第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度における我が国経済は、政府の経済政策や日本銀行の金融緩和政策により、景気の下支えはおこなわれていますが、個人消費や設備投資といった民需に力強さを欠き、かつ中国をはじめとするアジア新興国経済の減速や英国のEU離脱問題による欧州経済の動揺、米国の新政権が掲げる政策の動向など複合的なリスク要因を背景に、底固いものの先行不透明感もある状況となっております。

 賃貸オフィス事業を取り巻く環境につきましては、都心部を中心として空室率は回復傾向にあり、賃料水準も堅調に推移しております。

 

 こうした環境のもと、当社グループは、平成28年度を初年度として策定した中期経営計画に基づき、『変革とスピード』をキーワードとして不動産賃貸事業を核としたビジネスモデルを発展進化させ、永続的な企業価値の増大を遂げることに注力してまいりました。

 

 その結果、当連結会計年度の連結業績は、営業収益は215,780百万円(前期比45,823百万円、26.9%増)、営業利益53,377百万円(前期比11,374百万円、27.0%増)、経常利益51,432百万円(前期比8,897百万円、20.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益34,897百万円(前期比1,268百万円、3.7%増)となりました。

 また、単体業績につきましては、営業収益が178,003百万円(前期比44,289百万円、33.1%増)、営業利益43,505百万円(前期比4,128百万円、10.4%増)、経常利益42,032百万円(前期比2,443百万円、6.1%増)、当期純利益26,252百万円(前期比△39百万円、0.1%減)となりました。

 

 

 各セグメントの業績は、次の通りであります。

(各セグメントの営業収益は、セグメント間の内部営業収益、振替高を含みます。)

(不動産事業)

 当社グループの中核事業は、東京23区を中心に、約210件(販売用不動産除く)の賃貸物件・賃貸可能面積約103万㎡を活用した不動産賃貸業務であります。強固な賃貸ポートフォリオ構築の観点から、建替の着実な推進によるポートフォリオの質的向上、CREなど戦略的ソーシングによる着実なポートフォリオの拡充に取り組んでおります。また、ヒューリックサイズの高品質・好立地物件での開発事業を軸とした不動産バリューアッドビジネスの推進や3K(高齢者・観光・環境)の各分野におけるビジネス領域の拡大と深化などにも取り組んでおります。

 当連結会計年度における建替の状況につきましては、調布富士ビル(平成29年3月竣工予定)、蒲田富士ビル(平成29年7月竣工予定)、板橋富士ビル(平成30年2月竣工予定)及び府中富士ビル(平成30年6月竣工予定)の建替計画が順調に進行しております。なお、当連結会計年度におきまして、新たに目白富士ビル(平成30年6月竣工予定)、昭栄駿河台ビル(平成30年10月竣工予定)及び王子富士ビル(平成31年2月竣工予定)の建替を決定しております。

 当連結会計年度の新規物件(固定資産)の取得につきましては、ヒューリック渋谷宮下公園ビル(東京都渋谷区)、ヤマト羽田ビル(東京都大田区)、ヒューリック神宮前五丁目ビル(東京都渋谷区)、ヒューリック新川崎ビル(川崎市幸区)、グランドニッコー東京 台場(底地)(東京都港区)、ヒューリック銀座三丁目ビル(東京都中央区)、Bleu Cinq Point(東京都港区)の一部、ヒューリック仲御徒町ビル(東京都台東区)及びヒューリック加須物流センター(埼玉県加須市)などを取得いたしました。

 開発業務(固定資産)につきましては、(仮称)日体大深沢開発計画(東京都世田谷区)、(仮称)六本木三丁目相鉄ホテル開発計画(東京都港区)(一部は販売用)、(仮称)河口湖ふふ開発計画(山梨県南都留郡富士河口湖町)、(仮称)ヒューリック有楽町二丁目開発計画(東京都千代田区)(一部は販売用)及び(仮称)築地三丁目開発計画(東京都中央区)が順調に進行しております。

 販売用不動産につきましては、ヒューリック銀座花椿通ビル(東京都中央区)、東池袋セントラルプレイス(東京都豊島区)及びTTS南青山ビル(東京都港区)などを取得し、ヒューリック神谷町ビル(東京都港区)の一部、リーフみなとみらい(底地)(横浜市西区)、サザンビーチホテル&リゾート沖縄(沖縄県糸満市)の一部、高輪SIAビル(東京都港区)、Primegate目黒三田(東京都目黒区)、ヒューリック虎ノ門ビル(東京都港区)の一部の他21物件を売却しております。販売用不動産に係る開発業務につきましては、開発中の大森駅前商業開発(東京都品川区)、(仮称)新橋二丁目開発計画(東京都港区)、(仮称)六本木三丁目相鉄ホテル開発計画(東京都港区)、(仮称)ヒューリック渋谷公園通りビル計画(東京都渋谷区)及び(仮称)ヒューリック有楽町二丁目開発計画(東京都千代田区)が順調に進行しております。

 このように、当セグメントにおける事業は順調に進行しており、前連結会計年度及び当連結会計年度に竣工、取得した物件による不動産賃貸収入の増加に加え、販売用不動産の売上が増加したことなどから、営業収益は183,439百万円(前期比45,375百万円、32.8%増)、営業利益は57,353百万円(前期比13,167百万円、29.8%増)となりました。

 

(保険事業)

保険事業におきましては、連結子会社であるヒューリック保険サービス株式会社が、国内・外資系の保険会社と代理店契約を結んでおり、法人から個人まで多彩な保険商品を販売しております。保険業界の事業環境は引き続き厳しい環境にありますが、既存損保代理店の営業権取得を重点戦略として、法人取引を中心に拡充しております。

 この結果、当セグメントにおける営業収益は3,191百万円(前期比△69百万円、2.1%減)、営業利益は898百万円(前期比△88百万円、8.9%減)となりました。

 

(人材関連事業)

 人材関連事業におきましては、連結子会社である株式会社アヴァンティスタッフが、人材派遣・人材紹介事業等をおこなっております。同社では、主力ビジネスである人材派遣事業の増強をはかるとともに、企業及び求職者の多様化するニーズに対応するべく、総合人材サービス企業としてのノウハウを活用し、様々な人材サービスの提案、提供をおこなっております。

 この結果、当セグメントにおける営業収益は19,114百万円(前期比△64百万円、0.3%減)、営業利益は353百万円(前期比△161百万円、31.2%減)となりました。

 

(その他)

 その他におきましては、連結子会社であるヒューリックビルド株式会社が、当社保有ビル等の営繕工事、テナント退去時の原状回復工事、新規入居時の内装工事を中心に受注実績を積み上げておりますほか、連結子会社であるヒューリックオフィスサービス株式会社による給食業務の受託事業等が寄与した結果、営業収益は12,558百万円(前期比472百万円、3.9%増)、営業利益は911百万円(前期比88百万円、10.7%増)となりました。

 

なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動により108,407百万円増加し、投資活動により111,018百万円減少し、財務活動において5,715百万円減少し、当連結会計年度末には22,671百万円となりました。

(単位:百万円)

 

平成27年12月期

平成28年12月期

営業活動によるキャッシュ・フロー

36,272

108,407

投資活動によるキャッシュ・フロー

△284,580

△111,018

財務活動によるキャッシュ・フロー

257,934

△5,715

現金及び現金同等物の期末残高

30,997

22,671

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは108,407百万円の収入(前期比72,135百万円)となりました。これは主に、不動産賃貸収入及び販売用不動産の売却を主因とした税金等調整前当期純利益が50,199百万円、減価償却費が11,299百万円、たな卸資産の減少額が39,974百万円あったためであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは111,018百万円の支出(前期比173,561百万円)となりました。これは主に、強固な賃貸ポートフォリオ構築の観点から、建替を進めるとともに新規物件の取得をおこなったためであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは5,715百万円の支出(前期比△263,649百万円)となりました。これは主に、建替や新規物件の取得に伴う資金調達をおこなった一方で、前期比増加した配当金の支払いがあったことによるものであります。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

   該当事項はありません。

(2) 受注状況

   該当事項はありません。

(3) 販売実績

  当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成28年1月1日

至 平成28年12月31日)

前期比(%)

不動産事業    (百万円)

183,439

32.8

保険事業     (百万円)

3,191

△2.1

人材関連事業   (百万円)

19,114

△0.3

その他      (百万円)

12,558

3.9

調整額      (百万円)

△2,524

       合計 (百万円)

215,780

26.9

(注)1.各セグメントの営業収益は、セグメント間の内部営業収益、振替高を含みます。

2.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次の通りであります。

相手先

前連結会計年度

(自 平成27年1月1日

至 平成27年12月31日)

当連結会計年度

(自 平成28年1月1日

至 平成28年12月31日)

金額

(百万円)

割合(%)

金額

(百万円)

割合(%)

ヒューリックリート投資法人

18,520

10.8

49,051

22.7

みずほフィナンシャルグループ

31,816

18.7

28,342

13.1

 

 

3【対処すべき課題】

(1)経営方針

 当社グループは、「お客さまの社会活動の基盤となる商品・サービスを提供することにより、永く『安心と信頼に満ちた社会』の実現に貢献する」ことを企業理念として掲げ、企業理念の実践による社会発展への貢献をめざしております。また、企業理念と表裏一体をなすCSR(企業の社会的責任)ビジョンのなかで地球環境の保護に努めることを宣言しております。

 そのために、安定した事業基盤を活かしつつ成長を遂げる企業をめざし、新しい視点で業務に取り組み企業価値の一層の向上に努めております。そしてお客さまに最適な商品・サービスを提供することによりお客さまの満足を何より重視することを、基本姿勢としてまいります。

 結果として、高い成長と企業価値の向上を実現し、あらゆるステークホルダーの信頼を得られるよう努力してまいります。

 

(2)対処すべき課題と中長期的な経営戦略

 我が国経済は、政府の経済政策や日本銀行の金融緩和政策により、景気の下支えはおこなわれていますが、個人消費や設備投資といった民需に力強さを欠き、かつ中国をはじめとするアジア新興国経済の減速や英国のEU離脱問題による欧州経済の動揺、米国の新政権が掲げる政策の動向など複合的なリスク要因を背景に、底固いものの先行不透明感もある状況となっております。

 賃貸オフィス事業を取り巻く環境につきましては、都心部を中心として空室率は改善傾向にあり、賃料水準も堅調に推移しております。

 こうした環境のもと、当社グループは、平成28年度を初年度として新たに策定した中期経営計画に基づき、『変革とスピード』をキーワードとして不動産賃貸事業を核としたビジネスモデルを発展進化させ、永続的な企業価値の増大を遂げることに注力してまいりました。この戦略に沿った施策として、新規物件への投資や既存物件の建替、不動産バリューアッドビジネスの推進や高齢者・観光・環境の各分野におけるビジネス領域の拡大と深化などにより、規模と多様性を併せ持ったポートフォリオの充実をはかり、安定的な収益源を確保するとともに、企業価値の持続的向上をはかることができる体制の構築に取り組んでまいりました。
 平成29年度におきましても、更なる飛躍に向けて策定した新たな中期経営計画に基づき、変革とスピードを徹底し、不動産賃貸事業の更なる増強をはかるとともに、新たな事業への取り組みを強化し、新中期経営計画の達成に向けた事業基盤の維持・発展を進めてまいります。

 当社グループは、容積消化率の低い物件を建替えるという施策と優良な新規物件の購入を推進してきたことから、比較的負債依存度が高く平成28年12月期末時点での総借入は6,273億円となっております(うち44億円はノンリコースローン)。

 外部負債の利用は、高い収益力を背景とした低コスト調達により、総コストを抑えつつ安定的に調達をおこない、企業価値の向上をめざすという財務戦略に立脚したものであります。一方において、負債管理を総合的におこない最適なバランスシートコントロールに努めていることから、相対的に高い外部格付けを維持しております。

 このようにして当社グループは、負債水準を適切にコントロールしつつ、高い利益率に支えられた安定的な収益を挙げる事業構造を確立しておりますが、更に保有物件の建替による資産効率の向上と、建替に伴う一時的なキャッシュ・フローの減少を投資回収等で補うことにより、更なる成長をめざしてまいります。その実現のために、主に以下の戦略に取り組んでまいります。

 

①不動産賃貸事業の強化

 当社グループの中核事業は、東京23区の駅近を中心に保有・管理する賃貸物件を活用した不動産賃貸事業であり、容積消化率の低い物件を建替えて賃貸面積の拡大と賃料収入の増強を実現し、資産運用効率の極大化をはかってまいります。

 建替に際してはオフィスのほか高齢化等の社会環境の変化を反映した、賃貸マンション・高齢者施設・商業施設など立地特性にあった用途を選択するとともに、隣地との一体開発など、様々な開発手法の組み合わせにより財務規律を維持しつつ事業収益の強化をはかっており、併せて、開発事業第三部の新設により開発物件の供給強化をはかっております。

 駅近の好立地で基準階面積が100坪以上の規模のビルが大宗を占め、かつメインテナントがみずほフィナンシャルグループで安定していることもあって、マーケットより常に低い空室率を維持し、安定的な収益を確保しております。建替物件につきましては、今期は1物件が竣工し、来期についても2物件が竣工する計画となっており、更なる営業収益の増強をはかることが可能となります。

 また、当社はマーケットより常に低い空室率を維持しておりますが、CREなど戦略的ソーシングによる着実なポートフォリオの拡充に合わせて、テナントリーシング部の再編によりテナントリーシング力を更に強化し、不動産賃貸事業の底支えをはかっております。

 

②新規業務分野開拓

 新規取り組みとして、不動産バリューアッドビジネスを推進し、実績を着実に積み重ねております。更に、成長分野である観光事業においては、「THE GATE HOTEL 雷門 by HULIC」の営業を順調におこなっており、「グランドニッコー東京 台場(底地)」など、外部からの観光ホテル物件等の取得にも積極的に取り組んでおります。また、CRE事業及び高齢者ビジネスにつきましても、「次世代型ヘルスケアモール」、「納骨堂開発」等の取り組みを強化しております。
 今後も、企業の保有する不動産の有効活用を提案・実行するCRE事業や、所有不動産以外の新規開発事業、今後マーケットの拡大が予想される高齢者・観光・環境ビジネスを深化し、社会構造の変化に対応した新しい不動産関連事業領域への取り組みをおこなっていくことで、新しい成長ドライバーを開拓してまいります。また、同時に長寿命化ビルの標準仕様化やCO2総量削減に向けた環境配慮ビルの建設等を推進し、地球環境保全と企業成長の一体化をはかってまいります。

 

③保険部門収益の増強

 当社の連結子会社であるヒューリック保険サービス株式会社は、保険代理店専業の会社として、機動的かつ効率的な業務運営体制を構築しております。基本戦略は、提案セールス力の強化による生産性の向上とお客さま満足度の向上であり、引き続き営業・事務の両面で高いレベルのサービスを提供し、付加価値の高い保険代理店営業をおこなってまいります。

 

 従来からの事業展開に加えて、「内部統制」、「リスク管理」、「コンプライアンス」、「開示統制」についても、引き続き徹底をはかってまいります。特にリスク管理に関しては、「事業継続基本計画」(BCP:Business Continuity Plan)を制定しており、定期的に訓練を実施する等、有事対応力の向上を更に進めてまいります。

 また、「コーポレートガバナンス・コード」の各原則を踏まえ、当社の持続的成長・企業価値向上に向けての最適なコーポレートガバナンスを実現するための枠組みとして、「コーポレートガバナンス・ガイドライン」を制定しております。ガイドラインを基に健全な企業統治の下で株主の権利に留意し、永続的な企業価値の向上をめざしてまいります。

 そのほか、サステナビリティの考え方を重視したバランス経営を実践すべく、環境に配慮したビジネス展開、地域社会をはじめ各ステークホルダーとの関係強化、強固なガバナンス体制の構築など、バランスのとれたESG経営を基に社会的ニーズに対応した価値創造を進めており、更に、障がい者スポーツ団体への支援など、社会貢献活動も強化しております。併せて、人材育成を軸として、女性活躍推進法に基づく行動計画策定など、女性や高齢者も等しく能力を発揮できる職場とし、一人当たり生産性の高い企業、人が育つ企業をめざしてまいります。

 配当政策につきましては、不動産賃貸事業を主たる事業としていることもあり、長期的かつ安定的な事業基盤の強化のために必要な内部留保の充実をはかるとともに、株主への利益還元を狙いとして、安定した配当を継続することを基本方針としております。また、業績動向を踏まえた配当とすることも同様に重要と考えております。

 

 なお、文中における将来に係る記載についてはその達成を保証するものではありません。

 

4【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクについて、主な事項を記載しています。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。なお、当社グループは、これらの事項の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。また、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)当社グループの事業に関するリスク

①不動産賃貸事業に関するリスク

 当社グループは不動産事業を主たる業務として営んでおりますが、このうち企業向けオフィスビルの賃貸が収益の過半を占めております。一般的にテナント企業の不動産賃貸物件に対するニーズは景気の変動に影響を受けやすく、経済情勢が悪化した場合、賃料収入に予期せぬ影響を及ぼす可能性があります。当社グループのテナントは長期安定したテナントが多く、過去の推移からも賃料の変動は景気変動に比し小さい傾向にありますが、国内景気が冷え込み、これを受けて不動産市況が悪化した場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。また、テナントや入居者の信用力の低下による賃料の支払の延滞、賃料の減額要求による賃料の値下げ、退去による空室率の上昇などによって不動産賃貸収入が低下することで、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②不動産価値の低下に関するリスク

 当社グループでは、賃貸用不動産を始めとして多くの事業用不動産を保有しておりますが、不動産市況の悪化による賃料水準の低下や空室率の上昇などにより、事業用不動産に対する減損処理が必要となった場合、評価損等の発生によって、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③建替に伴うリスク

 当社グループの収益力は比較的安定しているものと考えておりますが、既存ビルの建替の際には、テナントの立ち退きに関する費用や設備の除却等により多額の特別損失が発生することとなります。当社グループにおける既存ビルの建替は、特別損失を計上しても、中長期的に当社グループの収益力を強化する戦略的なものであり、全体の収益計画を踏まえた計画的な建替をおこなってまいります。また、特別損失の発生に対しては、固定資産の売却の検討などにより、その影響を極力限定的なものにコントロールしてまいります。

 しかしながら、建替の規模により、特別損失を通じて親会社株主に帰属する当期純利益段階の業績が大きく影響を受ける可能性や、建替の時期により、年度間で親会社株主に帰属する当期純利益が大きく変動する可能性があります。加えて建替が、主要テナントの事情等何らかの理由により計画通り進捗しない場合、当社の利益計画に影響を及ぼす可能性があります。

 

④不動産事業における投資判断に関するリスク

 当社グループでは、賃貸用不動産、販売用不動産を問わず、新規不動産の取得や、SPCに対する出資等にあたっては、物件の収益の安定性や成長性について専門的な見地から十分に検討を重ねたうえで投資判断をおこなっておりますが、顧客の需要動向、金利動向、販売価格動向等、種々の変化によって、当初想定していた通りの収益が確保できなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤その他、不動産事業に付随するリスク

aアスベスト対策等について

 当社グループが保有・管理する賃貸物件について、労働安全衛生法施行令の改正に伴い、吹き付けアスベストの調査を実施し、全て措置済であります。しかしながら、当社グループが予期しない形でアスベストの使用が発覚し、その処理のための費用負担が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、アスベスト以外にも身体に害を与えるとされる建築材料が将来新たに指定され、それらの処理義務が当社グループに課せられた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

b土壌汚染等の対策について

 土壌汚染対策法(平成15年2月15日施行)により、土地の所有者等は同法に規定する特定有害物質による土壌の汚染の状況についての調査・報告や、汚染の除去等の措置を、命ぜられることがあります。

 当社グループが保有・管理する賃貸物件については、現時点で土壌汚染物質の問題は発生してはおりませんが、近隣地域から汚染物質が流入する等の問題が発生した場合や、新たな汚染物質が指定される等、当社グループが予期しない形で土壌汚染対策が求められた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

cその他不動産事業固有のリスク

 当社グループでは、各種設備について、法定の点検のみならず定期的な保守点検を実施し、また、小規模修繕の状況を注視するなど、資産の保全と安全の確保に、日頃より万全の注意を払っております。
 しかしながら、資産の劣化・毀損が予期せぬ時期に予期せぬ規模で起こった場合、その対策にあたるため、当社グループの財政状態並びに経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥有利子負債への依存に関するリスク

 当社グループは、平成28年12月期末現在で665,375百万円の有利子負債残高を有しております。また、今後も既存不動産の建替等をおこなうにあたっては、借入等にて資金手当てをおこなうことも予定していることから、有利子負債残高は今後の事業拡大にあたって更に増加する可能性があります。これに対しては、外部格付けを取得し、その維持・向上をはかることにより財務統制をおこなっております。

 しかしながら、金融環境の変化等の状況によっては、当社グループが望む条件での資金調達が十分におこなえず、今後の当社グループの事業計画等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社は、既存の長期借入金については、すべて固定金利としており、大半の借入金については将来の金利変動リスクをヘッジする施策を講じております。しかしながら、将来において金利が急速かつ大幅に上昇した場合、また、固定金利借入の借り換え時の金利情勢によっては、資金調達コストの増加により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

  《有利子負債残高の推移》

 

平成24年

12月期

平成25年

12月期

平成26年

12月期

平成27年

12月期

平成28年

12月期

有利子負債残高(百万円)

416,619

462,036

473,299

658,214

665,375

総資産(百万円)

637,919

720,344

773,401

1,091,266

1,133,994

有利子負債比率(%)

65.3

64.1

61.1

60.3

58.6

 

⑦自然災害、人災等によるリスク

 地震を中心とした自然災害、テロその他の人災の発生に対しては、「事業継続基本計画」を設けておりますが、当社グループが所有する資産に毀損等があった場合、当社グループの事業に悪影響を及ぼし、また、所有する資産の価値が低下する可能性があります。特に地震対策として、旧建築基準法下の物件について、旧来の保有物件に関しては耐震補強工事を完了し、新規取得物件についても順次対応をしておりますが、当社の保有・管理する物件が首都圏に集中し、オフィスを中心とした賃貸物件のうち約6割が東京23区内という立地であることから、想定を超える規模の東京直下型地震などのこの地域における甚大な災害により、当社グループの資産に予期せぬ毀損等が発生した場合、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

⑧株価下落に関するリスク

 当社グループが保有する投資有価証券の残高は平成28年12月期末現在で121,136百万円(うち、上場株式67,020百万円(総資産の5.9%))となっております。それぞれの株式については長期的視点からの事業上の意義も含めて保有・売却の判断をしており、加えて日々株価動向を調査し、月次または臨時の資金ALM委員会を開催して相場動向の影響と対応の検討をおこなっております。

 しかしながら、想定以上に株価が下落しまた株価低迷が長期化する場合には、評価損の計上等を通じ当社グループの財政状態並びに経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

  《投資有価証券残高の推移》

 

平成24年

12月期

平成25年

12月期

平成26年

12月期

平成27年

12月期

平成28年

12月期

投資有価証券(百万円)

89,127

101,601

109,231

114,362

121,136

(うち、上場株式)(百万円)

31,358

49,785

59,617

67,645

67,020

(うち、その他)(百万円)

57,769

51,815

49,614

46,717

54,116

その他有価証券評価差額金
(百万円)

5,773

18,736

26,549

31,708

33,449

 

 

 

⑨法的規制等変更リスク

 当社グループの事業である不動産・建築及び保険等に関する法的規制あるいは税制について、今後、改廃、または新たな規制が制定されることで、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩情報セキュリティ管理に関するリスク

 当社グループは保険代理店業務を中心に、多数の法人・個人のお客さまの情報を保有しているほか、当社グループ自体の様々な経営情報等の内部情報を有しております。これらの情報の管理については、コンプライアンス委員会の統制のもと、情報セキュリティポリシーを始めとする情報関連諸規程とにより、運用管理をおこなっております。更に役職員に対する教育・研修等により情報管理の重要性を周知徹底し、システム上のセキュリティ対策等もおこなっております。

 しかしながら、これらの対策にもかかわらず、不可抗力のシステムトラブル、内部・外部の要因により、重要な情報が流出した場合には、当社グループの信用低下、補償コストの発生等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)みずほフィナンシャルグループ(以下、「みずほFG」)との関係について

①みずほFGとの資本関係について

 当社は、昭和32年3月、銀行業に対する各種不動産規制に対応するために、旧㈱富士銀行が設立の中心となり、親密な各社の出資のもとで不動産事業等を営む会社として設立されております。

 当社グループは設立以来、旧㈱富士銀行時代を含めみずほFGの子会社又は関連会社に該当したことはなく、平成28年12月末時点におけるみずほFGからの出資比率は6.1%(みずほキャピタル㈱3.8%、㈱みずほ銀行1.7%等)にとどまっております。また、みずほFGの事前承認を必要とする事項など、当社グループの意思決定を妨げたり拘束したりする事項は特にありません。なお、「みずほ信託銀行株式会社 退職給付信託 沖電気工業口 再信託受託者 資産管理サービス信託銀行株式会社」の所有する当社株式につきましては、沖電気工業株式会社がみずほ信託銀行株式会社に委託した退職給付信託の信託財産であり、その議決権行使の指図権は沖電気工業株式会社に留保されているため、みずほFGからの出資比率には含めておりません。

 

②みずほFGとの取引関係について

(不動産賃貸)

 当社グループの総営業収益に占めるみずほFGからの営業収益の割合は、平成28年12月期において13.1%と高い水準にあります。これは、当社の主要事業である不動産事業におけるビル賃貸においてみずほFGの中核企業である㈱みずほ銀行を主要テナントとしているためであり、この背景としてはみずほFGの前身である旧㈱富士銀行の財務統制上の要請から当社に購入要請があり、平成8年から11年にかけて95物件を購入し、同銀行に賃貸してきたことなどが挙げられます。

 

  《営業収益に占めるみずほFGの比率の推移》

 

平成24年

12月期

平成25年

12月期

平成26年

12月期

平成27年

12月期

平成28年

12月期

総営業収益(百万円)

94,319

108,444

212,791

169,956

215,780

うち、みずほFG(百万円)

22,622

23,077

23,074

31,816

28,342

みずほFG比率(%)

23.9

21.2

10.8

18.7

13.1

 

 

平成24年

12月期

平成25年

12月期

平成26年

12月期

平成27年

12月期

平成28年

12月期

不動産事業営業収益
(百万円)

84,567

96,066

200,293

138,064

183,439

うち、みずほFG(百万円)

18,054

16,940

16,906

16,907

16,335

みずほFG比率(%)

21.3

17.6

8.4

12.2

8.9

 

(借入金)

 当社グループの借入総額に占めるみずほFGからの借入比率は、30%台で推移しております。

 

  《借入総額に占めるみずほFGの比率の推移》

 

平成24年

12月期

平成25年

12月期

平成26年

12月期

平成27年

12月期

平成28年

12月期

借入総額(百万円)

391,323

371,840

419,197

620,113

627,375

うち、みずほFG(百万円)

148,089

141,750

156,213

229,269

223,305

みずほFG比率(%)

37.8

38.1

37.2

36.9

35.5

 

③みずほFGとの人的関係について

 当社は設立以来、永年、親密な関係にあったみずほFGに人材斡旋の多くを依存していたことなどもあり、平成28年12月末現在において、当社の役員及び役員に準ずる者26名のうち11名、当社の全従業員149名のうち16名(役員に準ずる者を除く)はみずほFG出身者でありますが、みずほFG出身者は一部を除き当社に転籍済であります。なお、本書提出日現在において、役員に占めるみずほFG出身者の比率は約40%となっております。

 また、当社は近年においては、事業戦略上必要となる不動産開発等の専門的知識を有した人材の採用を積極的に推し進めており、今後も同様の方針を継続する予定であります。

 

(3)経営アドバイザリー委員会の設置

 当社グループとみずほFGとの関係は上記の通りとなっておりますが、当社グループは一個の独立した企業体として自らの経営責任のもとに事業経営をおこなっております。

 更にこの独立した事業経営について、透明性の高い経営と開示努力により幅広いステークホルダーの理解が得られるよう、当社では平成20年7月より「経営アドバイザリー委員会」(注)を設置し、当社の独立性確保の強化及びステークホルダーの利益が損なわれることのないよう、取締役会付議事項・報告事項のチェックを始めとした、経営全般に関わる事項について助言・勧告をおこなう体制を構築しております。

 

(注)みずほFG及び当社特定株主(上位10位までの大株主)出身者以外の第三者であって、法曹関係者、会計士、学識者、実務家のうちから当社取締役会で選任された4名以上の委員で構成され原則月1回開催。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。

 

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 本項に含まれる将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

 

(1)財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末の資産合計は、1,133,994百万円となり、対前期末比42,727百万円増加いたしました。当社グループにおきましては、強固な賃貸ポートフォリオ構築の観点から、既存保有物件建替の着実な推進、CREなど戦略的なソーシング等に取り組んでおります。

 また、ヒューリックリート投資法人の中長期的な収益向上と運用資産の着実な積上げを実現するために、スポンサーとしてのサポートやバックアップに努めてまいります。

主な項目の増減は以下の通りであります。

①現金及び預金

8,326百万円減少

 

②販売用不動産

23,076百万円減少

(固定資産からの振替、物件の取得、竣工及び売却)

③仕掛販売用不動産

11,203百万円増加

(固定資産からの振替等)

④建物及び構築物

3,879百万円増加

(物件の取得、竣工及び販売用不動産への振替)

⑤土地

57,725百万円増加

(物件の取得、販売用不動産及び仕掛販売用不動産への振替)

⑥建設仮勘定

3,986百万円増加

(建替及び開発計画の進行、物件の竣工及び仕掛販売用不動産への振替)

⑦投資有価証券

6,774百万円増加

(投資有価証券の取得及び有価証券の含み益の増加等)

 

(負債)

 当連結会計年度末の負債合計は、792,906百万円となり、対前期末比18,685百万円増加いたしました。これは、主に、設備投資等に伴い、資金調達をおこなったことによるものであります。

 当社グループの借入金残高は627,375百万円となっておりますが、このうち特別目的会社(SPC)のノンリコースローンが4,400百万円含まれております。金融機関からの資金調達については、高い収益力を背景として安定的に低コストで調達をおこなっております。

 

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産合計は、341,087百万円となり、対前期末比24,042百万円増加いたしました。このうち株主資本合計は、303,523百万円となり、対前期末比で22,154百万円増加しております。これは、主に、親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加及び配当金の支払による利益剰余金の減少によるものであります。

 また、その他の包括利益累計額合計は、33,380百万円となり、対前期末比で1,812百万円増加いたしました。これは、主に、有価証券の含み益が1,521百万円増加したことによるその他有価証券評価差額金の増加によるものであります。

 

(2)経営成績の分析

(営業収益)

 当連結会計年度の営業収益は、215,780百万円となり、対前期比で45,823百万円増加いたしました。これは、前連結会計年度及び当連結会計年度に竣工、取得した物件による不動産賃貸収入の増加に加え、販売用不動産の売上が増加したことによるものであります。

 

(営業利益)

 当連結会計年度の営業利益は、53,377百万円となり、対前期比で11,374百万円増加いたしました。これは、物件の竣工、取得による不動産賃貸収入の増加及び販売用不動産の売上の増加によるものであります。

 

(経常利益)

 当連結会計年度の経常利益は、51,432百万円となり、対前期比で8,897百万円増加いたしました。これは、上記営業利益の増加があった一方で、前連結会計年度におきましては、多額の為替差益を計上していたこと等によるものであります。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、34,897百万円となり、対前期比で1,268百万円増加いたしました。これは、上記経常利益の増加があった一方で、前連結会計年度におきましては、多額の投資有価証券売却益を計上していたこと等によるものであります。

 

 なお、キャッシュ・フローの状況につきましては、「1 業績等の概要」に記載しております。