第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 業績

 当事業年度(平成27年4月1日から平成28年3月31日まで)の業績は、営業収益(売上高)54億61百万円(前年同期比34.3%減)、営業利益10億70百万円(前年同期比49.6%減)、経常利益9億6百万円(前年同期比51.3%減)、当期純利益7億61百万円(前年同期比57.9%減)となりました。

 

 当事業年度における国内株式市場は、平成27年4月に日経平均株価20,000円台の上昇基調で推移した上半期から、平成27年8月に起きた中国経済の失速で日経平均株価は16,000円台に下落した後、世界経済の成長見通しが懸念され、引き続き株式市場や為替は大きく変動する下半期となりました。その後、米国を中心にG7各国は、これら課題解決のため共同して経済危機を乗り越える取り組みを開始しましたが、世界経済は石油価格の下落、中東紛争による難民問題やテロ事件で不安定な状況が続き、国内経済においても連動する状況下でありました。当事業年度末の日経平均株価は16,758円と低水準になりましたが、上場企業の業績は陰りが見えるものの堅実な成果を上げております。

 日本経済は、安倍政権が誕生した平成24年12月以降、同政権の活力と創意で国内経済は大きな進歩を遂げました。平成24年就任時の日経平均株価は10,230円、為替は1ドル85円から、アベノミクス効果で円安へと改善され、企業業績はリーマンショック前に戻る好業績を上げる段階まで来ました。今後、燃料・エネルギーなどの環境対策やTPP交渉、さらに震災対応など取り組む重要課題はあるものの、日本企業はイノベーションによる新たな成長戦略と改善効果が評価され、外国人投資家から大きな期待が持たれております。また、日本文化の魅力と豊かな自然環境が評価され、海外からの観光客も年間2千万人を突破し、インバウンド効果や2020年東京オリンピックに向けて絶好のビジネス・チャンスが創出されております。

 

(投資銀行業務の役割)

 投資銀行業務は、上場企業の有価証券発行による資金調達をサポートし、事業の成長戦略に必要なM&Aなどの事業戦略、財務戦略の支援・助言を行い、商業銀行が業務上担えないリスク投資分野を行っております。今日、混迷する世界経済や株式市場において、成長を目指す新興企業や中堅企業に向けた成長支援投資や事業再生支援投資は投資銀行の使命であり、日本経済の再生にとっても重要な役割を果たしております。当社は投資銀行として上場企業がエクイティファイナンス資金を活かし、成長戦略が軌道に乗ることで評価されると考えております。

 また当社は、公正な資金調達の担い手として、ファイナンスの引受けに際し、金融庁や証券取引所の定める厳正かつ公正なルールに従い株式市場に対して透明性を重視し、投資家の不利益にならない条件で引受けております。

 

(投資銀行業務の成果)

 当事業年度は、新興市場並びに中小型市場の上場企業向け財務戦略と成長戦略の支援を行うとともに、企業再生やイノベーションを支援する再生投資に注力し、事業規模拡大に努めてまいりました。

 その結果、当期の実績は、上場企業10社に対してエクイティファイナンス引受を行い、新株及び新株予約権の引受けは1社平均12億円、総額は前期比2.2倍の131億円となりました。

 

(成長分野の重点支援)

 投資分野は、人口知能(AI)、ビッグデータ、IoT、フィンテック、再生医療、インバウンド、サイバーセキュリティー、ロボットなどを重点分野としております。

 

(企業価値と株主価値を高める経営方針を展開)

 当社は、金融市場の潮流を捉え、投資分野の多角化を展開していくことを経営戦略としております。当事業年度は、事業投資分野として、米国ハワイ州にある総敷地面積164万㎡の18ホールのゴルフ場(64万㎡)及び同敷地内にある分譲用土地(47万㎡)を買収いたしました。新年度よりハワイリゾート及びゴルフ場をリゾート投資事業として米国人向けにゴルフ会員権販売及び分譲別荘の販売を展開してまいります。

 投資銀行業務の潜在成長力を高め、キャピタルゲイン収益の他、運用商品の多角化を図り、収益構造のイノベーションとして、事業投資からの収益を加え、事業の成長力、収益力、安定力をより強固な体質にすることで、企業価値並びに株主価値を高めてまいります。そして、成長し続ける投資銀行を目指してまいります。

 

 以上の活動の結果、キャピタルゲインは19億77百万円となり、投資収益率は56.9%となりました。これらの詳細は、以下のとおりであります。

 

 

 

当事業年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

前事業年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

投資収益(千円)

5,451,970

8,307,363

投資原価(千円)

3,474,577

5,194,515

キャピタルゲイン(千円)

1,977,392

3,112,848

投資収益率(%)

56.9

59.9

営業利益(千円)

1,070,643

2,122,585

当期純利益(千円)

761,512

1,809,145

 

・当期の投資実績

エクイティファイナンスの引受実績                          (単位:千円)

社  名

事業内容

引受総額

㈱TBグループ

[東証2部 6775]

LED照明&ECO事業・デジタルサイネージ事業・電子マネー及びストアオートメーション事業を展開

171,600

㈱ガーラ

[東証JQS 4777]

オンラインゲーム開発で培ったノウハウを活かし、スマートフォンアプリゲームの積極的グローバル展開

1,513,968

パス㈱

[東証M 3840]

コミュニティ型市場で通販事業を確立し、既存事業とのシナジー創出を図る積極的戦略を展開

1,509,138

㈱アエリア

[東証JQS 3758]

IT技術を駆使し、ネットワーク・コミュニケーションをキーワードに「ゲーム事業」「IT事業」を展開

1,210,896

㈱ピクセラ

[東証2部 6731]

「IoT関連事業」「自動多言語翻訳システム事業」「AR・VR事業」の3事業分野を戦略のメインテーマとした事業を展開

1,411,770

㈱レッド・プラネット・ジャパン

[東証JQS 3350]

全国にホテル事業の拡大戦略を積極的展開

2,018,248

モジュレ㈱

[東証JQG 3043]

大企業の情報システム構築などのITソリューションサービス事業を展開

301,340

㈱ホットリンク

[東証M 3680]

「ビックデータの分析と活用」による新たなマーケティング手法を展開

1,407,390

㈱ソフトフロント

[東証JQG 2321]

「コミュニケーション・プラットフォーム事業」と「ネットとリアルの融合による価値創出事業」を展開

1,518,209

レカム㈱

[東証JQS 3323]

「強固な顧客基盤と販売力」を活かし環境関連分野を含む成長分野へ進出

605,623

パス㈱

[東証M 3840]

通販事業の拡大に向けて「コミュニティ型マーケット」の確立を目指す

1,509,524

合         計

 

 

13,177,709

 

  事業投資・ブランド投資の実績

ビッグアイランドカントリークラブ

ハワイのリゾートゴルフ場及び分譲用不動産用地

ホーフベッカライ エーデッガー・タックス

オーストリア老舗ベーカリーの日本展開

 

・営業投資有価証券残高

 

当事業年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

前事業年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

営業投資有価証券(千円)

4,027,095

2,732,668

 

・エクイティファイナンス引受残高

 

当事業年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

前事業年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

株式・新株予約権(千円)

11,623,223

3,768,647

上場株式銘柄数

19

14

(注)エクイティファイナンスの引受及び新株予約権の行使により取得した株式の貸借対照表計上額並びに、エクイティファイナンスの引受けにより取得した新株予約権の未行使残高の合計額を記載しております。

 

 

当事業年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

前事業年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

総資産(千円)

8,130,729

7,579,945

純資産(千円)

7,894,661

6,932,902

自己資本比率(%)

96.95

91.30

ROE(%)

10.29

32.56

ROA(%)

9.69

30.25

1株当たり当期純利益(円)

14.55

38.20

1株当たり配当額(円)

5.00

5.00

従業員1人当たり営業利益

(千円)

53,532

101,075

従業員数

20

21

(注)前事業年度と比較して1株当たり当期純利益が減少しているのは、当事業年度中の投資回収が減少したためです。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末の現金及び現金同等物は、前事業年度に比べ、25億円減少し17億37百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、19億6百万円のキャッシュ・アウトフローとなりました。その主な要因は、上場企業向けエクイティファイナンス投資案件が増加したことにより、営業投資有価証券が増加したためであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、17億49百万円のキャッシュ・アウトフローとなりました。その主な要因は、貸付けによる支出によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、11億88百万円のキャッシュ・インフローとなりました。その主な要因は、当社株主に割り当てた第9回新株予約権の権利行使によるものであります。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

 当社の事業の特性上、該当事項はありません。

 

(2) 商品仕入実績

 当社の事業の特性上、該当事項はありません。

 

(3) 受注状況

 当社の事業の特性上、該当事項はありません。

 

(4) 販売実績

 当社は投資銀行の単一セグメントであり、当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

前年同期比(%)

投資銀行(千円)

5,461,395

△34.3

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3【対処すべき課題】

 当社は、中核事業である投資銀行において、既存投資先の企業価値向上を図るとともに、多様な成長分野に視野を拡げ、積極的な活動に努めてまいります。また、事業投資を推進し、既存事業の収益化を図るとともに、新たな事業モデルの開発も進めてまいります。

(1) 投資銀行

 上場企業向けエクイティファイナンスの引受けと成長戦略を後押ししてまいります。また、事業の再構築や再編の支援を目的に、当社の仲介による企業間の事業提携等を通じ、事業規模や事業領域の拡大に導く再生支援を行うとともに、優れた技術力や成長力を持つ企業を対象に国内外で投資を実施いたします。

(2) 事業投資

・事業投資

 事業提携や資本提携、M&Aなどを通じ、国内外において新規事業の創出や新たな事業展開を図ってまいります。

・事業プロジェクト投資

 企業の成長シナリオとなる事業モデルの企画立案と構築支援を行い、併せて、事業資金についてエクイティファイナンスの引受けを実施いたします。

・ブランド投資

 高いブランド力を持つ企業に対し投資を行い、成長支援を通じて企業価値の向上を図ってまいります。

 

4【事業等のリスク】

 当社の事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。また必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。当社は、これらの潜在的なリスクを認識した上で、その回避、軽減、発生した場合の対応に努めてまいります。

 なお、本項には将来に関する事項が含まれておりますが、有価証券報告書提出日(平成28年6月24日)現在において、当社が判断したものであります。

(1) 事業を取り巻く環境の変化について

 当社は、事業の遂行にあたって、経済情勢、景気及び株式市場の動向に大きく影響を受ける可能性があり、これらの要因にて企業収益の悪化となった場合、当社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼすリスクが考えられます。

 また、予想した投資回収の時期のずれにより当社の業績が大きく変動することがあります。

(2) 投資リスクについて

 投資先企業には、事業の再構築中の企業や新規事業への進出を図っている企業が含まれております。これらの企業は、将来の不確定要因を多分に含んでおり、今後発生し得る様々な要因により投資先企業の業績が変動するリスクがあります。また、投資先企業の株価の変動により、当社の業績が大きく変動することがあります。

(3) 為替変動リスクについて

 当社は、外貨建ての銀行預金及び貸付金等を有しております。そのため為替変動リスクを伴っており、為替レートの変動は当社の業績に影響を与える可能性があります。

(4) 資金の流動性に関するリスク

 当社は、エクイティファイナンスを事業資金の主な調達手段としております。金融市場の混乱、当社の株価水準等により、投資資金の一部を調達できなくなるリスクが発生いたします。

(5) 法律の改正について

 当社の事業の遂行にあたって、国内においては金融商品取引法、会社法、税法、民法、投資事業有限責任組合法等の適用を受けております。また、海外との取引は、当該国の法的規制の適用を受けております。将来において、予測できない法律の改正が行われた場合には、当社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(6) 人材確保

 当社の経営は、人材に大きく依存しております。今後、継続的に優秀な人材を確保できない場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(7) 情報管理

 当社は、機密情報を有しております。これらの情報管理については、「内部情報管理および内部者取引規制に関する規程」、「情報セキュリティ基本規程」等の社内規程を整備し、社員教育による情報管理の目的及び重要性を周知徹底するとともに、システム上のセキュリティ体制も構築しております。しかしながら、コンピュータウイルスの感染、不正アクセス等、予測の範囲を超える事態により、情報の消失、漏えい、改ざん、情報システムの停止による一時的な混乱が起こる可能性があります。これらの事態が発生した場合、取引先等からの信用低下を招き、当社の事業運営や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。特に以下に記載する事項は、当社の財務諸表の作成において見積り及び仮定が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすものであると考えております。

① 営業投資有価証券の評価

 当社において、投資は重要な位置を占めており、営業投資有価証券の評価については重要な判断と見積りがなされております。

 当社では、投資銀行セグメントにおいて、投資育成目的で営業投資有価証券を保有しております。保有する営業投資有価証券は、将来有望な国内外の上場企業及び非上場企業で構成されておりますが、これらは、信用リスク、価格変動リスク、為替リスクを伴っております。従って、経済情勢の変化等により、投資先企業の財政状態の悪化に伴い、企業価値が毀損することがあり、その場合、必要と認められた額について投資損失引当金又は貸倒引当金の計上あるいは減損処理を行う可能性があります。

 なお、保有する有価証券の減損処理の判断基準は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(有価証券関係) 5.減損処理を行った有価証券」に記載のとおりであります。

② 繰延税金資産

 当社は、将来の税負担額を減額する効果があると認められた金額を、繰延税金資産として計上することとしております。なお、将来の課税所得に関する予測及びタックスプランニングの実現性については、十分に検討し慎重に決定しております。また、過年度に計上した繰延税金資産についても、将来の税負担額を軽減する効果が見込まれなくなった場合には、適時取り崩すこととし、さらに軽減する効果があると認められた場合には適時、積み増しすることとしております。

 

(2) 当事業年度の経営成績の分析

 当事業年度の当社の経営成績は、売上高は54億61百万円、営業利益は10億70百万円、経常利益は9億6百万円、当期純利益は7億61百万円となりました。

① 売上高及び売上総利益の分析

 当事業年度の売上高は54億61百万円(前事業年度83億15百万円)、売上総利益は19億86百万円(前事業年度31億21百万円)となりました。これは当下半期において株式市場が軟調に推移したことに伴い、売上高は前事業年度を下回る結果となりましたが、売上高総利益率については前期並みを確保し、当社にとって厳しい局面ではありましたが、一定の利益を確保することができました。

② 販売費及び一般管理費の分析

 当事業年度の販売費及び一般管理費は9億16百万円(前事業年度9億98百万円)となりました。

 継続的なコスト削減努力により、前年同期比8.26%減となりました。

③ 営業外損益及び特別損益の分析

 当事業年度の営業外収益は13百万円、営業外費用は1億77百万円となりました。営業外収益は主に貸付金等に係る利息収入であります。営業外費用は主に為替差損であります。

 当事業年度の特別損失は0百万円となりました。主に固定資産売却損であります。

 

(3) 当事業年度の財政状態の分析

① 当事業年度末の資産、負債及び純資産の状況

 当事業年度末の総資産につきましては、前事業年度末と比べ、5億50百万円増加し81億30百万円となりました。増加した主な要因は、上場企業向けエクイティファイナンス投資案件及び事業投資案件の増加等により営業投資有価証券及び短期貸付金が増加したことによるものであります。負債につきましては、前事業年度末と比べ、4億10百万円減少し2億36百万円となりました。減少した主な要因は、その他有価証券評価差額金に係る繰延税金負債の減少によるものであります。純資産につきましては、前事業年度末と比べ、9億61百万円増加し78億94百万円となりました。増加した主な要因は、当社株主に割り当てた第9回新株予約権の権利行使及び当期純利益の計上によるものであります。

② キャッシュ・フローの状況

 「1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。