第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

 当社グループは、ロシア市場において、国内外におけるあらゆる制裁措置・規制等を順守した上で事業運営を継続しております。事態の長期化・複雑化により、安定的かつ持続的な事業運営に著しい支障が生じる蓋然性を踏まえ、ロシア市場におけるたばこ事業の運営のあり方について、当社グループ経営からの分離を含めた選択肢の検討を継続しております。現時点においては、今後の見通しや業績への影響については合理的に見積ることができません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営者の視点による経営成績等の状況に関する主な注記は以下のとおりです。

なお、以下、文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものです。

 

(非GAAP指標について)

当社グループは、当社が適用する会計基準であるIFRS会計基準において定義されていない非GAAP指標を追加的に開示しております。非GAAP指標は、当社グループが中長期的に持続的な成長を目指す上で、各事業運営の業績を把握するために経営管理にも利用している指標であり、財務諸表の利用者が当社グループの業績を評価する上でも、有用な情報であると考えております。

 

調整後営業利益

営業利益(損失)から買収に伴い生じた無形資産に係る償却費、調整項目(収益及び費用)を除いた調整後営業利益を開示しております。調整項目(収益及び費用)はのれんの減損損失、リストラクチャリング収益及び費用等です。

また、為替一定ベースの調整後営業利益の成長率も追加的に開示しております。当社グループは、為替一定ベースの調整後営業利益の成長率における、中長期に亘る年平均mid to high single digit成長を全社利益目標としており、その達成を目指してまいります。

 

為替一定ベース

 為替一定ベースとは、たばこ事業における当期の自社たばこ製品売上収益又は調整後営業利益から、前年同

期の為替レートを用いて換算・算出した為替影響を除いた指標です。為替一定ベースの実績は、一定の方法を

用いて算出した一部市場のインフレに伴う売上又は利益の増加分を除いております。

 

自社たばこ製品売上収益

 たばこ事業においては、自社たばこ製品に係る売上収益を開示しております。自社たばこ製品売上収益に

は、物流事業及び製造受託等に係る売上収益は含まれておりません。

 

(超インフレの調整について)

当社グループは、超インフレ経済下にある子会社の財務諸表について、IAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」に定められる要件に従い、会計上の調整を加えております。

 

(RRPについて)

RRPは、加熱式たばこ及びE-Vapor製品等、喫煙に伴う健康リスクを低減させる可能性のある製品(Reduced- Risk Products)を指しております。

加熱式たばこは、たばこ葉を使用し、たばこ葉を燃焼させずに、加熱等によって発生するたばこベイパー(たばこ葉由来の成分を含む蒸気)を愉しむ製品です。当社製品ポートフォリオでは、たばこスティックを直接加熱するHeated tobacco sticks(HTS)、たばこ葉を間接的に加熱するInfused-tobacco capsules(Infused)があります。

一方、E-Vapor製品は、たばこ葉を使用せず、装置内もしくは専用カートリッジ内のリキッド(液体)を電気加熱させ、発生するベイパー(蒸気)を愉しむ製品です。

 

経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は以下のとおりです。

(1)経営成績の状況

① 全社実績

(単位:億円)

 

2024年12月期

中間連結会計期間

2025年12月期

中間連結会計期間

増減率

売上収益

15,699

17,345

10.5%

調整後営業利益

4,531

5,399

19.2%

営業利益

4,327

4,799

10.9%

中間利益(親会社所有者帰属)

3,052

3,199

4.8%

 

<売上収益>

売上収益は、全事業での増収により、前年同期比10.5%増の1兆7,345億円となりました。為替一定ベースのcore revenue(注1)は、前年同期比14.2%増となりました。

 

<調整後営業利益>

調整後営業利益は、主にたばこ事業の増益により、前年同期比19.2%増の5,399億円となりました。為替一定ベースの調整後営業利益は、前年同期比24.7%増となりました。

 

<営業利益>

営業利益は、調整後営業利益の増加が、調整項目における当社医薬事業の承継等に伴う減損損失の計上及び過年度の買収に伴う無形資産償却費の増加を上回り、前年同期比10.9%増の4,799億円となりました。

 

<親会社の所有者に帰属する中間利益>

親会社の所有者に帰属する中間利益は、営業利益の増加が、金融損益の悪化及び法人所得税費用の増加を上回り、前年同期比4.8%増の3,199億円となりました。

 

(注1)為替一定ベースのcore revenueは、為替一定ベースの自社たばこ製品売上収益、医薬事業・加工食品事業・その他の売上収益の合計。

② セグメント別実績

 

〔たばこ事業〕

(単位:億本、億円)

たばこ事業

2024年12月期

中間連結会計期間

2025年12月期

中間連結会計期間

増減率

総販売数量

2,813

2,833

0.7%

・ Combustibles販売数量(注1)

2,760

2,770

0.3%

・ RRP販売数量(注2)

52

63

20.2%

- HTS販売数量

38

50

29.5%

RRP関連売上収益(注2)

507

558

10.0%

自社たばこ製品売上収益

13,918

15,525

11.5%

調整後営業利益

4,721

5,561

17.8%

 

<総販売数量>(注3)

総販売数量は、米国Vector Group Ltd.の買収効果に加え、Combustiblesにおける市場シェアの継続的な伸長及びRRP販売数量の二桁成長により、前年同期比0.7%増の2,833億本となりました。Combustibles販売数量は、主にWinston・Camelの伸長により、前年同期比0.3%増となりました。RRP販売数量は、主に日本が牽引したHTS販売数量の伸長(前年同期比29.5%増)により、前年同期比20.2%増となりました。

市場シェアは、イタリア、ルーマニア、スペイン、台湾、トルコ、英国、米国等の主要市場を含む多くの市場において、引き続き伸長しました。

 

<自社たばこ製品売上収益及び調整後営業利益>(注4)

自社たばこ製品売上収益は、全クラスターにおいて発現したポジティブな単価上昇効果に加え、米国Vector Group Ltd.の買収効果を含むポジティブな数量差影響が、ネガティブな為替影響を上回り、前年同期比11.5%増となりました。調整後営業利益は、ポジティブな単価差影響が、Ploomへの投資強化、インフレに伴うサプライチェーンコストの増加及びネガティブな為替影響を上回り、前年同期比17.8%増となりました。RRP関連売上収益は、前年同期比10.0%増となりました。

為替一定ベースの自社たばこ製品売上収益及び調整後営業利益は、それぞれ前年同期比14.9%増、23.1%増となりました。

 

(注1)製造受託/RRPを除く燃焼性のたばこ製品。

(注2)RRP販売数量にはデバイス・関連アクセサリー等は含まれておりませんが、RRP関連売上収益にはデバイス・関連アクセサリー等に係る売上収益が含まれております。

(注3)市場シェアは当社推計です。

(注4)たばこ事業セグメントについては、3つのクラスター(Asia、Western Europe、EMA)に区分けしております。Asiaは日本を含むアジア全域、Western Europeは西欧地域、EMAはアフリカ、中近東、東欧、トルコ、南北アメリカ大陸及びすべての免税市場を含んでおります。Asiaには台湾、日本、フィリピン等、Western Europeにはイタリア、英国、スペイン等、EMAにはトルコ、ルーマニア、ロシア等を含んでおります。詳細は、「第4 経理の状況 1.要約中間連結財務諸表 要約中間連結財務諸表注記5.事業セグメント(2)セグメント収益及び業績」をご参照ください。

 

〔加工食品事業〕

(単位:億円)

加工食品事業

2024年12月期

中間連結会計期間

2025年12月期

中間連結会計期間

増減率

売上収益

738

767

4.0%

調整後営業利益

44

26

△41.2%

 

<売上収益及び調整後営業利益>

 売上収益は、冷食・常温事業における価格改定並びに一部製品の販売伸長により、前年同期比4.0%増となりました。

 調整後営業利益は、売上収益が増加したものの、原材料費の高騰により、前年同期比41.2%減となりました。

 

〔医薬事業〕

(単位:億円)

医薬事業

2024年12月期

中間連結会計期間

2025年12月期

中間連結会計期間

増減率

売上収益

441

483

9.7%

調整後営業利益

40

42

4.2%

 

<売上収益及び調整後営業利益>

 売上収益は、当社の連結子会社である鳥居薬品株式会社において、皮膚疾患領域及びアレルゲン領域で売上が伸長したことに加え、海外ロイヤリティ収入の増加により、前年同期比9.7%増となりました。

 調整後営業利益は、売上収益の増加が販管費の増加を相殺し、前年同期比4.2%増となりました。

 なお、当社は、2025年5月7日付で、塩野義製薬株式会社への当社医薬事業の承継及び当社連結子会社である鳥居薬品株式会社の株式の譲渡に関する合意について公表しております。2025年5月7日付の公表内容の詳細は以下をご参照ください。

・会社分割(簡易吸収分割)による当社医薬事業の塩野義製薬株式会社への承継に関するお知らせ

 https://www.jti.co.jp/investors/library/press_releases/pdf/2025/20250507_10.pdf

・連結子会社の異動(子会社株式の譲渡)に関するお知らせ

 https://www.jti.co.jp/investors/library/press_releases/pdf/2025/20250507_09.pdf

 

(2)財政状態及びキャッシュ・フローの状況

① 財政状態の状況

〔資産〕

当中間連結会計期間末現在の資産合計は、前年度末に比べ1,079億円減少し、8兆2,628億円となりました。これは、現金及び現金同等物の減少があったこと等によるものです。

 

〔負債〕

当中間連結会計期間末現在の負債合計は、前年度末に比べ4,011億円減少し、4兆1,209億円となりました。これは、その他の流動負債の減少があったこと等によるものです。

 

〔資本〕

当中間連結会計期間末現在の資本合計は、前年度末に比べ2,931億円増加し、4兆1,418億円となりました。これは、在外営業活動体の換算差額の増加に加え、親会社の所有者に帰属する中間利益の計上による利益剰余金の増加があったこと等によるものです。

 

② キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末現在の現金及び現金同等物は、前年度末に比べ2,194億円減少し、8,652億円となりました(前年同期末残高1兆878億円)。

 

〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕

当中間連結会計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、1,675億円の収入(前年同期は2,602億円の収入)となりました。これは、たばこ税及び法人所得税等の支払いがあったものの、主にたばこ事業による安定したキャッシュ・フローの創出があったこと等によるものです。

 

〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕

当中間連結会計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、1,320億円の支出(前年同期は287億円の支出)となりました。これは、投資の売却及び償還による収入があったものの、前年度以前の企業結合による取得後支出及び有形固定資産の取得による支出があったこと等によるものです。

 

〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕

当中間連結会計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、2,309億円の支出(前年同期は2,675億円の支出)となりました。これは、資金調達による収入があったものの、借入の返済及び配当金の支払いがあったこと等によるものです。

 

(3)経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について前事業年度の有価証券報告書に記載した内容から重要な変更はありません。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について前事業年度の有価証券報告書に記載した内容から重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

当中間連結会計期間における当社グループ全体の研究開発費は、375億円です。

当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析

① 資金需要

設備投資、運転資金、外部資源の獲得、借入の返済及び利息の支払い、配当金の支払い、自己株式の取得並びに法人税の支払い等に資金を充当しております。

 

② 資金の源泉

主として営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入、社債及びコマーシャル・ペーパーの発行により、必要とする資金を調達しております。

 

<キャッシュ・フロー>

「(2)財政状態及びキャッシュ・フローの状況 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

<有利子負債>

(長期負債)

社債(1年内償還予定を含む)は、前年度末現在9,281億円、当中間連結会計期間末現在14,374億円、金融機関からの長期借入金(1年内返済予定を含む)は、前年度末現在7,383億円、当中間連結会計期間末現在1,209億円です。

 

(短期負債)

金融機関からの短期借入金は、前年度末現在603億円、当中間連結会計期間末現在681億円です。コマーシャル・ペーパーの発行残高はありません。

 

③ 流動性

当社グループは、従来から営業活動により多額のキャッシュ・フローを得ており、今後も引き続き資金源になると見込んでおります。営業活動によるキャッシュ・フローは今後も安定的で、通常の事業活動における必要資金はまかなえると予想しております。また、当中間連結会計期間末現在、国内・海外の主要な金融機関からのコミットメント融資枠があります。更に、コマーシャル・ペーパープログラム、アンコミットメントベースの融資枠、国内社債発行登録枠及びユーロMTNプログラム等があります。

 

 

3【経営上の重要な契約等】

当社は、2025年5月7日開催の取締役会において、会社分割(簡易吸収分割)により、当社の医薬事業を塩野義製薬株式会社(以下、「塩野義製薬」)へ承継すること(以下、「本吸収分割」)を決議し、本吸収分割に係る合意書を締結いたしました。本吸収分割の効力発生日は2025年12月を予定しており、塩野義製薬が当社の医薬事業を承継する権利義務について、当社が受領する対価は5,397百万円(予定)です。

また、同日開催の取締役会において、塩野義製薬との間で、①塩野義製薬が実施する当社の連結子会社である鳥居薬品株式会社(以下、「鳥居薬品」)の普通株式(以下、「鳥居薬品株式」)に対する公開買付け(以下、「本公開買付け」)に、当社が所有する鳥居薬品株式の全てを応募しないこと、②本公開買付け成立後に、鳥居薬品の株主を当社及び塩野義製薬のみとするための手続(鳥居薬品株式の併合を含む)を実施すること、並びに③鳥居薬品が実施する自己株式取得により、当社が所有する鳥居薬品株式を鳥居薬品に譲渡すること(以下、「本株式譲渡」)等に関する公開買付けに係る合意書を締結することを決議し、本公開買付けに係る合意書を締結いたしました。本株式譲渡実行日は2025年9月を予定しており、譲渡価額は70,342百万円(予定)です。

当社グループがこれまで培ってきた創薬力を更に発展させ、医薬品をより多くの患者様に届けるためには、当社の医薬事業と鳥居薬品について双方の価値を見出し、かつ新薬創出に重点を置く製薬企業である塩野義製薬の下で事業展開を行うことが最善の選択と判断いたしました。本件の詳細は、以下の2025年5月7日公表内容をご参照ください。

・会社分割(簡易吸収分割)による当社医薬事業の塩野義製薬株式会社への承継に関するお知らせ

 https://www.jti.co.jp/investors/library/press_releases/pdf/2025/20250507_10.pdf

・連結子会社の異動(子会社株式の譲渡)に関するお知らせ

 https://www.jti.co.jp/investors/library/press_releases/pdf/2025/20250507_09.pdf