文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループにおける経営の基本方針はすべてのステークホルダーから信頼を得て、ブランド力を向上させることです。言い換えれば、よいものを作り、顧客信頼度を向上させ、収益を伸ばすことで株主、従業員、地域社会への還元を増やす企業を目指して取り組んでまいります。
新型コロナウイルス感染症に対する行動制限が撤廃され、経済活動の正常化が進む一方で、ウクライナ情勢、中東情勢をはじめとした国際的な様々な要因から、原油価格や原材料価格が高止まりし、円安も継続しており、先行き不透明な状況が続いております。
食品業界におきましては、インバウンド消費の拡大等による外食需要に持ち直しの動きが見られるものの、家計面では長引く物価高による節約志向が高まっており経営環境の厳しさが増しております。
食品業界は、人口減少による国内市場の伸び悩みから競争がさらに激化するとともに、少子高齢化の進行に伴う市場構造の変化が懸念されます。当社グループは、市場ニーズの発掘と自社商材新製品の素早い投入とグループ経営力強化で中期的な収益拡大を図っております。成果は徐々に浸透しつつあるものの、今後も更なる収益力向上に向けて、海外顧客開拓を意識した新製品の開拓加速や営業強化に取り組むとともに、内・外生産拠点の整備に注力してまいります。
自社商材開発は、市場が求めるテーマを主体的に見つけ、営業部門と研究開発部門、生産部門の連携強化でスピーディーに新製品上市を図ります。グループ経営力強化は、HALAL対応を含めた内・外生産体制の最適化推進など、製造コスト低減に加え海外市場への本格参入に向けた様々な布石も着実に行ってまいります。
当社の経営指標は簡易営業キャッシュフロー(営業利益+減価償却費)です。簡易営業キャッシュフローを最大化させることで成長の為の投資資金を確保する一方、株主還元強化を図ってまいります。
当社グループは、更なる企業価値の向上に向けて、国内は顧客ニーズに対応する高付加価値の自社商材開発や受託商材への提案営業を強化する一方で、海外は早期に事業の収益貢献を図ってまいります。
次期の業績予想につきましては、売上高は198億円(前年同期比3.5%増)、営業利益は8億80百万円(前年同期比27.4%増)、経常利益は9億円(前年同期比19.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は6億50百万円(前年同期比31.2%増)を予想しております。
(6) 経営環境及び対処すべき課題
当社グループは、いかなる経済環境においても安定して高い収益を確保できる事業構造への転換を図っていくため、次の課題解決に積極的に取り組むことにより、ステークホルダーの皆様からのご期待に応えていく所存であります。
既存製品では、特にカラメル・焙焼品、サプリメント商材、メディケア関連市場商材等が競合激化に加え、商品寿命が短期化しております。新規ユーザーの獲得も含めて、当社の商材開発力を前面に出した提案営業を徹底させてまいります。また、部門毎の収益管理の強化を更に努め、感染症など不測の事態が生じた場合においても、収益基盤を確保する経営をしてまいります。
当社収益は、人口減少や少子高齢化が進み、食品消費量の伸びが期待しにくい国内市場に極めて依存しております。一方、近年は、アジア市場での日本食文化が浸透しており、日本食需要も拡大しております。当社グループでは、アジア市場における日本食需要の立ち上がりに対応すべく、新商材の開発やベトナム子会社による生産体制の確立及び輸出対応強化と中国子会社の再構築を図るなど、海外市場開拓を着実に進めてまいります。
ウクライナ情勢や中東情勢等の地政学的リスクの高まり、為替相場の大きな変動により原材料価格・エネルギーコストの高止まりや世界的なインフレが続いており、適切な値上げや製品設計まで遡った抜本的見直しが急速に迫られております。
当社グループでは、メーカーとしての原点にかえって構造改革を推進してまいります。
当社はSDGs・ESGプロジェクトを発足し、環境への配慮と人的資本を意識した企業活動を推進してまいります。
また、働き方が多様化するなか、「人材こそが企業価値を向上させる」を基本とし、人間力を兼ね備えた信頼されるプロフェッショナル人材の育成と働きやすい組織風土及び環境の整備に努め、人材の価値向上に取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、すべてのステークホルダーからの信頼を拡大し、100年企業に向けた強固な基盤構築、そして
持続可能な社会の実現に貢献することを目指しております。当社グループの持続的な成長及び企業価値の向上には、先ず活動基盤である地球を守っていくことが、事業活動の根幹であり、社会の公器としての使命であると肝に銘じ、資源循環型社会への貢献、環境配慮型経営の実現を目標に、グループ全社でサステナビリティへの取り組みをしっかりと進めてまいります。
当社グループは、国際情勢や社会環境が大きく変化し、これまでにも増して環境への意識が高まる中、急速に変化し続ける事業環境に即応し、安定的な成長を実現するため、取締役会において、当社グループが取り組むべきマテリアリティ(重要課題)の特定及び解決に向けた施策の方向性を決定しております。
長期的な社会・環境の変化に伴うサステナビリティに関する取り組みについても、課題を考慮した経営を行うため、取締役会の中で適宜、各担当の取締役より活動内容の報告を行い、活動の推進を行っております。
(環境配慮型経営の実現)
CO2排出量の測定と削減に向けた取り組みとして、Scope1・2における取り組みを推進します。具体的には、電力においては再生可能エネルギーの発電設備の導入、カーボンフリー電力の購入などを進めてまいります。
また、賞味期限には余裕があるにもかかわらず、顧客への出荷可能期限が切れた食品をフードバンクに寄贈するなどして食品ロスの削減を推進しております。
(人材の育成及び社内環境整備に関する方針)
人材の成長なしに企業の成長はあり得ない、また、組織の活性化には人材の活性化が欠かせないという考えのもと、社員が自らチャレンジできる仕組みと活き活きと働き、個人と企業がともに成長する環境と風土づくりを推進しています。
(人材育成)
階層別の研修や1人ひとりのニーズに応じた専門性の強化、キャリア形成のための研修を主体的に受講できる機会を提供するのはもちろんのこと、実践の場でチャレンジ業務に取り組んでいくことにより、失敗や苦労を経験することが大きな成長に繋がるという方針のもと、人材育成を行っております。
(社内環境整備)
当社は社員が多くの仕事に携わって能力を発揮できるよう定期的なジョブローテーションを行っております。また、在宅勤務制度や短時間勤務制度、時差出勤制度等働きやすい環境づくりを推進しており、その中で女性役員・女性管理職・外国籍管理職の存在等、多様性確保の取り組み、男性社員の育児休暇の取得推進等を行っております。
また、社員の豊かなライフプランと企業の永続的な発展の実現を目指し、従業員が健全な心身で活き活きと働けるように、生活習慣病予防及び重症化予防対策、メンタルヘルス対策、喫煙対策などを通じて、健康の保持・増進を図り、本社を構える栃木県でとちぎ健康経営推進事業所の認定を受けました。引き続き経済産業省の健康経営優良法人認定制度の取得に向けて取り組んでまいります。
当社は、気候変動や人的資本について、担当部署を設置するとともに労使一体となってリスク管理を行っております。環境面については、電力等の再生可能エネルギーの活用や省エネによるCO2排出量の削減、フードロスへの対応などを検討し、実施しております。
また、人材の流動性が高まる中、採用競争力が低下して計画通りの人材獲得が進まなくなること、社員の離職により組織の総合力が低下することが最大のリスクと考えております。社員が活き活きと働きやすい環境を整えることで、リスク低減に努めてまいります。
①環境配慮型経営の実現に関する指標及び目標
持続可能な社会の実現を目指し、当社グループでは、CO2排出量削減目標を設定しております。
(注)原単位は生産量を基準として算出
②人的資本に関する指標及び目標
ダイバーシティの推進を図るため、新たに下記のとおり目標を設定しました。
(注)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率についての実績は、
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、製品の安心、安全の思想を基点に、品質管理システム(HACCP、FSSC等)に従って各種製品を製造しております。また、品質管理のさらなる強化を徹底するために、トレーサビリティの構築にも努めております。しかしながら、当社グループにおいても偶発的な事由によるものを含めて製品事故が発生する可能性があるほか、社会全般にわたる品質問題などが上記の取り組みの範囲を超えて発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
この対応策として、品質保証部会を毎月開催し、製品・商品のクレームや事故の未然防止活動、表示の適正化等に取り組んでおります。未然防止活動は3ヶ月毎に開催し、製造現場の巡回を実施しクレーム等の改善状況を確認しております。いわゆる「フード・ディフェンス」の考え方を取り入れ、意図的な異物混入を防御すると共に異常が無いことを証明できる体制づくりに努めております。
異常気象などによる原材料価格の急騰や安定調達リスクに加え、円安進行に伴うユーティリティーコストや原材料価格の高騰は、製造コストの上昇につながり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
この対応策として、急激な変化に対応するため、その影響を最小限に抑えるべく原材料価格に見合った適正な製品価格の改定やコスト削減施策の実施に努めております。
当社グループは、海外における事業の拡大を重要課題の一つとしております。しかし、海外事業及び投資は、外貨の切り上げによる為替リスク、インフレ進行による人件費の高騰、日本における食品衛生等に関する法的基準に適合しない農薬等の薬品使用などによる商品事故等の要因によって影響を受ける可能性があります。これらの要因により、当社グループの事業成長及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
この対応策として、現地での法律・規制・租税制度等に関する動向は海外拠点スタッフの情報網に加え、外部コンサルタント等を活用することで適時適切に入手し対応するように努めております。
当社グループは、生産・物流・販売・開発等の情報をコンピュータにより管理しております。
システム上のトラブル等、万一の場合に備えて最大限の保守・保全対策の徹底を進めておりますが、情報への不正アクセスや予測不能のコンピュータウイルス感染等により情報システム障害が発生する可能性があります。その場合、顧客対応に支障をきたし、それに伴う費用発生等により当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
この対応策として、当社グループでは情報セキュリティ基本方針において設置された情報セキュリティ委員会が中心となり、適正かつ合理的な情報セキュリティ対策に努めております。
さらに、万が一の予期せぬ事態による情報流出に対応するため、一定額までの保険を付保しております。
当社グループは、食品添加物カラメル、粉末調味料、凍結乾燥及び冷凍和菓子等の業務用食品素材の製造販売を主力業務としております。主な法的規制として食品衛生法、製造物責任法、食品及び包装容器リサイクル法等、各種法的規制の適用を受けております。当社グループは法令を遵守し、的確な対応を行っておりますが、当社グループの事業を規制する新たな法令の制定・施行への対応のほか、新たな事業に適用される法的規制への対応により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
この対応策として、当社グループではコンプライアンスを法令遵守だけでなく、社会の要請をいち早く察知し、倫理的に行動することと捉え、役員及び従業員一人ひとりがとるべき全般的な行動を「仙波糖化工業グループ行動規範」として定めております。また、行動規範に反する行為やグループのブランド価値を著しく損ねる行為を予防し早期発見・是正するために、内部通報窓口を設けております。
当社グループでは事業の用に供する不動産をはじめとして様々な資産を所有しておりますが、時価の下落や将来のキャッシュ・インフローの状況によっては、これらの資産が減損会計の適用を受ける可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
この対応策として、四半期毎に減損の兆候判定を実施し検討を行っています。その結果、将来の収益性の低下が見込まれる当該資産については、製品・商品の適正販売価額に見合った価格の改定の実施に努めております。
当社グループは、主要な生産拠点を栃木県真岡市に有しており、この地域で大規模な地震及びその他の自然災害が発生した場合やパンデミックが起こった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
この対応策として、生産ラインの中断による潜在的なリスクを回避するために、必要と考えられる定期的な設備点検と必要に応じて災害防止点検、更にサプライチェーンの複線化等の災害対策に努めております。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限が撤廃され、経済活動の正常化が進む一方で、ウクライナ情勢、中東情勢をはじめとした国際的な様々な要因から、原油価格や原材料価格が高止まりし、円安も継続しており、先行き不透明な状況が続いております。
食品業界におきましては、インバウンド消費の拡大等による外食需要に持ち直しの動きが見られるものの、家計面では長引く物価高による節約志向が高まっており経営環境の厳しさが増しております。
このような状況下、当社グループは、全社を挙げて顧客ニーズに合わせた新商材の開発強化や値上げ対応を進める一方で、海外市場取り込みに注力してまいりました。
その結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は191億37百万円(前年同期比2.8%増)となりました。
製品の種類別売上高では、カラメル製品は、鶏卵不足解消に伴う食品向け需要の回復に加え、海外市場の取り込みも開始され、42億31百万円(前年同期比5.2%増)となりました。乾燥製品類は、粉末茶の回復と海外子会社の粉末製品の生産開始効果もあり、61億84百万円(前年同期比4.5%増)となりました。組立製品類は、コーンスープなどの受注が回復するものの、ヘルスケア関連商材の受注が大幅に減少し、37億63百万円(前年同期比5.7%減)となりました。冷凍製品は、冷凍和菓子が堅調に推移したことに加え、外食向け冷凍山芋の需要が回復し、37億82百万円(前年同期比7.2%増)となりました。その他は、子会社の受託加工売上高が増加し、11億75百万円(前年同期比1.1%増)となりました。
利益面につきましては、新商材の拡販と値上げ対応を進め、営業利益は6億90百万円(前年同期比156.2%増)、経常利益は7億55百万円(前年同期比94.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4億95百万円(前年同期比112.7%増)となりました。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、118億47百万円(前連結会計年度末は111億43百万円)となり7億3百万円増加しました。その主なものは、売掛金の増加(3億83百万円)、現金及び預金の増加(2億67百万円)であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、111億58百万円(前連結会計年度末は105億23百万円)となり6億35百万円増加しました。その主なものは、投資有価証券の増加(10億21百万円)であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、78億18百万円(前連結会計年度末は76億12百万円)となり2億6百万円増加しました。その主なものは、未払法人税等の増加(1億11百万円)、未払金の増加(64百万円)であります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、24億70百万円(前連結会計年度末は24億82百万円)となり11百万円減少しました。その主なものは、長期借入金の減少(1億83百万円)であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、127億16百万円(前連結会計年度末は115億72百万円)となり11億44百万円増加しました。その主なものは、その他有価証券評価差額金の増加(7億5百万円)、利益剰余金の増加(3億24百万円)であります。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限が撤廃されたことなどにより191億37百万円(前連結会計年度は186億20百万円)となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、ユーティリティーコストの低下などにより、149億53百万円(前連結会計年度は150億63百万円)となりました。売上高に対する売上原価率は2.8ポイント低下し78.1%となりました。
販売費及び一般管理費は、経費削減を進める一方で経済活動の活発化もあり、34億93百万円(前連結会計年度は32億87百万円)となりました。
(営業利益)
営業利益は、新商材の拡販と値上げ対応をすすめ、6億90百万円(前連結会計年度は2億69百万円)となりました。
(経常利益)
経常利益は、営業利益の増加により7億55百万円(前連結会計年度は3億89百万円)となりました。
(税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、7億55百万円(前連結会計年度は2億28百万円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、4億95百万円(前連結会計年度は2億32百万円)となりました。また、1株当たり当期純利益43.52円(前連結会計年度は1株当たり当期純利益20.46円)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して2億67百万円増加し、当連結会計年度末には34億34百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は13億72百万円(前年同期は8億22百万円の獲得)となりました。
これは減価償却費9億32百万円、税金等調整前当期純利益7億55百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は7億42百万円(前年同期は4億32百万円の使用)となりました。
これは有形固定資産の取得による支出4億80百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は3億85百万円(前年同期は5億62百万円の使用)となりました。
これは長期借入金の返済による支出3億25百万円等によるものであります。
当社グループは、食品製造販売事業のみの単一セグメントであるため、「生産、受注及び販売の実績」については製品の種類別区分ごとに記載しております。
(注) 金額は販売価格によっております。
(注) 金額は仕入価格によっております。
(注) 金額は販売価格によっております。
(注) 前連結会計年度及び当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用・資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性の存在により、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えています。
売上債権等の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、必要な貸倒引当金を計上しております。顧客の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合には、追加の引当が必要となる可能性があります。
投資有価証券を保有しておりますが、市場価格のない株式等以外のものについては時価法を、市場価格のない株式等については原価法を採用しております。また、時価法を採用した有価証券については、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合には減損処理を行い、30%から50%の下落の場合は、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。原価法を採用した有価証券については、実質価額が取得価額と比べ著しく下落した場合、回復の見込みが確実と認められる場合を除き、減損処理しております。将来の市況悪化または投資先の業績不振等により、新たに減損処理が必要となる可能性があります。
資産を事業単位等にグルーピングし、各グループの単位で将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、回収可能価額まで帳簿価額を減額しております。将来の企業環境の変化等により、回収可能価額が帳簿価額を著しく下回ることとなった場合には減損処理が必要となり、損益に影響を与える可能性があります。
将来の課税所得の見込み及びタックスプランニングに基づき、回収可能性を十分に検討し、回収可能な額を計上しております。なお、繰延税金資産の回収見込額に変動が生じた場合には、繰延税金資産の取崩または追加計上により利益が変動する可能性があります。
非積立型の確定給付制度(退職一時金制度)及び既退職の年金受給者を対象とする確定拠出年金制度における退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の給付水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率などが含まれます。実績が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度末の資産残高は、230億6百万円(前連結会計年度末は216億67百万円)となり13億39百万円増加しました。これは主に、固定資産の投資有価証券の増加(10億21百万円)、流動資産の売掛金の増加(3億83百万円)であります。
負債の残高は、102億89百万円(前連結会計年度末は100億94百万円)となり1億94百万円増加しました。これは主に、流動負債の未払法人税等の増加(1億11百万円)、未払金の増加(64百万円)であります。
純資産の残高は、127億16百万円(前連結会計年度末は115億72百万円)となり11億44百万円増加しました。これは主に、その他有価証券評価差額金の増加(7億5百万円)、利益剰余金の増加(3億24百万円)であります。
売上高は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限が撤廃されたことなどにより、当連結会計年度は191億37百万円(前連結会計年度は186億20百万円)となりました。
営業利益は、新商材の拡販と値上げ対応をすすめ、6億90百万円(前連結会計年度は2億69百万円)となりました。
経常利益につきましては、営業利益の増加により7億55百万円(前連結会計年度は3億89百万円)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、4億95百万円(前連結会計年度は2億32百万円)となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資金運営は、事業活動にかかる運転資金については営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としておりますが、債権回収までに必要な資金については銀行借入による短期資金調達などによって流動性を保持しております。一方、設備資金等の長期的な資金については、設備投資・事業投資計画に基づき、国内外での資金調達について、市場金利動向や為替動向、あるいは既存借入金の償還時期等を総合的に勘案し、長期借入金によって流動性を維持しております。
当社グループの当連結会計年度末の資金は、前連結会計年度末に比べ2億67百万円増加し、34億34百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の増加等により前連結会計年度に比べ5億49百万円増加し、13億72百万円の獲得となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、貸付金の回収による収入の減少等により前連結会計年度に比べ3億9百万円使用が増加し、7億42百万円の使用となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入の増加等により前連結会計年度に比べ1億76百万円使用が減少し、3億85百万円の使用となりました。
なお、当連結会計年度末の有利子負債の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
当社グループは、グループ経営力強化、自社商材拡販、海外市場開拓を経営戦略の基本3本柱として、簡易営業キャッシュフロー(営業利益+減価償却費)の最大化を図り、成長のための投資資金確保と還元強化を目指しております。
当連結会計年度は、新商材の拡販と値上げ対応を進め営業利益が増加し、簡易営業キャッシュフローは16億23百万円と前連結会計年度と比べ3億78百万円増加いたしました。翌連結会計年度は、海外市場取り込みを強化する一方で、国内ではさらなる拡販を進めてまいります。
また、各種指標は以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 簡易営業キャッシュフロー=営業利益+減価償却費
(連結子会社持分の譲渡)
当社は、2024年5月10日開催の取締役会において、当社の連結子会社である福建龍和食品実業有限公司の出資持分の一部を共同出資会社である連江県瑞天食品有限公司に譲渡することを決議し、2024年5月14日に出資持分権譲渡契約を締結いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
当社グループの研究開発は、開発部、関連部署、グループ各社との綿密な連携のもと、安全・安心を第一にグローバル化、多様化する消費者および顧客ニーズに合った商品開発を実現するために、当社が得意とする糖焙焼、乾燥粉末化、粉体加工・配合の技術力向上を目標に活動しております。
当連結会計年度における研究開発として、カラメル製品部門(カラメル色素、焙焼シラップ)では、チルドデザート、冷菓、チョコレートなどの和洋菓子用途のシラップ、ソース、カラメル顆粒、キャンディチップ品で顧客要望を満たす新商品開発・改良を実施し、特にキャンディチップでは新フレーバー開発と外観色改良に注力しました。また、新規生産ラインの導入を見据えた、高付加価値商品の開発とその生産技術の蓄積をしてまいりました。
乾燥製品部門の基礎調味料、和風調味料におきましては、幅広く顧客の要望に応えられるように商品の種類を充実させるべく開発にあたっております。粉末茶製品については、従来からの給茶機、通信販売向け及び量販店などの一般市販用製品及び加工食品の原材料として提案しやすい製品開発に注力しました。凍結乾燥製品では、既存製品の保存性向上や野菜の成型具材開発に取り組みました。
組立製品部門(造粒、ブレンド)では、スポーツサプリメント、ヘルスケア食品、乾燥スープ、粉末清涼飲料など、おいしさにこだわった商品づくりで配合技術を高めること、多様化するニーズに向けてより利便性を追求した高機能な品質を目指した積極的な粉体加工技術開発にも取り組んでおります。また、安定した品質の製造条件や省エネに繋げるために造粒試作機データから製造機に反映させる条件設定に取り組んでおります。
冷凍製品部門におきましては、既存商品に無い和菓子のバラエティ化のための商品開発、冷凍山芋では品質を安定させる製造条件開発と設備改良に取り組んでおります。
既存製品におきましては、エネルギーコストや物流費上昇、世界的な食品原材料需給バランスの変化、天候不順などによる原材料価格の高騰や原材料の入手難という原料事情に対応するため、設計の変更や原料切り替えを随時実施しております。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、