第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、世界経済においては、米国では内需主導のゆるやかな景気拡大が続きましたが、中国は景気減速の局面にあり、また欧州では英国のEU離脱問題の影響が懸念されるなど、先行き不透明な状況が続きました。一方、国内では、雇用・所得環境の改善を背景に、景気はゆるやかに回復しました。

このような環境のもと、当社グループは、「環境、ヘルスケア、高機能で、社会に貢献する価値を、創りつづけるカテゴリー・リーダー」をめざし、特長のある製品を、国内外の市場へ展開しております。当連結会計年度においても、平成30年3月期までの4年間の中期計画で掲げた「海外展開の加速」、「新製品の拡大・新事業の創出」、「国内事業の競争力強化」、「資産効率の改善」、「グローバル経営機能の強化」の5つのアクションプランに沿って、事業活動を進めました。

「海外展開の加速」においては、エンジニアリングプラスチック事業で、海外市場における販売拡大に努める中、新たにインドに販売拠点を置くことを決定しました。また、エアバッグ用基布事業では、タイ・中国・米国における生産拠点の整備と新たなユーザーへの拡販に注力しました。

「新製品の拡大・新事業の創出」では、液晶偏光子保護フィルムとして展開する“コスモシャイン SRF”の販売を大幅に伸ばしつつ、今後のさらなる拡大を視野に生産能力の増強を進めました。また、神経再生誘導チューブ“ナーブリッジ”については、国内で適用症例数を伸ばす一方、米国では米国食品医薬品局(FDA)の承認を受け、販売の準備を進めました。

一方、「資産効率の改善」として、ブラジルにおける繊維事業を休止しました。また、在外子会社の統廃合に伴い為替換算調整勘定の取崩が生じました。なお、休止に伴う費用および為替換算調整勘定取崩損は特別損失として計上しております。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は前年度比183億円(5.3%)減の3,295億円となり、営業利益は同2億円(0.9%)増の233億円、経常利益は同3億円(1.3%)増の207億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同7億円(6.9%)減の94億円となりました。

 

セグメント別の概況は、次のとおりであります。

 

(フィルム・機能樹脂事業)

当事業は、フィルム新製品が販売を伸ばし、また、一部の機能樹脂製品でも拡販が進んだものの、原料価格下落などの影響を受け、前年度に比べ、減収増益となりました。

フィルム事業では、包装用フィルムは、原料価格の影響を受け、減収となりました。一方、工業用フィルムは、“コスモシャイン SRF”が大手偏光板メーカー向けの出荷を軸に販売を伸ばし、増収となりました。

機能樹脂事業では、ポリオレフィン用接着性付与剤“ハードレン”が、自動車塗料用途で好調に推移しました。エンジニアリングプラスチックは、国内では自動車生産の海外シフトに伴い苦戦しましたが、海外では拡販により販売数量を伸ばしました。

この結果、当事業の売上高は前年度比48億円(3.4%)減の1,386億円、営業利益は同28億円(28.5%)増の127億円となりました。

 

(産業マテリアル事業)

当事業は、スーパー繊維の一部は堅調に推移したものの、生活・産業資材が苦戦し、前年度に比べ、減収減益となりました。

エアバッグ用基布は、国内では、自動車メーカーの需要回復に伴い、販売を伸ばしました。スーパー繊維は、“イザナス”がロープ・ネット用途で堅調に推移しましたが、“ザイロン”は販売が伸び悩みました。生活・産業資材は、バグフィルター用PPS繊維“プロコン”が、市況悪化の影響を受け苦戦しました。機能フィルターは、VOC処理装置がアジア市場で販売を伸ばしました。

この結果、当事業の売上高は前年度比13億円(1.9%)減の692億円、営業利益は同15億円(23.1%)減の48億円となりました。

 

(ヘルスケア事業)

当事業は、バイオ事業と機能膜事業が為替の影響を受け、前年度に比べ、減収減益となりました。

バイオ事業では、主力の診断薬用酵素は販売が堅調に推移する中、為替の影響を受けましたが、診断システムやライフサイエンス用試薬は販売を伸ばしました。メディカル事業では、医薬品製造受託が受託案件獲得に苦戦しました。機能膜事業では、海水淡水化用逆浸透膜が為替の影響を受けました。

この結果、当事業の売上高は前年度比6億円(2.1%)減の271億円、営業利益は同4億円(9.4%)減の43億円となりました。

 

(繊維・商事事業)

当事業は、テキスタイルが為替の影響を受け、また、アクリル繊維が苦戦し、前年度に比べ、減収減益となりました。

スポーツ衣料製品は、順調に販売を伸ばしましたが、輸出向けナイロン織物はやや不振でした。インナー用途は量販店向けが低調でしたが、ユニフォーム用途は販売が堅調に推移しました。

テキスタイルは、中東向け特化生地が為替の影響を受けました。アクリル繊維は、中国向け輸出でアンチダンピング政策の影響を受け苦戦しました。

ブラジルで行ってきた繊維事業は市況低迷で業績が悪化、回復の目途が立たないと判断し当該事業を休止いたしました。

この結果、当事業の売上高は前年度比79億円(9.3%)減の776億円、営業利益は同14億円(57.4%)減の11億円となりました。

 

(不動産事業、その他事業)

当事業では、不動産、エンジニアリング、情報処理サービス、物流サービス等のインフラ事業は、それぞれ概ね計画どおりに推移しました。

この結果、当事業の売上高は、前年度比36億円(17.6%)減の170億円となり、営業利益は同5億円(17.7%)増の33億円となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、前年度比55億円(16.9%)収入が減少し、269億円の収入となりました。主な内容は、税金等調整前当期純利益139億円および減価償却費149億円です。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、前年度比35億円(32.9%)支出が増加し、141億円の支出となりました。主な内容は、有形及び無形固定資産の取得による支出172億円です。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、前年度比211億円(98.5%)支出が減少し、3億円の支出となりました。主な内容は、長期借入金の返済による支出203億円、配当金の支払額31億円および社債の発行による収入150億円です。

 

この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前年度末比121億円増の322億円となりました。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前連結会計年度比(%)

フィルム・機能樹脂事業

139,256

△0.9

産業マテリアル事業

69,912

1.5

ヘルスケア事業

26,664

△4.5

繊維・商事事業

77,654

△7.3

不動産事業

その他事業(うち製造事業)

19,247

△15.2

合計

332,733

△3.2

(注)1.金額は平均販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.外注生産を含んでおります。

3.消費税等の処理は税抜方式によっております。

4.不動産事業の生産実績はありません。

 

(2)受注実績

当社グループの製品は一部の受注生産を除き見込生産を行っております。

(3)販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前連結会計年度比(%)

フィルム・機能樹脂事業

138,574

△3.4

産業マテリアル事業

69,214

△1.9

ヘルスケア事業

27,134

△2.1

繊維・商事事業

77,552

△9.3

不動産事業

4,444

5.7

その他事業

12,569

△23.5

合計

329,487

△5.3

(注)1.総販売実績に対する販売実績の割合が100分の10以上となる販売先はありません。

2.セグメント間の取引については相殺消去しております。

3.消費税等の処理は税抜方式によっております。

 

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「順理則裕(じゅんりそくゆう)」を基本理念に捉えております。これは、「道理に生きることが、すなわち繁栄につながる」を意味しております。当社グループはこの理念に従い、今後とも皆様から信頼される企業であり続けるために、社会に役立つ製品やサービス等の提供を通じて、健全で持続可能な社会づくりに貢献してまいります。

当社グループの経営方針は、「不断のポートフォリオ改革」であります。収益性が高く成長力のある事業に経営資源を集中し、国内外での積極的な拡大を進めるとともに、資産効率を高め財務体質を強化することにより、企業価値のさらなる向上を進めてまいります。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループが重視する経営指標は、「使用総資本営業利益率(ROA)」であります。資本コストを勘案し、ROA8%以上をめざしております。各事業部およびグループ各社の事業を、損益、ROAおよびキャッシュ・フローという共通の基準で評価し、ポートフォリオ改革に取り組んでおります。

財務体質に関しては、「有利子負債と純資産(非支配株主持分を除く)の比率(D/Eレシオ)」を重視しており、より強固な財務体質をめざし、D/Eレシオを1.0倍まで引き下げることを目標にしております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題

当社グループは、「事業の成長拡大」に向けたアクションプランとして、「海外展開の加速」、「新製品の拡大・新事業の創出」、「国内事業の競争力強化」、「資産効率の改善」、「グローバル経営機能の強化」の5つを掲げております。これらのアクションプランのもと、これまで、エアバッグ用基布の海外拠点整備、またフィルムの新設備稼働や新製品拡販、さらにはポリエステルチェーン改革など、事業基盤の強化に取り組みました。今後は、こうした事業基盤を最大限に生かして、「事業の成長拡大」に取り組みます。

①海外展開の加速

当社グループは、現在、海外売上高比率が約30%にとどまっており、海外での事業拡大が課題であります。今後は、海外拠点の事業インフラの活用やアライアンス、M&Aなどを組み合わせて、特長ある製品や各地域のニーズに合った製品を、新興国など成長市場を中心に拡販していきます。

具体的な事例としては、エンジニアリングプラスチック事業で、新たに販売拠点を設立するインドにおいて事業の拡大を図ります。また、エアバッグ用基布事業では、「原糸から基布まで一貫生産のグローバルメーカー」をめざし、タイでの能力増強を手始めに海外展開を加速していきます。

また、海外での事業展開を支える人材の確保と育成も重要な課題であるとの認識から、海外拠点においては、現地スタッフの採用と育成を強化するとともに、多様な人材を幅広く活用していく人材戦略にも積極的に取り組んでいきます。

②新製品の拡大・新事業の創出

新製品の拡大では、液晶テレビ用途で大手偏光板メーカーに採用された“コスモシャイン SRF”を中心に、成長が期待される新製品を計画どおりに拡大し、真の成長ドライバーに育成していきます。

さらに「再生誘導材料」、「フィルム海外展開」、「分離膜」の3分野を今後の重点拡大分野と位置づけ、積極的な事業開発に取り組みます。また、製品のライフサイクルが短期化するなかで、新製品開発を加速させるためには、社外との協業を活用するオープンイノベーションがますます重要になってきており、骨再生誘導材のように、大学との協業から事業化の検討が進み成果が期待できる事例も出てきております。

今後も積極的にオープンイノベーションを取り入れながら、新製品開発を加速していきます。

③国内事業の競争力強化

コスト競争力は、企業の競争力の源泉であり、コストダウンは経営の常道として継続的に取り組むべき課題であります。原料の調達構造の改革に加えて、生産設備の再編や遊休地への事業誘致など国内事業所の構造改革を進めていきます。また事業部門、スタッフ部門を問わず、コストダウン目標と施策を設定し、計画に対する進捗の管理を徹底するなどして、国内事業の確実な競争力強化に努めます。

 

④資産効率の改善

衣料繊維の分野については、これまで設備縮小・廃棄を伴う構造改革を躊躇することなく進め、資産効率の改善に努めてきました。また、スペシャルティ事業にあっても、事業環境の変化など収益性が低下した事業の見直しを進めております。

具体的な取組としては、ブラジルにおける繊維事業を休止いたしました。今後も、ポートフォリオ改革の視点に立ち、事業層別管理を徹底するなか、グループ会社と一体となって資産効率を重視した経営を継続いたします。

⑤グローバル経営機能の強化

海外展開を加速し、事業拡大を実現するためには、グローバルにグループ経営できる機能を強化することが重要であります。具体的には、グローバルな業績管理体制の強化に努めるなど、組織運営を見直すとともに、それを支えるIT基盤の整備を進めております。さらに、グローバルな人材の確保と育成のための制度改革も行います。

 

当社グループは、これらのアクションプランを着実に実行し、グローバルに社会貢献できる会社、新しい技術、製品を創り続ける、成長力と安定性を備えた「強い会社」をめざしてまいります。

 

(会社の支配に関する基本方針)

 

当社は、平成29年5月11日に開催された取締役会において、「当社株式の大量買付行為への対応策(買収防衛策)」(以下「本プラン」といいます。)の更新を決定しました。本プランは、平成29年6月28日開催の当社定時株主総会(以下「本定時株主総会」といいます。)において、出席株主の議決権の過半数の賛同を得て可決されております。

 

(1)当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容の概要

当社は、上場会社として、株主の皆様による当社株券等の自由な売買を認める以上、当社の支配権の移転を伴う大量買付行為に応じるべきか否かのご判断は、最終的には株主の皆様の意思に基づき行われるべきだと考えております。

しかしながら、最近の我が国の資本市場における株券等の大量買付行為の中には、現経営陣の賛同を得ず一方的に行為を強行する動きも見受けられ、①対象会社に対し高値買取の要求を狙う買収である場合や、重要な資産・技術情報等を廉価に取得するなどして会社の犠牲の下に大量買付者の利益実現を狙う買収である場合、②株主の皆様に株式の売却を事実上強要するおそれがある買収である場合、③株主の皆様に十分な検討時間を与えず、また対象会社の経営陣との十分な協議や合意等のプロセスを経ることなく行われる買収である場合、④対象会社の企業価値向上のために必要な従業員、取引先、お客様等の利害関係者との関係を損なうおそれのある買収である場合等、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく毀損するおそれがあるものも少なくありません。

当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方としては、当社の財務および基本理念、事業内容、コアテクノロジーを十分理解し長期的視野に立って企業価値ひいては株主共同の利益を高めることを目的とする者であるべきだと考えます。したがいまして、当社は、上記のような当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれのある不適切な大量買付行為またはこれに類似する行為を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として適切ではなく、このような行為を抑止するための枠組みが必要不可欠であると考えております。

 

(2)基本方針の実現に資する特別な取組みの内容の概要

当社は、綿紡績を祖業としつつ、その後は化学繊維、合成繊維へと事業を拡大、その後には、フィルム、機能樹脂、スーパー繊維、機能膜、診断薬用酵素等の市場へも参入、以来、これらの製品に代表されるスペシャルティ事業の拡大を進めてきました。130年を超える歴史を通じて、当社は、「重合・変性」「加工」「バイオ」のコア技術を育むとともに、販売、開発、生産が一体となって、顧客の要請にきめ細かく応えていくビジネスモデルをつくり上げてきました。このビジネスモデルをもとに、さらに成長軌道に乗せるため、5つのアクションプランを設定し取り組むことで、事業の維持・拡大を図っています。

当社は、企業価値を「利益、キャッシュフロー、資産効率等の経済的価値」と「ステークホルダーからの信頼・評価を含めた社会的価値」の両方で構成されると考えており、これら両面から企業価値を高めていきます。

 

(3)基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの内容の概要

①本プランの概要

本プランは、大量買付者が大量買付行為を行うにあたり、所定の手続に従うことを要請するとともに、かかる手続に従わない大量買付行為が行われる場合や、かかる手続に従った場合であっても当該大量買付行為が当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく毀損するものであると判断される場合には、かかる大量買付行為に対する対抗措置として、原則として新株予約権を株主の皆様に無償で割り当てるものです。また、会社法その他の法律および当社の定款上認められるその他の対抗措置を発動することが適切と判断された場合には当該その他の対抗措置が用いられることもあります。

本プランに従って割り当てられる新株予約権(以下「本新株予約権」といいます。)には、大量買付者およびその関係者による行使を禁止する行使条件や、当社が本新株予約権の取得と引換えに大量買付者およびその関係者以外の株主の皆様に当社普通株式を交付する取得条項等を付すことが予定されております。

本新株予約権の無償割当てが実施された場合、かかる行使条件や取得条項により、当該大量買付者およびその関係者の有する議決権の当社の総議決権に占める割合は、大幅に希釈化される可能性があります。

 

②本プランの有効期間

本プランの有効期間は、本定時株主総会の終結の時から平成32年3月期に関する定時株主総会の終結の時までとします。

 

(4)本プランが基本方針に沿い、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、当社役員の地位の維持を目的とするものではないことおよびその理由

本プランは、以下の理由により、上記(1)の基本方針の実現に沿うものであり、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、また当社役員の地位の維持を目的とするものでもないと考えております。

①買収防衛策に関する指針(経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」)の要件等を完全に充足していること

②企業価値ひいては株主共同の利益の確保または向上を目的として更新されていること

③株主意思を重視するものであること

④独立性の高い社外者(独立委員会)の判断の重視

⑤対抗措置発動に係る合理的な客観的要件の設定

⑥独立した地位にある第三者専門家の助言の取得

⑦デッドハンド型買収防衛策やスローハンド型買収防衛策ではないこと

 

なお、本プランの詳細につきましては、インターネット上の当社のウェブサイト(http://www.toyobo.co.jp/news/2017/)に掲載されている平成29年5月11日付「当社株式の大量買付行為への対応策(買収防衛策)の更新に関するお知らせ」をご参照ください。

 

4【事業等のリスク】

当社グループの経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。

なお、記載内容のうち、将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)政治・経済情勢の悪化

当社グループは、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、繊維・商事などの各種製品を、国内外の各地で生産し、国内外の様々な市場で販売しております。このため、当社グループの当該生産拠点や主要市場において、政治的混乱や深刻な景気後退などが生じた場合には、当社グループの生産や販売の縮小が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)販売価格の下落等

当社グループは、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、繊維・商事などの各種製品を、国内外の様々な市場で販売しておりますが、その製品の多くは、他社製品と競合しております。このため、競合他社製品の値下げなどにより、当社グループ製品の販売価格下落や販売量の減少が生じる場合があります。また、メディカル分野などにおいては、公定価格水準の下落に伴い、当社グループ製品の販売価格が下落する場合があります。これらの場合には、当社グループの売上減少が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)重要な取引先の業績悪化、事業撤退等

当社グループは、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、繊維・商事などの各種製品を、国内外の様々な取引先に販売しておりますが、一部の製品については、主として特定の取引先に販売しております。このため、そのような取引先において、業績の悪化や当該製品に関連する事業の撤退、大規模な在庫調整、生産調整あるいは当該製品の大幅な値下げ要求などが生じた場合には、当社グループの売上減少が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)海外の主要市場における関税引き上げ、輸入規制等

当社グループは、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、繊維・商事などの各種製品を、国内外の様々な市場で販売しております。将来、海外の主要市場国において、アンチダンピング法などの規制により、関税引き上げ、数量制限などの輸入規制が課せられた場合には、輸出取引が制約を受け、当社グループの売上減少が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)与信状況の変化

当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、過去の貸倒実績率等に基づき、貸倒引当金を計上しております。また、与信管理制度のもと、取引先別に限度額を設定するなど、与信リスクミニマイズへの対応策をとっております。しかしながら、景気後退などにより重要な取引先が破綻した場合には、貸倒引当金を大幅に超える貸倒損失が発生するなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)製品の欠陥等

当社グループは、「地球環境・安全」「PL/QA」各委員会の活動などにより、製品の欠陥などの発生リスクを未然に防止しながら、所定の品質管理基準に従って、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、繊維・商事などの各種製品を生産しております。また、製造物責任賠償については保険に加入しております。しかしながら、全ての製品に欠陥がなく、将来的に不良品が発生しないという保証はなく、また、最終的に負担する賠償額を保険でカバーできるとも限りません。このため、重大な製品の欠陥などが発生した場合には、多額の損害賠償支払いや当社グループの信用失墜が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)原材料の購入

当社グループは、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、繊維・商事などの各種製品を生産するため、様々な取引先から原材料を購入しております。主要な原材料については、リスク管理の観点からも可能なかぎり複数の取引先からの購入を行っていきますが、取引先の破綻や事業撤退、縮小や事故などが発生した場合など、必要量の原材料を確保できない可能性があります。また、量の確保ができた場合でも、原油価格の上昇や当該原材料の需給バランスなどにより、購入価格が高騰する可能性もあります。そのような場合には、当社グループで生産縮小やコスト上昇が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)知的財産

当社グループは、重合・変性・加工・バイオのコアテクノロジーを駆使して、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケアなど強い競争力を持つ高機能製品の事業領域で事業規模の積極拡大を図っております。このため、当社グループでは、他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積し、その保護に努めておりますが、特定の技術や地域ではそれらの保護が十分ではなく、第三者による類似製品の生産販売を阻止できない可能性があり、また、他社が当社グループの知的財産権の模倣に対し十分排除できない可能性もあります。さらに、当社グループでは、他社の知的財産権に最大限配慮しながら、製品や技術の開発を行っておりますが、これらの開発成果が他社の知的財産権を侵害しているとされる可能性もあります。このように、当社グループの知的財産権が侵害され、あるいは当社グループが他社の知的財産権を侵害しているとされた場合には、当社グループで売上減少や損害賠償支払いが生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)新製品や新用途の開発

当社グループは、重合・変性・加工・バイオのコアテクノロジーを駆使して、社会に貢献する価値を創出し続ける高機能製品メーカーを目指して、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケアなど強い競争力を持つ高機能製品の事業領域に研究開発投資を集中させ、新製品や新用途の開発に注力しております。しかしながら、研究開発活動はその性格から、成果の発生が不確実なものであるため、競争力のある新製品や新用途を十分に開発できない可能性もあります。そのような場合には、当社グループの将来の成長と収益性を低下させるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)公的規制

当社グループは、国内外の各地で生産活動ほかの企業活動を行っており、それぞれの事業所が、事業の許認可、租税、環境関連など様々な公的規制を受けております。そのようななか、たとえば、主要な事業所で、環境関連の法規制強化や取水制限などが行われる場合、あるいは、現在使用している化学物質が使用禁止になる場合や使用濃度規制が行われる場合には、生産活動ほかの企業活動が大幅に制約され、あるいは、同規制を遵守するために、多額の設備投資や租税ほかの費用負担を余儀なくされるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)訴訟

当社グループは、国内外の各地で生産活動ほかの企業活動を行っており、その過程において、製造物責任、環境、労務、知的財産等に関し、当社グループに対し訴訟を提起される可能性があります。

なお、当連結会計年度中において係争中である重要な訴訟は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (2)その他」に記載のとおりであります。当社としては、訴訟の中で相手方の主張が誤りであることを立証し、適切な防御を行ってまいりますが、当社あるいはグループ会社が敗訴した場合、損害賠償金の支払いが命じられるおそれがあるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)為替レートの大幅変動

当社グループの事業には、海外諸地域における各種製品の販売および生産が相当量含まれております。このため、為替レートの大幅な変動が生じた場合、円換算後の売上減少やコストの上昇、あるいは価格競争力の低下が発生するなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

また、海外の連結子会社や持分法適用会社の経営成績は、連結財務諸表作成において円換算されるため、換算時の為替レートにより円換算後の価値が大幅に変動し、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(13)金利の大幅上昇

当社グループは、有利子負債の圧縮や支払利率の固定化に努めております。しかしながら、現在の金利水準が大きく上昇した場合には、支払利息の相当な増加が見込まれるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)株価の大幅下落

当社グループは、市場性のある株式を相当量保有しており、株価が大幅に下落した場合には、その他有価証券評価差額金の減少や売却時に損失が発生するなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)地価の大幅下落

当社グループは、休止工場跡地などの土地を保有しており、その多くは土地の再評価に関する法律に基づき再評価を行っておりますが、地価が大幅に下落した場合には、減損損失や売却時に損失が発生するなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)退職給付債務・退職給付費用

当社グループの退職給付債務および退職給付費用は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回りなどに基づき算出されており、年金数理計算上の前提条件の変更、年金資産の時価の変動、金利動向、退職金・年金制度の変更などにより、退職給付債務の増加および退職給付費用(数理計算上の差異の費用処理額)の増加が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)格付の低下

当社グループは、金融機関からの借入や社債の発行などにより資金調達を行っております。格付機関が、当社の既発行債券などの格付を引き下げた場合、資金調達への大きな影響が考えられるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(18)繰延税金資産

当社グループは、税務上の繰越欠損金および将来減算一時差異に対して、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産は、将来の課税所得に関する予測等に基づき、回収可能性を検討し計上しておりますが、将来の課税所得が予測等と異なり回収可能性の見直しが必要となった場合や税率変更を含む税制の改正などがあった場合には、繰延税金資産の取崩しが生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(19)災害等の発生

当社グループは、国内外の各地で生産活動ほかの企業活動を行っており、災害などについて、それぞれの工場ほか各事業所での設備管理を徹底するなど、可能なかぎりその発生を未然に防ぐように努めております。しかしながら、それらの工場ほかで大規模な地震、風水害、雪害などの自然災害や火災および新型インフルエンザなどの感染症が発生した場合、あるいは取引先において同様の災害被害が発生した場合には、当社グループの生産活動ほかに著しい支障が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(20)海外での事業活動

当社グループは、アクションプランのひとつとして「海外展開の加速」を掲げ、グローバルな事業展開を積極的に推進しています。また、海外事業活動に伴うリスクに備え、海外リスクマネジメント体制の整備に努めております。しかしながら、各国での予期しない法令、規制や政策等の変更、またはテロ、戦争、政変やその他の要因による社会的混乱などが生じた場合は、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)供与技術契約

契約会社名

契約項目

契約の内容

相手先

契約締結年月

(有効期間)

対価

東洋紡㈱

(当社)

活性炭素繊維

Kフイルターによる溶剤吸着処理装置に関する技術援助の供与

(米国)

Met-Pro
Corporation

昭和55年7月1日

(昭和55年7月1日

自動延長)

技術使用料ほか

同上

同上

同上

(英国)

CJB Developments
Limited

昭和56年3月4日

(昭和56年3月4日

自動延長)

同上

同上

同上

同上

(ドイツ)

Durr Anlagenbau
GmbH

昭和59年10月18日

(昭和59年10月18日

昭和62年10月17日

自動延長)

同上

同上

同上

同上

(韓国)

斗山機械株式会社

平成3年8月5日

(平成3年9月25日

平成6年9月24日

自動延長)

同上

同上

同上

同上

(台湾)

清隆企業股份有限公司

平成5年9月1日

(平成5年9月1日

平成8年8月31日

自動延長)

同上

同上

同上

同上

(米国)

Durr Industries,
Inc.

平成8年12月25日

(平成8年12月25日

平成11年12月24日

自動延長)

同上

 

(2)東洋紡GFA㈱との合併契約

当社は、平成28年12月22日開催の取締役会において、当社の連結子会社である東洋紡GFA㈱を吸収合併することを決定し、同日付で合併契約を締結し、平成29年4月1日付で吸収合併いたしました。詳細については、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に関する注記をご参照下さい。

 

6【研究開発活動】

当社グループは、「順理則裕」の企業理念のもと、「環境、ヘルスケア、高機能で、社会に貢献する価値を、創りつづけるカテゴリー・リーダー」をめざしています。長年培ってきたコア技術である「重合・変性」、「加工」、「バイオ」をさらに発展・深化させるとともに、それらを組み合わせ、融合させることで、新製品、新技術、新機能の創出に注力しました。

当社グループの研究開発は、セグメントごとに担当事業部が直接運営する事業部研究部門と、中長期的視点から次代を担う新製品・新技術を開発する全社共通のコーポレート研究部門とに大別されます。これらの研究開発のマネジメントは事業開発管理部が担当し、各部門相互の連携を図りながら、当社グループの総合力を発揮した研究開発活動を推進しました。

 

(フィルム・機能樹脂事業)

包装用フィルム分野では、薄肉化可能な環境対応商品として高強度で縦・横・両方向に収縮可能な熱収縮性ポリエステルフィルム“スペースクリーン”、高耐熱高剛性ポリプロピレンフィルムが用途拡大し、環境を意識したバイオマス原料を使用したポリエステルフィルム“バイオプラーナ”やリサイクル原料を使用したポリエステルフィルム“サイクルクリーン”も採用・用途が拡大しました。また、タフネス性を有した高強度ポリエステルフィルム“タフスター”、無機二元蒸着バリアフィルム“エコシアール”等の新商品は認証・採用が拡大しました。食品用途以外の業界についても“オリエステル”等でショッピングバッグや折り紙、ブックカバー、ひねるだけで臭いが気にならないおむつ処理袋“ひねってポイ”などさらに採用が進みました。

工業用フィルム分野では、液晶ディスプレイ用のバックライト光源のLED化が進むなか、LED光源の特徴との組み合わせにより、虹むらを解消し、画像の再現性を高める超複屈折フィルム“コスモシャイン SRF”が液晶テレビ向けおよびカーナビ用のタッチパネル用途に販売を拡大しました。さらなる供給量拡大のためにつるがフイルム工場でも増産体制を確立し、今春より販売開始の予定であります。また、市場の要望に応えるために薄膜化製品の開発に注力しています。電子部品用ハイクリーン離型フィルムについては販売が拡大しました。また、工業用メカニカルリサイクルポリエステルフィルム“リシャイン”、コンシュマーラベル用合成紙“カミシャイン”、タッチペンの耐久性を向上した電子辞書用透明導電性フィルム等を開発上市しました。

重金属を含まず環境にやさしいポリエステル重合触媒“TOYOBO GS Catalyst”については、その優れた特徴を活かし、太陽電池用高耐久性フィルム用途や特殊繊維用途の拡大が進み、機能性フィルムや成型用途での検討が進みました。また、GS触媒ライセンス事業については海外大手PETメーカーにおける商業生産の目処が立ちました。

エンジニアリングプラスチック分野では、自動車用途で年々高まる軽量化要求に応えるべく種々の素材で開発を進めました。その結果、金属代替樹脂、ゴム代替樹脂などの用途を中心に日系自動車への採用が拡大しました。また、着実な海外拠点拡大を進める中で、強みの自動車内装用途を中心に欧米自動車メーカーへの採用も増えつつあります。特に、さらなる自動車の環境対応ニーズにあわせて超微細発泡技術、超耐熱技術、異種素材接着技術を加味したグレードを開発し、高機能性ポリアミド樹脂“グラマイド”と高機能性ポリエステルエラストマー“ペルプレン”を中心にラインナップさせ用途開発を促進させました。高機能性ポリエステル樹脂“バイロペット”ではランプエクステンション材や自動車内装部品において海外での採用の拡大が順調に進みました。バイオマス原料を用いた高融点ポリアミド樹脂“バイロアミド”については超耐熱と高強度を活かした各種産業用機構部品への採用も始まりました。

高機能共重合ポリエステル樹脂“バイロン”は、従来に比べ高密着、高耐久化できる樹脂変性方法を開発しました。これにより電気電子、自動車周辺用途の塗料、接着用途に評価、採用が進みました。高耐熱共重合ポリアミドイミド樹脂“バイロマックス”は応用開発による耐久性、耐熱性の改良を進めた結果、電気電子用途での採用が拡大しました。変性ポリオレフィン樹脂“ハードレン”は、海外向けの新規樹脂開発、技術サービスを強化することで、自動車バンパープライマー用途や電子部品用接着剤などで新市場を獲得しました。“バイロン”と“ハードレン”の素材、技術を融合した高機能樹脂変性技術は、引き続き開発を進めています。

以上、当事業に係る研究開発費は51億円であります。

 

(産業マテリアル事業)

自動車関連分野では、長繊維不織布を使用したトノカバー“モデナ”を展開していますが、中国国内での現地調達の要望が高まり、OEMによる現地生産体制を整え、販売を開始しました。エアバッグ用基布は、グローバル供給体制の整備や共通仕様化を進め、海外ユーザーへの展開を進めました。

超高強力ポリエチレン繊維は、世界戦略製品と位置付けし、平成28年4月より新商標“イザナス”に変更しました。また、より高強度化の製品を生産するための新技術を開発しました。

フィルター分野では、新型高帯電エレクトレットフィルターを開発し、マスクやOA機器用途への販売を開始しました。

三次元スプリング構造体“ブレスエアー”は、柔らかさと底付き感の抑制の両立および従来品と比較し、体圧分散性もさらに向上させた三層構造タイプを開発し、大型寝装企画や大手ペットケア関連メーカーと共同開発した介護用ペットベッドに採用されました。

雑貨分野では、吸放湿する機能皮革“ブレスレザー”の快適性をレベルアップさせ、ランドセルの背裏や肩ベルトの部位に採用されました。

以上、当事業に係る研究開発費は11億円であります。

 

(ヘルスケア事業)

バイオケミカル分野では、主力の血糖測定用酵素の新製品の採用が着実に進みました。診断システムでは、遺伝子検査システム用の試薬の新銘柄を追加しました。バイオ研究試薬では、エピジェネティクス研究用の画期的な新製品を開発し、販売を開始しました。また、食品検査用試薬の採用も進みました。

医療機器分野では、神経再生誘導チューブ“ナーブリッジ”が整形外科医等の標準治療として認められ、大学病院だけでなく、一般病院においても臨床使用数が増加し、平成28年に保険請求が承認された歯科・口腔外科領域での適用も拡大しています。また、材料表面の生体適合性を向上させる医療用コーティング“セックワン”関連では、昨年、製造販売の承認を取得した末梢静脈挿入用カテーテルに続き、バスキュラーアクセスカテーテルを上市し、商品のラインナップ拡充を図りました。さらに、次世代の骨再生誘導材については、歯科・口腔外科領域の治験も順調に進んでいることから、厚生労働省の承認申請に向けた準備を開始しました。

人工腎臓用中空糸膜では、血液濾過用ならびに血液透析用の非対称膜の開発を進めました。また、これらの商品の生産性の効率を上げるプロセス開発に取り組みました。

水処理膜では、海水淡水化用正浸透膜の開発と、モジュールの高性能化、およびその実用研究を進めました。

以上、当事業に係る研究開発費は9億円であります。

 

(繊維・商事事業)

中東民族衣装向け生地については、長短複合紡績糸使用織物“Royal Mix”の新風合い加工開発を進め、トップブランドとしての評価を高めました。

ビジネスウェア分野では、スポーツ分野で培った技術を駆使し、ストレッチ性、イージーケア性に優れたニットスーツ、シャツのテキスタイルバリエーションの拡充、機能加工との組み合わせを行い、採用が進みました。

スポーツ分野ではアウトドア用途向けに耐摩耗性に優れた織物“シルファイン”シリーズや“マナードウール”、インナー分野では大手SPAとの取組で機能ワタ“デオドランC”や特化紡績糸の採用が進みました。

フィルム状導電素材“COCOMI”を用いた生体情報計測ウェアの開発については、ナショナルプロジェクトに参画するとともに積極的な研究開発およびマーケティング活動を進め、競走馬の心拍計測用腹帯カバーや眠気検知システムへの展開に道を拓きつつあります。

機能材分野では、ヒートアイランド現象に対する環境対策として保水パネル“アースキーパー”を開発しました。多孔質骨材と吸水性繊維をセメントで固めたパネルが水分を保持し、効率的かつ持続的に蒸発することによる打ち水効果で建物、道路等を冷却します。今後、販売を促進していきます。

以上、当事業に係る研究開発費は6億円であります。

 

(全社共通)

全社共通の研究開発組織であるコーポレート研究所は、当社グループの将来を担う新製品・新技術の開発を行うだけでなく、各種分析・評価業務やコンピューターシミュレーションによる解析業務を通じて、研究開発全般を支援する全社研究インフラとしての機能も有しています。また、新技術の調査および研究開発のスピードアップを図るため、ナショナルプロジェクトへの参画や国内外の企業、大学、研究機関との連携を通したオープンイノベーション活動を積極的に進めています。

当社の高分子重合技術や成形加工技術を駆使した耐熱性・寸法安定性に優れる新規ポリイミドフィルムについては、ハイエンド製品を中心に着実に用途を拡大させつつあります。より一層の研究開発およびマーケティング活動を進め、ユーザーおよび用途のさらなる拡大をめざします。

当社はこれまでバイオ由来の原料から重合したバイオ樹脂の製造・販売を実施してきましたが、この度、ガスバリヤ性に優れたポリエチレンフラノエートの製造、フィルム化について国内外の企業と連携しその開発を進めています。

以上、全社共通のコーポレート研究に係る研究開発費は34億円です。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態の分析

当連結会計年度末の総資産は、前年度末比62億円(1.4%)増の4,508億円となりました。これは主として現金及び預金が増加したことによります。

当連結会計年度末の負債は、前年度末比46億円(1.6%)減の2,799億円となりました。これは主として長期借入金が減少したことによります。

当連結会計年度末の純資産は、利益剰余金や退職給付に係る調整累計額が増加したことなどから、前年度末比108億円(6.8%)増の1,709億円となりました。

また、財政状態に関する各種指標(連結ベース)は以下のとおりであります。

回次

 

第155期

第156期

第157期

第158期

第159期

決算年月

 

平成25年3月

平成26年3月

平成27年3月

平成28年3月

平成29年3月

自己資本比率

(%)

30.8

31.2

33.9

35.3

37.2

時価ベースの自己資本比率

(%)

31.8

31.5

30.9

33.7

38.0

キャッシュ・フロー対

有利子負債比率

(年)

5.3

7.1

8.8

5.1

6.3

インタレスト・カバレッジ・レシオ

(倍)

16.0

13.3

11.3

19.4

19.3

有利子負債自己資本比率
(D/Eレシオ)

(倍)

1.16

1.20

1.12

1.05

1.01

自己資本比率:非支配株主持分を含まない期末純資産/期末総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額[期末株価終値×自己株式控除後の期末発行済株式数]/期末総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:期末有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利息の支払額
有利子負債自己資本比率:期末有利子負債/非支配株主持分を含まない期末純資産

 

なお、キャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載のとおりであります。

 

(2)経営成績の分析

①売上高

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比183億円(5.3%)減の3,295億円となりました。この売上高の減少は、主として、原燃料費低下に伴う売価の値下げによるものであります。

セグメント別の売上高の状況は、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載のとおりであります。

②売上総利益

当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度比1億円(0.2%)減の795億円となりましたこの売上総利益の減少は、アクリル繊維の販売量が減少したことなどによるものであります。

③販売費及び一般管理費

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度比4億円(0.6%)減の562億円となりました。この販売費及び一般管理費の減少は、運送・保管費などが減少したことによるものであります。

④営業利益

上述のとおり、売上総利益は減少したものの、販売費及び一般管理費も減少した結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度比2億円(0.9%)増の233億円となりました。

セグメント別の営業利益の状況は、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載のとおりであります。

⑤営業外収益(費用)

当連結会計年度の営業外収益(費用)は、為替差損が増加したものの、持分法による投資利益の改善や支払利息が減少したことなどにより、前連結会計年度の27億円の費用(純額)から0億円改善し、27億円の費用(純額)となりました。

⑥特別利益・損失

当連結会計年度の特別利益は5億円、特別損失は72億円となりました。

特別利益は、固定資産売却益3億円および投資有価証券売却益2億円であります。

特別損失の主なものは、保有固定資産を除却したことなどによる固定資産処分損23億円、連結子会社の事業規模縮小などに伴う減損損失20億円、ブラジルにおける繊維事業の休止などに伴う構造改善関係費11億円および在外子会社清算に伴う為替換算調整勘定取崩損11億円であります

⑦親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比7億円(6.9%)減の94億円となりました。また、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の11.43円から、当連結会計年度は10.64円となりました。