第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループは、『日東紡グループは「健康・快適な生活文化を創造する」企業集団として社会的存在価値を高め、豊かな社会の実現に貢献し続けます。』との経営理念に基づいて、時代の要請に即応し、社会の役に立つ新しい価値を創造し提供し続けることで、株主・投資家・行政・地域社会等すべてのステークホルダーと共に喜びを分かち合い、企業価値を高めていくことを目指しております。

 

(2) 中長期的な経営戦略

 2021年2月、長期ビジョン101の2nd.ステージであると同時に、2030年にありたい姿『Big VISION 2030』の実現に向けた長期戦略の1st.ステージと位置付ける『新中期経営計画(2021~2023年度)』を策定しました。

 『新中期経営計画』を着実に遂行し、持続的な社会の実現に向けた「環境・エネルギー」「デジタル化社会」「健康・安心・安全」に貢献する製品やサービスを提供することにより、全てのステークホルダーから「日東紡でよかった」と思われる企業グループを目指してまいります。

 

日東紡グループが目指す姿『Big VISION 2030』

 日東紡グループが変化の速い環境下で生き残りを図ると同時に、次の100年も持続的な成長を図るためには、中長期的な社会・経済の環境変化を踏まえて社会的課題に取り組んでいく必要があります。

 この度の『新中期経営計画』策定に併せ、健康・快適な生活文化を創造する企業集団として豊かな社会の実現に貢献していくために、私たち日東紡グループが2030年にありたい姿を『Big VISION 2030』として再定義いたしました。

 

2030年にありたい姿『Big VISION 2030』

持続可能な社会実現のために、

 「環境・エネルギー」「デジタル化社会」「健康・安心・安全」に貢献する

 グローバル・ニッチ№1を創造し続ける企業グループ

 

 

 

日東紡の目指すグルーバル・ニッチ№1

市場の声を“聴き・捉え・フットワークよく対応する“「高感度№1企業」、そして

 独自の技術を磨き鍛えマーケット・ニーズにマッチした商品を提供する

 「高付加価値商品№1企業」を目指します。

 

 

 

グラスファイバー

・ 超スマート社会を支える電子材料分野では、技術・商品力に磨きをかけ、超極細・超極薄・スペシャルガラス分野にて世界№1企業になる

・ 複合材・産業資材分野では、提案力・対応力(スピード)・品質によりお客様の価値創造に貢献し、お客様満足度№1企業となる

ライフサイエンス

・ 抗血清から試薬製造・販売を行うグローバル垂直統合事業で、免疫系血漿たんぱく診断薬分野における世界№1企業になる

繊維

・ 接着技術を活用した高機能資材の分野で世界№1企業になる

 

 

新中期経営計画の概要

<成長戦略の実践>

スペシャルガラスによる収益拡大、体外診断薬分野の販路拡大、新規商品の開発力強化、顧客価値を高めるソリューション営業力の強化

<経営基盤の強化>

景気変動に負けない筋肉質経営、事業ポートフォリオの最適化、不採算事業の見直し、IT/DX導入による技術開発・生産技術の変革

<環境課題への取組み強化>

CO2排出量の削減、リサイクル・リユースの推進、環境配慮型新商品の開発

<変革を起こす人財の育成>

イノベーション人財の育成、ダイバーシティ&インクルージョンの推進、働き方改革と業務改革(デジタル・ITの活用)、従業員エンゲージメントの向上

 

 

(3) 目標とする経営指標

財務目標

 

2023年度

売上高

1,000億円

営業利益

140億円

ROE

10%

自己資本比率

55%

 

 

環境目標

 当社グループでは、「環境に関する全社方針」を定め環境目標に取り組んでおります。

 また、一元的に環境課題を把握し、課題解決への取組みを推進するため、社長直轄の「サステナビリティ推進委員会」を設けております。

<CO2排出量削減>

2030年目標(2013年度比):連結売上高原単位▲30%、総排出量▲8%(注)

(注)パリ協定を踏まえた日本政府目標の産業部門割り当てを超える削減に取り組んでまいります。

<廃棄ガラス削減>

2030年目標:廃棄ガラス量の実質ゼロ達成

 

 

(4) 経営環境

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大による景気の急激な悪化があり、下期以降一部に回復の動きが見られましたが勢いを欠きました。世界経済についても、同ウイルス感染拡大に加え米中貿易摩擦の深刻化等もあり、下期はグローバルで需要の回復が見られたものの全般的には停滞しました。セグメントごとの事業環境は以下のとおりです。

 

繊維事業

 繊維事業では芯地や多層構造糸等、衣料の副資材や原糸の製造販売を行っています。芯地製品は、高級レディース向け市場で大きなシェアを持ち、薄物芯地の接着技術に独自性を有しています。

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、日本国内の衣料品市況は、外出自粛や店舗休業等による厳しい事業環境が継続するものと思われます。

 

グラスファイバー事業 [原繊材事業、機能材事業、設備材事業]

 当社は、1938年に日本で初めてグラスファイバーの工業化に成功して以来、業界のリーディングカンパニーとして、グラスファイバーの可能性を追求してまいりました。グラスファイバーを製造する原繊工程と、グラスファイバー加工工程の双方を備え、組成開発、原繊製造、クロス加工、複合材料開発に至る一貫した生産・開発体制を保有しております。当社独自の技術を活用した商品群を展開し、高付加価値品分野でのリーダーとして地位を築いております。

グラスファイバー事業部門に属する原繊材事業、機能材事業、設備材事業では、前年度に実施したスペシャルガラス生産設備増強の投資効果が発現しておりますが、当社グループの注力するハイエンド高速大容量通信向け市場の成長ペースが鈍化しました。

 

原繊材事業

 原繊材事業においては、電子材料用途で、世界で最も細い水準にある極細ヤーンや、低誘電特性あるいは低熱膨張特性を備えた特殊な機能を持つスペシャルガラス・ヤーンを製造できる独自技術を保有しております。また、複合材用途においては、独自技術によりグラスファイバーの断面を通常の円形でなく長円形にすることで成型品の反り・ねじれを抑えるフラット・ファイバーを展開しています。

 当社はこれらの独自技術により高い競争力を有しておりますが、今後、国内外の企業の技術的キャッチアップも想定されるため、研究開発体制の一層の強化と高付加価値製品の製造能力向上を行ってまいります。

原繊材セグメントのスペシャルガラス・ヤーンの需要は拡大しております。また、原繊材セグメントの強化プラスチック用途の複合材は、自動車、PC、家電等で需要が復調し、新型コロナウイルス感染拡大前の水準への回復が見込まれます。

 

機能材事業

 機能材事業では電子材料用途のガラスクロスを展開しています。ガラスクロスは絶縁性・耐熱性・寸法安定性に優れ、電子基板の基材として利用されており、当社の極薄ガラスクロスはその薄さと均一な繊維分布により、電子機器の小型・高機能化に寄与しています。また、当社独自の組成によるスペシャルガラス・クロスは、高速大容量通信に求められる低誘電率、低誘電正接、低熱膨張等の特性を持ち、データセンターや携帯基地局の高周波部材、サーバーやスマートフォンなどの半導体パッケージ基板に使用されています。

5G基地局設置工事の遅延やデータセンター投資サイクルの影響により成長スピードは鈍化しておりますが、スペシャルガラスが用いられるハイエンド機器のベース需要は拡大が続いており、スペシャルガラス・クロスの需要も拡大しております。

 

設備材事業

 設備材事業では産業資材用途グラスファイバー製品とグラスウール製品を展開しています。産業資材用途グラスファイバーは、当社の技術力が評価され大型建造物用の膜材から自動車用の制振材まで幅広い用途で採用されております。取引先が多岐にわたるため個別業界の市況変動が分散され安定的な収益計上が見込める一方で、他素材との競合もあり競争環境は厳しい状況にあります。

 グラスウールは、その高い断熱性能により住宅・ビルなどの断熱材として使用されて省エネルギーに貢献するとともに、空き瓶や使用済みの窓ガラス等のリサイクルガラスを原料としているため資源の再利用にも貢献しています。当社グループはグラスウールを1949年に日本で初めて製造を開始し、現在も断熱材のパイオニアとして独自技術を保有しております。グラスウールの細繊維化を進めて断熱性能を向上させることで、環境負荷の低減に貢献しています。また、ノンホルムアルデヒドのグラスウールを開発し、安全・快適な生活の実現に寄与しています。当社グループは北海道および福島県にグラスウールの製造拠点を有する為、特に北海道・東北地区で高い販売シェアを確保しております。グラスウールは嵩比重が小さく、重量当たりの運搬コストが相対的に高いため、運搬コストの増加が業績に影響いたします。

設備・建設資材向けガラスクロス、住宅向け断熱材ともに厳しい状況が続きますが、独自技術を更に発展させ、より一層の省エネ社会の実現に貢献して参ります。

 

ライフサイエンス事業

 ライフサイエンス事業では体外診断用医薬品、スペシャリティケミカルス製品及び清涼飲料水の製造販売を行っています。

 体外診断用医薬品事業は、原料から最終製品をグループ内で一貫製造することにより高品質と安定供給を両立させ、特に免疫系の診断薬に強みを保有しています。国内市場では、高齢化の進展や医療費抑制に向けた治療から未病へのシフト等により診断薬の高機能化が求められています。また、海外市場において、先進国では高付加価値医療(高感度の免疫系試薬や感染症、遺伝子検査等)の需要増加、新興国では社会保険制度の整備に伴う診断機会の増加があり体外診断用医薬品の需要が拡大しております。当社グループは、国内において100種類以上の検査項目に対応した診断薬を販売しており、炎症マーカーや骨粗鬆マーカー等で大きな販売シェアを確保しております。

 新型コロナウイルス感染拡大により一時的に体外診断薬の需要が低下しましたが、2022年3月期は国内市場、海外市場ともに需要の回復を見込んでいます。

 スペシャリティケミカルス事業では、機能性ポリマーの製造販売を行っております。販売先の業種・分野はトイレタリー、製紙、金属、電子材料、ジェネリック医薬品と多岐にわたっており、競合の参入が難しい独自性の高い製品の研究開発・製造販売に取り組んでおります。

 清涼飲料水事業では、プライベートブランドのOEM生産を通じて個々のブランドホルダーのニーズにお応えすべく少量多品種製造を特徴としております。新型コロナウイルス感染拡大前の水準に需要が回復することは厳しいですが、通販市場の拡大など消費者行動の変化が見込まれます。

 

(5) 対処すべき課題

中期経営計画の課題

 前中期経営計画で実施した高付加価値化のための成長投資は一定の成果を発現していますが、投資の回収は新中期経営計画の最重要課題です。新型コロナウイルス感染拡大による事業環境の激変もあり、将来の成長のために進めてきた基盤強化がもたらす収益への貢献スピードが、当初の計画より遅れております。2020年度の売上高、営業利益はいずれも、中期経営計画前を大きく下回る水準となり、研究開発や設備投資は計画通り進めてきたことから、自己資本比率など財務体質面でも、目標としていた数値を達成することができませんでした。

 また、既述のような事業環境の大きな変化もあり、収益性が十分ではない事業分野について、構造改革が必要であることが明らかになりました。さらに、グローバル化が急速に進むサプライチェーンや自然災害等の事業経営における様々なリスクに対する強靭性を高めることがますます重要であり、中長期の課題として認識することとなりました。

 

 また、新型コロナウイルス感染拡大への対応が課題となりますが、当社グループの取り組み・財務状況は以下のとおりです。

 

新型コロナウイルスに対する取り組み

 当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大を受け、従業員並びにお取引先の安全確保を最優先とし、早期より対応を取ってまいりました。2020年3月から東京本部・大阪支店・都市部の営業所等に勤務する者は、新型コロナウイルス感染症の状況に応じて在宅勤務を活用し、全国の工場、子会社においてもマスク着用やアルコール消毒を徹底し、感染防止に注力してまいりました。また、2020年4月1日より代表執行役社長を本部長とする「新型コロナウイルスに関する対策本部」を設置し、グループ全体の感染予防体制の一層の強化を図ってまいりました。現時点で、日東紡グループ各工場の操業、デリバリーの状況は新型コロナウイルス発生前と変更ありません。

 

優先的に対処すべき課題は以下のとおりです。

 

ポスト・コロナへの対応

 今般の新型コロナウイルス感染拡大は、人々の行動様式や社会構造に大きな変動をもたらし、感染拡大が収束した後も変革が加速していくものと思われます。

 在宅勤務・テレワークの浸透や移動の制限は、次世代高速通信規格である5Gの進展を加速させ、通信インフラやPC・スマートフォン等のデバイスの一層の高度化・高速化が進行することが予測され、日東紡グループの独自製品であるスペシャルガラスは高速大容量通信に資する電子材料用基材であり、今後とも需要の拡大が見込まれます。

 また、「治療から未病へ」という病気に罹る前に予防・診断を強化する流れに対しても、日東紡グループが提供する体外診断用医薬品がその一助となります。

 日東紡グループの経営理念である『健康・快適な生活文化を創造する企業集団として、豊かな社会の実現に貢献する』を実践し、企業としての社会的責任を果たすべく事業継続に取り組んでまいります。

 

繊維事業

 収益性の改善を喫緊の課題と捉え、事業構造改革を進めるとともに、芯地事業において、衣料品のみならず生活資材・産業資材への展開を加速させます。

 

グラスファイバー事業 [原繊材事業、機能材事業、設備材事業]

 拡大が見込まれるスペシャルガラスの需要に応えるべく、新溶融炉の稼働による供給能力の増強を着実に実行するとともに、日本・台湾におけるスペシャルガラス・ヤーンの製造設備の増強計画を推し進め、各拠点における原繊工程、加工工程の最適な生産体制を構築して参ります。需要が拡大するスペシャルガラスの増産、拡販および高付加価値品のプロダクトミックス改善により、収益性の向上を図ります。厳しい事業環境が続く原繊材セグメントの複合材事業については、事業構造改革やコストダウン活動、高付加価値品の拡販を進めてまいります。

 

ライフサイエンス事業

 体外診断薬事業においては、国内外拠点の基盤強化費用が増加しますが、国内市場・海外市場ともに新型コロナウイルス感染拡大前の水準に販売を回復するよう努めます。また、郡山市、カリフォルニア州の新工場稼働計画を推し進めるとともに、商品企画開発力、国内外の営業体制の強化や、生産性の改善と製造・販売・品質管理システムの導入を引き続き遂行いたします。飲料事業においては、販売が新型コロナウイルス感染拡大前の水準に回復することは難しいですが、通販を強化することでお客様の変化に対応し、収益性の向上に努めます。

 

2 【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。当社は、グループ全体のリスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク管理規程」において定め、その基本方針及び管理体制に基づき、代表執行役社長を委員長とするリスクマネジメント委員会で、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスクの未然防止を図っております。

 

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 中期経営計画

 当社グループは、2021年2月に「新中期経営計画」を策定し、その計画に掲げた具体的諸施策を推進しております。これらの計画は、策定当時において適切と考えられる情報や分析等に基づき策定されておりますが、こうした情報や分析等には不確定要素が含まれております。今後、事業環境の悪化その他の要因により、期待される成果の実現に至らない可能性があります。

 

(2) 需要の変動

 当社グループはグローバルに事業展開をしており、日本国内向けの売上であっても顧客の製品に組み込まれて海外に輸出される製品も多く含まれています。したがって、世界経済の景気動向や各国の貿易・関税政策、地政学的要因等の様々な影響を受け、当社製品を組み込んだ顧客の製品の需要が減速した場合は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 特に、当社グループのグラスファイバー事業部門は、市況の変動幅の大きいIT関連のプリント配線基板用や半導体のパッケージ基板用ヤーン及びクロス、また自動車・電子機器用等の複合材を取り扱っており、需要が大きく変動することがあります。

 

 

(3) 設備投資

 成長分野の需要捕捉に向けた設備投資や定期的な大規模修繕は、需要予測に大きな変化が生じた場合、生産性等所期の設備能力が得られなかった場合、あるいは主要設備部材の価格が市況により急減に変動した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 為替レートの変動

 グラスファイバー事業部門の海外向け売上比率が高いため、為替動向を考慮しながら為替予約等によるリスクの軽減を図っておりますが、為替レートの変動による影響を受けることとなります。

 また、当社グループの事業全般において取り扱っている商品は、品質・機能・サービス等で差別化を図っておりますが、海外品と競合するものもあり、為替の動向次第では国内市場において輸入品拡大による影響を受ける可能性があります。

 

(5) エネルギー価格の変動

 当社グループは、主力製品であるグラスファイバー・グラスウールなどの製造においてLNGガス、電気を使用しているため、エネルギー価格の変動によるリスクを負っております。安価なエネルギーへの転換や省エネルギー対策などリスクの軽減を図っておりますが、電気料金の変動や原油価格の変動に伴うエネルギー価格の動向が業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 災害の発生

 当社グループは、災害・事故等に備えたリスク管理を実施しております。従業員の安全・健康を事業経営の基盤ととらえ、諸法令を遵守し、安全で働きやすい職場環境を整えるべく、拠点ごとに委員会活動を行うとともに、定期的にBCP訓練や地震・火災に備えた訓練を実施しております。しかし、大地震等の自然災害や突発的な事故により、生産設備等に多大な損害を受けた場合や電力、燃料、水の供給に問題が発生した場合には、生産活動等に支障が生じるなど業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 新型コロナウイルス等感染症拡大

 当社グループは、新型コロナウイルス等感染症に備えたリスク管理を実施しております。顧客・取引先・従業員等の各種ステークホルダーの安全・安心を守るため、マスク等必要な医療用品の備蓄や三密を避けるための時差出勤、在宅勤務等を実施しております。また、サプライチェーン分断等に対応できるよう、定期的なサプライチェーンの見直し、複線化を行っております。

 

(8) 原材料の調達

 当社グループは、主要な原材料はリスク管理の観点からも可能な限り複数の取引先から購入を行っております。しかし、取引先の状況や経済環境の変化により入手困難になる可能性があります。そのような場合には、当社グループの生産に影響が出るなどして業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 法的規制(環境に関する法規制を含む)

 当社の事業遂行においては、国内外の法的規制を遵守することを最優先事項としております。専門の部署(リスクマネジメント統括部)を設置し、国内外の法的規制や環境に関する規制についての情報収集と法的規制の対応管理を行っております。また、グループ全体のコンプライアンス教育を推進し、当社グループの社会的信用や評判に与える影響を防いでおります。しかしながら、各種法的規制の変更により、法令対応費用の発生等により当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 情報セキュリティ

 当社グループは、情報セキュリティの確保については、サイバー攻撃に強いシステムの導入を行うとともに、個人情報や機密情報の保護のため全社管理体制の下で徹底を図り、定期的に監査を行っております。しかしながら、企業の社会的責任に対する社会の期待は年々増大していることもあり、情報漏洩等の問題が発生し、その対

 

応の内容や迅速性が不十分な場合には当社の社会的信用や評判に波及し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 海外事業

 当社は、中国、台湾、米国に子会社を有しております。これらの国における海外事業は、各国における政治・経済・法令・税制・社会動向等の変動により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 他社製品との競争、新製品の開発及び技術革新

 当社は自社の技術力・開発力を持続的成長の源泉と考えており、なかでもグラスファイバー事業においては、世界的なリーディングカンパニーとして競争優位を保ち、より一層研究開発に注力することにより競争優位を維持していくことを目指しております。しかしながら、国内外に多様な競合企業が存在するため、当社の競争優位が脅かされたり、当社製品を上回る性能の新製品が競合企業により開発・上市されたりするリスクがあります。また、技術革新により当社のグラスファイバーがグラスファイバー以外の素材に代替されるリスクも想定されます。

 

(13) 製品の欠陥

 当社のグラスファイバー事業はサプライチェーンの川上に位置し、当社の製品に欠陥があった場合の影響は広範に及ぶ可能性があるため、品質保証体制を確立し、欠陥品を発生させない仕組みを構築しております。また、ライフサイエンス事業で取り扱う体外診断用医薬品は、生物由来の原料を使用するため安定した品質の維持が課題となりますが、在アメリカの子会社で原料となる抗血清を製造し日本国内で最終製品を製造しているため、グループ内で一貫した品質管理を行っております。しかしながら、予測できない原因により品質問題が発生するリスクは完全に排除できないため、製品の欠陥による損害賠償の発生や社会的評価の毀損等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 特許権等の知的財産権

 当社は、将来の事業展開に有益である特許権等の知的財産権の取得に努めております。併せて、事業運営にあたっては、他社の知的財産権の調査を行い、これらに抵触して問題が発生することの無いように努めておりますが、知的財産権に係る争訟により当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 退職給付債務

 当社グループの退職給付費用および退職給付債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16) 投資有価証券

 当社グループが保有している株式等の投資有価証券の価値が大幅に下落した場合は、評価損の発生により当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17) 訴訟等

 当社グループは、国内外で事業を遂行する上で、訴訟やその他の法的手段の当事者となる可能性があり、重要な訴訟等が提起された場合又は事業遂行の制限が加えられた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に対して悪影響を及ぼす可能性があります。
 当社は、当連結会計年度末現在において、国及び当社を含むアスベスト取扱い企業数十社を被告として建設従事者とその遺族より損害賠償を求める訴訟の提起を受けており、札幌、仙台、さいたま、東京、横浜、大阪、京都、福岡の各地方裁判所、札幌、東京の各高等裁判所、及び最高裁判所にて計14件の訴訟が係属中であります。これらの訴訟において当社に不利な判断がなされた場合には、業績等に悪影響が生じる可能性があります。 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

  当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大による景気の急激な悪化があり、下期以降一部に回復の動きが見られましたが勢いを欠きました。世界経済についても、同ウイルス感染拡大に加え米中貿易摩擦の深刻化等もあり、下期はグローバルで需要の回復が見られたものの全般的には停滞しました。

 このような環境の下、当社グループの各事業セグメントにおいても新型コロナウイルス感染拡大による影響を受け、販売が大きく落ち込みました。他方、持続的な成長を実現するために高付加価値品へのシフトを進め、人材投資、設備投資、研究開発は計画通り実行いたしました。また、厳しい事業環境が続く繊維事業及びグラスファイバー原繊材セグメントの複合材事業について事業構造改革を打ち出し、基盤強化に向けた取組みを開始いたしました。

この結果、連結売上高は78,727百万円(前年同期比8.2%の減収)、連結営業利益は5,964百万円(前年同期比26.9%の減益)、連結経常利益は6,274百万円(前年同期比23.5%の減益)、親会社株主に帰属する当期純利益は8,100百万円(前年同期比40.4%の増益)となりました。

当連結会計年度が最終年となる『中期経営計画《Go for Next 100》』の財務目標に対しては未達となりましたが、高付加価値化戦略を推進するための成長基盤の構築を計画通り進捗させました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

 繊維事業は、売上高2,254百万円と前年同期比37.7%の減収となり、営業損失は718百万円(前連結会計年度は営業損失221百万円)となりました。

 原繊材事業は、売上高23,124百万円と前年同期比7.6%の減収となり、営業利益は2,368百万円と前年同期比23.4%の減益となりました。

 機能材事業は、売上高20,371百万円と前年同期比2.7%の増収となり、営業利益は2,626百万円と前年同期比10.0%の減益となりました。 

 設備材事業は、売上高18,559百万円と前年同期比13.3%の減収となり、営業利益は307百万円と前年同期比30.8%の減益となりました。

 ライフサイエンス事業は、売上高13,500百万円と前年同期比10.3%の減収となり、営業利益は2,147百万円と前年同期比25.4%の減益となりました。

 その他の事業は、売上高917百万円と前年同期比15.2%の増収となり、営業利益は294百万円と前年同期比37.0%の減益となりました。

 

 当連結会計年度末における総資産は184,652百万円となり、前連結会計年度末に比べ11,827百万円増加しました。主な要因は、現金及び預金、有形固定資産の増加などであります。

 負債は80,262百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,142百万円増加しました。主な要因は、長期借入金の増加などであります。

 純資産は104,389百万円となり、自己資本比率は53.7%前連結会計年度末に比べ0.5ポイント減少しました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により得られた資金7,815百万円、投資活動により使用した資金1,867百万円、財務活動により得られた資金1,862百万円などの結果、前連結会計年度末に比べ7,468百万円増加し、当連結会計年度末には30,163百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動による資金は、前連結会計年度の10,614百万円の増加から、7,815百万円の増加となりました。これは主に「①財政状態及び経営成績の状況」で記載いたしましたとおりの事業活動の結果、税金等調整前当期純利益が11,213百万円となったほか、減価償却費6,332百万円などにより資金が増加した一方、法人税等の支払額1,686百万円により資金が減少したことなどによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動による資金は、前連結会計年度の16,917百万円の減少から1,867百万円の減少となりました。これは主に、固定資産及び投資有価証券の売却による収入12,083百万円などにより資金が増加した一方、固定資産の取得による支出13,840百万円により資金が減少したことなどによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動による資金は、前連結会計年度の12,628百万円の増加から1,862百万円の増加となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出6,702百万円及び配当金の支払額1,842百万円などにより資金が減少した一方、長期借入れによる収入11,274百万円により資金が増加したことなどによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

(ア)生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

繊維事業

1,831

△42.0

原繊材事業

20,329

△2.8

機能材事業

20,065

10.3

設備材事業

16,586

△10.6

ライフサイエンス事業

12,819

△10.4

その他の事業

合計

71,631

△4.7

 

(注) 1.金額は、販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(イ)受注実績

当社グループ(当社及び連結子会社)は主として見込生産を行っており、受注生産はほとんどありません。

 

(ウ)販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

繊維事業

2,254

△37.7

原繊材事業

23,124

△7.6

機能材事業

20,371

2.7

設備材事業

18,559

△13.3

ライフサイエンス事業

13,500

△10.3

その他の事業

917

15.2

合計

78,727

△8.2

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 日東紡グループの目標とする経営指標と当連結会計年度の実績は次のとおりであります。

 

2020年度実績

2023年度目標

売上高(百万円)

78,727

100,000

営業利益(百万円)

5,964

14,000

ROE

8.4%

10.0%

自己資本比率

53.7%

55.0%

 

 当社グループの各事業セグメントは、新型コロナウイルス感染拡大による影響を受け、販売が大きく落ち込みました。他方、持続的な成長を実現するために高付加価値品へのシフトを進め、人材投資、設備投資、研究開発は計画通り実行いたしました。また、厳しい事業環境が続く繊維事業及びグラスファイバー原繊材セグメントの複合材事業について事業構造改革を打ち出し、基盤強化に向けた取組みを開始いたしました。

 この結果、連結売上高は78,727百万円(前年同期比8.2%の減収)、連結営業利益は5,964百万円(前年同期比26.9%の減益)となりました。

 また、投資有価証券売却益6,590百万円、固定資産売却益3,091百万円など計14,008百万円の特別利益を計上し、一方、事業構造改善費用3,946百万円、災害による損失2,235百万円など計9,069百万円の特別損失を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は8,100百万円(前年同期比40.4%の増益)となり、ROEは8.4%となりました。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因及び対応策につきましては、前述の「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 また、新型コロナウイルス感染拡大の影響につきましては、前述の「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)経営環境」に記載のとおりであります。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

 

 繊維事業では、新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛の他、新しい生活様式へのシフトを背景にした衣料品への消費マインドの低下が継続し販売が大きく減少しました。

 この結果、当事業は売上高2,254百万円と前年同期比37.7%の減収となり、営業損失は718百万円(前連結会計年度は営業損失221百万円)となりました。

 また、セグメント資産は3,509百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,420百万円減少しました。

 

 グラスファイバー事業部門に属する原繊材事業、機能材事業、設備材事業では、前年度に実施したスペシャルガラス生産設備増強の投資効果が発現しておりますが、当社グループの注力するハイエンド高速大容量通信向け市場の成長ペースが鈍化しました。
 グラスファイバー事業部門に属する各事業の状況と具体的な取組みは以下のとおりです。
 

 原繊材事業では、電子材料向けスペシャルガラス(NEヤーン、Tヤーン)の製造及びNEヤーンの外部への販売は伸長しましたが、価格競争の激しいミドルグレード・ヤーン及び強化プラスチック向けの複合材の販売は前年比減少となりました。また、基盤強化施策に伴う人件費及び減価償却費が増加しました。

 この結果、当事業は売上高23,124百万円と前年同期比7.6%の減収となり、営業利益は2,368百万円と前年同期比23.4%の減益となりました。

 また、セグメント資産は72,482百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,875百万円増加しました。

 

 機能材事業では、前第2四半期連結会計期間に連結子会社となったBaotek Industrial Materials Ltd.が売上高の増加に寄与しました。高速大容量通信に資する電子材料向けのスペシャルガラス・クロスは通年での販売は伸長したものの、2020年7月に発生した福島第2工場の火災の影響もありました。

 この結果、当事業は売上高20,371百万円と前年同期比2.7%の増収となり、営業利益は2,626百万円と前年同期比10.0%の減益となりました。

 また、セグメント資産は23,479百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,155百万円増加しました。

 

 設備材事業では、設備・建設資材向けガラスクロス及び住宅向け断熱材が、新型コロナウイルス感染拡大の影響から販売が減少しました。

 この結果、当事業は売上高18,559百万円と前年同期比13.3%の減収となり、営業利益は307百万円と前年同期比30.8%の減益となりました。

 また、セグメント資産は20,160百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,994百万円減少しました。

 

 ライフサイエンス事業のメディカル事業では、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け低迷した販売が、国内は前年並みまで回復しましたが、海外は厳しい状況が続きました。飲料事業においては、外出自粛等により飲料生産受託の数量が減少しました。

 この結果、当事業は売上高13,500百万円と前年同期比10.3%の減収となり、営業利益は2,147百万円と前年同期比25.4%の減益となりました。

 また、セグメント資産は17,746百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,216百万円増加しました。

 

 その他の事業は、産業機械設備関連事業等の収益確保に取り組みました。

 この結果、売上高917百万円と前年同期比15.2%の増収となり、営業利益は294百万円と前年同期比37.0%の減益となりました。

 また、セグメント資産は2,792百万円となり、前連結会計年度末に比べ441百万円増加しました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの資金需要は、製品の製造販売に関わる原燃料費や営業費用などの運転資金、設備投資資金及び研究開発などであります。資金調達は主としてフリー・キャッシュフロー(当社グループはフリー・キャッシュフローを営業活動によるキャッシュ・フロー及び資産活用をはじめとした投資活動によるキャッシュ・フローの合計と定義しております。)、社債の発行及び間接調達により十分な資金を確保しており、借入枠100億円のコミットメントラインにより財務の安定性及び流動性を補完しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 」、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り) 」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報) 」に記載しております。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

業務提携

(提出会社)

相手先

国名

内容

契約締結年月

有効期限

野原産業株式会社

日本

事業協力の推進、資本参加

2009年10月

期限なし

 

 

5 【研究開発活動】

 当社グループの事業活動は、繊維、原繊材、機能材、設備材、ライフサイエンスなど広範な分野に亘っております。当社の研究開発活動は、『総合研究所』が中心となり、技術力の向上と研究開発力の強化を行い、既存事業の収益力向上のための付加価値の創出と、新事業開拓に結び付くテーマ探索を行っております。そのために社外との共同研究の積極的な推進と、得られた成果の着実な固有化(特許化)を進展させて研究開発活動を活発に進めております。

 2021年3月31日現在の保有特許件数は、国内外を含めて653件、当連結会計年度において出願した特許件数(実用新案含む)は国内外を含めて44件であります。

 なお、当連結会計年度に支出した研究開発費は2,097百万円であります。

 セグメント別の当連結会計年度における研究開発の概要は次のとおりであります。

 

(1) 繊維事業

 当社の固有技術をベースに、顧客ニーズにマッチした商品開発を進めてまいりました。
 衣料資材向けでは、国内外の顧客の環境意識の高まりに対応すべく、接着芯地と裏材ともにリサイクル糸を使用した環境対応商品を拡充し広く訴求してまいりました。またコロナ禍の中、手作りマスク需要に応えるべく「エコテックススタンダード100」の認証を取得した安全で安心なマスク専用芯地を開発し上市しました。 

 また新たな市場を目指し、加工技術を応用した商品開発を総合研究所と連携して進めております。

 当事業に係る研究開発費は100百万円であります。

 

(2) 原繊材事業

 ヤーン、ロービング、チョップドストランド並びにチョップドストランドマット等のグラスファイバー原繊製品の研究・新商品開発に取り組んでまいりました。
 『Tガラス』、『NEガラス』、および『NER®ガラス』等の先端的なガラス組成開発や、異形断面ファイバーなど独自の繊維化技術開発、顧客ニーズを先取りする新規バインダー開発などにより、新市場の創造や顧客の潜在的ニーズを刺激する高付加価値商品の拡充を積極的に推進しております。特に、5Gの実現によって成長が見込まれる次世代通信システム向け高機能グラスファイバーの研究・商品開発に取り組んでおります。また、ガラス組成・ガラス繊維形状、バインダー技術を掛け合わせた『NEガラス・異形断面ファイバー』など、最先端の先進的スペシャルガラスファイバーの商品開発を強力に推し進めております。更には、「地球環境に貢献する企業」として、環境への負荷低減(CO2削減)や省エネルギー化を推進するため、ガラス溶融技術の革新に取り組んでおります。

 当事業に係る研究開発費は552百万円であります。

 

(3) 機能材事業

 電子材料用途並びに産業資材用途のガラスクロス製品等の研究開発に取り組んでまいりました。
 電子材料用途では半導体パッケージの薄型化に対応するため、極細ファイバーの製織技術と独自の表面処理・開繊技術による高性能な超極薄クロスの開発と改良を推進しております。また、高強度、低熱膨張、高周波対応など多様で高度化する顧客ニーズを先取りした『Tガラス』クロス、『NEガラス』クロス、および『NER®ガラス』クロスなど、材料特性を活かした先端的な機能材料を創出し提案してまいります。

 当事業に係る研究開発費は501百万円であります。

 

 

(4) 設備材事業

 産業資材用途・建築土木用途のグラスファイバー製品とグラスウール製品の研究開発に取り組んでまいりました。
 グラスファイバー製品では遮熱性能を向上させたロールブラインド『遮熱ベールスクリーン』やオリンピックスタジアム等の膜構造建造物用途の不燃膜材の開発と改良を推進しております。更には、「地球環境に貢献する企業」として、環境への負荷低減を推進するため、生分解性を有する産業資材製品の開発に取り組んでおります。 

 グラスウール製品では省エネルギーに貢献するため断熱性能の向上を目指した製品の拡充と開発を推進しております。軽くて高性能な住宅用グラスウール断熱材『ハウスロンZERO』は好評を頂いております。

 当事業に係る研究開発費は103百万円であります。

 

(5) ライフサイエンス事業

 メディカル事業では、免疫血清学系の体外診断薬製品の改良開発に加え、内外における体制の強化を進め、新たな高付加価値製品の上市を目指して国内外の研究開発を積極的に展開しております。また、Nittobo America Inc.が生産している抗血清の安定供給に寄与すべく、ヤギへの免疫原料を遺伝子組換えカイコを用いて作製する開発をNittobo America Inc.と共同で進めております。今後も引き続き医療に貢献する製品の開発に努めてまいります。

 スペシャリティケミカルス事業では、メディカル関連分野や電子材料分野への品種の拡充と、既存の製品に続く新機能商品の開発に取り組んでまいりました。より高収益な事業体質の確立を目指し新たな合成技術の開発を推進しております。 

 飲料事業では、大手流通企業のプライベートブランド商品や多品種小ロットのOEM商品を中心に、付加価値の高い商品を上市してまいりました。今後は自社オリジナル商品も含め、更なる商品開発を進めてまいります。

 当事業に係る研究開発費は530百万円であります。

 

(6) 本部

 総合研究所の運営費用の中で、企画・管理業務と将来の柱となる事業を担う基盤技術や先端技術の獲得を目指した研究開発活動の費用については、各事業セグメントに帰属させておりません。

 本運営に係る研究開発費は309百万円であります。