(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府および日銀による経済・金融政策を背景とした一部企業による収益・雇用情勢の改善などにより、緩やかな回復傾向が見られました。その一方で、中国をはじめとした新興国経済の減速懸念や不安定な為替・株式市場等の影響などにより、引き続き先行き不透明な状況で推移しました。
繊維業界においては、低調な個人消費や企業間競争が一段と激化するなど、依然として厳しい環境にあります。
このような状況において当社グループは、「製造原価の低減」、「強いアツギブランドの構築」、「営業戦略の強化」、「海外販売の拡大」、「人事戦略の強化」の5つの課題を柱とした中期経営計画『ATSUGI VISION 2017』をスタートさせました。中期経営計画で掲げた課題を念頭に置き、原料加工から最終製品までを一貫生産し販売する専業メーカーとしての特性を活かし、価格を上回る価値ある商品の企画開発と、グループ全社を挙げて効率性アップに取り組み、収益改善に努めております。
この結果、当連結会計年度の売上高は23,964百万円(前年同期比2.2%増)、営業利益は867百万円(前年同期比313.5%増)、経常利益は1,142百万円(前年同期比18.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,193百万円(前年同期比75.8%増)となりました。
セグメント別の概況
セグメントの業績は、次のとおりであります。
[繊維事業]
靴下部門はプレーンストッキングの主力ブランド「ASTIGU(アスティーグ)」をはじめとするベーシック商品やタイツなどの季節商品において、インバウンド需要が寄与したことなどもあり順調に推移しました。一方でトレンド性の高い商品やソックスの伸び悩みなどもあり、同部門の売上高は20,204百万円(前年同期比1.6%増)となりました。
インナーウエア部門はスポーツインナー関連が順調に推移し、同部門の売上高は2,647百万円(前年同期比6.6%増)となりました。
これらの結果、繊維事業の売上高は22,852百万円(前年同期比2.2%増)、営業利益は367百万円(前年同期は263百万円の損失)となりました。
[不動産事業]
不動産事業は保有資産の有効活用などにより、当事業の売上高は657百万円(前年同期比1.6%増)、営業利益は502百万円(前年同期比4.2%増)となりました。
[その他]
その他の事業につきましては、介護用品の市場環境の変化などにより、厳しい状況が続いております。また、平成27年11月6日より太陽光発電による売電を開始いたしました。これらの結果、当事業の売上高は455百万円(前年同期比6.0%増)、営業損失は2百万円(前年同期は9百万円の損失)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
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科目 |
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
増減(百万円) |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
1,710 |
1,150 |
△559 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△734 |
△1,547 |
△813 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△536 |
△986 |
△450 |
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現金及び現金同等物に係る換算差額 |
480 |
△26 |
△507 |
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現金及び現金同等物の増減額 |
920 |
△1,411 |
△2,331 |
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現金及び現金同等物の期末残高 |
8,954 |
7,543 |
△1,411 |
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,506百万円の計上と、減価償却費1,053百万円、棚卸資産の増加511百万円、法人税等の支払い280百万円等により、差引き1,150百万円の収入(前年同期は1,710百万円の収入)となりました。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形固定資産の取得1,653百万円等により、1,547百万円の支出(前年同期は734百万円の支出)となりました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の市場買付等484百万円、配当金の支払い502百万円により、986百万円の支出(前年同期は536百万円の支出)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,411百万円減少し、7,543百万円となりました。
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
対前年同期比(%) |
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繊維事業 |
13,290 |
93.2 |
|
合計 |
13,290 |
93.2 |
(注)1.セグメント間取引については、内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.金額は、製造原価によっております。
(2)受注状況
当社グループ(当社及び連結子会社)は見込生産を行っているため、該当事項はありません。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
対前年同期比(%) |
|
繊維事業 |
22,852 |
102.2 |
|
不動産事業 |
657 |
101.6 |
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その他 |
455 |
106.0 |
|
合計 |
23,964 |
102.2 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
㈱しまむら |
3,275 |
14.0 |
3,253 |
13.6 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
わが国経済の今後の見通しにつきましては、政府および日銀による経済・金融政策を背景に、一部では企業収益が改善し、雇用・所得環境に回復の動きが見られるなど、景気回復への期待感はあるものの、物価上昇や消費税率の再引き上げへの警戒感などにより個人消費に力強さを欠いていることや、中国経済の減速懸念、米国の金融政策の動向、新興国経済の不確実性や政情不安などによる景気下振れ懸念もあることから、引き続き不透明な環境で推移するものと思われます。
このような経営環境のもと、当社グループは、2015年度から2017年度までの3年間を実行期間とする中期経営計画『ATSUGI VISION 2017』を策定し、「製造原価の低減」、「強いアツギブランドの構築」、「営業戦略の強化」、「海外販売の拡大」、「人事戦略の強化」の5つの課題を掲げ、連結売上高250億円、連結営業利益7.5億円、連結営業利益率3%を2018年3月期の数値目標として新たなスタートを切りました。中期経営計画の初年度を終えて、収益面において一定の成果を得ることができましたが、安定した利益を生み出せる会社になるために、引き続き5つの課題を追求し、目標の達成に向けて尽力してまいります。
製造原価の低減においては、生産工程の見直しや生産効率の高い設備の導入、不採算ブランドの統廃合、最適なSCMの構築、調達機能の強化などにより更なる原価低減を推し進め、メーカーとしてコスト競争力を高めてまいります。
アツギブランドの構築においては、当社の強みである一貫体制を持つメーカーとしての研究開発機能・品質管理体制を強化するため、社長直轄に研究開発統括を配置し、これまで以上に技術力・開発力を高め、新しい価値の創造と消費者に信頼されるより高い品質を追求し、強いアツギブランドの育成を図ります。
営業戦略においては、プレーンストッキングの主力ブランド「ASTIGU(アスティーグ)」の販売を更に強化し、引き続き日本国内市場におけるシェア拡大に力を注ぐとともに、EC販売の強化を図り、リアル店舗・ECサイトそれぞれのルートに対し靴下・インナーウエアともにバランスよく販売して収益力の強化を図ります。
海外販売においては、為替の影響を受けにくいビジネスモデルを構築するため、日本製商品の輸出と合わせて、引き続き中国生産品の中国国内販売を拡大するとともに、これらに加えて中国以外の国への販売ルートの開拓も同時に強化してまいります。
そして、これらの戦略を遂行するための人材の育成を最重要課題のひとつと位置付け、会社と従業員がともにスキルアップし、最大値を創造できるような環境整備を行ってまいります。
当社および当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項は下記のとおりであります。
なお、当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応に最大限の努力をする所存であります。
本項については、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)為替レートの変動リスク
当社グループは、生産拠点の海外シフトに伴い、外国通貨建ての取引が増加しております。従って、当社グループの取引および投資活動等に係る損益は、外国為替の変動により影響を受ける可能性があります。
また、当社グループは、ヘッジ取引により、為替変動によるリスクを低減しておりますが、予測を超えた為替変動が業績および財務状況に影響を与える可能性があります。
(2)海外事業
当社グループは、主に生産拠点を中国へ移管しておりますが、中国政府による規制、人材確保の困難さ、通貨切上げ等のリスクが存在します。
このようなリスクが顕在化することにより、中国での事業活動に支障を生じ、業績および将来の計画に影響を与える可能性があります。
(3)原油価格の変動リスク
原油価格の乱高下に伴い、当社グループの主力商品である靴下の主要な原材料であるナイロン糸および電力・重油等の購入価格の上昇により、業績および将来の計画に影響を与える可能性があります。
(4)市況による影響
当社グループの中核である繊維事業は、市況により業績に大きな影響を受ける業種であります。市況リスクとしては、ファッション・トレンドの変化による需要の減少、天候不順による季節商品の売上減少、デフレによる低価格商品の増加、海外からの低価格商品の輸入増等により、業績および将来の計画に影響を与える可能性があります。
(5)貸倒リスク
当社グループは、販売先の状況および過去の貸倒実績発生率による見積りに基づいて貸倒引当金を計上しておりますが、販売先の財政状況の悪化、その他予期せざる理由により、貸倒引当金の積み増しを行う可能性があります。
(6)製造物責任・知的財産
当社グループの製品の欠陥に起因して、大規模な製品回収や損害賠償が発生し、保険による補填ができない事態が生じた場合や、知的財産に係わる紛争が生じ、当社グループに不利な判断がなされた場合、業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループは、女性の「美しさ」と「快適さ」を追求し、当社の最大の強みである技術力及び商品開発力にさらに磨きをかけ、素材の応用研究から、付加価値向上と差別化商品の開発のための研究開発を積極的に行っております。特に、「技術力及び商品開発力の強化」を大きなテーマとして取り上げており、「価格を上回る価値ある商品作り」を念頭に、新しい感性を融合させたファッション商品の提案や、世代やライフスタイルの変化に合わせた商品開発を積極的に進めてまいります。
当社グループの研究開発は、当社の企画開発部門を中核として、連結会社の技術開発部門により行っております。
当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は367百万円であり、繊維事業に係るものであります。
セグメントの研究開発活動は次のとおりであります。
[繊維事業]
(1)靴下部門
① 「ASTIGU(アスティーグ)」を中心としたプレーンストッキングの開発と拡充
プレーンストッキングの主力ブランド「ASTIGU(アスティーグ)」は発売以来、「はかなければならない」から「はきたい」と感じていただける新しい価値観を提案し続けており、通常のサポート感とは異なる心地よい解放感と自然な着用感を目指し、しなやかな伸縮性でゆったりとはけ、はいた瞬間に吸い付くようにフィットする未体験のはき心地を備えた『優』(ゆう)を開発いたしました。
また、プレーンタイツとして、高い技術を活用しこれまでにないバランスのとれた暖かさを追求し、伸縮と湿度吸収により発熱する原料を使用し、さらに太陽光を熱エネルギーに変える加工を施したトリプルで発熱するタイツ『奏』(そう)と、女性の気持ちに寄り添う企業を目指し妊娠月齢と腹囲の関係を考慮し、腹部のフィット感、ホールド感、伸びとはき易さを追求し快適性と美しさを両立したマタニティタイツ『逢』(あう)を開発いたしました。
② 柄ストッキングの新提案
紫外線により色が変わるプリント素材を活用したフォトクロミックプリントを開発しました。プリント部分に太陽光が当たる事で柄の色が変化するなどシーンによって表情を変えるプリント技術となり薄手のタイツなどへもこの技術を採用するなど繊細な表現を実現しています。素材の良さを機能とファッションの両面からバランスよく表現し体感できる商品を提案します。
③ 高感度商品の開発
一度染色した生地から、柄部分の染料を特殊な薬剤で抜き、その部分に柄の色味の染料を新たに入れ込む技術で、通常の顔料プリントとは異なり、生地の伸びを保ちながら、広域にわたって繊細な柄を表現できるプリント技術を使用し繊細かつ重厚感のある柄ストッキングを開発いたしました。
④ ソックスの開発
消費者の環境への意識が年々高まっており、「エコ、循環型社会、3R(リデュース、リユース、リサイクル)、オーガニック」がキーワードとして注目されております。エコな活動がトレンドになっていく中で、レッグウェアメーカーである当社ではコーヒー炭を練り込んだ繊維を使用した紳士向けのハイソックスを開発いたしました。コーヒー炭練り込み繊維は特に消臭効果が期待でき、ビジネスソックスとして優位性のある機能として採用いたしました。
また、自分らしいおしゃれを楽しむ大人の女性をターゲットにする「あしづつみ」ではあたたか素材と機能を両立し、はき易くずり落ちしにくい口ゴム設計を採用しています。柄入りでありながら糸と編み方の組み合わせで伸縮し易い設計としています。これによりサイズレンジも広くとることが出来る仕様となっています。
(2)インナーウエア部門
① ブラジャー主力ブランド「ハイジュニ」全面リニューアル
改めて「今」のジュニア・ティーンズの感性をリサーチし、また保護者の感性にも触れながら、綿素材や肌触り、フィット感、吸水性など優れた生地を使用し、成長に合わせたこだわりのパターン設計で全面リニューアルいたしました。今回のリニューアルでは縫製部分が限りなく少ない「成型タイプ」を初めて採用し、ジュニア・ティーンズ商品には最適な企画となっております。
② 「デニールで選べるインナー」の開発
ストッキング・タイツ・インナーを製造販売するメーカーとして、暖かさを「デニール」で表現し、秋口から厳冬までの気温変化にシーズンを通してサポートできる商品「着るタイツ」を開発いたしました。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。
(2)当連結会計年度の財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は56,944百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,144百万円減少いたしました。主な増減内容は、投資有価証券の減少1,109百万円、現金及び預金の減少863百万円等によるものであります。
負債の部は8,619百万円となり、前連結会計年度末に比べ589百万円減少いたしました。これは主に、繰延税金負債の減少420百万円等によるものであります。
純資産の部は48,324百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,554百万円減少いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を1,193百万円計上しましたが、前期決算に係る配当金505百万円による減少や、市場買付等による自己株式の取得による減少484百万円、その他の包括利益累計額の減少1,709百万円等によるものであります。
(3)当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は23,964百万円(前年同期比2.2%増)、営業利益867百万円(前年同期比313.5%増)、経常利益は1,142百万円(前年同期比18.7%増)となり、投資有価証券売却益347百万円や法人税等304百万円を計上したこと等により親会社株主に帰属する当期純利益は1,193百万円(前年同期比75.8%増)となりました。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 4.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(6)経営者の問題意識と今後の方針について
「第2 事業の状況 3.対処すべき課題」に記載のとおりであります。