文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
経営の基本方針は、食品産業の分野において広く社会に貢献し企業価値の向上に努め、永続と繁栄を図ることにより、株主をはじめとする関係者のご期待に応えることにあります。
上記の方針に基づいて、消費者が快適な食生活を実現するための食材を提供するのが当社グループの任務です。
当社グループは、2023年度に2024年度を初年度とした次期中期計画「Reborn & Growing 2028(2024-2028)」を策定し、2028年度までに連結経常利益20億円以上の達成とその継続を目標値とし、営業活動の強化や生産性の向上に全社一丸となって取り組んでまいります。
しかしながら、原材料価格の高騰や燃料費等のコストアップによる影響を大きく受けたこと等から目標値に対しては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(業績等の概要)(1)業績」に記載のとおりとなりました。
当社グループでは、安全・安心かつ安定的な商品の供給体制やコンプライアンス体制の強化を図るとともに、お客様のニーズを捉えた新商品の研究開発に努め、社会・地域・環境に配慮しつつ経営の効率化を推進するために次の基本戦略に基づいて実行しております。
① 技術力の強化と他社が追随できない高度な品質の実現を図ります。
② 重点分野/注力商品群の明確化による冷凍食品部門の立て直しを図ります。
③ 組織/業務の見直しと意識改革及び行動変容の促進による組織力の強化を推進します。
④ 従業員満足の向上と人材育成・強化推進による人的資本の向上を図ります。
⑤ 環境変化への適切な対応によるサステナビリティの確保を図ります。
食品業界を取り巻く環境は、インバウンド需要の回復やここ数年に渡る賃上げの継続等から、経済活動の回復が見られるものの、原材料価格をはじめとする物価上昇等に伴う食費節約意識の高まりの他、少子高齢化等による社会構造の変化や業態を超えた競争の激化により厳しい状況が続いております。加えて、異物混入防止や放射能・アレルゲンへの対応も含めた安全・安心な食の提供や、環境問題への対応・持続可能な社会に向けての取り組み等、企業に求められる社会的責任は増大してきております。
当社グループでは、このような環境変化へ対応するとともに、お客様ニーズの収集に努めて顧客満足を推進し、品質の維持向上と安全・安心な商品の安定的な供給体制を維持するために検査・分析能力等の更なる充実を図り、グループ全体の収益性の向上に取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、当社グループは、当社が中心となってサステナビリティ推進体制の整備を進めておりますので、文中の「当社」の記載は、当社グループを含むものであります。
当社グループでは、社是の実現に向けて、「環境」「社会」「ガバナンス」の3つの観点を考慮した事業活動を推進し、持続的な成長と企業価値向上を目指す経営の姿勢を明確にするため、2022年6月1日にサステナビリティ基本方針を策定し、基本的な考え方を公表しております。
私たち日東ベストグループは、「食品産業の分野において広く社会に貢献し、永続と繁栄のもとに企業を構成する人々の理想を実現する」という社是のもと、企業行動規範に基づく事業活動を通じて、持続可能な社会の発展と地球環境の保全に貢献し、全てのステークホルダーと存在意義を共有する企業を目指します。
私たちは、安全で品質の良い食品を提供し、お客様の満足と安心を常に維持する最大限の努力を続けます。革新的なチャレンジ精神を尊重し、食を通じた健康で心豊かな生活と食文化を育む未来への貢献により、社会的価値と経済的価値の共創を推進します。
私たちは、自然の恵みを受ける企業として、地球環境の負荷の軽減や脱炭素社会の実現、気候変動の緩和や生物多様性を含めた地球環境の保全に配慮し、企業活動における環境との調和に努めます。
私たちは、ステークホルダーとのコミュニケーションを推進し、積極的に協力し合いながら、社会の要請や期待と誠実に向き合い持続可能な社会の実現に貢献します。
私たちは、人権を尊重し、健康な生活と福祉の両立に配慮しつつ、多様な人材が共存し認め合いながら個々の能力を活かして働ける職場、安全で働きやすい職場づくりを推進します。
私たちは、企業活動を行う地域において、伝統・文化事業などの地域交流や社会貢献活動、森林の保全などの環境活動に積極的に参加し、豊かな地域社会の実現に貢献します。
私たちは、常に誠実で公正な企業活動を行うとともに、より強靭な経営の仕組みを構築しながら、コンプライアンスの徹底やリスク管理の強化に努め、社会から信頼され必要とされる企業であり続けます。
当社では、経営方針や経営計画等と関連付けられた企業活動による持続可能性を重視し、それを実行させるためのガバナンスを備えたサステナビリティ推進体制の構築を目指しております。当社における、サステナビリティの取り組みを監視し、管理するための枠組みは以下のとおりであります。また、より強固なガバナンス構造を目指すべきところに、サステナビリティの取り組みを一元的に管理し、全社的な取り組みを統率する役員・専門部門の設置やモニタリング体制等の強化・拡充に向けた検討も進めております。
当社は、経営会議をサステナビリティ項目の意思決定やモニタリング等における実質的な審議の場とし、持続可能性を考慮した企業価値向上を目指す体制を整えております。
経営会議は、コーポレート・ガバナンス上、執行役員及び子会社代表者を構成員とし、取締役会の監督のもとで業務執行の推進に重心を置く意思決定機関の位置付けとなります。
② マテリアリティ(優先課題)への取り組み
当社は、経営に影響を与える可能性のある特に重要な課題をマテリアリティ(優先課題)と位置付け、これを取締役会で決定しております。これらの課題に対応する企業活動を通じて、サステナビリティ情報の共有や持続的な取り組みを確保し、ガバナンス機能の更なる強化・拡充に向けた検討も推進しております。
③ 企業活動に組み込むための枠組み
当社は、国際標準の環境・品質・食品安全マネジメント規格に基づく本業と一体化した社会・環境保護の推進体制に加え、マテリアリティ(優先課題)における全社的な取り組みを推進する部門と、個々の課題の対応に責任を負う実行部門を明確にし、持続的な企業活動に組み込んでいくための枠組みを整備推進しております。
④ サステナビリティ項目の主な審議事項等
当連結会計年度の経営会議における主な審議事項等は以下のとおりであります。
「環境」
・山形工場における太陽光パネルの設置(オンサイトPPAの導入)
・サプライチェーンを通じたGHG(温室効果ガス)の排出量算定・可視化体制の構築、算定プロ
セスの検討及びその進捗状況の報告
・排煙処理設備等の環境投資の意思決定 等
「社会」
・マルチステークホルダーの方針の策定・更新
・お客様相談室の設置(品質保証体制・商品設計の改善及び商品開発に活用)
・人的資本への投資の検討・推進(健康経営優良法人の認定に向けた方針の決定、従業員エンゲ
ージメント調査の評価、福利厚生の充実化(有給休暇・育児休業制度の拡大等)) 等
「ガバナンス」
・サステナビリティ戦略の構築や経営計画等への統合を推進する体制、進捗状況のモニタリングや
サステナビリティ情報を一元的に管理する枠組み等の検討
・コーポレートガバナンス・コード(サステナビリティ情報開示の充実)への対応 等
当社における、持続可能性の観点から企業価値向上を目指すための戦略は以下のとおりであります。当社では、今後とも、「サステナビリティを脅かすリスクが、当社にどのような影響を与え、またそれにどう対応していくか」という観点に、「社会からの期待に対して、当社が事業を通じてどう応えていくか」という視点を加えて戦略の構築を図り、経営方針・経営計画等と関連付けながらサステナビリティの取り組みを推進してまいります。
当社では、取締役会で決定したマテリアリティ(優先課題)について、個々のサステナビリティの要素と目指す企業像を明確にしております。そして、それらを戦略の重要な要素として考慮することにより、より効果的な戦略の構築やその有効性の確保に努めております。
当社のマテリアリティ(優先課題)は以下のとおりであります。
・食の安全をお客様の更なる安心・信頼へ(高度な品質の実現)
・温室効果ガス(GHG)の排出削減
・プラスチック資源の削減・有効活用
・持続可能な原材料調達の強化
・ダイバーシティ&インクルージョンの推進
・コンプライアンスの徹底・強化
② 戦略の有効性の保持
当社は、経営環境等の変化から予期されるリスクの変動や当社事業の方針・方向性への影響等を考慮のうえ、マテリアリティ(優先課題)への取り組みやその進捗状況を優先的にフォローし、必要に応じてこれを見直す等の意思決定プロセスを通じて、企業活動に及ぼす影響の軽減と戦略の有効性の維持・向上を図ることとしております。
③ 戦略と経営方針・経営計画等との関連付け
当社は、サステナビリティの持続的な取り組みを確保するうえで、戦略を経営方針・経営計画等に組み込み、関連付けていくことが不可欠と考えております。そのため、上記「(2)ガバナンス」に記載の体制のもとで、経営方針・経営計画等への反映や必要な予算方針の設定等を進めております。
<人材の多様性を含む人材育成の方針や社内環境整備の方針>
当社では、まだ「人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針」を策定しておりませんが、人的資本への投資に関しては、マテリアリティ(優先課題)のひとつである「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」のもとで、「多様な人材が活躍する働きがいのある企業」「ワークライフバランスと生活の質の向上に取り組む企業」を目指す企業像とした戦略的な取り組みを以下のとおり進めております。
① 基本的な方針
当社は、人材の「材」は「財」であるとの認識のもと、企業価値の源泉を築く人材の重要性を認識し、多様性がもたらす「可能性」「補完性」等を考慮のうえ、人的資本への投資の方針や具体的な施策を経営計画等で明確にしております。
② 従業員エンゲージメント調査の活用
従業員を対象としたエンゲージメント調査を継続的に実施し、これを経営陣と共有しながら従業員の満足度ややりがい度の可視化を進め、目標を設定してエンゲージメントの向上を図る具体的な施策の検討や改善に活用しております。
③ 主な取り組み実績等(賃上げの実施を除く)
当連結会計年度の人的資本に関する主な取り組みは以下のとおりであります。
「採用」
・中途採用の通年実施(当連結会計年度末における当社の正規雇用労働者全体としての中途採用
比率は72%)
・いわゆるアルムナイ・カムバック採用(退職・離職者雇用)等の採用手段の多様化 等
「登用」
・女性の活躍・登用拡大(当連結会計年度末における当社の女性管理職比率は13.4%、本報告書
提出日現在における当社の女性役員・執行役員の割合は13.0%(役員・執行役員の総数23名の
うち、女性役員・執行役員3名))
・役割等級制度を組み入れた人事制度の運用開始
・成長重視の昇格要件を含む人事評価制度の見直し 等
「育成」
・階層別研修の充実に加え、自己の成長と現場力強化を支える独自の育成プログラムの体系化
・山形県立産業技術短期大学校への国内留学制度の継続的な実施
・人材に関する情報を一元化し、人材育成等に役立てるための人材マネジメントシステムの本格
運用 等
「福利厚生」「職場環境」
・利用し易い有給休暇・育児休業制度の導入・見直し
・健康経営優良法人の認定に向けた方針の決定
・役員・管理者層向けコンプライアンス研修(ハラスメント研修を含む)の継続実施
・内部通報制度の浸透・定着に向けた周知の徹底等
・団体長期障害所得補償保険(GLTD)制度の導入や従業員持株会の奨励金引上げ 等
当社では、サステナビリティを脅かすリスクを把握し、それを低減させるための管理プロセスを以下のとおり整備しております。認識したリスクについては、経営環境等の変化から予期されるリスクの変動や当社事業の方針・方向性に及ぼす影響等を踏まえ、必要に応じて戦略の策定・改善に反映させることにより、リスク管理の有効性の維持・確保に努めております。また、リスク管理による戦略への統合は、リスクの低減とリスクの活用(機会の創出)を兼ね備えるプロセスの構築を目指しております。
① 総合的・包括的なリスク管理
当社は、経営会議において、当社を取り巻く経営環境等の変化や予測を踏まえたリスクの分析・評価を行い、事業に及ぼす影響を審議のうえ経営計画の改善や予算計画の策定等を行っております。また、その結果は取締役会に報告されております。この管理プロセスは、リスク管理担当役員及び統括部門を中心に、定期的にリスクを把握し、監視して、リスクの低減に努める等の有効な対策を講じる内部統制上のリスク管理体制に基づくものであります。なお、当社が認識するリスクは、後記「3 事業等のリスク」に記載しております。
② マテリアリティ(優先課題)に関するリスク管理
上記「(2)ガバナンス」の体制に基づくマテリアリティ(優先課題)の決定プロセスにおいて、サステナビリティを脅かすリスクとその影響を捉え、「社会からの期待に対して、当社が事業を通じてどう応えていくか」という対応の視点を加えてリスクを優先付けし、サステナビリティを確保するための重要なリスクを管理しております。当社が認識する個々のマテリアリティ(優先順位)に関するリスクと機会は以下のとおりであります。
「食の安全をお客様の更なる安心・信頼へ」
「温室効果ガス(GHG)の排出削減」
「プラスチック資源の削減/有効活用」
「持続可能な原材料調達の強化」
「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」
「コンプライアンスの徹底・強化」
当社では、サステナビリティ関連のリスクと機会の指標として、以下を用いております。
上記「(3)戦略」における温室効果ガスの排出削減に用いる指標と目標の設定に向けて、GHG排出量算定の国際的な基準である「GHGプロトコル」に基づく排出量の算定・可視化体制の整備とそのプロセスの構築を進めております。
当連結会計年度における算定範囲は、当社単体の自社排出(スコープ1と2)のみが対象となりますが、当該指標に関する削減実績は以下のとおりであります。
<当社単体のGHG排出削減実績(自社排出/スコープ1と2)>
(単位:t-CO2)
(注)1 2018年連結会計年度(2018年度)の排出量は、「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネ
ルギーへの転換等に関する法律」の定期報告に基づく、エネルギー使用に伴って発生する
二酸化炭素(CO2)排出量を記載しております。
2 当連結会計年度は、GHG排出量算定の国際的な基準である「GHGプロトコル」に基づき
CO2を含むGHG排出量を算定しております。
当社は、自社排出にかかる当該指標の具体的な削減目標を明確にしておりませんが、2021年10月22日に閣議決定された「地球温暖化対策計画」の削減目標を踏まえて、更なる排出量の削減に取り組んでまいります。なお、具体的な削減目標の設定は、今後、他社排出量(スコープ3)を含むサプライチェーン全体の排出量の算定に取り組み、いわゆるサプライチェーン排出量を対象範囲として設定する予定としております。
当社は、まだ「人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針」を策定しておりませんが、これに関連する指標は「
なお、管理職に占める女性労働者の割合(当事業年度末時点の割合は13.4%)は、2028年3月までに同割合20%以上の達成を目標としております。
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。ただし、以下は当社グループの全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。
当社グループでは、リスクを適切に認識し、損失発生の未然防止に努めるため、リスク管理体制の整備を推進し、当社グループ全体のリスク管理方針の策定・リスク対策実施状況の確認等を定期的に行っております。
当社グループでは、主に食品の製造・販売を行っており、お客様へ安全安心な商品を提供するために、その安全性については製造基準書の整備等の他、従業員教育や製造現場環境の整備、厳しい社内規程を設ける等の対策を講じておりますが、当社グループの想定を超えた事象や、社会全般にわたる食の安全性に関わる問題の発生、あるいは当社商品における異物混入や表示間違い等による回収費用や訴訟・損害賠償等の発生や、得意先様との取引停止等の事態となった場合、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループではISO9001及びFSSC22000の品質マネジメントシステムの認証を取得し、推進しております。また品質保証に関する専門部署や委員会を設置する等、安全性の確保に向けた最大限の努力をするとともに、発生し得る各種損害の軽減、並びにお客様への賠償を行う目的で、損害賠償保険に加入しております。
当社グループの顧客企業において経営方針に変更が生じたり、あるいは当該顧客企業の経営状態が悪化した場合や、顧客企業が異業種や競合企業のM&Aにより企業再編が行われた場合には、当社グループの販売状況に影響が生じることが予想され、このことは当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは顧客企業との関係を強化していく他、新規顧客の開拓、商品品質の向上による差別化等に取り組んでおります。
(競争激化に関するリスク)
当社グループは、当社グループ以外の食品製造業の他、外食産業や食品宅配事業者等、多様な業態・企業と競合しております。これら競合他社は、資金・人材・製造設備・製造技術・商品・マーケティング又は顧客の嗜好の変化への対応力等において当社グループより優れている可能性があります。このような競争の激化は当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは経営計画等において継続的に環境分析を実施して市場ニーズを把握し、提供するサービスの高付加価値化等による競合他社との差別化を図るとともに、不採算案件の抑制や生産性向上にも取り組んでおります。
当社グループが使用する原料・燃料や販売する製品等の調達及び価格につきましては、下記の要因により当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
使用する原料の産出国あるいは地域において、BSE・鳥インフルエンザ・口蹄疫・ASF(アフリカ豚熱)等の家畜の疾病が発生した場合、原料輸入禁止措置等に伴う供給量減により、畜肉原料の調達困難及び価格が上昇することが予想されます。
冷夏、暖冬や台風をはじめとする異常気象により農水産物の作柄が悪化した場合、原料の調達困難及び価格が上昇することが予想されます。
家畜の疾病や異常気象、各国の経済情勢や政策等による消費状況の変化、また、エネルギー資源としての農作物の需要増等により、市場での原料供給が需要を下回った場合等、調達困難及び相場による価格上昇が予想されます。
また、原油価格の高騰は、包装用容器やフィルム等の原料価格へ悪影響を及ぼすことが予想されます。
未知のウイルス等による感染症により、国内外の原材料生産工場の稼働停止があった場合、また、国内外の流通網が災害や事故、紛争等により分断された場合、原材料価格の上昇や調達が困難になることが予想されます。
原料輸入量の急激な増加によりセーフガードが発動された場合、原料購買価格が上昇いたします。
当社の予想した為替レートに対して大幅な円安ドル高となった場合、原料購買価格が上昇いたします。
原油価格の高騰は、原材料の価格高騰のみならず、燃料費をはじめとする製造コストや物流コストの上昇を招き、このことは当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
紛争や保護関税発動等、国際情勢の変化により需給バランスに著しい変動が発生した場合、原材料価格の上昇や調達が困難になることが予想されます。
サプライヤーの経営状態悪化及び廃業、法令違反の発生、大きな設備トラブルなどにより製品供給に問題が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
上記の状況に備え、当社グループでは継続的な情報の収集、海外メーカーや国内商社との取り組みの強化、代替原料や代替取引先の準備の他、価格変動の大きさによっては製品の値上げや品目のリニューアルを行う等の対策に取り組んでおります。
当社グループが継続的に成長していくためには、優秀な人材の確保と育成、またその能力を最大限に発揮することが重要となりますが、日本国内における人口減少、とりわけ生産年齢人口の減少により人材の確保が難しくなるなか、最低賃金上昇を含む雇用情勢の変化等により必要な人材の確保や育成が計画通り行えなかった場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは人材の採用強化に加え外国人技能実習制度の活用を進める他、働き方改革の推進、労働環境の整備、従業員の多能工化や各種作業マニュアルの整備、業務の自動化や省力化・省人化(設備投資を含む)、提携工場への製品移管や製品群の集約の検討等に取り組んでおります。
当社グループは製品製造のために多種多様な設備を保有しておりますが、それらのトラブル(老朽化を含む)により長期間の稼働停止が発生する可能性があり、このことは当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは計画的な設備更新の検討や、定期的な保守点検・修繕の実施を行っております。
当社グループでは、食品の製造及び販売を行うにあたり、各種の法令や規制に準じた社内規程・作業手順書を整備しそれらに則った業務遂行を行っておりますが、それらの遵守のための様々な取り組みをもってしても、役職員の全ての業務遂行上のミスや不正行為を完全に防止できない可能性があります。このことは当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは、内部統制システムの整備を行い内部監査室が各部門の業務監査を行って確認するとともに、各種会議での業務遂行の状況確認や作業チェック表による作業確認等の対策を講じております。
当社グループでは、業務遂行手段として種々の情報システムを使用しておりますが、各種システムトラブルの他、サイバー攻撃やランサムウェア等によるネットワークシステムへの攻撃等による業務の遅延・停止及び情報の漏洩、また当社グループ従業員及び情報システム業者都合によるシステム構築の遅延等が発生した場合、業務効率の著しい低下が避けられず当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは、システムのセキュリティ強化、優良なシステム会社の調査・確保、リスクが高いと思われるシステムの再構築、クラウド化、セキュリティ対策の高い業者へのアウトソーシング等の対策を推進してまいります。
また、当社の取引先が同様のサイバー攻撃等を受け業務の遂行が困難になった場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、プレスリリース及び適宜情報開示等により信頼の維持・向上を図り、リスク顕在化の未然防止に努めております。しかしながらインターネット上の掲示板への書き込みや、それらを要因とするマスコミ報道等による風評・風説の流布が発生・拡散した場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは、リスクが認識された場合には法令・規則に則り迅速に対応する体制を整えております。
当社グループは事業活動を遂行していくうえで、食品衛生法、製造物責任法等、様々な法規制の適用を受けており、これら法規制の変更や新規制の導入については、昨今その頻度を増してきております。これら法規制への対応遅れが生じたり、対応不可能な状況が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは法制度の変化に関する迅速な情報把握や法令適合検証の実施、施行前の早めの対策実施に努めております。
(退職給付関係)
当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等の前提条件や年金資産の期待収益率に基づいて算出されています。従って割引率の低下や年金制度の変更等、前提条件に大きな変動があった場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは制度の変化に関する迅速な情報把握や、施行前の早めの対策実施に努めております。
(減損リスク)
当社グループでは、減損会計を適用しており、実質的価値が下落した保有資産(投資有価証券を含む)や収益性の低い事業等について減損処理が必要となった場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは減損が懸念される事業に対する保有資産については内容の確認評価・検討を随時行っております。
(繰延税金資産に関するリスク)
当社グループの決算処理における繰延税金資産の計算は、将来の課税所得など様々な予測・仮定に基づいており、経営状況の悪化や税務調査の結果等により、実際の結果がかかる予測・仮定とは異なる可能性があります。従って、将来の課税所得の予測・仮定に基づいて繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断した場合、繰延税金資産は減額され、その結果、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、予測・仮定について定期的に評価し、適切な予測・仮定をすべく努めております。
当社グループの事業拠点及び取引先のある地域において、天災や悪天候、火災、テロ、ストライキ、戦争等が発生した場合、また疾病や伝染病の発生・蔓延等により、原材料・商品の仕入や工場稼働、受発注、商品配送等の事業継続に支障をきたすことが予想されます。また、非常事態宣言の発令等により国内経済全体が停滞した場合には影響の範囲も増大することが予想されます。このことは当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性がありますが、このような事態に備え当社グループとしましては、危機管理体制の強化をはじめBCPの検討等の対策を講じております。
(海外進出に対するリスク)
当社グループは、中長期的な成長を図るために海外への事業展開を行っております。しかしながら海外の市場開拓が進まない場合や、政治的・経済的状況等の変化及び社会環境における予測し得ない事態が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは当該事業へのグループ内で支援を行う他、当該事業の計画に対する進捗状況の確認を行い状況に応じて必要な対策を講じております。
(資金調達に関するリスク)
当社グループは事業の継続及び成長戦略等のために資金を調達する必要があります。しかしながら、経済情勢不安や金融収縮・格下げ等による当社グループの信用力低下、当社グループの事業見通し悪化等の要因により、当社グループの想定する条件での資金調達が困難になる可能性もあります。これらの要因により、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。そのため当社グループでは、多様な資金調達手段を検討するとともに金融環境の変化へ迅速に対応できる体制を整え、また取引金融機関との良好な関係の構築・維持に努めております。
(知的財産権に関するリスク)
当社グループでは、他社製品との差別化のために当社グループ独自の製造技術の開発やノウハウの蓄積を行っており、その一部については特許を取得しております。しかしながら、知的財産権の侵害リスクを完全に排除することは困難であることから、これら知的財産の侵害により当社グループ製品の販売が阻害された場合、当社グループの売上の低下につながるおそれがあります。また、当社グループでは製造技術開発の際、他社の有する知的財産権の侵害防止に努めておりますが、万が一当社グループが開発した製品や技術が他社の知的財産権を侵害していると判断され、損害賠償請求の発生や製品の回収及び販売を中止せざるを得なくなった場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは、知的財産に関する専門委員会を設置し、当社グループ独自の技術の保護や他社の有する知的財産権の侵害防止に取り組んでおります。
物流業界の人手不足及び時間外労働の規制により物流コストの上昇が想定されます。当社グループでは、物流の効率化を推進してまいりますが、対応が遅れた場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における我が国の経済は、雇用・所得環境の改善や個人消費の回復により緩やかな回復の動きが見られました。一方で、海外情勢や為替が不安定な状況のなか、原材料価格の高騰及びエネルギー価格の高止まり等に伴う物価上昇など、先行き不透明な状況が続いております。
食品業界におきましても、インバウンド需要の増加等により回復が見られるものの、度重なる値上げにより食費節約意識が高まりを見せる等、依然として厳しい経営環境となっております。
このような環境のなかで、当社グループにおきましては、市場環境変化への対応を行いながら、販売力の強化、お客様のニーズを捉えた商品開発、製品の安定供給に努めてまいりました。
その結果、当連結会計年度における売上高に関しましては、日配食品部門や病院・介護施設向け商品が前年同期比で増加したこと、価格改定を実施したこと等から、558億6千万円(前年同期比2.9%増)となりました。
利益面に関しましては、営業利益は5億7千4百万円(前年同期比13.8%増)、経常利益は5億1千万円(前年同期比6.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は3億8千4百万円(前年同期比6.5%減)となりました。
事業部門の区分別の売上高は、次のとおりであります。なお、当社グループの事業は単一セグメントであるため、部門別により記載しております。
冷凍食品部門につきましては、上記の影響により430億7百万円(前年同期比1.8%増)となりました。
日配食品部門につきましては、94億1千9百万円(前年同期比6.7%増)となりました。
その他の部門につきましては、34億3千2百万円(前年同期比7.0%増)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ21億9千5百万円減少し、35億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益5億7千9百万円、減価償却費17億2千7百万円、仕入債務の減少額18億4千6百万円等により4千8百万円の資金収入(前年同期は35億9千9百万円の資金収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出14億9千8百万円等により15億5千4百万円の資金支出(前年同期は10億4千9百万円の資金支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入20億円、長期借入金の返済による支出23億6千6百万円等により6億9千2百万円の資金支出(前年同期は5億1千6百万円の資金支出)となりました。
次期のキャッシュ・フローにつきましては、棚卸資産等の圧縮に取組むなど営業キャッシュ・フローの増加をはかり、キャッシュ・フローの改善に努めてまいります。
当連結会計年度における生産実績を部門ごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 当社グループの事業は単一セグメントであるため、部門別により記載しております。
2 金額は販売価格によっております。
当社グループは見込生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績を部門ごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 当社グループの事業は単一セグメントであるため、部門別により記載しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
詳細につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(業績等の概要)(1) 業績」をご参照下さい。
(キャッシュ・フロー)
詳細につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(業績等の概要)(2) キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、材料購入のほか、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の費用によるものであります。販売費及び一般管理費の主なものは、運搬費及び保管費、人件費等であります。
当社グループの研究開発費は一般管理費及び当期製造費用に含まれておりますが、研究開発に携わる従業員の人件費が主要な部分を占めております。
(財務政策)
当社グループは、運転資金及び設備資金について、自己資金及び借入金により調達しております。このうち借入による資金調達については、運転資金は短期借入金で、設備投資に必要な資金は長期借入金で調達しております。
2025年3月31日現在、短期借入金の残高は48億8千万円で平均利率は1.2%、長期借入金の残高は60億1千6百万円で平均利率は1.2%となっております。
当社グループの財務政策の基本は、収益の短期的変動に左右されることなく、営業活動の拡大展開及び効率的な設備投資を継続して行うことができる、安定的な資金調達を行うことであります。
当社グループの営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力及び現在の財務状態から、当社グループの成長を維持するために、将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することは、十分可能であると考えております。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、当連結会計年度末日における資産・負債の報告数値及び当連結会計年度における収益・費用の報告数値に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる可能性があります。
当社グループの採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、以下の事項について、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。なお、将来の課税所得を見積るにあたって、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
当社グループは、固定資産の減損会計の適用にあたって、独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位でグルーピングをしております。減損の兆候がある資産又は資産グループについて、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたって、事業計画や市場環境の変化等により前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
なお、連結子会社JAPAN BEST FOODS COMPANY LIMITEDの固定資産の減損兆候判定についての仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
シンジケートローン契約(コミットメントライン契約)
当社は財務上の特約が付されたシンジケーション形式のコミットメントライン契約を締結しております。
(1) 組成金額 4,000百万円
(2) 契約締結日 2024年5月24日
(3) 最終弁済期日 2026年5月31日
(4) 本契約の相手方の属性 農林中央金庫、株式会社山形銀行、株式会社みずほ銀行、株式会社荘内銀行、株式会社きらやか銀行
(5) 借入残高 3,000百万円(当連結会計年度末現在)
(6) 担保の内容 所有不動産及び工業財団に対する既存根抵当権
(7) 財務制限条項
① 各年度の決算期及び中間期の末日における単体及び連結の貸借対照表における純資産の部の金額を、2023年3月期の末日における単体及び連結の貸借対照表における純資産の部の金額のいずれか大きい方の75%の金額以上にそれぞれ維持すること。
② 各年度の決算期における単体及び連結の損益計算書に示される経常損益が2期連続して損失にならないこと。
当社グループの研究開発活動は、安全な食品を提供し、安心な食生活への貢献を目指し、お客様の満足度を最優先にして商品を開発することを目的としております。当連結会計年度においては、原材料やエネルギー価格の高止まりに加え、物流費の上昇などが続くなか、物価高騰による節約志向が根強く、個人消費の回復は依然として足踏み状態にあります。このような厳しい環境のなかでも、社会環境や市場の変化に柔軟に対応し研究開発を行ってきました。
当連結会計年度では、高度な品質の実現を目指し開発本部を中心に、開発部、研究部及び技術開発センターの3部署体制で研究開発を行いました。開発部では、市場ニーズを捉えた開発テーマの設定及び開発品の評価を行いました。研究部では、基盤技術研究を行いました。技術開発センターでは、新しい製造技術や加工技術の開発に取り組み、これらの技術を取り入れた新商品の開発に努めました。さらに、生産本部、品質保証本部と密接な連携を図り、効率的な研究開発を進めました。
主な研究開発の概要及び成果は以下のとおりです。
① 畜肉製品・調理加工品・デザート類などの主要製品群について、官能評価及び機器分析を組み合わせた評価技術に取り組み、これらを活用した新商品開発・新メニュー提案を行いました。
② お客様のニーズに対応するための商品強化に取り組みました。
③ 更なる商品の品質向上・高付加価値化を目指し、品質評価技術と食品加工技術の向上に取り組みました。
① 将来のタンパク質危機に対応するために、畜肉に替わる代替タンパク質の研究を行い、持続可能な食品素材の可能性を探りました。
② 大学、公的研究機関、企業との共同研究を通じて、未利用資源の利活用法及びシーズ探索について検討を行いました。
当連結会計年度に支出した研究開発費は
なお、当社グループの事業は単一セグメントであるため、セグメントに関連付けた説明は記載しておりません。