文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社が判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、「21世紀のグッドカンパニー」の実現を目指し、株主・取引先・社員・地域社会の皆様方から高い信頼を得られる企業経営を基本方針としております。この方針のもと、株主、お客様の視点に立ち、「五ゲン主義(原理・原則・現場・現物・現実)」活動を共通の意識として、企業構造の革新と企業体質の改革に積極的に取り組んでおります。また「のびのび いきいき ぴちぴち」の経営理念のもと、社員一人ひとりが自主性・責任感・使命感を持ち、不条理・矛盾を許さないフェア精神とコンプライアンス精神とを持って企業活動を行っております。これらを確実に推進することによって、より高い付加価値の創造と企業価値の向上、さらには企業の社会的責任を果たすことにつながるものと考えております。
(2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題等
企業業績や個人所得に改善が見られるものの、新型コロナウイルス感染症の収束時期は未だ予測が難しく、先進諸国の政策動向、そして原油価格や為替変動など、企業を取り巻く環境は依然不透明な状況が続き、経営環境については一層の注視が必要です。セーレングループは、変化し続ける経営環境においても、常にお客様のニーズに応え、かつ安定した収益確保と継続的な企業成長を果たすため、当社グループの企業文化である「五ゲン主義」に立ち返り、特に、仕事の原理「個々の役割と責任のもと、ひとりひとりが仕事を付加価値に結び付けていく」に基づいた仕事を確実に実行してまいります。その基本戦略は下記の4点であります。
①「IT化・ビジネスモデル転換」・・ITを活用し、新しいビジネスモデルを構築
②「非衣料・非繊維化」・・・・・オンリーワン技術の活用による新規事業の創出
③「グローバル化」・・・・・・・地球規模での事業展開
④「企業体質の改革」・・・・・・のびのび いきいき ぴちぴちで、強い企業体質へ
これら4つの基本戦略の制定から今日に至るまで、幾たびの経済環境や社会構造、そして流通構造の激しい変化がありました。それらを越えた今、得られた成果を評価すると、この基本戦略は、いつの時代においても将来を見据えた確かな戦略であったと確信しております。次の新たな飛躍を目指し、「素材から製品化、BtoBからBtoC」を中期事業戦略におき、従来よりも付加価値の高い流通ポジションにおける販売事業拡大を進め、高収益モデルへの転換に取り組んでまいります。
① IT化・ビジネスモデル転換
企画・製造・販売の「流通一貫機能」と原糸製造から縫製までの「一貫生産体制」による「小ロット・短納期・在庫レス・オンネット・低コスト・省資源・省エネルギー」を進化させ、生活者のニーズ・CS(顧客満足度)に100%対応しつつ、究極の環境対応策であるムダ・ロスのゼロを実現する21世紀型ビジネスモデルの完成を目指します。
1)DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、当社独自のデジタルプロダクションシステム「Viscotecs®」とSCM(サプライチェーン・マネジメント)システムをさらにレベルアップさせ、ビジネスモデルの基盤を強化。
2)パーソナルオーダーシステム「Viscotecs make your brand®」の販売拡大に向け、継続して経営資源を投入。バーチャル試着など利便性を高めたシステム開発やコンテンツ開発を推進し、在庫レス小売を目指した新しいビジネスモデルによるSPA事業を拡大するとともに、BtoBビジネスにおいても、同システムの事業を展開。
3)原糸製造から縫製までの「一貫生産体制」を活用し、製品化・部品化の拡大及びBtoCビジネスの拡大。
4)生産工場のスマートファクトリー化による業務効率化・生産性向上推進。
② 非衣料・非繊維化
繊維技術を事業展開シーズとして、そこから派生する繊維加工技術、応用化学、機械工学、ITを活用し、車輌資材事業、エレクトロニクス事業、環境・生活資材事業、メディカル事業の非衣料・非繊維分野の事業を拡大してまいります。
1)金属、陶器、樹脂、ガラス、コンクリートなどの非繊維材料において、省資源・省エネルギーでさまざまな顧客ニーズに対応する非繊維ビスコテックス・システム外販ビジネスの市場拡大と拡販。
非繊維ビスコテックスの生産を行うSV工場における小ロット、短納期、高付加価値商品の事業拡大。(用途:車輌用インストルメントパネル、インテリア資材など)
2)車輌内装材向けの高級感と優れた機能性を備えた“革を超える新素材”「クオーレ®」の拡販及びファッション、産業資材分野等における新規用途開拓。
さらなる快適機能や高耐久性能の付加、非繊維ビスコテックスとの融合による高付加価値品の開発と拡販。
3)繊維と金属の複合化技術により差別化を高めた導電性素材「プラット®」の用途開発と市場拡大及び拡販。
4)KBセーレン㈱のエンジニアリング・プラスチック繊維である、LCP繊維「ゼクシオン®」並びにPPS繊維「グラディオ®」の用途開発と市場開拓及び拡販。
5)セーレンKST㈱における、5G・光通信用デバイス向け材料や、超小型ディスプレー用光学エンジンの開発及び市場開拓。
6)シルクたんぱく質「セリシン」をベースにした当社オリジナル化粧品「コモエース®」シリーズやヘルスケア商品の拡販、及びセリシンの優れた機能である保湿、美白、酵素安定、細胞保護、抗酸化機能などを応用した医療分野などへの参入・拡販。
7)瞬間消臭機能を備えた「デオエスト®」(用途:アンダーウエア)、「イノドールクイック瞬感消臭®」シリーズ(用途:ブランケット、シーツ、介護商品など)の拡販。
8)人工衛星及び人工衛星部品の開発・製造・販売等、宇宙関連分野の事業拡大。
③ グローバル化
少子高齢化による人口減少、国内市場縮小が見込まれるなか、今後さらなる経済成長が期待される新興国市場での収益拡大を図るとともに、グローバルでの最適地生産・最適地仕入等、グループ経営の強化を進めてまいります。
1)海外新拠点拡充による車輌資材事業の世界シェア拡大。新たにハンガリーに生産拠点を設立し、2022年12月に合成皮革の車輌シート材の量産を開始。環境意識の高い欧州において拡販を進める。
2)Saha Seiren Co.,Ltd.(タイ)における「Viscotecs®」を中核とする原糸から製品までの衣料一貫生産の安定稼動と衣料製品事業の拡大。
3)上海を拠点とする世聯美仕生活用品(上海)有限公司(中国)によるセーレングループ差別化商材の拡販。
④ 企業体質の改革
1)意識改革
A)仕事の目的を理解し、その目的を完遂するための役割と責任の明確化。
B)企業理念「のびのび いきいき ぴちぴち」「五ゲン主義(原理・原則・現場・現物・現実)」の徹底。仕組みとしての「整流」「見える化」「見つけましたね運動」「革命的VA活動」等の浸透・定着。
2)研究開発型企業としての強化
技術開発、設備開発、ソフト開発などへの積極的な投資と環境づくり。
3)グローバル企業としての強化
A)グローバル本社体制による、グループ企業のガバナンス強化。
B)グローバル事業拡大に向けた人材育成。
4)財務体質の強化とキャッシュ・フロー経営の推進
自己資本比率、ROE(自己資本当期純利益率)、ROA(総資産事業利益率)、有利子負債率などの改善、及びグループ余剰資金の効率的運用など。
5)グループ連結経営の強化
グループ企業価値を最大化にするために、グループ各社の役割・責任を明確にし、効率的で最適な企業統治システムを構築するとともに、各社の事業の見直し・選択と集中を行う。
6)本社改革
スピード経営のための仕組みやシステムの構築、会長・社長スタッフとしての役割機能強化など。
7)人材の育成・確保、雇用安定
21世紀型の高付加価値新規事業の創出やグローバル事業の拡大を重点的に推し進めているなかで、新たな人材ニーズにマッチングする人材の不足が顕在化しております。当社グループの中期戦略を見据えてグループ全体の人員戦略を見直すとともに、ローテーションや人材育成を含めた適切な施策を行ってまいります。
また、新型コロナウイルスの感染拡大は今も世界経済に深刻な影響を及ぼしており、先行き不透明な状況が続いております。当社グループでは社員の雇用の安定確保に必要な措置を継続して実施してまいります。
以上、今後も“変えよう、変わろう”を合言葉に、改革の手を緩めることなくこれらの課題を着実に具現化し、「生活価値創造企業」を目指して邁進していきます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクとしては、以下のようなものがあり、いずれも関連する当社事業グループの経営成績及び財政状況等に影響を及ぼす可能性があります。なお、文中における将来に関するリスクは、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 海外活動に潜在するリスクについて
当社グループは、グローバル化に対応するため、海外(米国、ブラジル、タイ、中国、インド、インドネシア、メキシコなど)に子会社を設立し製造・販売活動を行っていますが、これらの地域・国において、政治的問題や暴動・テロ・デモ・伝染病等の社会的混乱など様々なカントリーリスクが内在しています。グループ内や外部機関などを通じた情報収集を行い、その予防・回避に努めていますが、当社の予想を超える範囲でこれらの事象が生じる可能性があります。
(2) 為替相場の変動について
当社グループは、グローバルに事業を展開しており、各地域における現地通貨建て財務諸表の各項目は、円換算時の為替レートの変動により、現地通貨における価値が変わらなかったとしても、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、為替レートの変動は製品の相対的な価格や、仕入コストに影響を与える可能性があります。これに対し当社グループでは、グローバルに生産拠点を配置し、最適地生産・最適地仕入を行うなど、このリスクを軽減するよう努めております。
(3) 原油・ガス価格の変動リスクについて
当社グループは、エネルギー源として、主に原油・ガス・電気を使用していますが、電気料金における再生可能エネルギー発電促進賦課金の上昇等、それらの価格が上昇すると、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの製品に、石油化学製品を原材料にしているものが多く、その仕入価格が原油価格の変動の影響を大きく受ける可能性があります。これらのリスクに対し当社グループでは、エネルギー転換や合理化投資を進めるとともに、企画・製造・販売の機能連携により徹底した原価低減に取り組んでおります。
(4) 急速な技術革新について
当社グループの各事業分野において新しい技術が急速に発展しております。特にエレクトロニクスなどの分野においては技術革新の速度は顕著であり、これらに対して競争力を維持するため迅速かつ優れた費用効率による研究開発や製造・販売のための施策を講じています。しかし、最大限の注意・努力を払って施策を講じたとしても、全てが必ず成功する保証はなく、これらが予定どおり進展しなかった場合は、競争力を保てない可能性があります。
(5) 訴訟などについて
法令の遵守や知的財産侵害の防止については、専門部署などで万全のチェック体制をとっていますが、最大限のチェックを行ったとしても解釈の相違などにより訴えられる可能性があり、その場合は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 事故・災害について
当社グループは、事故・災害等の未然防止に向けて、安全衛生対策、防災教育、防災訓練、防火設備点検等の事故・災害拡大防止対策を積極的に推進しています。しかしながら、大規模事故や地震・洪水・台風等の大規模災害が発生した場合、生産設備の損害やサプライチェーンの機能不全などにより、生産能力に重大な悪影響を受ける可能性があります。
(7)製造物責任について
当社グループは、品質管理には万全を期しておりますが、予期し得ない重大な品質問題が発生する可能性は皆無ではありません。そうした事態に備えるため保険にも加入しておりますが、万が一、大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥が発生した場合、当社グループの評価に重大な影響を与え、多額の追加コストが発生し、当社グループの業績及び財政状態に多大な悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)情報管理について
当社グループは、BtoC事業など様々な事業活動を通じ、個人情報をはじめとする多数の重要な機密情報を取り扱います。これらの情報については、社内規程に基づく運用管理を行い、情報システム等に対する徹底した従業員教育により対策を講じておりますが、不測の事故による情報流出が発生した場合は、当社グループの評価に重大な影響を与え、損害賠償などの費用が発生し、当社グループの業績及び財政状態に多大な悪影響を及ぼす可能性があります。
(9) 新型コロナウイルス感染症について
新型コロナウイルス感染症の収束時期は未だ予測が難しく、当社グループでは「新型コロナウイルス感染防止のための緊急対策」を策定し社内の感染防止策を徹底しておりますが、今後当社グループや取引先等で当該感染症が発生し拡大した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。また、ワクチンの普及により世界経済はコロナ危機前の水準に回復していくことが期待されますが、ワクチンの効果が十分に効かない変異ウイルスの発生などにより世界経済が大きく減退した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における経済環境は、新型コロナウイルス感染症拡大による世界的な需要縮小並びに経済活動の制約の影響により、依然として厳しい状況にあります。
新型コロナウイルス感染症拡大が続くなか、従業員はもとより、お客様やお取引先、地域社会における感染拡大を防ぐため、全社グループで徹底した感染防止対策を実施しております。また、急速に悪化する事業環境に対し全社で危機意識を共有し、徹底した経費削減を中心とする「コロナ緊急対策」をいち早く断行し、全社一丸となって対策に取り組んでおります。
厳しい経営環境においても、中期方針「未知の可能性への挑戦!」に基づき、変化し続けるお客様ニーズに応え、安定した収益確保と継続的な成長を果たすため、“イノベーションと顧客開発”及び“企業体質の再建”を柱とした事業戦略を推進しております。併せて、企業の潜在力である人材力、開発力、環境対応力を高める経営を継続し、企業体質の強化に取り組んでおります。
当連結会計年度の連結業績は、売上高986億88百万円(前連結会計年度比17.9%減)、営業利益85億80百万円(同18.3%減)、経常利益94億51百万円(同16.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益62億52百万円(同26.9%減)となりました。
当連結会計年度のセグメントの概況は、次のとおりであります。
(車輌資材事業)
新型コロナウイルス感染症の拡大が、全世界の自動車生産及び販売にも大きな影響を及ぼしました。国内(2020年4月~2021年3月)では、上半期は国内自動車生産及び販売台数の大幅な減少の影響を受けたものの、9月以降は市況の回復基調もあり、当社グループの国内事業は順調に推移しました。海外(2020年1月~12月)では、最初に感染拡大が始まった中国(世聯汽車内飾(蘇州)有限公司、世聯汽車内飾(河北)有限公司)において、外出規制により操業日数が大幅に減少した2月、3月に売上高が減少しました。その後、全世界に感染が拡大し、米国(Seiren North America, LLC)、メキシコ(Seiren Viscotec Mexico S.A. de C.V.)、ブラジル(Seiren Produtos Automotivos Ltda.)、タイ(Saha Seiren Co., Ltd.)、インド(SEIREN INDIA PRIVATE LIMITED)、インドネシア(PT.SEIREN INDONESIA)でも3月後半から影響が見られました。中国では、4月以降は自動車販売市場とともに回復基調に移り、特に7月~12月は大きく売上高を伸ばしました。しかし、世界的な自動車販売台数減少の影響が大きく、当社グループの海外事業全体では、前期比で減収となりました。一方で、利益面では想定を超える中国の市場回復に加え、徹底した経費削減を中心とする「コロナ緊急対策」の効果により増益となりました。当事業の売上高は588億45百万円(前連結会計年度比15.7%減)、営業利益は65億96百万円(同5.1%増)となりました。
(ハイファッション事業)
新型コロナウイルス感染症拡大による、百貨店をはじめとする衣料品の主力販売店舗の休業、各種スポーツイベントの中止、学校の休校などが影響し、衣料品の消費が急激に落ち込みました。淘汰が進むアパレル業界では、国内外で老舗ブランドや大手アパレルの大規模な店舗数削減の動きが見られ、生き残りをかけた競争は一層厳しさを増しています。このような環境のなか、BtoB事業の客先であるスポーツアパレル、ファッションアパレル及びインナーアパレルが、いずれも苦戦を強いられ、当社グループにおいても、売上高が減少しました。販売機会を逸した客先では、在庫の増加や先行投資の抑制などの動きが見られ、事業環境の回復にはかなりの時間を要すると想定されます。今後、大きく変化していくであろうアパレル業界において、多彩な商品展開を在庫レスで実現し、バーチャル試着で好みの商品をオーダーすることができる当社独自の「Viscotecs make your brand®」こそが、時代にマッチした衣料品の製造販売プラットフォームと考え、ファッション向けBtoB事業の拡大に注力してまいります。当事業の売上高は163億78百万円(前連結会計年度比33.6%減)、営業損失は3億38百万円と、前連結会計年度比で14億39百万円の減益となりました。
(エレクトロニクス事業)
新型コロナウイルス感染症拡大により、全世界で外出規制が実施されました。リモートワークの急速な拡大や外出機会の減少による巣ごもり需要を背景に、ハードディスクやゲーム機器の需要が高まり、導電性素材「プラット®」やKBセーレン㈱のワイピングクロス「ザヴィーナ®」HDDテープにおいて特需がありましたが、一部のエレクトロニクス商品で、客先での販売不振や在庫調整の影響を受け、売上高が減少しました。今後は、スーパー繊維「ゼクシオン®」(LCP)の拡販と共に、次世代エンプラ繊維「グラディオ®」(PPS)の生産を本格化し、新規顧客開拓並びに用途開発を進めてまいります。当事業の売上高は95億1百万円(前連結会計年度比11.9%減)、営業利益は12億78百万円(同28.6%減)となりました。
(環境・生活資材事業)
新型コロナウイルス感染症拡大による、店舗の休業、住宅展示場への来客の減少、病院経営の悪化、企業の経費削減は、当セグメントの市場にも影響を及ぼしました。ハウジング資材事業や介護関連事業では、新規案件の獲得などにより、10月以降売上は回復基調に移りましたが、新設住宅着工戸数の落ち込み、上半期における客先での在庫調整による発注数量の減少や発注延期の影響を受け、売上高が減少しました。また、オフィス・インテリア資材関連事業においても先行きの不透明さから、備品購入を見送る動きが見られ、関連製品の売上高が減少しました。当事業の売上高は72億94百万円(前連結会計年度比11.7%減)、営業利益は7億47百万円(同15.3%減)となりました。
(メディカル事業)
新型コロナウイルス感染症の影響拡大後、外出自粛による化粧品消費の低迷などにより、当社の独自技術で商品化した、繭から生まれた天然成分「ピュアセリシンTM」配合のコモエース化粧品の売上高が減少しました。また、KBセーレン㈱の貼付材基布などのグループ一貫機能を活かした医療用資材では、病院の一般診療の減少に伴い、既存客先での売上高の減少がありましたが、新規客先からの受注獲得もあり、医療用資材は総じて売上高が伸びました。同じくKBセーレン㈱の特殊原糸「ベルカップル®」についても、水処理施設向けの特需を受け、売上高を伸ばしました。コロナ禍において発売した高性能抗ウイルスマスク「BYERUS®」の売上は順調に推移しており、今後、「BYERUS®」開発で培った抗ウイルス技術をインテリア、介護分野等、異なる分野へ応用展開してまいります。当事業の売上高は58億5百万円(前連結会計年度比1.1%減)、営業利益は11億48百万円(同18.6%減)となりました。
(その他の事業)
㈱ナゴヤセーレンの不動産賃貸管理事業等が堅調に推移しましたが、セーレンコスモ㈱の人材派遣事業が市況の悪化を受け苦戦しました。当事業の売上高は8億62百万円(前連結会計年度比3.5%減)、営業利益は5億3百万円(同7.2%減)となりました。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して182億21百万円増加の1,447億2百万円となりました。流動資産は、棚卸資産が減少した一方で現金及び預金が増加し、前連結会計年度末と比較して197億39百万円の増加となりました。固定資産は、投資有価証券の時価評価が増加した一方で減価償却等により有形・無形固定資産が減少し、前連結会計年度末と比較して15億17百万円減少しました。
当連結会計年度末における負債の部は、新株予約権付社債の発行や借入金の増加などにより、170億50百万円増加し、638億4百万円となりました。
当連結会計年度末における純資産は、自己株式の取得や為替換算調整勘定の変動がありましたが、利益剰余金の増加などにより、全体で11億70百万円増加し、808億97百万円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は394億98百万円となり、前連結会計年度末より227億50百万円増加しました。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、129億58百万円の収入(前連結会計年度は153億56百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益81億99百万円、減価償却費47億20百万円などによるものです。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、18億89百万円の支出(前連結会計年度は70億23百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出30億52百万円があった一方で、定期預金の取り崩しによる収入が16億5百万円あったことによるものです。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、123億17百万円の収入(前連結会計年度は38億41百万円の支出)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出30億円、配当金の支払による支出20億2百万円があった一方で、社債の発行による収入が154億16百万円あったことによるものです。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. 当社企業集団の各事業は、素材の支給を受けて委託加工を行う事業と素材を仕入れて加工を行い販売する事業から成り、各々の加工高を生産実績としております。
2. セグメント間の取引については、内部振替前の数値によっております。
3. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社及び連結子会社は、受注生産形態をとらない製品が多いため、セグメントごとに受注状況は記載しておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. セグメント間の取引については相殺消去しております。
2. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3. 相手先別の販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10を超える相手先がいないため、主な相手先に対する販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合の記載は省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(売上高と営業利益)
当連結会計年度の売上高と営業利益の分析につきましては、「(1)経営成績等の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであり、売上高原価率は71.7%と前連結会計年度比1.5ポイントの低下、また、売上高営業利益率は8.7%と前連結会計年度と同水準でした。
(営業外損益と経常利益)
当連結会計年度の営業外損益は8億71百万円の利益となり、前連結会計年度の7億47百万円の利益から1億24百万円の増加となりました。これは、海外子会社において保有する外貨の評価損が発生し、為替差益が発生していた前連結会計年度と比較して為替差損益が7億30百万円減少した一方で、雇用調整助成金が7億36百万円あったことなどによります。この結果、経常利益は94億51百万円と、前連結会計年度比17億98百万円(16.0%)の減益となりました。
(特別損益)
当連結会計年度の特別損益は12億52百万円の損失となり、前連結会計年度の1億77百万円の損失から10億74百万円の減少となりました。これは、当連結会計年度において新型コロナウイルス感染症拡大の影響で操業休止関連費用として11億64百万円の特別損失を計上したことなどによるものです。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
経常利益の94億51百万円に特別損益の損失12億52百万円を減じた結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は81億99百万円となりました。ここから税金費用19億69百万円及び非支配株主に帰属する当期純損失22百万円を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は62億52百万円となり、前連結会計年度比22億98百万円(26.9%)の減益となりました。この結果、1株当たり当期純利益は113円80銭となり、前連結会計年度の153円63銭から39円83銭減少しました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いた当連結会計年度のフリー・キャッシュフローは110億69百万円となりました。
b.資本の財源及び資金の流動性係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製商品仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、海外子会社を中心とした生産能力増強のための設備投資であります。
当社グループは、事業の拡大や新規事業構築のための戦略的設備投資、グローバル化投資、研究開発投資及びM&A等に資金を機動的に活用するとともに、リスクを許容できる十分な株主資本の水準を保持することを基本方針としております。これに従い、営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めるとともに、不足分については、基本的に銀行借り入れによる調達を実施しております。当連結会計年度においては、安定した収益確保と継続的な成長を果たすための“新規事業の創出”と“グローバル事業の拡大”を柱とした事業戦略に必要な成長資金を低コストで調達するため、2025年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債(発行総額150 億円)を発行いたしました。
なお、キャッシュ・フロー等に関する主要指標の推移は、下記のとおりであります。
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1. 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。
2. 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しています。
3. 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、短期借入金及び長期借入金を対象としています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の「利息の支払額」を使用しています。
④ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの会計方針のうち、見積り等の重要性が高いものは以下のとおりです。
(固定資産及びのれんの減損会計における将来キャッシュ・フロー)
固定資産及びのれんのうち減損の兆候がある資産または資産グループにつき、将来の収益性が著しく低下した場合には、固定資産及びのれんの帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。この回収可能価額については、事業計画に基づく将来キャッシュ・フローによる見積りに依存するため、経営環境の変化等によりその見積り額が減少した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
なお、のれんの減損会計については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
(繰延税金資産の回収可能性)
将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を評価した上で繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得は過去の業績及び事業計画等に基づいて見積っておりますが、税制改正や経営環境の変化等によりその見積り額が減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用を計上する可能性があります。繰延税金資産の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(税効果会計関係)」に記載のとおりです。
当社グループの主要関連市場においては、新型コロナウイルス感染症による需要の減少等の悪影響が生じております。このような状況は、ワクチン普及等により2021年末に向けて徐々に正常化が進むものと仮定し、固定資産の減損や繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りを行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性が高く収束遅延により影響が長期化した場合に、実際の結果はこれらの見積りとは異なるものとなる可能性があります。
当社及び当社グループは、グループトータルの企業価値を最大にするための連結経営を基本としております。その目標とする連結経営指標は、売上高営業利益率10%以上、ROE(自己資本当期純利益率)10%以上を目標としております。さらには、ROA(総資産事業利益率)、自己資本比率、キャッシュ・フローなどを念頭に、企業価値を高めるための経営を行ってまいります。
なお、当連結会計年度の連結売上高営業利益率は8.7%(前連結会計年度 8.7%)、ROEは7.9%(同11.2%)でした。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、車輌資材事業をはじめとする全セグメントにおいて、顧客ニーズに即応した商品を企画・製造・販売する目的で、新技術・新素材・新システム・新設備の開発に積極的に取り組んでいます。また、「Viscotecs®」システムに代表されるように、最先端IT技術を駆使した次世代技術の確立を図り、全く新しいビジネスモデル創出のための開発を推進しています。
その運営は、グループ全体を統括する研究開発センターを中心として、部門ごとにも車輌資材部門の商品技術開発室、スポーツ・ファッション衣料部門の商品開発室などを擁し、かつ、これらは連結子会社各社とも緊密な連携を取り合い、相乗効果を最大に発揮できるよう効果的な研究開発を行っています。また、KBセーレン株式会社の研究・技術開発センターを中心として、新原糸開発に向けた研究活動を進めています。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は
(1)車輌資材事業
主として当社及び世聯汽車内飾(蘇州)有限公司が中心となり、自動車・鉄道車輌等内装材及びエアバッグ、加飾部品において新素材開発・新加工技術開発・新商品開発を行っています。当事業に係る研究開発費は
主として当社及びKBセーレン株式会社が中心となり、新原糸開発・各種衣料製品の新素材開発・新加工技術・新商品開発並びにビスコテックスによるパーソナルオーダービジネスなどの新事業開発を行っています。当事業に係る研究開発費は
(3)エレクトロニクス事業
主として当社及びKBセーレン株式会社が中心となり、ビスコテックスをはじめとしたインクジェット技術を応用した多品種・省エネルギー・在庫レスの生産システム及びインク等サプライ品の開発、繊維と金属の特性を併せ持った導電性マテリアルや電磁波シールド材の開発、人工衛星及び人工衛星部品の開発、半導体工場向けのナノレベル対応可能なワイピング素材や加工技術の開発、エンジニアリング・プラスチック繊維の開発を行っています。当事業に係る研究開発費は
(4)環境・生活資材事業
主として当社が中心となり、各種ハウジング資材・インテリア資材・産業資材・土木用資材の新素材開発・新商品開発、及び非繊維ビスコテックスの開発を行っています。当事業に係る研究開発費は
(5)メディカル事業
主として当社が中心となり、スキンケア商品・医療用資材等の基礎研究及び抗ウイルス商品等の新商品開発を行っています。また、KBセーレン株式会社では、貼付材基布、絆創膏基布、浄水器フィルター基材の開発を行っています。当事業に係る研究開発費は