文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
経営の基本方針は、食品産業の分野において広く社会に貢献し企業価値の向上に努め、永続と繁栄を図るとにより、株主をはじめとする関係者のご期待に応えることにあります。
上記の方針に基づいて、消費者が快適な食生活を実現するための食材を提供するのが当社グループの任務です。
当社グループは中期経営計画を作成し、令和5年度連結経常利益20億円の達成とその継続を目標値とし、営業活動の強化や生産性の向上に全社一丸となって取り組んでまいりましたが、原材料価格の高騰や燃料費等のコストアップによる影響を大きく受けたこと等から目標値に対しては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(業績等の概要)(1)業績」に記載のとおりとなりました。
昨今の経営環境が当初の想定を超えて変化してきていることから、昨年、令和6年度を初年度とした次期中期計画を策定し、令和9年度連結経常利益20億円の達成とその継続を目標に掲げ取り組んでまいります。
当社グループでは、安全・安心かつ安定的な商品の供給体制やコンプライアンス体制の強化を図るとともに、お客様のニーズを捉えた新商品の研究開発に努め、社会・地域・環境に配慮しつつ経営の効率化を推進するために次の基本戦略に基づいて実行しております。
① 技術力の強化により高度な品質を実現し、商品力の強化を図ります。
② 品質管理体制を強化します。
③ 商品の安定供給のために、原材料の安定確保及び製造体制の維持・強化を図ります。
④ 株主利益の増大と財務体質の強化を図ります。
⑤ 事業構造の最適化を推進します。
食品業界を取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類感染症へ変更されたこと等から行動制限が解除され、経済活動の回復が見られるものの、原材料価格の高騰やエネルギー費等のコストアップの他、少子高齢化等による社会構造の変化や業態を超えた競争の激化により厳しい状況が続いております。加えて、異物混入防止や放射能・アレルゲンへの対応も含めた安全・安心な食の提供や、環境問題への対応・持続可能な社会に向けての取り組み等、企業に求められる社会的責任は増大してきております。
当社グループでは、このような環境変化へ対応するとともに、お客様ニーズの収集に努めて顧客満足を推進し、品質の維持向上と安全・安心な商品の安定的な供給体制を維持するために検査・分析能力等の更なる充実を図り、グループ全体の収益性の向上に取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
当社グループでは、社是の実現に向けて、「環境」「社会」「ガバナンス」の3つの観点を考慮した事業活動を推進し、持続的な成長と企業価値向上を目指す経営の姿勢を明確にするため、令和4年6月1日にサステナビリティ基本方針を策定・公表しております。
私たち日東ベストグループは、「食品産業の分野において広く社会に貢献し、永続と繁栄のもとに企業を構成する人々の理想を実現する」という社是のもと、企業行動規範に基づく事業活動を通じて、持続可能な社会の発展と地球環境の保全に貢献し、全てのステークホルダーと存在意義を共有する企業を目指します。
私たちは、安全で品質の良い食品を提供し、お客様の満足と安心を常に維持する最大限の努力を続けます。革新的なチャレンジ精神を尊重し、食を通じた健康で心豊かな生活と食文化を育む未来への貢献により、社会的価値と経済的価値の共創を推進します。
私たちは、自然の恵みを受ける企業として、地球環境の負荷の軽減や脱炭素社会の実現、気候変動の緩和や生物多様性を含めた地球環境の保全に配慮し、企業活動における環境との調和に努めます。
私たちは、ステークホルダーとのコミュニケーションを推進し、積極的に協力し合いながら、社会の要請や期待と誠実に向き合い持続可能な社会の実現に貢献します。
私たちは、人権を尊重し、健康な生活と福祉の両立に配慮しつつ、多様な人材が共存し認め合いながら個々の能力を活かして働ける職場、安全で働きやすい職場づくりを推進します。
私たちは、企業活動を行う地域において、伝統・文化事業などの地域交流や社会貢献活動、森林の保全などの環境活動に積極的に参加し、豊かな地域社会の実現に貢献します。
私たちは、常に誠実で公正な企業活動を行うとともに、より強靭な経営の仕組みを構築しながら、コンプライアンスの徹底やリスク管理の強化に努め、社会から信頼され必要とされる企業であり続けます。
当社グループは、上記「(1) 基本的な考え方」に則り、当社が中心となって、サステナビリティ推進体制の構築を進めております。
当社では、国際標準の環境・品質・食品安全マネジメントシステムによる本業と一体化した社会・環境保護の推進体制に加え、取締役会においてサステナビリティの実現に向けたマテリアリティ(優先課題)を決定し、この課題に対処するための主軸となる実行部門を定めて、事業活動を通じた取り組みの推進・調整・支援等を行っております。また、サステナビリティに関する取り組みを監視し、管理するためのガバナンス機能は、代表取締役社長執行役員を議長に置く経営会議(取締役会の監督のもとで、執行役員を主要な構成員とし、業務執行の推進に重心を置く意思決定機関)を実質的な審議等の場とし、当該会議におけるサステナビリティに関する主な審議事項(当連結会計年度)は以下のとおりであります。
・(価値の創出)食品安全管理体制の更なる強化として、国内全工場で食品安全国際認証FSSC22000・ ISO22000と国内認証JFS-Cを同時取得
・(環境の保全)気候変動対策への貢献として、神町工場の使用電力の全量を水力発電所由来の再生可能エネルギーに転換、加えて東根工場の大型フリーザーを環境負荷の少ない自然冷媒タイプの設備に更新
・(環境の保全)温室効果ガス排出削減に向けて排出量を正確に把握するための可視化システムを導入し運用体制構築に着手
・(多様な人材が活躍できる職場づくり)事業の促進と更なる企業の成長を目指すための役割等級制度を組み入れた新人事制度の運用開始や人材マネジメントシステムの導入による運用構築に着手
当社は、更なるガバナンス強化に向けて検討すべき次の課題を認識し、これらの課題の検討・対処・改善に継続して取り組むことにより、今後とも経営戦略や経営計画等との一体化を進め、サステナビリティを確保するための体制強化に努めてまいります。
・全体的な推進体制を統制・監視するための、より効果・効率的な監視体制や管理手続等の構築
・現状の取り組みや推進状況等の情報を適切に把握し、それに応じた大きな方向付けや戦略的な意思決定を支える、より適切なガバナンス体制構築に向けた環境整備
当社グループは、自社の特徴を活かした継続的な取り組みを効果・効率的に推し進めるため、「社会からの期待に対して、当社が事業を通じてどう応えるか」という視点をもって、経営上の重要な要素として考慮すべき課題を優先付けし、当社グループの経営に影響を与える可能性のある特に重要な課題をマテリアリティ(優先課題)と位置付けて、経営戦略や経営計画等に反映しながら持続的な成長と企業価値向上に取り組むこととしております。
これらのマテリアリティの特定にあたっては、当社グループを取り巻く経営環境と当社事業の方向性等を考慮のうえ、経営会議の審議を経て取締役会において決定し、それぞれの課題に対処するための主軸となる実行部門を定めて、事業活動と一体的な戦略の立案と推進を図ってまいります。
当社グループにおけるマテリアリティ(優先課題)は、以下のとおりであります
・食の安全をお客様の更なる安心・信頼へ
・温室効果ガスの排出削減
・プラスチック資源の削減・有効活用
・持続可能な原材料調達の強化
・ダイバーシティ&インクルージョンの推進
・コンプライアンスの徹底・強化
人的資本に関しては、人材の多様性の確保を含む人材育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針の策定・開示は行っておりませんが、従来から、当社グループにおいて人材の「材」は「財」であるという共通認識を醸成しております。当社においては、企業価値の源泉を築く人材の確保と定着、及びダイバーシティ&インクルージョンの推進策として、従業員を対象としたエンゲージメント調査を実施するほか、現在取り組んでいる主な人事・人材戦略の内容は以下のとおりであります。これらの取り組みは、先ずは当社における運用体制の確立と定着を優先し、当社グループに属する子会社に向けては、子会社の体制や規模・特性等を考慮しながら検討していくこととしております。
・自己の成長と現場力強化を支える独自の育成プログラムの体系化や山形県立産業技術短期大学校への国内留学制度等の継続的な実施
・役割等級制度を組み入れた新人事制度の運用開始
・従業員総数の約55%を占める女性の活躍・登用拡大(当連結会計年度における当社の女性管理職比率は11.7%から14.2%に2.5ポイント改善しております。)
・管理職登用を含めた中途採用の積極化やアルムナイ・カムバック採用(離職・退職者雇用)等の採用手段の多様化
・人材に関する情報を一元化し、人材育成・活用に役立てるための人材マネジメントシステムの導入による運用構築に着手
当社グループは、上記「(3)戦略」に記載したマテリアリティ(優先課題)を特定する過程において、サステナビリティを巡る課題を広く洗い出し、「社会からの期待に対して、当社が事業を通じてどう応えるか」の視点を加えて、当社グループの事業活動が環境・社会に与える影響及び発生可能性を評価しております。そして、これを適宜見直し、改善していくことにより、サステナビリティを確保するための必要なリスク管理体制の強化を図ってまいります。また、そのための、より適切で効果的なリスク管理の方法や継続的な実施を確保するための仕組みを維持・向上させるため、上記「(2)ガバナンス」における検討課題と合わせて深度ある検討を継続してまいります。
当社グループは、上記「(3)戦略」における温室効果ガスの排出削減、人材の多様性の確保を含む人材育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。
当該指標に対する目標の設定や追加的な指標及び目標の設定は、更なる拡充の方向で検討する必要性を認識しておりますが、そのために必要な情報・データの質量の確保やその収集方法等の課題に取り組みながら、当社にとって有効な指標及び目標の検討を進めていくこととしております。
当社グループは、温室効果ガス(GHG)排出削減に向けて排出量を正確に把握するための可視化システムの導入とその運用体制構築に着手し、国際的な基準に基づく排出量の算定・評価に取り組んでまいります。指標と目標の設定は、連結グループに属する子会社での情報・データの確保等に課題を有するため、喫緊の対応として、優先的に当社におけるScope1と2(自社排出)の範囲を対象とした検討を進めてまいります。
現在は「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」(以下「省エネ法」という。)の規定に基づいて、エネルギー使用に伴って発生する二酸化炭素の温室効果ガス算定排出量を定期的に把握しております。当社の二酸化炭素の温室効果ガス算定排出量は、以下のとおりであります。
二酸化炭素の温室効果ガス算定排出量実績 (単位: t-CO2)
上記方針に基づく管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、「
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。ただし、以下は当社グループの全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。
当社グループでは、リスクを適切に認識し、損失発生の未然防止に努めるため、リスク管理体制の整備を推進し、当社グループ全体のリスク管理方針の策定・リスク対策実施状況の確認等を定期的に行っております。
当社グループでは、主に食品の製造・販売を行っており、お客様へ安全安心な商品を提供するために、その安全性については製造基準書の整備等の他、従業員教育や製造現場環境の整備、厳しい社内規定を設ける等の対策を講じておりますが、当社グループの想定を超えた事象や、社会全般にわたる食の安全性に関わる問題の発生、あるいは当社商品における異物混入や表示間違い等による回収費用や訴訟・損害賠償等の発生や、得意先様との取引停止等の事態となった場合、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループではISO9001及びFSSC22000の品質マネジメントシステムの認証を取得し、推進しております。また品質保証に関する専門部署や委員会を設置する等、安全性の確保に向けた最大限の努力をするとともに、発生し得る各種損害の軽減、並びにお客様への賠償を行う目的で、損害賠償保険に加入しております。
当社グループの顧客企業において経営方針に変更が生じたり、あるいは当該顧客企業の経営状態が悪化した場合や、顧客企業が異業種や競合企業のM&Aにより企業再編が行われた場合には、当社グループの販売状況に影響が生じることが予想され、このことは当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは顧客企業との関係を強化していく他、新規顧客の開拓、商品品質の向上による差別化等に取り組んでおります。
(競争激化に関するリスク)
当社グループは、当社グループ以外の食品製造業の他、外食産業や食品宅配事業者等、多様な業態・企業と競合しております。これら競合他社は、資金・人材・製造設備・製造技術・商品・マーケティング又は顧客の嗜好の変化への対応力等において当社グループより優れている可能性があります。このような競争の激化は当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは経営計画等において継続的に環境分析を実施して市場ニーズを把握し、提供するサービスの高付加価値化等による競合他社との差別化を図るとともに、不採算案件の抑制や生産性向上にも取り組んでおります。
当社グループが使用する原料・燃料等の調達及び価格につきましては、下記の要因により当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
使用する原料の産出国あるいは地域において、BSE・鳥インフルエンザ・口蹄疫・ASF(アフリカ豚熱)等の家畜の疾病が発生した場合、原料輸入禁止措置等に伴う供給量減により、畜肉原料の調達困難、及び価格が上昇することが予想されます。
冷夏、暖冬や台風をはじめとする異常気象により農水産物の作柄が悪化した場合、原料の調達困難及び価格が上昇することが予想されます。
家畜の疾病や異常気象、各国の経済情勢や政策等による消費状況の変化、また、エネルギー資源としての農作物の需要増等により、市場での原料供給が需要を下回った場合等、調達困難及び相場による価格上昇が予想されます。
また、原油価格の高騰は、包装用容器やフィルム等の原料価格へ悪影響を及ぼすことが予想されます。
未知のウイルス等による感染症により、国内外の原材料生産工場の稼働停止があった場合、また、国内外の流通網が災害や事故、紛争等により分断された場合、原材料価格の上昇や調達が困難になることが予想されます。
原料輸入量の急激な増加によりセーフガードが発動された場合、原料購買価格が上昇いたします。
当社の予想した為替レートに対して大幅な円安ドル高となった場合、原料購買価格が上昇いたします。
原油価格の高騰は、原材料の価格高騰のみならず、燃料費をはじめとする製造コストや物流コストの上昇を招き、このことは当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
上記の状況に備え、当社グループでは継続的な情報の収集、海外メーカーや国内商社との取り組みの強化、代替原料や代替取引先の準備の他、価格変動の大きさによっては製品の値上げや品目のリニューアルを行う等の対策に取り組んでおります。
当社グループが継続的に成長していくためには、優秀な人材の確保と育成、またその能力を最大限に発揮することが重要となりますが、日本国内における人口減少、とりわけ生産年齢人口の減少により人材の確保が難しくなるなか、最低賃金上昇を含む雇用情勢の変化等により必要な人材の確保や育成が計画通り行えなかった場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは人材の採用強化に加え外国人技能実習制度の活用を進める他、働き方改革の推進、労働環境の整備、従業員の多能工化や各種作業マニュアルの整備、業務の自動化や省力化・省人化(設備投資を含む)、提携工場への製品移管や製品群の集約の検討等に取り組んでおります。
当社グループは製品製造のために多種多様な設備を保有しておりますが、それらのトラブル(老朽化を含む)により長期間の稼働停止が発生する可能性があり、このことは当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは計画的な設備更新の検討や、定期的な保守点検・修繕の実施を行っております。
当社グループでは、食品の製造及び販売を行うにあたり、各種の法令や規制に準じた社内規定・作業手順書を整備しそれらに則った業務遂行を行っておりますが、それらの遵守のための様々な取り組みをもってしても、役職員の全ての業務遂行上のミスや不正行為を完全に防止できない可能性があります。このことは当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは、内部統制システムの整備を行い内部監査室が各部門の業務監査を行って確認するとともに、各種会議での業務遂行の状況確認や作業チェック表による作業確認等の対策を講じております。
当社グループでは、業務遂行手段として種々の情報システムを使用しておりますが、各種システムトラブルの他、サイバー攻撃やランサムウェア等によるネットワークシステムへの攻撃等による業務の遅延・停止及び情報の漏洩、また当社グループ従業員及び情報システム業者都合によるシステム構築の遅延等が発生した場合、業務効率の著しい低下が避けられず当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは、システムのセキュリティ強化、優良なシステム会社の調査・確保、リスクが高いと思われるシステムの再構築、クラウド化、セキュリティ対策の高い業者へのアウトソーシング等の対策を推進してまいります。
当社グループでは、プレスリリース及び適宜情報開示等により信頼の維持・向上を図り、リスク顕在化の未然防止に努めております。しかしながらインターネット上の掲示板への書き込みや、それらを要因とするマスコミ報道等による風評・風説の流布が発生・拡散した場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは、リスクが認識された場合には法令・規則に則り迅速に対応する体制を整えております。
当社グループは事業活動を遂行していくうえで、食品衛生法、製造物責任法等、様々な法規制の適用を受けており、これら法規制の変更や新規制の導入については、昨今その頻度を増してきております。これら法規制への対応遅れが生じたり、対応不可能な状況が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは法制度の変化に関する迅速な情報把握や法令適合検証の実施、施行前の早めの対策実施に努めております。
(退職給付関係)
当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等の前提条件や年金資産の期待収益率に基づいて算出されています。従って割引率の低下や年金制度の変更等、前提条件に大きな変動があった場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは制度の変化に関する迅速な情報把握や、施行前の早めの対策実施に努めております。
(減損リスク)
当社グループでは、減損会計を適用しており、実質的価値が下落した保有資産(投資有価証券を含む)や収益性の低い事業等について減損処理が必要となった場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは減損が懸念される事業に対する保有資産については内容の確認評価・検討を随時行っております。
(繰延税金資産に関するリスク)
当社グループの決算処理における繰延税金資産の計算は、将来の課税所得など様々な予測・仮定に基づいており、経営状況の悪化や税務調査の結果等により、実際の結果がかかる予測・仮定とは異なる可能性があります。従って、将来の課税所得の予測・仮定に基づいて繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断した場合、繰延税金資産は減額され、その結果、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、予測・仮定について定期的に評価し、適切な予測・仮定をすべく努めております。
当社グループの事業拠点及び取引先のある地域において、天災や悪天候、火災、テロ、ストライキ、戦争等が発生した場合、また疾病や伝染病の発生・蔓延等により、原材料・商品の仕入や工場稼働、受発注、商品配送等の事業継続に支障をきたすことが予想されます。また、非常事態宣言の発令等により国内経済全体が停滞した場合には影響の範囲も増大することが予想されます。このことは当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性がありますが、このような事態に備え当社グループとしましては、危機管理体制の強化をはじめBCPの検討等の対策を講じております。
(海外進出に対するリスク)
当社グループは、中長期的な成長を図るために海外への事業展開を行っております。しかしながら海外の市場開拓が進まない場合や、政治的・経済的状況等の変化及び社会環境における予測し得ない事態が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは当該事業へのグループ内で支援を行う他、当該事業の計画に対する進捗状況の確認を行い状況に応じて必要な対策を講じております。
(資金調達に関するリスク)
当社グループは事業の継続及び成長戦略等のために資金を調達する必要があります。しかしながら、経済情勢不安や金融収縮・格下げ等による当社グループの信用力低下、当社グループの事業見通し悪化等の要因により、当社グループの想定する条件での資金調達が困難になる可能性もあります。これらの要因により、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。そのため当社グループでは、多様な資金調達手段を検討するとともに金融環境の変化へ迅速に対応できる体制を整え、また取引金融機関との良好な関係の構築・維持に努めております。
(知的財産権に関するリスク)
当社グループでは、他社製品との差別化のために当社グループ独自の製造技術の開発やノウハウの蓄積を行っており、その一部については特許を取得しております。しかしながら、知的財産権の侵害リスクを完全に排除することは困難であることから、これら知的財産の侵害により当社グループ製品の販売が阻害された場合、当社グループの売上の低下につながるおそれがあります。また、当社グループでは製造技術開発の際、他社の有する知的財産権の侵害防止に努めておりますが、万が一当社グループが開発した製品や技術が他社の知的財産権を侵害していると判断され、損害賠償請求の発生や製品の回収及び販売を中止せざるを得なくなった場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは、知的財産に関する専門委員会を設置し、当社グループ独自の技術の保護や他社の有する知的財産権の侵害防止に取り組んでおります。
物流業界の人手不足及び時間外労働の規制により物流コストの上昇が想定されます。当社グループでは、物流の効率化を推進してまいりますが、対応が遅れた場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類感染症へ変更されたこと等から行動制限の緩和が進み、経済活動の正常化が見られました。一方で、大幅な円安の進行による影響や原材料価格及びエネルギー価格の高止まり等から、先行き不透明な状況が続いております。
食品業界におきましても、外食分野では回復が見られるものの、一般消費者の食費節約意識の高まりにより、原材料価格及びエネルギー価格等の上昇分の販売価格への転嫁が難航するなど、依然として厳しい経営環境となっております。
このような環境のなかで、当社グループにおきましては、市場環境変化への対応を行いながら、販売力の強化、お客様のニーズを捉えた商品開発、製品の安定供給に努めてまいりました。
その結果、当連結会計年度における売上高に関しましては、外食分野及び日配食品部門が前年同期比で増加したことや価格改定を実施したこと等から、542億7千1百万円(前年同期比4.6%増)となりました。
利益面に関しましては、営業利益は5億4百万円(前年同期比32.6%増)、経常利益は5億4千6百万円(前年同期比25.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4億1千1百万円(前年同期比69.3%増)となりました。
事業部門の区分別の売上高は、次のとおりであります。なお、当社グループの事業は単一セグメントであるため、部門別により記載しております。
冷凍食品部門につきましては、上記の影響により422億3千4百万円(前年同期比3.3%増)となりました。
日配食品部門につきましては、88億2千7百万円(前年同期比11.6%増)となりました。
缶詰部門等につきましては、32億8百万円(前年同期比4.5%増)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ20億2千9百万円増加し、56億9千5百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益6億2千9百万円、減価償却費17億9千4百万円、仕入債務の増加額11億4百万円等により35億9千9百万円の資金収入(前年同期は11億8千万円の資金収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出10億円等により10億4千9百万円の資金支出(前年同期は14億9千5百万円の資金支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増額4億6千3百万円、社債の償還による支出5億円、長期借入れによる収入20億円、長期借入金の返済による支出21億8千万円等により5億1千6百万円の資金支出(前年同期は5億2千9百万円の資金収入)となりました。
次期のキャッシュ・フローにつきましては、棚卸資産等の圧縮に取組むなど営業キャッシュ・フローの増加をはかり、キャッシュ・フローの改善に努めてまいります。
当連結会計年度における生産実績を部門ごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 当社グループの事業は単一セグメントであるため、部門別により記載しております。
2 金額は販売価格によっております。
当社グループは見込生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績を部門ごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 当社グループの事業は単一セグメントであるため、部門別により記載しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
詳細につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(業績等の概要)(1) 業績」をご参照下さい。
(キャッシュ・フロー)
詳細につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(業績等の概要)(2) キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、材料購入のほか、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の費用によるものであります。販売費及び一般管理費の主なものは、運搬費及び保管費、人件費等であります。
当社グループの研究開発費は一般管理費及び当期製造費用に含まれておりますが、研究開発に携わる従業員の人件費が主要な部分を占めております。
(財務政策)
当社グループは、運転資金及び設備資金について、自己資金及び借入金、社債の発行により調達しております。このうち借入による資金調達については、運転資金は短期借入金で、設備投資に必要な資金は長期借入金で調達しております。
令和6年3月31日現在、短期借入金の残高は49億1千9百万円で平均利率は0.8%、長期借入金の残高は63億7千3百万円で平均利率は1.1%となっております。
当社グループの財務政策の基本は、収益の短期的変動に左右されることなく、営業活動の拡大展開及び効率的な設備投資を継続して行うことができる、安定的な資金調達を行うことであります。
当社グループの営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力及び現在の財務状態から、当社グループの成長を維持するために、将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することは、十分可能であると考えております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、当連結会計年度末日における資産・負債の報告数値及び当連結会計年度における収益・費用の報告数値に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる可能性があります。
当社グループの採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、以下の事項について、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。なお、将来の課税所得を見積るにあたって、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
当社グループは、固定資産の減損会計の適用にあたって、独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位でグルーピングをしております。減損の兆候がある資産又は資産グループについて、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたって、事業計画や市場環境の変化等により前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
なお、連結子会社JAPAN BEST FOODS COMPANY LIMITEDの固定資産の減損兆候判定についての仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、安全な食品を提供し、安心な食生活への貢献を目指し、お客様の満足度を最優先にして商品を開発することを目的としております。また、コロナ禍からの脱却が進む一方で、円安の進行による影響や原材料及びエネルギー価格の高止まり等が続きました。このような状況でも、社会環境や市場の変化に柔軟に対応してきました。
当連結会計年度は、高度な品質の実現推進を目的に開発本部を中核として、開発部、研究部及び技術開発センターの2部署1センター体制で研究開発を進めました。開発部では、開発テーマの設定及び開発品の評価を行いました。研究部では、基盤技術研究を行いました。技術開発センターでは、新しい製造技術や加工技術の開発に取り組み、これらをプラスした新商品の開発を進めました。生産本部、品質保証本部と密接な連携を図り、効率的な研究開発を進めました。
主な研究開発の概要及び成果は以下のとおりです。
① 畜肉製品・調理加工品・デザート類などの主要製品群について、官能評価及び機器分析を組み合わせた評価技術に取り組み、これらを活用した新商品開発・新メニュー提案を行いました。
② お客様のニーズに対応するための商品強化に取り組みました。
③ 更なる品質向上・高付加価値化を目指し、品質評価技術と食品加工技術の向上に取り組みました。
① 将来のタンパク質危機に対応するために、畜肉に替わる代替タンパク質の研究を行いました。
② 大学、研究機関、企業との共同研究を通じて、未利用資源のシーズ探索及び利用法について検討を行いました。
当連結会計年度に支出した研究開発費は
なお、当社グループの事業は単一セグメントであるため、セグメントに関連付けた説明は記載しておりません。