独立監査人の監査報告書

 

 

2021年11月26日

 

RIZAPグループ株式会社

 

 

取締役会 御中

 

 

 

太陽有限責任監査法人

 

 

 東京事務所

 

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

大木 智博   ㊞

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

和田 磨紀郎  ㊞

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

西村 健太   ㊞

 

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられているRIZAPグループ株式会社の2020年4月1日から2021年3月31日までの連結会計年度の訂正後の連結財務諸表、すなわち、連結財政状態計算書、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結持分変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書及び連結財務諸表注記について監査を行った。

当監査法人は、上記の連結財務諸表が、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条により規定された国際会計基準に準拠して、RIZAPグループ株式会社及び連結子会社の2021年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

監査上の主要な検討事項

 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 

誤謬による連結財務諸表の訂正

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

連結財務諸表注記5.(追加情報 訂正報告書の提出について)に記載されているとおり、会社は、連結子会社における経費の発生状況・会計処理状況の再点検を行っていた過程で、2019年4月より適用が開始された国際財務報告基準(以下、「IFRS」という。)第16号「リース」の適用開始時点における会計処理の誤謬を把握した。また、法人所得税注記等の記載にも誤謬があることを把握した。

これを受け、会社は、当該誤謬について主に以下の項目に関する社内確認を行い、事実関係の網羅的な把握及び分析を行った。

(1)IFRS第16号「リース」の適用

(2)法人所得税注記

(3)連結財務諸表作成及び注記作成のために連結子会社から収集した資料

会社は、社内確認の結果より、当該誤謬による各年度の誤謬金額及び過年度からの累積的影響額に重要性があると判断し、過年度及び当連結会計年度の有価証券報告書等に記載の連結財務諸表のうち、上記の誤謬に関連した事項について訂正を行った。さらに、過年度及び当連結会計年度の連結決算において、重要性がないため修正を行っていなかった他の未修正事項の修正もあわせて行った。

当該誤謬は、連結子会社に点在する経理部門からIFRS第16号「リース」の適用に向けて、リース契約に関する情報収集の際に対象とすべきリース契約についての認識が十分に共有されていなかったこと、リース契約に関する情報収集の業務手順が不十分であったことにより適用対象となる契約の網羅性が確保されていなかったことに起因している。また、法人所得税注記についても同様に、連結子会社からの情報収集の際に報告の網羅性が確保されていなかったことに起因している。会社は、当該誤謬の発生を防止又は適時に発見できなかったことから、会社の決算・財務報告プロセスに係る内部統制に重要な不備が存在すると判断した。

上記のとおり、過年度及び当連結会計年度の有価証券報告書等に記載の連結財務諸表に訂正が行われたことから、当連結会計年度の訂正後の連結財務諸表の監査において、当該誤謬に係る事実関係の網羅的な把握及び訂正内容の妥当性について、監査上、慎重な検討が必要となる。

以上のことから、当監査法人は、当該誤謬による連結財務諸表の訂正について監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。

 当監査法人は、会社が、判明した誤謬に係る事実関係を網羅的に把握し、適切に当連結会計年度の連結財務諸表を訂正しているか確かめるため、主として以下の監査手続を実施した。

 

(誤謬に係る事実関係の網羅的な把握)

・会社の内部統制を含む企業及び企業環境を再評価した。その範囲には、判明した誤謬に関連する決算・財務報告プロセスに係る内部統制を含んでいる。

・誤謬に係る事実関係を把握するために、会社が実施した社内確認について、経営者への質問、資料の閲覧及び必要に応じた社内確認手続の再実施を行い、主に以下の事項を検討した。

・確認方法の適切性

・確認範囲の適切性

・入手した情報の適切性

・類似する誤謬が発生している可能性を検討するため、会社が行った社内確認の範囲、実施手続を検討し、その根拠の合理性を評価するとともに、会社の照合結果の閲覧及び財務担当取締役への質問を実施した。

 

(訂正内容の妥当性)

・会社が特定した重要な誤謬について、社内確認における資料を閲覧及び契約書等の基礎資料と照合したうえで、主に以下の点について検討した。

・IFRS第16号「リース」の適用対象となる契約の網羅性及び追加で計上した契約に係る計算の正確性

・法人所得税注記に係る各連結子会社からの情報入手の網羅性

・社内確認の結果、会社が追加で計上した修正仕訳の網羅性及び正確性

・連結決算において、重要性がないため修正を行っていなかった他の未修正事項の修正仕訳の正確性

・誤謬による訂正事項を含む当連結会計年度に係る連結財務諸表の開示情報の妥当性

 

 

RIZAP株式会社における繰越欠損金に係る繰延税金資産の回収可能性

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

 会社は、期末に存在する将来減算一時差異及び繰越欠損金のうち、予定する繰延税金負債の取崩し、予測する将来課税所得及びタックス・プランニングに基づき、税務便益が実現する可能性が高いと判断される繰延税金資産を認識している。

 連結財務諸表注記18.に記載されているとおり、RIZAP株式会社は、当連結会計年度において繰越欠損金に係る繰延税金資産を2,393百万円認識している。

 RIZAP株式会社が有する繰越欠損金は、主として2019年3月期において多額の繰越欠損金を計上していたRIZAPイノベーションズ株式会社を吸収合併したことにより生じたものである。RIZAP株式会社は、2019年3月期まで継続して課税所得を計上していたことから、同時点において予測される将来課税所得の見積りに基づき、当該繰越欠損金に係る繰延税金資産を認識していたが、2020年3月期において、消費税増税による消費マインドの低下、不採算事業の状況及び新型コロナウイルス感染症の影響が不透明であることを踏まえ、取崩しを行っている。

 当連結会計年度において、RIZAP株式会社は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、第1四半期連結会計期間は売上高及び利益ともに大きく落ち込む結果となったが、第2四半期連結会計期間以降は、新規入会者数及び売上高が回復し、また、グループ全体でのコスト削減活動及びグループ機能統合プロジェクト「One RIZAP」の方針の下でのコスト最適化や新たな非対面事業の推進等により、黒字を計上した。

 このような取組の過程で、依然として不透明な経営環境の中でも安定的に利益を確保できる体制を整えたことを受け、RIZAP株式会社は、2021年3月に策定・承認された3か年の事業計画に対応する将来課税所得の見積りに基づき回収可能性が認められる繰越欠損金に係る繰延税金資産を認識している。

 将来課税所得の見積りの基礎となる3か年の事業計画における重要な仮定は、顧客からの問い合わせ件数、入会率及び既存契約の解約率である。

 繰延税金資産の回収可能性の判断は、主に経営者による将来課税所得の見積りに基づいており、将来課税所得の見積りを行うための前提となる体制に関する評価には、過去の課税所得水準や繰越欠損金の発生原因、現在の経営環境と今後の見通しを踏まえた経営者による総合的な判断が必要となる。

 また、将来課税所得の見積りの基礎となる3か年の事業計画における重要な仮定は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う消費者の行動様式・嗜好等の変化や広告宣伝の効果等による不確実性を伴うものであり、仮定の設定には広範囲で経営者による判断が必要となる。

 以上のことから、当監査法人は、RIZAP株式会社における繰越欠損金に係る繰延税金資産の回収可能性を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。

 当監査法人は、RIZAP株式会社における繰越欠損金に係る繰延税金資産の回収可能性に関する会社の判断の妥当性を検討するため、同社の繰延税金資産の検討に関する内部統制の整備状況の有効性を評価するとともに、主として以下の監査手続を実施した。

 

(1)将来課税所得の見積りを行うための前提となる体制に関する会社の評価の妥当性

 3か年にわたって将来課税所得の見積りを行うための前提となる体制に関する会社の評価の妥当性を検討するため、主として以下の手続を実施した。

・ 繰越欠損金に関する会社の発生要因分析の結果を批判的に検討した。

・ 当連結会計年度において取り組んできたコスト削減活動及びコスト最適化のための施策について経営者及び事業責任者に質問を実施するとともに、その成果がRIZAP株式会社の財務諸表に反映されているかどうかを検討した。

・ 店舗の統廃合に関する進捗状況を確かめるため、各店舗の採算性に関するRIZAP株式会社の分析結果や取締役会議事録等を閲覧した。

・ 新型コロナウイルス感染拡大の影響と会社の対応策及び今後の事業戦略について経営者及び事業責任者に質問を実施するとともに、対応策の実施状況について関連資料を閲覧した。

・ RIZAP株式会社が作成した検討資料に含まれる問い合わせ件数の情報について、関連するシステムから出力された基礎データと照合した。

 

(2)3か年の事業計画の合理性

 将来課税所得の見積りの基礎となる3か年の事業計画の合理性を評価するため、主として以下の手続を実施した。

・ 過年度の事業計画及びその基礎となる重要な仮定について、実績数値との比較を行い、見積りの精度を評価した。

・ 3か年の事業計画において想定されている新型コロナウイルス感染拡大の影響と収束時期の見通しについて、事業責任者に質問を実施した。

・ 重要な仮定である問い合わせ件数、入会率及び解約率の見込みについて、事業責任者に質問を実施するとともに、過去実績から計画期間までの趨勢分析や利用可能な外部の市場予測データとの比較を行い、その合理性を評価した。

・ 問い合わせ件数1件当たりの広告宣伝費に関する過去実績から計画期間までの趨勢分析を実施し、設定された将来の問い合わせ件数を獲得するための広告宣伝費予算が十分に見込まれているかどうかを検討した。

 

 

RIZAP株式会社における繰越欠損金に係る繰延税金資産の回収可能性

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・ 広告宣伝に関する契約書を閲覧し、契約条件を理解するとともに、事業計画上で想定されている広告宣伝費予算と契約内容が整合しているかどうかを検討した。

・ 会社及びRIZAP株式会社の資金繰り計画の検討を通じて、RIZAP株式会社の将来の広告宣伝費の支出能力を評価した。

・ 店舗の稼働率に関する過去実績から計画期間までの趨勢分析を行うとともに、分析結果に関する事業責任者への質問を実施し、事業計画上で獲得が見込まれる新規顧客の受入能力に関する会社の想定の合理性を評価した。

・ 店舗における人件費や諸経費について、過去実績から計画期間までの趨勢分析及び分析結果に関する事業責任者への質問を実施するとともに、重要な仮定の設定との整合性を検討することにより、見積りの合理性を評価した。

 

(3)事業計画に基づく将来課税所得の見積りの合理性

 将来課税所得の見積りが事業計画に基づいて行われており、税務上の加減算項目に関する見積りの合理性を評価するため、主として以下の手続を実施した。

・ 将来課税所得の見積りに使用された税引前当期純利益と3か年の事業計画数値を照合した。

・ 税務上の加減算項目について、過去実績との比較や事業計画において見込まれている数値との整合性を検証し、見積りの合理性を評価した。

 

(4)一時差異及び繰越欠損金残高の正確性とスケジューリングの妥当性

・ 一時差異及び繰越欠損金残高について、税務申告書と照合した。

・ 一時差異のスケジューリングについて、項目別に解消見込年度の合理性を検討した。

 

 

有形固定資産及び使用権資産の減損

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

 会社の連結財務諸表を構成するグループ会社には、多店舗展開を行っている会社が多く、かつ、その店舗の多くは賃借物件である。会社の連結財政状態計算書上、店舗に係る有形固定資産及び賃貸借契約に係る使用権資産が多額に計上されており、当連結会計年度末における有形固定資産及び使用権資産は、それぞれ21,983百万円、29,768百万円となっている。

 連結財務諸表注記28.に記載されているとおり、RIZAP株式会社において有形固定資産4,598百万円及び使用権資産8,251百万円、株式会社ワンダーコーポレーション及びその子会社(以下、「ワンダーコーポレーショングループ」という。)において有形固定資産4,226百万円及び使用権資産8,560百万円が計上されており、連結財政状態計算書上の有形固定資産及び使用権資産の残高に占める両社の割合は重要である。

 会社は、両社の有形固定資産及び使用権資産の減損の兆候の有無の把握に際して、各店舗を他の資産又は資産グループからのキャッシュ・イン・フローとはおおむね独立したキャッシュ・イン・フローを生み出す最小の資産グループ(資金生成単位)としており、資金生成単位ごとの損益状況や閉店計画等を考慮して、減損の兆候の有無を検討している。

 減損の兆候が把握された資金生成単位については、回収可能価額を見積るとともに、有形固定資産及び使用権資産の帳簿価額が回収可能価額を超過する金額について、減損損失を計上している。

 会社は、資金生成単位における回収可能価額を将来キャッシュ・フローの見積額の割引現在価値として算定した使用価値により測定している。

 使用価値の見積りにおける重要な仮定は、経営者が承認した事業計画を基礎とする将来キャッシュ・フローの見積額及び加重平均資本コストを基礎とした割引率である。

 RIZAP株式会社の将来キャッシュ・フローの見積額の基礎となる3か年の事業計画における重要な仮定は、顧客からの問い合わせ件数、入会率及び既存契約の解約率であり、ワンダーコーポレーショングループの将来キャッシュ・フローの基礎となる事業計画における重要な仮定は、売上高及び営業利益率の予測である。当連結会計年度においては、これらの仮定の不確実性に加え、新型コロナウイルス感染拡大に伴う消費者の行動様式・嗜好等の変化が、両社の事業環境に重要な影響を与えており、当該事業環境の変化を踏まえた将来キャッシュ・フローの見積りが不可欠となる。

 両社の有形固定資産及び使用権資産の金額的重要性が高く潜在的な影響が大きいこと、及び将来キャッシュ・フローの見積りにおける問い合わせ件数や売上高及び営業利益率の予測等の重要な仮定や割引率は、事業環境の変化による不確実性を伴うものであり、広範囲で経営者による判断が必要となることから、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。

 当監査法人は、RIZAP株式会社及びワンダーコーポレーショングループにおける有形固定資産及び使用権資産の減損テストが、国際会計基準第36号「資産の減損」に準拠して適切に実施されていることを検討するに当たり、関連する内部統制の整備状況の有効性を評価するとともに、主として以下の監査手続を実施した。

(RIZAP株式会社)

・ 減損の兆候の有無に関する判定の基礎となる各店舗の損益が適切に集計されていることを確かめるため、直接費と間接費の区分方法及び間接費の配賦基準が各費用の性質や組織構造に照らして合理的かどうかを検討するとともに、集計結果の再計算を実施した。

・ 取締役会等各種会議体の議事録の閲覧及び所管部門に質問を実施することにより、閉店計画に係る情報を入手し、当該計画が減損の兆候の有無の判定資料に反映されているかどうかを検討した。

・ 資金生成単位ごとの将来キャッシュ・フローの見積期間について、関連する資産の残存耐用年数と比較した。

・ 資金生成単位ごとの3か年の将来キャッシュ・フローの見積額が、取締役会で承認された3か年の事業計画の内容と整合していることを検証した。

・ 3か年の事業計画の見積りに含まれる問い合わせ件数、入会率及び解約率等の重要な仮定については、新型コロナウイルス感染拡大による影響が及ぶ期間の検討を含め、見積りの前提条件について事業責任者に質問するとともに、過去実績から計画期間までの趨勢分析及び利用可能な外部の市場予測データとの比較等を行い、その合理性を評価した。

 また、過年度の事業計画数値及びその基礎となる重要な仮定について、実績数値との比較を行い、見積りの精度を評価した。

・ 資金生成単位ごとの4年目以降の将来キャッシュ・フローの見積りにおける経営者による将来の不確実性の反映方法について、事業責任者に質問するとともに、事業の特性や外部情報等を考慮して回答の合理性を評価した。

・ 割引率については、計算手法の合理性及び算定基礎として利用された外部データの信頼性を評価するとともに、再計算を実施した。

 

(ワンダーコーポレーショングループ)

・ 当監査法人におけるワンダーコーポレーショングループの監査チームと年間を通じて継続的にコミュニケーションを行うとともに、監査調書を査閲することで十分かつ適切な監査証拠が入手されているかどうかを評価した。特に、減損の兆候が把握された資金生成単位ごとの将来キャッシュ・フローの見積りに含まれる重要な仮定である売上高及び営業利益率の予測に関して、指示した手続が実施され、十分かつ適切な監査証拠が入手されているかどうかを評価した。

 

 

継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況の評価

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

 会社は、2019年3月期から継続して税引前当期損失を計上し、これに伴い、取引金融機関との間で締結した金銭消費貸借契約における財務制限条項に抵触している状況にあるため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在している。

 当該事象又は状況を解消し、又は改善するための対応をしてもなお継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるときは、継続企業の前提に関する事項を連結財務諸表に注記することが必要となる。

 会社は、当該事象又は状況を解消し、又は改善するための対応策として、グループ横断的なコスト最適化や業務合理化、在宅勤務常態化による本社家賃の低減をはじめとする固定費の削減、不採算店舗の統廃合、構造改革の一環としての事業売却やグループ資金の活用、非対面事業等の新たな収益源の創出等の様々な施策を講じることにより、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められないため、継続企業の前提に関する事項を連結財務諸表に注記する必要はないと判断している。

 当該注記の要否を判断するための基礎となる事業計画及び資金繰り計画に含まれる重要な仮定は、主として、「財務制限条項に抵触している金銭消費貸借契約における期限の利益喪失請求権の行使可能性及びコミットメントラインの借換の実行可能性に関する予測」、「事業売却の実施時期及び資金回収額に関する予測」、「会社の経常収支の予測」及び「会社とグループ会社間での資金融通に関する予測」である。これらは、会社を取り巻く経営環境や証券市場における投資環境の変化及び取引金融機関における融資姿勢の変化の影響を受ける。

 継続企業の前提に関する事項の連結財務諸表への注記要否の判断の基礎となる事業計画及び資金繰り計画に含まれる重要な仮定は不確実性を伴い、広範囲で経営者による判断が必要となることから、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。

 当監査法人は、継続企業の前提に関する事項の連結財務諸表への注記要否に関する経営者の判断の合理性を検討するに当たり、事業計画及び資金繰り計画の作成に係る会社の内部統制の整備状況の有効性を評価するとともに、主として以下の監査手続を実施した。

・ 会社が立案した継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象又は状況を解消し、又は改善するための対応策の内容について、経営者及び財務担当取締役に質問を実施するとともに、当該対応策の実施状況を示す資料等を閲覧した。

・ 財務制限条項に抵触している金銭消費貸借契約における期限の利益喪失請求権の行使可能性及びコミットメントラインの借換の実行可能性に関する予測を検討するため、取引金融機関への質問を通じて当該金融機関が重視している会社の対応策の内容を理解した。

・ 事業売却の実施時期に関する予測の合理性を評価するため、事業売却に係る進捗状況について経営者及び担当執行役員に質問するとともに、進捗状況を示す資料を閲覧した。また、事業売却による資金回収額に関する予測の合理性を評価するため、対象会社が十分な企業価値を有しているかどうかを対象会社の事業計画や株価算定資料を通じて検討した。

・ 会社の経常収支の予測について、基礎となる会社の事業計画の合理性を評価したうえで、事業計画の内容が資金繰り計画に反映されているかどうかを検討した。

・ 会社とグループ会社間での資金融通に関する予測の合理性を評価するため、会社が資金繰り計画上で借入れを見込むグループ会社については、当該グループ会社の事業計画の合理性の評価及び事業計画と資金繰り計画の整合性の検討を行い、グループ会社が会社に対して貸付けを行ったとしても事業運営に支障がない資金余力を有しているかどうかを検討した。また、グループ会社の財務諸表に関する質問及び分析的手続を実施し、資金繰り計画で会社からの貸付けを見込んでいるグループ会社以外に、会社が追加の貸付けを見込む必要のあるグループ会社がないかどうかを検討した。

・ 業績が悪化しているグループ会社の資金繰り計画については、必要に応じて、当監査法人が過去実績や利用可能な外部情報等に基づいて一定の不確実性を考慮し、その影響を会社の資金繰り計画に反映させることにより、会社の資金繰り計画の実行可能性を批判的に検討した。

 

 

契約管理システムに係る売掛金及び前受金残高の正確性

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

 会社の中核子会社であるRIZAP株式会社では、スポーツジム等の各種トレーニングに関するサービスにおける顧客との契約情報の管理を目的として、契約管理システムを利用している。また、RIZAP株式会社では、契約管理システムに含まれる情報から売掛金及び前受金に関する情報を抽出するとともに、抽出されたデータに必要な調整を加えることにより、会計システムに取り込むためのデータを生成している。

 RIZAP株式会社は、多種多様なサービス・物販を顧客に提供しているため、契約管理システムから売掛金及び前受金に関する情報を抽出する際に、広範な条件設定が必要となる。また、契約管理システムから抽出したデータを会計システムに取り込むためのデータに転換する際に行う必要な調整については、調整項目が多岐にわたり、金額的重要性が高く、複雑な内容となっている。

 このような状況を踏まえ、RIZAP株式会社は、会計システムにおける売掛金及び前受金残高の正確性を担保するために、以下の内部統制を整備し、運用している。

・ 契約管理システムから抽出した売掛金及び前受金情報(以下、「ストック情報」という。)の前月末残高に、契約管理システムから抽出した当月の契約情報の変動情報(以下、「フロー情報」という。)を加減算した金額と、当月末ストック情報の整合性を検証する。

・ ストック情報が定型的な作業手順に従い適切に抽出されていること及びストック情報を会計システムに取り込むためのデータに転換する際に行われる調整の内容が契約の実態を反映していることを月次で検証する。

・ ストック情報を会計システムに取り込むためのデータへ転換するための調整項目の明細より相当数のサンプルを抽出し、契約単位で調整内容の適切性を検証する。

・ ストック情報を会計システムに取り込むためのデータに転換した後の売掛金及び前受金残高(以下、「調整後残高」という。)の明細より、相当数のサンプルを抽出し、契約書等との整合性を検証する。

 

 上記の一連の会計データの生成プロセスは、中核子会社であるRIZAP株式会社の売上高、売掛金及び前受金残高に直接影響を及ぼすものである。

 また、契約管理システムからのデータ抽出の条件設定は、RIZAP株式会社における事業内容の変更等により影響を受ける可能性があり、このような変更に対応した条件設定が適切に行われない場合、調整後残高が適切に集計されないおそれがある。

 さらに、ストック情報を会計システムに取り込むためのデータに転換するための調整項目は多岐にわたり、金額的重要性が高く、複雑であるため、RIZAP株式会社が関連する内部統制を適切に整備及び運用することにより、売掛金及び前受金残高の正確性を担保することが重要であると考えられる。

 以上のことから、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。

 当監査法人は、RIZAP株式会社における契約管理システムに係る売掛金及び前受金残高の正確性を検証するに当たり、契約管理システムに入力された契約情報の実在性及び契約管理システムへの入力情報の正確性を担保する内部統制、並びに契約管理システムに係るIT全般統制及びIT業務処理統制の整備・運用状況の有効性を評価したうえで、主として以下の監査手続を実施した。

・ 契約管理システムからのデータ抽出の条件設定に影響を及ぼすような重要な事業内容の変更が生じていないかどうかについて、RIZAP株式会社の事業責任者に対する質問を実施した。

・ RIZAP株式会社が作成した契約管理システムからのデータ抽出方法に関する説明資料を閲覧し、実際の抽出方法と不整合が生じていないかどうかを検討した。

・ 契約管理システムからのデータ抽出条件の適切性の検証を目的として、契約管理システムから抽出された売掛金及び前受金の明細を閲覧し、異常な金額が計上されている項目が存在していないかどうかを検討した。

・ RIZAP株式会社による前月末ストック情報に当月フロー情報を加減算した金額と当月末ストック情報の整合性検証手続の結果を閲覧するとともに、RIZAP株式会社による検証が十分かつ適切に行われているかどうかを検討した。

・ RIZAP株式会社によるストック情報を会計システムに取り込むためのデータに転換するための調整項目に係るサンプル検証手続の結果を閲覧するとともに、RIZAP株式会社による検証が十分かつ適切に行われているかどうかを検討した。

・ RIZAP株式会社による調整後残高のサンプル検証手続の結果を閲覧するとともに、RIZAP株式会社が抽出したサンプルのうち、一定数のサンプルについて再実施を行った。

 また、RIZAP株式会社が採用したサンプリング方法及びサンプル数が十分かつ適切であるかどうかを検討した。

・ RIZAP株式会社による調整後残高のサンプル検証手続とは別に、当監査法人が独自でサンプルを抽出し、調整後残高と契約内容等との整合性を検討した。

・ 各月における調整後残高と会計システムから把握された売掛金及び前受金残高を比較し、両者の整合性を検討した。

・ 割賦販売に係る売掛金残高については、残高確認を実施し、回答額と会計システムに反映された調整後残高を照合した。

 

その他の事項

有価証券報告書の訂正報告書の提出理由に記載されているとおり、会社は、連結財務諸表を訂正している。なお、当監査法人は、訂正前の連結財務諸表に対して2021年6月28日に監査報告書を提出しているが、当該訂正に伴い、訂正後の連結財務諸表に対して本監査報告書を提出する。

 

連結財務諸表に対する経営者及び監査等委員会の責任

経営者の責任は、国際会計基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、国際会計基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査等委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

連結財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、国際会計基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

・ 連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

監査人は、監査等委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを講じている場合はその内容について報告を行う。

 監査人は、監査等委員会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

利害関係

会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

 

以 上

 

 

※1 上記は監査報告書の原本に記載された事項を電子化したものであり、その原本は有価証券報告書提出会社が別途保管しております。

2 XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

 

E00518-000 2022-02-15