文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社は、「わが社は、高い倫理観を保ち、浮利を追わず、質実剛健と先憂後楽の社風を確立して、社業の発展に努め、以って取引先、従業員並びに株主に対する企業責任を全うし、社会に貢献することを旨とする。」という経営理念に基づき、販売先である食品業界へは徹底した品質管理のもと安定した製品を安定的に供給し、仕入先である鶏卵業界へは需要期、不需要期のアンバランスをなくす需給調整機能を提供し、「食のインフラ」として国民の豊かな食生活に貢献してまいります。また、当社の存在意義(パーパス)として、市場には流通しない規格外卵を様々な食品の原料として使用される「食の半導体」ともいうべき「液卵」「凍結卵」にして、安定した量を安定した品質により適正価格で提供し、顧客との継続的な関係を構築する「サステナブルサプライ」を実現し社会に貢献してまいります。
連結子会社である日本化工食品株式会社は、「1.この仕事を通じて社会に貢献する。2.この仕事を通じて魅力ある立派な人間を育成する。3.取引先より信用と信頼を得られる魅力ある商品を創造する。4.魅力ある会社、魅力ある工場にしていく。」という企業理念に基づき、調味料等の製造と販売により、社会に貢献してまいります。
また、HORIZON FARMS株式会社は、「Good Farms, Better Food(良質の食品は、健全な農家から)」というコンセプトに基づき、消費者の皆様により良い商品の選択肢を提供してまいります。
当社グループは、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、2030年度に液卵販売数量8万トン、業界シェア20%を目指しており、また連結売上高経常利益率8%以上を安定的に確保することを目標としております。この数値を会社の持続的な成長のための製造設備や研究開発等への積極的な投資の源泉、株主に対する利益還元の源泉、また従業員の持続的な所得向上等の従業員満足度向上のための源泉と位置づけ、この指標を達成できるよう努力してまいります。
当社グループが属する食品業界におきましては、原材料価格の高騰や円安を背景とする食品価格の値上げによる消費者の生活防衛意識の強まりや、国内の人口減少に伴う国内需要の減少が続くことが予想されます。加えて、鶏卵業界では、飼料価格の高騰等に伴う生産コスト増による鶏卵生産意欲の低下に加え、大規模な鳥インフルエンザの発生に伴い、鶏卵相場の不安定な動きが続いており、鶏卵市況の不確実性が増してきております。
このような状況を踏まえ、当社グループは、中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題について、以下の諸施策を推進し、企業価値の増大に努めてまいります。
液卵事業に関しましては、「食の半導体」ともいうべき、食品の主要な原料となる「液卵」「凍結卵」について、高品質の製品を適正価格で安定供給することを使命とし、営業と研究開発が連携してお客様ごとに適した製品を開発し提供することや、鶏卵相場高騰時には輸入卵の提案を行うなど、お客様本位の販売戦略で新規取引先の獲得や販売数量の増加につなげてまいります。また、少子高齢化や人口減少に伴う労働力不足が社会問題化する中、「液卵」「凍結卵」は食品業界における業務の効率化や省力化、ひいては消費者の食生活の充実にアドバンテージを持つ製品であることをアピールし、新規取引先や新業種への積極的な拡販を行い、長期的な目標である2030年度に液卵販売数量8万トン、業界シェア20%を目指してまいります。
調味料事業に関しましては、主要な製品である粉体及び顆粒調味料の販売に関するマーケティングを強化し、営業と研究開発の相互連携によってお客様のニーズを迅速に製品開発に反映させて高付加価値化を図り、販売価格の適正化に努めるとともに、独自の生産技術を活用し、主力分野である即席めん・ふりかけ業界に加え、健康食品等新たな業種への提案を強化し、販路拡大に努力してまいります。
オーガニックEC事業に関しましては、新たなカテゴリー商品をラインナップに加えることによる売上の増加を目指してまいります。
液卵事業に関しましては、国内での鳥インフルエンザの発生に伴う鶏卵の需給バランスの大幅な変動や飼料価格の変動及び養鶏業界の寡占化が進むなど、購買環境が激変しております。このような状況を踏まえ、仕入先の更なる拡大、需要と供給のアンバランスを調整する需給調整、原料定期仕入比率の向上、委託生産、輸入の検討等、仕入システムの多様化を図り、当社が経営の第一目標としているお客様への安定供給責任を果たしてまいります。
調味料事業に関しましては、得意先の商品のライフサイクルが短いため、購買管理と在庫管理を徹底し、原料や資材等の回転日数を減らすべく努力してまいります。
オーガニックEC事業に関しましては、希少なオーガニック商品を安定的に確保するため、仕入先の拡大及び多様化を図ってまいります。
液卵事業に関しましては、食品メーカーとして品質を第一とし、食品安全マネジメントシステムの導入や品質保証体制の継続的な改善を図るため、作業手順書・マニュアルの整備はもちろんのこと、製造会議・安全衛生委員会を充実させ、従業員の衛生意識の向上、食品衛生法関連の法令及び規則を遵守するための教育に力を入れてまいります。また、液卵販売数量8万トンを達成するため、最新鋭設備の新設及び増設、既存設備の更新等、積極的に設備投資を行い、供給体制の拡充に努めてまいります。さらに、社内で推奨している2S(整理、整頓)を徹底し、作業環境の改善等による作業効率化を進めてまいります。
調味料事業に関しましては、品質向上・生産効率向上のための設備更新や生産ラインの合理化等を積極的に行い、安全・安心な製品を製造することを第一の目標とし、従業員の意識改革により品質保証体制の構築及び経費削減を進め、またシステム活用及び多能工化による作業の効率化により製造効率の向上に努力してまいります。
従業員がコスト削減や業務改善について提案する「提案制度」を設けており、コスト削減への取り組みに対する優秀な提案を表彰するなど、この制度を積極的に活用し、社内でのコスト削減意識を高め、ローコストオペレーション(「品質」・「効率」・「歩留」・「もったいない」)の推進に努めてまいります。
液卵事業に関しましては、営業との連携を図り、周囲の状況や変化を敏感に捉えるセンスと柔軟な発想をもって利益に貢献できる品質改良や製品開発を行ってまいります。その中でもお客様のニーズが高い商品に的を絞って取り組みます。また、研究機関や大学、他社との連携を図り、卵殻及び卵殻膜の用途開発等、鶏卵の新規用途の可能性や鶏卵の新たな価値を創造するための研究開発を強化してまいります。
調味料事業に関しましては、お客様の意図や嗜好性を把握しながら商品開発を進めてまいります。
当社グループとシナジー効果の見込める業務提携や買収なども視野に入れ、業容の拡大を図ってまいります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、社会的責任としてサステナビリティへの取組みは重要な課題であると認識しており、以下のような考え方及び取り組みを行ってまいります。
・当社グループの属する液卵業界において、当社の主力製品である「液卵」、「凍結卵」は、少子高齢化や人口減少に伴う労働力不足が社会問題化する中において、顧客の業務の効率化や省力化に貢献し、また通常は市場に流通しない規格外卵を様々な食品の原料に加工しているため食品ロスの低減等に適した製品であり、「食のインフラ」としてサステナビリティに資するものであると考えております。
・当社は、台風・水害・大雪・地震等の自然災害や、新型コロナウイルス感染症、鳥インフルエンザなど不測の事態に備えて、関東・東海・近畿・九州にある4つの事業部間で相互に連携し、サプライチェーンの寸断を防ぎ製品を途切れることなく供給する「サステナブルサプライ」を構築しております。
・当社グループは、製品の品質向上にも積極的に取り組んでおります。「安全」「安心」な製品を供給するために、食品安全の国際的な管理手法「HACCP」に基づく衛生管理を実践しているほか、関東事業部及び関西事業部並びに子会社の日本化工食品株式会社では国際規格の食品安全マネジメントシステム「FSSC22000」の認証を取得しており、他事業部においても取得すべく、取組みを進めております。
・環境問題での課題につきましては、当社は、工場設備の更新や見直し、日々の業務改善を積極的に行い、エネルギー使用量の削減や生産性の向上に従業員一丸となって取り組んでおり、「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(省エネ法)」に基づく「事業者クラス分け評価制度」において、6年連続で省エネが優良な事業者(Sクラス)の評価を受けております。
(「事業者クラス分け評価制度」とは、省エネ法において、エネルギーの使用状況等についての定期報告を提出する全ての事業者をS・A・B・Cの4段階で評価するものです。)
また、従来産業廃棄物として処理されてきた卵殻のリサイクル化に取り組んでおり、現在約75%のリサイクル率を2030年までに100%(卵殻廃棄ゼロ)まで高めることを目指しております。卵殻は乾燥粉砕し、グラウンドのライン材や土壌改良剤等として他社に売却され、再利用されております。また、卵殻や卵殻膜の用途開発等、鶏卵に関する新規用途の可能性や有効利用につき、研究機関や大学、他社との連携を図り、必要に応じて知的財産への投資を行ってまいります。
当社グループでは、当社の管理本部においてサステナビリティに関連するマテリアリティ(重要課題)や重要なリスク及び機会を特定し、それらの対応に係る具体策を策定し、グループ全体の取り組みの推進・サポートを行い、進捗をモニタリングするとともに、対応方針の立案と関連部署への展開を行っております。
また、これらの結果は定期的に取締役会に報告し、取締役会において当該報告内容に関する管理・監督を行っております。
サステナビリティに関するリスクを含む当社グループのリスク及びコンプライアンスを管理するため、社長直轄の「リスクマネジメント・コンプライアンス委員会」を設置しております。また、同委員会の活動を補助するために、「経営部会」「営業部会」「購買部会」「製造部会」「子会社部会」の専門部会を設置し、各専門部会ごとに現状及び今後直面することが予測されるリスク及び機会を分析・評価した上で、リスクマップを作成して優先的に対応すべきリスク及び機会を抽出し、その管理体制及び方法等について協議し、リスク対策の実施等を行っております。
当社グループは、企業の持続的成長の実現には人的資本への投資は極めて重要であると考えており、社内の中期経営計画の大目標として「Speed Growing 閾値を超え突き抜ける」を掲げ、人材育成のスピードアップを図るための投資・施策に注力しております。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略については、当社の管理本部人事課及び人材開発プロジェクトチームが中心となり企画・立案し、実施しております。
人材の確保のための新卒採用・キャリア採用については、国籍・性別問わず、当社で活躍できる人材要件を設定し採用活動をしております。
人材の育成に関しては、当社の人材育成方針の骨子である「社員一人ひとりが自律的に成長し、その個の力が活かされる環境を構築していくこと」を念頭に、組織をリードするための影響力を備えた人材を育成するために、新入社員研修・管理者研修・社外アドバイザーを招聘しての研修等の企画や社外研修を活用した教育、Eラーニングを用いた研修を実施し、社員のスキルアップを図っております。
また、新入社員の効果的な育成及び早期の離職の低減を図るため、新人指導者(OJTリーダー)に対する教育を強化し、新入社員の教育環境の整備及びコミュニケーション促進を行ってまいります。
社員のスキルアップのさらなる充実を図るため、資格取得を積極的に行えるようにその費用を会社が全額負担し、業務に関連する会社指定の資格を取得したものには資格取得報奨金を支給する「自己啓発助成制度規程」を設けております。
社内環境整備に関しては、社員に対して年1回エンゲージメント調査を行い、その結果を踏まえて各種制度の見直し・給与体系の見直し等、社員とのエンゲージメント(信頼関係)強化を図っております。また、個の力を見出し、組織に反映し活かす上でも事業部間、職種横断のプロジェクトを自律的に推進する環境作りをしております。
また、職場環境を整えることで従業員の身体的・精神的な健康を維持し、業務のパフォーマンス向上につなげるため、健康経営についても取り組みを強化しており、経済産業省および日本健康会議の健康経営優良法人認定制度において「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」の認定を受けております。
当社グループでは、人材の多様性を確保し活躍を推進できる環境整備を進めております。
当社は、子育てと仕事の両立支援のため、育児短時間勤務及び育児のための所定外労働の免除については、法定では小学校就学前までの子を養育する場合を対象としているところを、子の看護休暇と同様に小学校4年の始期に達するまで拡充しているほか、全4事業部のうち3事業部に社内託児所を設置し、子育て世代が働きやすい職場環境の整備に積極的に取り組んでおります。
また、当社グループは、全従業員(臨時従業員含む)のうち約6割が女性であり、女性の活躍推進は重要な経営上の課題として重視しております。管理指標として、管理職に占める女性の比率を2021年4月から2026年3月までの5年間で3%から10%に引き上げることを目標としており、2025年3月においては8.3%となりました。この目標を達成するため、女性の管理職及び管理職候補の育成に努めるほか、外国人・キャリア採用者等についても平等に教育を行い、実力本位による優秀な人材の管理職への登用を進めてまいります。
当社は障がい者雇用にも積極的に取り組んでおり、障がい者雇用率は法定雇用率を上回っております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの液卵事業の主力製品である液卵は、主原料が鶏卵であり、毎日の鶏卵相場に応じて販売価格及び仕入価格が変動します。当社では、相場変動によるリスクを回避できるよう、夏場の低需要期に原料卵を安く仕入れたり、原料コストの低廉化を図るため比較的安価な加工用原料卵の購入比率を高めたりするなどして、仕入価格と販売価格の差益を一定額以上確保するとともに販売数量を伸ばす努力をしております。また、凍結製品は、低需要期で鶏卵相場が低く原料卵を安価に仕入れることが可能な夏場に多く製造し、原価低減に努めております。
しかしながら、国内での食料政策の変更や大規模な鳥インフルエンザの発生等による鶏卵需給の逼迫により、鶏卵相場が上昇し製品や原料の原価が大きく上昇した場合や、不安定な鶏卵供給環境により鶏卵相場が大きく下落し収益性が低下した場合は、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
近年、消費者の食の安全・安心に対する意識は一段と高まってきております。当社グループにおきましては、安全・安心で高品質な製品を提供するために最新鋭設備の導入や徹底した製品の品質・温度管理、従業員への衛生教育を行うなど、当社グループ製品の安全・衛生問題には万全の注意を払っております。
しかしながら、今後、偶発的な事由によるものを含めて、万一、当社グループ製品を起因とした安全・衛生問題が発生した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3)凍結製品の在庫について
当社グループの液卵事業におきましては、販売の見通し、鶏卵相場や原料の買付状況、また工場の稼働状況等、さまざまな状況を勘案して長期保存が可能な凍結製品を製造・保管しており、商品及び製品の残高の大部分を占めております。なお、商品及び製品の残高は、年度ごとの変動はあるものの、販売数量の増加に伴い増加傾向にあります。また、凍結製品の大部分は外部の営業倉庫に保管しており、その在庫管理は主に外部倉庫業者からの入出庫取引報告書や在庫証明書と社内のシステム記録の照合で行っております。
しかしながら、外部の営業倉庫に保管している凍結製品の管理については倉庫業者に委ねているため、凍結製品の在庫が大規模に毀損した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、凍結製品については、鶏卵相場の動向や仕入数量及び販売数量の状況を予測しながら製造数量及び在庫数量をコントロールしておりますが、販売が予測通りに進まず過剰在庫となった場合、あるいは原料となる鶏卵供給が逼迫したり、販売が予測以上となるなどの要因により凍結製品の在庫が枯渇した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの液卵事業については、「液卵」「凍結卵」の製造販売を主たる事業としております。主要な販売先は、その使用量の多さから製パン業界であり、当連結会計年度における同業界に対する売上高比率は約4割を占めており、同業界の仕入・生産動向が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、冷凍食品メーカーや総菜メーカー等の新たな業種や新たなマーケットへ販路を拡大し、特定の業種への依存度を下げるのみならず、販売数量を拡大することにより財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況への影響を最小限に抑える努力をしております。
近年、世界的な気候変動による台風、水害、大雪等の自然災害や大規模地震等の発生頻度や影響度が高まっております。当社グループの液卵関連事業は、関東、東海、近畿、九州に工場が4ヶ所あり、不測の事態に備えて互いに他地域の当社工場から供給する体制を整えております。
しかしながら、万一、大規模地震等の自然災害が当社グループの工場の所在地を含む地域で発生した場合、公共インフラの停止や工場の修復等、その被害状況によっては当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、予測不可能な停電や通信トラブルが発生した場合、当社グループの業務が中断することも考えられ、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社ではこうした災害等に備えるため、BCP(事業継続計画)を含む危機管理マニュアルを策定し、適切な対応を図っております。
当社グループは、事業活動を通して、お客様や取引先の個人情報及び機密情報を入手することがあり、また、営業上・技術上の機密情報を保有しています。当社グループでは、これらの情報についての厳格な管理体制を構築し、情報の取扱い等に関する規程類の整備・充実や従業員等への周知・徹底を図るなど、情報セキュリティを強化しております。
しかしながら、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウィルスの侵入等により、万一これら情報が流出した場合や重要データの破壊、改ざん、システム停止等が生じた場合には、当社グループの信用低下や財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業が賃上げに努めてはいるものの、インフレによる物価の上昇や、税金・社会保険料の増加等による可処分所得いわゆる手取りの減少、また人口減とそれに伴う労働力不足に加え、アメリカの新政権の経済政策の影響等により、景気の先行きには注視が必要な状況にあります。
食品業界におきましては、経費や人件費の高騰の影響等により原材料価格や製商品価格の値上げが続いております。
当社グループとしては、持続的成長と競争力向上のために、以下のような取り組みを行ってまいりました。
まず、中期的な成長戦略として、主要な事業セグメントである液卵事業において、2030年度の液卵の販売数量8万トン、業界でのシェア20%を目標に、製品の供給能力の増大のための積極的な設備投資を進めました。
さらに、人的資本経営の強化のために、初任給を大幅に上げること等による次世代を担う人材の採用の促進、高い職務能力を持った多様な人材の育成、継続的なベースアップや健康経営優良法人の取得を始めとした従業員エンゲージメントの向上等を行ってまいりました。
このような状況の中、当社グループの当連結会計年度の連結売上高につきましては、液卵事業において、液卵の販売数量が過去最高となったことや、2024年7月にHORIZON FARMS株式会社の全株式を取得したことに伴い同社の売上高を新たに連結したこと等により、前連結会計年度に比べ4.3%増の25,557百万円となり過去最高となりました。
損益につきましては、上述のとおり液卵事業において液卵の販売数量が過去最高になったことや、調味料事業の損益が堅調だったこと、また、HORIZON FARMS株式会社の損益を新たに連結したこと等により、連結営業利益は同69.8%増の2,998百万円、連結経常利益は同68.5%増の3,049百万円となり、いずれも11期連続の増益で最高益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、同31.6%増の2,102百万円となり、6期連続の増益で最高益となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
なお、2024年7月にHORIZON FARMS株式会社の全株式を取得したことに伴い、当連結会計年度より当社グループ内の業績管理区分を一部見直し、報告セグメントを従来の「液卵関連事業」、「調味料関連事業」及び「その他」から、「液卵事業」、「調味料事業」及び「オーガニックEC事業」に変更するとともに、従来「その他」に含めていた「太陽光発電事業」について、セグメントとして識別する意義が乏しくなったため、「液卵事業」及び「調味料事業」に分割して計上する変更を行っております。なお、前連結会計年度との比較については、前連結会計年度の数値を新たな報告セグメントに組み替えて算出し比較しております。
液卵事業
当セグメントにおける主要な関係会社は、イフジ産業株式会社であります。
鶏卵業界では、2024年4月から7月にかけて、補助金により鶏卵生産の減産を促す成鶏更新空舎延長事業が発動されました。その後、夏の猛暑による鶏卵生産量の減少に加え、秋以降新たに岩手県、千葉県、愛知県を中心に鳥インフルエンザが多発し、鶏卵の極度の不足により鶏卵相場が上昇いたしました。
当セグメントにおきましては、鶏卵相場に連動する商品が多いことから、売上高及び仕入高が鶏卵相場に連動する傾向にあります。そのため、販売単価と仕入単価の差益を一定額以上確保すること及び販売数量を確保することにより利益が最大になるように努めております。
当セグメントにおける売上の指標である液卵の販売数量につきましては、前連結会計年度に比べ11.8%増の6.5万トンとなり過去最高となりました。これは主に、2022年度に多発した鳥インフルエンザの影響に伴い減少していた製パンメーカー向けや菓子メーカー向けの液卵販売数量が回復したことや、液卵の供給不足時に当社が安定供給に尽力したことが評価され当社の液卵販売数量が増加したこと、また新規顧客との取引が増加したこと等によるものであります。
売上高につきましては、上期において鶏卵相場(全農東京M基準値)の平均が低下し連動する販売単価も低下した一方で、前述のとおり販売数量が過去最高となったことや、下期において人件費や各種経費等の上昇に対応すべく販売価格の改定を進めたこと等により、液卵売上高は前連結会計年度に比べ0.3%増の22,031百万円となりました。また、加工品売上高は、販売価格の改定や卵加工品の販売の増加等により同39.5%増の1,365百万円、その他売上高は鶏卵販売の減少等により同19.8%減の278百万円となりました。この結果、当セグメント合計の売上高は同1.6%増の23,675百万円となり、4期連続の増収で過去最高となりました。
セグメント利益につきましては、工場の増産体制構築のための設備投資に付随して修繕費が増加したものの、販売価格の改定を行ったこと等により、同71.5%増の2,908百万円となり、11期連続の増益で最高益となりました。
調味料事業
当セグメントにおける主要な関係会社は、日本化工食品株式会社であります。
当セグメントの売上高につきましては、当社グループ内での委託加工販売が減少したこと等により、前連結会計年度に比べ9.3%減の1,343百万円となりました。
セグメント利益につきましては、販売価格の改定を進めたことや健康食品等の高付加価値商品向けの販売が増加したこと、また、製販一体による経営の効率化を図るため、本社機能を千葉工場に統合したことに伴う地代家賃の減少等により同29.8%増の91百万円となり2期連続の増益となりました。
オーガニックEC事業
当セグメントにおける主要な関係会社は、HORIZON FARMS株式会社であります。
当セグメントの売上高につきましては、会社(ブランド)の認知の広がりに伴い顧客数が増加したことに加え、冷凍フルーツやスープパウダーの販売が好調だったこと等により、売上高は642百万円となり、セグメント利益につきましては、のれんの償却額47百万円の計上等により39百万円となりました。
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は16,749百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,112百万円増加しました。
流動資産は9,967百万円となり、前連結会計年度末に比べ537百万円増加しました。主な要因は、現金及び預金の増加904百万円、売掛金の増加630百万円、商品及び製品の減少975百万円等によるものであります。
固定資産は6,782百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,574百万円増加しました。主な要因は、有形固定資産における建物及び構築物の増加182百万円、機械装置及び運搬具の増加603百万円、建設仮勘定の増加413百万円、無形固定資産におけるのれんの計上456百万円等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は5,588百万円となり、前連結会計年度末に比べ644百万円増加しました。
流動負債は4,549百万円となり、前連結会計年度末に比べ23百万円増加しました。主な要因は、短期借入金の減少1,036百万円、未払法人税等の増加411百万円、流動負債のその他に含まれる未払金の増加328百万円及び未払消費税等の増加234百万円等によるものであります。
固定負債は1,038百万円となり、前連結会計年度末に比べ621百万円増加しました。主な要因は、長期借入金の増加582百万円等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は11,161百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,467百万円増加しました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益2,102百万円の計上及び配当金397百万円の支払により利益剰余金が1,705百万円増加したこと等によるものであります。
この結果、自己資本比率は66.6%となりました。
当連結会計年度末における「現金及び現金同等物の期末残高」は、前連結会計年度末に比べ880百万円増加し4,014百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により得られた資金は、前連結会計年度に比べ4,324百万円増加し4,031百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上3,028百万円、棚卸資産の減少額935百万円、未払消費税等の増加額230百万円等の資金の増加が、売上債権の増加額475百万円、法人税等の支払い額427百万円による資金の減少を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により使用された資金は、前連結会計年度に比べ1,696百万円増加し1,869百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,412百万円や連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出425百万円等の資金の減少等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により使用された資金は、前連結会計年度に比べ1,749百万円増加し1,281百万円となりました。これは主に、短期借入金の純減少額1,073百万円、長期借入金の返済による支出527百万円、配当金の支払額397百万円、自己株式の取得による支出255百万円等による資金の減少が、長期借入金の借入による収入990百万円等の資金の増加を上回ったことによるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格で表示しております。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、実際仕入額で表示しております。
当社グループの製品については、概ね受注生産でありますが、生産と販売の関連において製品の回転が早く、月末(または期末)における受注残高が極めて少ないため、受注実績の記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(売上高)
液卵事業につきましては、液卵売上高は、前連結会計年度に比べ0.3%増の22,031百万円となりました。これは主に、上期において鶏卵相場(全農東京M基準値)の平均が低下し連動する販売単価も低下した一方で、前述のとおり販売数量が過去最高となったことや、下期において人件費や各種経費等の上昇に対応すべく販売価格の改定を進めたこと等によるものであります。なお、売上の指標である販売数量につきましては、2022年度に多発した鳥インフルエンザの影響に伴い減少していた製パンメーカー向けや菓子メーカー向けの液卵販売数量が回復したことや、液卵の供給不足時に当社が安定供給に尽力したことが評価され当社の液卵販売数量が増加したこと、また新規顧客との取引が増加したこと等により、前連結会計年度に比べ11.8%増の6.5万トンとなり過去最高となりました。加工品売上高は、販売価格の改定や卵加工品の販売の増加等により同39.5%増の1,365百万円、その他売上高は鶏卵販売の減少等により同19.8%減の278百万円となりました。この結果、当セグメント合計の売上高は同1.6%増の23,675百万円となりました。
調味料事業につきましては、当社グループ内での委託加工販売が減少したこと等により、前連結会計年度に比べ9.3%減の1,343百万円となりました。
オーガニックEC事業の売上高につきましては642百万円となりました。これは主に、2024年7月にHORIZON FARMS株式会社の全株式を取得したことに伴い、同社の売上高を新たに連結するとともに新たな事業セグメントとしており、会社(ブランド)の認知の広がりに伴い顧客数が増加したことに加え、冷凍フルーツやスープパウダーの販売が好調だったこと等によるものであります。
この結果、セグメント間の内部売上高を除いた連結売上高は前連結会計年度に比べ4.3%増の25,557百万円となり、過去最高となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上原価につきましては、主に液卵事業において、工場の増産体制構築のための設備投資に付随して修繕費や減価償却費が増加したものの、材料費が減少したため、前連結会計年度に比べ4.1%減の19,488百万円となり、売上高が過去最高となったことにより、売上総利益は同44.9%増の6,069百万円となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、液卵事業における販売数量の増加に伴う運賃の増加や、次世代を担う人材採用の促進のための初任給の大幅な引上げや従業員エンゲージメントの向上のための大幅な賃上げにより給料手当が増加したこと等により、前連結会計年度に比べ26.8%増の3,071百万円となりました。
この結果、営業利益は同69.8%増の2,998百万円となり、11期連続で最高益を更新しました。
(経常利益)
営業外収益は、受取賃貸料18百万円や受取保険金14百万円の計上等により69百万円となりました。営業外費用は、支払利息18百万円の計上となりました。
この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ68.5%増の3,049百万円となり、11期連続の増益で最高益を更新しました。また、経常利益率は11.9%となりました。
(特別損益)
特別損失には、固定資産除売却損20百万円を計上しました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ31.6%増の2,102百万円となり、6期連続で最高益を更新しました。
当社グループの資金需要としましては、運転資金、設備投資、借入金の返済及び利息の支払、税金及び配当金の支払等であります。資金の調達手段としましては、主に、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入れにより調達しております。また、運転資金の効率的な調達のため、主要取引銀行4行と当座貸越契約を締結することで手元流動性を確保しており、金融機関との間で総額5,450百万円の契約を締結しております。本契約に基づく当連結会計年度末の借入実行残高は600百万円であります。この他、納税資金や配当資金等を短期借入金で調達しております。
当連結会計年度における資金調達の状況につきましては、税金等調整前当期純利益の計上3,028百万円、棚卸資産の減少額935百万円、未払消費税等の増加額230百万円等の資金の増加が、売上債権の増加額475百万円、法人税等の支払い額427百万円による資金の減少を上回ったことにより、営業活動によるキャッシュ・フローは、4,031百万円のキャッシュ・インとなりました。
また、当連結会計年度において、M&Aのための資金として長期借入金600百万円、液卵事業の液卵製造設備への設備投資を目的として長期借入金390百万円の借入れを行いました。
翌期につきましては、運転資金や設備投資等については、営業活動によるキャッシュ・フローや当座貸越契約による調達、また長期借入金でまかなう予定であります。
なお、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって採用している会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。連結財務諸表の作成においては、過去の実績やその時点での合理的と考えられる情報に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、見積りには不確実性が伴い、実際の結果とは異なる場合があります。
当社グループは、特に以下の会計上の見積りが当社グループの連結財務諸表に重要な影響を与えるものと考えております。
当社グループは、棚卸資産の評価について、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しております。 収益性の低下を見積るにあたり、商品及び製品は正味売却価額と、原材料は再調達原価とそれぞれの取得原価を比較して、下落部分について当連結会計年度の費用として計上しております。見積りにあたっては慎重に検討しておりますが、将来の不確実な市場環境等の影響を受け、収益性の低下の見積りの見直しが必要となった場合には、棚卸資産評価損の計上が必要となる可能性があります。
該当事項はありません。
当連結会計年度の研究開発活動は、様々なお客様の用途に合った製品の研究開発に注力いたしました。
当連結会計年度における研究開発費の総額は
(液卵事業)
液卵関連事業の研究開発活動は、液卵メーカーとしての製品技術や製品レベルの向上を図り、顧客ニーズに応じた製品の開発を行うための卵の特性の研究などを行っております。
研究開発体制は、関東事業部の研究開発担当と製造統轄部を中心として行っており、関東事業部研究開発担当2名と製造統轄部17名の社員計19名及びそれを補佐するパート従業員数名で、大学や他の研究機関等との連携を強化し、共同開発に向けた活動を本格的に始めております。
具体的な研究開発活動は、安全・安心の面で殺菌液卵の需要が増えている中、未殺菌液卵と同等の起泡力を有する殺菌液卵の開発や顧客の用途に合った液卵等の研究開発に注力しております。その中で、殺菌製菓用卵白や液卵をベースとした新たな卵加工品について製品化が実現し、数社の顧客へ販売しております。
また、お客様の要望が強いものに的を絞った液卵の開発や品質改良に取り組んでおります。さらに、大学や他の研究機関等との連携を図り、鶏卵の新規用途の可能性や、卵殻等の廃棄物の有効利用のための研究を行ってまいります。
当連結会計年度における当事業の研究開発費の総額は
(調味料事業)
調味料関連事業の研究開発体制は、研究開発部3名で行っており、粉末状態のものを高温で加熱処理することが可能な特殊な加工設備を有し、この技術を活用して商品開発を進めております。また、造粒加工や粉体混合等、当社グループが持つ各生産設備を個別に完結させることなく連係することで、単一の生産設備では成し得ない複合的な商品開発も進めており、原料の選定や配合を変えることで無数の商品開発が可能になります。これにより、昨今細分化されている複雑な味の要求にもフレキシブルに対応しております。
これに加え、お客様の様々な要望に応えるために、開発担当者と営業担当者が密に連携し、お客様の意図や嗜好性を把握しながら商品開発を進めております。
当連結会計年度における当事業の研究開発費の総額は
(オーガニックEC事業)
該当事項はありません。