当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは日本の食文化を大切にし、国内で収穫された良質の米を原料として、昔ながらの製法をそのまま独自の技術で再現し、本物の「ごはん」、「餅」を製造し、全国の消費者の皆様に提供することを経営方針として営業活動をいたしております。
当社グループの社是は『われわれは 誠実と責任とを以って 日々努力を重ね より品質を高めて 消費者の 信頼に応えよう』というものであります。この社是と日本の伝統を守ることを命題に、常に消費者の立場に立って、消費者ニーズに応えた利便性とおいしさの提供を行い、業容の更なる拡大と経営管理体制の充実を図るべく、現行体制の改善に取り組んでおります。
(2)目標とする経営指標
食品事業における包装餅は季節商品であり、その販売が年末に集中し、連結会計年度の上半期と下半期の業績に著しい変動があります。その季節的変動を極小化すべく、包装米飯の販売拡大に努め、期中を通じて安定的に利益を計上することを目標としております。
(3)経営環境
当連結会計年度におけるわが国経済は、継続的な物価上昇の影響で一部に足踏みが残るものの、雇用・所得環境や企業収益の改善により緩やかに回復しています。一方で、各国の通商政策等の影響、不安定な為替相場などにより景気の先行きは不透明な状況が続いています。
食品業界においても、こうした物価上昇等の影響を受けて商品の値上げの波は収まらず、消費者の節約・低価格志向が継続することが予想され、依然として厳しい経営環境が続くものと推測されます。
(4)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題
事業概況
当社グループが日本で初めて開発した無菌包装米飯(パックごはん)は、その味と利便性が高く評価されています。近年では災害時の非常食としての優秀性も認められ、供給機会の拡大とコアユーザーの着実な獲得により、売上向上に寄与しております。
国内のコメ消費量が年々減少する中においても、パックごはん市場は成長を続けており、今後も一層の拡大が予想されます。
今後の取り組み方針
当社グループは、事業環境の変化に対応しつつ収益力を強化することを目的として、以下のブランドを柱とした事業展開を推進します。
・パックごはん市場で確固たるブランドを確立した「サトウのごはん」
・包装餅におけるトップブランド「サトウの切り餅」
・パイオニアブランド「うさぎもち」
これらのブランドにおいて、おいしさと利便性を追求した商品の高付加価値化、品質・味・生産量向上のための成長投資に取り組みます。継続的な情報発信により需要創造を図り、さらなる企業成長と社会貢献を目指します。
包装米飯事業の展開
2024年2月に聖籠ファクトリーで新たな生産ラインが稼働し、日産20万食の増産体制を整備しました。今後の需要増加に対応するため、同敷地内に新工場を建設することを決定いたしました。
新工場は2026年12月の生産開始を予定しており、さらなる生産能力向上と生産効率化によるコスト適正化を図り、収益力強化に努めます。
包装餅事業の展開
通年需要の喚起と喫食機会の拡大を目的として、テレビCMや動画配信、メーカーコラボ等のプロモーションを効果的かつ積極的に展開します。
年末に需要が集中する鏡餅については、環境に配慮した商品パッケージを継続展開します。また、受注締日の早期設定により、過剰生産や製造現場の人材不足課題を解消し、環境配慮・フードロス削減・資材廃棄削減という流通業界全体の課題解決に取り組みます。鏡餅の伝統文化継承を持続的に展開できるよう努めます。
市場環境への対応
全国的なコメの価格高騰や品薄状態が社会問題化する中、包装米飯・包装餅の商品価値が見直され、その必要性はより高まることが予想されます。
当社グループは、コメ消費基盤の一端を担う食品製造会社として、包装米飯・包装餅製品の持続可能な生産・供給体制構築に向けて、最適な原材料調達、人材確保及び設備投資に関する計画を立案・実践し、豊かな消費社会の実現に貢献します。
業績予想について
不安定な国際情勢による地政学リスクの影響、エネルギー価格の高止まり、人件費や物流費の上昇、金融情勢の変化や原材料価格等の高騰など、先行き不透明な状況を鑑み、2026年4月期の業績予想については未定とさせていただきます。
今後、業績予想の合理的な算定が可能となった段階で、速やかに公表いたします。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題への対応を、重要なリスク管理の一部であると認識し、これまでに培ったノウハウを継承しつつ安定的な企業価値の向上を目指すため、2021年に「サステナビリティ基本方針」並びに「サステナビリティ基本理念」を制定しました。また、サステナビリティマネジメントを推進するため、2024年6月に「サステナビリティ推進委員会」を設置いたしました。同委員会は、常務取締役コーポレート担当兼生産本部長を委員長とし、各事業本部を担当する取締役及び執行役員、関連会社の取締役、並びに委員長が適切と認めて選任したメンバーで構成されております。
「サステナビリティ推進委員会」は原則として年に1回以上開催し、当社グループのサステナビリティに関するリスク及び機会への識別、評価等の審議・検討を行い、その内容を取締役会に報告を行っております。
取締役会は、サステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有しており、「サステナビリティ推進委員会」で審議・検討した内容の報告を受け、サステナビリティ全般におけるリスク及び機会への対応方針及び戦略等の承認と監督を行うものとしております。
サステナビリティに関連するガバナンス体制図は次のとおりであります。

当社グループは、サステナビリティ基本方針である「安全・安心な食生活がもたらす持続可能な社会の実現と美しい地球環境の保全に積極的に取り組み、全てのステークホルダーから信頼され必要とされる企業を目指す。」ことを念頭に、グループ全体でサステナビリティの推進に取り組んでおります。
社会環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る問題が多様化・複雑化していることから、サステナビリティ推進委員会において当社グループが目指す方向性及び社会的に求められる事項と特に関連性が高い6つの重点課題(マテリアリティ)を再度特定し、重点課題の解決に向けた取り組みを積極的に進めてまいります。
また、特定したマテリアリティについては、当社グループを取り巻く環境に合わせて、定期的に見直しを行ってまいります。
<6つの重点課題(マテリアリティ)>
1:地球環境への配慮
2:食の安全・安心の確保
3:多様な人材の活躍推進
4:働きやすい職場環境の実現
5:社会・地域貢献活動
6:コーポレート・ガバナンスの充実
各マテリアリティのリスク及び機会
当社グループでは、特定したマテリアリティに関するリスクと機会を踏まえ、課題解決に向けて下記の取り組みを進めております。
なお、各マテリアリティに対する取り組み内容については随時見直しを行っており、今後は更なる取り組み内容の充実を図ってまいります。
各マテリアリティに対する具体的な取り組み内容
また、各種方針は以下のとおりです。
(気候変動対応に関する方針)
気候変動は、世界各地で異常気象や大規模な災害をもたらすだけでなく、当社グループの主要原材料である原料米(もち米、うるち米)の作況へ関与することにより、原料米の調達価格や調達量へ大きく影響することから、当社グループが取り組む重要な課題として捉えております。
当社グループでは、安全・安心かつ高品質でありながらおいしさと利便性を追求した商品を消費者へ提供し続けることを目的に、人と地球環境を大切にする社会の実現に貢献していきます。
(人材の育成に関する方針)
従業員が、性別や国籍など個人の属性に関係なく、その多様な人権を尊重するとともに、自ら仕事に責任をもち、能力を最大限に発揮しながら持続的に成長することを目的として人材を育成することで、「人材の人財化」の実現に取り組みます。
(社内環境整備に関する方針)
自己の能力を最大限発揮できるための人事制度や教育研修体制を整備し、性別のみならず、属性や個々の価値観など、多様な従業員がやりがいをもって仕事に取り組める職場づくりと、心身ともに健康で安全に働ける社内環境の整備に取り組みます。
(3)リスク管理
当社グループのリスク管理は「サステナビリティ推進委員会」が行います。サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別し、評価し、及び管理するための過程は次のとおりであります。
①リスクと機会を識別・評価するプロセス
サステナビリティ推進委員会は、各主管部署と連携してサステナビリティに関するリスクと機会を識別・評価しております。具体的には、「発生可能性」「影響度」等の観点から検証を行い、評価結果に基づいて対処すべきリスクと機会の優先順位付けを行います。
②リスクと機会を管理するプロセス
サステナビリティ推進委員会で審議を行い、事業継続に影響を与えかねない優先順位の高いリスクと機会については、本部長連絡会、監査役会にて情報を共有するとともに、リスクに関する対応策を検討し、少なくとも年1回以上は取締役会に報告を行います。
(4)指標及び目標
当社グループは、「(2)戦略」において記載したマテリアリティに基づき、施策や取り組みを実施しておりますが、対外的に開示可能な指標及び目標の設定については「サステナビリティ推進委員会」にて検討中であり、できる限り早期に決定すべく取り組んでいるところであります。なお、連結グループに属する会社で一律に取り組みが行われていない指標及び目標については、提出会社のものを記載しております。
(注) 当社グループにおける管理職とは、事業目標の達成に向けて管理監督を行う者を対象としており、女性活躍推進法における「課長級」相当を示しております。
有価証券報告書に記載した事業の概況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の季節的変動
当社グループは、主力製品である包装餅が季節商品(特に鏡餅)であり、その販売が年末に集中するため、売上高及び営業利益は第3四半期連結会計期間の割合が高くなる傾向があります。
なお、当連結会計年度末にいたる1年間の売上高・営業費用(売上原価・販売費及び一般管理費)及び営業利益は、以下のとおりであります。
当社グループの業績
(2) 製品の安全性について
当社グループは、製品の品質及び安全・安心に対する取り組みを経営の最重要課題のひとつと考え取組んでおり、ISO22000:2018を運用するとともに、各製造工程における社内基準検査、製品一個一個の検品体制の確立、トレーサビリティシステムを取り入れた包装米飯の開発に加え、DNA分析装置やシンチレーションサーベイメータ(放射性物質測定器)などの自社分析機器等の導入及び品質管理体制の強化に努めております。
しかしながら、病原性ウィルスの発生及び野菜の残留農薬や放射能汚染等の食品業界全体を脅かすような問題が発生し、当社グループの想定及び会社としての対応を超えた事態が発生した場合は、経営成績に影響を与える可能性があります。
(3) 原材料の価格変動について
当社グループは、包装米飯や包装餅の素材となる原料米(もち米、うるち米)を仕入れておりますが、当社グループの仕入価格は国内の市場動向(作況等)の影響を受けるため、過去の米不作時の経験を生かし仕入価格の変動を極力抑えるよう適切な情報収集及び在庫管理などの対応を行っております。
しかし、原料米は全て国内産米であり、当社グループが予想した範囲を上回るような原料米の市場動向となった場合、経営成績に影響を与える可能性があります。
また、包装資材等は、原油価格及び為替等の変動によって調達価格は変動し、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、継続的な物価上昇の影響で一部に足踏みが残るものの、雇用・所得環境や企業収益の改善により緩やかに回復しています。一方で、各国の通商政策等の影響、不安定な為替相場により景気の先行きは不透明な状況が続いています。
食品業界においても、こうした物価上昇等の影響を受け、消費者の節約・低価格志向が継続することが予想され、依然として厳しい経営環境が続くものと推測されます。
しかしながら、時短・簡便といったニーズの高まりとコメ価格の高騰を背景にパックごはんや包装餅といった即食性のある商品の利用機会が拡大するなど、これまでになくコメ製品に対する世間の関心も高まる中、当社グループは従来通り日本の食文化を大切にし、良質のコメを原料に最新の技術を駆使した独自の製法にこだわりつつ、包装米飯及び包装餅製品の生産・安定供給・適正価格での販売に努めることを基本に、安全・安心に重点をおいた事業活動を推進してまいりました。
具体的には、おいしさの追求はもちろんのこと、無菌化包装技術を駆使した利便性の高い製品群の生産と、消費者の消費動向を捉え、かつ、拡大する商品需要にも対応しうる生産体制の整備を進めてまいりました。また、時代とともに変化する消費者ニーズにお応えすべく、「プチ贅沢」「健康・機能性」「タイムパフォーマンス(タイパ)志向」などに対応した商品ラインナップを拡充し、商品ブランドのさらなる価値向上に努めながら、原材料費及び物流費の高騰といった事業環境の変化を鑑み、当社グループは適正な利益確保ならびに製品の安定供給を目的とし、商品価格の改定を適時実施いたしました。
さらに当社グループは「米食回帰・健康維持・多様化をキーワードとした新たな食の創造」を念頭に、全社一体となった営業活動に取り組むことで持続的な成長の実現を図ってまいりました。具体的には、当社グループはテレビCMの全国放映や有名アニメキャラクターとのコラボレーション商品の展開など、積極的に広告宣伝及び販売促進活動を実施することで喫食機会の拡大及び商品ブランドの認知度向上に努めてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は、包装米飯及び包装餅製品ともに主力製品を中心に販売が堅調に推移し、464億79百万円(前年同期比9.2%増)となりました。
利益面につきましては、販売の増加と生産性向上により収益性の改善に努めたものの、各種原材料費・物流費の価格高騰の影響や、聖籠ファクトリーの新ライン増設に伴う減価償却費の増加により、営業利益は26億97百万円(前年同期比1.5%増)、経常利益は29億44百万円(前年同期比2.2%減)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は19億49百万円(前年同期比15.1%減)と、前連結会計年度における各種の税制優遇制度適用による税負担減少の影響(2億4百万円)から、前年を下回る結果となりました。
当社グループは、食品ロスの削減などの環境問題に対する社会的な問題意識の高まりを考慮し、年末に需要が集中する鏡餅につきましては、受注締日をこれまでよりも早期に設定することで、過剰生産や製造現場における人材不足の課題解消に取り組んでおります。また、鏡餅商品の仕様変更により、プラスチック・アルミ箔等の資材の削減や化粧箱のダウンサイジングなど、環境配慮へ向けた取り組みを進めております。その他、流通業界を取り巻く環境課題の解決に取り組むとともに、鏡餅の伝統文化継承を持続的に展開できるよう努めてまいります。
物流に関しても、運送会社との連携強化により出荷の平準化、人員の最適化を図るとともに、環境負荷の低い輸送手段への変更を行ってまいります。さらに、今後は積載効率、運航効率のさらなる向上を目指し、労働力不足をはじめとした昨今の物流問題に対応してまいります。
全国的なコメの価格高騰や品薄状態が社会問題化している昨今、包装米飯・包装餅の商品価値が見直され、その必要性はより高まることが予想されます。当社グループは今後も、コメ消費基盤の一端を担う食品製造会社として、包装米飯・包装餅製品の持続可能な生産・供給体制の構築に向けて、最適な原材料の調達、人材の確保および設備投資に関する計画を立案・実践し、豊かな消費社会の実現のため貢献してまいります。
製品分類別の販売動向
当社グループは、食品事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しておりますが、製品分類別における販売の動向は以下のとおりであります。
(包装米飯製品)
近年の少子高齢化を背景とした消費者のライフスタイルの変容に伴い「タイパ志向」が高まったことで、家庭での炊飯機会は減少し、ご飯は「家庭で炊くもの」から「買うもの」へと変化しております。電子レンジ調理などの簡便、時短調理等、家庭内での調理ニーズが多様化する中で、包装米飯製品は、家庭内での日常の需要が拡大し、ストック及びレンジ調理が可能なパックごはん市場は堅調に推移しております。
これらの消費動向の変化を背景に、まとめ買いニーズへの対応や「食物繊維で始めるおいしい新健康生活」の提案など様々な販売促進活動により、包装米飯製品の「家庭のご飯に代わる」日常食化に引き続き取り組んでまいりました。また、人気お笑いコンビ「オードリー」を起用し「“ふっくら釜炊き”ごはんのおいしさ」を表現したテレビCM『「釜炊き圧トゥー的」篇』及び「おいしさの理由である“厚釜炊き製法”」を紹介するテレビCM『「おいしさは炊き方で決まる」篇』(2025年4月放映開始)を全国放映しました。
これらの取り組みとともに、1988年の発売当初より「炊きたてのおいしさ」を目指してきた「サトウのごはん」がパックごはん市場で確固たるブランドを確立し、より多くの食卓に受け入れられたこと、さらに、パックごはんが備蓄食だけではなく日常食という消費者ニーズの変化を捉えた販売活動等から、価格改定後も販売数量(前年同期比4.7%増)、売上高(前年同期比11.9%増)ともに堅調に推移しました。
その結果、包装米飯製品の売上高は292億77百万円となり、前年同期を上回りました。
なお、当社は、約80億円を投じて聖籠ファクトリー(新潟県北蒲原郡聖籠町)の敷地内に新たな工場(「サトウのごはん聖籠ファクトリー第二工場」)を建設することを決定いたしました。新工場は2026年12月より稼働を開始する予定であり、稼働開始後は聖籠ファクトリー全体で日産約60万食のパックごはんを生産することが可能となります。この新工場建設により、商品を市場に安定供給できる体制を構築するとともに、販売体制のさらなる強化を目指し、拡大するパックごはん需要に積極的に対応してまいります。
(包装餅製品)
年末に需要が集中する鏡餅を中心に包装餅製品は国内における消費の需要に季節性があり、内食需要の減退により包装餅市場全体は縮小傾向を見せ始める中、当社グループは引き続き、「ながモチフィルム」に代表される独自の強みを活かした提案販売や様々な餅の食し方提案による通年需要の喚起に積極的に取り組んでまいりました。
切り餅については、「プレミアムライン」、「レギュラーライン」、「トライアルライン」に、普段の生活や行動の範囲内で手を出しやすい、いわゆる“プチ贅沢”需要に対応する「プライムライン」を加え、4つにセグメンテーションされた商品ラインナップを、全国にて展開しております。また、女優の芦田愛菜さんを起用した当社グループのみが個包装に使用している「ながモチフィルム」の特徴(鮮度保持剤なしでつきたての美味しさを24か月保持)を紹介するテレビCMや同じく芦田愛菜さんを起用した「サトウの切り餅シングルパックミニ」の“ちょうどいい”サイズを紹介するテレビCM(2024年7月放映開始)、「サトウの切り餅いっぽん」のスティック形状を活かした様々な食し方を提案するテレビCMの放映及び人気動画クリエイターとタイアップした動画配信などに積極的に取り組んでまいりました。特に「サトウの切り餅いっぽん」及び「サトウの切り餅シングルパックミニ」や「うさぎもちの焼いて食べるあんこ餅」を中心としたバラエティ商品の売上が好調に推移したことから、今後さらなる売上拡大に向けて、テレビCMや動画配信、キャラクターコラボ、メーカーコラボ等のプロモーションを効果的かつ積極的に展開してまいります。
鏡餅については、干支マスコットを中心とした商品デザインをリニューアルしました。また、最需要期に向けて、昨年に引き続き新潟出身アイドル「Negicco」を起用したテレビCMを放映し、販売促進を図りました。さらに、フードロスの削減や物流輸送の効率化、環境への配慮等、持続可能な循環型社会の実現に向けて、一部の鏡餅商品のデザインをリニューアルしております。最後に、ダウンサイジング化が進む市場動向を踏まえて、「どこでも簡単に飾れる手頃なサイズの鏡餅」をコンセプトとした化粧箱入りの「サッと鏡餅」及び置き場所を選ばない「小飾り」タイプの品揃えを拡充するとともに、取扱店の拡大に向けて、商品を陳列する際に開封作業を軽減する「簡単!楽ちん段ボール」を採用し、流通各社への提案を進めております。
このような取り組みのほか、昨夏の深刻なコメ不足とコメの価格高騰による代替需要品として包装餅の需要が高まり、好調な売れ行きを見せた結果、包装餅製品の売上高は171億83百万円(前年同期比4.8%増)となり、前年同期を上回りました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末(26億65百万円)に比べ22億2百万円増加し、48億67百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は49億16百万円(前年同期比27億60百万円の収入増加)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益に、減価償却費等の非資金項目、仕入債務や未収消費税、未払消費税等の営業活動に係る資産及び負債の増減、法人税等の支払額を加減算したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、支出した資金は51億19百万円(前年同期比10億円の支出増加)となりました。
これは主に、有形固定資産、無形固定資産の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、得られた資金は24億6百万円(前年同期比12億54百万円の収入増加)となりました。
これは主に、長期借入れによる収入、長期借入金の返済による支出、配当金の支払額によるものであります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
イ 生産実績
当連結会計年度の生産実績を製品分類ごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっております。
当連結会計年度の製品仕入実績を製品分類ごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、実際仕入金額によっております。
該当事項はありません。
当社グループは、受注見込みによる生産方式をとっておりますので、該当事項はありません。
当連結会計年度の販売実績を製品分類ごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は238億88百万円となり、前連結会計年度末に比べ34億20百万円増加いたしました。これは主に、商品及び製品が2億17百万円減少したものの、現金及び預金が22億2百万円、売掛金が15億2百万円増加したことによるものであります。
固定資産は249億51百万円となり、前連結会計年度末に比べ16億81百万円増加いたしました。これは主に、聖籠ファクトリー第二工場の建設に伴い、有形固定資産が13億98百万円増加したことによるものであります。増加した有形固定資産の主なものは建設仮勘定であります。
この結果、総資産は488億39百万円となり、前連結会計年度末に比べ51億2百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は121億42百万円となり、前連結会計年度末に比べ16億11百万円増加いたしました。これは主に未払金が5億18百万円減少したものの、1年内返済予定の長期借入金が9億92百万円、流動負債のその他が4億88百万円、未払法人税等が3億91百万円増加したことによるものであります。増加した流動負債のその他の主なものは未払費用、未払消費税等であります。
固定負債は142億21百万円となり、前連結会計年度末に比べ16億円増加いたしました。これは主に長期借入金の増加によるものであります。
この結果、負債合計は263億63百万円となり、前連結会計年度末に比べ32億12百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における株主資本は212億82百万円となり、前連結会計年度末に比べ16億46百万円増加いたしました。増加要因は、親会社株主に帰属する当期純利益19億49百万円であり、減少要因は、剰余金の配当3億2百万円であります。
その他の包括利益累計額は11億93百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億42百万円増加いたしました。これは主に、退職給付に係る調整累計額が1億82百万円増加したことによるものであります。
この結果、純資産合計は224億75百万円となり、前連結会計年度末に比べ18億89百万円増加いたしました。
なお、自己資本比率は46.0%(前連結会計年度末は47.1%)となりました。
②経営成績の分析
(売上高及び営業利益)
当連結会計年度の売上高は464億79百万円となりました。主な内訳は、包装米飯製品が292億77百万円、包装餅製品が171億83百万円であります。
なお、売上高の概況につきましては、「4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
売上総利益は114億97百万円となり、売上総利益率は24.7%となりました。
販売費及び一般管理費につきましては、売上の増加に伴う物流コストの増加や、聖籠ファクトリーの新ライン増設に伴う減価償却費の増加などにより、87億99百万円(前年同期85億4百万円)となりました。
営業利益は、生産性の向上とコストの適正化による収益性の改善や商品価格の改定を実施し適正利益の確保に努めたものの、各種原材料費・物流費の価格高騰の影響などから、前連結会計年度と比較し40百万円増加し26億97百万円となり、営業利益率は5.8%となりました。
(営業外損益及び経常利益)
営業外収益は、前連結会計年度に比較し受取配当金及び副産物収入が増加したことから、5億89百万円となりました。営業外費用は、前連結会計年度に比較し、支払利息が増加したことや、シンジケートローン手数料を計上したことなどから、1億27百万円増加し、3億42百万円となりました。
以上の結果、経常利益は、前連結会計年度に比較し65百万円減少し29億44百万円となりました。
(特別損益及び税金等調整前当期純利益)
特別利益は、前連結会計年度に計上していた受取保険金が当連結会計年度は発生していないため、30百万円減少し4百万円となりました。特別損失は、投資有価証券評価損及び減損損失を計上したことにより48百万円となりました。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比較し1億45百万円減少し29億円となりました。
(法人税等及び親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税等合計は、前連結会計年度に比較し2億1百万円増加し9億50百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度における各種の税制優遇制度適用による税負担減少の影響(2億4百万円)から、前連結会計年度に比較し3億46百万円減少し19億49百万円となり、1株当たり当期純利益は386円52銭となりました。
③キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの主な資金需要は、原材料費、労務費、販売費及び一般管理費等に係る運転資金と、製造設備の更新・改修等に係る設備投資資金となっており、資金調達については主に銀行等金融機関からの借入により行っております。
短期運転資金については、主に銀行からの短期借入金を基本とし、設備投資や長期運転資金については銀行等金融機関からの長期借入金を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は185億88百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は48億67百万円となっております。
⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
イ 棚卸資産の評価
当社グループでは、棚卸資産の連結貸借対照表価額を収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しており、期末における正味売却価額が取得原価を下回っている場合には、当該正味売却価額をもって連結貸借対照表価額としております。
当該正味売却価額は、製品種類別に将来の販売時点における見積販売価格から見積販売直接経費を控除して算定しております。なお、販売直接経費は、販売促進費、販売手数料、発送費等の複数の経費項目が含まれており、これらの経費項目は取引条件等によって製品種類ごとに発生有無や発生額が異なるものであります。
見積販売価格及び見積販売直接経費は、期末日時点の市場環境に基づき、将来の販売状況及び取引条件等を仮定して見積もっております。当該見積り及び仮定について、その前提とした状況に変動が生じた場合、正味売却価額の算定結果が異なり、翌連結会計年度以降の損益に影響を及ぼす可能性があります。
ロ 固定資産の減損
当社グループが減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いる将来キャッシュ・フローは、経営環境などの外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(予算など)と整合的に修正し、資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮し見積っております。
当該見積り及び仮定について、その前提とした状況に変動が生じた場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において減損損失(特別損失)が発生する可能性があります。
ハ 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性について、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。
収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び繰戻・繰越期間における課税所得を見積っております。課税所得は、経営環境等の外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(予算など)と整合的に修正し見積っております。
当該見積り及び仮定について、その前提とした状況に変動が生じた場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に影響を与える可能性があります。
二 退職給付債務の算定
当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、予想昇給率、退職率、死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率等があり、長期期待運用収益率の決定については、現在及び予想される年金資産の配分と、年金資産を構成する多様な資産からの現在及び将来期待される長期の収益率を考慮しております。
当該見積り及び仮定について、その前提とした状況に変動が生じた場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に影響を与える可能性があります。
なお、詳細につきましては、「 第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1) 連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係) 」に記載しております。
(資金調達に関する契約の締結)
当社は、主力製品であるパックごはんの新工場「サトウのごはん聖籠ファクトリー第二工場」の建設に伴い、設備資金を安定的に調達することを目的として、株式会社第四北越銀行をアレンジャーとするシンジケートローン方式による「SDGsグリーン・ローン」契約を2025年2月25日付で締結いたしました。
当該契約の概要は以下のとおりです。
(注)詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結貸借対照表関係)」に記載の通りです。
(1)研究開発活動の概要
当社グループの研究開発活動は、品質保証・商品開発本部商品開発部門及び生産本部技術開発部門を中心に展開しています。主な活動内容は、包装米飯・包装餅等の新製品開発、基礎研究、新規技術開発、新規生産ラインの開発、及び製品の安全性・生産効率向上を目的とした技術開発です。
(2)新製品開発の成果
当連結会計年度における新製品開発では、環境配慮型商品の開発に重点的に取り組みました。
鏡餅においては、一部商品のプラスチック量を削減し、地球環境に配慮したエコパッケージにリニューアルしました。具体的には、「サッと鏡餅(化粧箱タイプ)」について、化粧箱のプラスチック窓を廃止し、三方を金色アルミ箔から紙製の木目調に変更しました。また、化粧箱タイプ・小飾りタイプともに、橙飾りをプラスチック製から紙製に変更しました。
さらに、物流輸送効率の向上を図るため、一部商品(「サトウの鏡餅切り餅入り1,000g」と「サトウの鏡餅まる餅入り990g」)について化粧箱サイズを減容化し、1ケースあたりの商品入数を増加させることで、輸送中のCO2排出量を削減しました。
これらの商品仕様変更により、環境配慮やフードロス対応を実現し、持続可能な循環型社会の実現に向けたCSR活動を推進しています。
(3)技術開発の取り組み
技術開発においては、包装米飯製造工場、包装餅製造工場ともに、既存生産ラインにおける生産技術の改良に努めました。安全・品質・生産効率化を向上させる生産設備の更新・導入を積極的に推進しています。
(4)生産拠点の拡充計画
近年の社会構造や生活様式の変化に伴い、パックごはんは「日常食」としての需要を拡大しています。当社主力商品である「サトウのごはん」についても売上が堅調に推移していることから、今後の需要増加に対応するため、パックごはん専用工場である聖籠ファクトリー(新潟県北蒲原郡聖籠町)の敷地内に新工場を建設し、2026年12月からの稼働を計画しています。
今回の設備投資により、さらなる生産効率の向上と作業負荷の軽減を図り、安定的に安心・安全な商品を市場に供給する持続可能な生産拠点の実現のため、数々の技術開発を行っています。
(5)基礎・応用研究の実施内容
基礎・応用研究として、以下の研究を実施しています。
①包装餅の調理機能を追求した研究
②包装米飯の健康訴求における研究
③生産性並びに品質向上のための炊飯技術の研究
④微生物の挙動調査や除菌・殺菌技術の研究など、食品の安全性に関わる研究
⑤米飯及び餅の食味特性の基礎研究
また、包装米飯及び包装餅の様々な食シーンに対応するメニューや調理方法の提案、それに適した応用研究も継続して実施しています。
その結果、当連結会計年度における研究開発費は