当社は2025年5月7日開催の当社取締役会において、当社の医薬事業(以下「本事業」といいます。)を吸収分割(以下「本吸収分割」といいます。)により塩野義製薬株式会社(以下「塩野義製薬」といいます。)へ承継することに関し、塩野義製薬との間で本吸収分割に関する合意書(以下「本合意書」といいます。)を締結することを決議しましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第7号の規定により、本臨時報告書を提出するものであります。
(1)本吸収分割の相手会社についての事項
イ 商号、本店の所在地、代表者の氏名、資本金の額、純資産の額、総資産の額及び事業の内容
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商号 |
塩野義製薬株式会社 |
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本店の所在地 |
大阪府大阪市中央区道修町3丁目1番8号 |
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代表者の氏名 |
代表取締役会長兼社長CEO 手代木 功 |
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資本金の額 |
21,279百万円(2025年3月31日現在) |
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純資産の額 |
791,825百万円(2025年3月31日現在) |
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総資産の額 |
941,227百万円(2025年3月31日現在) |
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事業の内容 |
医療用医薬品の研究開発、仕入、製造、販売及びこれらの付随業務 |
ロ 最近3年間に終了した各事業年度の売上高、営業利益、経常利益及び純利益
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(単位 百万円) |
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決算期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
2025年3月期 |
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売上高 |
369,499 |
345,761 |
363,309 |
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営業利益 |
133,274 |
108,978 |
114,356 |
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経常利益 |
134,998 |
258,621 |
109,143 |
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当期純利益 |
107,367 |
253,060 |
86,927 |
ハ 大株主の名称及び発行済株式の総数に占める大株主の持株数の割合
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2025年3月31日現在 |
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大株主の名称 |
発行済株式の総数に占める大株主の持株数の割合 |
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日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) |
18.01% |
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株式会社日本カストディ銀行(信託口) |
7.91% |
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住友生命保険相互会社 |
6.49% |
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株式会社SMBC信託銀行(株式会社三井住友銀行退職給付信託口) |
3.30% |
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日本生命保険相互会社 |
2.93% |
ニ 提出会社との間の資本関係、人的関係及び取引関係
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資本関係 |
該当事項はありません。 |
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人的関係 |
該当事項はありません。 |
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取引関係 |
該当事項はありません。 |
(2)本吸収分割の目的
当社グループは、1987年より本事業に参入以来、安定的な研究開発投資を重ね、ファースト・イン・クラスの低分子創薬に向け研究開発に取り組んでまいりました。1998年には鳥居薬品株式会社(以下「鳥居薬品」といいます。)をグループ会社に迎え、主に当社が研究開発を行う一方で、鳥居薬品が製造、販売及びプロモーション活動を担うことで、両社で一体的なバリューチェーンを構築し、グループ内でのシナジーを最大限に発揮することで、多くの患者様に信頼される医療用医薬品を提供してまいりました。そして、中長期に亘る持続的な利益成長を補完する役割として、本事業は当社グループへの利益貢献を果たしてまいりました。
そのような状況下において、近年では本事業を取り巻く環境は変化しており、特にアンメットメディカルニーズ(未だに治療法がない疾患に対する医療ニーズ)の充足に伴う画期的な新薬創出のハードルの上昇やグローバルメガファーマによる巨額の投資を背景とした国際的な開発競争の激化が生じております。加えて、たばこ製品に対する様々な議論の進展を受け、本事業における研究開発活動において制約を受ける場面も増えております。これらの環境変化を踏まえると、当社グループによる事業運営では中長期的な成長が不透明な状況にあります。
一方で、これまで当社グループで培ってきた本事業における創薬力・ノウハウは、今後も患者様・社会に有益な価値を提供できると考えております。このような背景を踏まえ、当社グループの創薬力を更に発展させ、医薬品をより多くの患者様に届けるためには、本事業と鳥居薬品について双方の価値を見出し、かつ新薬創出に重点を置く製薬企業の下で事業展開を行うことが最善の選択と判断し、今般、塩野義製薬に対し、本事業及び当社の保有する鳥居薬品の普通株式を引き継ぐことにいたしました。塩野義製薬に対する本吸収分割による本事業の承継及び鳥居薬品株式の譲渡により、長年当社グループで培ってきた高い創薬力の承継が実現され、本事業の中長期的な成長が期待できると考えております。
なお、当社は、塩野義製薬による2025年5月8日開始予定の当社の連結子会社である鳥居薬品株式に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)に係る一連の取引等についても塩野義製薬と合意しております。本吸収分割については、本公開買付けの成立後に行われる鳥居薬品株式の併合及び鳥居薬品が実施する当社からの自己株式の取得に関する効力が発生すること、並びに国内外の競争法その他の法令等に基づき必要となるクリアランス・許認可等の取得等が、本合意書において前提条件として定められております。
(3)本吸収分割の方法、本吸収分割に係る割当ての内容、その他の本吸収分割契約の内容
イ 本吸収分割の方法
当社を吸収分割会社、塩野義製薬株式会社を吸収分割承継会社とする吸収分割です。
ロ 本吸収分割に係る割当ての内容
当社は、本吸収分割に際して、塩野義製薬が承継する権利義務の対価として、5,397百万円に、吸収分割契約書で定める調整を行った金額を受領する予定です。
ハ その他の本吸収分割契約の内容
① 本吸収分割の日程
2025年5月7日 本合意書締結に係る取締役会決議日
2025年5月7日 本合意書締結日
2025年9月25日 吸収分割契約締結に係る取締役会決議日
2025年9月25日 吸収分割契約締結日
2025年12月1日(予定) 本吸収分割の効力発生日
(注1) 本吸収分割は、当社においては会社法第784条第2項に規定する簡易吸収分割に、塩野義製薬においては会社法第796条第2項に規定する簡易吸収分割に、それぞれ該当するため、両社共に本吸収分割契約締結の承認に係る株主総会の開催は予定しておりません。
(注2) 本吸収分割契約の締結は、本公開買付けが成立することを条件としておりました。なお、2025年6月19日付で塩野義製薬が公表した「鳥居薬品株式会社株式(証券コード:4551)に対する公開買付けの結果に関するお知らせ」に記載のとおり、本公開買付けは成立しております。
② 分割する部門の事業内容
本吸収分割により承継する事業は、当社の医薬事業です。
③ 本吸収分割に伴う新株予約権及び新株予約権付社債に関する取扱い
当社が発行済みの新株予約権について、本吸収分割による取扱いの変更はありません。なお、当社は新株予約権付社債を発行しておりません。
④ 本吸収分割により増減する資本金
本吸収分割による当社及び塩野義製薬の資本金の増減はありません。
⑤ 承継会社が承継する権利義務
塩野義製薬は、本吸収分割契約書で別途定めるものを除き、本吸収分割に際して、当社が本事業に関して有する一切の資産、負債、契約その他の権利義務を承継します。
なお、本事業に関連する事業を営んでいる当社の連結子会社であるAkros Pharma Inc.(以下「Akros」といいます。)については、本吸収分割とは別に、当社の連結子会社であるJT AMERICA INC.(以下「JT AMERICA」といいます。)を介して、JT AMERICAが保有するAkrosの株式の全てを塩野義製薬の米国現地法人であるShionogi Inc.へ、24百万米ドル(約36億円)で譲渡する予定です。
(注1) 譲渡価額は、1米ドル=151.55円(直近6ヶ月の平均レート)で換算しております。
⑥ 債務履行の見込み
本吸収分割の効力発生日以後も、塩野義製薬が負担する債務について、履行の見込みに問題はないものと判断しております。
⑦ その他の本吸収分割契約の内容
当社は、2025年9月25日に本吸収分割契約を締結しました。その内容については、末尾添付の「吸収分割契約書(写)」のとおりです。
(4)本吸収分割に係る割当ての内容の算定根拠
本吸収分割において、当社が受領する金銭については、本事業の過去及び将来の業績動向、今後の事業の成長性等を踏まえ事業価値を算出し、塩野義製薬と協議のうえ決定しました。なお、当社は本吸収分割に際して、算定機関から算定書は取得しておりません。
(5)本吸収分割の後の吸収分割承継会社となる会社の商号、本店の所在地、代表者の氏名、資本金の額、純資産の額、総資産の額及び事業の内容
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商号 |
塩野義製薬株式会社 |
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本店の所在地 |
大阪府大阪市中央区道修町3丁目1番8号 |
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代表者の氏名 |
代表取締役会長兼社長CEO 手代木 功 |
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資本金の額 |
21,279百万円 |
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純資産の額 |
未定 |
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総資産の額 |
未定 |
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事業の内容 |
医療用医薬品の研究開発、仕入、製造、販売及びこれらの付随業務 |
以上
吸収分割契約書
塩野義製薬株式会社(以下「承継会社」という。)及び日本たばこ産業株式会社(以下「分割会社」という。)は、分割会社の医薬事業(以下「本承継対象事業」という。)に関して有する権利義務を承継会社に承継させる吸収分割(以下「本吸収分割」という。)に関し、2025年9月25日(以下「本契約締結日」という。)付で、以下のとおり吸収分割契約(以下「本契約」という。)を締結する。
第1条(吸収分割)
分割会社は、本契約の定めに従い、本効力発生日(第6条において定義する。以下同じ。)をもって、吸収分割の方法により、本承継対象事業に関して有する第3条記載の権利義務を承継会社に承継させ、承継会社は分割会社からこれを承継する。
第2条(当事者の商号及び本店所在地)
本吸収分割に係る承継会社(吸収分割承継会社)及び分割会社(吸収分割会社)の商号及び本店所在地は、以下のとおりである。
(1)吸収分割承継会社(承継会社)
(商号)塩野義製薬株式会社
(住所)大阪府大阪市中央区道修町3丁目1番8号
(2)吸収分割会社(分割会社)
(商号)日本たばこ産業株式会社
(住所)東京都港区虎ノ門四丁目1番1号
第3条(承継対象権利義務)
1.本吸収分割に際し、分割会社から承継会社に承継される権利義務(以下「承継対象権利義務」という。)は、別添「承継権利義務明細表」に記載のとおりとする。
2.承継会社は、分割会社から承継会社に承継される分割会社の債務を、全て免責的に引き受ける。
3.承継会社は、本条第1項に定めるほか、本吸収分割に際して、分割会社から、資産、債務(本効力発生日より前に生じた事由に起因又は関連して発生する債務を含む。)、雇用契約その他の権利義務を一切承継しない。
第4条(分割対価)
1.本吸収分割の対価は、金5,396,796,605円(以下「当初分割対価」という。)に本調整額を加算して算出される金額(以下「本分割対価」という。)とする。
2.本契約において、「本調整額」とは、以下の算式に従って算出される金額をいう。但し、当該金額の絶対値が100万円以下の場合には、零とする。
本調整額=運転資本調整額-純有利子負債調整額
3.本契約において、「運転資本調整額」とは、以下の算式に従って算出される金額をいう。
運転資本調整額=クロージング日運転資本額-基準運転資本額
上記算式において使用される以下の用語は、本契約において以下に定める意味を有する。
(1)「クロージング日運転資本額」とは、本吸収分割効力発生時点の本承継対象事業に係る運転資本の額をいう。
(2)「基準運転資本額」とは、金4,274,519,000円をいう。
4.本契約において、「純有利子負債調整額」とは、以下の算式に従って算出される金額をいう。
純有利子負債調整額=クロージング日純有利子負債額-基準純有利子負債額
上記算式において使用される以下の用語は、本契約において以下に定める意味を有する。
(1)「クロージング日純有利子負債額」とは、本吸収分割効力発生時点の本承継対象事業に係る純有利子負債の額をいう。
(2)「基準純有利子負債額」とは、金9,612,590,000円をいう。
第5条(承継会社の資本金及び準備金の額)
承継会社は、本吸収分割により資本金及び準備金の額を変更しない。
第6条(効力発生日)
本吸収分割がその効力を生ずる日(以下「本効力発生日」という。)は、2025年12月1日とする。但し、本吸収分割の準備手続の進行に応じ必要があるときは、本契約当事者間で別途合意することにより、本効力発生日を変更することができる。
第7条(分割承認決議)
1.承継会社は、会社法第796条第2項の定めに従い、同法第795条第1項に定める株主総会の承認を得ることなく本吸収分割を行う。
2.分割会社は、会社法第784条第2項の定めに従い、同法第783条第1項に定める株主総会の承認を得ることなく本吸収分割を行う。
第8条(本契約の変更又は解除)
承継会社及び分割会社は、本契約締結日から本効力発生日の前日までの間において、本吸収分割の実行に重大な支障となる事態が生じ又は明らかとなった場合その他本契約の目的の達成が困難となった場合には合意により、本契約の内容を変更し又は本契約を終了することができる。
第9条(本吸収分割の効力)
本吸収分割は、日本たばこ産業株式会社法第8条に基づく財務大臣の認可が得られることを条件として、その効力を生ずる。
第10条(準拠法及び合意管轄)
1.本契約は、日本法を準拠法とし、日本法によって解釈される。
2.本契約の履行及び解釈に関して紛争が生じた場合には、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
第11条(誠実協議)
本契約に定めのない事項又は本契約の解釈に疑義が生じた事項については、本契約の趣旨に従い、承継会社及び分割会社は、誠意を持って協議の上、これを解決する。
[以下余白]
本契約締結の証として、本書2通を作成し、承継会社及び分割会社はそれぞれ記名押印の上、各自1通を保有する。
2025年9月25日
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承継会社:大阪市中央区道修町3丁目1番8号 |
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塩野義製薬株式会社 |
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代表取締役会長兼社長 CEO 手代木 功 |
本契約締結の証として、本書2通を作成し、承継会社及び分割会社はそれぞれ記名押印の上、各自1通を保有する。
2025年9月25日
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分割会社:東京都港区虎ノ門四丁目1番1号 |
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日本たばこ産業株式会社 |
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代表取締役社長 寺畠 正道 |
別添
承継権利義務明細表
分割会社が本承継対象事業に関して有する以下の資産、負債及び契約その他の権利義務を承継対象権利義務とする。
1.資産
本承継対象事業のみに関して分割会社が有する一切の資産(次に掲げるものを含む。)
(1)生命誌研究館の建物(建物付属設備を含む。)
(2)高槻の土地(大阪府高槻市紫町35番及び35番-1)
(3)横浜の土地(神奈川県横浜市金沢区福浦一丁目13番2)
2.知的財産
本承継対象事業のみに関して分割会社が有する一切の知的財産
3.負債
本承継対象事業に係る分割会社の負債(本承継対象事業に関する偶発債務、潜在債務、損害賠償債務又は簿外債務を含む。)
4.承継対象契約(雇用契約以外)
本承継対象事業のみに関する一切の契約(下記5.に掲げる雇用契約等及び次に掲げる契約を除く。)に関する契約上の地位及びこれに基づく一切の権利義務
(1)分割会社及び株式会社JTビジネスコムの間の2017年3月31日付「JTビジネスコム間接業務サービス基本契約書」(その後の変更・追加を含む。)
(2)分割会社及び株式会社JTビジネスコムの間の2017年3月31日付「財務業務サービス契約書」(その後の変更・追加を含む。)
(3)分割会社及びGilead Sciences, Inc.の間の2022年11月14日付「Confidential Release Agreement」(その後の変更・追加を含む。)
(4)分割会社及びジェイティプラントサービス株式会社の間の2017年12月29日付「業務委託基本契約書」(その後の変更・追加を含む。)
(5)分割会社及び株式会社ジェイティクリエイティブサービスの間の2019年4月26日付「業務委託基本契約書」(その後の変更・追加を含む。)
(6)分割会社及び株式会社ジェイティクリエイティブサービスの間の2020年4月30日付「業務委託基本契約書」(その後の変更・追加を含む。)
5.雇用契約等
(1)本承継対象事業に主として従事する従業員(有期雇用社員(シニアパートナー)、嘱託社員及び内定者を含む。但し、スタッフ職又はマネジメント職に格付けされる従業員は、労働契約承継法に基づき異議を申し出た者に限る。また、従業員番号56003、58593、62804及び65852を除く。)との間の一切の雇用契約に関する契約上の地位及びかかる契約に基づき発生する一切の権利義務(退職給付債務を含む。)
(2)本承継対象事業に主として従事する派遣社員に係る派遣会社との間の契約に係る契約上の地位及びかかる契約に基づき発生する一切の権利義務
(3)次に掲げる契約(その後の変更・追加を含む。)に係る契約上の地位及びかかる契約に基づき発生する一切の権利義務
・分割会社及びAkros Pharma Inc.(以下「Akros」という。)の間の2000年4月1日付「出向協定」
・分割会社及びAkrosの間の2022年4月29日付「日本たばこ産業株式会社からAkros Pharma Inc.への出向社員の労働条件に関する覚書」
・分割会社及び鳥居薬品株式会社(以下「鳥居薬品」という。)の間の1998年12月14日付「日本たばこ産業株式会社社員の鳥居薬品株式会社への出向に関する協定書」
・分割会社及び鳥居薬品の間の2017年1月1日付「出向社員の勤務条件等に関する覚書」
・分割会社及び鳥居薬品の間の1999年3月26日付「鳥居薬品株式会社社員の日本たばこ産業株式会社への出向に関する協定書」
・分割会社及び鳥居薬品の間の2025年5月2日付「出向社員の勤務条件等に関する覚書」
6.許認可等
本承継対象事業に関する製品に係る医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第1項に基づく製造販売承認
以上