第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループ経営基本方針

・「おいしさ」と「健康」を追い続けます

・感謝してお客様を大切にします

・新しい食文化を提案します

・会社の発展と社員の豊かな暮らしを実現します

この経営基本方針のもと、創業以来、内食・中食・外食すべての食のシーンにおいて、お客様に満足していただけるよう、新商品や店舗サービスの開発に積極的に取り組んでいます。今後も商品事業及び店舗事業を併せ持つ強みを活かし、「おいしさ」と「健康」にこだわり続けるとともに、日本はもとより海外でも愛される味を追求して豊かな食文化創りに貢献してまいります。

(2) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、中長期的な企業価値向上、持続的な成長に向け、目標とする経営指標として、営業利益、当期利益に重きを置き、小さくても歩みを止めない「年輪経営」で、着実に緩やかな成長を図るとともに、継続的に増益を達成してまいります。

また、価値ある企業として存続し続けるため、お客様、お取引先様、社員、社会の「“未来へ”しあわせ、つながる」企業を目指してまいります。

創業当初より大事にしてきた「ファンを大切にする」という理念のもと、当社の強みを伸ばし、ブランド価値を高めていくため、ファンベース経営のさらなる強化、魅力のある商品開発、価値訴求に重点を置いた販売体制の構築を行い、商品事業では、ドレッシングカテゴリーを収益基盤とし、成長ドライバーであるパスタカテゴリー、冷凍食品カテゴリー、スープカテゴリーのマーケティング、拡販強化を行ってまいります。店舗事業では、顧客満足度のさらなる向上と黒字定着に向けた収益構造改革を継続してまいります。さらに、魅力をダイレクトに伝えられる体験型ブランドマーケティング戦略として、レストランや直販店で直接商品を手にとっていただく「レストラン・直販店マーケティング」、お料理教室やさまざまな地域でのイベントを通して商品のおいしさを知っていただく「イベントマーケティング」、発信機能強化として未出店地域を中心に年2~3店の出店を行う「エリアマーケティング」を強化してまいります。

(3) 経営環境及び対処すべき課題

当社を取り巻く経営環境は、人口の減少や少子高齢化、ライフスタイルや価値観の多様性、食材価格の高騰、新たな感染症の拡大や、地球環境問題等、さまざまな変化が急速に進んでおり、これらの変化にスピーディーかつ臨機応変に対応することが求められます。

このような経営環境の中、当社グループは、以下の課題に取り組んでまいります。

①ブランド価値のさらなる向上と持続的な成長

中長期的な企業価値の向上、持続的な成長に向け、目標とする経営指標として、営業利益、当期利益に重きをおき、ゆるやかながらも着実な「年輪経営」で成長を図るとともに、継続的な増益を目指してまいります。

そのために、商品事業と店舗事業を併せ持つ当社の強みを最大限に発揮し、シェフならではの魅力ある商品の開発と価値訴求に重点をおいた販売戦略で、お客様からの支持獲得を図ってまいります。商品事業では、ドレッシングカテゴリーを主な収益基盤とし、パスタカテゴリーではレストラン発の本格派のこだわり商品であることを他社との差別化のポイントとし、ライフスタイルごとに幅広いニーズにお応えする商品群を取り揃えてまいります。

さらに、育成カテゴリーの冷凍食品やスープに加え、レストランや商品特性を活かした課題解決型の営業提案で、デリカフードサービス事業を推進し、経営資源の総合力を結集し、業容拡大を図ってまいります。

店舗事業では、収益構造改革を継続し、年2~3店舗のペースで新規出店を行い、ブランド発信基地としてのエリアマーケティング強化を図ってまいります。

海外では、北米をはじめ、アジアや欧州での市場開拓を図ってまいります。

直近の課題では、現工場は事業拡大の過程で3箇所に分散しており、非効率であることに加え、生産能力も限界を迎えつつあります。そこで、これらのボトルネックを解消するため、2026年春を竣工予定とする新工場建設を決定し、新工場への移転・集約を図ることで、生産体制の合理化と製造原価の低減を図り、業容拡大に向けて弾みをつける計画です。さらに、お客様やファン、地域の皆様が集う場所となるよう、ピエトロの歴史や味づくりのこだわりが分かる見学コースの設置のほか、レストラン、ショップを併設し、地域からも愛される新工場を目指します。

 

②人を大切にする経営への取り組み

企業価値を継続的に高めるためには、お客様や社会と同じように「社員のしあわせ」の実現が不可欠であり、社員一人ひとりが自らの成長を実感し、活き活きと働くことができる風土と一体感の醸成が、企業活力の向上に資するものと考えています。

「会社の総合力は社員の力の総和」、「会社の成長は社員の成長の総和」と考え、一人ひとりが長く活躍できるよう様々な研修や人事制度による成長機会の提供を通じて、物心両面の豊かさを実感できるよう取り組んでまいります。また、性別や採用態様にとらわれない、人財の育成や登用を続けてまいります。

③環境負荷低減と地域社会への取り組み

気候変動をはじめとした環境問題を重大な課題と認識し、2025年までに自社製品の容器を100%環境配慮型に切り替えることを目標に掲げ、本年この目標を達成する予定です。次いで、2026年度を目標に自社施設(本社ビル、工場、郊外型店舗)での使用電力について、太陽光発電を含めた100%再生可能エネルギーへの転換を目指してまいります。

また、2030年までに「サステナブルなミライに向けて」を合言葉として、さらなる環境配慮とより使いやすい容器・包材の推進とともに、地域や地元企業との共同の取り組みによる地産地消でのフードマイレージの削減やフードロス対策、子どもたちの明るい未来を応援するための食育活動等、物理的な豊かさだけではない、心の豊かさにもスポットを当てた地域や社会のしあわせの実現に取り組んでまいります。

以上、創業の経営理念を継承しつつ、「しあわせ、つながる」というビジョンを掲げ、当社グループを挙げて、業績並びに企業価値の向上に邁進していく所存でございます。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社は、環境負荷の低減、社会との共生、社員の働きがい向上に取り組むことは、継続的に企業価値を高めるために不可欠の要素であるだけでなく、企業として存続するための大前提であると考えています。

特に、食に携わる企業の責任として、フードロス削減等「たとえ小さな一歩でも、できることからコツコツと」の想いで、様々な取り組みを進めてまいりました。

これからも、お客様、働く私たち、社会の「しあわせ、つながる」経営により、事業を通じた社会課題の解決と持続可能な社会の実現を目指してまいります。

 

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(1) ガバナンスとリスク管理体制

① ガバナンス

当社では、株主総会で委任された事項及び法令や定款に定める事項並びに経営の基本方針やサステナビリティ等の重要課題を決定する機関として取締役会を原則毎月開催しています。また、迅速な業務執行を実現するため、社内取締役が出席する経営会議を毎月開催しています。常勤監査役は両会議に出席し、監査役会において事業活動が法令並びに定款及び社内規程に基づき適切に行われているかを確認しています。また、内部監査室が業務監査を行い、定款及び社内規程の実効性及び有効性を確認し、取締役会及び監査役会に報告する体制をとっています。

② リスク管理

法令遵守、環境、災害、品質、情報セキュリティ等に係る事業リスクについては、それぞれの担当部署にて内規・ガイドライン等の制定、研修の実施、マニュアルの作成・配布等を実施し、内部監査室がこれらの適切性・有効性を確認しています。サステナビリティを含む組織横断的なリスクについては、リスク管理委員会において特定、評価、管理を行っています。リスク管理委員会は、代表取締役社長が任命するリスク管理委員長及び副委員長を中心に各事業部門をはじめリスク関係部署のメンバーによって構成され、各種マニュアルの整備のほか、各部門において内在するリスクの把握と分析を行い、発生防止の対策並びに発生時における損害の極小化を図るための教育・訓練を行っております。

※体制図については、本報告書36頁に記載しております。

(2) 戦略

① 人財

当社は、ドレッシングをはじめとする商品事業とレストランを中心とする店舗事業の2つの事業体を有しております。商品事業では製造資本、知的資本を持つ食品メーカーとしての機能を、店舗事業では社会関係資本、知的資本を持つ外食店舗及び物販店舗としての機能を持ち、それらを融合して価値創造を行うユニークな事業体となっておりますが、価値創造を行う根源は人であり、当社において企業価値を継続的に高めるためには、お客様と社会と同じように「働く仲間のしあわせ」が必要と考えており、社員一人ひとりの個性を大切にしながら、成長を実感することでイキイキと働くことができるオーケストラ経営を目指した環境づくりを最重点課題としています。

「会社の総合力は社員の力の総和」、「会社の成長は社員の成長の総和」という考えのもと、以下の人財育成及び社内環境整備に関する方針を掲げております。

 

ⅰ. 教育方針

社員研修等を通して理念や会社の目指す姿を共有しながら顧客志向、人間力の形成等、共に学ぶ姿勢をもって視野を広げることで、環境の変化に対応しながら課題解決や新しい挑戦ができる自律人財の育成に取り組んでいます。また、未来への事業継承を実現できるよう、次世代リーダー育成を意識した研修や組織横断型のプロジェクト活動にも注力し、課題解決をしながら若手リーダー育成及び全社の一体感づくり、将来的な幹部育成につながる仕組みづくりにも注力しております。

(2024年度研修プログラム)

階層別:部門長、リーダー育成、入社年次別フォローアップ、新入社員、キャリア採用者等

その他:プロジェクトリーダー、メンター、店長、店舗パートナー、ほめ育、PCスキルアップ、

  品質保証勉強会、社内インターンシップ、読書会、のこ野菜塾、メンタルヘルスセミナー等

研修費用 31,904千円、参加人数 189名(全社員の62.0%)

(2024年度プロジェクト活動)計15種

全 社:Mottainai、SDGs、モチベーションアップ、健康推進、能古島、の5種

部門別:レストラン(クオリティ、ホスピタリティ、アトモスフィア、ストア、デジタル)5種

  製造部門(新工場、FactoryPark、生産効率、設備保全、ありがとう)5種

 

ⅱ. 採用方針

当社は着実に成長する年輪経営を掲げており、採用方針においても、無理な事業計画による採用はせず、定期採用をベースとしてキャリア採用及び障がい者採用を着実に行い、多様性の実現を進めております。その過程で定期採用者には着実な成長を求め、キャリア採用者には経営理念とビジョンの共有とともに、即戦力として社内に新しい風を起こす役割を期待しながら、社内バランスを取り、会社の成長に向けた変革並びに進化を図っております。

(2024年度採用者数)

新卒採用   :14名/全社 138名(全社員の45.2%)

キャリア採用 :25名/全社 167名(全社員の54.8%)

  全社員のうち障がい者13.5名(雇用率2.91%) 法定雇用率2.5%

 

ⅲ. 定着方針

優秀な人財の長期的な確保に向けて、会社の目指す姿につながる行動や成果を評価する風土形成として、全社の年間表彰及び事業部ごとの月間優秀賞など表彰制度を導入しています。その他、オフィスや工場の継続的なリノベーションによる働く環境の整備、リフレッシュ休暇導入による所定休日数の増加、社員が働き方を選択できる制度や人生100年時代をサポートする制度等の具現化を進めております。

(表彰制度)

年間表彰:MVP1名、優秀社員賞3~4名、部門賞4名、優秀新人賞2~4名、特別賞2~3組

月間表彰:商品事業、店舗事業、製造部門、オフィス部門から毎月1名選出、その他売上記録更新表彰等

(休暇制度)

2024年度 有給休暇取得率70.3%、リフレッシュ休暇取得率94.8%

(働く環境整備)

オフィス環境(直近5年):[改修]本社(4回)、大阪支店、古賀工場

             [移転]東京オフィス、中部支店

 

新卒採用定着率(3年)91.1%、全社定着率92.4%

 

※その他の取り組みは、当社ウェブサイト https://www.pietro.co.jp/company/csr/hatarakigai/ をご覧ください。

以上の取り組み等が評価され、人を大切にする経営学会が主催する第13回「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」の審査委員会特別賞を2023年3月17日に受賞しました。

 

② 環境

当社の事業は玉ねぎ等の農作物なしには成立せず、これらに影響を与えうる気候変動をはじめとする環境問題を重要な課題と認識し、「地球の健康に貢献」すべく、環境負荷の低減に向けて以下の3つの取り組みを勧めております。

ⅰ. CO2削減

自社商品に使用する容器・包材を環境配慮型に切り替え、フードマイレージを意識した地産地消、オフィスのペーパーレスや照明のLED化

ⅱ. 電力の再生可能エネルギー化

自社施設における使用電力を再生可能エネルギーに切り替え

ⅲ. パートナーシップによる課題解決

環境課題解決が期待できるベンチャー発のソリューション等を積極的に取り入れ、導入を社外に発信、紹介することを通じて、取り組みの輪を広げ効果的な課題解決に繋げるきっかけづくり

 

※その他の取り組みは、当社ウェブサイト https://www.pietro.co.jp/company/csr/kankyo/ をご覧ください。

 

(3) 指標及び目標

すべての人が生きがいを感じ、多様性が尊重される持続的な社会の実現のため、当社においては一人ひとりの強みが発揮できる組織づくり、人財育成を推進しており、その中でも商品購入のお客様や店舗に来店されるお客様の女性の割合が多いことから、女性リーダーの育成は当社の成長に不可欠と考え、数値目標に向けて注力しております。また「働く仲間のしあわせ」を大切に考え、社員の声を聞きながら制度の導入や見直しを進めており、男性の育休制度導入の際には、説明会開催と個別対応などで理解、浸透を図り、取得率80%(ただし、年度を超えて取得した者を含む)となっています。このような取り組みが社員の定着率向上に繋がっているものと考えております。

女性管理職比率: 実績 22.7/目標25.0

女性店長比率 : 実績 20.6%

男性育休取得率: 実績 66.7

男女間賃金格差: 実績 73.2

 

また、環境負荷低減については以下の目標を掲げております。

2025年末までに自社商品の容器・包材を100%環境配慮型製品に切り替え

2026年末までに自社施設の使用電力を100%再生可能エネルギー化

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスクの存在を認識した上で、その発生を未然に防ぎ、かつ、万一発生した場合でも適切に対処するよう努める所存です。なお、文中には将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

内的要因

(1) 主力製品への依存について

商品事業については、非加熱処理による生タイプドレッシングのカテゴリーを築いてきた「ピエトロドレッシング」への依存度が高く、当連結会計年度における商品事業売上高の51.7%を占めています。その製造方法については特許権を保有していないため、競合先の参入の可能性があり、類似商品の販売や低価格商品の販売が行われることにより、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。この高依存体質を脱却し、さらなる収益力の拡大を目指すため、第二の柱であるパスタカテゴリーの強化、成長カテゴリーである冷凍食品、スープ等の育成を行ってまいります。

(2) 食品の安全性・安全管理について

当社グループでは、事業の基盤となる食の「安全と安心」を確保するため、原材料仕入先に対して、毎年「原材料規格書」の提出を求め、さらに納品の都度、品質管理部署においてチェックを行っています。また、容器包材についても、仕入先に「規格書」の提出を求めてチェックを行い、万全の体制で製造に臨んでいます。各店舗では食品衛生管理者を管轄保健所に届け出ています。その上で、各店舗における衛生管理の強化に取り組んでおり、食中毒等の重大事故の未然防止に努めております。しかしながら、万一、食中毒等の衛生問題や表示ミス等による商品事故が発生した場合、企業イメージの失墜や損害賠償金の支払い等によって、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 生産拠点が集中していることについて

当社の製品及びレストランで使用しているドレッシング等は、古賀工場(福岡県古賀市)で生産しており、火災及び天災等の事故により当工場の操業が停止した場合、工場の復旧、あるいは代替的な生産拠点を探し、生産ラインを構築するまでの相当期間、生産供給能力が止まってしまう可能性があります。

火災及び天災等に備え、利益保険等を付保していますが、その被害の全てが保険により補償されるわけではありません。また、代替的生産拠点の構築が予定通り進まない場合、経営成績と財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(4) 出店政策について

今後も成長力維持のための新規業態も含めた出店を考えていますが、希望する立地条件に適した良好な場所への適時の出店が常に行えるという保証はなく、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 個人情報の保護について

当社グループにおいて、お客様、従業員並びに株主の皆様に関する個人情報につきましては、適正に管理し、個人情報の漏洩防止に努めていますが、万一、個人情報が漏洩した場合、社会的信用の失墜、損害賠償金の支払い等により、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

外的要因

(1) 市場環境について

商品事業では、各種ドレッシング・ソース等の食品の製造販売を行っておりますが、人口の減少や少子高齢化等を背景とし、長期的な国内市場の縮小のリスクがあります。また、店舗事業では、パスタ専門店及びファストフード店の直営店及びFC店、物販商品を取り扱う直販店の店舗展開を行っていますが、成熟市場の中で、当社グループにおいてもその影響を受けています。当社はこのような市場において、商品力のさらなる強化、レストラン店舗でのスタッフサービス強化等、業績の伸長を図ってまいりますが、今後、更に競争が激化した場合、経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 原材料仕入価格及びエネルギー価格の高騰について

当社の製品の原材料の一部には、天候不順やさまざまな疫病の流行、国際的な紛争等により、原油価格・農産物相場・為替相場の影響を受けるものがあります。また、電気やガスといったエネルギー価格も高騰する可能性があります。当社グループでは計画的な購買によって原材料等の安定的な調達に努めており、電気やガスといったエネルギーは供給会社との価格交渉を行うとともに、省エネルギー化にも取り組んでおり、費用抑制に努めております。また、価格改定の実施や生産性向上等により収益性向上に努めておりますが、それらの価格が著しく上昇した場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

食用油については、油脂、大豆及び菜種等への需給逼迫や円安の影響により2021年度から2022年度にかけて高騰しました。高騰を受け、価格改定の実施や生産性向上等による収益性向上を図っておりますが、今後、更に高騰した場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 店舗の賃借物件への依存について

当社グループは、店舗の土地建物のほとんどを賃借しており、これらの賃借料については、賃借期間中、固定額を支払う契約と入居店舗の売上により変動するものがあります。なお、これら物件の賃借期間はまちまちであり、当社グループの事情で自由に契約更新や解約ができないものがあります。また、新規出店の際には対象物件の権利関係等の確認を十分に行っていますが、不動産賃貸借契約の開始に当たり、賃貸人に対して預託金を差し入れており、倒産その他賃貸人に生じた事由により預託金の全部又は一部が回収できなくなる可能性があります。その場合、経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 情報管理、システムのリスクについて

当社グループは、開発・生産・販売・物流等の情報について適切なシステム管理体制を目指し運営しています。また、重要な情報の紛失、誤用、改ざん等を防止するため、システムを含め情報管理に対して万全なセキュリティ対策を目指しています。しかし、情報への不正アクセスや予測不能のウイルスの侵入、SNS上でのコメントその他火災や天災等不測事態の発生により、社会に対する信用低下やシステムが一定期間使用できなくなった場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

その他

(1) 天候の影響について

主力製品のドレッシングは、主にご家庭での生野菜の「サラダ」にかけてご利用いただいていますが、猛暑・台風・厳冬等の天候要因により、野菜の品薄・高騰が起こった場合、消費が減退し、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 固定資産の減損について

当社グループは、事業の用に供する不動産をはじめとする様々な資産を所有しております。これらの資産は時価の下落や収益性の低下、店舗立地環境の変化等により不採算となり、収益改善の見通しが困難となった場合、固定資産減損損失が発生し、経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 法的規制について

当社グループは、「食品衛生法」「食品リサイクル法」「容器包装リサイクル法」等の法的規制を受けています。これらの法的規制が強化された場合は、法的規制に対応するための追加費用が発生することにより、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 感染症拡大のリスク

様々な感染症の世界的な感染拡大により、商品事業では原材料調達の遅延や生産の停滞等のリスクが懸念されますが、食品メーカーとして安定的な生産・供給に向けて取り組んでまいります。店舗事業におきましては、外出自粛などによる来客数の減少等のリスクが懸念されますが、国や自治体の指示・ガイドラインに従い徹底的な衛生管理を行った店舗運営を行ってまいります。本社等のオフィス業務につきましても、リモート勤務の活用を継続してまいります。しかしながら、新たな感染症が拡大した場合には、当社グループの業績に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 新工場建設に係る建設資材、生産設備等の価格高騰による資金計画の見直し、建設スケジュールの遅延及び設備投資の効果の発現について

新工場建設や生産設備の設置には、長期の準備期間が必要であります。そのため、当該準備期間に建設資材、生産設備等の価格が高騰し、当初の資金計画の見直しが必要となる事態が考えられます。また、当該準備期間に建設資材の調達遅れや自然災害、感染症等の影響で、新工場の物件の引き渡しの遅れや、それに伴う生産設備の設置遅れが発生し、建設スケジュールが当初のスケジュールから遅延する事態が考えられます。その場合には、計画通りの稼働開始ができず、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは収益の維持・向上を目指し、安定供給体制の構築及び業務効率の改善等の効果やその発現までの期間を勘案した設備投資計画に基づいて設備投資を実行しておりますが、計画通りの設備投資の効果が発現されない場合、経営成績と財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(6) 資金調達のリスク

当社グループは設備投資計画に基づき、必要資金を営業活動から得られるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入、株式の発行等による資本市場からの資金調達により手当てをしております。また、新工場建設にあたっては、株式発行に加えて、金融機関からの借入により必要資金の手当てを行う予定であります。そのため、一定程度の支払金利の増大が見込まれております。資金調達手段の多様化や固定金利での借入等により資金調達リスクの低減に努めておりますが、国内外の経済情勢により、当社グループの営業活動から得られるキャッシュ・フローの減少や金融機関の貸出姿勢の悪化、金利上昇による支払利息の増大等により経営成績と財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの借入金のうち、シンジケートローン形式による融資契約及び同形式によるコミットメントライン契約に基づく借入金については、財務制限条項が付されております。これに抵触した場合、貸付人の請求があれば本契約上の期限の利益を失うため、ただちに債務の弁済をするための資金の確保が必要となり、当社グループの財政状況及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。

(7) 人財獲得のリスク

当社グループは、着実に成長する年輪経営を掲げており、無理な事業計画による採用はせず、優秀な人財の長期的な確保に向けて、魅力ある風土形成を進めておりますが、店舗及び製造現場においては多数のパート・アルバイト社員を雇用しており、日本国内において少子高齢化による労働人口の減少が進んでおりますので、今後、人財獲得競争の激化が一層進んでいくことが想定され、正社員を含めて適切な人財を確保できなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

① 経営成績の状況

当連結会計年度(2024年4月1日から2025年3月31日)におけるわが国経済は、雇用や所得環境の改善、インバウンド需要の増加等により、緩やかな回復基調で推移する一方、不安定な国際情勢や、米国新政権の政策動向、物価の上昇等により、先行き不透明な状況が続いています。

食品業界では原材料費の高騰等に伴う様々な商品の値上げ拡大による影響が大きく、消費者の節約志向が高まる一方で、外食業界におきましては、人流の活発化による需要の回復は見られますが、原材料やエネルギー価格の上昇、労働力不足による人件費上昇等、依然として経営環境は厳しいものとなっています。

このような状況のもと、当社グループは、「ファンを大切にする」という理念のもと、ファンベース経営のさらなる強化、商品事業、店舗事業を併せ持つ強みを最大限に追求したマーケティングの強化を行いました。

売上面では、商品事業は、商品カテゴリー別の施策強化に加え、商品育成、ブランド力の向上に取り組みました。また、店舗事業は、顧客満足を追求した施策や新規出店効果等もあり、グループ全体で増収となりました。

一方、利益面では、店舗事業は、既存店、新店ともに売上が好調に推移したことと、原価率改善や効率的な店舗運営に努めたこと等により増益となりましたが、商品事業では、利益貢献度の高い主力ドレッシングが野菜価格高騰等の影響を受け、販売本数が前期並みにとどまったことによるカテゴリー別売上構成変動に伴う粗利率の低下に加え、マーケティング強化による販促費用の増加や物流コストの上昇等により減益となりました。

その他、全社的な販売費及び一般管理費においても、人財投資による人件費の増加や、2023年12月に実施した増資に伴い、株主数が増えたことによる株式関連費用の増加等がありました。

また、次期以降の収益性改善を図るため、直販店舗等の減損損失52百万円、店舗閉鎖損失20百万円を特別損失として計上した他、海外子会社の清算が完了したことに伴い、繰延税金資産の取り崩しを行ない、法人税等調整額を70百万円計上いたしました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は111億35百万円(前期比10.3%増)、営業利益は1億77百万円(前期比18.9%減)、経常利益は1億60百万円(前期比20.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は57百万円(前期比47.3%減)となりました。

セグメント別の経営成績は次のとおりです。

[商品事業]

売上高は66億74百万円(前期比10.0%増)、セグメント利益は15億61百万円(前期比5.7%減)となりました。

[店舗事業]

売上高は42億95百万円(前期比11.3%増)、セグメント利益は1億円(前期比301.6%増)となりました。

[その他(本社ビルの賃貸等)事業]

売上高は1億65百万円(前期比1.2%減)、セグメント利益は69百万円(前期比12.8%減)となりました。

② 財政状態の状況

当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ3億11百万円減少し、102億71百万円となりました。

当連結会計年度末の負債につきましては、前連結会計年度末に比べ2億40百万円減少し、39億13百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ71百万円減少し、63億58百万円となりました。

③ キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、4億58百万円の収入(前期は7億29百万円の収入)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、14億97百万円の支出(前期は5億65百万円の支出)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、3億50百万円の支出(前期は10億30百万円の収入)となりました。

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて13億90百万円減少し、11億77百万円となりました。

④ 生産、受注及び販売の実績

1. 生産実績

セグメントの名称

生産品目

当連結会計年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

数量(t)

前期比(%)

商品事業

ドレッシング280ml・600ml

4,134

96.7

おうちパスタシリーズ

376

108.5

レトルトパスタソース「洋麺屋ピエトロ」シリーズ

275

134.6

冷凍食品

207

137.6

その他

389

157.0

小計

5,382

103.0

店舗事業

業務用(食材)ドレッシング等

504

138.2

合計

5,886

105.3

(注)数量は生産容量によっております。

 

2. 受注実績

当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

3. 販売実績

a  品目別販売実績

セグメントの名称

品目

当連結会計年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

金額(千円)

前期比(%)

商品事業

ドレッシング・パスタソース他

6,674,089

110.0

店舗事業

直営店

3,732,747

113.9

FC店への食材供給等

424,929

105.6

直販店

138,187

77.1

小計

4,295,864

111.3

その他事業(本社ビルの賃貸等)

165,073

98.8

合計

11,135,028

110.3

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討事項

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績)

1. 売上高・売上総利益

売上高は前連結会計年度に比べ10.3%増収の111億35百万円となりました。商品事業で、商品カテゴリー別の施策強化に加え、商品育成、ブランド力の向上に取り組んだことと、店舗事業で、顧客満足を追求した施策や新規出店効果などにより増収となりました。売上総利益は前連結会計年度に比べ7.1%増の57億3百万円となりました。これは商品事業において主力ドレッシングの販売数量の伸び悩みや育成カテゴリーの販売を強化したことによる売上構成比の変化に伴う粗利率の低下の反面、店舗事業では既存店、新店ともに売上が好調だったことと、原価率改善や効率的な店舗運営に努めたこと等によるものです。

2. 売上原価・販売費及び一般管理費

売上原価率は、前連結会計年度に比べ1.5ポイント上昇し、48.8%となりました。これはカテゴリー別売上構成変動に伴う原価率の上昇によるものです。

販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べて8.3%増加し、55億26百万円となりました。これは積極的な人財投資とマーケティング強化による販促費用の増加や物流コストの上昇によるものです。

3. 営業利益

売上原価・販売費及び一般管理費の増加により、営業利益は前連結会計年度に比べて18.9%減少し、1億77百万円となりました。

4. 経常利益

営業利益の減少により、経常利益は前連結会計年度に比べて20.5%減少し1億60百万円となりました。

5. 特別損益

減損損失等の計上により特別損益は純額で27百万円の損失となりました。

6. 親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べて47.3%減少し、57百万円となりました。

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。

[商品事業]

・ドレッシングカテゴリー

収益基盤のドレッシングカテゴリーでは、ユーザーが感じているサラダの課題を解決する『マジカルサラダ』企画でサラダの可能性を広げるレシピ紹介活動やキャンペーン等を通し、「ピエトロドレッシング和風しょうゆ」をはじめとする280mlシリーズのマーケティング強化を行いました。カロリー60%カットの「ピエトロドレッシング グリーン 和風しょうゆ」をはじめ、白ワインビネガーを使用した贅沢な味わいの「ピエトロドレッシングプレミアムフレンチ」、春夏限定の「ピエトロドレッシング うめ」、秋冬限定「ピエトロドレッシング 和風しょうが」が好調に推移した他、トッピング商品のフライドオニオン「PATFUTTE(パットフッテ)」シリーズは、引き続きレストランのテーブルで自由にお試しいただける“テーブルマーケティング”を強化するとともに、お試し小袋付きドレッシング企画等で認知拡大を図った結果、順調に売上を伸ばしましたが、野菜価格高騰の影響に加え、節約志向の高まりもあり、国内では主力ドレッシングの販売本数が前期並で推移いたしました。一方で、海外では米国におけるドレッシングの配荷が拡大したことにより、ドレッシングカテゴリー全体では前期を上回る売上となりました。

・パスタカテゴリー

パスタカテゴリーでは、ボトル入りパスタソース「おうちパスタシリーズ」の配荷拡大を目指すとともに、新シリーズ「ピエトロ あえるだけパスタソース」の投入による新規需要の開拓を行いました。「おうちパスタシリーズ」では、世界中で愛されるキャラクター「ムーミン」との初コラボレーションとして、オリジナルグッズがもらえる「ムーミン×おうちパスタ」コラボキャンペーンを期間限定で実施した他、第2弾として、コラボパッケージを数量限定で発売し、認知拡大を図ってまいりました。

また、レトルトパスタソース「洋麺屋ピエトロ」では、人気テレビ番組で取り上げられた「博多明太子カルボナーラ」の売上が伸長するとともに、ブランド認知も広がった他、既存配荷店舗での好調を受け、新規店舗への配荷拡大等もあり、「お肉好きのあなたのためのボロネーゼ」「なすとひき肉の辛味スパゲティ」「蟹と蟹みそのスパゲティ」が好調に推移いたしました。

イタリアのパスタブランド「AGNESI」は“ピエトロレストランで使用するプレミアムパスタ麺”として業務用、家庭用のパスタを販売するとともに、「AGNESI」の麺を使用した冷凍パスタが好調に推移いたしました。また、AGNESIの200周年を記念した限定セットの販売を行う等、さらなる認知度向上を図ってまいりました。

その他、育成商品である特製ガーリックオイルは、大手量販店での取り扱い拡大に加え、手軽な少量サイズを発売したこと等により大きく売上を伸ばしました。

以上の結果、パスタカテゴリー全体では前期の売上を大幅に上回りました。

・冷凍食品カテゴリー

成長事業である冷凍食品カテゴリーでは、配荷店舗の拡大を目指すとともに、EC市場での認知拡大を図ってまいりました。特に、レストランクオリティのアルデンテ食感を実現したプレミアム冷凍パスタを中心に拡販強化を行い、2024年春の新商品として当社レストランの人気メニューを商品化した「〔冷凍パスタ〕洋麺屋ピエトロ 絶望スパゲティ」が好調に推移した他、「〔冷凍パスタ〕洋麺屋ピエトロ お肉好きのあなたのためのボロネーゼ」、「〔冷凍パスタ〕洋麺屋ピエトロ 糸引きモッツァレラチーズのトマトソース」等の定番商品も売上を伸ばすとともに、9月に発売した「〔冷凍パスタ〕洋麺屋ピエトロ にんたら(にんにくとたらこのペペロンチーノ)」もご好評をいただき堅調に推移いたしました。また、冷凍食品専門店への販路拡大やECチャネルでの売上が急伸した結果、冷凍食品カテゴリー全体では前期の売上を大幅に上回りました。

・スープカテゴリー

素材や調理法にこだわった「PIETRO A DAY」ブランドとして育成中のスープカテゴリーにおいては、カジュアルギフトやブライダル関連ギフト等の需要が増加したこと等により、自社EC、大手ECモールで売上を大きく伸ばしました。また定番のスープに加え、季節の国産野菜を使用した期間限定のポタージュや季節限定スープ、ご自宅用に人気スープをパッケージレスにした、通常よりもお得な『エコ割』セット等もご好評をいただいており、スープカテゴリー全体で前期の売上を上回りました。

利益面では、海外子会社の収益改善はあったものの、主力ドレッシングの販売数量の伸び悩みや育成カテゴリーの販促を強化したことによる売上構成比の変化に伴う粗利率の低下、マーケティング強化費用の増加や物流コストの上昇等がありました。

この結果、セグメント売上高は66億74百万円(前期比10.0%増)、セグメント利益は15億61百万円(前期比5.7%減)の増収減益となりました。

[店舗事業]

レストラン店舗では、「魅力あふれるお店作り」を目指すとともに、さらなるお客様満足度向上に向け、引き続きスタッフ研修の強化や待遇改善など、人財育成に注力してまいりました。メニュー施策として昨年3月に行ったグランドメニューの改定では、ドレッシング商品群の認知拡大も視野に“おいしさと見た目の楽しさ”にこだわったサラダメニューの充実を図った他、パスタやドリンクメニュー等も拡充しました。また季節ごとにフェアを実施し、春限定「たらこフェア」、夏限定「辛冷フェア」、秋限定「カルボナーラフェア」等、限定メニューを提供するとともに、九州産地魚を使用したディナー限定メニューや、数名で料理のお取り分けができる「シェアセット」の導入等、ディナーメニューの強化を行いました。これらの施策の結果、顧客単価、来客数ともに前期を上回り、既存店、新店ともに好調に売上を伸ばしました。

「PIETRO A DAY」ブランドのスープを中心とした直販店舗では、商品の美味しさやこだわりをお客様に直接伝えるため、スープの試飲を積極的に行い、認知拡大に注力いたしました。

利益面におきましては、レストラン店舗の既存店、新店ともに売上が好調に推移したことと、原材料や諸費用の価格上昇に対応するため、グランドメニューや一部ランチの価格改定を行ったことによる原価率の改善、セルフオーダーシステムの導入等による店舗運営の効率化に加え、国内外の不採算店を前期に閉店した改善効果がありました。

この結果、セグメント売上高は42億95百万円(前期比11.3%増)、セグメント利益は1億円(前期比301.6%増)と増収増益となりました

店舗の新規出店につきましては、次のとおりです。

出店・リニューアル時期

店 舗 名

2024年7月

ピエトロ 横浜ワールドポーターズ店

2024年9月

ピエトロ アミュプラザ長崎店

2025年3月

ピエトロ イオンモール堺北花田店

 

[その他(本社ビルの賃貸等)事業]

その他(本社ビルの賃貸等)事業におきましては、売上高は1億65百万円(前期比1.2%減)、セグメント利益は69百万円(前期比12.8%増)となりました。

 

(財政状態)

当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べて3億11百万円減少し、102億71百万円となりました。これは主に有形固定資産が11億28百万円増加する一方、現金及び預金が13億53百万円、売掛金が53百万円減少したこと等によるものであります。

負債につきましては、前連結会計年度末に比べ2億40百万円減少し、39億13百万円となりました。これは主にその他の流動負債が1億5百万円増加する一方、未払金が1億27百万円、未払法人税等が1億32百万円、長期借入金(1年内含む)が1億26百万円減少したこと等によるものであります。

純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ71百万円減少し、63億58百万円となりました。これは譲渡制限付株式報酬制度導入に伴う自己株式の処分35百万円、前期決算の剰余金の配当1億65百万円があった一方、為替換算調整勘定の増加8百万円、親会社株主に帰属する当期純利益57百万円の計上によるものであります。

② キャッシュ・フローの状況の分析、検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フロー)

 

 

 

単位:百万円

 

2024年3月期

2025年3月期

差額

営業活動によるキャッシュ・フロー

729

458

△271

投資活動によるキャッシュ・フロー

△565

△1,497

△932

財務活動によるキャッシュ・フロー

1,030

△350

△1,381

現金及び現金同等物に係る換算差額

12

13

1

現金及び現金同等物の増減額

1,207

△1,376

△2,584

現金及び現金同等物の期末残高

2,567

1,177

△1,390

 

営業活動によるキャッシュ・フローは、4億58百万円の収入(前期は7億29百万円の収入)となりました。税引前当期純利益が1億33百万円であり、減価償却費4億56百万円、減損損失52百万円あったことと、売上債権が54百万円、仕入債務が70百万円、未払金が1億61百万円それぞれ減少したこと及び法人税の支払いが1億69百万円あったこと等によるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、14億97百万円の支出(前期は5億65百万円の支出)となりました。有形固定資産の取得による支出14億62百万円があったこと等によるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、3億50百万円の支出(前期は10億30百万円の収入)となりました。長期借入金の返済による支出が1億26百万円、配当金の支払額1億64百万円があったこと等によるものです。

以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、11億77百万円となりました。

項      目

2024年3月期

2025年3月期

自己資本比率

60.8%

61.9%

時価ベースの自己資本比率

118.2%

116.8%

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

2.0年

3.0年

インタレスト・カバレッジ・レシオ

99.7倍

46.5倍

(注)1.各指標の計算は以下により算出しております。

自己資本比率

:自己資本 / 総資産

時価ベースの自己資本比率

:株式時価総額 / 総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

:有利子負債 / 営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ

:営業キャッシュ・フロー / 利払い

2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

3.株式時価総額は、期末終値株価×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

4.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は貸借対照表上に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

(資本の財源及び資金の流動性)

当社グループにおける資金需要のうち、主なものは設備投資、有利子負債の返済及び運転資金等です。また株主還元につきましては、財務の健全性に留意しつつ、配当政策に基づき安定配当を行ってまいります。

運転資金及び投資資金並びに株主還元等については、主として営業活動から得られるキャッシュ・フローを源泉とする自己資金のほか、金融機関からの借入を基本としています。

今後の資金需要のうち、主なものは、工場建設費用や店舗の出店費用です。これらの資金につきましては、自己資金及び金融機関からの借入を実施する等、負債と資本のバランスに配慮しつつ、必要な資金の調達を行ってまいります。

突発的な資金需要に対しては、主要銀行とのコミットメントライン契約や当座貸越枠等の調達手段により、流動性リスクに備えています。

また、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は11億77百万円であり、上記の調達手段と合わせて、当社グループの今後の事業活動において、必要な運転資金及び設備資金を確保することは可能と考えています。

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。

連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告金額及び報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与える見積りは、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な方法に基づき行っていますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループは、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において適用される重要な判断と見積りに影響を及ぼすと考えています。

1. 固定資産の減損

固定資産の減損については、「第5 経理の状況  1 連結財務諸表等  (1) 連結財務諸表  注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

2. 繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討し、回収見込み額を計上しています。しかし、繰延税金資産の回収見込み額に変動が生じた場合には、繰延税金資産の取崩し又は追加計上により利益が変動する可能性があります。

5【重要な契約等】

(1) 資本業務提携契約

当社は、日清オイリオグループ株式会社との間で資本業務提携契約を締結しており、その内容は次のとおりです。

契約締結日

契約締結先

内容

業務提携の内容

2007年9月21日

日清オイリオグループ㈱

資本提携

当社株式の保有

1,060,000株

(被所有割合)

発行済株式総数の

15.00%

・商品事業における高付加価値商品の共同開発及び相乗的なブランド価値の向上

・両社の技術交流による商品開発力及び技術開発力の強化

・両社の協働による販売活動及びマーケティング活動の強化

・両社の優位性を活かした製造コスト及び物流コストの低減

(2) FC契約

当社は、店舗事業の展開を図るため、フランチャイジーとの間でFC契約を締結しており、その主な内容等は次のとおりです。

国内FC(店舗事業)

契約内容

フランチャイジーに対し、当社が開発したレストラン運営のための独自のノウハウや商標等を使用して当社のレシピによるメニュー品目や当社製造のドレッシング類を店舗所在地で販売する権利を与えるとともに、当社にノウハウ使用の対価として、毎月一定率を支払うことや、当社が選定した商品、食材、備品、消耗品等を購入して加盟店に販売し、店舗運営に関する指導を行っています。

契約期間

契約締結の日から5年間であり、契約期間満了6ヶ月前までに書面による変更又は解約の申し入れがない場合は、さらに3年間自動的に更新されるものとし、その後も同様です。

加盟時費用

1店舗につき一定額を契約時及び契約更新時に受領することとなっています。

ロイヤリティ

売上高に対する一定率を毎月受領することとなっています。

契約先

契約先は5社、12店舗です。(2025年3月31日現在)

 

(3) 工事請負等契約

当社は、株式会社フジタとの間で工事請負等契約を締結しており、その内容は次のとおりです。

契約締結日

契約締結先

契約期間

契約内容

2025年2月17日

㈱フジタ

2025年3月3日~

2026年4月27日

古賀新工場新築工事の施工及び工事監理等

 

 

(4) シンジケートローン契約

当社は下記金融機関4行との間で新工場建設資金の調達を目的としたシンジケートローン契約を締結しており、その内容は次のとおりです。

①タームローン契約の概要

契約締結日

契約締結先

契約内容

財務制限条項

2025年3月27日

株式会社西日本シティ銀行

株式会社福岡銀行

株式会社みずほ銀行

株式会社三井住友銀行

借入金額 30億円

借入実行日

2025年4月1日

返済期限

2049年3月31日

返済方法

2029年6月末日より3ヶ月ごとに返済

借入利率

TIBOR+スプレッド

担保提供資産

新工場の土地及び建物

・2026年3月期末日及びそれ以降の各事業年度末日における単体の貸借対照表に記載される純資産の部の金額が、直前の年度決算期末における単体の貸借対照表に記載される純資産の部の金額の75%以上であること。

・2028年3月期末日及びそれ以降の各事業年度末日における単体の損益計算書及び連結損益計算書に記載される営業損益が2期連続して損失とならないこと。

 

②コミットメント期間付タームローン契約の概要

契約締結日

契約締結先

契約内容

財務制限条項

2025年3月27日

株式会社西日本シティ銀行

株式会社福岡銀行

株式会社三井住友銀行

借入限度額 30億円

コミットメント期間

2025年4月1日~

2026年7月31日

返済期限

2049年3月31日

返済方法

2029年6月末日より3ヶ月ごとに返済

借入利率

TIBOR+スプレッド

担保提供資産

新工場の土地及び建物

・2026年3月期末日及びそれ以降の各事業年度末日における単体の貸借対照表に記載される純資産の部の金額が、直前の年度決算期末における単体の貸借対照表に記載される純資産の部の金額の75%以上であること。

・2028年3月期末日及びそれ以降の各事業年度末日における単体の損益計算書及び連結損益計算書に記載される営業損益が2期連続して損失とならないこと。

 

(5) 金利スワップ契約

当社は上記借入の一部について金利変動リスクをヘッジするため、金利スワップ契約を締結しており、その内容は次のとおりです。

契約締結日

契約締結先

取引期間

契約内容

2025年3月31日

株式会社西日本シティ銀行

2025年4月1日~

2049年3月31日

想定元本 30億円

金利

変動金利受取及び固定金利支払

 

6【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)は、創業以来、パスタレストランとドレッシングを始めとする食品の製造販売を事業の柱としています。研究開発は一貫して『おいしいものづくり』と『楽しい食べ方の提案』の訴求をテーマとし、主として開発担当者11名を中心に各事業のスタッフを含めた体制で、商品事業向けの新製品開発と店舗事業向けの新メニュー開発に中長期的な取り組みを行っています。

当連結会計年度におけるセグメントの研究開発活動は次のとおりです。なお、研究開発費は販売費及び一般管理費に含まれており、その総額は80百万円です。

・ドレッシングカテゴリー

ピエトロ初のチルドドレッシングとして、販売先を限定した「ピエトロチルドドレッシング ホワイト」を発売しました。また「ピエトロドレッシング 焙煎香りごま」をリニューアルし、金ごまのいりごまを加え、更にごま感をアップさせました。その他、秋冬限定商品としてリニューアルした「ピエトロドレッシング 和風しょうが」、春夏限定商品「ピエトロドレッシング うめ」を再販しました。

・パスタカテゴリー

あえるだけパスタソース第3弾として「ピエトロ あえるだけパスタソース コク旨香るバジル」を発売した他、「洋麺屋ピエトロ」シリーズでは「洋麺屋ピエトロ にんたら にんにくとたらこのペペロンチーノ」を発売しました。また動物性原材料を一切使用せず、発芽大豆ミートを使用したプラントベース商品として、「ピエトロ✕Soycle 畑生まれの豆乳担々」「ピエトロ✕Soycle 畑生まれのトマトキーマカレー」「ピエトロ✕Soycle 畑生まれのなす辛」を発売しました。

・冷凍食品カテゴリー

洋麺屋パスタシリーズの秋商品として「[冷凍]洋麺屋ピエトロ にんたら にんにくとたらこのペペロンチーノ」、春商品として「[冷凍]洋麺屋ピエトロ 海老とオリーブのトマトクリームソース」「[冷凍]洋麺屋ピエトロ 青じそ香る梅と蒸し鶏の和風スパゲティ」を発売しました。また、冷凍ピザの新商品として「ハーフ&ハーフ マルゲリータ&なすとひき肉の辛味トマトソース」を発売しました。

直販限定冷凍食品では、ピエトロ初の冷凍スイーツ商品として、「ピエトロのキッチンからうまれたチーズケーキ」「ピエトロのキッチンからうまれた3種ベリーのチーズケーキ」「ピエトロのキッチンからうまれたクランブルチーズケーキ」を発売しました。また、冷凍ピザ「ベーコンとポテトのジェノベーゼ」をリニューアルし、数量限定で発売した他、福袋企画として、冷凍ピザ「幸福のマルゲリータ チーズ2倍」を発売し、好評を得ました。

・スープカテゴリー

「PIETRO A DAY」ブランドを展開しているスープカテゴリーから、夏限定商品「北海道産スイートコーンと甘酒の冷製ポタージュ(おつかれサマーのSOUP)」、秋限定商品「茨城産紅はるかのポタージュ(秋のたよりのSOUP)」を発売した他、通年商品として「はかた地どり®と4種野菜の鶏白湯スープ(福来たるSOUP)」を発売しました。また、JA全農ふくれん様との共同開発商品第2弾として「福岡県産「博多のトマト」のなめらかポタージュ‐生クリーム仕立て‐」を発売しました。

・レストランカテゴリー

レストラン業態では、2025年1月よりグランドメニューを一部改定し、ドリンクに合う、パスタの前のヒトサラメニューとして「とろけるチーズフライ」「スペイン産生ハムといちじく」を導入しました。また、人気の高かった「ミートスパゲティグラタン」「たらことマヨネーズ」を復刻メニューとして展開しました。

PASTA&TAPASメニューでは、2024年6月よりグランドメニューを一部改定し、「CHEESE&GARLIC -ピエトロ至高の一皿-」をテーマにディナーメニューの強化を図りました。

季節メニューの開発にも注力し、「生ハムとリコッタチーズの冷製トマトソース」「4種のきのこと4種のチーズの“幸せ”カルボナーラ」等を開発・提供しました。

全社をあげたマジカルサラダ企画では、レストラン店舗でも「牛焼きしゃぶと野菜の元気サラダ」「感動ポテトサラダ」等を展開しました。その他、福岡市内産農産物のブランド構築による消費拡大と地産地消の推進を目的とし、「福岡市やさいのごちそうメニュー」として、箱崎小町(ねぎ)を使用した「箱崎小町と紅ずわい蟹のペペロンチーノ」、博多ブロッコリーを使用した「博多ブロッコリーと海老のアンチョビクリーム」、博多かぶを使用した「博多かぶと豚バラ肉のかぶみぞれペペロンチーノ」、元岡トマトを使用した「トマトとモッツァレラの糸引きスパゲティ」等の計6品を展開し、好評をいただきました。さらに、スイーツメニューを強化するため、うきは市のあまおうやシャインマスカットを使用した「うきは産シャインマスカットパフェ 紅茶アイスとジャスミンティージュレ」「あまおうパフェ」を限定店舗にて展開しました。

サラダパスタ/ライス専門店ミオミオでは、冬の強化メニューとして、ホットパスタ「ベーコンとほうれん草のクリームソース」「ボロネーゼ」を展開しました。また、みずほPayPayドーム店では、福岡ソフトバンクホークスの選手メニューの開発や、各イベントに合わせたスイーツ開発にも力を入れてまいりました。