第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。

(1) 経営方針

120年を超える当社の歴史と伝統を背景に、経営理念である「進取の精神」と「自利利他の心」に基づき、発想力を活かし無限大の可能性へ挑戦していく。もって、持続的成長と中長期的な企業価値の向上を実現し、社会に役立つ企業、環境に優しい企業、人々の笑顔を大切にする企業となり、日本のより良い未来の創造に貢献する。

(2) 経営環境

当期におけるわが国経済は、前半は雇用・所得環境の改善が続く中で、各種政策効果もあって緩やかな回復基調が続いたものの、2019年10月の消費税増税による影響、さらに第4四半期には新型コロナウイルス感染症の影響があり、期末にかけて大幅に下押しされ一気に厳しい環境となった。海外においては中国経済動向、英国のEU離脱、米中貿易摩擦の懸念などが台頭していた中、期末にかけてのパンデミック発生により、世界経済も大打撃を受ける展開となった。

このような状況の中で、当社グループは、昨年度からスタートした「中期経営方針 Get Ahead of the Future ~新しい時代の先へ~」に基づく諸施策を着実に進めることに努めた。

商業施設事業においては、静岡県下有数の商業施設である「サントムーン柿田川」が、消費税増税や近隣の大型商業施設開業などの影響を受けながらも概ね順調に推移していたものの、期末にかけてアミューズメントなどの新型コロナウイルス感染症の影響に敏感な業態から順に業績を落とす展開となった。こうした中、同施設の増床・リニューアル工事(第4期開発)を順調に進め、2020年3月10日に、3階建て約7,000㎡のテナント面積に33店舗が出店する新館「サントムーン オアシス」を開業した。開業当初は予想を上回る来店客で賑わうなど、当社グループを挙げて地域のライフラインを守る使命感をもって運営に取り組んだ。ヘルスケア事業においては、一般寝具で軟調な市況の影響を受けたものの、前期末に譲り受けた和田哲カンパニー事業との一段のシナジー効果の発揮に注力するとともに、新型コロナウイルス感染症対策の抗菌素材・マスクなどの商品確保にも努めた。繊維・アパレル事業においては、消費増税や上海現地法人における海外事業が中国市況の影響を受け販売不振が続く中、第4四半期の春物市況が新型コロナウイルス感染症の影響で苦戦したものの、継続して採算改善活動に取り組んだ。この結果、2007年3月期以来13期ぶりに全事業セグメントでセグメント営業黒字を確保することが出来た。

(3) 中期経営戦略

当社グループは、2018年4月から中期経営方針「Get Ahead of the Future ~新しい時代の先へ~」をスタートさせ、「成長投資と維持更新投資への優先的な取り組み」「事業規模の拡大と収益性の向上」「財務マネジメントの強化と復配」「人材の確保と育成」「コーポレートガバナンス・コードに沿った経営の徹底」を柱となる戦略として推進している。

また、中期経営方針「Get Ahead of the Future ~新しい時代の先へ~」において、2023年3月期の財務目標として、「営業利益率9%以上」「ROE6%以上」「NetDER170%以下」を掲げている。

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

わが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、急速に悪化しており、極めて厳しい状況が当面続くと見込まれる。また、新型コロナウイルス感染症の影響により内外経済の停滞が長引く懸念もあり、一段の下振れリスクがある。金融資本市場の変動等についても十分な注意が必要と考える。ただし、政府による収束後の経済の力強い回復と社会変革の推進を実現するための政策のスピード感ある実行により、年度後半にかけて徐々に回復することも期待できると考える。

こうした環境下、当社は「中期経営方針 Get Ahead of the Future ~新しい時代の先へ~」に基づく諸施策への取り組みを継続するとともに、新型コロナウイルス感染症の収束後の新しい常態(ニューノーマル)における新たなビジネスチャンスを捉えるべくスピード感を持って変化に柔軟に対応していく考えである。

① 成長投資と維持更新投資への優先的な取り組み

当社グループの主力事業である静岡県有数の商業施設「サントムーン柿田川」の第4期開発を成長投資と位置づけて取り組み、2020年3月に新館「サントムーン オアシス(Oasis)」を開業した。しかしながら、開業後まもなく新型コロナウイルス感染拡大の影響による緊急事態宣言により一部休業を余儀なくされたため、地域のライフラインを守るとの使命感のもと、今後は最優先で営業再開後の速やかな立ち直りを進める考えである。また、周辺市場との競合対策などの諸課題にも継続して対応していく考えである。

② 事業規模の拡大と収益性の向上

2019年3月に実施したヘルスケア事業の譲り受けの効果で2期連続の増収となったことに加え、今後は「サントムーン柿田川」に新たにオープンした新館「サントムーン オアシス(Oasis)」の業績を軌道に乗せることおよびヘルスケア事業において新型コロナウイルス関連の抗菌素材など医療に近い分野の取り組みを強化することで、当社グループとして事業規模の拡大と収益性の向上をさらに確実なものとしていく考えである。また、事業規模の拡大にあたっては、ESG(環境・社会・ガバナンス)、CSV(共通価値の創造)といった概念およびバリューチューンによる価値創造をしっかり意識して取り組む。

③ 財務マネジメントの強化と復配

持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のため、財務の健全性の確保が大前提となる。そのため、新館「サントムーン オアシス(Oasis)」の建設資金借入と既存借入金を着実に圧縮しつつ、財務マネジメントを強化していく考えである。中期経緯方針期間中に復配の目途をつけるべく取り組む方針にも変わりない。ただし、今後の新型コロナウイルス感染症の影響に注視する必要があると考えている。

④ 人材の確保と育成

新型コロナウイルス感染症対策としてテレワーク(在宅勤務)体制を整えることができたため、新しい生活様式に対応した新しい働き方改革を一段と推し進める。

⑤ コーポレートガバナンス・コードに沿った経営の徹底

ガバナンス体制の維持・強化を図るとともに、事業活動を通じた社会的課題への対応も推進する。

以上により、当社グループは、経営理念である「進取の精神」と「自利利他の心」に基づき、発想力を活かし無限大の可能性への挑戦を続け、当社グループの役職員一同全力で、「中期経営方針 Get Ahead of the Future ~新しい時代の先へ~」を推進し、企業価値のさらなる向上に邁進する所存である。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりである。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

(1) 特定収益事業の特定地域集中について

当社グループの主力収益事業である商業施設事業のショッピングセンター等の商業施設が静岡県駿東郡清水町(三島地区)に集中している。

現在、予想されている東海地震が発生した場合には、当社グループの業績等が悪影響を受ける可能性がある。

 

(2) 固定資産の賃貸契約について

当社グループの主力収益事業である商業施設事業においては、ショッピングセンター等の商業施設に関して賃貸借契約を締結している。今後、諸般の事情により契約が解除された場合には、当社グループの業績等が悪影響を受ける可能性がある。

 

(3) 有利子負債について

当社グループにおいては、商業施設「サントムーン柿田川」の開発工事実施等により当期末の有利子負債残高は122億5百万円である。今後、市場の金利が上昇した場合には、当社グループの業績等が悪影響を受ける可能性がある。

 

(4) 新型コロナウイルス感染症について

新型コロナウイルス感染症の影響により、急速に経済情勢が悪化しており、極めて厳しい状況が当面続くと見込まれる。新型コロナウイルス感染症の影響により内外経済の停滞が長引いた場合には、当社グループの業績等が悪影響を受ける可能性がある。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。

① 財政状態及び経営成績の状況

(経営成績の状況)

当期の業績は、売上高はヘルスケア事業の譲受けによる増収効果もあり、48億19百万円(前年同期比7.2%増)と前期比増収となり、また、ヘルスケア事業や繊維アパレル事業セグメントにおいて粗利率が改善したことに加え、前期の商業施設事業投資に関連する一過性の費用計上の影響が剥落したこともあり、営業利益は4億7百万円(前期比24.3%増)と前期比増益となり、13期ぶりに全事業セグメントで営業黒字を計上することが出来た。経常利益については、商業施設事業における建設資金調達に伴い支払利息が増加したため2億28百万円(前期比3.6%減)となった。これに、PCB(ポリ塩化ビフェニル)処理費用につき環境対策引当金繰入額36百万円を特別損失として計上し、さらに将来の新型コロナウイルス感染症の現下の状況等を踏まえ繰延税金資産の回収可能性について慎重に検討した結果繰延税金資産を取り崩し、法人税等調整額1億13百万円を計上したため、親会社株主に帰属する当期純利益は75百万円(前期比74.3%減)となった。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。

 

(商業施設事業)

商業施設事業については、静岡県下有数の商業施設である「サントムーン柿田川」において、季節関連イベントを強化するなど順調に推移してきたものの、2月以降は新型コロナウイルス感染症の影響があり、売上高は前期を下回った。損益面では、前期に計上した第4期開発に関連する一過性の費用計上がなくなったことから粗利率が改善した。

この結果、商業施設事業の売上高は23億6百万円(前期比0.9%減)、営業利益は8億88百万円(前期比3.1%増)となった。

(ヘルスケア事業)

健康ビジネス部門については、2月以降に新型コロナウイルス感染症の影響があり大半の取引先で需要が落ち込んだものの、前期末の事業譲受け効果が下支えとなり売上高は前期を上回った。一般寝装品部門についても、2月以降に新型コロナウイルス感染症の影響があり大半の取引先で需要が落ち込んだものの、前期末に譲り受けた事業のうち業務用寝具販売が順調に推移したことが下支えとなり売上高は前期を上回った。損益面では、増収効果に加え、譲受け事業による粗利率改善効果もあり、新型コロナウイルス感染症の影響はあったものの採算性は向上した。

この結果、ヘルスケア事業の売上高は13億99百万円(前期比68.1%増)、営業利益は12百万円(前期は営業損失29百万円)と通期では5期ぶりの黒字となった。

(繊維・アパレル事業)

衣料部門については、消費増税や気候不順の影響により秋冬物市況が伸び悩んだことに加え、2月以降は新型コロナウイルス感染症の影響による春物衣料の不振もあり、売上高は前期を下回った。ユニフォーム部門については、民需案件の受注が来年度にずれ込んだことが響き売上高は前期を下回った。損益面では、粗利率の向上により、前期比で改善した。

この結果、繊維・アパレル事業の売上高は11億13百万円(前期比16.7%減)、営業利益4百万円(前期は営業損失24百万円)と通期では3期ぶりの黒字となった。

 

 

(財政状態の状況)

当期末における総資産の残高は223億73百万円(前期末は208億53百万円)となり、前期末に比べ15億20百万円増加した。主な要因は、現金及び預金の減少4億6百万円、建物及び構築物の増加33億65百万円、建設仮勘定の減少17億62百万円である。

当期末における負債の残高は179億53百万円(前期末は165億44百万円)となり、前期末に比べ14億9百万円増加した。主な要因は、短期借入金の増加60億26百万円、長期借入金の減少46億10百万円である。

当期末における純資産の残高は44億19百万円(前期末は43億8百万円)となり、前期末に比べ1億10百万円増加した。主な要因は、利益剰余金の増加75百万円、その他有価証券評価差額金の減少31百万円、繰延ヘッジ損益の増加59百万円である。

 

② キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、2億83百万円のプラス(前期比24.4%減)となった。主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上1億92百万円、減価償却費4億25百万円、売上債権の増加34百万円、たな卸資産の増加67百万円、仕入債務の減少1億88百万円である。

投資活動によるキャッシュ・フローは、20億76百万円のマイナス(前期は17億96百万円のマイナス)となった。主な要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出20億78百万円である。

財務活動によるキャッシュ・フローは、13億87百万円のプラス(前期比1.3%増)となった。主な要因は、長期借入れによる収入57億24百万円、長期借入金の返済による支出43億8百万円、リース債務の返済による支出22百万円である。

これらの各活動の結果、現金及び現金同等物の残高は13億18百万円(前期比23.6%減)となり、前期末に比べ4億6百万円減少した。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態、単位等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品もあり、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていない。

このため生産、受注及び販売の実績については、「① 財政状態及び経営成績の状況」におけるセグメントの経営成績に関連付けて示している。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(財政状態の分析)

「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載している。

(経営成績の分析)

ア.売上高

当期における売上高は、48億19百万円となり、3億22百万円(前期比7.2%増)増加した。主な要因は、消費税増税や新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの、ヘルスケア事業において前期末に一部事業を譲り受けたことによるものである。

イ.売上原価、販売費及び一般管理費

当期における売上原価は、34億86百万円となり、1億72百万円(前期比5.2%増)増加し、売上高に対する比率は、前期73.7%から当期72.3%と1.4ポイント改善した。販売費及び一般管理費は、9億25百万円となり、69百万円(前期比8.1%増)増加した。主な要因は、売上原価は粗利率が改善したことによるものである。また、販売費及び一般管理費は、前期に発生した商業施設事業投資に関連する一過性の費用計上が当期はなかったものの、ヘルスケア事業における一部事業の譲受けにより増加したことによるものである。

 

ウ.営業損益

当期における営業損益は、4億7百万円の営業利益となり、79百万円(前期比24.3%増)増加した。これは販売費及び一般管理費が増加したものの、粗利率の改善により売上総利益が増加したことによるものである。

エ.営業外損益

当期における営業外収益は、33百万円となり、29百万円(前期比46.7%減)減少した。営業外費用は、2億12百万円となり、58百万円(前期比38.4%増)増加した。この結果、営業外損益の純額は1億78百万円のマイナスとなり、前期に比べ88百万円悪化した。主な要因は、前期に発生した移転補償金の受取がなくなったことおよび借入金の増加に伴い支払利息が増加したことによるものである。

オ.特別損益

当期における特別損益は、特別損失が36百万円(前期はなし。)発生した。要因は、PCB(ポリ塩化ビフェニル)処理費用について環境対策引当金繰入額を計上したことによるものである。

カ.税金等調整前当期純損益

当期における税金等調整前当期純損益は、税金等調整前当期純利益1億92百万円となり、44百万円(前期比18.9%減)減少した。これは、営業利益が79百万円増加したものの、営業外損益が88百万円、特別損益が36百万円それぞれ悪化したことによるものである。

キ.親会社株主に帰属する当期純損益

当期における親会社株主に帰属する当期純損益は、親会社株主に帰属する当期純利益75百万円となり、2億19百万円(前期比74.3%減)減少した。これは、税金等調整前当期純損益が44百万円が悪化したことおよび税金費用が1億74百万円増加したことによるものである。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当期のキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載している。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、ヘルスケア事業及び繊維・アパレル事業におけるたな卸資産の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用である。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、商業施設事業における設備投資等によるものである。当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のため、財務の健全性を確保することを基本としている。運転資金及び設備資金については、自己資金及び銀行借入により調達している。なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は122億5百万円となっている。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表の作成に当たって、経営者による会計方針の選択・適用、決算日における財政状態及び経営成績に影響を与えるような経営者の会計上の見積りを必要とする。

当社は、会計上の見積りについて、過去の実績、現在の状況等を勘案し合理的かつ慎重に判断している。しかしながら、実際の結果は、見積り特有の不確実性のため、これら会計上の見積りと異なる場合がある。

また、新型コロナウイルス感染症が経済、企業活動に広範な影響を与えており、今後の広がり方や収束時期を予想することは困難である。そのため、当社としては外部の情報源に基づく情報等を踏まえて、今後、2021年3月期の一定期間にわたり当該影響が継続すると仮定し、繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りを行っている。

 

4 【経営上の重要な契約等】

固定資産の賃貸借契約

1997年4月に完成・オープンしている三島市郊外のショッピングセンター「サントムーン柿田川」に関して、㈱エンチョーとの間に「土地建物賃貸借契約書」を締結している。

 

5 【研究開発活動】

該当事項なし。