当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2024年11月30日)現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営方針・経営戦略等
当社グループは、2021年12月からの3年間の中期経営計画が終了しました。厳しい逆風環境下ではありましたが、家庭用商品の2度の価格改定や生産革新、販管費抑制に取り組んでまいりました。
その中で積み重ねてきた経営体力や、明確になった経営課題を元に、新たに2024年12月から4年間の中期経営計画を策定しました。2018年の創立70周年を機に掲げた、2028年ビジョン「フルーツで世界の人を幸せにする」をめざし、私たちの強みとなるリソースを活用することで、ジャム一極集中から脱却していく足場を創造し、成長へと繋いでまいります。チェンジとしてビジネスモデル転換、チャレンジとしてブランド価値向上を、「フルーツの アヲハタ」の実現に向けて推進してまいります。なお、本計画における取り組み課題は以下のとおりです。
(2)経営環境
次期の当社グループを取り巻く経営環境につきましては、気候変動の影響による果実原料需給のひっ迫、不安定な国際情勢による原油相場の高止まり、物流費や人件費の上昇など、コスト面では厳しい経営環境の常態化が想定されます。
このような状況のなか、当社グループは、2024年12月からの4年間を対象とした中期経営計画を策定し、持続的にフルーツで世界の人を幸せにするために、ジャム一極集中から脱却していく足場を創造し、成長へつなげてまいります。
家庭用は、「アヲハタ・55」シリーズが発売55周年を迎えます。お客様への感謝の意を込めて、商品、プロモーションの両面から市場活性化策を展開します。また、冷凍フルーツ加工品にリソースを投入し、今後の成長への足場づくりを進めます。
産業用は、引き続き、利益体質の強化を進めてまいります。果実原料調達コストの上昇を抑えるとともに、生産革新によるコスト低減を進めてまいります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
1.基幹のジャム・スプレッド事業は、
マーケティングを強化、生産性と価値を磨き、シェアを盤石化します。
2.手応えを得ている冷凍フルーツ加工品を育成するとともに、
新領域に挑戦することで、国内2つめの柱を構築します。
3.国内向け原料供給拠点としてコストを磨くとともに、
3つめの柱として海外市場での成長に挑戦します。
あわせて、持続可能な経営基盤の強化として、環境への配慮、心身の健康への貢献、人的資本価値の向上を進めてまいります。
(1)サステナビリティに関する考え方および取組
サステナビリティに対する考え方
当社グループはグループの理念と行動規範を遵守し、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、グループの持続的な成長の基盤として、CSR活動を推進しております。
※理念、行動規範の他、「環境方針」「持続可能な調達のための基本方針」「人権方針」の関連方針を策定し、取り組みを進めています。
①ガバナンス(サステナビリティ推進体制)
当社代表取締役社長及び役員で構成されるCSR委員会を2020年に設置しました。委員会は年2回以上開催し、持続可能な社会の実現への貢献とアヲハタグループの持続的成長にむけた重点課題や目標の設定、取り組みを推進しています。また、重点課題の3つのテーマについて、それぞれのプロジェクトにて取り組みのPDCAサイクルの実践を行っていきます。
②リスク管理(マテリアリティの特定と管理)
2020年CSR委員会にて、バリューチェーンにおけるリスクと機会の分析により抽出し、社会課題ごとにステークホルダーからの期待の大きさとグループが与える社会への影響の大きさ、アヲハタグループの存在意義の3つを評価基準とし、最優先で取り組むべき「CSRの重点課題」を特定しました。テーマ毎のプロジェクトにて課題解決に取り組み、年2回のCSR委員会にて状況報告及び課題解決に向けた議論を行っています。また、マテリアリティの見直しや追加についてもCSR委員会にて議論を行い、リスク管理委員会にて毎年実施するリスク評価及び重要リスク特定の中で包括して管理しています。
③指標と目標
持続可能な社会の実現と2028年ビジョン「フルーツで世界の人を幸せにする」の実現に向け3つのテーマを設け、それぞれの重点課題に取り組んでいます。
(2)人的資本に関する考え方および取組
人的資本に対する考え方
企業価値の持続的な向上には、従業員の能力を最大限引き出すことが不可欠であるという「人的資本」の考え方のもと、一人ひとりが企業理念やビジョンを自分のものとし、個々の多様性を発揮することで当社グループの持続的な成長をめざします。
①人材育成方針
当社は社訓「正直を以て宗とすること 信用を重んずること 和を以て尊しとなすこと」の実践に向け「私たちが目指す人間像」を掲げ人材育成に取り組んでいます。
・私たちが目指す人間像
「正直」を実現するためには“勇気”が必要です。“勇気”とは、失敗を恐れずに困難に立ち向かうことであり、その結果、もし自分が失敗したり間違ったりしたときにはその失敗や間違いを素直に認めることができること、そして人が間違っているときに間違っていると素直に指摘できることです。
また、食品企業としての「信用」を守るためには“清潔”で“誠実”なことが必要です。
「和」を実現するためには人に対する“愛情”と何が本当に重要かを判断するための“知識”が必要です。
私たちは、「正直で勇気のある人」、「清潔で誠実な人」、「愛情と知識を大切にする人」を目指します。
②社内環境整備方針
当社は2028年ビジョン「フルーツで世界の人を幸せにする」の実現に向け、成長戦略として「一人ひとりが挑戦し、成長できる企業風土の創造」を掲げています。
風土創造に向け、活力の土台となる従業員の働きがいの向上をめざし、従業員エンゲージメントを重要指標とし、取り組みを推進しています。
(イ)多様な人材が活躍する職場づくり
多様な視点を尊重し、受け入れることでより創造的な環境を育みます。
(ⅰ)組織人材の多様化
多様な視点によるイノベーション創出に向けて人材の育成・採用を進めています。
多様な社会、世の中の著しい環境変化に適応するため、多様な人材を確保するため事業の状況に応じ、専門人材を中心にキャリア採用を拡大していきます。
(ⅱ)仕事と生活の両立支援
育児・介護など、個々の状況に応じて仕事と両立ができ、安心して働くことができるよう、規程や制度(フレックスタイム制度、在宅勤務制度)の導入を行っています。
今後、年次有給休暇や男性の育児休業の取得向上を進めていきます。
(ロ)人材育成
(ⅰ)スキル習得に向けた研修
階層別研修や新たなスキル習得に向け、継続的にテーマ別研修プログラムを提供しています。
(ⅱ)キャリア開発に向けた取り組み
キャリア自己申告制度を設けるとともに、総合職に対しめざすキャリアに向けた成長ステージごとの必要な力と経験値、基礎力を明確にし、毎年上司と対話を行っています。
(ⅲ)1ON1を通じた挑戦行動(ターゲット13)の推進
従業員一人ひとりが年初に挑戦目標を宣言し、その実現に向け上司との面談を毎月実施。上司・部下の対話を深めるとともに、達成行動の支援により、挑戦する風土を醸成します。
(ⅳ)インナーブランディング
経営理念やビジョンなど、大切にする企業の価値観を、一人ひとりの考え方や行動の拠り所となり、実践できるためのインナーコミュニケーションを継続的に実施しています。理念研修や柑橘類の豊富な瀬戸内の本社立地を活かしたフルーツ加工研修(原料産地や加工技術を学ぶ)に加え、2021年より従業員参加型イベントのブランドウィークを開催し、企業ブランドの評価とそれぞれの仕事とのつながりを考える場づくりを行いブランドの体現を推進します。
(ハ)健康経営の推進
美味しさ、健康を提供する食品企業として、従業員一人ひとりが健康で生き生きと働ける職場をめざします。安全衛生委員会にて、毎年目標を掲げ、心と身体の健康づくりに取り組んでいます。
(ⅰ)身体の健康づくり
病気の早期発見・早期治療をすすめるため、がん検診の受診や健康診断の再検受診の向上に取り組んでいます。また、健康保険組合が実施するヘルスアップキャンペーンへの参加やフルーツ健康メニュー企画を実施し、運動機会の週間づけや食生活の改善に向けた取り組みを進めています。
(ⅱ)心の健康づくり
毎年実施するストレスチェックをもとに、健康リスク低減に向けた部署ごとのディスカッションを実施。加えて、人事異動後希望者に対し、専門家によるヒアリングやカウンセリングを実施し、心のケアを行っています。なお、海外赴任者については人事異動後のヒアリングを必須としています。
また、管理職に対し、心の健康問題についての理解を深め、一人ひとりが役割を果たすためのラインケア研修を実施しています。
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重点項目 |
取 組 |
指 標 |
実 績 |
目 標 |
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多様な人材が 活躍する場づくり |
組織人材の多様化 |
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キャリア採用人数 /年間採用人数比率 |
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仕事と生活の 両立支援 |
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(2024年) |
( |
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人材育成 |
スキル習得に 向けた研修 |
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挑戦行動の推進 |
ターゲット13の実施 1ON1面談実施率 |
※対象者446名、 面談延べ3,988回 |
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インナー ブランディング |
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※満点=100 |
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健康経営の推進 |
身体の健康づくり |
・ ・健康診断再検受診率 |
※がん検診受診率 |
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心の健康づくり |
健康リスク (ストレスチェック) |
101(2024年) ※全国平均を100とした場合の指数 |
100以下(2025年) |
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要リスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2024年11月30日)現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経済状況・消費動向および市場競争力
国内における人口減少や高齢化、消費者の嗜好の変化などによる市場の縮小リスクがあります。
この対策として、新たなフルーツ加工品の開発含め食シーンの拡大と顧客の開拓を推進しています。また、受注、生産計画、製造、製品および原料の在庫管理、設備投資など生産に関する一連のプロセスを見直し最適化することにより、製品のコストダウンを行い、競争力の強化に努めております。
(2) 食の安全性
異物混入、表示不良品の流通、あるいは社会全般にわたる一般的な品質問題など、お客様の健康被害に繋がるリスクがあります。
この対策として、食品衛生法などの関連法規の遵守はもとより、購入先との密接な連携による原料・資材の履歴管理、残留農薬の調査分析、食品添加物・アレルギー物質・カビ毒等のチェックをおこなっております。また、危害分析やフードディフェンスの考え方を全社的に導入するとともに、FSSC22000などのマネジメントシステムを活用することで品質保証体制に万全を期しております。
(3) 為替変動の影響および海外進出のリスク
当社グループは加工原料および商品(素材原料)の大部分を輸入品に依存しており、仕入価格は為替変動の影響を受けるリスクがあります。
また、当社グループは中国およびチリに子会社を設立しておりますが、海外進出には、1)予期できない法律または規制の変更、2)事業活動に不利な政治または経済要因の発生、3)未整備な社会インフラによる影響、4)税制等の変更、5)戦争、テロ、デモ行為、伝染病、その他の要因による社会的混乱などのリスクが内在しており、これらは当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
この対策として、為替リスクにつきましては、為替予約の実施等によりヘッジをおこなっておりますが、全てのリスクを回避するものではなく、経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 気候変動等による原材料調達リスク
当社グループでは、フルーツおよび農産加工品を原材料に使用した製品が多いため、産地の天候不順や自然災害は原料品質の劣化や調達価格の上昇、供給不足につながります。そのため、世界的な気候変動の問題により中・長期なリスクが高まってきています。
この対策として、当社グループにおきましては主原料の調達にあたり、当社グループの担当者が畑の管理から加工にいたるまで、現地指導をおこない安全で良質な原料を確保しています。また、産地の分散等を進めるとともに気候変動に適応した栽培技術の指導などにより、安定した原料の確保を進めていきます。
(5) 親会社であるキユーピー株式会社との関係
キユーピー株式会社は当社議決権の44.7%を所有する第1位の株主であり、実質支配力基準により、当社の親会社に該当いたします。
当社は、キユーピー株式会社の企業グループの中で、ジャム・ホイップ・スプレッド等のパン周り商品の生産・販売を担当しております。また、キユーピー株式会社より介護食を含むその他商品の製造の委託を受けており、キユーピー株式会社は当社から商品を直接買い受けて、特約店等の第三者へ販売しております。
従って、当社とキユーピー株式会社は営業取引上重要な関係を有していることから、キユーピー株式会社と当社の関係の変化によって、当社の経営成績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。ただし、目下のところ、キユーピー株式会社と当社との間で特に懸念される問題はなく、今後も安定的な営業取引を含めて良好な関係が維持されるものと考えております。
(6) 自然災害や感染症の蔓延等
当社グループが生産するジャム類の大半は、広島県内で製造しており、当地において大規模な地震を含む天災や感染症等の蔓延、その他操業を停止せざるを得ない事象が発生した場合、当該製品の生産能力が低下するリスクがあります。
この対策として、防災、減災、適切な管理体制の構築を行うとともに、リスク発生時には、対策本部を設置し、迅速な判断・対応ができるよう体制を整備しております。
(7) 情報漏洩等
当社グループでは、現在予期し得ない不正アクセス等により情報が漏洩、改ざんされるリスクがあります。また、コンピュータウイルスの感染等によって情報システムが一定期間使用できないリスクも考えられます。このような事態が発生した場合、事業活動に支障をきたし、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
この対策として、当社グループは、個人情報を含む重要な情報の漏洩等を防ぐために、「アヲハタグループ プライバシーポリシー」を作成し個人情報の保護に努め、「アヲハタグループ ソーシャルメディアポリシー」を作成し、ソーシャルメディアの個人利用に関する社員教育を進めております。また、「情報セキュリティ委員会」を開催し、従業員の情報セキュリティの遵守状況を定期的にレビューするとともに、システムを含め情報管理に対して適切なセキュリティ対策を実施しております。
(8) 労働力の確保
国内の少子高齢化による労働力不足により計画通りに人材を確保できない場合、事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
この対策として、当社グループでは、スマートファクトリーの推進や、RPAやデジタルツールを活用した業務の効率化に取り組んでいます。また、仕事と生活の両立支援やキャリア採用の活用など多様な人材が活躍できる職場づくりを行うとともに、キャリア開発や挑戦行動の支援などの人材育成を通して、人材の確保に努めております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における国内経済は、雇用・所得の改善が進む中、緩やかな回復基調が続きました。一方で不安定な国際情勢による地政学リスク、輸入コストおよびエネルギーコストの高止まり等により、消費マインドの改善には足踏みが見られました。
このような状況のなか、当社グループは2022年度からの中期経営計画の最終年度として、「フルーツのアヲハタ」実現へ向けた取り組みを進めてまいりました。
(イ)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1億27百万円増加し171億89百万円となりました。資産の増減の主な要因は、現金及び預金の増加12億46百万円、受取手形及び売掛金の増加5億48百万円、原材料及び貯蔵品の減少10億50百万円、機械装置及び運搬具の減少3億13百万円、商標権の減少2億10百万円、建物及び構築物の減少1億34百万円などであります。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ65百万円減少し35億75百万円となりました。負債の増減の主な要因は、長期借入金の減少2億84百万円、未払金の増加2億9百万円などであります。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1億93百万円増加し136億14百万円となりました。純資産の増加の主な要因は、利益剰余金の増加1億24百万円、退職給付に係る調整累計額の増加72百万円などであります。
(ロ)経営成績
売上につきましては、産業用および生産受託・その他における不採算商品の見直しによる売上減少もありましたが、家庭用のジャム・スプレッドが好調を維持しました。また、育成している冷凍フルーツ加工品も売上が伸長し、売上高は205億13百万円(前期比1.1%増)となりました。
利益につきましては、原材料や物流費などの大きなコストアップ影響や、育成商品への継続的なマーケティング費用の投入がありましたが、家庭用の売上増加や生産性向上による増益効果により、営業利益は3億86百万円(前期比12.6%増)となりました。一方、外貨建て資産の為替差損により、経常利益は4億円(前期比5.3%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、体質改善を進める中、固定資産売却益などにより、2億89百万円(前期比30.0%増)となりました。
当社グループは、食品事業の単一セグメントでありますが、製品等の区分別の営業概況は、次のとおりであります。
(家庭用)
家庭用につきましては、「アヲハタ・55」シリーズや「ヴェルデ・ホイップ」、「ヴェルデ・トーストスプレッド」をはじめとした基幹商品の販売が伸長しました。
新たな需要創出を目指している「アヲハタ・Spoon Free」や、育成している冷凍フルーツ加工品「アヲハタ・くちどけフローズン」も貢献し、増収となりました。
この結果、家庭用の売上高は126億70百万円(前期比6.2%増)となりました。
(産業用)
産業用につきましては、外食向けの新規採用もありましたが、不採算商品の見直しによる売上減少が影響しました。この結果、産業用の売上高は47億24百万円(前期比11.2%減)となりました。
(生産受託・その他)
生産受託につきましては、不採算商品の見直しを進める一方、介護食「キユーピー・やさしい献立」シリーズが伸長しました。また、海外での売上伸長もあり、生産受託・その他の売上高は31億19百万円(前期比2.7%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ12億46百万円増加し、25億61百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、17億48百万円(前年度は16億92百万円の収入)となりました。主な要因は、棚卸資産の減少額9億33百万円、減価償却費8億10百万円、税金等調整前当期純利益4億31百万円、売上債権の増加額5億50百万円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、35百万円(前年度は1億78百万円の支出)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出2億20百万円、関係会社の清算による収入1億25百万円、有形固定資産の売却による収入72百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、4億51百万円(前年度は9億50百万円の支出)となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出2億85百万円、配当金の支払額1億64百万円などによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(イ)生産実績
当社グループは、食品事業の単一セグメントでありますが、当連結会計年度の生産実績を製品等の区分ごとに示すと、次のとおりであります。
|
区分 |
当連結会計年度 (自 2023年12月1日 至 2024年11月30日) |
前年同期比(%) |
|
家庭用(千円) |
11,711,113 |
109.9 |
|
産業用(千円) |
2,965,111 |
83.3 |
|
生産受託・その他(千円) |
3,426,411 |
102.4 |
|
合計(千円) |
18,102,636 |
103.1 |
(注)金額は販売価格によっております。
(ロ)受注実績
当社グループは受注生産をおこなっておりませんので、該当事項はありません。
(ハ)販売実績
当社グループは、食品事業の単一セグメントでありますが、当連結会計年度の販売実績を製品等の区分ごとに示すと、次のとおりであります。
|
区分 |
当連結会計年度 (自 2023年12月1日 至 2024年11月30日) |
前年同期比(%) |
|
家庭用(千円) |
12,670,579 |
106.2 |
|
産業用(千円) |
4,724,009 |
88.8 |
|
生産受託・その他(千円) |
3,119,039 |
102.7 |
|
合計(千円) |
20,513,627 |
101.1 |
(注)主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年12月1日 至 2023年11月30日) |
当連結会計年度 (自 2023年12月1日 至 2024年11月30日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
加藤産業株式会社 |
4,762,523 |
23.5 |
5,057,038 |
24.6 |
|
キユーピー株式会社 |
2,759,689 |
13.6 |
2,663,247 |
13.0 |
|
三菱食品株式会社 |
2,133,245 |
10.5 |
2,266,663 |
11.0 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2024年11月30日)現在において当社グループが判断したものです。
①財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容
当社グループの連結会計年度の経営成績及び財政状態は、以下のとおりであります。
(イ)財政状態および経営成績の分析
財政状態および経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。
(ロ)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源および資金の流動性に係る情報
(イ)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは、以下のとおりであります。
|
|
2020年 |
2021年 |
2022年 |
2023年 |
2024年 |
|
自己資本比率(%) |
66.5 |
72.8 |
74.1 |
78.7 |
79.2 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
104.0 |
109.7 |
114.0 |
121.3 |
124.9 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%) |
154.2 |
91.4 |
- |
63.3 |
44.90 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
146.6 |
231.1 |
- |
156.5 |
1,744.8 |
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
4.2022年11月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率およびインタレスト・カバレッジ・レシオについては、営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。
(ロ)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、運転資金および設備投資資金などの資金需要につきましては、主として自己資金において賄っており、必要に応じて外部から資金調達を行っております。また、当社グループでは、グループ内の資金の一元化と低コストで安定的な資金調達を目的として、「アヲハタグループ・キャッシュ・マネジメント・システム」を導入しております。
③重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(1)キユーピー株式会社との製造委託基本契約
当社は、キユーピー株式会社との間で製造委託基本契約を締結しており、同社から製品の製造の委託を受け、同社は当社から商品を直接買い受けて、特約店等の第三者へ販売しております。
(2)完全子会社との吸収合併契約
当社は、2024年7月24日開催の取締役会において、当社の完全子会社であるレインボー食品株式会社の吸収合併を決議し、同日付で合併契約を締結いたしました。この契約に基づき、当社は2024年11月1日付でレインボー食品株式会社を吸収合併いたしました。
詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
当社グループは、フルーツ摂取を通じた心と体の健康支援を掲げ、「香りと色彩」「食感」「栄養機能」「利便性」「環境」など様々な角度から研究開発に取り組んでまいりました。
研究開発活動は研究開発本部、生産本部などが協力しておこなっております。研究開発本部には研究センターと商品開発センターを設置し、各センターで役割を分担して活動しております。研究センターでは、フルーツの機能性・栄養、微生物制御、フルーツ加工技術、物性評価、いちごを主体とした育種・栽培の各分野に関する研究と技術開発をおこなっております。商品開発センターでは、新規領域の新商品創出に力点を置くと共に、既存商品のアイテム追加や改良による商品力強化に取り組み、多様で魅力的なフルーツ加工品をお客様へお届けできるよう努めております。
当連結会計年度においては、好きな時に冷凍庫から取り出して手軽に食べることのできるワンハンドフルーツ 「アヲハタ・まるかじゅり」2品を発売しました。たっぷり入った大きめの果肉をもみほぐしながら召し上がっていただく、ジューシーで食べ応えのある新感覚の冷凍フルーツです。フローズン商品のアイテム増加によって毎日手軽に果物を食べるシーンの創出を目指してまいりました。
ジャム・スプレッドでは、選ぶ楽しさをお届けするべく、「アヲハタ・55」シリーズにフルーツ組み合わせタイプの季節限定品を3品追加し、ラインアップを拡充しました。また、チューブ容器の使いやすさが支持されている 「ヴェルデ・ホイップ」「ヴェルデ・トーストスプレッド」シリーズに、塗って焼くだけで本格的な味わいを楽しめるトーストスプレッドを2品追加、公式タイアップ商品となる「ヴェルデ ミルキーホイップ」を発売し、新たなトレンド創出に取り組みました。さらに、スプーンを使わずさっと使えるボトル容器入りフルーツスプレッド 「アヲハタ・Spoon Free」全6品の全面リニューアルを実施し、使い勝手の向上により支持拡大を進めました。
当連結会計年度において外部発信した主な研究成果を以下に示します。
講演・口頭発表など
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タイトル |
学会等 |
共同研究先 |
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くちどけフローズンの紹介 ~新しい食感の冷凍フルーツ~ |
日本食品工学会第25回年次大会 インダストリアルプラザ出展 |
- |
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フルーツ加工品の保存性向上のためのシナモンの 利用方法の検討 |
日本食品微生物学会 |
- |
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芽胞の耐熱性測定における試験室間検証試験 ~Bacillus cereus 芽胞の耐熱性測定~ |
第73回日本缶詰協会技術大会 |
特定非営利活動法人 国際生命科学研究機構ILSI Japan |
以上の結果、当連結会計年度における研究開発費は
なお、当社グループは食品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。