(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府および日銀による経済・金融政策を背景に一部企業における収益・雇用環境が改善するなど、緩やかな回復基調が見られました。その一方で、中国をはじめとした新興国経済の減速懸念や、英国のEU離脱問題、米国新政権の政策動向の影響等により世界経済の不確実性が高まるなど、引き続き先行き不透明な状況で推移しました。
繊維業界においては、節約志向・生活防衛意識の高まりによる個人消費の停滞やインバウンド需要に減速感が見られる中、企業間競争が一段と激化するなど、厳しい環境にあります。
このような状況において当社グループは、2015年度から2017年度までの3年間を実行期間とする中期経営計画『ATSUGI VISION 2017』で掲げた「製造原価の低減」、「強いアツギブランドの構築」、「営業戦略の強化」、「海外販売の拡大」、「人事戦略の強化」の5つの課題への取り組みを更に推し進め、原料加工から最終製品までを一貫生産し販売する専業メーカーとしての特性を活かし、価格を上回る価値ある商品の企画開発と、グループ全社を挙げて効率性アップに取り組み、収益改善に努めております。
この結果、当連結会計年度の売上高は23,281百万円(前年同期比2.9%減)、営業利益は1,040百万円(前年同期比19.9%増)、経常利益は1,105百万円(前年同期比3.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は674百万円(前年同期比43.5%減)となりました。
セグメント別の概況
セグメントの業績は、次のとおりであります。
[繊維事業]
レッグウエア分野は秋冬においては厚手のプレーンタイツ、年間を通じてはセパレートストッキングが堅調に推移しましたが、全般的に厳しい状況が続き、同分野の売上高は19,152百万円(前年同期比5.2%減)となりました。
インナーウエア分野はスポーツインナー関連が順調に推移したほか、主力のブラジャーおよびショーツも好調に推移し、同分野の売上高は2,907百万円(前年同期比9.8%増)となりました。
これらの結果、繊維事業の売上高は22,060百万円(前年同期比3.5%減)、営業利益は538百万円(前年同期比46.6%増)となりました。
[不動産事業]
保有資産の有効活用などにより、当事業の売上高は657百万円(前年同期比0.0%増)、営業利益は477百万円(前年同期比5.1%減)となりました。
[その他]
その他の事業につきましては、介護用品は市場環境の変化などにより厳しい状況が続いております。一方で、太陽光発電による売電が年間を通じて寄与しました。これらの結果、当事業の売上高は563百万円(前年同期比23.9%増)、営業利益は24百万円(前年同期は2百万円の損失)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
|
科目 |
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
増減(百万円) |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
1,150 |
1,894 |
744 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△1,547 |
△181 |
1,366 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△986 |
△741 |
245 |
|
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
△26 |
△93 |
△66 |
|
現金及び現金同等物の増減額 |
△1,411 |
878 |
2,289 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
7,543 |
8,421 |
878 |
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,123百万円の計上と、減価償却費1,093百万円等により、1,894百万円の収入(前年同期は1,150百万円の収入)となりました。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得674百万円、投資有価証券の売却337百万円等により、181百万円の支出(前年同期は1,547百万円の支出)となりました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金の支払い494百万円、自己株式の市場買付等246百万円により、741百万円の支出(前年同期は986百万円の支出)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ878百万円増加し、8,421百万円となりました。
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
対前年同期比(%) |
|
繊維事業 |
12,466 |
93.8 |
|
合計 |
12,466 |
93.8 |
(注)1.セグメント間取引については、内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.金額は、製造原価によっております。
(2)受注状況
当社グループ(当社及び連結子会社)は見込生産を行っているため、該当事項はありません。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
対前年同期比(%) |
|
繊維事業 |
22,060 |
96.5 |
|
不動産事業 |
657 |
100.0 |
|
その他 |
563 |
123.9 |
|
合計 |
23,281 |
97.1 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
㈱しまむら |
3,253 |
13.6 |
3,039 |
13.1 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
わが国経済の今後の見通しにつきましては、政府および日銀による経済・金融政策などが下支えとなり企業収益や雇用環境の改善が進み、緩やかな回復が期待されておりますが、税・社会保険料等の増加による可処分所得の伸び悩みや将来不安に対する生活防衛意識の高まりなどから個人消費は停滞が続いており、世界経済におきましても、中国をはじめとした新興国経済の減速懸念や欧州の政情不安、米国の政策動向の影響等により為替・株式市場が不安定となるなど、引き続き先行き不透明な状況で推移するものと思われます。
このような経営環境のもと、当社グループは、中期経営計画『ATSUGI VISION 2017』における数値目標の連結売上高250億円、連結営業利益7.5億円、連結営業利益率3%の達成に向けて、「製造原価の低減」、「強いアツギブランドの構築」、「営業戦略の強化」、「海外販売の拡大」、「人事戦略の強化」の5つの課題への取り組みを更に推し進めてまいりました。
中期経営計画の2年目を終えて、初年度に続き収益面においては一定の成果が得られましたが、為替に左右されない安定した収益構造を構築するまでには至っておりません。
中期経営計画の最終年度を迎えるにあたり、重要課題や顕在化した問題に迅速に対応するための体制を強化し、目標達成に向けて全力で取り組んでまいります。
製造原価の低減においては、技術支援体制の強化や生産工程の見直しなどによるロス率の改善や生産設備の刷新による効率化を更に推し進め、引き続きコスト競争力を高めてまいります。
強いアツギブランドの構築に向けて、研究開発体制を更に強化するため、本社内に研究開発専用の設備を新たに導入し、本社を拠点として、新しい価値の創造と消費者の信頼を得られる高い品質を持った商品の研究開発とそれを実現するための技術力向上に積極的に取り組んでまいります。
営業戦略の強化策としては、変化の激しい国内流通市場に迅速に対応するため、繊維事業本部に営業統括を配置して社内の販売体制を再編し、ルート別戦略を明確に打ち出すことにより、苦戦しているルートのテコ入れを行うとともに、伸長しているドラッグ・コンビニエンスストア、ECなどの新興ルートに対しては、業態別にストッキングの専用商品を販売するなど商品戦略を強化いたします。また、好調なインナーウエアについては、コーナー展開を行うなど更なるシェアアップに力を注ぎ、営業力の強化を図ります。
海外販売においては、中国国内におけるEC販売の強化や直営店の展開などにより、百貨店を中心とした従来の販売ルートを見直して中国国内販売の拡大を図るとともに、これらに加えて欧州など中国以外の国への販売ルートの開拓も同時に進めてまいります。
人事戦略においては、経営戦略を遂行し、会社を確実に成長軌道に乗せるための基盤となる人材を育成するため、人事制度の見直しや働き方改革を通じて従業員一人ひとりが持てる力を最大限発揮できるよう就業環境を整備し、女性をはじめ多様な人材の登用や労働生産性の向上に取り組んでまいります。
最後に、当社グループの基幹工場であるアツギ東北株式会社は2016年5月に設立50周年、当社は2017年12月に設立70周年を迎えることとなりました。これを機に気持ちを新たにし、グループ一丸となって企業価値の向上に努めてまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社および当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項は下記のとおりであります。
なお、当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応に最大限の努力をする所存であります。
本項については、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)為替レートの変動リスク
当社グループは、生産拠点の海外シフトに伴い、外国通貨建ての取引が増加しております。従って、当社グループの取引および投資活動等に係る損益は、外国為替の変動により影響を受ける可能性があります。
また、当社グループは、ヘッジ取引により、為替変動によるリスクを低減しておりますが、予測を超えた為替変動が業績および財務状況に影響を与える可能性があります。
(2)海外事業
当社グループは、主に生産拠点を中国へ移管しておりますが、中国政府による規制、人材確保の困難さ、通貨切上げ等のリスクが存在します。
このようなリスクが顕在化することにより、中国での事業活動に支障を生じ、業績および将来の計画に影響を与える可能性があります。
(3)原油価格の変動リスク
原油価格の乱高下に伴い、当社グループの主力商品である靴下の主要な原材料であるナイロン糸および電力・重油等の購入価格の上昇により、業績および将来の計画に影響を与える可能性があります。
(4)市況による影響
当社グループの中核である繊維事業は、市況により業績に大きな影響を受ける業種であります。市況リスクとしては、ファッション・トレンドの変化による需要の減少、天候不順による季節商品の売上減少、デフレによる低価格商品の増加、海外からの低価格商品の輸入増等により、業績および将来の計画に影響を与える可能性があります。
(5)貸倒リスク
当社グループは、販売先の状況および過去の貸倒実績発生率による見積りに基づいて貸倒引当金を計上しておりますが、販売先の財政状況の悪化、その他予期せざる理由により、貸倒引当金の積み増しを行う可能性があります。
(6)製造物責任・知的財産
当社グループの製品の欠陥に起因して、大規模な製品回収や損害賠償が発生し、保険による補填ができない事態が生じた場合や、知的財産に係わる紛争が生じ、当社グループに不利な判断がなされた場合、業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループは、女性の「美しさ」と「快適さ」を追求し、当社最大の強みである技術力及び商品開発力にさらに磨きをかけ、素材の応用研究から、付加価値向上と差別化商品の開発のための研究開発を積極的に行っております。
研究開発体制を更に強化するため、本社内に研究開発専用の設備を新たに導入し、本社を拠点として、新しい価値の創造と消費者の信頼を得られる高い品質を持った商品の研究開発とそれを実現するための技術力向上に積極的に取り組んでまいります。
当社グループの研究開発は、当社の研究開発部門を中核として、連結会社の技術開発部門により行っております。
当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は397百万円であり、繊維事業に係るものであります。
セグメントの研究開発活動は次のとおりであります。
[繊維事業]
(1)レッグウエア分野
① プレーンストッキングの開発
消費者のライフスタイル変化に対応し、現代の女性への訴求としてHealth&Beautyをキーワードに商品特徴を明確に打ち出したオリジナルブランド「BEAUTY CLINICAL」(ビューティ クリニカル)を開発いたしました。
「美脚の鍵はふくらはぎにあり」をブランドコンセプトに、第二の心臓と呼ばれている「ふくらはぎ」に注目した効果的なサポートによりすっきり美しい脚元を表現します。
② 柄ストッキングの新提案
「毎日のスタイリングに欠かせない」をコンセプトに素材バリエーションの強化を図りはき心地と暖かさにこだわった商品を提案します。
繊維中に多くの水分を含み吸湿発熱性に優れており冬は湿気を吸収して発熱し熱を逃がさない細くてしなやかなキュプラと柔らかなナイロンを複合させた糸を使用した「キュプラ入り柄タイツ」を開発いたしました。
③ ソックスの開発
スタイルを極める男のギア「洒落男」(しゃれお)では段階着用圧設計で着圧機能を効果的に高め、着圧サポート糸を広範囲に挿入し、かかと部分まで補強したビジネスに最適な紳士向けの着圧ハイソックスを開発いたしました。
(2)インナーウエア分野
① 「クリアビューティアクティブ」から「ヨガをサポート」インナーの開発
スポーツ人口やスポーツシーンでのブラジャーの着用状況、要望などをリサーチし、スポーツインナーブランド「クリアビューティアクティブ」に、ヨガシーンに最適なブラジャー、インナーウエア、ボトムウエアを新しく開発いたしました。ボディにフィットする速乾性の高い生地を使用し、ヨガの動きを妨げないパターンを独自に開発いたしました。
② ブラジャー新ブランド「ラフィ」の開発
しめつけない着心地重視の消費性向はさらに拡大すると見込まれ、伸縮性のあるなめらかな生地を採用して、裾、継ぎ目を圧着接着し、縫製による負荷を軽減したブラジャーとショーツを新しく開発いたしました。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。
(2)当連結会計年度の財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は57,163百万円となり、前連結会計年度末に比べ219百万円増加いたしました。主な増減内容は、現金及び預金の増加544百万円、投資有価証券の増加376百万円および有形固定資産の減少603百万円等によるものであります。
負債の部は8,971百万円となり、前連結会計年度末に比べ351百万円増加いたしました。これは主に、通貨オプションの増加250百万円、未払法人税等の増加248百万円および仕入債務の減少231百万円等によるものであります。
純資産の部は48,192百万円となり、前連結会計年度末に比べ132百万円減少いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を674百万円計上しましたが、前期決算に係る配当金493百万円による減少や、市場買付等による自己株式の取得による減少246百万円、その他の包括利益累計額の減少59百万円等によるものであります。
(3)当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は23,281百万円(前年同期比2.9%減)、営業利益1,040百万円(前年同期比19.9%増)、経常利益は1,105百万円(前年同期比3.2%減)となり、法人税等440百万円を計上したこと等により親会社株主に帰属する当期純利益は674百万円(前年同期比43.5%減)となりました。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 4.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(6)経営者の問題意識と今後の方針について
「第2 事業の状況 3.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。