第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

①基本方針

当社グループは、経営理念「私たちクラボウグループは、新しい価値の創造を通じてより良い未来社会づくりに貢献します。」のもと、サステナビリティ経営を推進し、当社グループが株主及び取引先をはじめとするステークホルダーから存在価値を評価され、信頼感が持てる企業、安心感を与える企業として支持されることを目指します。

また、社会的責任遂行のための行動指針「クラボウグループ倫理綱領」に則り、地球環境の保全をはじめとするサステナブルな社会の実現に貢献するとともに、豊かで健康的な生活環境づくりを目指して、独創的で真に価値のある商品・情報・サービスを提供し、グループの企業価値を高めてまいります。

 

②中期経営計画

当社グループは、2030年のあるべき姿を描いた「長期ビジョン2030」の第3ステージにあたる3ヵ年の新中期経営計画「Accelerate'27」(2025年4月~2028年3月)を策定し、2025年4月よりスタートしました。

「Accelerate'27」では、基本方針を「高収益事業の成長加速と経営資源の効率的な活用による企業価値の向上」とし、以下の重点施策に取り組むとともに、目標の達成に向けて、経営資源を効率的に活用しながら、更なる成長を加速させるための最適な事業ポートフォリオを構築してまいります。

 

<重点施策>

・成長市場に向けた注力事業の展開・加速と基盤事業の収益力強化

・R&D活動の強化と新規事業の創出・収益化

・サステナブル社会の実現への貢献

・エンゲージメントの高い組織の構築

 

その目標数値は、以下のとおりです。

指 標

2025年度

2026年度

2027年度

売上高

1,440億円

1,520億円

1,650億円

営業利益

80億円

112億円

130億円

R O E

8.0%

9.0%

10.0%

R O A

4.3%

6.2%

7.5%

R O I C

4.4%

6.4%

7.9%

(注)ROE:自己資本当期純利益率、ROA:総資産営業利益率、ROIC:投下資本利益率

 

(2) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

今後の経済情勢につきましては、引き続き、緩やかな回復基調で推移するものと思われますが、ウクライナ情勢や中東情勢は不安定な状況が続き、中国経済の回復も見通せないなか、米政権が推し進める追加関税などの政策変更により世界経済が景気後退に陥るリスクも懸念され、先行きは極めて不透明な状況です。

このような経営環境のなかで、当社グループは、2030年のあるべき姿を描いた「長期ビジョン2030」の第3ステージにあたる3ヵ年の新中期経営計画「Accelerate'27」(2025年4月~2028年3月)を策定し、2025年4月よりスタートしました。

「Accelerate'27」では、基本方針を「高収益事業の成長加速と経営資源の効率的な活用による企業価値の向上」とし、以下の重点施策に取り組むとともに、目標の達成に向けて、経営資源を効率的に活用しながら、更なる成長を加速させるための最適な事業ポートフォリオを構築してまいります。

 

<重点施策>

① 成長市場に向けた注力事業の展開・加速と基盤事業の収益力強化

半導体製造関連や自動化・制御装置、メディカルといった成長を続ける市場に向け、収益力の高い注力事業、すなわち高機能プロダクツ事業、エレクトロニクス事業、ライフサイエンス・テクノロジー事業等へ経営資源を集中し、事業の拡大を加速いたします。また、社会課題の解決に資する、基盤事業における安定収益の確保と、低採算事業の収益構造の転換を図ることで、グループ全体の経営基盤を支えていくための収益力を強化してまいります。

 

② R&D活動の強化と新規事業の創出・収益化

ロボットセンシング、セミコンソリューション、ライフサイエンス・テクノロジー、マテリアルソリューションに重点を置いた研究開発活動を推進し、新規事業の創出と早期収益化を図ります。また、公的機関やベンチャー企業とも連携し、持続的成長を支える、次世代技術の創出を目指します。

 

③ サステナブル社会の実現への貢献

当社グループは、「サステナビリティに関する基本方針」及び経営理念のもと、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指すサステナブル経営を一層推進するため、サステナビリティ・CSRに係るガバナンス体制を一部変更し、「サステナビリティ委員会」を設置しました。新たな体制の下、人権や法令順守といったコンプライアンス面での統治だけでなく、当社グループのマテリアリティへの取組みを一層強化するとともに、サプライチェーンの適切な管理にも注力し、サステナブル社会の実現に資する活動を推進してまいります。

当社グループのサステナビリティに関する取組みの詳細は、以下の当社ホームページに掲載しています。

 

当社グループのサステナビリティ:https://www.kurabo.co.jp/sustainability/

 

④ エンゲージメントの高い組織の構築

変化の激しい時代のなかで、「イノベーションと高収益を生み出す強い企業グループ」を目指し、企業価値を持続的に向上させるため、好奇心と行動力で新しい価値を生み出すことのできる、チャレンジ精神と創造的思考力を持った社員の育成に注力しています。

働きやすさとやりがいを感じられる職場環境のなかで、社員一人一人が企業価値の持続的向上に主体的に貢献する「エンゲージメントの高い組織」の構築のための施策に取り組んでまいります。

 

<投資の基本方針>

企業価値の持続的な向上を図るため、成長に向けたM&Aや設備投資、研究開発や知的財産、人材への投資などへ積極的かつ継続的に、また適切に投入してまいります。

設備投資については、持続的な成長を図るためにも、優先的に注力事業や環境に配慮した投資を実施いたします。

 

<財務・資本政策>

① 株主還元の方針

当社は、株主の皆様に対する配当を企業の重要課題の一つであるとの認識に立ち、継続的・安定的な利益還元を基本としており、「Accelerate'27」期間においては、株主資本配当率(DOE)4%を目標値として設定いたしました。

また、株主還元の充実及び資本効率の向上を図るため、「Accelerate'27」の3年間で200億円の自己株式の取得を併せて実施してまいります。

 

② 政策保有株式の縮減方針

政策保有株式につきましては、売却を段階的に進め、「Accelerate'27」の最終年度である2027年度末までに連結純資産比20%未満まで縮減する方針です。

 

<キャッシュ・アロケーション>

「Accelerate’27」では、資金の源泉(キャッシュイン)として、3年間で生み出す営業キャッシュフローと非営業資産である政策保有株式の売却収入を見込んでいます。

これらのキャッシュインに対するアロケーションは、投資の基本方針に則った成長のための設備投資・M&Aや、資本政策に則った配当と自己株式の取得に充ててまいります。

 

セグメントごとの経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は、以下のとおりであります。

 

①化成品事業

(経営環境)

化成品事業では、半導体をはじめ自動車、建築、産業資材など様々な業界に幅広く、汎用から高機能にわたる合成樹脂を中心とした製品事業を展開しており、顧客に密着した商品開発・営業により、顧客ニーズに迅速かつきめ細かく対応できる体制を構築しています。それぞれの分野において処方開発、成形技術やSDGsを意識した商品開発など、開発体制の一層の強化と、生産技術の向上による業容の拡大に注力しています。

なお、米政権が推し進める追加関税などの政策変更により、事業運営に影響が出る可能性があります。

(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)

高機能プロダクツ(高機能樹脂製品、機能フィルム)を成長・注力事業と位置付け、経営資源を集中して業容拡大に取り組んでまいります。高機能樹脂製品では、半導体市場の今後の更なる拡大に向け、今春稼働した熊本イノベーションセンターを活用し、業容拡大に取り組み、機能フィルムでは三重工場の新ラインを活用した拡販を進めてまいります。

基盤事業と位置付けている産業マテリアル(軟質ウレタン、住宅用建材、機能資材、不織布)では、安定した収益確保に向けて生産体制の効率化に取り組むとともに、新商品開発・新市場開拓にも取り組んでまいります。

また、今後の市場拡大が見込まれる熱可塑性炭素繊維複合シート「KURAPOWER SHEET(クラパワーシート)」の早期事業化に向けたマーケティング活動と技術開発に注力してまいります。

 

②繊維事業

(経営環境)

繊維事業では、紡績、織布、染色整理加工、縫製における独自の技術を生かし、綿を中心とした天然繊維をベースに糸やテキスタイルなどの繊維製品に関する事業を展開しています。

繊維業界を取り巻く環境は、原燃料価格や為替の大幅な変動などきびしい状況が続いていますが、一方で高機能繊維製品やサステナブルを訴求した素材への需要が増加しています。

高収益事業への転換と業容拡大を目指して、独自技術を生かした新商品・サービスの開発と販売拡大に注力するとともに、効率化を重視した生産体制の構築を推進しています。

(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)

糸では、原料改質技術を活用した高機能製品「NaTech(ネイテック)」の開発推進と販売拡大、ユニフォームでは、「PROBAN(プロバン)」、「BREVANO(ブレバノ)」等の防炎素材や、暑熱環境下におけるリスク低減の管理システム「Smartfit(スマートフィット)」など、働く人へ安全と快適を提供するビジネスへの転換を進め、カジュアルでは、需要の高まる軽量で機能性の高い快適な独自のテキスタイル開発と海外生産拠点を活用した高品質で短納期対応が可能な生産体制の構築に取り組んでまいります。これらの取組みにより、各分野でサステナブル社会の実現に貢献できる商品・技術の開発、販売を行ってまいります。

なお、事業の構造改革の一環として、2025年3月25日開催の取締役会において、安城工場を閉鎖することを決議しました。今後は、高付加価値素材の開発拠点として、テキスタイル・イノベーションセンターの機能を強化するとともに、紡績・織布については、生産は海外関係会社等に移管し、グローバルサプライチェーン全体を見据えた供給体制を整備することで、繊維事業セグメント全体の収益基盤強化を図ってまいります。

 

③環境メカトロニクス事業

(経営環境)

環境メカトロニクス事業では、ライフサイエンス・テクノロジーは遺伝子抽出・解析、細胞、ビジョンセンサー、AI、ロボット、FA設備等の技術を生かし、人手に大きく依存している医療や研究現場、多岐にわたる業界の生産現場などで品質、生産性の向上、自動化に貢献しています。

エレクトロニクスは、画像処理及び情報処理といった基盤技術を軸に、半導体、フィルムなど幅広い業界へ向けた検査・計測・色彩管理システム等を開発・販売しており、高精度かつ効率的な品質管理を実現します。

エンジニアリングは、循環型社会の実現に貢献する環境関連や半導体関連の工場設備などのプラント設計・製造・工事等を行っています。

(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)

ライフサイエンス・テクノロジーでは、臨床検査市場への進出や遺伝子抽出・解析関連での業容拡大に加え、撹拌脱泡装置「MAZERUSTAR(マゼルスター)」の医療材料、化粧品、エネルギーなど新たな市場への拡販に取り組んでまいります。また、高速3Dビジョンセンサー「KURASENSE(クラセンス)」の商品開発力の強化や7軸協働ロボットシステム「KURAVIZON(クラビゾン)」の拡販に注力してまいります。

エレクトロニクスでは、商品力強化による競争優位性の獲得、海外市場への拡販に努め、半導体関連の検査・計測ビジネス及び、鉄道や路面をはじめとしたインフラ検査ビジネスの拡大を図ってまいります。

エンジニアリングでは、バイオマスボイラー、水族館、医薬品製造工場など設備プラント工事の受注拡大や半導体関連設備、家畜排せつ物処理装置「FUNTO(フント)」の拡販など、環境・設備関連ビジネスの拡大と新商品開発に取り組んでまいります。

 

④食品・サービス事業

(経営環境)

食品・サービス事業では、フリーズドライ食品の製造・販売やホテル等の運営を行っています。

食品事業が属するフリーズドライ業界では、小売り価格の値上げを背景とした消費者の節約志向の継続が懸念されます。

ホテル関連では、宿泊は国内の観光需要が堅調であり、更なる拡大が見込まれるインバウンド需要を確実に取り込むための施策を推進しています。

(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)

食品事業では、消費者の節約志向に対応すべく、安価でありながら付加価値の高い商品の開発・提案にも注力し、顧客満足度の向上に努めてまいります。また、引き続き環境面にも配慮した事業活動も積極的に進めてまいります。

ホテル関連では、インバウンド需要を取り込むための販促活動を更に強化するとともに、魅力的な商品・サービスの開発・提供などによる集客力の強化を図ってまいります。

 

⑤不動産事業

(経営環境)

不動産事業では、工場跡地等の遊休資産の有効活用による長期安定収益の確保を目指し、オフィスや商業施設、大規模メガソーラー用地等の不動産賃貸を展開しています。

賃貸事業の主力である大型商業施設では、ネット通販やドラッグストアとの競争激化などにより、賃貸先の経営環境に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)

大型商業施設賃貸事業では、賃貸先の経営環境を注視しながら、効率的な事業推進を行い、引き続き、長期安定収益の維持・確保に努めてまいります。

また、遊休地の再開発等による早期収益化についても、取り組んでまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティに関する基本方針

当社グループでは、持続可能な社会の実現に貢献するためには、企業自らが持続的な企業価値の向上を目指さなければならないと考えており、付加価値の高い技術や商品・サービスを創出し、高収益事業を育成・拡大するとともに、当社グループの経営理念である「私たちクラボウグループは、新しい価値の創造を通じてより良い未来社会づくりに貢献します。」のもと、以下の実践に努めます。

①事業を通じた社会課題解決への貢献

②地球環境の保全を意識した事業活動の推進

③人権の尊重及び働きやすさとやりがいのある職場環境の整備

④信頼される企業づくりの推進

 

(2) ガバナンス

当社取締役会は、下記の「(3) リスク管理」に記載のクラボウグループCSR活動推進体制のもと、クラボウCSR委員会の活動を通じて当社グループのサステナビリティ活動の統括を行っています。

当社のガバナンス体制は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 イ.当該体制を採用する理由」に記載する体制図を参照ください。なお、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指すサステナブル経営を一層推進するため、2025年4月1日付けで「クラボウCSR委員会」を「サステナビリティ委員会」に、「CSR専門委員会」を「サステナビリティ専門委員会」に改称するなど、サステナビリティ・CSRに係るガバナンス体制を一部変更しました。

 

(3) リスク管理

当社グループでは、「クラボウグループ倫理綱領」に則り、クラボウCSR委員会の統括のもと、8つのCSR専門委員会がそれぞれ担当するサステナビリティ関連のリスクや課題への対応を行っています。

クラボウCSR委員会は毎年4月に、各CSR専門委員会から前年度の活動結果の報告を受けるとともに、当該年度の活動内容を承認しています。これらの内容は、取締役会に報告され、その承認を得ています。

また、リスク管理・コンプライアンス委員会は、毎年、当社グループの事業リスクを抽出し、これをもとにリスクマップを策定しています。

 

■クラボウグループCSR活動推進体制図(2025年3月31日現在)

 

 

 

クラボウCSR委員会

(委員: 取締役(監査等委員である取締役を除く。)・執行役員、監査等委員には出席・意見陳述権)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラボウCSR推進委員会

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人権啓発

委員会

 

安全衛生

管理委員会

 

環境

委員会

 

リスク管理・コンプライアンス委員会

 

製品安全

委員会

 

情報セキュリティ

委員会

 

品質保証

委員会

 

広報

委員会

 

内部通報

体制(ホットライン)

 

(4) 戦略

①中期経営計画「Progress'24」におけるサステナビリティ対応

当社は、中期経営計画「Progress'24」において、社会課題の解決に取り組むなどサステナビリティを意識したESG経営を進めることを表明し、重点施策として「SDGs達成への貢献」、「多様な人材の活躍推進」を掲げています。

「SDGs達成への貢献」に関しては、創業以来、労働環境の改善や地域社会の発展へ貢献してまいりましたが、
メーカーとしての責任を果たすものとして、目標9の「産業と技術革新の基盤をつくろう」、目標11の「住み続けられるまちづくりを」及び目標12の「つくる責任 つかう責任」を最重要課題と捉え、「Progress'24」期間中、その目標達成に注力してまいりました。

「多様な人材の活躍推進」については、「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進による活力ある組織風土の醸成」「柔軟な働き方の推進」「多様な人材の確保と育成」により、社員一人ひとりが充実感やポジティブな感情を持ち、会社に主体的に貢献するエンゲージメントの高い組織の構築に努めてまいりました。今後も、エンゲージメントをより高めることにより、生産性の改善やイノベーションを促進し、当社グループの企業価値を持続的に向上させる事業変革力を持った社員を育成してまいります。「多様な人材の活躍推進」の取組については、下記の「(6) 人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針」を参照ください。

②気候変動への対応

気候変動への対応についても、リスク・機会の面で事業を推進する上で重要なファクターの1つとして捉えております。気候変動に関する取組については、下記の「(7) TCFD提言に基づく報告」を参照ください。

③マテリアリティ

経営理念の実現という目的のもと、資源を有効に活用して事業活動の持続可能性を高め、企業価値を向上させるため、当社グループにおける重要課題(マテリアリティ)として、「安心・安全で快適な社会の実現」、「地球環境への配慮と循環型社会への貢献」、「多様な人材の活躍推進と人権尊重」、「持続的な成長に向けたガバナンス・CSRの強化」の4つを特定し、それぞれの施策の実行に努めています。

 

(5) 指標及び目標

「女性管理職比率」等の多様性に関する指標及び目標は下記の「(6) 人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針」を、気候変動に関する指標及び目標は下記の「(7) TCFD提言に基づく報告」を参照ください。

 

(6) 人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針

当社グループは中期経営計画「Progress’24」において「エンゲージメントの高い組織の構築」に取り組んでまいりました。「エンゲージメントの高い組織」の当社グループの定義は「社員一人ひとりが充実感やポジティブな感情を持ち、組織に主体的に貢献する組織」であり、エンゲージメントの向上により、生産性の改善やイノベー
ションが促進され、当社グループの持続的な成長に結びつくことを期待しています。

このような組織を構築するため、①ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(以下「DE&I」といいます。)の推進による活力ある組織風土の醸成、②柔軟な働き方の推進、③多様な人材の確保と育成、を3つの柱として取り組んでいます。

 

①DE&Iの推進による活力ある組織風土の醸成

当社の社是「同心戮力(どうしんりくりょく)」は、一人ひとりの働きや才能が異なっていても、目的を達成するために、皆が心を一つにしてお互いに力を合わせて協力していこう、という意味であり、今日のDE&Iに通じる考え方として、創業当初から大切にされてきました。DE&Iの推進による活力ある組織風土の醸成のため、当社が取り組んでいる内容は次のとおりです。

ア.アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)の理解浸透とハラスメントのない職場づくり

DE&I推進は、誰もが持つアンコンシャス・バイアスに気づき、相手の気持ちに配慮することから始まると考え、当社オリジナルの研修用冊子や動画を作成し、全ての役員及び社員への理解浸透を図っています。また、ハラスメントのない職場づくりのため、全役員・社員を対象にハラスメント教育を実施し、受講率100%を達成しています。

イ.女性活躍の推進

新卒者・経験者を問わず積極的な女性総合職の採用を継続的に行うとともに、様々な部署で活躍できるよう、配属課比率の更なる向上に取り組んでいます。

当社が本格的に女性総合職の採用を開始したのは2014年ですが、直近3年の新卒総合職採用に占める女性割合の推移は、40.0%、45.0%、37.5%であり、経験者総合職採用に占める女性の割合も直近3年で、26.1%、24.0%、27.6%と推移していることから、今後、女性管理職も増加することが見込まれます。

また、業界団体主催の女性活躍支援セミナーへ女性社員を派遣しているほか、女性のキャリアを考える社内研修を開催しています。

ウ.LGBTQ+の理解促進

研修の実施、配偶者の定義に事実上婚姻と同様の関係にある同性パートナーを含める社内規則、相談窓口の設置、イベントへの参加、オールジェンダートイレの設置などにより、PRIDE指標ゴールド認証を4年連続で取得しています。

エ.障がい者雇用

各事業所の雇用状況の把握、情報提供、採用フォローのほか、高いスキルを持つ新卒者、経験者を積極的に採用し、法定雇用率を上回るよう取り組んでいます。

オ.外国籍社員の採用

経験者採用については、業容の拡大のため、スキルを持つ外国籍社員を積極的に採用しています。新卒者についても、国籍を問わず採用を行っています。

②柔軟な働き方の推進

社員が、仕事と家庭生活などを両立できる、働きやすい職場づくりを推進するため、柔軟な働き方を推進しています。

ア.フレックスタイム制度・テレワーク制度、工場休日の増加

本社・支社・技術研究所などのほか、一部の工場にもフレックスタイム制度・テレワーク制度を導入しています。また、工場の年間休日も段階的に増加させています。

イ.時間外労働の削減、年次有給休暇取得日数の増加

勤怠管理システムを用い、毎月の時間外労働や年次有給休暇取得状況を把握、管理者に対し時間外労働の削減や年次有給休暇の取得を促すレポートを発信しています。

ウ.男性の育児休職取得率向上

男性が育児に関わることは、子供の成長、父親自身のタイムマネジメント力やマルチタスク力の開発、パートナーのキャリア継続に繋がると考え、取得率の向上を目指しています。直近3年間の取得率は、39.1%、57.9%、73.9%と着実に向上しています。

エ.オフィスカジュアル、工場ユニフォームフルモデルチェンジ

自律的で自由な発想が生まれやすい職場づくりやコミュニケーションの活性化のため、本社・支社ではオ
フィスカジュアルを推奨しています。工場においては、2024年度より安全性と機能性を向上させた、ジェンダーレスのユニフォームにフルモデルチェンジしました。

オ.安全衛生管理の推進

「生産現場の安全は何よりも最優先される」と認識し、業務上災害ゼロを目標に、業務上災害を発生させないための「安全ルールの明文化」「安全教育の徹底」「安全行動の実践」を重点ポイントとして、安全衛生管理に取り組んでいます。

カ.健康経営の推進

社員のための健康保持推進施策の継続や充実により、偏差値60以上での健康経営優良法人認定取得を目指しています。偏差値は着実に向上しています。

キ.諸制度活用のための周知

制度活用ハンドブックの社内ポータルサイトへの掲載やグループ社内報「ドウシン」を活用した周知を行っています。

③多様な人材の確保と育成

成長・注力事業領域に重点を置いた多様な人材の確保と育成に注力しています。

ア.採用力の強化

経験者を含む採用力強化のため、人材紹介サービスやダイレクトリクルーティングを活用しているほか、採用サイトのリニューアルや動画の掲載等、PRコンテンツの拡充を図っております。また、各事業部の人員計画にタイムリーに対応し、直近5年間は、経験者採用数が新卒者採用数を上回っています。

イ.社内研修定着のための教育内容のフィードバック

職能等級に応じた階層別教育、専門能力を高めるテーマ別教育を実施しており、研修内容の定着のため、受講者上司へのフィードバックを行っており、教育プログラムのアップグレードも進めています。

 

上記において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針については、次の指標を用いて管理しており、当該指標に関する実績及び目標は次のとおりです。

なお、記載の方針や指標は当社単体のものであり、当社グループ各社の方針や指標は、各社の経営環境や経営課題が異なるため、記載しておりません。

 

 

 

指標

2023

年度

2024

年度

目標

エンゲージメントスコア

調査会社算出による偏差値

-

43.6

55.02027年度末

①活力ある組織風土の醸成

管理職に占める女性労働者の割合

3.0%

4.1%

5%以上(2027年度末

 

新卒総合職に占める女性の割合

45.0%

37.5%

各年度30%以上

 

経験者総合職採用に占める女性の割合

24.0%

27.6%

定めず

 

女性総合職の配属課比率

44.8%

47.1%

50%以上(2027年度末

 

障がい者雇用率

2.69%

2.63%

法定雇用率以上

 

外国籍総合職採用数

1名

5

定めず

②柔軟な働き方の推進

月平均時間外労働

9.1h

8.7h

10h未満(2027年度

 

有休取得日数

14.6日

13.1

15日以上(2027年度

 

男性労働者の育児休業取得率

57.9%

73.9%

70%以上(2027年度

 

業務上災害発生件数

9件

6

0

 

健康経営優良法人認定取得

(偏差値)

認証

(49.8)

認証

(57.1)

偏差値60以上

③多様な人材の確保と育成

総合職採用に占める経験者の割合

55.6%

64.4%

定めず

 

1人当たり社内研修費用

3.3万円

3.5万円

4万円以上

2023年度もエンゲージメント調査は実施しましたが、2024年度よりエンゲージメント調査会社を変更したため比較が困難ですので、2023年度のエンゲージメントスコアは記載しておりません。

 

(7) TCFD提言に基づく報告

当社グループでは、「地球環境への配慮と循環型社会への貢献」をマテリアリティの1つに掲げており、気候変動関連のリスクと機会が事業戦略に大きな影響を及ぼすものと認識し、「カーボンニュートラルの実現」を重要課題と位置付けています。また、資源循環、生物多様性の取組を推進し、サステナブルな社会の実現を目指しています。

 

①ガバナンス

当社グループでは、代表取締役社長が委員長を務めるクラボウCSR委員会の統括のもと、リスク管理・コンプライアンス委員会と環境委員会を中心に取組を推進しています。気候変動関連のリスクと機会の対応について、クラボウCSR委員会がリスク管理・コンプライアンス委員会と環境委員会の活動方針を承認するとともに、活動の結果報告を受け、同活動方針及び結果について、年1回取締役会に報告しています。

取締役会は、その取組の目標や計画の内容、各施策の進捗状況を審議の上、監督しています。サステナビリティに関する基本方針やクラボウグループ環境憲章等、サステナビリティに関する戦略についても、取締役会において決定しています。

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なお、2025年度4月よりクラボウCSR委員会をサステナビリティ委員会に改称し、CSR推進体制全般を見直し強化します。

<取締役会での主な審議・承認事項(2024年度)>

・環境レポートの作成

・CDP回答の結果報告

 

②戦略

当社グループでは政府目標である2050年のカーボンニュートラルに向けて、2022年にCO2排出量削減の移行計画(カーボンニュートラルロードマップ)を定めており、グループ全体でCO2排出量削減に向けた活動を進めています。

加えて、2030年における気候変動が事業に及ぼす影響を網羅的に把握し、気候変動に起因する課題への取組を推進するために、リスクと機会の一覧表として整理しています。

リスクと機会の特定のプロセスとして、まず各部門から気候変動関連のリスクと機会についてヒアリングを実施し、網羅的にリストアップを行いました。さらに事業に与える影響の大きさの観点から整理と絞込みを行い、シナリオ分析の評価結果を踏まえ、当社グループの事業に対する重要な気候変動関連のリスクと機会を特定しました。リスクと機会は同じプロセスにより毎年見直しております。今後も、影響の大きいリスクの軽減と機会を的確に捉えた事業運営に努めてまいります。

 

■シナリオ分析の概要

シナリオ分析は国際エネルギー機関(IEA)「World Energy Outlook」の中で想定される「STEPS」、「SDS」、「NZE2050」、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次報告書の「SSP1-1.9」、「SSP5-8.5」を参照し、「1.5℃シナリオ」で移行リスクと機会、「4℃シナリオ」で物理リスクと機会を分析しました。

分析にあたっての影響度と時間軸の定義は以下のとおりです。

[影響度] 大:長期的に重大な影響、又は想定影響金額5億円以上

中:一時的に重大な影響、又は想定影響金額1億円以上

[時間軸] 短期:~3年、中期:3~10年、長期:10年~

 

■CO2排出量削減の移行計画(カーボンニュートラルロードマップ)

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■リスクの一覧表

類型

小分類

リスクの影響

対応策

影響度(大中)

時間軸

移行リスク

政策

及び

法規制

GHG排出の価格付け進行

(カーボンプライシング)

炭素税の導入によるエネルギーコストの増加

・ボイラ燃料転換、ヒートポンプ等の省エネルギー対策の推進

・太陽光PPA等の再生可能エネルギーの導入

中長期

エネルギーや原材料等サプライチェーンへの炭素価格導入による価格転嫁発生

・低炭素の原材料開発等のサプライヤーへの働き掛け・連携

・原材料調達手段の多様化

中長期

既存製品・サービスに対する義務化と規制化

プラスチックをはじめとする取扱商品への環境規制強化による原材料価格上昇

・環境負荷を考慮した上でのサプライヤーの多様化

・原材料、部材の使用量削減の取組

短中長期

技術

市場

顧客行動の変化

省エネルギー化の推進、高効率設備導入等に伴うコストの増加

・自社の生産プロセスの高効率化

・バリューチェーン全体における生産プロセスの高効率化

短中長期

脱炭素対応コストの高騰

再生可能エネルギー導入、クリーンエネルギーの購入に伴うコストの増加

・太陽光PPA等の再生可能エネルギーの導入

・既設の大規模電源(メガソーラー、バイオマス)の有効活用

中長期

エネルギー・燃料価格の上昇によるコストの増加

・ボイラ等の燃料転換

・エネルギー使用の高効率化、脱炭素化の工業プロセスの開発・実用化

短中長期

評判

ステークホルダーの不安増大又はマイナスのフィードバック

研究開発人材の確保や、新卒採用等への影響発生

・人的資本経営の推進、高度化

短中長期

物理リスク

急性

リスク

サイクロン・洪水等の異常気象の激甚化

台風・洪水等による設備損壊、活動停止に伴う生産減少、復旧コスト増加

・事業継続計画(BCP)の強化

・自社拠点や主要取引先におけるハザードマップの確認とリスク評価

短中長期

台風・洪水等によるサプライヤーの被災、輸送ルート寸断による生産停止

・調達先の分散、供給網の再構築など生産・調達手法の多様化

・サプライヤーにおける調達BCPの展開、BCPアセスメントの実施

中長期

慢性

リスク

平均気温の上昇

空調費用の増加

・工場、事業所における省エネ機器の導入と節電の強化

・太陽光PPA等の再生可能エネルギーの導入

短中長期

 

■機会の一覧表

類型

小分類

機会の影響

対応策

影響度(大中)

時間軸

機会

資源の
効率

リサイクルの利用

循環型経済への移行を背景とした、循環型経済に適合する部材の需要拡大

・「L∞PLUS (ループラス)」等の服の裁断くず再資源化による循環型ビジネスの推進、拡大

・「AIR FLAKE」等の再生ポリエステルや生分解性繊維商品の拡大

・「KURATTICE ECO」等の再生木粉樹脂商品の拡大

短中長期

単一素材による製品ラインナップ強化によるリサイクル製品の需要拡大、製造コスト削減

・「L∞PLUS (ループラス)」等の服の裁断くず再資源化による循環型ビジネスの推進、拡大

短中長期

エネル
ギー源

より低排出のエネルギー源の使用

脱炭素化対策を通じたGHG排出量削減による炭素税負荷の低減

・ボイラ燃料転換、ヒートポンプ等の省エネルギー対策の推進

・太陽光PPA等の再生可能エネルギーの導入

中長期

省エネ活動、安価で高品質の再生可能エネルギー・水素の調達によるエネルギーコストの低減

・ボイラ燃料転換、ヒートポンプ等の省エネルギー対策の推進

・太陽光PPA等の再生可能エネルギーの導入

短中長期

 

類型

小分類

機会の影響

対応策

影響度(大中)

時間軸

機会

製品

及び

サービス

低排出商品及びサービスの開発・拡張

低炭素・脱炭素製品に対する要請の高まり/ニーズと需要の拡大

・カーボンフットプリントの把握による脱炭素化推進、製品競争力強化

・「NaTech」等の環境配慮型高機能素材商品の拡大

・「クランシール シリーズ」等の環境に配慮した機能性フィルムの拡大

・不動産賃貸建物の環境認証等の取得によるテナント獲得

短中長期

顧客製品のCO2排出削減に貢献できる製品需要の拡大

・「クランゼロシリーズ」等高性能硬質ウレタンフォーム断熱材の拡大

・不良品低減要請に向けたEL部門の主力製品の強化

短中長期

市場

新たな市場へのアクセス

EVの急速的な普及による部材の需要拡大

・高機能樹脂加工品を通じた半導体需要拡大への対応

・環境メカトロニクス事業をはじめとした各セグメントの主力商品や新開発商品の需要拡大

短中長期

レジリエンス

(弾力性)

事業活動の継続性

生産拠点が地理的に分散していることによる災害への強い対応力を背景とした競争力の強化

・事業継続計画(BCP)の強化を通じた持続的な事業活動の実践

短中長期

 

③リスク管理

気候変動関連のリスクに関しては、以下の評価・管理プロセスに則り、リスク管理・コンプライアンス委員会、環境委員会のもと適切な管理をしています。また、気候変動関連リスクを当社グループの事業に大きな影響を与えるリスクの1つとして、当社グループ全体として管理をしています。

リスクの

洗い出し

 

リスクの

分析・評価

 

対応策の検討

 

戦略への

組込み・実行

 

モニタリング

 

 

 

 

 

 

 

 

 

委員会事務局と各部門にて気候変動関連リスクの洗い出しを実施

委員会事務局と各部門にてリスクレベルを総合的に判断

各リスクに対する対応策を委員会事務局と各部門にて検討し、CSR委員会へ報告

対応策を戦略に組み込み、各部門にて対応策を実行

取締役会で対応策の進捗状況をモニタリング

 

④指標及び目標

当社グループは、CO2排出量削減の長期目標として、2050年までにカーボンニュートラルを達成することを目指します。特に2030年までの期間については、CO2の自社排出量(Scope1、Scope2)の絶対量ベースで、政府目標である2013年度比46%削減を達成するためのロードマップを策定し当社グループ全体で取り組んでまいります。そしてこの取組を進めることが、企業グループの存在価値を更に高めるとともに、生産の効率化、製造業としての基盤強化、ひいては収益性の向上につながると考えています。なお、CO2サプライチェーン排出量(Scope3)に関しては、上流工程の排出量を算定していますが、今後は下流工程の排出量も算定します。

 

■CO2排出量削減の中長期目標

 

 

 

■CO2排出量実績

 

 

2025年

2030年

2050年

 

カテゴリー

2024年度実績値

CO2排出量削減目標

44%削減

46%削減

カーボン

 

Scope1

31,877 t-CO2/年

(Scope1, 2)

(2013年度比)

(2013年度比)

ニュートラル

 

Scope2

121,344 t-CO2/年

 

 

 

 

 

合計

153,221 t-CO2/年

■環境目標及び実績

当社グループでは、計画的に環境保全を推し進めるため、「CO2排出量の削減」と「ゼロエミッションの推進としての再資源化率向上」の中期目標(3カ年の数値目標)を設定し、気候変動対策や資源の有効活用に努めています。

2024年度は、CO2排出量については、2013年度比40%削減目標を掲げ、省エネルギー対策等を通じてエネルギー使用量の削減を進めました。結果は41.4%削減となり、目標を達成しました。ゼロエミッション推進については、再資源化率97%の目標に対して96.3%となり、目標には至りませんでした。

目標項目

2024年度目標

2024年度実績

CO2排出量の削減

絶対量での削減

(2013年度比)

40%削減

41.4%削減

ゼロエミッションの推進

再資源化率の向上

97%

96.3%

 

当社グループは、CO2排出量を2030年までに2013年度比46%削減し、2050年までのカーボンニュートラルを目指すことを、長期環境目標として設定しています。中期経営計画「Accelerate'27」(2025~2027年)の環境目標は、CO2排出量を2025年度に2013年度比44%削減としております。また、ゼロエミッションは引き続き97%としております。

目標項目

2025年度目標

CO2排出量の削減

絶対量での削減

2013年度比

44%削減

ゼロエミッションの推進

再資源化率の向上

再資源化率

97%

 

■自然資本の保全に向けて

当社は気候変動対応のためカーボンニュートラルを目指すだけでなく、資源循環や生物多様性に配慮した取組を進めており、製品のリサイクルや再資源化原料の使用、事業所のある地域の生態系保全活動を実施しています。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

当社グループでは、戦略・事業遂行上におけるリスク及びその対応策につき「リスク管理・コンプライアンス委員会」にて把握・検討し、取締役会及び経営会議での議論、検討を踏まえたうえで、当社グループの主要なリスクとして整理しています。

以下では、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える主要なリスク及びその対応策につき記載しており、すべてのリスクを網羅している訳ではありません。当社グループの事業は、現在は未知のリスク、あるいは現時点では特筆すべき、又は重要とみなされていない他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

なお、サステナビリティ・CSRに係るガバナンス体制の一部変更に伴い、2025年4月1日付で、「リスク管理・コンプライアンス委員会」を「リスクマネジメント委員会」に改称しております。

 

(1) 市場リスク

①主要な市場における景気の悪化

当社グループは、様々な分野や国で事業を展開しておりますが、主要な市場は半導体、自動車、住宅、衣料品、不動産の各業界であり、製品によっては特定の国・地域に販売が偏ることもあります。

経済情勢の変化等により当該市場や国・地域における景気が悪化した場合には、受注減により売上が減少する等当該事業の経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

当社グループでは、主要な市場における市況の変化を注意深く見守りつつ、新中期経営計画「Accelerate'27」の重点施策であるR&D活動の強化と新規事業の創出・収益化により、各事業分野において新規市場の開拓を図っております。

 

②競争優位性の低下

当社グループが関連する各事業分野においては、競合他社に対する品質面、価格面での競争が激化しており、優位性が低下した場合には、売上や利益が減少する等、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

当社グループでは、各事業分野において、独自技術を生かしたサステナブル社会の実現に貢献できる新製品・サービスを開発、提供していくことで競争優位性、顧客満足の向上を目指してまいります。

 

(2) 事業運営、戦略リスク

①特定の取引先の業績悪化等

当社グループは、各種製品・サービスを国内外で販売・提供しておりますが、各事業分野においては収益への影響度が大きい特定の取引先が存在しており、当該取引先の業績悪化による受注減、大規模な在庫調整や生産調整等が生じた場合には、当社グループの売上が減少する等、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

当社グループでは、各事業分野において高品質かつ安定的な製品・サービスの提供による当該取引先との更なる関係強化を図るとともに、リスク分散のため、当該取引先以外の取引先への販売強化、新規顧客の開拓にも注力しております。

 

②原材料等の調達困難

当社グループが提供する製品で使用している一部の部品、原材料については、市場の需給状況や物流の混乱により、安定的な調達を確保できないリスクがあります。原材料等の供給不足により当社グループ製品の生産能力を十分に確保できない場合、販売機会喪失による売上高の減少、顧客への納入遅延が発生する等、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

当社グループでは、原材料等の備蓄、代替原材料又は代替の調達先の確保等を行い、原材料等の安定調達、製品の安定供給に努めてまいります。

 

(3) 経済リスク

①原材料価格、エネルギー価格の高騰

当社グループが使用している綿花、石化原料などの原材料や燃料は、市場の需給状況、国際商品市況やその他の環境要因(為替レート等)により購入価格が高騰することがあり、価格上昇分を製品価格に十分転嫁できない場合等には、利益の減少等当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。なお、近時

の原油価格高騰の影響等により、当社グループが使用している石化原料が高騰しております。

当社グループでは、原材料やエネルギーの価格動向等に注意を払うとともに、価格高騰等の影響を最小限に抑えるべく国内外の複数の供給元の確保、当該供給元からの購買等の対応を行っております。また、販売価格への転嫁にも取り組んでおります。

 

②為替、株価等の相場変動

当社グループは、グローバルに事業を展開しており、為替レートの大幅な変動が生じた場合は、売上高やコストに影響が生じる等、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。為替レートの変動の影響を最小限度に抑えるべく、為替予約等のヘッジ取引を行っております。

また、当社グループは、市場性のある株式を保有しており、株価が著しく下落した場合は、評価損が発生する等、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。株式の時価評価を定期的に実施し、適切な会計処理を行うとともに、政策保有株式については、保有の意義が必ずしも十分でないと判断したものについては、縮減を図ることとしており、新中期経営計画「Accelerate'27」の最終年度である2027年度末までに連結純資産比20%未満まで縮減する方針です。

 

③海外での事業活動

当社グループの化成品事業及び繊維事業並びにこれらに属する連結子会社は、世界各国での事業展開を行うとともに、ブラジル、タイ、インドネシア、中国等に事業拠点を有しております。これら海外での事業活動においては、予期しない法律又は規制の改廃、政治体制又は経済状況の変化、テロ・戦争・紛争等の社会的混乱、インフラの未整備等のリスクが内在しております。

当社グループでは、情報収集、海外関係子会社と連携を図りながら、状況に応じた対応を行ってまいります。また、海外での紛争等の有事の発生に関しては、安全確保・損失回避に向けた体制整備等の対応に努めております。

 

(4) 自然災害、事故リスク

当社グループは、国内外の各地で生産活動等の事業活動や、それに伴う原材料などの調達を行っておりますが、大規模な地震、台風、火災等の災害が生じた場合には、生産活動の停止、工場等の設備の損壊に加え、原材料などの調達や顧客への製品供給に支障が生じる等、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

当社グループでは、従業員の生命・安全を最優先として、気象予報などの情報収集により、想定される自然災害への事前の対応を綿密に行うことで災害発生を未然に防ぎ、また定期的な設備点検や防災訓練、マニュアルの整備、顧客やサプライチェーンとの情報共有等の連携などにより、事故のリスクや想定困難な自然災害発生時の生産活動等の事業活動への影響を最小限に留めるように日々努めております。また、万一被害が生じた場合に備えて、データセンターの活用や損害保険の付保などのリスクヘッジを行っております。

なお、2022年6月に発生した、当社の化成品事業部が防熱工事を実施した物流施設における火災事故に関し、2025年3月31日付けで損害保険ジャパン株式会社より当社を含む本件火災に関係する会社3社に対して、保険代位に基づく損害賠償請求訴訟(以下、「本件訴訟」といいます。)が提起されました。当社といたしましては、本件訴訟の請求内容を精査し、代理人弁護士を通じて適切に対応してまいります。2023年9月6日付けで提起されたSBSフレック株式会社との損害賠償請求訴訟については、現在訴訟係属中であり、引き続き、代理人弁護士を通じて適切に対応してまいります。本件火災の影響等につきましては、連結財務諸表「注記事項(連結貸借対照表関係)8.偶発債務」に記載のとおりです。

 

(5) 人事リスク

当社グループは企業価値の持続的向上のため、多様な人材の活躍推進に努めておりますが、それらが計画通りに進まなかった場合、中長期的に見て、当社グループの事業展開、業績及び成長の見通しに重要な影響を与える可能性があります。

当社グループの人事リスクに関する取組については、上記「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (6)人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針」に記載のとおりです。

 

(6) 情報セキュリティリスク

当社グループは、事業活動を通じて機密情報、顧客情報、個人情報等を保有しており、また販売や生産等の事業活動において情報システムを利用しております。コンピュータウイルス・マルウェア等外部からの不正な手段によるコンピュータシステム内への侵入等の犯罪行為や使用人もしくは委託業者の過誤等により、これらの情報が流出又は改ざんされ、もしくは情報システムの長期間の停止が発生した場合は、販売活動や生産活動等の停止、損害賠償の発生や社会的信用の低下等、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

当社グループでは、情報セキュリティポリシーを制定し、適切な情報管理体制を構築するとともに、適切なセキュリティソフトの導入・更新、重要なデータのバックアップ、定期的な教育の実施などの対策を行っております。

 

(7) 気候変動リスク

当社グループは、サステナビリティに関連するリスクのうち、気候変動に関するリスクが重要なリスクの一つであると認識しております。当社グループの気候変動に関するリスクに関する取組については、上記「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (7)TCFD提言に基づく報告」に記載のとおりです。

 

(8) 人権リスク

当社グループは、世界各国のサプライチェーンを通じて原材料の調達や製品の生産加工等をしておりますが、これらのサプライチェーンにおいて、労働環境・安全衛生の悪化や人権侵害行為、特に、強制労働や児童労働、ハラスメント、差別的行為等が発生し、これらの人権問題に適切に対応できない場合は、調達や生産への影響に加え、顧客及び取引先からの信用低下を招く等、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

当社グループでは、当社グループの事業に関わる全てのステークホルダーの人権尊重のため、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいた「クラボウグループ人権方針」を策定し、人権尊重の取組を実践しております。また、サプライチェーンに対するサステナブル調査を実施し、より一層の人権に配慮した事業運営に努めております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、企業の設備投資や政府支出の増加などにより、景気は緩やかな回復基調で推移しましたが、物価高のなか、強まる節約志向により個人消費が落ち込み、力強さに欠けました。

このような環境下にあって当社グループは、最終年度を迎えた中期経営計画「Progress'24」の基本方針である「高収益事業の拡大と持続可能な成長に向けた基盤事業の強化」のもと、半導体製造関連や機能フィルムといった成長・注力事業の業容拡大と繊維や軟質ウレタンをはじめとする基盤事業の収益力強化などに注力しました。

この結果、売上高は1,506億円(前年同期比0.4%減)、営業利益は103億1千万円(同12.3%増)、経常利益は117億8千万円(同15.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は90億1千万円(同33.8%増)となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

 

(繊維事業)

糸は、原料改質技術を活用した高機能製品「NaTech(ネイテック)」の販売が順調に推移し、タイ子会社でもデニム向けの販売が順調で、増収となりました。

テキスタイルは、中東向け素材は堅調でしたが、カジュアル衣料向け素材の受注が減少し、減収となりました。

繊維製品は、暑熱環境下におけるリスク低減の管理システム「Smartfit(スマートフィット)」は販売が増加しましたが、カジュアル衣料の受注が減少し、減収となりました。

この結果、売上高は485億円(前年同期比5.0%減)、営業利益は7千万円(前年同期は営業損失2億5千万円)となりました。

 

(化成品事業)

軟質ウレタンは、自動車内装材向けの受注が、中国子会社では低調でしたが、国内及びブラジル子会社は順調に推移し、原料価格や労務費の価格転嫁も進めた結果、増収となりました。

機能樹脂製品は、半導体製造装置向け高機能樹脂製品や太陽電池向け機能フィルムの受注が堅調で、増収となりました。

住宅用建材は、断熱材の販売が低調に推移しましたが、集合住宅向けプレキャストコンクリート製品の受注が増加し、増収となりました。

不織布は、自動車フィルター向けの販売が回復しました。

この結果、売上高は660億円(前年同期比7.6%増)、営業利益は50億3千万円(同26.9%増)となりました。

なお、自動車内装材向け軟質ウレタンの製造・販売を行っていた広州倉敷化工製品有限公司の全持分を2025年3月28日に譲渡しました。

 

(環境メカトロニクス事業)

エレクトロニクスは、子会社のウェハー洗浄装置の販売台数は減少しましたが、半導体業界向け液体成分濃度計が好調に推移し、また膜厚計なども順調で、増収となりました。

エンジニアリングは、半導体業界向け薬液供給装置は低調に推移しましたが、排ガス処理設備などが順調で、また子会社でも医薬品製造業界向け設備の工事が順調に進捗し、増収となりました。

バイオメディカルは、撹拌脱泡装置などが堅調で、増収となりました。

この結果、前期に工作機械等の製造・販売を行っていた子会社の全株式を譲渡した影響もあり、売上高は219億円(前年同期比14.1%減)、営業利益は33億4千万円(同6.5%減)となりました。

 

(食品・サービス事業)

食品は、成型スープの販売は減少しましたが、即席麺具材などが好調で、増収となりました。

ホテル関連は、好調な国内旅行やインバウンド需要の影響により、増収となりました。

この結果、売上高は104億円(前年同期比9.3%増)、営業利益は7億2千万円(同13.0%増)となりました。

 

(不動産事業)

不動産賃貸は、売上高は37億円(前年同期比1.8%減)、租税課金等の増加もあり、営業利益は22億4千万円(同3.8%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ9億6千万円減少し、当連結会計年度末には151億5千万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、110億4千万円(前連結会計年度は128億6千万円の資金の増加)となりました。これは、法人税等の支払額47億5千万円があったものの、税金等調整前当期純利益117億7千万円や減価償却費の内部留保51億5千万円があったことなどによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、29億8千万円(前連結会計年度は3億8千万円の資金の減少)となりました。これは、投資有価証券の売却による収入19億7千万円があったものの、有形及び無形固定資産の取得による支出55億8千万円があったことなどによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、90億3千万円(前連結会計年度は69億5千万円の資金の減少)となりました。これは、自己株式の取得による支出51億6千万円や配当金の支払額21億4千万円があったことなどによるものです。

 

(キャッシュ・フロー関連指標の推移)

当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は以下のとおりであります。

 

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

自己資本比率(%)

54.8

57.4

58.2

60.6

62.9

時価ベースの自己資本比率(%)

23.2

20.8

27.2

32.6

53.0

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

3.0

1.5

6.2

1.0

1.0

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

40.9

51.8

7.7

39.1

32.5

 (注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

2.株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の「営業活動によるキャッシュ・フロー」を使用しております。

4.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の「利息の支払額」を使用しております。

 

③生産、受注及び販売の実績

ア.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

繊維事業(百万円)

32,300

95.2

化成品事業(百万円)

51,837

104.5

環境メカトロニクス事業(百万円)

15,481

82.5

食品・サービス事業(百万円)

6,259

115.9

合計(百万円)

105,879

98.3

(注)1.セグメント間の取引については、仕入先の属するセグメントにおいて相殺消去しております。

2.繊維事業には、上記生産実績のほかに、販売を主たる事業とする会社の商品仕入実績が、8,466百万円あります。

3.不動産事業は、生産活動を行っておりません。

4.金額は製造原価で記載しております。

 

イ.受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

環境メカトロニクス事業

9,974

89.4

8,794

148.6

(注)上記以外は、主として見込生産を行っております。

 

ウ.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

繊維事業(百万円)

48,532

95.0

化成品事業(百万円)

66,002

107.6

環境メカトロニクス事業(百万円)

21,943

85.9

食品・サービス事業(百万円)

10,458

109.3

不動産事業(百万円)

3,723

98.2

合計(百万円)

150,660

99.6

(注)1.セグメント間の取引については、販売会社の属するセグメントにおいて相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、相手先別販売実績が総販売実績の10%未満のため、省略しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

ア.当連結会計年度の経営成績の分析

(ア)売上高

当連結会計年度の売上高は1,506億円と前連結会計年度に比べ0.4%、6億円の減収となりました。これは「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、化成品事業が増収となったものの、環境メカトロニクス事業で前期に工作機械等の製造・販売を行っていた子会社の全株式を譲渡した影響や、繊維事業のカジュアル衣料向け素材の受注が減少したことなどによります。

(イ)営業利益

当連結会計年度の営業利益は103億1千万円と前連結会計年度に比べ12.3%、11億2千万円の増益となりました。これは、化成品事業の売上が増加したことなどによります。

(ウ)経常利益

当連結会計年度の経常利益は117億8千万円と前連結会計年度に比べ15.6%、15億9千万円の増益となりました。これは、営業利益の増益に加え、営業外損益が受取配当金の増加などで前連結会計年度に比べ4億6千万円改善したことなどによります。

(エ)特別損益

当連結会計年度の特別利益は39億3千万円でその主なものは、投資有価証券売却益17億7千万円、受取損害賠償金8億2千万円、関係会社株式売却益6億9千万円であります。一方、特別損失は39億4千万円でその主なものは、減損損失27億5千万円、事業構造改善費用8億7千万円であります。

(オ)親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は90億1千万円と前連結会計年度に比べ33.8%、22億7千万円の増益となりました。これは、経常利益の増益や税金費用の減少があったことなどによります。

また、1株当たり当期純利益は516.19円と前連結会計年度に比べ153.69円増加しました。

 

イ.当連結会計年度の財政状態の分析

当連結会計年度末の総資産は、株価上昇に伴い投資有価証券は増加しましたが、受取手形、売掛金及び契約資産や現金及び預金が減少したことなどにより、1,905億円と前連結会計年度末に比べ22億円減少しました。

負債は、支払手形及び買掛金や短期借入金が減少したことなどにより、693億円と前連結会計年度末に比べ53億円減少しました。

純資産は、利益剰余金やその他有価証券評価差額金が増加したことなどにより、1,211億円と前連結会計年度末に比べ31億円増加しました。

以上の結果、自己資本比率は2.3ポイント上昇して62.9%となりました。

 

 

ウ.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

2024年度を最終年度とする中期経営計画「Progress'24」では、売上高は工作機械事業の譲渡等の影響により未達となりましたが、成長市場である半導体製造関連市場等での注力事業の拡大など、高収益な事業基盤の構築に向けた事業ポートフォリオの改革を進めた結果、各段階利益は目標を達成いたしました。

また、収益向上に伴い、増配や自己株式の取得を実施したこともあり、ROEも改善し、その目標である7%も達成いたしました。

 

指標

Progress'24(a)2024年度計画

2024年度(b)(実績)

計画比(b)-(a)

売上高

1,600億円

1,506億円

△94億円

営業利益

96億円

103億円

+7億円

R O E

7.0%

7.6%

+0.6ポイント

R O A

5.3%

5.4%

+0.1ポイント

R O I C

5.6%

5.5%

△0.1ポイント

(注)ROE:自己資本当期純利益率、ROA:総資産営業利益率、ROIC:投下資本利益率

 

エ.経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

ア.キャッシュ・フロー

「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

イ.契約債務

2025年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(百万円)

契約債務

合計

1年以内

1年超2年

以内

2年超3年

以内

3年超4年

以内

4年超5年

以内

5年超

短期借入金

7,648

7,648

長期借入金

2,708

355

1,642

628

82

リース債務

596

147

129

101

49

43

125

その他有利子負債

140

140

上記の表において、連結貸借対照表の短期借入金に含まれている1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。

 

ウ.財務政策

当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入金で、生産設備などの長期資金は、固定金利の長期借入金での調達を基本としております。また、当社及び国内子会社は、CMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入することにより、各社の余剰資金を当社へ集約し、一元管理を行うことで、資金の効率化を図っております。

なお、マーケット環境の一時的な変化など、不測の事態への対応手段確保のため、当連結会計年度末において、複数の金融機関との間で合計7,400百万円のコミットメントライン契約を締結しております(借入未実行残高5,402百万円)。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 

5【重要な契約等】

当社は、2025年1月28日開催の取締役会において、当社が保有する広州倉敷化工製品有限公司(連結子会社)の全持分(株式)を譲渡することを決議し、2025年3月14日付けで持分譲渡契約を締結しました。

これに基づき、2025年3月28日に金遠東(上海)科技有限公司に全持分(株式)を譲渡しました。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (企業結合等関係)」をご参照ください。

 

6【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)は、新素材及び新製品の開発等を中心とした研究開発活動を行っております。

研究開発は、当社の技術研究所を中心に実施しており、研究スタッフは、グループ全体で92名であります。

当連結会計年度の研究開発費は1,741百万円であり、各セグメント別の研究の目的、主要課題及び研究成果は、次のとおりであります。

(1)繊維事業

繊維事業部では、テキスタイルイノベーションセンターを中心に、社会課題を解決するためのデジタル技術の応用や、紡織技術や加工技術など繊維製造技術を生かしたサステナブル商品の開発を行っております。

当連結会計年度は、繊維製品とAI・IoT技術の融合として研究開発に取り組んできた暑熱環境下におけるリスク低減管理システム(スマートフィット)については、市場での汎用性やユーザビリティを高めるため、新しいアルゴリズムの開発や、市販のウォッチ型デバイスに対応できるアプリの開発等に取り組みました。

次に、サステナブルな取り組みの推進として、廃棄している裁断屑を再度原料にし、衣料を製造するシステム(L∞PLUS:ループラス)の開発の推進は、裁断屑の再利用で取り組みが拡大しておりますが、それに加えて回収衣料の再利用への展開として、企業や地方自治体などとの様々な取り組みが拡大しました。

また、サステナブル原料であるコットンに、グラフト重合技術を活用して、原料段階で機能を付与する商品(NaTech:ネイテック)の開発については、新たな機能を持った商品を上市しました。

当事業に係る研究開発費は240百万円であります。

 

(2)化成品事業

高機能樹脂製品、機能フィルム、住宅建材及び高機能複合材料の商品開発を行っております。

当連結会計年度は、高機能樹脂製品分野では、半導体分野向け商品の生産技術向上、高性能化に取り組みました。機能フィルム分野では、太陽電池・半導体・電子部品用途での新規機能性付与や生産技術の開発に取り組みました。住宅建材分野では、ウレタン吹付工事における検査品質の向上と作業の効率化を目的とした、現場発泡ウレタンフォーム用厚さ計測システム『アツミエル』を開発しました。2024年10月よりサブスクリプション方式でシステム提供を開始しております。なお、「アツミエル」については、特許出願中です。また、不燃無機材料による造形材用途の開発や熱可塑性炭素繊維複合シート(クラパワーシート)の生産技術、加工技術の開発に引き続き取り組みました。

当事業に係る研究開発費は319百万円であります。

 

(3)環境メカトロニクス事業

(エレクトロニクス分野)

画像処理技術及び情報処理技術を活用したインフラ保全システム、ロボットビジョンシステム、マシンビジョンシステム、光応用計測技術を用いた半導体洗浄システムや膜厚計測システムの市場調査・研究開発・商品開発を行っております。

当連結会計年度は、鉄道会社と共同で開発した軌道材料を高速走行中に計測する国内初の「軌道材料モニタリングシステム」について、在来線や私鉄への展開を視野に入れた技術開発に取り組んでおります。2027年以降の実用化を目指します。

また、アメリカのロボットメーカーと業務提携契約を締結し、高速3Dビジョンセンサーと7軸協働ロボットを組み合わせたオートメーションシステム「KURAVIZON」を開発し、販売を開始しました。

(エンジニアリング分野)

排ガス、排水の浄化システムや未利用バイオマスを使用した燃焼装置の開発を行っております。また、バイオマス発電の発電効率の向上と自動化制御に関する研究開発も行っています。当連結会計年度は、家畜排せつ物処理装置(FUNTO)の装置改良と遠隔監視システムの導入並びに、省エネルギー化(化石燃料の低減)を目的としたバイオマス式FUNTOの開発、基礎データの収集を行いました。徳島バイオマス発電所における発電効率の向上と自動制御化による安定運転を図るため、技術研究所と共同でボイラ・タービン等の運転データの収集と分析を継続して行っています。収集したデータを用いてボイラ内の燃焼やタービン等の解析を行い、燃焼の最適化と発電効率を向上させる取り組みにより、自動制御化を検討するとともに、燃焼灰が溶融し塊となることを抑制するための燃焼改善の検討を進めています。

(バイオメディカル分野)

遺伝子検査や解析に用いるサンプルを各種生体試料から分離する核酸自動分離システムの研究開発を行っております。このシステムは、細胞溶解液からDNAやRNAを回収するもので、吸着媒体として多孔質メンブレンを使用している点が特長です。

当連結会計年度には、一度に96サンプルを処理可能な大型装置「QuickGene-96prep」の開発が完了し、大手血液センターに納品しました。また、新機能を搭載した小型の核酸自動分離システムや、産業用途向けに製造ラインに組み込んで使用するインライン連続脱泡装置の開発も進めています。

当事業に係る研究開発費は55百万円であります。

 

(4)食品・サービス事業

真空凍結乾燥技術による乾燥加工食品の研究開発を行っております。当連結会計年度では、昨年度に引き続き「脱フロン」、「低炭素社会」の早期実現に向けて冷凍設備の自然冷媒化を進め、「乾燥状態の見える化技術」の精度を向上させました。また、「低炭素社会」の実現に向けた取り組みとして「包装資材の調査及び見直し」を進めています。ラミネートフィルム等の構成・仕様を最適化することで樹脂製品の使用量削減のみならず、賞味期限延長による食品ロス削減にも貢献します。

当事業に係る研究開発費は68百万円であります。

 

(5)その他(全社研究開発)

当社グループの研究開発組織である技術研究所は、「数理科学」、「情報工学」、「物理科学」、「光電工学」、「物質科学」、「生命科学」の6つの分野をコア技術領域と定めて研究活動を行うことで、成長・注力事業の競争力強化と、環境課題に対応する新技術の創出を行っております。

成長・注力分野では、半導体産業向けの薬液計測・制御を開発する「セミコンソリューション」、ロボット産業向けのセンシングデバイスを開発する「ロボットセンシング」、バイオメディカル向けの遺伝子・細胞サービスを開発する「ライフサイエンス」、炭素繊維強化プラスティック用の独自素材やスーパーエンプラフィルムを応用した新素材を開発する「マテリアルソリューション」の4つのプロジェクトを推進しました。

環境対応技術では、綿製品のリサイクルを目的に原綿改質による綿繊維の機能化の開発と脱色技術の調査や、薬液の削減を目的に当社フッ素樹脂製品を対象とした新しい洗浄技術の開発に取り組みました。

全社研究開発に係る研究開発費は1,057百万円であります。