当連結会計年度におけるわが国経済は、日銀による金融緩和政策や、政府の景気浮揚政策を背景に企業収益が好調に推移し、設備投資や雇用情勢が改善して総じて緩やかに回復いたしました。一方、個人消費は低迷が続いており、中国の景気減速、米国の金融政策、原油価格の動向などから、国内景気の先行きは依然として不透明感が強まっております。
当社グループにおける事業環境は、特に繊維事業では、為替変動による原材料価格や労務費などへの影響や、個人消費の低迷から消費者の節約志向が続いており、総じて厳しい状況で推移いたしました。一方、収益の柱であります不動産活用事業で、二つの大型商業施設のさらなる集客力の強化をはかり、また、新たに病院施設の賃貸を始め、引き続き安定した事業収益を確保しております。
この結果、当連結会計年度の売上高は、82億47百万円(前期比3.3%増)、経常利益は11億23百万円(前期比18.3%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、固定資産譲渡損等の特別損失を計上したことにより、5億6百万円(前期比36.4%減)となりました。
当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較は変更後の区分により作成した情報に基づいて記載しております。
なお、事業別セグメントの概況は、次のとおりであります。
① 繊維事業
マテリアル課の原糸販売は、国内での衣料品販売の不振から、定番糸を中心に荷余り感が発生し販売競争が激化したことを受けて、ポリエステル糸の販売量は減少しました。一方、生地販売はアパレルメーカーの麻生地の取扱量が増加し福井出張所における輸出用生地の販売が好調に推移して、全体では増収となりました。アパレル課は、法人ユニフォームやスポーツ関連商品が引き続き堅調に推移し、百貨店関係の販売も順調に伸ばすことができ大幅な増収となりました。また収益面では、マテリアル課、アパレル課ともに売上を伸ばしたものの期初より円安に動いた為替の影響が大きく、減益となりました。
カジュアル課の縫製品関係は、百貨店での「ユミカツラ」や「ミュゼ ジョワイユ」の自社ブランドメンズカジュアル品の売上が、都市型の百貨店では訪日外国人によるインバウンド効果が見られたものの、地方の百貨店には届かず、減収となりました。加えて、他社企画のOEM受注を縮小した結果、全体では大幅な減収となりました。また、収益面では在庫品の評価減があり、大きな損失を計上いたしました。
刺繍レースを扱うフロリア㈱は、刺繍レースファッションの自社企画商品の販売が増えたものの、レース生地や付属品の販売が伸び悩み、減収となりました。
この結果、繊維事業の売上高は41億54百万円(前期比4.7%増)、営業損失は前期に比べ45百万円増加して1億79百万円となりました。
② 不動産活用事業
不動産活用事業においては、「イオンモール川口前川」は近隣の大型商業施設に比べ「回遊型ショッピング」ができるお客様の利便性と、生活環境にあった専門店選びが高く評価され、高い集客力を維持しております。また「イオンモール川口」は、開設から31年経つものの近隣のお客様が固定客として定着しております。二つの大型商業施設を主とする不動産活用事業は、引き続き安定した収益基盤を維持しております。賃料収入面においては、「かわぐち心臓呼吸器病院」が11月に賃貸開始したものの、「イオンモール川口」の賃貸期間満了後の契約更新による賃料減額等があり、僅かな減収となりました。利益面では、「かわぐち心臓呼吸器病院」の竣工による減価償却費及び不動産取得税の計上を行った結果、減益となりました。
この結果、不動産活用事業の売上高は24億76百万円(前期比1.3%減)、営業利益は10億66百万円(前期比6.7%減)となりました。
③ ゴルフ練習場事業
埼玉興業㈱の「川口・黒浜・騎西の各グリーンゴルフ」練習場は、ゴルフ子供教室や女性教室の人気が続いており、LED照明を導入して環境整備をはかり、夜間に団体や企業を対象にしたゴルフレッスン会等を実施するなど集客方法を工夫して、全体の入場者、売上高ともに増加いたしました。利益面でも、広告費等の経費削減により大幅な増益となりました。
この結果、ゴルフ練習場事業の売上高は8億92百万円(前期比2.2%増)、営業利益は66百万円(前期比246.7%増)となりました。
④ その他の事業
当社のギフト事業部営業課の葬祭返礼品販売は、消費者の節約意識がさらに進み、施行規模の小口化や家族葬が増え、大幅な減収減益となりました。ギフト事業部ディアグリーン課の緑化事業は、収益の中心である観葉植物のレンタル契約を維持し、外部造園工事等の関連する業務を手掛けて僅かな増収となりました。また、独自の給水タンク機能とデザイン鉢を組み合わせて商品価値を高め、良質なメンテナンスで植物の交換費用の削減に努めた結果、増益となりました。
神根サイボー㈱のインテリア施工事業は、大口の工事物件の受注や、一般先の工事を増やして、増収増益となりました。
この結果、その他の事業の売上高は7億24百万円(前期比14.3%増)、営業利益は25百万円(前期比30.8%減)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は前連結会計年度末に比べ14億36百万円減少して24億86百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は前連結会計年度に比べ2億93百万円増加して13億39百万円となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が4億72百万円減少、売上債権が3億18百万円増加したものの、長期預り保証金が5億21百万円、その他に含まれる未払金や未払費用等の負債が5億84百万円増加したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、支出した資金は前連結会計年度に比べ17億44百万円増加して23億65百万円となりました。これは主に有価証券の売却による収入が9億80百万円減少したことや、有形固定資産の取得による支出が11億41百万円増加したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、支出した資金は前連結会計年度に比べ15億75百万円増加して4億10百万円となりました。これは主に長期借入れによる収入が18億円減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度の「生産、受注及び販売の状況」をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
「生産実績」の金額は、当期製造費用、「商品仕入実績」の金額は、仕入価格で記載しており、それ以外のものは、販売価格によっております。また、セグメント間の取引については、相殺消去しております。なお、金額には消費税等は含まれておりません。
セグメントの名称 | 生産高(千円) | 前年同期比(%) |
繊維事業 | 418,938 | 4.3 |
その他の事業 | ― | ― |
合計 | 418,938 | 4.3 |
セグメントの名称 | 仕入高(千円) | 前年同期比(%) |
繊維事業 | 3,226,094 | 9.1 |
その他の事業 | 194,616 | △4.6 |
合計 | 3,420,710 | 8.2 |
セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) |
繊維事業 | 4,308,218 | 9.1 | 260,340 | 143.6 |
その他の事業 | 741,700 | 25.3 | 27,901 | 173.1 |
合計 | 5,049,918 | 11.2 | 288,242 | 146.2 |
セグメントの名称 | 販売高(千円) | 前年同期比(%) |
繊維事業 | 4,154,738 | 4.7 |
不動産活用事業 | 2,476,872 | △1.3 |
ゴルフ練習場事業 | 892,187 | 2.2 |
その他の事業 | 724,015 | 14.3 |
合計 | 8,247,814 | 3.3 |
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
販売高(千円) | 割合(%) | 販売高(千円) | 割合(%) | |
イオンモール㈱ | 2,428,137 | 30.4 | 2,372,466 | 28.8 |
当社は、今年の4月に「3カ年中期営業計画」の3年目がスタートいたしました。その目標は、「繊維事業の黒字化奪回」と安定した収益を生みだす「不動産活用事業のさらなる拡充」と、当社グループにおける「その他の事業の収益貢献度の向上」であります。
繊維事業の中核であります原糸販売とユニフォームやスポーツ関連商品の販売は、引き続き営業利益を確保いたしましたが、百貨店での自社ブランド品販売は、個人消費の伸び悩みを背景に低調な動きが続き、繊維事業は3期連続の営業損失を計上いたしました。
その反省を踏まえて何としても、メンズカジュアル商品の百貨店販売の利益を改善するため、昨年からデザイン力や有力百貨店への新規営業力の向上に熟練した人材を採用、投入してまいりました。「ユミカツラ」「ディレツィオーネ」のブランドリニューアルを実施して、上質感を出せる商品とトータルコーディネートできる商品を揃えて客単価を上げ、ビジネスにも着用できるブランドを展開してまいります。常設百貨店に首都圏の都市型百貨店をさらに開拓して、不採算店舗は積極的に撤退を進め、一方ではネット販売を強化しながら、売上高の増加と利益改善に取り組み、「繊維事業の黒字化奪回」をはかります。
不動産活用事業は、大型商業施設の一つである「イオンモール川口」の契約期間更新に伴う再開発の準備を進め、施設の建て替え等に向けて収益基盤を再構築することが大きな課題であります。二つの大型商業施設について競合他社に比べて常に優位を維持することで、約4,500人の雇用を確保しており、また昨年11月には高度医療充実策として地域に貢献すべく「かわぐち心臓呼吸器病院」を「イオンモール川口前川」に隣接した本社敷地内に建設、賃貸を開始し、不動産活用事業を拡充いたしました。このような、当社グループの地域密着型の事業展開が、地域社会への大きな貢献活動であると考えております。引き続き未活用不動産の活用方針を鋭意決定して、不動産活用事業を充実してまいります。
ゴルフ練習場事業は、隣接した「イオンモール川口」の集客力を活かし、お客様に向けた新たなサービスを模索、提供して集客力の向上に努めてまいります。
その他の事業では、ギフト事業部営業課の葬祭返礼品販売は、長引く消費低迷から葬儀の小口化の流れがさらに進み、将来の事業に不安が顕在化したと判断して、今年の4月に取引の大部分を受注していた取引先との取引を解消いたしました。今後は事業性の高いギフト事業部ディアグリーン課の緑化事業を、さらに営業強化してまいります。当社独自の環境にやさしい自動給水システムによる観葉植物のレンタル事業を中心に、外部造園を含むオフィスの環境改善に役立つ事業を展開していきます。インテリア施工事業は、一般施工件数を増加させ事業の安定化を推進します。
以上のような各事業の計画を実現させるため、経営理念の「お客様に喜ばれる商品の提供」を事業の基本として、「株主の皆様に報いる企業価値の向上」への取組みをさらに推進します。また、新卒採用によるフレッシュな人材確保と、社員の能力開発に資する「教育研修制度」により、人材の育成に注力し、男女差の無い「働きがいのある職場づくり」の推進のために人事制度を見直して、会社組織のさらなる活性化を目指してまいります。
当社グループは、業容の拡充による企業価値の向上を第一義として、社会的責任を全うする観点から内部統制システムを充実させ、企業組織の活性化と社員一人ひとりの法令遵守に意を用いて、内外の信頼と評価をさらに高めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは市況製品を展開しており、他社との競合に伴う市場価格の変動や為替相場の変動により業績に大きな影響を受ける可能性があります。特に繊維品は中国を中心に委託生産を展開しており、競合他社が現地でより安い労働力で生産した場合、価格競争が熾烈化し売上に大きな影響を受ける可能性があります。また、繊維品は中国、台湾等からの輸入比率が高く、為替レートの円高は当社グループに好影響をもたらし、円安は悪影響を及ぼします。
当社グループは国内及びアジア諸国において、技術指導、検品指導を強化し品質管理を徹底しておりますが、欠陥製品が発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。このため製品の欠陥により当社グループの業績と財務状況、社会的評価等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの繊維品は、中国、台湾等アジア諸国で委託生産を展開しており、次のようなリスクがあります。そのため、これらの事象が発生した場合は、当社グループの業績と財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
・ 予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更
・ 不利な政治的要因の発生
・ テロ、戦争等による社会的混乱
当社グループは、イオンモール㈱に対する、2店舗の大型商業施設の賃貸及びビルメンテナンス請負等の取引があり、当連結会計年度の同社との取引高は、売上高に対して28.8%(前年同期30.4%)と高い比率であります。
大型商業施設のうち、イオンモール川口に関しては、平成30年10月までの賃貸借契約を結んでおります。
大型商業施設の建設費は、イオンモール㈱からの無利息の預り保証金により、主として賄っております。当該保証金のうち、70%は建設協力金として、建物の竣工から10年経過後、10年間で均等返済する契約を結んでおります。また、災害等によるやむを得ない事由の解約による保証金の返済が発生した場合、自社の保有する資金では不足する可能性があります。
(1) 賃貸借契約
契約会社 | 契約先名 | 契約期間 | 賃貸物件名 |
サイボー㈱ | イオンモール㈱ | 自 平成19年11月21日 | イオンモール川口前川 |
敷地面積 | 71,523㎡ |
建物延面積 | 133,681㎡ |
建設協力金(契約時元本額) | 4,900,000千円 |
保証金(契約時元本額) | 2,940,000千円 |
(注) 平成19年11月21日に増床建物が竣工したことにより、既存建物を含めた賃貸借契約が変更されました。
(2) 当社は、平成27年11月10日にイオンモール㈱と当社が進める「イオンモール川口」周辺の開発事業における土地活用について、共同で検討を進めていくことを目的に合意書を締結しております。
特記すべき事項はありません。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ8億39百万円減少して275億10百万円となりました。これは主に賃貸目的の病院施設(かわぐち心臓呼吸器病院)が平成27年10月に竣工したことや、川口神根地区の再開発に伴い川口市との間で土地交換を行ったこと等から建物及び構築物が14億44百万円、土地が11億9百万円増加した一方、建設仮勘定が19億10百万円減少し、また、これらの取引の影響等から現金及び預金が16億79百万円減少、有形固定資産が減価償却費により減少したこと等によるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ8億79百万円減少して120億71百万円となりました。これは主に短期借入金が3億円増加したものの、流動負債のその他に含まれる建設未払金等の支払いにより6億38百万円、長期借入金(1年内に返済予定を含む)が4億21百万円減少したこと等によるものであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ39百万円増加して154億39百万円となりました。これは主にその他有価証券評価差額金が3億24百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が3億24百万円、非支配株主持分が1億8百万円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ3.3%増加して82億47百万円となりました。繊維事業は、原糸販売が麻生地の販売量増加により、アパレル販売ではユニフォームの更新や新規直需の取引先が堅調に推移し増収となりました。一方、カジュアル販売では自社ブランドメンズカジュアル品の販売に注力しOEM受注を縮小したことや、刺繍レースの製造販売が伸び悩んだことから減収となりました。この結果、繊維事業の売上高は前連結会計年度に比べ4.7%増加しました。不動産活用事業は、平成27年11月から病院施設の賃貸を開始したものの、大型商業施設1店舗の契約期間満了後の更新に伴い、賃料を減額したことから前連結会計年度に比べ1.3%減少しました。ゴルフ練習場事業は、夜間のゴルフレッスン会等を催し、来場者が増加したことから前連結会計年度に比べ2.2%増加しました。その他の事業は、慶弔ギフト品販売が家族葬の増加による販売量の減少が響いたものの、緑化事業が造園工事等の関連する業務を手掛けたことやインテリア施工事業は大口、一般物件の受注が増加したことから、前連結会計年度に比べ14.3%増加しました。
前連結会計年度に比べ売上原価は5.2%増加して57億10百万円、販売費及び一般管理費は4.6%増加して15億72百万円となりました。売上原価は繊維事業の円安による輸入コストの増加、賃貸目的の病院に係る不動産取得税や減価償却費の計上により増加し、販売費及び一般管費理は人件費等の増加によるものです。
営業利益は前連結会計年度に比べ8.3%減少して9億65百万円となりました。繊維事業は円安による輸入コストの増加や、カジュアル販売の業績改善の遅れ等から営業損失を計上するに至りました。不動産活用事業は、賃貸目的の病院施設の初年度費用が収益を上回ったこと等により減益となりました。ゴルフ練習場事業は広告費等の圧縮をはかり増益となりました。その他の事業は、主に慶弔ギフト品販売の受注減に伴い減益となりました。
経常利益は前連結会計年度に比べ18.3%減少して11億23百万円となりました。これは主に、持分法による投資利益が増加したものの、受取配当金の減少や有価証券運用損の影響によるものであります。総資産経常利益率は1.1ポイント減少して4.0%、売上高経常利益率は3.6ポイント減少して13.6%となりました。
特別損失は、建物等の撤去費用を固定資産除却損として計上したことや、遊休資産等の減損損失の計上、当社が進めている川口神根地区の再開発に伴い川口市に構築物等を譲渡したことによる損失を固定資産譲渡損として計上しました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ36.4%減少して5億6百万円となりました。これは主に経常利益の減少や特別損失の増加等によるものであります。1株当たり当期純利益は21円85銭減少して37円96銭となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。