第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当フジボウグループは、一世紀を超える歴史の中で培った技術と経験を生かし、つねに時代が求める新しい技術・製品を提供することで先端産業を支え、人・社会・地球にとってより豊かな未来の創造に貢献し続けることを企業理念としております。IT関連の超精密加工用研磨材を主とした研磨材事業、医薬および機能化学合成製品等の中間体の受託生産を柱とした化学工業品事業、インナーウェアを中心とする製品に重点を置いた繊維事業などに積極的に経営資源を投入し、安定した収益体質の構築を目指しております。

また、健全な企業経営・会計慣行を維持し、透明性の高いキャッシュ・フロー経営を実践しております。

 

(2)目標とする経営指標

当フジボウグループは、持続的成長と中長期的な企業価値向上を目的として、利益目標(営業利益、当期純利益)およびROEを、また財務体質の強化を図るため自己資本比率を、それぞれ経営指標としております。

 

(3)経営環境

フジボウグループは、持株会社である富士紡ホールディングス株式会社と事業子会社から構成され、超精密加工用研磨材・機能性不織布を扱う研磨材事業、ファインケミカル中間体の受託製造を行う化学工業品事業、紡績・テキスタイル・アパレルを中心とする繊維事業、車両・自動車部品等の輸出やプラスチック成形の技術開発、溶剤精製事業などのその他の事業を展開しています。

研磨材事業は、半導体デバイス(CMP)用途、シリコンウエハー用途、ハードディスク用途、液晶ガラス用途など、様々なITデバイスをその製造工程でポリシングする超精密加工用研磨材を主要製品としており、世界中のITデバイス関連企業に販売しております。最先端プロセス、次世代プロセスのITデバイス製造に対応可能な研磨材の開発を、最新の研究機器・検査機器・製造設備で、ユーザーと共同で進めております。当連結会計年度は、半導体デバイス用途(CMP)等は米中貿易摩擦、日韓貿易問題など不透明な経済環境の中、その影響も懸念されましたが、各種センサー用、5G通信用の半導体向けが拡大しました。ハードディスク用途も底堅いデータセンター用サーバー需要により堅調に推移しました。期末時点で一部中国ユーザーの操業停止に伴う納入延期があったものの、各主要ユーザーでBCP対応のための部材積み増しがあり、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による影響は受けませんでした。

化学工業品事業は、長年培った有機合成のノウハウを活かし、大手化学メーカーからの医薬原料、農薬、電材、機能性化学品など有機合成品の中間体の受託製造を行っております。国内有数の化学工業品受託工場を保有し、多種多様な反応に対応できる生産設備で、優れた品質管理と確実な納期対応、高レベルの環境対応、徹底した安全管理のもと、高品質と多品種・小ロットのスピード生産体制で顧客のニーズに応えております。当連結会計年度は、機能化学品および医薬中間体などの受託製造は、中国の環境規制の影響や高い品質を要求される化学工業品において、生産の日本国内回帰の傾向が続いており、農薬用、機能性材料を中心に全ての分野で堅調に推移し、期末時点で新型コロナウイルスの影響により中国からの一部原料入荷遅延があったものの、期を通して柳井工場・武生工場ともにフル稼働となり、売上高・営業利益が過去最高となりました。

繊維事業は、アンダーウエアを中心とする繊維製品および原糸や染色加工など高機能繊維素材の製造・加工・販売を行っております。繊維製品では、原糸紡績から製品縫製までグループ内で一貫して携わる体制で産み出す高品質を武器に、「B.V.D.」、「アサメリー」、「エアメリー」など浸透度の高いブランドで、メンズ・レディース、ハイエンドからローエンドまで幅広く展開する製品を、様々な販売チャネルで消費者に提供しております。繊維素材では、長年培ってきた紡績・加工技術を駆使して開発した高機能素材を、ファッション衣料用途から産業資材用途まで、ユーザーニーズに合わせて提供しております。当連結会計年度は、繊維製品は、インターネットなど新規チャネルでの販売は拡大を続けておりますが、地方百貨店の減少、大手量販店における衣料品売場の縮小、プライベートブランドへの転換の影響を受け、メンズインナー定番品の販売の減少が続きました。そのため、日本国内および中国の縫製工場の縮小・撤退を進め、タイへの生産シフトを進めました。繊維素材では、原材料価格高止まりに対応するための販売価格への転嫁と、採算性の低い商材からの撤退を進めました。しかし、期の終盤にかけて新型コロナウイルスの影響により繊維全般にわたり、急激に需要が減退しました。

その他の事業は、デジタルカメラ・医療機器・自動車用部品の射出成形や金型の設計・制作を行う化成品事業、中米カリブ海地域へ向けて自動車や各種電気・工業製品等の輸出を行う貿易事業などで構成されています。化成品事業では、デジタルカメラや医療機器、自動車に欠かせない高精度のプラスチック射出成形技術で、また、自動車用部品を中心に幅広いサイズの成形機に対応できる金型の設計・制作・メインテナンスで、激しいユーザーニーズの変化に対応しております。当連結会計年度は、デジタルカメラ用部品は減少しましたが、医療機器用部品が堅調に推移し、大分工場新ラインの稼働を開始しました。貿易事業では、1950年代前半から中米カリブ海地域で営業展開し、同地域でその活動は広く認知されており、車両本体および部品やタイヤ等の自動車関連製品、天井扇・換気扇等の電気製品、トラクター・コンバイン等の農業用機械など、現地ニーズに応じた製品を主に三国間貿易で供給しております。当連結会計年度は、中米カリブ海地域向け自動車・農業用機械などの三国間貿易が回復傾向となってきましたが、期末時点で同地域各国の主要都市ロックダウンが行われたため、一部債権に対し引当を行いました。

 

(4)対処すべき課題

当社は、2017年度から2020年度までを計画期間とする中期経営計画『加速17-20』を実行しております。計画期間の前半2年を更なる拡大のための基盤創りを加速する「変革の加速」ステージ、後半2年は企業価値拡大を加速する「成長の加速」ステージと位置づけ、利益重視に立脚した重点3事業の加速を基本方針とし、①収益性の高い研磨材・化学工業品事業の積極的な拡大②繊維事業の構造改革による収益力向上と反転攻勢③成長加速に向けてのホールディングス機能の強化の3つの基本戦略を、スピード感を持って実行し、当社グループの企業価値拡大を「加速」させてまいります。

後半2年間の「成長の加速」ステージにおいては、主力事業として成長を続ける研磨材事業では、拡大の基盤創りのため、導入・建設を進めてまいりました研究開発設備と台湾新工場を活用し、半導体製造の最先端プロセス・次世代プロセスに対応した超精密加工用研磨材の開発・拡販に取り組むとともに、BCPと今後の受注拡大に対応するため大分新工場の建設を進めております。化学工業品事業では、更なる事業規模拡大のため、既存生産設備のフル稼働体制を構築するとともに、新規設備投資に着手しております。繊維事業では、インターネット販売など新規販売チャネルの開拓・拡大とともに、低採算商材からの撤退と生産体制の改革を進めてまいりましたが、新型コロナウイルス感染拡大による経営環境の変化が大きく、今一度、抜本的な対策に取り組んでまいります。その他の事業では、医療機器用途など新規商材拡大と金型事業の強化で、化成品事業を重点3事業に続く第4の柱事業として育成すべく基盤整備を進めております。

『加速17-20』最終年度にあたり、新型コロナウイルスが当社経営に与える影響は極めて不透明であり、厳しい事業環境が想定されますが、当社グループの総力をもって課題に対処しながら、3つの基本戦略に基づき企業価値の拡大に取り組んでまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

当フジボウグループは、これらのリスク発生の可能性を認識し、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。

 

(1)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の異常な変動

①海外進出によるリスク

当フジボウグループの主要事業である研磨材事業においては、ユーザーに直結した製品作りとBCPの観点から、一部研磨材を台湾で生産しています。「B.V.D.」事業は、競争力のある製品作りとコスト削減による収益向上のため、タイ国他での生産を拡大し海外生産比率が8割を超えております。また、「B.V.D.」ブランドのインナーウエアを台湾、香港、中国にて販売しております。自動車関連および機械類の輸出は中米カリブ海諸国向けであります。

各々の国において、予期しない政治及び経済体制の変化、テロ等社会的混乱などが生じた場合には、当フジボウグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。

 

②為替相場の変動

当フジボウグループの主要事業である繊維事業においては、中国・タイ等で生産を行うなど、アジア地域における海外事業の拡大を図っており、為替リスクは日本サイドが負っております。また、研磨材事業においては、営業収入に占める輸出比率が高いことから、為替変動により価格が変動する可能性があります。

当フジボウグループは、為替リスクに対して為替予約及び外貨建輸出入取引のバランス調整等を行い、可能な限りリスクヘッジを図り、為替相場の短期的変動による悪影響を最小限に止める努力をしておりますが、中長期的変動により、計画された調達・製造・販売が実行できないなど、為替相場の変動は財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。

 

(2)重要な契約に伴うリスク

当フジボウグループの繊維事業における主力ブランド「B.V.D.」について、FTLジャパン㈱と、商標の使用権、日本国内及び台湾・中国・香港等アジア地区における製造権及び独占的販売権の契約を締結しております。当社とFTLジャパン㈱は良好な協力関係にありますが、予期しない事態による契約の非更新は、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。

 

(3)特定製品・顧客への依存度

研磨材事業において重要な割合を占めるハードディスク、液晶ガラス、シリコンウエハー、CMP、一般工業用途の研磨材製品の需要は、主たる販売先となっているIT業界の景気状況の影響を受けるため、日本・北米・アジア・欧州等の主要市場におけるIT業界の景気停滞及びそれに伴う需要の減少が起こる場合は、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。

化学工業品事業及び化成品事業は、特定の顧客・製品への依存度が高く、受託先の動向、商品のライフサイクルの短さや景気状況の影響などに伴い、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を受ける可能性があります。

 

 

(4)知的財産に関するリスク

開発した新製品については基本的に特許を取得する方針ですが、特許等によりその製造方法が開示され、生産ノウハウが競合他社に漏洩する可能性があるもの等については、出願を控える場合があります。そのため、競合他社が当該特許を出願した場合、特許が受理される可能性があり、そのような事態に備え「先使用権による通常実施権」を主張できるよう努めておりますが、その解決に時間と費用を要することが予想されます。

また、独自の技術、ノウハウの全てを知的財産により完全に保護することは不可能と予測され、知的財産を使用して第三者が類似商品を製造すること等を効果的に防止できない可能性があります。その場合、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があるとともに、取引先との関係の悪化を招く可能性があります。

 

(5)法的規制

製品生産に対し規制される法律として、水質汚濁防止法、大気汚染防止法、騒音規制法等があります。当フジボウグループとして規制値をクリアするため、対応装置等を設置しておりますが、今後これらの規制が強化された場合や他の物質が付加された場合、更なる設備投資が必要となり、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。

また、当フジボウグループは個人情報取扱事業者に該当しており、個人情報保護法による規制を受けることとなります。個人情報保護については、法律の遵守だけでなく、情報漏洩による被害防止を行う必要があります。当フジボウグループは外部からの不正アクセス、ウイルス感染の防御、内部管理体制の強化等の対策を行っておりますが、万一個人情報が漏洩した場合には、当フジボウグループの信頼の失墜につながり、今後の営業活動に影響を及ぼす可能性があるとともに、事後対応等に関するコストが発生し、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。

 

(6)製造物責任

当フジボウグループは製造物責任賠償保険に加入しておりますが、最終的に負担する賠償額を完全にカバーできるという保証はありません。大規模な製造物責任賠償につながるような品質問題が発生する可能性が皆無ではなく、この場合、当フジボウグループの評価に重要な影響を及ぼし、売上の低下、収益の悪化などにより、当フジボウグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。

 

(7)自然災害・停電などによる影響

当フジボウグループは、操業の中断による悪影響を最小限に抑えるため、定期的な防災点検及び設備保全を行っております。しかしながら、自然災害・停電などによる影響を完全に防止または軽減できる保証はなく、操業に影響する事象が発生した場合には、当フジボウグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。

また、災害などによりサプライヤーまたはサブサプライヤーの操業がストップし、原材料または基礎原料の供給が途絶えた場合には、当フジボウグループの生産活動が阻害されることにより、業績に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)新型コロナウイルス等感染症の影響

当フジボウグループの主要製品は、顧客が製品を製造する際の消耗部材や中間体、原材料、部品等と、インナーウエア等の最終消費財に大別されます。前者は、新型コロナウイルス等の感染症の拡大により、都市ロックダウン等の影響で顧客が生産を縮小・停止した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、後者は、主要な顧客である百貨店や量販店などが営業を縮小、停止した場合、売上高をはじめとした業績に影響を及ぼす可能性があります。

当フジボウグループは、リスク管理・運営に関する基本事項を定めた「リスク運営規則」および「危機管理規則」に基づき、社長を委員長とする危機管理委員会を設置し、リスクが発生した場合または発生が予見される場合にその影響を限定し、その損失を最小限にとどめ、通常機能を回復させるための対策を実施しています。具体的には、在宅勤務や国内外への出張制限、オフィスや生産現場でのソーシャルディスタンスの確保など、感染防止のための対策を実施しています。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善等により緩やかな回復基調で推移しましたが、米中貿易摩擦を巡る動向、中国経済の先行きなど、海外経済の不確実性が高まりました。さらには、新型コロナウイルス感染症拡大による世界的な景気減速懸念により、先行き不透明感が一層高まりました。

このような経営環境の下、当フジボウグループは中期経営計画『加速17-20』で、計画期間の後半2年間を「成長の加速」ステージと位置付け、当連結会計年度においては、これまで進めてまいりました研磨材事業・化学工業品事業での研究開発力、生産能力の強化を各事業の拡大に発現させております。また、繊維事業では、事業環境の変化に対応するため、更なる構造改革を進めております。

この結果、当連結会計年度の売上高は前年同期比1,603百万円(4.3%)増収の38,701百万円、営業利益は前年同期比299百万円(7.9%)増益の4,079百万円、経常利益は前年同期比346百万円(8.7%)増益の4,329百万円となりました。これから減損損失、構造改革費用などの特別損益と法人税等を加減した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期比269百万円(10.6%)減益の2,269百万円となりました。

 

セグメント別の経営成績は以下のとおりであります。

 

ア.研磨材事業

主力の超精密加工用研磨材は、半導体デバイス用途(CMP)等は米中貿易摩擦、日韓貿易問題など不透明な経済環境の中、その影響も懸念されましたが、各種センサー用、5G通信用の半導体向けが拡大しました。ハードディスク用途も底堅いデータセンター用サーバー需要により堅調に推移しました。期末時点で一部中国ユーザーの操業停止に伴う納入延期があったものの、各主要ユーザーでBCP対応のための部材積み増しがあり、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による影響は受けませんでした。

この結果、売上高は前年同期比961百万円(9.0%)増収の11,695百万円、営業利益は459百万円(22.1%)増益の2,540百万円となりました。

 

イ.化学工業品事業

機能化学品および医薬中間体などの受託製造は、中国の環境規制の影響や高い品質を要求される化学工業品において、生産の日本国内回帰の傾向が続いており、農薬用、機能性材料を中心に全ての分野で堅調に推移し、期末時点で新型コロナウイルスの影響により中国からの一部原料入荷遅延があったものの、期を通して柳井工場・武生工場ともにフル稼働となり、売上高・営業利益が過去最高となりました。

この結果、売上高は前年同期比1,994百万円(17.6%)増収の13,300百万円、営業利益は346百万円(37.7%)増益の1,265百万円となりました。

 

 

ウ.繊維事業

アンダーウエアを中心とする繊維製品は、インターネットなど新規チャネルでの販売は拡大を続けておりますが、地方百貨店の減少、大手量販店における衣料品売場の縮小、プライベートブランドへの転換の影響を受け、メンズインナー定番品の販売の減少が続きました。そのため、日本国内および中国の縫製工場の縮小・撤退を進め、タイへの生産シフトを進めました。繊維素材では、原材料価格高止まりに対応するための販売価格への転嫁と、採算性の低い商材からの撤退を進めました。しかし、期の終盤にかけて新型コロナウイルスの影響により繊維全般にわたり、急激に需要が減退しました。

この結果、売上高は前年同期比1,796百万円(15.6%)減収の9,753百万円、営業利益は473百万円(74.4%)減益の162百万円となりました。

 

エ.その他

化成品事業は、デジタルカメラ用部品は減少しましたが、医療機器用部品が堅調に推移し、大分工場新ラインの稼働を開始しました。また、2018年10月1日付で連結対象となったプラスチック射出成形用金型子会社の業績が貢献し、前年同期比増収・増益となりました。貿易事業は、中米カリブ海地域向け自動車・農業用機械などの三国間貿易が回復傾向となってきましたが、期末時点で同地域各国の主要都市ロックダウンが行われたため、一部債権に対し引当を行いました。

この結果、売上高は前年同期比443百万円(12.6%)増収の3,952百万円、営業利益は32百万円(22.8%)減益の110百万円となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

資産合計は前連結会計年度末に比べて76百万円減少の52,194百万円となりました。

流動資産は970百万円減少の18,888百万円となりましたが、これは受取手形及び売掛金が減少したことなどによります。

固定資産は893百万円増加の33,305百万円となりましたが、これは主力の研磨材事業及び化学工業品事業において設備投資を進めたことによります。

 

(負債)

負債合計は前連結会計年度末に比べて1,140百万円減少の18,351百万円となりました。

流動負債は757百万円減少の11,411百万円、固定負債は383百万円減少の6,940百万円となりました。これは、借入金が減少したことなどによります。

 

(純資産)

純資産合計は前連結会計年度末に比べて1,063百万円増加し、33,842百万円となりました。これは、剰余金の配当による減少が1,144百万円ありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加が2,269百万円あったことなどによります。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、法人税等の支払などがありましたが、税金等調整前当期純利益や減価償却費の計上などにより6,548百万円の収入となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、主として固定資産の取得による支出により、4,289百万円の支出となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、配当金の支払や借入金の返済などにより、2,174百万円の支出となりました。

この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて100百万円増加の4,930百万円となりました。

なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。

 

キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2017年3月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

自己資本比率

60.2%

66.4%

62.7%

64.8%

時価ベースの自己資本比率

70.3%

91.2%

57.7%

63.3%

キャッシュ・フロー対有利子
負債比率

0.3

0.4

0.5

0.2

インタレスト・カバレッジ・
レシオ

393.3

296.2

360.8

403.8

 

(注) 自己資本比率:自己資本/総資産

 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

 インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

3 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

ア.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

研磨材事業

10,060

6.5

化学工業品事業

13,300

17.6

繊維事業

4,940

△17.7

その他

1,809

△5.4

合計

30,110

5.0

 

(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については消去しておりません。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

イ.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

研磨材事業

12,763

16.4

2,040

59.2

化学工業品事業

13,156

4.5

3,160

△5.3

その他

578

△30.5

501

25.0

 

(注) 1 セグメント間の取引については消去しておりません。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

ウ.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

研磨材事業

11,695

9.0

化学工業品事業

13,300

17.6

繊維事業

9,753

△15.6

その他

3,952

12.6

合計

38,701

4.3

 

(注) 1 セグメント間の取引については消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

ア.財政状態
(資産)

流動資産は前連結会計年度末に比べて970百万円減少の18,888百万円となりました。受取手形及び売掛金が1,001百万円減少しておりますが、前連結会計年度末日が金融機関の休日だったことに加え、期の終盤にかけて新型コロナウイルスの影響により繊維事業全般で急激に需要が減退し売上債権が減少したことなどによります。

固定資産は前連結会計年度末に比べて893百万円増加の33,305百万円となりました。繊維事業において一部事業の撤退などにより設備の減損損失を認識しましたが、研磨材事業において生産能力増強およびBCP(事業継続計画)対応のため大分新工場の建設を進めたほか、化学工業品事業において生産能力増強および品質向上を目的とした設備投資を進めたことなどによります。

資産合計は前連結会計年度末に比べて76百万円減少の52,194百万円となりました。

セグメント別では、研磨材事業は416百万円増加の17,195百万円、化学工業品事業は475百万円増加の10,070百万円、繊維事業は2,533百万円減少の8,567百万円、その他事業は396百万円増加の4,581百万円、各報告セグメントに配分していない全社資産などの調整額は1,168百万円増加の11,779百万円となりました。

 

(負債)

流動負債は前連結会計年度末に比べて757百万円減少の11,411百万円となりました。支払手形及び買掛金が264百万円増加しましたが、電子記録債務が167百万円、短期借入金が690百万円減少したことなどによります。

固定負債は前連結会計年度末に比べて383百万円減少の6,940百万円となりました。これは、長期借入金が127百万円、退職給付に係る負債129百万円減少したことなどによります。

負債合計は前連結会計年度末に比べて1,140百万円減少の18,351百万円となりました。

 

(純資産)

株主資本は剰余金の配当による減少が1,144百万円ありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加が2,269百万円ありました。

その他の包括利益累計額は、保有株式の時価低下に伴い、その他有価証券評価差額金が159百万円減少しました。

純資産合計は前連結会計年度末に比べて1,063百万円増加し、33,842百万円となりました。

 

イ.経営成績

当連結会計年度の売上高は、前年同期比1,603百万円(4.3%)増収の38,701百万円となり、営業利益は前年同期比299百万円(7.9%)増益の4,079百万円となりました。繊維事業は売場の減少や新型コロナウイルスの影響により苦戦を強いられ大幅な減収減益となったものの、研磨材事業は半導体向けが好調に推移したことなどにより増収増益、化学工業品事業も化学メーカーの国内回帰を追い風にフル稼働が続き増収増益となりました。セグメント別の売上高・営業利益については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。

営業外収益は固定資産賃貸料が12百万円増加したことなどにより、前年同期比48百万円(13.9%)増加の398百万円となりました。営業外費用は支払利息が1百万円増加したことなどにより、前年同期比1百万円(0.9%)増加の147百万円となりました。この結果、経常利益は前年同期比346百万円(8.7%)増益の4,329百万円となりました。

 

特別利益は固定資産売却益等で2百万円、特別損失は固定資産処分損176百万円や減損損失355百万円、構造改革費用206百万円などを計上し781百万円となりました。これから法人税等を差し引いた結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比269百万円(10.6%)減益の2,269百万円となりました。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、IT業界の景気状況や競合他社の状況、法的規制などがあります。詳細については「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

当社グループは、企業価値の向上に向けた取組みとして、2017年度を初年度とし2020年度を最終年度とする、4か年の中期経営計画『加速17-20』を策定しており、下記の数値を目標としております。

 

2020年3月期実績

2021年3月期目標

売上高(百万円)

38,701

70,000

営業利益(百万円)

4,079

10,000

当期純利益(百万円)

2,269

7,000

ROE(%)

6.8

15.0

自己資本比率(%)

64.8

65.0

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

営業活動によるキャッシュ・フローは、6,548百万円の収入となりました(前年同期比1,739百万円収入増)。法人税等の支払1,187百万円などがありましたが、税金等調整前当期純利益が3,551百万円、減価償却費が2,318百万円計上され、売上債権が1,029百万円減少したことなどによります。

投資活動によるキャッシュ・フローは4,289百万円の支出となりました(前年同期比949百万円支出増)。主として研磨材事業における生産能力増強およびBCP(事業継続計画)対応、ならびに化学工業品事業における生産能力増強および品質向上等に係る設備投資によるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは2,174百万円の支出となりました(前年同期比871百万円支出増)。これは、配当金1,139百万円の支払や、借入金940百万円の返済などによります。

資本の財源及び資金の流動性につきましては、主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び銀行等金融機関からの借入により資金を調達しております。また、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結し、流動性を補完しております。当社グループの運転資金需要の主なものは、商品・原材料の仕入、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資資金需要の主なものは、設備投資、M&A等であります。なお、重要な設備投資の予定につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載のとおりであります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、特に以下の事項は経営成績等に重要な影響を及ぼすと考えております。その他の重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記事項(追加情報)に記載のとおりであります。

 

ア.固定資産の減損処理

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

 

イ.繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

技術受入契約

 

契約会社名

相手先の名称

国名

契約品名

契約内容

契約期限

富士紡ホール
ディングス㈱
(当社)

FTLジャパン㈱

日本

ニット及び布帛製品
(B.V.D.商標)

1 商標の使用権

2 日本国内・タイ・
台湾・中国・香港
・シンガポールにおける製造権及び独占的販売権

2016年1月1日より
2020年12月31日まで

 

(注) 上記契約については、売上高に基づきロイヤルティを支払っております。

 

5 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発活動は、研磨材事業等の分野で、製造・販売・研究一体体制の下、新規製品開発のための研究開発活動、製品品質の改良等を長期的視野にたって推進しております。

当連結会計年度は、研究開発費として1,220百万円投入しました。セグメント別に研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

 

(研磨材事業)

超精密加工用研磨材関連では、液晶ガラス、ハードディスク、シリコンウエハー、半導体デバイス等研磨材の開発を推進しております。

研究開発費の金額は、1,192百万円であります。

 

(繊維事業)

印刷型フレキシブルセンサーを搭載した衣料型ウェアラブルデバイスの開発、縫製工場におけるロボット活用による工程自動化に向けた開発、蓄光繊維、発熱繊維の開発等を推進しております。

研究開発費の金額は、24百万円であります。

 

(その他)

化成品事業で、高機能射出成型技術の開発および高機能プラスチック部品の開発を推進しております。

研究開発費の金額は、3百万円であります。