第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、経営理念に「1.生産性効率のアップを図り、全社員の物心両面の幸福追求に取り組む。2.お客様の発展と地域社会の進化に広く貢献し、企業価値の向上を図る。」を掲げ、併せて「利他の心」で利害関係者の全てにおいて最適な関係を目指しています。

 

(2) 目標とする経営指標

継続企業体として永続的に発展するために、売上高及び経常利益の持続的な成長を目指します。

 

(3) 中長期的な経営戦略

当社グループは、「感謝と奉仕、創造と挑戦」を社是とし、創業以来、研究開発に注力してきました。引き続き、5年先、10年先を見越した革新的な研究により、収益性が高く、競争力のある製品を開発してまいります。

 

(4) 経営環境及び対処すべき課題

① コンプライアンス経営

経営の根幹に「コンプライアンス経営」を掲げて取り組みます。確固たる法令遵守の意識をベースにして、上位概念として社会からの要請に対応しながら経営理念にかなった理想的な行動を行います。

具体的には、水産資源の持続可能性への取組が求められている主力の水産事業において、当社は配合飼料メーカーとして、原材料である魚粉に過度に依存しない飼料の開発などに取り組みます。

 

② 品質・安全の追求

製品の品質にこだわり、さらに安全の追求を目指してまいります。具体的な取り組みとしては、商品の信頼性向上やグローバル化した社会で通用する食品安全マネジメントシステムに関する国際規格「ISO22000」を、食品事業は2019年5月、水産事業は2020年7月に取得し、品質・安全の追求に取り組んでいます。

 

③ 研究開発の強化

グループ各社・各部門において、こだわりのニッチ企業として、研究開発を継続します。また、主力の水産事業においては、引き続き産官学連携による取り組みを行います。

 

④ 海外市場の開拓

将来的な国内市場の縮小に備えて、海外市場への販売強化に取り組みます。

具体的には、当社水産飼料部門においては、アジア・北中南米向けの売上及び利益の拡大を図ります。当社食品部門においては、各営業所において海外向け販売に向けた営業を強化します。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)SDGs戦略

当社グループは、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に定められた17の目標である「SDGs(持続可能な開発目標)」への貢献を通して、社会のサステナビリティに取り組んでまいります。

 

① ガバナンス

SDGs戦略に関連するリスク及び機会は、当社グループの事業活動において発生するリスク及び機会と密接に関係し、又は一体であると判断されるものであり、それらに対応するためのガバナンスは、当社のコーポレート・ガバナンスによる企業統治体制に含めて管理することとしております。詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」を参照ください。

 

② 戦略

当社グループは、SDGsの17の目標のうち、水産事業と食品事業でそれぞれ特に重点的に取り組む目標を定めています。各事業ごとの主な取り組みは、次のとおりであります。

 


 

 

③ リスク管理

SDGs戦略に関連する主なリスクは、当社グループの事業活動において発生するリスクと密接に関係し、又は一体であると判断されるものであり、当社のコーポレート・ガバナンスによる企業統治体制に含めて管理することとしております。詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」を参照ください。

なお、当社各部門やグループ会社で管理可能なリスクは、各組織が中心となって対応しています。

 

④ 指標及び目標

当社グループは、2021年度を基準年度とした2023年3月期からの長期事業構想において、5年後の売上及び生産量の目標を基準年度の150%としております。この期間におけるサステナビリティへの取組に関する指標として、次の指標を用いることとしております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

ただし、当該指標は「鹿児島県地球温暖化対策推進条例」に基づく温室効果ガス排出量削減計画提出対象事業者である株式会社ヒガシマルに関して記載しております。

(単位:t-CO

(( )内の数値は基準年度からの増減率)

指標

目標

実績

 温室効果ガス
 (CO
排出量

毎年
 1%削減

区分

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度

Scope1

3,029

2,934

3,050

2,996

Scope2

2,627

2,126

3,072

2,780

合計

5,656

5,060

6,122

5,776

(―)

(89.5%)

(108.2%)

(102.1%)

 

(注)1 Scope1は、事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)、Scope2は、他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出。

2 株式会社ヒガシマルにおける製品の年間生産数量は、以下のとおりであります。 

(( )内の数値は基準年度からの増減率)

区分

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度

水産事業

21,427t

20,819t

22,762t

22,932t

食品事業

3,616t

3,958t

4,399t

4,532t

合計

25,043t

24,778t

27,161t

27,464t

(―)

(98.9%)

(108.5%)

(109.7%)

 

 

 

(2)人的資本

「企業は人なり」と言われるように、モノと金があっても、そこで働く従業員が個々の能力を発揮できなければ、事業を成長させることはできないと考えております。当社グループは、持続可能な社会環境を整えるために、従業員個々の多様性に対応できる職場作りを進めております。

 

①戦略

当社グループにおける人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、一般事業主行動計画として策定しております。一般事業主行動計画では、計画期間を令和4年4月1日から令和8年3月31日とし、次の目標を定めております。

・3歳から小学校就学前の子を持つ社員が、希望する場合に利用できる短時間勤務制度・始業時刻変更制度の取得推進を図る。

・男性の子の看護休暇の取得促進を図る。

・所定外労働時間削減の為、週1回の水曜日のノー残業デーを継続実施する。

・採用した労働者に占める女性労働者の割合を30パーセント以上にする。

・計画期間中に年次有給休暇の年間の取得計画を策定し、取得促進を図る。

また、人材の育成に関する取組として、従来から実施していた管理職研修や中堅社員研修に加えて、より実践的な業務スキルの向上を目的として、社員の勤続年数や業務スキル習得度に合わせた階層別教育の実施を開始しております。

 

②指標及び目標

当社グループでは、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関する指標として、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。 

 

指標

目標

2025年3月期実績

採用した従業員に
占める女性従業員の割合

30以上

区分

正規雇用
労働者

パート・有期
 雇用労働者

全体

提出会社

21%

100%

42%

連結子会社

43%

77%

59%

全体

32%

83%

52%

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあると認識しています。ただし、これらは全てのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。当社グループは、リスク管理の最高責任者を代表取締役社長とし、危機の未然防止及び危機発生時の被害最小化を目的とした「リスクマネジメント規程」に基づいて、人命の安全を確保するための体制と環境を整え、取締役会及び経営政策会議においてリスクにかかわる課題、対応策の審議を行うとともにリスク発生の回避および発生した場合の対応に努めております。

なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 自然環境の影響について

当社グループの主たる事業である水産事業は、養殖業界に属し、その生産量については台風・赤潮・急激な低(高)水温などの自然環境の変化やウイルス・病害虫の発生などに左右され、また価格については天然魚介類の漁獲量及び海外からの輸入量などにより変動し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 原材料の価格変動について

養魚用配合飼料は、中南米など海外で生産された魚粉を主な原材料としており、これらの原産地周辺海域での漁獲高の変動は、輸入魚粉の品質や価格に大きな影響を与えております。また、食品事業の主な原材料である小麦粉の価格変動も仕入れ価格に影響を与えます。これらの主要原材料を含む製造原価の上昇が製品の販売価格に転嫁できない場合には、当社グループの収益を押し下げる可能性があります。

 

(3) 製品事故について

当社グループの製品は国内の法令により規制を受けております。また、飼料メーカー・食品メーカーとしてトレーサビリティを徹底し、原材料及び製品の品質管理を厳格に行っています。

品質に関して万全の体制で取り組んでいますが、不認可物質や農薬等の原材料への混入等の製造物責任上の事故等が発生した場合には、製品回収等のコストの発生や当社グループに対する信頼性が損なわれ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 有形固定資産、無形固定資産の減損に関するリスク

当社グループは有形固定資産、無形固定資産を有しています。これらの資産の収益性が低下していると判断される場合には、固定資産の減損に係る会計基準に基づいて減損損失を計上するため、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 情報システムについて

当社グループは、購買・生産・販売・会計など社内情報システムを構築しており、コンピュータウイルス対策や不正アクセスの防止などに最善を尽くしております。また、災害時に備えBCP事業継続計画を制定するなど万全を期しています。

想定を超えたウイルス感染や不正アクセス等による社内情報漏洩等が発生した場合には、顧客対応費用の発生や当社グループへの信頼性が低下し、当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 関係会社について

当社グループは、経営資源を有効活用し収益基盤の多様化を進めるため、グループのシナジーを発揮し企業価値向上に取り組んでおります。しかしながら、関係会社を取り巻く経済環境の変化や予測できない費用の発生等により期待した収益を下回った場合、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

連結財務諸表において各関係会社の業績は反映されておりますが、関係会社の業績によっては、個別財務諸表において関係会社に対する債権の貸し倒れ及び関係会社株式の評価損が認識される可能性があります。

 

(7) 大規模自然災害等の異常事態リスク

当社グループは、複数の事業拠点、工場施設等を使用し事業運営を行っています。当社の想定を超える規模の大規模な自然災害等の異常事態を起因として、物流遮断等が長期的に継続して発生した場合、当社グループの財政状態や経営成績等に大きな影響を与える可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績

当連結会計年度におけるわが国の経済は、世界情勢の変動の影響を複雑に受けながらも、過去最高の訪日外国人観光客によるインバウンド需要の拡大や高水準の賃上げ、史上最高値を記録した日経平均株価、企業の高い投資意欲などにより回復基調を維持しました。

しかしながら、円安の影響による輸入コスト増加は企業、特に中小企業の利益を大きく押し下げる要因となり、また、賃上げ率を上回る物価上昇、特に食品価格の高騰が続いたために実質賃金の回復が限定的となったことや消費者物価指数が2%台後半で推移したことで家計の購買力が圧迫されています。

相次ぐ自然災害による被害や、ウクライナ情勢や中東情勢の長期化、為替変動及び資源関連の価格上昇に伴う物価の高騰などを背景に、国内外の先行き不透明な状況は依然として継続しております。

このような状況の下、当社グループにおきましては、個人消費や外食需要、インバウンド需要の回復基調に対応した積極的な販促活動や販売価格の改定効果などにより売上を伸ばすことができた反面、世界情勢や為替変動に起因する、主要原材料、燃料費、輸送費及び資材費などの価格高騰によるコスト増は収益を圧迫しており、コストカットや積極的な営業活動、販売価格の見直しなどによる収益改善の取組みを推進してまいりました。

その結果、当連結会計年度の業績は、売上高141億26百万円前期比8.6%増)、営業利益1億46百万円(前期営業損失11百万円)、経常利益2億85百万円(前期比418.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益80百万円(前期親会社株主に帰属する当期純損失1億4百万円)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

(水産事業)

水産事業におきましては、外食産業の回復やインバウンド需要の増加により、関連商材の流通が増加傾向にありました。人手不足への対応として簡便調理が可能な冷凍焼き魚や煮魚の需要が増加し、また天然魚で漁獲量の変動や価格の高騰が見られたことから、養殖魚や業務用水産冷凍食品の需要が拡大しており、鮮魚市場は活性化の動きとなっております。

養魚用配合飼料の主要原料となる魚粉や魚油は最高値の状況から緩和されましたが、依然として前期よりも高騰しており、燃料費や資材費、輸送費といった生産コストも高止まりの状況が継続しています。業界の動向や取引先の状況に注視しながら、コストダウンと付加価値の高い製品群の販売拡大などによる利益確保に取り組んでまいりました。

エビ飼料類は、冬場の水温が例年より低かったことによる摂餌低下の影響はあったものの、大手生産者でのシェア率アップや、販売先の養殖在池尾数が多かったことなどから、前期を上回りました。ハマチ飼料類は、販売先の養殖在池尾数が少なかったことと冬場の水温が例年より低かったことなどから自社製品・受託製品ともに販売数量が減少し、前期を下回りました。ヒラメ・マダイ飼料類は、製品の品質を評価していただけたことで拡販ができたことや、新規代理店との取引開始、大手養殖業者で積極的に使用していただけたことなどから販売も順調に進み、前期を上回りました。

子会社におきましては、魚類種苗生産事業は、養殖業者向けの新規出荷や計画外の放流用種苗の販売があり、ヒラメ成魚販売も増加したことにより、前期を上回りました。鮮魚販売事業は、飼料代等の生産コスト上昇や在池尾数の減少により産地相場が高値となっていることから小売業者向け販売は低調だったものの、インバウンド需要の増加などにより業務用向け商材の販売が好調に推移したことから、前期を上回りました。クルマエビ養殖事業は、飼育環境の改善や鳥害対策を進めた結果、出荷数量も増加したことから前期を上回りました。魚類養殖事業は、スギの販売単価の改定と出荷時の魚体重が増加したことにより、前期を上回りました。

その結果、売上高は85億39百万円前期比12.7%増)、セグメント利益は5億21百万円(前期比33.6%増)となりました。

 

(食品事業)

食品事業におきましては、外食産業及びインバウンド需要は回復基調であり、量販店等では野菜や米などの食材が高騰するなか、集客改善のために加工食品類の販売価格の引き下げやPB商品の拡充、オンライン販売の強化により他店との差別化を図る動きが見られます。また、新たな消費者ニーズに応える形で、健康志向や環境配慮を重視した商品ラインアップが求められています。

当社グループにおきましても、主原料である小麦粉の価格はやや下がって安定する傾向にありますが、食用油価格は高止まりしており、製造・物流コストも増加する傾向にあります。他社メーカーとの拡販競争は今後も厳しいものであることが予想され、販売アイテムの統廃合による生産効率の改善や、付加価値の高い製品群の販売拡大などによる利益確保に取り組んでまいりました。

即席麺類は、新規採用や海外向け商品、PB商品の販売は増加しましたが、価格改定の影響による販売数量の減少があり、前期を下回りました。乾麺類(うどん・そうめん等)は、休売・終売の影響による販売数量の減少があり、前期を下回りました。皿うどん類は、関東エリアを中心とした新製品の定番導入や価格訴求品の販売増加ができたことや、PB商品も販売が順調だったことから、前期を上回りました。ラーメン類は、生産効率が悪い一部商品を終売にした影響はありましたが、海外向けPB商品の受注が増加し、前期を上回りました。カップ類は、新規PB商品の販売開始があり、前期を上回りました。

子会社におきましては、カレールー・シチュールー類は、健康志向を背景に「グルテンフリー米粉カレールー」が販売好調であり、メディアで紹介された「コスモ銀のクリームシチュールー」が量販店・通販を中心に大幅増販したことや、レトルトのNB・PB商品の受注も増加したことから、前期を上回りました。穀粉類は、海外向け業務用製品の増加や新規企画の採用などで既存顧客への販売数量増加はあったものの、複数の取引先で企画商品がなかった影響などにより、前期を下回りました。かき揚げ類は、生産拠点集約化による製造コスト削減は進みましたが、原料となる白エビの極端な不漁で原料確保が出来ずに販売機会を逸したことや、天候不順で農作物価格の高騰による価格改定の影響で受注が減少したことにより、前期を下回りました。

その結果、売上高は55億87百万円前期比2.8%増)、セグメント利益は42百万円(前期セグメント損失44百万円)となりました。

 

生産、受注及び販売の状況は、次のとおりであります。

 

(生産実績)

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

水産事業

5,835

9.6

食品事業

4,459

1.5

合計

10,295

5.9

 

 (注) 金額は、製造原価によっており、セグメント間の取引がある場合は相殺消去後の金額としております。

 

(受注実績)

当社グループは、主に需要予測に基づく見込生産を行っているため、記載を省略しております。

 

(仕入実績)

当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

水産事業

1,365

27.4

食品事業

143

△15.9

合計

1,509

21.4

 

 (注) 金額は、仕入価格によっており、セグメント間の取引がある場合は相殺消去後の金額としております。

 

 

(販売実績)

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

水産事業

8,539

12.7

食品事業

5,587

2.8

合計

14,126

8.6

 

 (注) 1  セグメント間の取引がある場合は相殺消去後の金額としております。

 2  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載はありません。

 

② 財政状態

(資産)

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ4億74百万円減少142億26百万円となりました。

流動資産は、70百万円減少67億56百万円となりました。これは、主として現金及び預金増加1億91百万円売掛金減少89百万円原材料及び貯蔵品減少1億44百万円によるものであります。

固定資産は、4億3百万円減少74億70百万円となりました。主な増減は、有形固定資産の減少1億79百万円、無形固定資産の減少18百万円、投資その他の資産の減少2億5百万円によるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ4億2百万円減少90億91百万円となりました。

流動負債は、4億1百万円増加54億13百万円となりました。これは主として、買掛金減少2億17百万円短期借入金増加6億68百万円によるものであります。

固定負債は、8億3百万円減少36億78百万円となりました。これは、主として長期借入金減少5億9百万円によるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ71百万円減少51億34百万円となりました。これは、主として利益剰余金増加45百万円その他有価証券評価差額金減少1億25百万円によるものであります。

 

③ キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度と比べ1億69百万円増加13億47百万円となりました。

各活動におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、5億2百万円の収入(前連結会計年度は4億46百万円の収入)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益増加1億11百万円、売上債権の増減額の減少4億80百万円、棚卸資産の増減額の減少2億1百万円、仕入債務の増減額の減少2億77百万円よるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、3億56百万円の支出(前連結会計年度は2億44百万円の支出)となりました。主な要因は、定期預金の払戻による収入減少63百万円有形固定資産の取得による支出増加1億28百万円投資有価証券の売却及び償還による収入増加1億36百万円などによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、24百万円の収入と(前連結会計年度は51百万円の支出)となりました。主な要因は、短期借入金の増減額の増加2億15百万円長期借入れによる収入減少6億60百万円長期借入金の返済による支出減少5億22百万円などによるものです。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループでは、財務健全性を維持し、収益力と資産効率の向上によることを基本としています。当連結会計年度においては、70億80百万円の有利子負債残高があります。また、資金の流動性に関しては、不測の事態に備え一定の余裕を持ちながら、資本効率も意識した水準を維持してまいります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

また、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 経営成績

当連結会計年度における経営成績の前連結会計年度との比較分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。

 

② 今後の見通し

2026年3月期につきましては、米国トランプ政権の関税政策の影響が日本経済にどのように波及するかが大きな焦点となります。当社グループの食品部門の商品や、水産飼料を使用いただいている養殖業者の生産物にはアメリカへ輸出されるものが多く、それらは関税の影響を受ける可能性が高いため今後の市場環境は厳しいものになると想定されます。

国内では物価上昇の鈍化と賃金増加により実質賃金のプラス定着と個人消費の回復が期待されますが、世界経済という外的要因と日本国内の経済状況の相互作用によって、将来予測が難しい状況は継続すると考えられます。

このような事業環境の下、社会経済の変化に対応した迅速な対策を図るとともに、新商品の開発、生産性の向上及び海外販売の開拓を強化してまいります。また、世界的なサステナビリティへの関心の高まりから、水産及び食品業界の持続可能な社会構築に貢献する取り組みにおいても邁進してまいります。

なお、持続的な組織力向上に必要な人材の採用及び賃金上昇の気運や従業員の生活防衛の観点から給与のベースアップを実施することとしております。

その結果、2026年3月期の連結業績見通しにつきましては、売上高142億71百万円、営業利益3億90百万円、経常利益3億68百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1億99百万円を見込んでおります。  

 

重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産・負債や収益・費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【重要な契約等】

当社は2025年4月21日開催の取締役会において、連結子会社であるマリンテック株式会社の株式の一部を譲渡することを決議し、2025年4月22日付で株式譲渡契約を締結し、同日付で株式を譲渡いたしました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」をご参照ください。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発は、主に水産事業における養魚用配合飼料の改良・開発及び自社独自の養殖方法の研究や魚の品種改良などの産学連携での取り組みなどがあります。

当連結会計年度の研究開発費の総額は202百万円であり、主な研究開発活動の概要は次のとおりであります。

 

(1) 養魚用配合飼料の改良・開発

養魚用配合飼料は、原材料の組成変更による増肉効果等を串木野臨海研究所(鹿児島県いちき串木野市)における飼育試験で検証するとともに、藻類や植物性原料素材など新たな素材を組み合わせた研究試作飼料で実証実験を重ねております。

主力のエビ飼料類については、熊本、鹿児島、沖縄などに展開する営業担当と一体となり常に養殖現場の声を反映しながら更なる成長促進や抗病効果の視点を中心に研究開発を重ねております。

魚飼料類については、顧客の養殖経営の採算性向上の視点から低価格かつ高成長の飼料開発に取り組んでおります。

 

(2) 魚病対策の研究

水産養殖における海の汚染や高密度飼育による魚病対策は常に大きな課題であります。養殖海域の水質環境悪化等により病害も多様化しているなか、当研究所においては、様々な疾病の細菌検査やウイルス検査等の魚病診断を行い、早期発見による病気の蔓延化を防止するための対策等をアドバイスしております。

 

(3) 産学官での連携

藻類などの飼料応用の研究開発や魚の品種改良や種苗生産の分野において、当社研究所や子会社のマリンテック株式会社で産学官での研究開発に取り組んでおります。