第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

1.会社の経営の基本方針

 当社グループは「暮らしと社会の明日を紡ぐトーア紡」を経営理念とし、トーア紡クオリティの追求と新しい

価値の創造、環境負荷の低減に積極的に取り組むことを通じて、モノづくりの伝統を未来へつなげることを基本

方針としております。

  そして社会に貢献し、必要な存在として認められる企業集団となり、常に自らも成長・発展し続ける「暮らし

と社会の明日を紡ぐ企業」として、事業の永続性を確かなものとする努力をしております。

2.経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

(1)目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略

 経営環境の変化の速度が増す中、当社グループでは各事業会社が自主性・迅速性を持って、それぞれの事業

特性に応じた戦略を立案し遂行する力をさらに高め、競争力の強化と収益力の向上に取り組み、継続的な事業

の発展に努めます。

  また、グループの全社的な経営戦略として下記項目を掲げております。

 1.事業ポートフォリオの最適化

環境変化に適応した事業構造のリバランスを推し進め、最適なポートフォリオを構築することで効率経営

を目指します。

 2.中国・東南アジアを中心とする海外事業展開による業容拡大

生産・供給拠点としての海外サプライチェーンの充実を図るとともに、それらの各拠点を有効活用するこ

とで、市場としての視点に軸足を置いた事業活動を、新領域も視野に入れて展開してまいります。

 3.収益性および資本効率の向上

選択と集中を意識した事業運営により、成長分野への重点的な人財・資金等の資源配分を実践すること

で、最大限の効果が享受できる好循環を実現します。

 4.DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進

デジタル技術を活用した業務改善を進める中で、より効率的な業務プロセスへの変革と組織改革を推進

し、競争上の優位性へとつなげてまいります。

 5.SDGsへの取り組み

既に確立しているウール製品のリサイクルシステムを始め、持続可能かつ環境に配慮したモノづくり、事

業活動をより一層充実させ、社会貢献、社会責任を果たしていくことで、企業価値の更なる向上に努めてま

いります。

 以上の施策により、強固な経営基盤の確立を目指します。

 令和3年12月期の当社グループ目標値を次のように設定しております。

  売上高         15,000百万円

  営業利益          350百万円

  経常利益          300百万円

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

新型コロナウイルスの感染再拡大の影響により国内景気は沈滞し、また世界的にも未だ収束の兆しが見えない

ことから、国内経済の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

そのような環境下、当社グループは5つの事業を中心としてグループ全体の企業価値の向上を優先課題とし、

各事業分野において以下の取り組みを進めてまいります。

・衣料事業

ニューノーマル時代を迎え、在宅勤務が一般化するなどライフスタイルが大きく変化し、ビジネススーツやビ

ジネスユニフォーム市場が一気に冷え込みました。

このような環境の中、以下の3つの重点施策を進めていきます。

1.コスト削減

国内外の適地生産体制の見直し、および物流の合理化を進めます。またDX技術の積極的な活用により、生

産性の向上および事務処理の効率化を図るなど、コスト削減を徹底していきます。

2.開発の強化

抗菌・抗ウイルス素材やサステナブル素材など高付加価値商品の開発を強化し、収益性の向上を図ります。

また、ファッション衣料繊維に依存した商品構成からヘルスケア分野の素材開発を展開することで、収益の安

定化を図ります。

 

3.スクール部門の強化

収益力拡大に向け、グループのニット製品製造子会社および制服縫製子会社と連携した総合的な取り組みに

よるシェア拡大、および周辺商材の開発による拡販を進めていきます。

・インテリア産業資材事業

インテリア産業資材事業は以下の3つの戦略を推し進めていきます。

1.生産の効率化

新規商材の立ち上げのため、既存設備の改修、改造および工程の見える化、デジタル化による生産の効率化

を進めていきます。中国子会社においても、既存設備の改修および改造により効率よく稼働させることで、現

地ローカルメーカーとの競争に対処して新規商材の受注を目指します。

2.品質へのプライド・ものづくりへのこだわり

原着ポリプロファイバーの展示会用需要があまり見込めないため、高機能綿・ショートカット・細番化商材

の開発および販売を目指します。また、すべての分野で、次期商材の受注獲得のための新規開発を進めていき

ます。

3.環境に配慮したものづくり

導入済みの環境に配慮した排水処理設備の適切な運用と更新を実施するとともに、工場で使用するエネルギ

ーの低炭素排出へのシフトを実現し、環境負荷低減を推し進めます。

また、リサイクル事業では、産官学共同研究による「リサイクル炭素繊維の連続繊維化および製布化」に取

り組んでおり、リサイクルカーボンファイバーの高付加価値製品化に繋げていきます。

・エレクトロニクス事業

昨年度は、一時売上が大幅に落込みましたが、当社の半導体(トライアック)が人口呼吸器等の医療機器に採

用されたこと等により、後半は回復基調となりました。今年度に入り、産業機器関連、5G・IT機器関連、ロ

ボット関連の需要回復を受けて、主力の電動工具コントローラーやパワー半導体の受注は前年同期比大幅増とな

っています。一方で、急激な需要増による半導体部品不足は深刻化しており、生産・販売への影響が懸念されま

す。そのため、納入先への代替品の承認提案、仕入先との長期契約等による部品確保を喫緊の課題として対処し

ていきます。

また、中国の生産工場のリモートによる管理を徹底することにより、生産・品質管理体制を高めていきます。

さらに、持続的な成長に向け以下の新規商材への取組みを強化していきます。

1.省力化・ロボット関連

昨年度に販売開始した電子棚札は、機種を増やして売上げ増を目指します。また、減速機は、本年度中に量

産開始しロボットメーカーへの営業を行います。

2.衛生関連

ウイルス対策用フィルターの製造販売、深紫外線LEDを使用したウイルス対策製品の開発、販売を行いま

す。

3.環境関連

水だけで金型・金属素材・ゴム素材・ガラス素材の洗浄を可能にしたマイクロバブル洗浄機の販売を行いま

す。

・ファインケミカル事業

ウィズコロナ時代のなかで、先行き不透明な事業環境を乗り越え将来の成長軌道を確かなものとするために、

以下の3つの戦略を推進していきます。

1.社会のデジタル化の加速や次世代通信規格5Gの普及により市場の拡大が見込まれる電子材料分野では、

基板材料・放熱材料向け・付加価値の高いフォトレジスト材料向けの拡販強化に努めます。

2.新型コロナウイルスの感染拡大は、従来のオフィス環境や医療分野の市場に大きな変化をもたらしています

が、これを「新たな成長の機会」と捉え、成長が見込まれる新規材料の開発ならびに営業活動を積極的に進め

ていきます。また当期堅調に推移した基礎化粧品原料は、引き続き生産の効率化を進め収益性向上に努めてい

きます。

3.世界的な脱炭素のうねりと相まって、これまで以上に環境保護をはじめとする社会課題への対応の重要性

が浮き彫りになっています。化学工業である当部門では、かねてより環境にやさしい製造技術の確立と既存製

品の製法改良に着手していますが、今後は量産対応に向けさらにスピードアップさせていきます。

 

・不動産事業

事業部全体として、資産の有効活用をより促進し、安定収益の確保を目指します。事務所賃貸については、設

備のリニューアルを行うことでオフィス環境の満足度を高め、魅力あるオフィスを提供していきます。経年によ

り資産価値が低下している商業施設については、計画的に修繕し、付加価値を高めることで稼働率と収益性の向上に努めます。また、「SDGs(持続可能な開発目標)」を意識した資産の活用を促進し、環境負荷低減への貢献を図ります。

これらの取り組みとともに、「企業の果たす社会的責任」の一環として、「人」・「暮らし」・「環境」の心地

よい調和を求めてまいります。

また、法令順守や危機管理を一層徹底するため、「トーア紡グループ企業行動憲章」のさらなる定着と実践を推

進し、より実効性のある内部統制の整備、運用に取り組んでまいります。

(3)新型コロナウイルス感染症の今後の見通し

新型コロナウイルス感染症の今後の収束時期を予測する事は困難ですが、令和3年12月期第2四半期まではその

影響が継続し、第3四半期以降は徐々に緩和され、令和4年以降に収束すると見込んでおります。しかしながら今後も予断を許さない状況が続くと予想されるため、その動向を注視してまいります。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成

績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおり

であります。また、当社グループは、これらのリスクを認識した上で、事態発生の回避及び発生した場合の迅速な対

応に努めてまいります。

なお、記載内容のうち、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであ

ります。

  1.有利子負債への依存度

    当社グループの有利子負債残高の純資産に対する比率は以下のとおりであります。

 

 純資産(百万円)

有利子負債残高(百万円)

対純資産比率(%)

平成28年12月末

11,415

11,799

103.4

平成29年12月末

11,656

11,596

99.5

平成30年12月末

11,142

11,383

102.2

令和元年12月末

11,164

11,273

101.0

令和2年12月末

10,814

12,381

114.5

 (注)「対純資産比率」は、連結貸借対照表の「純資産合計」から「非支配株主持分」を控除した数値を分母として算出しております。

    今後、有利子負債の圧縮を進めてまいりますが、現在の金利水準が大きく変動した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

  2.カントリーリスク

  当社グループは、海外の企業と輸出入取引を行っております。また、中国、ベトナムに生産拠点を有しており、当社グループが事業展開している国や地域において、不利な影響を及ぼす法令・規制等の変更や政治・経済・社会情勢等に起因した予期せぬ事態が発生した場合、債権回収や事業継続が困難になるリスクを負っております。このようなリスクが顕在化した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

  3.為替変動リスク

  当社グループは、国内外において外貨建て取引を行っております。外貨建て取引に対しては、為替変動のリスクを軽減するために為替予約によるヘッジを行っております。しかしながら、為替レートが大幅に変動した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。また、海外の連結子会社や持分法適用会社の経営成績は、連結財務諸表作成において円換算されるため、換算時の為替レートにより円換算後の価値が大幅に変動し、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

   4.購入原料の変動リスク

  当社グループの主力事業である衣料事業及びインテリア産業資材事業の原料は、国際商品市況(原油相場・羊毛相場)の影響を受けやすく、それら原料の供給量や価格が大幅に変動した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

   5.販売価格の下落リスク

  当社グループの製品の多くは他社製品と競合しております。したがって、競合他社との価格競争等が激化した場合には、売上高の減少が生じるなど経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

   6.与信リスク

    当社グループは、当社の信用管理制度のもとに、取引先別に限度額を設定するなど与信リスクを最小限にするための対応策をとっております。また、過去の貸倒実績率等に基づき、貸倒引当金を計上して、売上債権の不良化による損失に備えております。しかしながら、政治的混乱や深刻な景気後退・金融不安等により重要な取引先が破綻した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

  7.製品の欠陥等(訴訟リスク)

     当社グループは、所定の品質管理基準に従って、衣料品・カーペット・自動車内装材・化成品・半導体商品等の

  各種製品を国内外で生産しており、製造物責任賠償保険に加入しております。しかしながら、重大な製品の欠陥等が発生し、その賠償額が保険でカバーできない場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

   8.不動産の下落リスク

  当社グループは、事業の構造改善に伴う工場跡地や建物等、不動産を相当量保有しております。その多くは「土地の再評価に関する法律」に基づき事業用の土地の再評価を行い(平成12年12月31日)、評価差額に係る税金相当額を「繰延税金負債」として負債の部に計上しておりますが、地価がさらに大幅に下落した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

   9.自然災害や事故等のリスク

  当社グループは、国内外の各地で生産活動を主とした企業活動を行っております。地震などの自然災害あるいは火災などの事故によって、当社グループの製造拠点等の設備や商品に壊滅的な被害を被った場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

   10.コンプライアンスリスク

  当社グループは、「コンプライアンス委員会」を設置し、法令順守のみならず、役員・従業員が共有すべき倫理観、順守すべき倫理規範等を「トーア紡グループ企業行動憲章」として制定し、当社グループにおける行動指針の順守並びに法令違反等の予防に努めております。しかしながら、役職員個人による法令違反を含むコンプライアンス上の問題が発生した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

   11.情報システム管理に関するリスク

  当社グループは、情報伝達や基幹業務支援など事業全般においてコンピュータシステム及びITネットワークを活用しております。「情報システム管理規程」等を定め、情報セキュリティの強化、バックアップ体制の構築、機器の高性能化等、システムトラブル対策を講じておりますが、外部からの予期せぬ不正アクセスやコンピューターウイルス侵入等による情報資産の漏洩、また、事故や自然災害等によりシステムが機能不全となる可能性を完全に排除することはできません。かかる事態が発生した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

   12.新型コロナウイルス感染症によるリスク

  当社グループは、国内外の各地で生産活動を主とした企業活動を行っております。生産拠点である工場において新型コロナウイルス感染者が発生し、操業等に支障が出た場合には、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

従業員とその家族の安全確保と感染拡大の防止策として、在宅勤務や時差出勤の推奨、出社の際のソーシャルデ

ィスタンスの確保とマスク着用の義務化、手指のアルコール消毒の徹底、国内外への出張の制限、社内会議のウェブ化、会議室のアクリル板設置などを実施しております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度末における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキ

ャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

a.財政状態

当連結会計年度末の総資産の残高は、31,248百万円(前連結会計年度末は、31,120百万円)となり、128百万円の

増加となりました。その主な要因は、現金及び預金の増加および投資有価証券の減少等によるものであります。

当連結会計年度末の負債の残高は、20,425百万円(前連結会計年度末は、19,947百万円)となり、477百万円の増

加となりました。その主な要因は、短期借入金と長期借入金の増加、支払手形及び買掛金、1年内償還予定の社債、

その他の流動負債および繰延税金負債の減少等によるものであります。

当連結会計年度末の純資産の残高は、10,822百万円(前連結会計年度末は、11,172百万円)となり、349百万円の

減少となりました。その主な要因は、その他有価証券評価差額金の減少等によるものであります。

b.経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大により経済活動は停滞し、景気は急速に悪

化いたしました。各種経済政策の効果などにより持ち直しの動きが見られたものの、感染の再拡大により収束の兆し

は見えず、国内経済の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

このような状況のもと、当社グループは市場ニーズを先取りする高付加価値・高品質商品を提供する「暮らしと社

会の明日を紡ぐ企業」として、競争力の強化と収益性の向上に取り組んでまいりました。

しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大は当社グループにも大きな影響を及ぼしました。中国現地法人は、

活動が一時的に停止したことにより、売上が大幅に減少しました。国内におきましても、特に衣料事業、インテリア

産業資材事業の売上が大幅に減少し、一部の工場では休業を余儀なくされるなど大きな影響を受けました。

この結果、当連結会計年度の売上高は14,752百万円(前年同期比21.0%減)、営業利益は270百万円(前年同期比

30.7%減)、経常利益は297百万円(前年同期比15.5%減)となりました。また、保有する投資有価証券の減損処理

による投資有価証券評価損を特別損失として計上した一方、投資有価証券売却益を特別利益に計上したことなどによ

り、親会社株主に帰属する当期純利益は184百万円(前年同期比10.9%増)となりました。

 

セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 [衣料事業]

衣料事業は、各種繊維を原料とする衣料用素材の製造・販売および制服の縫製加工、ニット製品の製造・販売を行

っております。

新型コロナウイルス感染拡大の影響は、衣料事業全般におよび、減収の要因となりました。

毛糸部門は、市況の冷え込みが長期化、婦人セーター向けニット糸、一般スーツ向け織糸の受注が落ち込み、大幅

減収となりました。

ユニフォーム部門のスクール制服向け商材は、休校の影響を受け、ニット製品、夏物素材が需要減、減収となりま

したが、価格改定実施により増益となりました。企業制服向け素材は、新規案件の獲得及び追加発注が減少し、減収

となりました。官公庁制服向け素材は、制服調達予算の削減から受注が低調で、減収となりました。

テキスタイル部門は、緊急事態宣言下での郊外量販店の一時休業や店舗の閉鎖に加え、商談の停止などの影響を受

け、大幅減収となりました。

毛糸製造販売を主体とする中国現地法人は、中国国内のロックダウンの影響で企業活動が一時停止したことや、市

況の冷え込みにより大幅減収となりました。

制服向け縫製会社は、スクール制服の受注が好調に推移、増収増益となりました。

この結果、売上高5,349百万円(前年同期比30.7%減)、営業利益68百万円(前年同期比15.0%減)となりまし

た。

 

[インテリア産業資材事業]

インテリア産業資材事業は、自動車用内装材、住宅建材・排水処理資材・土木資材・緑化資材などさまざまな用途

の産業用資材、インテリア関連製品、オレフィン系短繊維の製造および販売を行っております。

国内においては、新型コロナウイルスの影響により、全ての部門で生産が大幅に減少しました。

ポリプロファイバー部門は、自動車内装材用原綿は回復しつつありますが、カーペット用原綿は展示会の中止や延

期が続き回復には至っておらず、減収減益となりました。

カーペット部門は、ホテル、オフィス、ダストコントロール用途の需要が減少し、減収減益となりました。

特殊繊維部門は、海外市況が冷え込んでおり、引き続き低調で減収となりました。

自動車内装材部門は、6月から生産が回復したものの前半の減産が響き、減収減益となりました。

不織布部門は、緑化資材・防草資材、土木関連、寝装関連とも堅調に推移し、増益となりました。

自動車内装材製造販売の中国現地法人は、新型コロナウイルスの影響により一時的に生産ラインが停止しました

が、再稼働後は日本より先駆けて回復し、通常稼働に戻っております。

この結果、インテリア産業資材事業は、売上高5,608百万円(前年同期比20.1%減)、営業利益19百万円(前年同

期比89.6%減)となりました。

 

[エレクトロニクス事業]

エレクトロニクス事業は、半導体・電子機器の製造および販売を行っております。

新型コロナウイルス禍の中、主力の電動工具向けコントローラーや人工呼吸器用の半導体の販売が堅調に推移しま

したが、家電関連商材は消費が伸びず苦戦しました。

この結果、売上高1,617百万円(前年同期比6.3%減)、営業利益9百万円(前年同期比22.5%減)となりました。

 

[ファインケミカル事業]

ファインケミカル事業は、ヘルスケア関連薬品、工業用薬品の製造および販売を行っております。

新型コロナウイルスの影響を受けてレーザープリンター用トナー材料や、自動車向け機能性材料の出荷が減り、加

えてジェネリック医薬品原体の受注低迷も重なったことで減収減益となりました。

この結果、売上高980百万円(前年同期比16.5%減)、営業利益61百万円(前年同期比58.7%減)となりました。

 

[不動産事業]

不動産事業は、主に郊外型ショッピングセンター・オフィスビル等の賃貸を行っております。新型コロナウイルス

の影響を若干受けながらも、前年秋に主要ショッピングセンターがリニューアルオープンしたことで、収益は改善い

たしました。オフィスビル賃貸は、空室率の改善により順調に推移しております。また、佐賀県で運営しているゴル

フ練習場は、多くのお客様にご来場いただき増収増益となりました。

この結果、売上高848百万円(前年同期比10.8%増)、営業利益530百万円(前年同期比10.0%増)となりました。

 

[その他]

その他の事業は、自動車学校の運営、ヘルスケア商品の販売などを行っております。

自動車教習事業は、高校生向けの新しいプランが好評で、入校状況が好調に推移し増収となりました。

ヘルスケア事業は、除菌対策用の手荒れのしないアルコールジェルの販売が好調でしたが、一方で対面販売方式の

化粧品が低調でした。

この結果、その他の事業全体の売上高は348百万円(前年同期比30.2%増)、営業損失7百万円(前年同期は営業

損失65百万円)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ663百万円増

加し、2,152百万円(前年同期比44.5%増)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

税金等調整前当期純利益286百万円を計上しておりますが、主な増加要因としては非資金的支出費用である減価償

却費374百万円、主な減少要因としては売上債権の増加229百万円、仕入債務の減少194百万円、法人税等の支払額203百万円等により、営業活動による資金は68百万円(前連結会計年度は1,047百万円の収入)の支出となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資有価証券の売却による収入286百万円および有形固定資産の取得による支出338百万円等により、投資活動による資金は199百万円(前年同期比62.2%減)の使用となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

長期借入れによる収入4,968百万円および長期借入金の返済による支出3,760百万円、短期借入金の純増加額50百万

円等により、財務活動による資金は928百万円(前連結会計年度は293百万円の使用)の獲得となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 令和2年1月1日

至 令和2年12月31日)

前年同期比(%)

衣料事業(百万円)

2,379

80.2

インテリア産業資材事業(百万円)

4,644

81.4

エレクトロニクス事業(百万円)

674

85.2

ファインケミカル事業(百万円)

280

54.4

合計(百万円)

7,978

80.0

 (注)1.金額は製造原価によっております。

    2.不動産事業及びその他は生産活動を行っていないため、上記金額には含まれておりません。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高 (百万円)

前年同期比(%)

受注残高 (百万円)

前年同期比(%)

衣料事業

5,181

66.7

132

44.2

インテリア産業資材事業

5,559

79.7

29

97.0

エレクトロニクス事業

2,007

121.9

840

186.3

ファインケミカル事業

910

78.4

138

66.4

合計

13,659

77.8

1,141

115.2

(注)1.受注残高には、継続的な取引先からの受注内示は含めておりません。

   2.不動産事業及びその他は受注高及び受注残高はありませんので、上記金額には含まれておりません。

   3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 令和2年1月1日

至 令和2年12月31日)

前年同期比(%)

 衣料事業(百万円)

5,349

69.3

 インテリア産業資材事業(百万円)

5,608

79.9

 エレクトロニクス事業(百万円)

1,617

93.7

 ファインケミカル事業(百万円)

980

83.5

 不動産事業(百万円)

848

110.8

  報告セグメント計(百万円)

14,404

78.3

 その他(百万円)

348

130.2

合計(百万円)

14,752

79.0

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。

なお、前連結会計年度については、当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。

相手先

前連結会計年度

(自  平成31年1月1日

至  令和元年12月31日)

当連結会計年度

(自  令和2年1月1日

至  令和2年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

林テレンプ株式会社

1,558

10.6

3.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりでありま

す。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 ①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されて

おります。この連結財務諸表の作成にあたりまして、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施して

おります。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作

成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

(会計上の見積りに対する新型コロナウイルス感染症の影響について)

新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の停滞に伴い、当社グループでは、令和2年12月期の計画に織り

込んでいた需要が見込めず、業績予想を下方修正するなど、衣料事業、インテリア産業資材事業を中心に経営成績に影響が生じました。

 新型コロナウイルスの今後の収束時期を正確に予測する事は困難な状況でありますが、当社グループは令和3年

12月期第2四半期までは新型コロナウイルスの影響が継続し、第3四半期以降はその影響が徐々に緩和され、令和

4年以降は収束されると仮定して、固定資産の減損や繰延税金資産の回収可能性について見積り及び判断を行って

おります。

 なお、新型コロナウイルスによる経済活動への影響は、不確実性が高いため、上記仮定に変化が生じた場合は、

将来における財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

(流動資産)

当連結会計年度末の流動資産の残高は、9,533百万円(前連結会計年度末は、8,648百万円)となり、884百万円の増加となりました。その主な要因は、現金及び預金の増加(前連結会計年度比825百万円増)によるものであります。

(固定資産)

  当連結会計年度末の固定資産の残高は、21,715百万円(前連結会計年度末は、22,471百万円)となり、756百万円の減少となりました。その主な要因は、投資有価証券の減少(前連結会計年度比704百万円減)および、建設仮勘定の減少(前連結会計年度比33百万円減)によるものであります。

(流動負債)

  当連結会計年度末の流動負債の残高は、7,178百万円(前連結会計年度末は、7,122百万円)となり、55百万円の増加となりました。その主な要因は、短期借入金の増加(前連結会計年度比774百万円増)および、その他の流動負債の減少(前連結会計年度比347百万円減)、支払手形及び買掛金の減少(前連結会計年度比193百万円減)、1年内償還予定の社債の減少(前連結会計年度比100百万円減)によるものであります。

(固定負債)

当連結会計年度末の固定負債の残高は、13,247百万円(前連結会計年度末は、12,825百万円)となり、422百万円の増加となりました。その主な要因は、長期借入金の増加(前連結会計年度比484百万円増)によるものであります。

(純資産)

当連結会計年度末の純資産の残高は、10,822百万円(前連結会計年度末は、11,172百万円)となり、349百万円の減少となりました。その主な要因は、その他有価証券評価差額金の減少(前連結会計年度比384百万円減)によるものであります。

b.経営成績の分析

(売上高)

  当連結会計年度の売上高は、14,752百万円(前連結会計年度は18,669百万円)となり、3,917百万円の減少とな

りました。その主な要因は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う国内市況の低迷により、衣料事業の毛糸およ

びテキスタイル、インテリア産業資材事業の自動車内装材、カーペットおよびポリプロ原綿の減収によるもので

あります。その他として、中国子会社の事業活動が一時的に停止したことによるものであります。

 各セグメント別の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 

(売上原価)

  当連結会計年度の売上原価は、11,949百万円(前連結会計年度は15,433百万円)となり、3,483百万円の減少と

なりました。その主な要因は、原材料費の削減や売上の減少によるものであります。

(販売費及び一般管理費)

  当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、2,532百万円(前連結会計年度は2,845百万円)となり、313百万円の減少となりました。その主な要因は、売上の減少に伴い運送費、見本費が減少したことや、営業活動が制限されたことで旅費、交際費が減少したことによるものであります。

(営業外損益)

  当連結会計年度の営業外収益は、195百万円(前連結会計年度は108百万円)となり、86百万円の増加となりました。その主な要因は、助成金収入の計上によるものであります。

 また、当連結会計年度の営業外費用は、168百万円(前連結会計年度は147百万円)となり、21百万円の増加となりました。その主な要因は、従業員休業補償費の計上によるものであります。

(特別損益)

  当連結会計年度の特別利益は、182百万円(前連結会計年度は10百万円)となり、172百万円の増加となりました。その主な要因は、投資有価証券売却益171百万円を計上したことによるものであります。

 また、当連結会計年度の特別損失は、193百万円(前連結会計年度は54百万円)となり138百万円の増加となりました。その主な要因は、当期において投資有価証券評価損122百万円を計上し、減損損失が24百万円増加したことによるものであります。

(親会社株主に帰属する当期純損益)

  当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税は、108百万円(前連結会計年度は、163百万円)、法人税等調整額は、△5百万円(前連結会計年度は、△22百万円)となりました。その結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、184百万円(前連結会計年度は、165百万円)となりました。

c.キャッシュ・フローの分析

「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の

状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

(キャッシュ・フロー指標のトレンド)

       回     次

    第17期

    第18期

    第19期

       決 算 年 月

   平成30年12月

   令和元年12月

   令和2年12月

自己資本比率(%)

35.6

35.9

34.6

時価ベースの自己資本比率(%)

13.3

15.9

13.4

債務償還年数(年)

89.9

10.8

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

1.3

11.6

 (注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値を用いて、以下の計算式により計算しております。

・自己資本比率(%)

:自己資本/総資産

・時価ベースの自己資本比率(%)

:株式時価総額/総資産

・債務償還年数(年)

:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

・インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

:営業キャッシュ・フロー/利払い

2.株式時価総額は、期末株価終値×自己株式控除後の期末発行済株式数により算出しております。

3.営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動による

キャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されて

いる負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

4.「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を令和元年12

月期の期首から適用しており、平成30年12月期の自己資本比率及び時価ベースの自己資本比率については、当

該会計基準等を遡って適用した後の数値を記載しております。

5.第19期の債務償還年数及びインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業キャッシュ・フローがマイナスのた

め記載しておりません。

 

d.資本の財源及び資金の流動性

資本の財源については、収益力及び資産効率の向上により確保することを基本としております。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製品製造のための材料費や製造費用、販売費及び一般管理費、

設備の新設、拡充、改修等に要する設備資金などであります。

当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性を確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につき

ましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

e.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当連結会計年度の計画の達成状況は次のとおりであります。

(単位:百万円)

指標

計画

令和2年12月期

実績

令和2年12月期

計画対比

売上高

18,200

14,752

△3,447

営業利益

400

270

△129

経常利益

350

297

△52

新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の停滞に伴い、当社グループでは、令和2年12月期の計画に織

り込んでいた需要が見込めず、各項目において未達成となりました。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、研究開発部門の基礎研究や外部研究機関との共同研究をベースに、新商品開発・新機能開発に重

点を置き、更に品質向上・地球環境保護のための工程改善等の研究を積極的に行っております。当連結会計年度にお

けるグループ全体の研究開発費は103百万円であり、主な研究開発活動は次のとおりであります。

(1)衣料事業

衣料事業関係では、「安心」「安全」「快適」「環境」の観点から原料、織物、製品にいたる様々な素材開発に取り組んでおります。

繊維改質加工分野では、環境に配慮したウールの新しい防縮加工の量産に向けた技術開発や、ヘルスケア、快適性訴求として、衣服内の調温調湿機能素材、血流促進機能素材、近年消費者ニーズが高まっている抗菌・抗ウイルス加工の開発も進めております。

紡績・製織分野では、スーパーストレッチ織物、防シワ性織物や、高強力・高耐久性織物の開発を進めております。

サステナブル分野では、製造工程から発生する廃棄物を利用した製品開発を進めております。

当事業に係る研究開発費は、9百万円であります。

(2) インテリア産業資材事業

産業資材関係では、以前より取り組んでいる土木資材、寝具用コイルカバー材、防草シートなどの高機能複合化

に加え、新意匠性カーペットや繊維、不織布、カーペットの特徴を活かした複合素材の開発に取り組んでおりま

す。また、機能素材として、抗菌、消臭、抗ウイルス、抗アレルゲンのカーペットの開発に取り組んでおります。

自動車内装関係では、自動車室内空間の静音性向上のため、内装外装両面からの視点で複合吸音材の開発や、

軽・小型車向けフェルト一体型カーペットなどの開発を行っております。

 その他、産官学の共同開発事業として本年からリサイクルカーボンの紡糸製布化事業を立ち上げました。また、

工場の環境対策として、二酸化炭素排出量や産業廃棄物の削減を実施できるように研究しております。

当事業に係る研究開発費は、47百万円であります。

(3) エレクトロニクス事業

従来の電動工具分野以外の成長分野への進出を目指し、省力化・ロボット産業、衛生関連、環境関連の研究開発

に取り組んでおります。

当事業に係る研究開発費は、42百万円であります。

(4) その他事業

  京都大学・大阪市立大学の研究から生まれた機能性アミノ酸誘導体の研究開発を進めております。

 当事業に係る研究開発費は、4百万円であります。