2030年度までに、商品の賞味期限表示については、年月表示を進める。(一部商品を除く)

・一部製品を除き年月表示化は完了。

2030年度までに、品質優位を前提とし、商品の賞味期間延長を進める。 

製造過程で生じる廃棄物のリサイクルの推進

食品リサイクル率

製造過程で生じる廃棄物のリサイクル率は、99%以上を維持。 

・食品リサイクル率99.2%。サーマルリサイクル(熱回収)の比率が増えたことにより、前期比△0.2%となった。

・新規リサイクル方法・リサイクル先の開拓を継続。

 

 

責任ある調達と商品の開発・提供

中期取り組みテーマ

指標

目標

2025年度実績

責任ある購買・調達の推進

信頼度No1、最初に選ばれるコーヒー会社の実現に向け、2025年度中に一次サプライヤーへのサステナブル調達アンケート(SAQ)実施率100%を目指し、当社及びサプライチェーン全体で社会課題に対する改善活動を実施していく。

・3カ年計画に基づき、一次サプライヤーへのSAQを継続し、実施率100%を達成。

 各社とのフィードバックと追加確認を通じサプライチェーン全体で改善活動を実施。

 

 

従業員のエンゲージメント向上とダイバーシティの推進

当社グループでは、(2)戦略④において記載した、人財の多様性の確保を含む人財育成方針及び社内環境整備方針、健康経営方針に係る指標について、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する当社以外の会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、提出会社のものを記載しています。

中期取り組みテーマ

指標

目標

2025年度実績

人的資本経営の推進

エンゲージメントサーベイの実施とスコア向上推進

2023年度に初回実施及び課題把握を行い、翌年度以降も継続的にサーベイを実施する。

2025年度までにウェルビーイングプロジェクトチームを中心に複数の改善策を実施し、スコアを向上させる。

・エンゲージメントサーベイを継続実施し、その結果を基に各組織で課題を把握し改善策を策定・推進。

・ウェルビーイングプロジェクトチームでは、全社横断課題の把握と改善策の策定・推進。

人財育成の強化

女性管理職比率

2025年度まで6.0に向上させる。(2022年度:4.0%)

・女性管理職比率6.5

社内資格
『キーコーヒー
コーヒースペシャリスト』取得率

継続的な試験の実施と意欲醸成及び育成によって、取得率を2022年度の15.7%から向上させコーヒーのプロ育成に力を入れていく。

※対象者は正社員、嘱託社員(一般・定年再雇用)

・キーコーヒー

 コーヒースペシャリスト

 取得率17.0

 2025年度スペシャリスト

 試験合格者数9名

社内環境整備の推進

年次有給休暇取得率

2025年度まで60に向上させる。

(2019年度(新型コロナ感染症拡大前の実績)47.1%)

※対象者は正社員、嘱託社員(一般・定年再雇用)

・年次有給休暇取得率57.3%

 

男性の育休取得率

2025年度~2027年度の3年間の平均50以上にする。

(2022年度:28.6%)

※対象者は、正社員・嘱託社員・短期契約社員(雇用1年以上の見込みを含む)

・男性の育休取得率

 2023年度~2025年度の3年間平均57.8

男女の賃金の差異

正規労働者(正社員・嘱託社員)について2030年度まで80に向上させる。(2022年度:72.0%)(注1)

・男女の賃金の差異70.5

 

(注1) 正規労働者は所定労働時間が統一であるため、比較的明解に要因分析ができ、改善策の検討、推進が可能であったことから、まずは正規労働者の差異改善に取り組むことを目標に設定。非正規労働者は、労働時間や就業形態が多様なため、より複雑な要因分析を行う必要があり、その方法については並行して検討中である。

 

 2025年度までの取組状況を鑑み、次年度より中期取り組みテーマと中期目標を以下の通り変更します。

■ 地球温暖化への対応

中期取り組みテーマ

指標

目標

温暖化に適応した「コーヒー品種の開発」

 

 

 

2030年までに、WRCが新品種候補の実証栽培試験を実施するために、当社はWCRのボードメンバーとして能動的に関与する。

GHG(温室効果ガス)排出量の削減

 

 

GHG排出量の削減率

(連結べース)

2027年度までに40%削減、2030年度までに46%削減する。(いずれも2013年度比)

再生可能エネルギー電気の導入率(連結ベース)

2027年度までに25%導入、2030年度までに50%導入する。

 

 

■ 環境負荷の低減

中期取り組みテーマ

指標

目標

製造過程で生じる廃棄物のリサイクルの推進

食品リサイクル率

 

99%以上を維持する。

(2027年度、2030年度とも同じ)

容器包装における環境配慮素材の使用推進

 

 

 

包材の環境配慮素材の使用率

 

 

 

 

環境配慮素材の積極的活用を基本方針とし、事業特性や技術動向を踏まえつつ、実効性のある取り組みを推進する事で毎年度、前年度を上回る水準で環境配慮素材使用率を向上させる。

フードロス削減

 

 

 

 

キーコーヒーブランド製品全てのアイテムを対象に、賞味期間延長や保存性を考慮した原材料・商品設計を推進する。

 

 

 

■ 責任ある調達と商品の開発・提供

中期取り組みテーマ

指標

目標

責任ある購買・調達の推進

 

 

 

取引継続性・業務影響度・取引額に基づき選定した、重点サプライヤーへのサステナブル調達アンケート(SAQ)の回答企業向けフィードバック実施率

2027年度末時点で、対象となる回答企業向けフィードバックを100%実施する。

 

 

 

 

 

■ 従業員のエンゲージメント向上とダイバーシティの推進

中期取り組みテーマ

指標

目標

人的資本経営の推進

 

エンゲージメント関連指標

 

2027年度は2025年度から向上、2030年度は2027年度から向上を目指す。

人財育成の強化

 

 

 

女性管理職比率

 

2027年度末時点は8.0%、2030年度末時点は10.0%を目指す

社内資格「キーコーヒー コーヒースペシャリスト」取得率

2027年度は2025年度から向上、2030年度は2027年度から向上を目指す。

社内環境整備の推進

 

 

 

 

 

 

 

 

 

年次有給休暇取得率

 

2027年度末時点は65%、2030年度末時点は70%を目指す。

男性の育休取得率

 

2027年度末時点は50.0%、2030年度末時点は85.0%を目指す。(いずれも3年間平均)

男女の賃金の差異

 

2027年度末時点は75.0%、2030年度末時点は80%を目指す。

所定外労働時間

前年を下回ることを目指す。

健康経営の推進

 

健康経営優良法人の認定

 

2027年度までに認定取得、2030年度まで総合評価向上を目指す。

 

 

■ コーポレート・ガバナンスの強化

中期取り組みテーマ

指標

目標

サステナビリティ体制の強化

「サステナビリティ体制の実効性評価」実施と改善策の実行

毎年度1回評価を行い、改善策を実行する。

 

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

当社グループにおいて、リスクが生じた場合の損害規模等の大きさや近年の事業環境等の変化を踏まえて企図する成果が獲得できないリスクの発生頻度を分析しております。リスクが顕在化した場合の業績等への影響度は回復までに要すると見込まれる期間も考慮し「大」「中」「小」で分類し、過去にリスクが発生した頻度も勘案した将来の一定期間における発生可能性を「高」「中」「低」で分類し、それぞれ評価しております。


 

リスクの内容

主な対応策

① 原材料等の価格高騰及び為替相場の変動

下記要因により売上原価が上昇、価格転嫁の遅れにより売上総利益が減少するリスク

○コーヒー生産国の政情、コーヒー産地の気候変動や病害虫被害、作柄等による生産量の減少等の要因によるコーヒー生豆価格の高騰

○為替相場の変動

○資源エネルギー価格上昇に伴う資材、物流費等の様々なコスト上昇

●調達先等から適時的確な価格変動情報の収集

●調達先や生産拠点の分散化

●適正在庫水準の維持

 

 

② サプライチェーンの分断

下記要因により商品の販売が困難となり売上高が減少するリスク

○コーヒー原料生豆のすべて、コーヒー製造に関わる各種資材の一部について、輸入先の社会情勢、自然災害、紛争等により原材料・資材等の価格急騰、供給不足

●調達先の分散化

●原材料の基準在庫の見直し

●サプライヤーとの連携強化

 

③ 市場環境の変化

下記要因により商品の販売価格の低下または販売数量の減少により、売上高が減少するリスク

○消費市場の変化、消費者ニーズの多様化への対応の遅れ

○消費者の関心が高い環境負荷の低減への対応の遅れ

●競合環境や消費者動向の分析

●市場環境の変化を先取りした研究開発体制  の強化

※環境負荷の低減に関する詳細につきましては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)戦略 ② 環境負荷の低減に関する事項」をご参照ください。

④ 競合他社との競争激化

下記要因によりブランド価値の毀損を招き売上高が減少するリスク

○価格やサービスを巡る競合他社との競争

○シェア拡大に向けた過当競争

●付加価値を付与した商品やサービスの提供

●新商品の開発

⑤ システム障害及び情報漏洩

下記要因によりブランド価値の毀損を招き企業価値を著しく損ねるリスク

○自然災害、機器の故障、コンピューターウイルスの感染、不正アクセス等による、顧客情報を含めた内部機密情報の消失、漏洩、改ざん等

●「文書管理規程」「個人情報保護規程」「秘密保持規程」等情報セキュリティに関する各種規程の整備、啓発活動の実施

⑥ 特定販売先への依存

下記要因により売上高が著しく減少するリスク

○特定販売先の経営施策や取引約定の変更等による販売額の大幅な減少や取引継続に支障が生じる場合

●特定販売先との協力関係の維持・向上

※特定販売先は「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ③ 販売実績」に記載のとおりです。

 

 

⑦ 保有資産の価値低下

下記要因により評価損を計上するリスク

○経営環境の悪化等により保有する固定資産の収益性が著しく低下した場合

○政策保有株式の時価が著しく下落した場合

●遊休資産の活用と売却

●毎期取締役会にて政策保有株式の全銘柄について保有継続を検討

⑧ 食の安全性の毀損

下記要因によりブランド価値の毀損を招き企業価値を著しく損ねるリスク

○原材料や製造工程のトラブルによる食品事故の発生

○上記に起因した製品の回収・販売停止

●食品関連法令の遵守

●食品偽装を防ぐための厳格な監視体制の整備

●全工場での食品安全マネジメントシステムFSSC22000の認証取得

⑨ 気候変動による影響

下記要因により商品の販売が困難となり売上高が減少するリスク

○環境変化によるコーヒー栽培に適した土地の縮小が進み持続可能な収穫が困難となる場合

●コーヒー生産者の支援やコーヒー製造過程におけるCO2削減等による、地球温暖化への対応

※気候変動に関する詳細につきましては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)戦略 ① 地球温暖化への対応に関する事項」をご参照ください。

⑩ 自然災害の発生

下記要因のより事業継続が困難となるリスク

○大規模な地震・台風等の発生による生産設備や棚卸資産等の損壊

●マニュアル「災害(火災、風水害、地震等)に対する対応措置」に従って対応

●安否確認システムの活用

⑪ コンプライアンス違反の発生

下記要因によりブランド価値の毀損を招き企業価値を著しく損ねるリスク

○法令等の違反や社会的要請に反した行動の発

 生

●行動規範を定め、法令遵守のための研修等による周知、徹底を図るとともに、各業務プロセスにおいては「内部統制システムに関する基本方針」を整備

⑫ 法的規制の強化等

下記要因により事業継続が困難となるリスク

○法的規制の変更・強化による事業活動の制限

●適時的確な情報収集

●各種規程の整備

 

 

⑬ 海外事業におけるカントリーリスク

下記要因により事業継続が困難となり海外事業からの撤退を余儀なくされるリスク

○事業を展開する各国における政治、経済、社会情勢の変化

●当社からの基幹人材の派遣

●現地情勢の情報収集

⑭ 人材確保と育成の遅れ

下記要因により事業継続が困難となるリスク

○雇用情勢の変化による人材の確保難

※詳細につきましては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)戦略 ④ 従業員のエンゲージメント向上とダイバーシティの推進に関する事項」をご参照ください。

⑮ 資金調達環境の変化

下記要因により金利負担が増加し経常利益が減少するリスク

○金利の上昇その他金融市場を取り巻く環境の悪化、資金調達力の低下

●資金調達手段の検討と分散

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

<連結経営成績> 

                      (単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

前年増減

前年増減率

売    上    高

77,783

93,067

15,283

19.6%

営  業  利  益

486

1,077

590

121.3%

経  常  利  益

636

1,318

682

107.2%

親会社株主に帰属する

当期純利益

214

988

774

361.3%

 

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度(2025年4月1日~2026年3月31日)におけるわが国経済は、景気が緩やかに回復したものの、中東情勢を巡る不透明感に加え、物価上昇の継続が個人消費に及ぼす影響や金融資本市場の動向について、引き続き注視が必要な状況となっています。

コーヒー業界は、国内でのコーヒーの生豆輸入量及び消費量が、前年並みで推移しました。コーヒー生豆相場の指標となる国際コーヒー機関(ICO)が公表するICO複合指標価格は、2025年1月に1ポンド当たり300セントを突破して以降、歴史的な高値圏での激しい値動きが長期化しています。また、為替相場は、年度末にかけて再び1ドル150円台後半まで円安が進行しました。これらコーヒー生豆相場の高騰と円安の進行という2つの要因により、コーヒーの製造に必要な原材料の価格は、次のグラフが示す通り、過去5年間において最も高い水準で推移していることから、当社グループを取り巻く事業環境は極めて厳しいものとなりました。

 


(コーヒー相場:ICO複合指標価格)

 

このような状況のなか、当社は「コーヒーを究めよう。お客様を見つめよう。そして、心にゆたかさをもたらすコーヒー文化を築いていこう。」という企業理念を実現するため、長年にわたり培った「品質第一主義」のもと、「収益力強化」、「経営基盤強化」及び「グループ総合力強化」を3つの柱とし、独自技術を活用した新市場の創出と、利益拡大を重視した企画提案型の営業活動を展開することで、ブランド価値の向上とお取引先の業績拡大を両立する取り組みを推進しました。

「収益力強化」については、営業利益額を最大化するため、営業部門において従来の売上規模の追求から収益性を主眼とした営業活動への転換を図り、適正な価格改定を実施しました。加えて、主力ブランドにおける「KEY DOORS+ JET BREW(キードアーズプラス ジェットブリュー)」の配荷拡大など、独自性の高い戦略商品の販売促進により、コーヒーの魅力や価値を訴求しました。製造・物流部門においては、サプライヤーとの強固な連携を通じて高品質な商材を確保する体制を強化し、バリューチェーン全体で収益力の改善に努めました。

「経営基盤強化」については、業務効率を大きく改善し収益力強化に寄与するため、業務プロセスの見直しや、業務アプリを活用したDXを推進しました。製造部門においては、製造管理システムの刷新や、老朽化設備の計画的更新による省人化を進めました。営業部門においては、業務用オンラインショップの立ち上げ等により新規顧客の獲得を図りました。

「グループ総合力強化」については、グループ全体の価値最大化に向け、グループ会社の経営基盤を支えるサポート体制を強化し、グループ各社が一体となって持続的な成長を追求する仕組みの構築に努めました。また、当社を中心にサステナビリティを実現するため、環境負荷の低減やダイバーシティの推進など、引き続きグループ全体におけるサステナビリティ関連方針に基づいた活動を推進しました。

当社は、2030年までに目指す姿として制定したメッセージ「珈琲とKISSAのサステナブルカンパニー」を掲げ、喫茶文化の継承と持続可能なコーヒー生産を実現する事業活動を行っています。コーヒーの生産に関するサステナブル活動を推進する専門部署「コーヒーの未来部」では、引き続き産学官の連携強化により、コーヒーの2050年問題への対応や小規模コーヒー生産者の支援に取り組んでいます。また、喫茶文化の継承及びコーヒーの持つさまざまな魅力の発信を強化すべく、当社は2025年7月30日付で株式会社イノダコーヒの株式を取得しました。1940年に京都市で創業した同社は、現在、同市を中心に喫茶店等を9店舗運営するほか、コーヒー豆の製造・販売を行っており、グループ内でのシナジー創出を推進しています。情報発信におきましても、2025年8月に個人投資家向けのIR情報ページを開設して業績報告や株主還元に関する情報開示を強化したほか、同年9月には「キーコーヒー サステナビリティレポート 2025」を公表し、サステナビリティに関する方針や具体的な取り組みを紹介しました。当社は、コーヒーの未来を守るための取り組みや情報発信力をより強化し、コーヒーの魅力を次世代へ伝える活動を推進しています。

当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高930億67百万円(前連結会計年度比19.6%増)、営業利益10億77百万円(前連結会計年度比121.3%増)、経常利益13億18百万円前連結会計年度比107.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益9億88百万円(前連結会計年度比361.3%増)となりました。

 

<セグメント別経営成績>                         (単位:百万円)

事業区分

売上高

営業利益

前連結

会計年度

当連結

会計年度

前年

増減

前年

増減率

前連結

会計年度

当連結

会計年度

前年

増減

前年

増減率

コーヒー

関連事業

69,883

83,602

13,718

19.6%

883

1,574

691

78.3%

飲食関連事業

4,171

5,594

1,423

34.1%

26

59

33

124.0%

その他

3,729

3,870

141

3.8%

259

256

△3

△1.2%

調整額

△682

△813

△131

合  計

77,783

93,067

15,283

19.6%

486

1,077

590

121.3%

 

(注)調整額は主に、セグメント間取引消去、棚卸資産の調整額、報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。

 

(コーヒー関連事業)

コーヒー関連事業は、業務用市場、家庭用市場、原料用市場から構成されています。当連結会計年度は、歴史的な生豆相場の高騰と円安による大幅なコスト上昇のなか、業務用市場及び家庭用市場において価格改定を実施し、各市場において収益性の改善に努めました。各市場における販売促進策は、次のとおりです。

業務用市場では、喫茶店・ホテル・レストランなど飲食店等への営業を行い、コーヒーを軸に食材・ドリンク等の幅広い商品をお客様のニーズに沿って提案しています。

商品販売では、お取引先のメニューの差別化に寄与するトアルコ トラジャや氷温熟成珈琲などの高付加価値商品の拡販と、環境配慮型コーヒーの提案を強化しました。また、飲食業界の人手不足や技術継承の課題に対し、開講70周年を迎えた「コーヒー教室」のノウハウを活かした技術指導やメニュー開発支援を実施しました。さらに、2025年9月と11月に業務用商材の提案会を開催し、お取引先へのトータルサポートを深めました。顧客接点拡大の施策としては、2025年8月に業務用オンラインショップ「KEY'S TABLE」を開設しました。店舗運営に必要な商材の一括調達や動画レシピの提供により、利便性向上とBtoB販路の拡大を図りました。カフェ開業支援施策であるパッケージカフェ「KEY'S CAFÉ」は、多様な立地環境に柔軟に対応できる強みを活かし9店舗を新規出店した一方で、3店舗の閉店があり導入店舗数は69店舗となりました。キーコーヒーブランドの認知拡大を目的とした施策として、認知訴求効果が高いと見込まれる飲食店を対象にスチールサインボードやLEDパネル、回転看板などの設置を推進しました。

家庭用市場では、食品卸売業や小売業等へコーヒーや紅茶など家庭用向けの商品の販売を行っています。

商品販売では、タイムパフォーマンス(タイパ)を重視する生活者のニーズに応えるため、本格的なレギュラーコーヒーでありながら最短10秒で抽出可能な簡易抽出型コーヒー「KEY DOORS+ JET BREW(キードアーズプラス ジェットブリュー)」シリーズを新発売しました。商品の特徴である「10秒」にちなみ、100メートル走でおなじみの陸上競技選手・桐生祥秀さんを起用したTVCMを展開し、圧倒的な手軽さと本格的な味わいを両立した本商品の認知拡大を図りました。あわせて、新商品の投入や既存商品の刷新に注力するとともに、ギフト市場におきましても中元期及び歳暮期に多彩なラインナップを展開し、需要喚起に努めました。

原料用市場では、飲料メーカー等へ原料用コーヒーの販売を行っています。コーヒー生豆相場に連動した取引を行っており、販売単価の上昇や、新規顧客の獲得により増収に寄与しました。

この結果、当連結会計年度におけるコーヒー関連事業の業績は、売上高836億2百万円前連結会計年度比19.6%増)、営業利益15億74百万円前連結会計年度比78.3%増)となりました。

(飲食関連事業)

飲食関連事業は連結子会社が営んでいます。2025年7月の株式会社イノダコーヒの株式取得に伴い、同社を連結子会社にしています。

新たに連結子会社となった株式会社イノダコーヒでは、京都発祥の老舗喫茶店としての伝統を活かした魅力ある店舗運営に注力しました。お客様に愛され続ける店づくりを徹底し、こだわりのブレンドコーヒーや長年親しまれているメニューを通じ、質の高い喫茶空間の提供に努めました。

株式会社イタリアントマトでは、食材価格や人件費の高騰による厳しいコスト環境が続くなか、売上拡大と適正な収益確保に努めました。季節限定メニューや高付加価値商品を投入し顧客単価の向上を図りました。同社店舗数は122店舗(直営店46店舗、FC店76店舗)となりました。

この結果、上記以外の連結子会社も含めた当連結会計年度における飲食関連事業の業績は、売上高55億94百万円前連結会計年度比34.1%増)、営業利益59百万円前連結会計年度比124.0%増)となりました。

(その他)

その他の区分は、コーヒー関連事業及び飲食関連事業に含まれていない事業セグメントであり、連結子会社が営んでいる飲料製品製造事業、通販事業等を含んでおります。

主に飲料製品製造事業を営むニック食品株式会社では、お取引先の多様なニーズに対応し、商品企画やレシピづくりといった開発設計が奏功し、受注量拡大につながりました。

通販事業を営むhonu加藤珈琲店株式会社では、コーヒー生豆の調達環境が年々厳しさを増すなか、販売価格を改定し、適正な収益確保に努めました。一方で、すべてのステークホルダーから支持、信頼されるようサステナブル活動を強化するという経営方針のもと、より品質の高いコーヒー豆の提供に注力した結果、多くのリピーターから変わらぬ支持を得ることができました。

この結果、上記以外の連結子会社も含めた当連結会計年度におけるその他事業の業績は、売上高38億70百万円前連結会計年度比3.8%増)、営業利益2億56百万円前連結会計年度比1.2%減)となりました。

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

① 生産及び仕入実績

当連結会計年度の生産及び仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

a. 生産実績

<コーヒー関連事業>

品目

当連結会計年度

(自 2025年4月1日

至 2026年3月31日)

数量(トン)

前年同期比(%)

レギュラーコーヒー

35,200

98.2

合計

35,200

98.2

 

(注) 生産数量には外注支給を含んでおります。

 

<飲食関連事業>

品目

当連結会計年度

(自 2025年4月1日

至 2026年3月31日)

前年同期比(%)

生菓子及び焼菓子 (百万円)

660

97.9

合計 (百万円)

660

97.9

 

(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

b. 仕入実績

イ.商品仕入実績

品目

当連結会計年度

(自 2025年4月1日

至 2026年3月31日)

前年同期比(%)

コーヒー関連事業

 

 

 飲料・食品等 (百万円)

15,954

93.6

飲食関連事業

 

 

 食材等 (百万円)

1,261

95.8

合計 (百万円)

17,215

93.8

 

(注) 金額は、仕入価格によっております。

 

ロ.主要原材料の入手量、使用量及び在庫量

原材料名

当連結会計年度

(自 2025年4月1日

至 2026年3月31日)

入手量

前年同期比

使用量

前年同期比

期末在庫量

前年同期比

(トン)

(%)

(トン)

(%)

(トン)

(%)

コーヒー生豆

48,567

100.5

49,743

97.3

14,491

91.5

 

(注) 数量には外注製造委託分の生豆が含まれております。

 

 

② 受注状況

当社グループは販売計画に基づく見込生産を行っているため、受注生産はありません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2025年4月1日

至 2026年3月31日)

前年同期比(%)

コーヒー関連事業 (百万円)

83,602

119.6

飲食関連事業 (百万円)

5,594

134.1

その他 (百万円)

3,870

103.8

合計 (百万円)

93,067

119.6

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去致しております。

2.主な相手先別の販売実績金額及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

日本コカ・コーラ株式会社

23,884

30.7

28,913

31.1

三井物産株式会社

12,168

15.6

13,847

14.9

 

 

 

(2) 財政状態の分析

  <連結財政状態>                         (単位:百万円)

 

2025年3月31日

2026年3月31日

増減額

流動資産

39,467

52,255

12,788

固定資産

18,768

26,269

7,500

資産合計

58,235

78,524

20,288

流動負債

24,925

41,520

16,595

固定負債

2,352

4,747

2,395

負債合計

27,277

46,267

18,990

純資産

30,958

32,256

1,297

負債純資産合計

58,235

78,524

20,288

 

当連結会計年度末の資産の部は前連結会計年度末に比べ202億88百万円増加し、785億24百万円となりました。負債の部は189億90百万円増加し、462億67百万円となりました。純資産の部は12億97百万円増加し、322億56百万円となりました。

これらの主な要因は次のとおりです。

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は522億55百万円となり、前連結会計年度末より127億88百万円増加となりました。これは主に、売掛金の増加(64億53百万円増)、原材料及び貯蔵品の増加(47億77百万円増)、商品及び製品の増加(6億97百万円増)などによるものであります。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は262億69百万円となり、前連結会計年度末より75億円増加となりました。有形固定資産の増加(55億41百万円増)、無形固定資産の増加(5億7百万円増)、主に投資有価証券の増加(8億74百万円増)による投資その他の資産の増加(14億51百万円増)などによるものであります。

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は415億20百万円となり、前連結会計年度末より165億95百万円増加となりました。これは主に、短期借入金の増加(90億96百万円増)、支払手形及び買掛金の増加(65億96百万円増)などによるものであります。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は47億47百万円となり、前連結会計年度末より23億95百万円増加となりました。これは主に、繰延税金負債の増加(12億62百万円増)、その他の増加(3億83百万円増)などによるものであります。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は322億56百万円となり、前連結会計年度末より12億97百万円増加となりました。これは主に、利益剰余金の増加(7億28百万円増)などによるものであります。

 

 

(3) キャッシュ・フローの状況

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

営業活動によるキャッシュ・フロー

△1,353

△3,380

△2,027

投資活動によるキャッシュ・フロー

△1,070

△5,258

△4,187

財務活動によるキャッシュ・フロー

2,827

8,834

6,006

現金及び現金同等物に係る換算差額

8

4

△4

現金及び現金同等物の増減額

412

199

△212

現金及び現金同等物の期末残高

5,080

5,279

199

 

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益13億8百万円、減価償却費11億16百万円、仕入債務の増加65億25百万円、売上債権の増加65億16百万円、棚卸資産の増加55億13百万円などにより、33億80百万円の支出となりました。(前連結会計年度は13億53百万円の支出)

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出16億65百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出35億49百万円などにより、52億58百万円の支出となりました。(前連結会計年度は10億70百万円の支出)

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の借入れ89億96百万円などにより、88億34百万円の収入となりました。(前連結会計年度は28億27百万円の収入) 

以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は52億79百万円となり、前連結会計年度末より1億99百万円の増加となりました。

(4) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの主要な運転資金需要は、原材料費、労務費、商品仕入、販売費及び一般管理費等であり、設備投資資金需要は、機械設備新設及び改修、店舗出店等に係る投資資金であります。

また今後、当社グループの新たな収益の源泉となり、企業価値向上に貢献する新規事業や業務提携等への投資の検討を行ってまいります。

これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、必要に応じて金融機関からの借入等による資金調達にて対応していきます。

資金の流動性については、当連結会計年度末現在において当社グループの現金及び預金残高は、52億79百万円であり、今後の営業活動によって確保されるキャッシュ・フローに加え、金融機関の当座貸越契約による融資枠を設けており、十分な流動性を確保しているものと考えております。

(5) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5 【重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

 当社グループでは、千葉県船橋市に開発研究所を設置し、市場のニーズを取り入れた魅力ある商品づくりを行うとの考え方にもとづき、生活者の視点から商品アイテムの見直し、改廃を行いながら研究開発に取り組んでおります。

 研究開発を行っている項目は次のとおりです。

(1) コーヒーの基礎研究

(2) コーヒー及びその他の食品、飲料類の新製品、新技術の開発

(3) 当社グループ製品及び取扱商品の品質向上策の立案研究並びに品質保証のための活動

 なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は213百万円であり、主要な支出はコーヒー関連事業であります。