第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは私たちの存在意義としてパーパスを「バリューチェーンで人をつなぐ、社会をつなぐ、未来へつなぐ」と定めており、また、パーパスを実現するために、会社として大切にする共通の価値観、社員の行動指針、事業活動の判断基準として「パートナーシップ」「多様性と尊重」「感謝と熱意」「誠実と公正」「価値創造への挑戦」の5つをバリューとして選定しております。さまざまな社会活動を構成しているバリューチェーン(価値連鎖)の中で、ビジネスに携わる人々、企業、地域社会をつなぎ、結びつけることが当社グループの存在意義ととらえています。「パートナーシップ」に重きをおき、バリューチェーン全体のブランディングを図り、当社グループの力だけでは解決が難しい社会課題に対しても、有機的に連携・協調することで総合力を発揮してまいります。また、「未来へつなぐ」には、多様で先進的なIT製品・サービスの普及、日々の暮らしや多くの産業に貢献できる研究開発の追求により、常に新しいテクノロジーを探求し実際に触れる中で、それをバリューチェーンに還元していくことで、未来における「快適さ」や「安心と安全」、そして「人と社会の幸せ」の実現を目指すメッセージが込められています。現代社会におけるインフラを支えるだけではなく、事業環境や価値観の変化をとらえ、未来に向けて、より社会を快適に変えていくために幅広く貢献していきます。

(2)経営戦略等

当社グループは、2024年5月に新たな中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)を発表いたしました。当社は、本中期経営計画の対象期間を重要な挑戦期間であると考え、「事業ポートフォリオ変革による躍進期」と位置付けております。当社グループの基本方針は、「ホールディングス体制での成長」「“過去最高”へのチャレンジ」「ステークホルダーエンゲージメントの向上」の3点です。「ホールディングス体制での成長」では、持株会社として新たな事業領域への参入を探求し、事業会社においては、セグメント内での強化・再編に着手してまいります。次に「“過去最高”へのチャレンジ」については、売上高、利益における過去最高業績の更新にチャレンジします。さらに会社、組織、事業、個人それぞれのフィールドでベストパフォーマンスを発揮していくことを目指してまいります。「ステークホルダーエンゲージメントの向上」については、株主、取引先、従業員、地域社会などとの信頼関係向上と相互理解による協働を目指します。また、人的資本、システム、ガバナンス面など必要とされる経営基盤のさらなる強化を実施します。特に人的資本政策に注力することでグループ全体でウェルビーイング経営の推進に取り組んでまいります。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、収益性とともにROE(自己資本当期純利益率)、ROIC(投下資本利益率)などの指標を参考に株主資本の効率化に取り組んでおります。

(4)経営環境

当連結会計年度のわが国経済は、雇用情勢や所得環境の改善を背景に緩やかな景気回復がみられる一方、地政学的リスクの長期化、資源・エネルギー価格の高止まりや米国の通商政策による影響など先行きについては不透明な状況が続いております。

当社グループを取り巻く環境は、ITインフラ流通事業では、企業向けは大企業を中心としたWindows10サポート終了に伴うPC更新需要が好調に推移し、官公庁向けにおいてもIT投資需要は底堅く推移しました。産業機械事業では、造船やエネルギー業界など一部好況な業界からの受注は継続しております。主力の航空機業界においては国内及び米国向け市場を中心に受注は回復傾向にありました。なお、2024年3月に大和紡績株式会社の発行済株式の85.0%を譲渡したため、繊維事業は前連結会計年度末より、連結の範囲から除外されており、当期の経営成績に繊維事業は含まれておりません。

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

今後の経済見通しについては、引き続き雇用情勢や所得環境の改善を背景に緩やかな景気回復が続くことが期待されますが、資源・エネルギー価格の高止まりや米国の通商政策による影響が懸念され、当面は不透明な状況が続くと見込まれます。こうしたなか、当社グループは当連結会計年度より3か年の中期経営計画をスタートさせました。対象期間を「事業ポートフォリオ変革による躍進期」と捉え、グループ基本方針として、「ホールディングス体制での成長」「“過去最高”へのチャレンジ」「ステークホルダーエンゲージメントの向上」を掲げ、中長期ビジョン『2030 VISION』の達成に向け、事業ポートフォリオ変革を追求する経営により、2030年までの成長スピードを一層加速させていくよう取組んでまいります。

事業別の施策といたしましては、ITインフラ流通事業においては、2025年10月に予定されるWindows10のサポート終了に伴うPCリプレイス需要とGIGAスクール端末のリプレイス需要が期待されています。この需要に対応すべく、顧客ニーズを的確に把握し、サポート体制を整備するなど、競争優位性を高め、大きな需要のあった2019年度と2020年度よりも高い市場シェアの獲得を目指してまいります。また、セキュリティやクラウドサービスは、依然顧客ニーズが高く、好調な企業収益を背景に底堅い需要は継続すると見込まれておりますので、販売・プロモーション活動を強化し獲得に努めて参ります。さらには、GIGAスクール構想第2期の共同調達は今期に本格化することが見込まれております。加えて、企業や官公庁においても、底堅い需要が期待されているため、これまでに培ったノウハウを活用して、競争優位性を高め、エリアごとにパートナーとともに、エンドユーザーを見据えた取組みを実行することで、これらの需要を着実に獲得し、業績拡大を目指してまいります。

産業機械事業においては、昨年度からの重点施策を継続、強化して推進してまいります。工作機械部門では、汎用製品の在庫生産強化を継続することで、即納需要の取込みを図ってまいります。また、開発した高効率生産システムを活用して、エネルギー業界向け需要に対して提案営業の強化を継続してまいります。自動機械部門では、引き続き、生産の平準化と収益の安定確保を図るとともに、技術力向上のため、教育の充実を図ります。また、中国包装機メーカーとの協業により現地生産を推進し、コスト低減、納期短縮、アフターサービス体制の強化を図ることを継続し、中国市場での競争力向上に取組んでまいります。

◎中長期ビジョン『2030 VISION』

『2030 VISION』において当社が描くエクイティストーリーは、IT分野を軸に新たな事業領域へ経営資源を投入し、バリューチェーンのさらなる発展につながるグループ体制を構築するというものです。また、2030年のあるべき姿として、社会に求められる事業モデルを創造する「なくてはならない企業グループ」となること、ディストリビューションを不動のコアに、IT市場全体を“つなぐ“All-in-One Solution Companyとなること、そして2030年度(2031年3月期)に連結営業利益500億円を目指すことを目標に掲げております。

また、当社は、コーポレートガバナンスを経営上の最重要課題の一つとして認識しております。グループ各社との連携のもと、内部統制機能の一段の強化と、より最適なガバナンス体制の確立に努め、株主の皆様をはじめステークホルダーとの良好な信頼関係を保ちながら、サステナビリティ活動の充実など、なお一層の自己変革に取組み、企業の社会的責任を果たしてまいる所存です。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)ガバナンス

当社グループは、E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)に関わる事項を審議するため、取締役会の諮問機関として、2020年4月にESG推進委員会を設置いたしました。同委員会の委員長を代表取締役社長とし、気候変動リスクを含む環境マネジメントの統括責任者を務めております。ESG推進委員会の下部組織として、実務レベルで協議・推進するためのESG推進会議を設置しております。ESG推進委員会での審議事項につきましては取締役会に答申・報告しております。取締役会は、ESG推進委員会からの答申・報告事項に対して決議のうえ、指示・監督しております。特に、TCFD提言に基づく開示項目を中心に気候変動に関する重要事項については当社グループのマテリアリティの一つとして、ESG推進委員会での審議を経て1年に1回以上、取締役会に答申・報告を行い積極的に推進しております。また、必要に応じて気候変動の影響を全社リスクとしてリスク管理委員会に報告・提言をしております。

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(2)戦略

(気候変動)

当社グループは、気候変動を中長期にわたる課題と認識しております。そのため、様々な状況下におけるリスクや機会を考慮するため、1.5~2℃シナリオ、4℃シナリオの複数の将来のシナリオに基づいた分析をしております。+1.5~2℃の世界では、温室効果ガス削減のための規制が強化され、低・脱炭素化が進み、移行リスクが高まると考えられます。一方+4℃の世界では、規制などの移行リスクの影響は小さいものの異常気象などの物理リスクが高まると考えられます。シナリオは2030年度を想定し、IPCCの「RCP-2.6」と「RCP-8.5」、World Energy Outlookの「NZE2050、SDS」と「STEPS」を参考にしております。

シナリオ分析の前提

シナリオ

1.5~2℃シナリオ、4℃シナリオ

対象事業

ITインフラ流通事業、産業機械事業

時間軸

2030年度時点の影響

 

 

気候変動シナリオ

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気候変動リスク・機会

移行リスク(1.5~2℃シナリオで最も顕在化すると想定)

主なリスク・機会

当社への影響

時間軸 ※1

財務影響※2

特に影響が強い ※3

想定される主な取組み

IT

産業

政策・法規制リスク

炭素価格など規制対応コストの増加

当社はグループ全体でCO削減に向けて取り組みを進めていますが、2℃未満シナリオにおいては炭素価格の導入が想定されます。調達電力の低炭素エネルギーへの転換が進まない場合には炭素価格などコスト増加の可能性があります。

長期

 

2030年度CO2排出目標達成に向けた効率化の徹底と低炭素エネルギーへの移行

技術リスク

環境配慮技術に対する投資・研究開発コスト増加

環境配慮技術に対する研究開発コスト増加とともに、脱炭素・省エネに対応した設備導入コスト増加の可能性があります。

長期

 

省エネ、油圧レス、自動化等の開発と製品化

市場リスク

再生可能エネルギー需要が逼迫して商品価格が高騰

商品価格や原材料費が高騰する場合、販売時に価格転嫁あるいは代替え商品が提案できるものとし影響は小さいものと想定しています。但し価格高騰に伴う顧客の買い控え等により売上減少の可能性があります。

中~長期

 

大型倉庫保有による在庫確保及びマルチベンダー機能を活用した代替え商品の提案

環境負荷の小さい製品の原材料費が高騰

 

製品への価格転嫁を含む販売戦略の適宜見直し

評判リスク

対応の遅れによる企業ブランド低下

環境情報開示への対応が不十分な場合は、株価への影響やステークホルダーからの評価の低下、売上減少等の可能性があります。

短~長期

極小~

極大

積極的な環境配慮活動の徹底及び能動的なIR・SR活動に加えてWEBサイト等による適時情報開示

※1.時間軸:短期(1年以内)  中期(3年以内) 長期(7年以内)

※2.財務影響:グループ連結

極大:100億円以上、大:50億円~100億円未満、中:10億円~50億円未満、小:1億円~10億円未満、

極小:1億円未満

※3.IT:ダイワボウ情報システム株式会社(連結)但しアルファテック・ソリューションズ株式会社を除く

産業:株式会社オーエム製作所(連結:国内)

 

物理リスク(4℃シナリオ等で最も顕在化すると想定)

主なリスク・機会

当社への影響

時間軸 ※1

財務影響※2

特に影響が強い ※3

想定される主な取組み

IT

産業

急性リスク

災害による事業拠点の操業停滞

気候変動により大雨や洪水などの自然災害が増加した場合は、物流拠点の操業停止や取扱商品の入荷遅延の可能性があります。BCP対策を継続的に図りつつ、保険付保によるリスクヘッジ等による影響の最小化や物流拠点の分散等によって引き続きリスク低減を図ってまいります。

長期

 

多拠点網による別拠点の対応及びテレワークにて事業を継続、BCP対策強化

 

風水害等に対する生産拠点のBCP対策強化

被災によるサプライチェーンの操業停滞

サプライチェーンの操業停滞時は代替え商品が提案できるものとし影響は小さいものと想定しています。

長期

 

マルチベンダーの強みを活かして複数の仕入ルートの確保、及び大型倉庫保有による在庫確保

 

生産拠点のBCP対策強化

疾病の蔓延

感染症流行拡大(パンデミック等)想定外の疾病拡大により、事業活動が制限される可能性があります。

中~長期

テレワークの適時活用

慢性リスク

気温上昇による労働環境の悪化

平均気温の上昇・猛暑日・酷暑日の増加によって、工場や物流拠点における労働環境対策コストが増加する可能性があります。

中~長期

物流センター、工場における快適な作業環境の整備

サプライチェーン上流の供給量が不安定化

サプライチェーン上流の供給量が不安定な場合は、代替え商品が提案できるものとし影響は小さいと想定しています。

中~長期

 

マルチベンダーの強みを活かして複数の仕入ルートの確保及び大型倉庫保有による在庫確保

気温上昇による空調コストの増加

IEA(International Energy Agency:国際エネルギー機関)によると、4℃シナリオの場合、電力価格は上昇しない予測のため、当社へのリスクなしと想定しています。

中~長期

 

物流センターの自動化投資及び悪条件でのロボット活用の検討

※1.時間軸:短期(1年以内)  中期(3年以内) 長期(7年以内)

※2.財務影響:グループ連結

極大:100億円以上、大:50億円~100億円未満、中:10億円~50億円未満、小:1億円~10億円未満、

極小:1億円未満

※3.IT:ダイワボウ情報システム株式会社(連結)但しアルファテック・ソリューションズ株式会社を除く

産業:株式会社オーエム製作所(連結:国内)

 

機会

主なリスク・機会

当社への影響

時間軸 ※1

財務影響※2

特に影響が強い ※3

想定される主な取組み

IT

産業

資源の効率性

生産や輸送の高効率化によるエネルギーコスト削減

まとめ出荷や物流効率化によりエネルギー効率の向上を図ることで物流費削減や、生産に伴うエネルギー消費量の減少により燃料費の削減につながる可能性があります。

長期

 

現状の延長、最寄り出荷、まとめ出荷、チャーター出荷の活用による輸配送の更なる効率化

 

省エネ機器導入によるオペレーションコスト低減

製品・サービス

気候変動の緩和や適応に資する商品・サービスの提供による収益の拡大

環境負荷や省資源に対する需要の高まりにより、省エネ性能を高めるIT商材(仮想化など)やクラウドプラットフォーム、社会・環境配慮商品の需要拡大の可能性があります。

長期

 

将来需要を見込んだ仕入計画策定

 

省エネ、油圧レス、自動化等の商品展開

環境配慮設備(再エネ、バッテリー、燃料電池など)に必要な材料や部品、ソリューション需要増加

 

風力発電、ガスタービン、原子力等の環境対応設備を生産する業界への販売機会の拡大

市場

気候関連情報の開示促進による企業イメージ向上

対応していくことで株価の上昇やステークホルダーからの評価の向上、売上への影響につながる可能性があります。

短~長期

極小~

極大

積極的な環境配慮活動の徹底及び能動的なIR・SR活動に加えてWEBサイト等による適時情報開示

※1.時間軸:短期(1年以内)  中期(3年以内) 長期(7年以内)

※2.財務影響:グループ連結

極大:100億円以上、大:50億円~100億円未満、中:10億円~50億円未満、小:1億円~10億円未満、

極小:1億円未満

※3.IT:ダイワボウ情報システム株式会社(連結)但しアルファテック・ソリューションズ株式会社を除く

産業:株式会社オーエム製作所(連結:国内)

 

 

(人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針と社内環境整備に関する方針)

当社グループは、人材が企業成長の源泉であり最大の財産であるという認識のもと、持続的なグループの成長には、様々な個性、能力、知識、経験を持った人材の確保と育成、そして従業員エンゲージメントを高めることが不可欠であると考えております。グループ経営理念において「多様性と尊重」を当社グループとして大切にする共通の価値観の一つに掲げており、お互いの人権と個性を尊重し、多様な能力とアイデアを個々の成長と企業価値向上につなげることを目指してまいります。

人材の採用や登用においては、固定観念にとらわれない、幅広く柔軟な採用の在り方を追求しております。従来は新卒採用が主体でしたが、少子化が進む中、事業推進のために人材を継続的に登用する必要性と、多様な人材を適時に確保することが会社にとっても有益であるとの考えから、キャリア採用による体制強化に注力しており、専門的なスキルを有する人材確保に努めています。新卒採用については、各事業会社がそれぞれに募集しているほか、ホールディングスとしてグループ採用を実施しています。

人材の育成においては、従業員向けの集合研修やOJTの実施に加えて、eラーニング等を活用して資格取得や自己啓発を支援する環境を整備しております。階層別・職種別等の研修プログラムを事業ごとに実施し、定期的に教育研修体系を見直すことで、従業員に求められるスキルや知識の習得およびモチベーションの向上を図っております。ITインフラ流通事業では、多数のパートナーとつながった支店網を支える豊かな販売人材層の形成が当社の強みとなっており、顧客接点の多様化に向けてDXの推進を可能にする柔軟な発想力や先進的なITスキルなどが求められることから、多様な能力や知識を持った人材の育成に取り組んでいます。独自に培った技術で成長してきた産業機械事業では、研究開発や生産における技術力を持った人材、また販売力を持った人材をバランスよく育成しており、「メンター制度」によるマンツーマン指導などを通じて技術者養成・技能継承を進め、独自技術のさらなる磨き上げを進めております。当社では上場持株会社の従業員として具備すべき専門スキルを反映し、人的資本の拡充や多様性の推進に資する教育内容を盛り込んだ教育体系を整備しております。

また、従業員エンゲージメントを高めるためには、会社と従業員とのコミュニケーションを充実させ、会社方針や方向性を共有し、信頼関係を構築することが大前提です。そして、会社が得た成果を適正に従業員に還元することが必要であり、さらに職場環境の改善をはじめとした従業員のモチベーション向上につながる施策を実施し、会社の姿勢を目に見える形で示すことが重要だと考えております。当社グループでは従業員の幸せや働き甲斐の充実を追求する「ウェルビーイング経営」の実践を基本方針に据えており、休暇・休業制度の活用や、健康経営に向けた取り組み、従業員エンゲージメント調査の実施などの施策を展開し、実態を把握しながら具体的な改善に努めることで労働生産性の向上につなげております。

そして、当社グループでは、持続的な成長のためには多様な人材が必要と考えており、そのような人材が活躍できるよう、積極的に人事管理や風土形成を進めております。多様な人材活躍の一環として、ダイワボウグループ企業行動憲章に基づいた従業員のキャリア形成や能力開発に取り組んでおり、個性や多様性を尊重した働き方を実現する、健康と安全に配慮した働きやすい職場環境を整備しております。

当社グループは、社内外に関わらず、多様性を尊重し受け入れ、社会と協働することで真に価値ある未来を生み出す組織を目指してまいります。

 

(3)リスク管理

(気候変動のリスクと機会を評価する仕組み)

気候変動に関する事項を推進するESG推進会議は、気候変動の影響について、当社とグループ会社の連携のもとリスクと機会を評価し、状況の把握を行っております。リスク評価については少なくとも年1回、また必要に応じて実施し、ESG推進会議からESG推進委員会に報告・提言しております。ESG推進委員会は少なくとも年1回、リスク評価及びそれらへの対策案、並びに関連する指標や目標について審議を行い、取締役会に答申・報告を行っております。取締役会は、ESG推進委員会からの答申・報告事項に対して決議のうえ、指示・監督しております。

 

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(4)指標及び目標

(気候変動)

当社グループは、地球温暖化・気候変動を重要な経営課題の一つとして認識し、脱炭素社会の実現に向けてグループ全体のCO2削減目標を策定しました。

 

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(人的資本の拡充及び多様性の確保に向けた取組)

当社は2027年3月期までの中期経営計画において、「3ヵ年で100億円以上の人的資本投資」「ウェルビーイング経営」の実践を目標に掲げ、ダイバーシティ推進、人材採用の強化、育成環境の整備、従業員エンゲージメント向上、健康経営の推進という5つの人的資本施策を通じて、一人ひとりの従業員が自身の可能性を最大限に引き出せる環境を整備し、労働生産性の向上による利益率・資本回転率のアップ、ROIC向上を通じた、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。

当社の持続的な成長を支える人材を育成する方針として、ウェルビーイング経営を推進することを基本に、積極的な人材登用や教育・研修などに戦略的に投資するとともに、グループ連携での人材活用、従業員がいきいきと働けるよう労働環境の整備に取り組んでいくことを掲げております。

上記方針に則り、女性が活躍できる労働環境の整備として、男女差別のない育成と公正な評価により積極的な登用に取組むとともに、母性保護や育児休職制度等充実を図っております。

また、多様なキャリアを持つ人材や外国人雇用については、必要に応じて都度実施しており、特に専門的分野における中核人材の登用・確保の観点から積極的なキャリア採用を推進しております。

これらの人材の多様性確保に向けた取組みについて、2023年11月に公開した統合報告書において、当社グループとしての人的資本戦略と合わせて、マテリアリティ項目毎の取組みを推進するための目標値を策定しており、「2030年までに女性管理職比率3%以上」という指標を設定しました。既に性別にとらわれない採用や登用を徹底しており、今後も女性の定着率向上と活躍推進を図りますが、現状の組織構成において女性が若年層に偏っていることから、大きく管理職比率を改善するには15年程度要すると認識しております。内部登用の推進のみにとどまらず、風土改革や女性がキャリア形成と昇進への意欲を高められる環境の段階的な整備、外部人材の活用にも積極的に取組みます。2030年をあくまでも通過点として、さらに長期的な目線では、安定的に女性管理職比率を向上させていくための議論を深め、女性活躍推進に取組んでまいります。

また、2025年3月期における新規採用者の中途採用比率は15.0%となっており、キャリア採用を強化することで比率を高めていくことを目指しております。あわせて、外国人雇用についても、2025年3月期の国内雇用者における外国籍社員数が9名に留まっているため、段階的に増加させるべく取り組んでまいります。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)リスクマネジメント基本方針

当社グループは、特定の取引先・製品・技術・法的規制等への依存割合が小さく、経営成績は比較的安定しております。しかし、技術革新が著しい業界に属することから、新製品・新サービスの展開により、業界構造が変化し、従来製品・サービスに対する需要が変動することなどにより、当社グループの売上高および利益は変動する可能性があります。この変化に対処すべく、常に顧客の声に傾聴するとともに、技術革新の動向を適切に把握して、顧客の要請に対しグループ全体で迅速に対応できる体制を整えております。また、リスクの特定・評価・管理を行い、特に大きいリスクが現実に発生、もしくは発生する予兆がある場合は、対策本部を設置し、危機管理体制へ移行、事前対応策または危機対応策を実行し、事態の推移を監視する体制を整えております。

(2)リスク管理体制

当社グループ全体を俯瞰し、全社的リスク管理の整備、運用状況を確認・評価し、適切なリスク管理を実現することを目指しています。より精度の高い方法でグループ全体のリスク管理状況を確認・評価し、必要に応じて改善提言を行っております。

リスク管理に関する規則を整備し、経営リスク、業務リスク、環境・安全・品質リスクの三つの体系に区分することで、各部門が共通リスクの認識と管理手法を共有し、マネジメント機能の強化を図っています。また、リスクが具現化した場合に備え、同規則の整備により甚大な損失の及ぼす影響の極小化と再発防止に努めています。

これらの当社グループ内のリスク管理の取り組みを横断的に統括、推進するため、代表取締役社長を委員長とする「リスク管理委員会」を設置し、新たに発生した各種リスクについて、同委員会において速やかに対処方針を決定し、リスク管理体制の実効性を確保すべくリスク低減活動に取り組んでいます。

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(3)重要なリスク

各部署において、想定されるリスク事象を洗い出し、リスク評価を実施しています。組織全体として体系別に分類し、マネジメント機能の強化を図っています。

経営における適時適切な情報を開示しなかった場合のレピュテーションリスクや、不十分な内部統制システムによる不祥事発生リスク、気候変動の対応遅れによるレピュテーションリスクを特に重要なリスクとして認識しています。

 

(4)事業等のリスク一覧

①商品等に関するリスク

ITインフラ流通事業

ITインフラ流通事業は、パソコン本体を主要な取扱商品と位置づけております。普及度はかなり高まってきており、今後の市場全体が伸び悩む可能性があります。また、競合が激しく売上利益率が低下傾向にあり、それらの動向に当社グループの業績が左右される恐れがあります。

メーカーから仕入れた商品は、原則返品できず、技術革新が速く、陳腐化も速く進むため、万が一売れ残った場合には、在庫リスクがあり、処分のために損失が発生する可能性があります。

ITインフラ流通事業は、独立系マルチベンダーとして多くの仕入先から商品の供給を受けているため、単一メーカーの問題発生による調達リスクは避けられると考えます。ただし、世界的なパーツ不足、また業界を主導するメーカーの供給減少や大きな不具合などが発生した場合は、販売に影響を及ぼす可能性があります。

 

産業機械事業

産業機械事業は、自動包装機械等の自動機械部門と立旋盤等の工作機械部門を主な事業としております。いずれも生産のほぼ全量が受注生産によるもので、各製品に共通する基礎的な部品の一部についてのみ見込生産を行っております。産業機械事業が属する業界は、景気変動の影響を受け易い特徴があり、設備投資や個人消費の動向が企業業績に与える影響は小さくありません。特に、景気の停滞期には設備投資や個人消費の低迷による需要の冷え込みから業界全体の受注総額が縮小し、産業機械事業の業績を悪化させる要因となります。

②生産活動、研究開発に関するリスク

当社グループの事業活動には、当社グループ及び協力事業者で厳格な品質管理基準に従って製造しておりますが、設備投資、生産工程、研究活動のうえで予期しない事故の発生等により、事業成績等に影響が発生する可能性があります。

対策としましては、当社グループで定める危機管理マニュアルに則り、製造物の欠陥から消費者の生命、身体、財産に生ずる被害を未然に防止し、予期しない事故の発生等により重要な影響が及んだ場合には、対策本部を設置し、危機管理体制へ移行する体制を整えております。

③外部環境に関するリスク

当社グループの事業活動には、原材料・燃料価格、金利動向、各種法律、経済環境、自然災害など、さまざまな外部環境により影響を受けるものがあり、コストの上昇、販売機会の喪失、生産の遅れ、特別損失などが生じる可能性があります。

対策としましては、リスクの特定・評価・管理を実施し、自然災害や外部環境リスクなどの大きなリスクが現実に発生した場合もしくは発生する予兆のある場合の緊急事態対応体制を整備しております。

④知的財産権に関するリスク

当社グループの事業活動には、特許権など知的財産権に関わる事項があり、他社や自社における権利侵害等の発生により、採算性や事業性に影響を受ける可能性があります。

対策としましては、当社グループでは知的財産部門において、知的財産権に関する訴訟リスクや賠償リスク等の事項等について管理を行っております。

⑤システムトラブル・情報セキュリティに関するリスク

ITインフラ流通事業は、全国に物流センターと支店・営業所の販売網をネットワークでつないでおり、独自の物流機能とそれを動かすシステムがスムーズに稼働することを前提に成り立っております。自然災害・事故、外部からの予期せぬ不正アクセス・コンピュータウイルスの侵入等によって、通信ネットワークの障害および機密情報、個人情報の漏洩等が発生し、業務の遂行に支障をきたす事態が発生した場合には、ITインフラ流通事業の営業活動に重大な影響が及ぼされます。被害の規模によっては、当社グループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。

対策としましては、当社グループの危機管理マニュアルで定めている対策本部を設置し、危機管理体制への移行や、事前対応策を実行し事態の推移を監視する体制を整えております。また、従業員への定期的な教育の実施等に加え、サイバー攻撃や不正アクセス等への対応として情報システムのセキュリティ強化等の対策を講じ、リスクの最小化に努めております。

⑥直接配送に関するリスク

ITインフラ流通事業では、顧客への商品の配送時に環境負荷の低減、納期短縮、コスト削減などのため、仕入先から直送することがあります。直送取引においては、物の動きが見えづらく、商流に介在する自社の役割が不明瞭な取引が発生する可能性があります。

対策としましては、商流における自社及び取引先の役割を確認し、適正な取引を行うため、個別に取引の経済合理性を判断しております。またそのための統制を適切に整備し運用しております。

以上のリスクは、当連結会計年度末現在において当社グループの事業上のリスクと考えられる主なものを記載しておりますが、当社グループの事業リスクをすべて網羅するものではありません。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1)経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度のわが国経済は、雇用情勢や所得環境の改善を背景に緩やかな景気回復がみられる一方、地政学的リスクの長期化、資源・エネルギー価格の高止まりや米国の通商政策による影響など先行きについては不透明な状況が続いております。

このような状況のもと、当社グループは中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)の対象期間を「事業ポートフォリオ変革による躍進期」と位置づけ、グループ基本方針として「ホールディングス体制での成長」「“過去最高”へのチャレンジ」「ステークホルダーエンゲージメントの向上」を掲げ、中長期ビジョンである『2030 VISION』の実現における重要な挑戦期間として引き続き企業価値の向上に取り組んでおります。

なお、2024年3月に大和紡績株式会社の発行済株式の85.0%を譲渡したため、繊維事業は前連結会計年度末をもって連結の範囲から除外しており、当期の経営成績に繊維事業は含まれておりません。

その結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなっております。

a.財政状態

資産は、売掛金や商品及び製品の増加等により前期末に比べて34,865百万円増加し、440,122百万円となり、負債は、支払手形及び買掛金の増加等により前期末に比べて24,688百万円増加し、287,811百万円となりました。純資産は、利益剰余金の増加等により前期末に比べて10,176百万円増加し、152,310百万円となりました。

b.経営成績

当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高1,136,817百万円(前年同期比17.5%増)、営業利益は34,899百万円(前年同期比12.7%増)、経常利益は35,454百万円(前年同期比12.8%増)となりました。これに特別利益で九州センター売却による固定資産売却益535百万円の計上等により、親会社株主に帰属する当期純利益は24,751百万円(前年同期比477.9%増)となりました。

セグメントごとの経営成績は次のとおりとなっております。

(ITインフラ流通事業)

2025年10月に予定されるWindows10のサポート終了や、当期から本格化するGIGAスクール端末のリプレース需要を見据え、販売体制の整備と推進活動に注力しました。また、企業のデータセンターやITインフラ案件にも積極的に取り組み、サーバーやネットワーク商品の提案に努めました。さらに、重点的に取り組んでいるサブスクリプション管理ポータル「iKAZUCHI(雷)」の提案を強化し、需要獲得に注力しました。クライアントPCは大企業を中心に需要が高まり、業績をけん引しています。企業向けでは、情報通信業、サービス業や製造業を中心に需要が増加し、官公庁向けでも大型のIT投資案件を獲得することで売上高が拡大しました。文教向けにおいては、校務PCのリプレース需要に加え、GIGAスクール第2期に向けた先行調達の案件を獲得することで売上高が大きく伸長しました。個人向け市場では、量販店向けにおいてPCやモニタが好調に推移し前年売上高を上回る結果となりました。

以上の結果、当事業の売上高は1,123,922百万円(前年同期比25.6%増)、営業利益は34,045百万円(前年同期比20.5%増)となりました。

(産業機械事業)

工作機械部門では、国内は造船やエネルギー業界など一部好況な業界からの受注は継続しております。主力となる航空機業界においては国内及び米国向け市場を中心に受注が回復傾向であり、中国向け市場は円安の影響を受け、受注は前年対比で増加しました。一方、売上高については、短納期である在庫販売に注力しましたが、前年度と比べ減収となり、コストの増加もあり利益面でも苦戦しました。自動機械部門では、設計の工数が増加し、生産台数に影響したため、減収減益となりました。

以上の結果、当事業の売上高は12,895百万円(前年同期比2.4%減)、営業利益は852百万円(前年同期比17.4%減)となりました。

②キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益35,990百万円に対し、売上債権の増加や棚卸資産の増加などの減少要因がありましたが、仕入債務の増加などの増加要因により5,909百万円の収入(前期比18,634百万円の収入減少)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などの減少要因により、2,588百万円の支出(前期比2,357百万円の支出減少)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払による支出や自己株式の増加などの減少要因により、17,402百万円の支出(前期比14,545百万円の支出増加)となりました。

以上の結果、当期末の現金及び現金同等物の残高は前期末に比べて13,951百万円減少し、55,221百万円となり、また、当期末の借入金残高は前期末に比べて197百万円減少し、20,703百万円となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

以下の記載に当たっては、ITインフラ流通事業は、システム製作の占める割合が低いため、生産実績を記載しておりません。また、受注実績につきましては、システムインテグレーション部門についてのみ記載しております。「繊維事業」の報告セグメントと「その他」の区分は、前連結会計年度において当社の連結子会社であった大和紡績株式会社の株式譲渡を行い、連結の範囲から除外したため、当連結会計年度より廃止しております。

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2024年4月1日

  至  2025年3月31日)

前年同期比(%)

産業機械事業(百万円)

10,181

6.46

(注)1.金額は、製造原価によります。

2.ITインフラ流通事業には、商品の仕入実績が1,069,562百万円あります。

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

ITインフラ流通事業

36,514

7.30

6,361

22.01

産業機械事業

13,605

17.56

9,178

12.01

合計

50,119

9.90

15,539

15.90

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2024年4月1日

  至  2025年3月31日)

前年同期比(%)

ITインフラ流通事業(百万円)

1,123,922

25.62

産業機械事業(百万円)

12,895

△2.41

合計(百万円)

1,136,817

17.47

(注)セグメント間の取引につきましては、相殺消去しております。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

以下の内容のうち、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在における判断を記載したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。

a.財政状態

(資産)

当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に比べ34,865百万円増加の440,122百万円(前連結会計年度末は405,256百万円)となりました。流動資産は407,778百万円(前連結会計年度末は377,245百万円)となりました。これは、主として売掛金や商品及び製品が増加したことによるものであります。固定資産は32,343百万円(前連結会計年度末は28,011百万円)となりました。これは、主としてITインフラ流通事業でのシステム投資による増加であります。

(負債)

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ24,688百万円増加の287,811百万円(前連結会計年度末は263,123百万円)となりました。流動負債は267,779百万円(前連結会計年度末は239,742百万円)となりました。これは、主として支払手形及び買掛金が増加したことによるものであります。固定負債は20,032百万円(前連結会計年度末は23,380百万円)となりました。これは、主として退職給付に係る負債の減少によるものであります。

(純資産)

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ10,176百万円増加の152,310百万円(前連結会計年度末は142,133百万円)となりました。これは、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加によるものであります。

b.経営成績

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、前年同期比169,057百万円増収の1,136,817百万円となりました。

セグメント別の売上高の状況は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

(営業利益)

当連結会計年度における営業利益は、前年同期比3,935百万円増益の34,899百万円となりました。

セグメント別の営業利益の状況は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

(営業外損益)

当連結会計年度における営業外収益は、販売支援金の減少、持分法による投資利益の減少などにより、前連結会計年度に比べて63百万円減少し1,225百万円となりました。一方、営業外費用は、固定資産圧縮損の減少やその他の減少などにより、前連結会計年度に比べて150百万円減少し670百万円となりました。以上の結果、当連結会計年度における経常利益は、前年同期比4,022百万円増益の35,454百万円となっております。

(特別損益)

当連結会計年度における特別利益は、固定資産売却益535百万円、投資有価証券売却益0百万円を計上したことにより536百万円となりました。一方、特別損失は、その他1百万円を計上したことにより1百万円となりました。

(非支配株主に帰属する当期純損失)

当連結会計年度における非支配株主に帰属する当期純損失は、0百万円となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期比20,468百万円増益の24,751百万円となりました。

当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

なお、セグメント別の売上高及びセグメント利益につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

c.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社の目標達成状況につきましては以下のとおりであります。

当連結会計年度は、売上高については過去最高の実績となり、営業利益、経常利益についても2021年3月期に次ぐ過去2番目の利益水準となりました。

中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)では、ROE(自己資本当期純利益率)を14%以上、ROIC(投下資本利益率)は12%以上水準維持をグループ経営指標として掲げておりました。2025年3月期のROEは16.8%となりました。またROICについても14.3%となっており経営指標で掲げた目標水準を上回っております。引き続き持続的な企業価値向上に取り組んでまいります。

指標

2021年3月期

実績

2022年3月期

実績

2023年3月期

実績

2024年3月期

実績

2025年3月期

実績

売上高(百万円)

1,043,534

763,838

903,918

967,760

1,136,817

営業利益(百万円)

35,028

24,059

27,944

30,963

34,899

経常利益(百万円)

35,781

24,554

28,608

31,431

35,454

親会社株主に帰属する

当期純利益(百万円)

25,715

16,988

19,059

4,283

24,751

ROE(%)

22.2

12.9

13.7

3.0

16.8

ROIC(%)

10.3

11.5

12.8

14.3

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.資金需要

当社グループの運転資金需要の主なものは、商品の仕入、製品製造のための材料・部品の購入、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。なお、重要な設備投資の予定につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。

b.キャッシュ・フロー

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益35,990百万円に対し、売上債権の増加や棚卸資産の増加などの減少要因がありましたが、仕入債務の増加などの増加要因により5,909百万円の収入(前期比18,634百万円の収入減少)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などの減少要因により、2,588百万円の支出(前期比2,357百万円の支出減少)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払による支出や自己株式の増加などの減少要因により、17,402百万円の支出(前期比14,545百万円の支出増加)となりました。

その結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前期末に比べて13,951百万円減少し、55,221百万円となり、また、当期末の借入金残高は前期末に比べて197百万円減少し、20,703百万円となりました。

(単位:百万円)

 

前期

当期

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

24,544

5,909

△18,634

投資活動によるキャッシュ・フロー

△4,946

△2,588

2,357

財務活動によるキャッシュ・フロー

△2,856

△17,402

△14,545

現金及び現金同等物に係る換算差額

507

129

△377

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

17,248

△13,951

△31,200

現金及び現金同等物の期首残高

51,923

69,172

17,248

現金及び現金同等物の期末残高

69,172

55,221

△13,951

借入金期末残高

20,900

20,703

△197

 

c.財務政策

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は21,528百万円、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は55,221百万円となっております。

当社グループは、グループ各社の余剰資金を当社に集約して管理する「キャッシュ・プーリング・システム」を採用しております。また、当社及び一部の連結子会社は取引銀行12行とコミットメントラインを締結しております。コミットメントラインの総額は13,350百万円ですが、当連結会計年度末の借入実行残高はありません。

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社は、以下に記載されている重要な会計方針に基づいて行われる当社グループの判断と見積りは、連結財務諸表に大きな影響を及ぼすと考えております。

a.売上の認識

当社グループの売上高は、主として、製品が出荷された時点に売上割戻等控除後の正味実現可能価額で計上しております。

b.貸倒引当金

当社グループは、一般債権につきましては貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権につきましては個別に回収可能性を勘案して回収不能見込額を計上しております。

c.棚卸資産

当社グループは、棚卸資産の陳腐化損失に備え、採算割れ懸念在庫及び長期在庫につきましては陳腐化見積額を評価損として計上しております。ただし、実際の販売価額が当社グループの見積りを下回った場合には追加損失が発生する可能性があります。

d.繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産につきましては、当社取締役会での決定等に基づき、スケジューリング可能な将来減算一時差異につきましては、当社グループの将来計画利益額に基づき、将来の獲得課税所得を慎重に見積もって計上しております。

e.減損

当社グループは、下記の基準に基づき、投資有価証券の減損処理を行うこととしております。

上場株式  :時価が帳簿価額を50%以上下落した銘柄につきましては、評価額が帳簿価額を下回る額。時価の下落率が30%から50%の銘柄につきましては、回復可能性を考慮して必要と認めた銘柄について、評価額が帳簿価額を下回る額。

非上場株式:1株当たり純資産が帳簿単価より50%以下に下落した株式すべてにつきましては、評価額が帳簿価額を下回る額。

なお、単体財務諸表に計上されている関係会社株式・出資金のうち、債務超過の関係会社について減損処理を行うとともに、債務超過額のうちの当社負担見込額を関係会社事業損失引当金として計上することとしております。また、関係会社への投資に対する損失に備えるため、必要と認めた場合に財務健全性の観点から投資損失引当金を計上することとしております。

5【重要な契約等】

(1)ダイワボウ情報システム株式会社は、日本電気株式会社と販売特約契約を締結しております。

契約日:1983年6月1日

期間:1年間(自動更新)

契約内容:「日本電気株式会社販売特約店」の表示及び「NEC」標章の使用による特約商品の販売活動

(2)ダイワボウ情報システム株式会社は、NECパーソナルコンピュータ株式会社と売買基本契約を締結しております。

契約日:1994年9月30日

期間:1年間(自動更新)

契約内容:NECパーソナルコンピュータ株式会社の販売店としてNEC商品の販売活動

(3)ダイワボウ情報システム株式会社は、日本アイ・ビー・エム株式会社と特約店基本契約を締結しております。

契約日:1995年11月29日

期間:1年間(自動更新)

契約内容:「IBMビジネスパートナー特約店」の呼称の使用及び「IBM製品」の販売活動

(4)当社は2023年11月22日開催の取締役会において、株式会社アスパラントグループSPC11号に当社の繊維事業を事業譲渡することを決議し、2023年11月22日付けで株式譲渡契約を締結しております。

 

6【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)はグループ基本方針である「ホールディングス体制での成長」「“過去最高”へのチャレンジ」「ステークホルダーエンゲージメントの向上」のもと、事業ポートフォリオ変革を追求する経営により、連結企業価値の向上に努めております。また、お客様のニーズに対応した先進的な製品、技術の創造に挑戦し、研究開発活動に取り組んでおります。

産業機械事業における研究開発費は151百万円であり、各部門の取り組みは以下のとおりであります

産業機械事業部門におきましては、ユーザーニーズに直結した製品とサービスの提供を基本理念として、設備機械のIoT化やユーザーニーズに結び付けた研究開発を実施しております。

工作機械部門においては、立型ターニングセンタVTLex1100Mに、より省人化に対応できるよう改良した高精度な自動パレット交換装置と研削機能を搭載し、2024年11月に開催された日本国際工作機械見本市「JIMTOF2024」に出展いたしました。

自動機械部門においては、新技術の取り組みとして、リニア搬送装置のソフト開発を行い、リニア搬送装置に搭載いたしました。これを主力機種であるVCRC75型カートニングマシンに連結し、2024年6月に開催された食品製造総合展「FOOMA JAPAN」に出展いたしました。

なお、上記に係る当連結会計年度の研究開発費総額は151百万円であります。