第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

(経営理念)

「わたしたちは、シキボウグループのものづくり技術・ものづくり文化で新しい価値を創造します。」-安心・安全・快適な暮らしと環境にやさしい社会の実現へ-という経営理念のもと、「繊維」「産業材」「不動産・サービス」の各事業分野において、他社には真似の出来ない独自の機能や技術力を活かした商品づくりを追求すると共に、顧客ニーズに沿った商品提案やサービスの向上に取り組んでおります。

 

(長期ビジョン)

当社グループは、上記の経営理念のもと、これまで培ってきたものづくり技術・文化によって、環境や社会課題の解決に貢献してまいりました。現在の当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症の影響で働き方・生活・価値観が大きく変わり、その中でデジタル化が一段と加速するなど変化の激しい時代となっております。また、ESG、サステナビリティ、環境問題が一気に進み、脱炭素社会の進展など不確実で先が読みにくい状況が続くものと考えられます。

このような事業環境において、更なる成長を続けていくためには、当社グループの方向性、価値観、存在価値などを長期ビジョン(ありたい姿)に描き、そのありたい姿からバックキャスト思考で、その実現に向けた経営計画を策定することが不可欠であると考え、当社創立150年である2042年に向けた長期ビジョン「Mermaid 2042」を策定いたしました。

 

「Mermaid 2042」

 あなたにもっと寄り添い、愛されるシキボウグループへ

 ・従業員にもっと寄り添い、笑顔あふれる心豊かな人生の実現に貢献します

 ・お客様にもっと寄り添い、まだ見ぬ世界を当たり前にする技術で貢献します

 ・地球にもっと寄り添い、持続可能な社会に貢献します

 

(新中期経営計画の概要)

本中期経営計画においては、コロナ禍からの復活を目指すこと、長期ビジョンの実現に向けた成長のレベルをさらに加速させることとし、新たに創ること、新たに取り組むことに挑戦してまいります。新しい取組みや施策を従業員一人一人のアクション単位にまで分解し、全員参加で取り組んでまいります。それぞれが行動を起こし、成すべきことを成すことで計画達成につなげる意味を込めて、名称は「ACTION22-24」といたしました。

 

 

〈 全体イメージ 〉


 

〈 基本方針 〉

①経営基盤の強化

◆新中核事業と位置付ける化成品事業・複合材料事業のさらなる事業規模の拡大

◆新たな市場展開に向けた設備投資(化成品事業(主として食品分野)、リネンサプライ事業)

◆新規用途・新規市場開拓による顧客の増大

◆国内・海外のグローバルネットワークの連携強化による海外市場の開拓

◆資本効率を重視した既存事業の稼ぐ力の向上と事業ポートフォリオの見直し

◆さらなる財務基盤の強化

◆従業員の計画的育成による人的資本の充実

◆生産性・業務効率向上のためのデジタル投資

 

②次の革新的成長に向けた取組

◆新中核事業に続く新たな成長の芽の育成と研究開発の推進

◆グローバル展開、成長領域への展開を支えるための多様な人材の確保と育成

 

③サステナビリティ経営への取組

◆地球環境に配慮した製品や社会課題を解決する製品のさらなる開発と販売強化

◆カーボンニュートラル社会実現に寄与する設備投資

◆従業員のエンゲージメントの向上にむけた、やりがいや働きがいのある職場・制度づくり

 

本中期経営計画「ACTION22-24」では、新中核事業と位置付ける化成品事業を次のステージに成長させるため、主力の食品用増粘安定剤の販売拡大に向けた設備投資、新中核事業に続く新たな成長の芽の育成と研究開発を推進するなど企業価値向上に向けた積極的投資を実施いたします。加えて、事業管理指標ROICを導入し、資本効率を重視した既存事業の稼ぐ力の向上と事業ポートフォリオの見直しに注力し、経営基盤を強化いたします。また、多様な人材の確保と育成により人的資本の充実を図り、グローバル展開、成長領域への展開を進めてまいります。

また、サステナビリティ経営への取組みについては、持続可能な社会の実現に向け、長期ビジョン「Mermaid 2042」の策定にあたり、サステナビリティ経営への取組みについて議論してまいりました。当社グループの事業領域は多岐にわたっており、サステナビリティ経営の根幹を成すESG課題も多様かつ広範なことから、長期ビジョン策定段階より次代を担う各事業部門の若手従業員も参画したESG分科会において、ステークホルダーへの影響度と当社グループへの影響度を軸としたマテリアリティマップを作成し、当社グループが取り組むべきマテリアリティを特定いたしました。ESG分科会は、社外取締役を含む役員による長期ビジョン策定のための議論の場において、特定したマテリアリティについて答申いたしました。その後、社長執行役員が議長を務め、全執行役員により構成する経営会議において、マテリアリティについての議論を進めてまいりました。その結果として、優先的に取り組むべき6つのマテリアリティを特定いたしました。

 

〈当社グループのマテリアリティ(重要課題)〉


 

今後、各マテリアリティと重点活動項目について具体的な対処方針と目標を定め、それらを事業戦略に組み込みます。加えてシキボウグループにおけるサステナビリティ経営に向けた取組みを統括し、定期的に取締役会に報告、提案を行うための取締役会直轄の機関を設置し、サステナビリティ経営への取組みを推進してまいります。

本中期経営計画「ACTION22-24」の遂行により、最終年度2024年度の最終目標は、連結売上高420億円、営業利益25億円、経常利益22億円、親会社株主に帰属する当期純利益15億円を計画しております。

 

(2) 目標とする経営指標

シキボウグループは、持続的成長と中長期的な企業価値の向上を目的として、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益を、財務の健全性の確保を目的として、D/Eレシオ、自己資本比率を、資本の効率性の向上を目的として、ROE、ROA及びROICを、それぞれ経営指標としております。

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題

わが国経済の見通しについては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響はあるものの、ワクチン接種が進んだことにより、ウィズコロナの下、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図っていくものと思われます。しかしながら資源価格の一段の高騰、中国のゼロコロナ政策、アメリカの金融政策引き締め、ロシアによるウクライナ侵攻の深刻化はエネルギー価格や原材料価格の高騰を招き、企業収益の圧迫は避けられないものと予想されます。

このような経営環境の中、当社グループでは、コロナ禍により一時凍結しておりました「CG final 18-20」で想定していた前提条件や事業環境が大きく変化したことから、本年度を起点とします新中期経営計画「ACTION22-24」を策定いたしました。本中期経営計画は、当社グループの方向性、価値観、存在価値などを長期ビジョン(ありたい姿)に描き、当社創立150年にあたる2042年に向けた長期ビジョン「Mermaid 2042」を策定し、その実現に向けた第一ステップとしての計画となります。

 

「繊維セグメント」は引き続き国内外の自社製造拠点を活用した「Made in shikibo」商品の開発・販売を推し進めてまいります。従来のサステナブル素材や衛生加工素材に加え、新たにフェムテック(※)素材にも重点をおき、他社との協業や連携による販路拡大やグローバルネットワークの強化による海外市場開拓にも注力し、事業拡大を図ります。

(※「フェムテック」とは、「Female(女性)」と「Technology(技術)」の二つの単語をを掛け合わせた造語で、女性が抱える健康の課題をテクノロジーで解決できる商品やサービスのことを指します。)

原糸販売事業は、国内外生産拠点の連携を強化することにより差別化糸の開発と販売を推し進めつつ、海外市場に販路を拡大してまいります。また、昨年、当社の完全子会社となった新内外綿㈱との協働により国内外の商圏拡大に努め、グループ全体の収益拡大を図ります。

輸出衣料事業、ユニフォーム事業及び生活資材事業は、当社グループ工場の開発力を背景にサステナブル及び衛生加工等の差別化素材の提案販売活動を強化し、既存販路での売上拡大に加えて新規販路構築に努めてまいります。また、ニット製品販売はベトナム協力会社への技術移管及び指導を強化することにより品質面の優位性と差別化を図ってまいります。加えて海外における新たな縫製拠点の開拓も進め、さらなるグローバル展開を推し進めます。メディカル分野はマスクを中心としたフルテクト®商材の拡充を進めつつ、デオマジック®の新規販路構築も目指してまいります。

 

「産業材セグメント」では、産業資材部門は、原材料価格の高騰や国内製紙会社の生産設備の停機により、厳しい環境が続くと予想されますが、段ボール製造用コルゲーターベルト、空気清浄装置等の新規開発商品の販売拡大に努めることで、引き続き主力のドライヤーカンバス事業及びフィルタークロス事業の国内トップポジションを堅持してまいります。また、今後は、販売活動を加速し、海外事業の商圏拡大に注力してまいります。

機能材料部門は、新中核事業に位置付けている化成品事業・複合材料事業について、長期ビジョン「Mermaid 2042」を見据えて、さらなる事業の拡大に向けた取組みを進めてまいります。化成品事業は、食品用増粘安定剤の生産能力増強を目的に設備投資を計画いたします。複数の多糖類を組み合わせた増粘用配合品などを製造するブレンド事業などで最新設備を導入し、今後ますます厳しくなると予想される顧客からの品質要求に対応すると共に、設備の自動化を進め、生産性向上に努めます。植物由来の増粘安定剤は安心・安全な食品添加物として需要拡大が見込まれる商材であり、新規商品の開発や新たな用途開発に取り組みます。複合材料事業は、航空機用途の需要が新型コロナウイルス感染症拡大の影響で大きく落ち込みましたが、中長期での市場拡大が見込まれる分野であり、引き続き設備の自動化や多能工化に傾注することで生産技術力・コスト競争力を高め、需要の取り込みを図ります。また、当社が持つ製造技術を活かし、省エネルギー化や軽量化が求められる輸送機器関連、インフラや一般産業関連等、様々な分野で研究開発を進め、市場開拓に取り組みます。

 

「不動産・サービスセグメント」では、アフターコロナを見据え安定的収益基盤の維持拡充を目指します。不動産賃貸事業、リネンサプライ事業、ゴルフ場事業、物流配送事業を安定的に運営するほか、リネンサプライ事業では、大阪・関西万博を見据えた事業拡大のための設備更新と増強に取り組んでまいります。

 

なお、2023年3月期の連結業績見通しにつきましては、当社の海外連結子会社である㈱マーメイドテキスタイルインダストリーインドネシアでの火災に伴う損失額について保険金の受け取りを含んで算出しております。売上高370億円(前期比3.7%増)、営業利益17億円(同25.4%増)、経常利益14億円(同34.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益15億円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益49百万円)を見込んでおります。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 当社グループのリスクマネジメント体制

当社グループでは、当社グループにおける損失の危険の管理に関する体制とその運用を「リスクマネジメント基本規程」に定め、リスクマネジメントの最高責任者を代表取締役社長執行役員とし、リスクマネジメントの実効性を高めるために、当社コーポレート部門担当役員を委員長とする「リスクマネジメント委員会」を設置し、基本方針の決定、リスクアセスメントの実施、優先リスクの選定、リスク対策計画の承認及び対策結果の確認、レビューの実施などリスクに対して適切な管理を行い、リスク発生の未然防止、リスクが顕在化した場合は、被害の拡大防止などを図っております。

 

(2) 個別リスク

①市況変動に関するリスク

当社グループは、繊維事業・産業材事業・不動産・サービス事業を行っており、様々な市場に向けて、製品及びサービスを提供しております。当社グループにおいて、市場の変化に的確に対応し、競争力の維持拡大に努めてまいりますが、急激な世界経済情勢の変化等により景気が悪化、市況が変動した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

②原材料・燃料価格の変動・調達に関するリスク

当社グループは、製品の主・副原料として合成繊維及び燃料として重油等の石油化学製品を用いているため、原油価格に急激な変動や自然災害等により調達が困難になる場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

③為替相場の変動に関するリスク

当社グループは、原材料及び製品を海外から輸入しております。為替相場の変動によるリスクをヘッジする目的で為替予約を行っておりますが、リスクヘッジにより為替相場変動の影響を緩和することは可能であっても、影響を完全に排除することは不可能であります。また、在外子会社等の財務諸表項目の円換算において、為替相場変動の影響があります。為替相場の大幅な変動があった場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

④金利変動に関するリスク

当社グループは、有利子負債による資金調達を実施しております。有利子負債の圧縮に努め、また、金融機関からの借入については、金利スワップ取引により、金利変動リスクの圧縮に努めております。しかしながら、金利市場に急激な変化が生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤固定資産の減損に関するリスク

当社グループは、土地をはじめとする生産設備などの有形固定資産や無形固定資産を保有しております。それぞれの資産の時価の下落、事業環境の著しい変化、収益性の低下などにより、固定資産の減損損失の計上を余儀なくされた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥規制、コンプライアンスに関するリスク

当社グループは、国内外において様々な法規制の適用を受けております。法令遵守と企業倫理遂行の立場を明確にするため、行動規範及び行動基準を定め、全グループ役・職員への浸透を図っております。また、コンプライアンス活動を統括する組織として、代表取締役社長執行役員を委員長とし当社の取締役・執行役員・幹部社員及び当社グループ子会社各社の代表者を委員とする「シキボウグループコンプライアンス委員会」を設置しております。定期的な活動としては、「コンプライアンス本委員会」及び子会社各社の実務担当者を対象とした「コンプライアンス小委員会」を開催し、グループ全体のコンプライアンス体制の整備・運用の状況をチェックするとともに、法令・社内規程を周知徹底するための教育訓練等を行っております。しかしながら、法規制等の変更により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、事業上の機密情報、顧客情報、個人情報等を保有しております。これらの情報の取扱に関するルール等を整備し、情報セキュリティの強化・確保を図っておりますが、高度化する社外からの脅威によってウイルス感染、サイバー攻撃等で事業運営に影響が出た場合、社会的信用の失墜などのより当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧気候変動に関するリスク

気候変動の影響については自然災害の増加等を引き起こすことはもちろん、CO2をはじめとする温室効果ガス排出に対する政策、法規制及び炭素税導入により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。一方、気候変動に関する政策等の強化により、省エネ・温室効果ガス排出削減に貢献する技術や製品・サービスの需要が拡大することが予想され、当社グループのビジネス機会が増加する可能性があります。

 

⑨自然災害(感染症を含む)、事故、労働災害発生に関するリスク

当社グループは、国内外に事業所・工場などの施設を有しております。重要な事業活動の継続のため(BCP:Business Continuity Plan)を策定しておりますが、地震、水害等の大規模な自然災害の発生により、当社グループの施設及び従業員へ直接的な被害による生産活動の停止、さらには、原材料などの調達、流通の混乱等による間接的な被害により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループでは、従業員の安全管理については、日々安全管理を徹底するとともに、事故・労働災害を未然に防ぐため様々な対策を実施しておりますが、事業活動に伴う事故災害により、人的損害あるいは重大な物的損害が発生した場合は、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響は、当社グループの2022年3月期においても損益等への影響が発生しております。新型コロナウイルス感染症はまだ収束に至っておらず、景気の先行きは不透明な状況であり、今後、さらに新型コロナウイルス感染症が拡大・長期化した場合は、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩人材の確保に関するリスク

当社グループが持続的成長していくには、優秀な人材の確保が重要な経営資源の1つであると認識しております。少子化などにより人材採用の競争は激化しており、グローバルに活躍できる人材、高度な専門性を有した人材などを採用・育成できない場合は、将来の当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪政治、地政学変動に関するリスク

当社グループは、インドネシア、中国、ベトナム等においても生産を行っております。そのため、社会情勢等の変化、各国における各種法令・規制の変更等により、事業運営にも大きく影響いたします。

加えてロシアによるウクライナ侵攻をめぐる国際情勢の変化により、原材料及びエネルギー価格の高騰、物流の混乱が生じる事態は、事業運営に大きく影響いたします。

そのような状況が生じた場合は、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

なお、上記以外にも様々なリスクが考えられ、ここに記載したものがすべてのリスクではありません。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度の当社グループに関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、昨年9月末に緊急事態宣言が解除されたものの、年初にはまん延防止等重点措置が発出される等、長引く新型コロナウイルス感染症拡大の影響下にありますが、ワクチン接種が進んだこともあり、景気はやや持ち直しの動きが見受けられました。しかしながら原材料やエネルギー価格の高騰等による経済活動への打撃に加え、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う影響はさらなる価格高騰を招き、世界経済後退の懸念が生じています。今後の状況によっては経済活動の停滞が長期化する可能性もあり、先行きへの警戒感が高まっております。

このような状況の中、当社グループではコロナ禍に対応するための緊急経営計画「Revival Plan 2020-2021」(通称:Revival 20-21)に取り組んでまいりました。

2年目となる本年度は、アフターコロナを見据えて、成長を「加速すること」、そして新たな事業やビジネスモデルを「新たに創ること」に挑戦いたしました。「加速すること」では、繊維セグメントは、衛生加工素材の拡販・定着やサステナブルで環境に配慮した製品の販売を、産業材セグメントの複合材料事業は、生産効率向上のための体制再構築を迅速に進めました。「新たに創ること」では、繊維セグメントにおいて、同業他社との企業間連携、ファッションブランドとの共同プロジェクト、海外市場への販売推進のため台湾での現地法人設立等、新たな取組みを開始いたしました。また、産業材セグメントの複合材料事業においては、これまで航空機部材や電気絶縁材料等の製造で培った技術を活かし、航空機の部品やエンジン部品をはじめ、様々な分野におけるエネルギー消費低減に寄与する材料の軽量化に取り組んでまいりました。

以上のような施策を実施しましたが、コロナ以前の2019年度水準、売上高380億円、営業利益20億円への復帰を目指した「Revival 20-21」の目標には届きませんでした。産業材セグメント、不動産・サービスセグメントは、売上高、営業利益ともに前年実績を上回ることができましたが、コロナ禍の継続により、コロナ以前の2019年度水準には戻りませんでした。また、繊維セグメントにおいては、コロナ禍の継続により、海外をはじめとする新規商流を開拓できなかったことやエネルギー及び原材料価格等の外部要因が、「Revaival 20-21」の目標値との乖離要因となりました。それに加えて当社の海外連結子会社である㈱マーメイドテキスタイルインダストリーインドネシアにおける火災による影響が損失拡大の一因となり、火災に伴う損失額を特別損失として計上いたしました。

その結果、売上高は356億70百万円(前連結会計年度比6.4%増)、営業利益は13億56百万円(同13.3%増)、経常利益は10億38百万円(同10.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は49百万円(同399.3%増)となりました。

 

セグメントの業績を示すと、次のとおりです。

 

(繊維セグメント)

原糸販売事業は、国内産地向け販売の回復と共にベトナム協力工場を活用した「COTTON USA」を主とした差別化糸の海外販売が堅調に推移いたしましたが、国内生産糸はコストアップの影響が大きく、利益が圧迫されることとなりました。

輸出衣料事業は、中東民族衣装用生地輸出がほぼ回復、円安基調も追い風となり、下期後半を中心に売上が好調に推移いたしました。

ユニフォーム事業は、ユニフォーム生地販売については市場での在庫過多が徐々に解消され、新規及び企業制服更新の案件獲得等もありましたが、下期に入り原材料価格等の上昇により利益が圧迫されました。またニット製品販売についても市況は回復いたしましたが、コストアップに加え、ベトナムのロックダウンによる納期遅延もあり、売上・利益共に苦戦を強いられました。

生活資材事業は、リビング分野においては巣ごもり需要による販売増加のあった前年度と比較して荷動きが鈍化し、売上・利益共にやや苦戦いたしました。リネンサプライ分野においてホテルリネンは苦戦したものの、病院リネンは堅調に推移いたしました。

メディカル分野は量販店向けフルテクトマスクの販売が引き続き順調に推移いたしました。

また、当社の海外連結子会社である㈱マーメイドテキスタイルインダストリーインドネシアでの火災による一部操業停止のため、業績は当初計画より落ち込み、利益が減少いたしました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は186億26百万円(前連結会計年度比3.9%増)、営業損失は4億80百万円(前連結会計年度は1億92百万円の営業損失)となりました。

 

(産業材セグメント)

産業資材部門では、ドライヤーカンバス事業は、主要顧客である国内製紙会社の生産設備の停機により国内カンバス市場は縮小いたしましたが、操業に若干の回復が見られ、設備改造に伴う需要が取り込めたことに加えて、輸出が堅調に推移したことにより増収となりました。フィルタークロス事業は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が少ない官公需が底堅いことに加え、経済活動の活発化に伴う国内製造業の回復や新規取引先への販売拡大効果により、増収増益となりました。空気清浄機分野は、前年同様大口スポット需要もあり、堅調に推移いたしました。

機能材料部門では、化成品事業は中国向けの化学品需要が増加したとともに、食品用増粘安定剤が堅調に推移した結果、全体では増収となりました。複合材料事業は、電力分野等の複合材料部材は低調となりましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により落ち込んだ航空機用途の需要が回復基調にあり、全体では増収となりました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は120億22百万円(前連結会計年度比11.3%増)、営業利益は6億79百万円(同174.9%増)となりました。

 

(不動産・サービスセグメント)

不動産賃貸事業、ゴルフ場事業及び物流事業は、堅調に推移いたしました。一方でリネンサプライ事業は前年に引き続き新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、苦戦いたしました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は56億25百万円(前連結会計年度比3.5%増)、営業利益は18億27百万円(同7.4%増)となりました。

 

(2) 財政状態

(資産)

流動資産の当連結会計年度末の合計は230億39百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億25百万円の減少となりました。これは主に、売上債権やたな卸資産が増加したものの、現金及び預金の減少によるものであります。

固定資産の当連結会計年度末の合計は585億57百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億57百万円の減少となりました。これは主に、減価償却による有形固定資産の減少によるものであります。

その結果、当連結会計年度末の総資産は、815億96百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億83百万円の減少となりました。

 

(負債)

流動負債の当連結会計年度末の合計は165億77百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億11百万円の減少となりました。これは主に、仕入債務や収益認識に関する会計基準の変更により流動負債その他が増加したものの、短期借入金の減少によるものであります。

固定負債の当連結会計年度末の合計は332億9百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億24百万円の減少となりました。これは主に、長期借入金の減少によるものであります。

その結果、当連結会計年度末の負債は、497億87百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億36百万円の減少となりました。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産は、318億8百万円となり、前連結会計年度末に比べ46百万円の減少となりました。これは主に、為替変動に伴う為替換算調整勘定が増加したものの、配当金の支払に伴う利益剰余金の減少によるものであります。

その結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ1.6ポイント増加し、39.0%となりました。

 

(3) キャッシュ・フロー

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動による資金は、29億88百万円の増加(前連結会計年度は27億75百万円の増加)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益2億95百万円、減価償却費18億71百万円、火災損失7億84百万円による増加であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動による資金は、6億54百万円の減少(前連結会計年度は23億42百万円の減少)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得5億68百万円による減少であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動による資金は、37億91百万円の減少(前連結会計年度は5億9百万円の減少)となりました。主な要因は、短期借入金返済13億71百万円による減少、長期借入調達32億円による増加、長期借入金返済49億59百万円による減少、配当金の支払い4億34百万円による減少であります。

 

その結果、資金は13億64百万円の減少(前連結会計年度は74百万円の減少)となり、期末残高は50億8百万円(前連結会計年度は63億72百万円)となりました。

 

(キャッシュ・フローの指標)

当社グループのキャッシュ・フロー指標トレンドの推移は以下のとおりであります。

 

2020年3月

2021年3月

2022年3月

自己資本比率(%)

36.8

37.4

39.0

時価ベースの自己資本比率(%)

12.4

13.0

12.6

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

10.0

10.2

8.4

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

11.4

11.4

13.3

 

(注) 自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

キャッシュ・フローは、営業キャッシュフローを利用しております。

有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を払っている全ての負債(ただし建設協力金を除く)を対象としております。

 

 

(4)生産、受注及び販売

①生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前連結会計年度比
(%)

繊維

16,576

4.0

産業材

9,497

8.0

不動産・サービス

合計

26,074

5.4

 

(注) 1 金額は外注加工(材料費部分を含む)を含んでおります。

2 金額は製造原価により算出しております。

 

②受注状況

該当事項はありません。

 

③販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前連結会計年度比
(%)

繊維

18,616

4.0

産業材

12,022

11.3

不動産・サービス

5,031

4.7

合計

35,670

6.4

 

(注) 上記金額は、セグメント間取引の相殺消去後の金額であります。

 

(5)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表]「注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績の分析

(売上高、営業利益)

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ21億51百万円増加の356億70百万円、また、営業利益は前連結会計年度に比べ1億59百万円増加の13億56百万円となりました。

なお、セグメント別の詳細につきましては、「(1)経営成績」に記載のとおりであります。

(単位:百万円)

 

売上高

営業利益

2022年3月期業績予想

2022年3月期実績

増減

2022年3月期業績予想

2022年3月期実績

増減

繊維

18,600

18,626

26

100

△480

△580

産業材

11,700

12,022

322

500

679

179

不動産・サービス

5,700

5,625

△74

1,750

1,827

77

調整

△600

△602

△2

△750

△670

79

連結合計

35,400

35,670

270

1,600

1,356

△243

 

 

当社グループは、2022年3月期の業績予想を売上高354億円、営業利益16億円と予想して活動してまいりましたが、コロナ禍の継続により、海外をはじめとする新規商流を開拓できなかったことやエネルギー及び原材料価格高騰等の外部要因があったものの、概ね予想どおりに推移しました。

 

(経常利益)

当連結会計年度の営業外収益は、補助金収入が2億25百万円減少したこと等により、前連結会計年度に比べ2億9百万円減少の2億33百万円となりました。また、営業外費用は、新型コロナウイルス感染症による損失が1億93百万円減少したこと等により、前連結会計年度に比べ1億51百万円減少の5億51百万円となりました。

この結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ1億1百万円増加の10億38百万円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の特別利益は、2021年9月8日に当社の海外連結子会社である㈱マーメイドテキスタイルインダストリーインドネシアにおいて発生した火災に伴う損失額についての受取保険金を54百万円計上したこと等により56百万円となりました。特別損失は、当該火災に伴う損失額を7億84百万円計上したこと等により7億99百万円となりました。

また、法人税等合計は、前連結会計年度に比べ10百万円増加の2億60百万円、非支配株主に帰属する当期純損失は、前連結会計年度に比べ3億8百万円増加の△14百万円となりました。

以上のとおり、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ39百万増加の49百万円となりました。

 

財政状態の分析

当連結会計年度の財政状態の分析につきましては、「(2)財政状態」に記載のとおりであります。

 

 

キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(3)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、第2[事業の状況]2[事業等のリスク]に記載のとおりであります。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、以下のとおりであります。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。

当社グループは、財務の健全性や資本効率の向上を追求しながら、株主への適性な利益還元を実施するとともに、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金につきましては自己資金及び金融機関からの短期借入金での調達によるものであり、設備投資や長期運転資金の調達につきましては金融機関からの長期借入金及び私募債での調達によるものであります。

なお、当連結会計年度末における借入金、社債及びリース債務の有利子負債の残高は250億31百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は50億8百万円となっております。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

当社は、2021年4月28日開催の取締役会において、当社の連結子会社である新内外綿株式会社(以下「新内外綿」といいます。)との間で、当社を株式交換完全親会社、新内外綿を株式交換完全子会社とする株式交換(以下「本株式交換」といいます。)を行うことを決議し、当社と新内外綿との間で株式交換契約(以下「本株式交換契約」といいます。)を締結しました。

本株式交換により、その効力発生日である2021年7月26日をもって、当社は新内外綿の完全親会社となり、完全子会社となる新内外綿の普通株式(以下「新内外綿株式」といいます。)は、株式会社東京証券取引所市場第二部において、2021年7月20日付で上場廃止(最終売買日は2021年7月19日)となりました。

また、当社は、2022年1月31日開催の取締役会において、当社の連結子会社である株式会社マーメイド広海(以下「マーメイド広海」といいます。)との間で、当社を株式交換完全親会社、マーメイド広海を株式交換完全子会社とする株式交換(以下「本株式交換」といいます。)を行うことを決議し、当社とマーメイド広海との間で株式交換契約(以下「本株式交換契約」といいます。)を締結しました。

本株式交換により、その効力発生日である2022年3月1日をもって、当社はマーメイド広海の完全親会社となりました。

 

詳細は、第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表]「注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループでは、中期経営計画「ACTION22-24」の基本方針の中で、「新中核事業に続く新たな成長の芽の育成と研究開発の推進」、「地球環境に配慮した製品や社会課題を解決する製品のさらなる開発と販売強化」を掲げており、既存事業の発展と新規事業の育成を推進すべく、研究開発活動に積極的に取り組んでおります。

当社グループの研究開発活動は、繊維セグメントでは、紡績糸の開発は富山工場で行い、織・編・加工並びに各種繊維製品の研究・開発は㈱シキボウ江南内にある当社開発技術部で行っております。

産業材セグメントでは、産業資材部門の研究開発は敷島カンバス㈱の研究開発部で行い、機能材料部門の化成品事業については㈱シキボウ堺において、複合材料事業は東近江市にある当社中央研究所を拠点に開発を行っております。

 

(繊維セグメント)

抗ウイルス加工「フルテクト®」については、様々な繊維製品に対応した加工の開発を進めており、協業・連携している企業の素材への共同開発も進めております。ファッションブランド、アンリアレイジにおいては2020年秋に引き続き、2021年春のパリコレクションにも「フルテクト®」を採用いただきました。当社は客先であるアパレルに「フルテクト®」加工素材を提案する際、アンリアレイジによるユニフォームデザインをセットで提案するという新たな取組みを行っております。

消臭加工「デオマジック®」については、消臭剤として畜産現場や産業廃棄物処理場、大手製紙工場などで採用され展開している中、ペット用品等の製造販売を行っている企業から、「デオマジック®」を使用した熱蒸散タイプのペット臭対策の消臭剤も発売され好評を得ております。また、トイレットペーパーや衛生用品を製造販売している企業からは「デオマジック®」を使用した介護用おしりふきが2022年4月に発売開始となりました。

また、燃焼時のCO2排出量を削減する環境配慮型ポリエステル「オフコナノ®」にPP(ポリプロピレン)不織布への応用により、フルテクトマスクにも展開しております。ユニフォーム、シャツ、スポーツウエア、寝装品など繊維全般に向けて新タイプの環境配慮型素材として提案を進めてまいります。

加えて女性の快適性を追求した機能加工の開発も進めており、10人の女性従業員で構成するフェムテックプロジェクトチームと連携し、経血対応の防臭加工「フェミュー®」経血対応の防汚加工「ノアード®」を開発しました。更なる快適性を追求し開発を進めるとともに機能性を確認するための試験方法についても一般財団法人ボーケン品質評価機構と共同で取り組んでまいります。

 

繊維セグメントの当連結会計年度の研究開発費は、149百万円であります。

 

(産業材セグメント)

産業資材部門は、ドライヤーカンバス事業では、汚れ除去効果を付加した新製品を開発し、顧客において実機テストを実施しておるところです。今後、品種バリエーションの拡充を進めてまいります。コルゲーターベルト分野では、海外販売を見据えた新たなニードルベルト(N-Dry8)を開発し、国内の段ボール製造会社において実機テストを開始しております。渡航制限が解除され次第、海外での営業活動に着手いたします。

フィルタークロス事業では、微粒子補修効率を向上させた加圧脱水機用緻密クロスや、シワが入りにくく、かつ軽量な広幅対応水平ベルト用クロスを開発し、販売を開始いたしました。空気清浄機分野では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で販促が遅れておりました新製品の小型オイルミスト除去装置や防虫フィルターの販売を強化してまいります。

今後は、繊維セグメントが有する繊維加工技術の産業資材部門への応用も検討しております。特にサステナビリティにつながる機能の強化と製品開発に取り組む予定になっております。

機能材料部門では、化成品事業においては、食品用増粘多糖類の用途拡大を主体に研究開発を進めております。当社が製造する食品用増粘多糖類は、植物由来の安心安全な食品添加物としてソースやドレッシング、アイスクリームなどに使用されており、食品のとろみや品質の安定などで有用な特性があります。新たな用途に向けては精製技術の高度化などに取り組み、需要が拡大している健康飲料や冷菓用途の開発を進めます。また食品廃棄ロスの削減や地球環境に優しいエコロジーな食品作りに貢献できるように食品添加物の研究開発を進めてまいります。

複合材料事業の中央研究所においては、航空宇宙分野及びエネルギー分野向け用途を主体に繊維強化複合材料の研究開発を行っております。航空機エンジン部品では、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業に重工メーカーと共同で参画しており、現在使用されている合金素材以上に高温耐熱特性があるセラミック繊維を用いた複合材料(CMC)の研究開発を進めております。当社はCMCの基材となる三次元組織の織物について技術開発を行い、航空機エンジンの熱効率向上と軽量化の実現により省エネルギー化を目指しております。加えて電気絶縁性能や高強度軽量化を求める分野で商品開発に取り組むとともに、海外のユーザー企業、大学や研究機関との連携も強めながら、各用途に最適な材料の開発を進めてまいります。

 

産業材セグメントの当連結会計年度の研究開発費は188百万円であります。

 

以上の結果、当連結会計年度の研究開発費は337百万円であります。