当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは2026年3月期から2028年3月期までを実行期間とする中期経営計画『アツギグループ 中期経営計画 2025-2027』において、「顧客視点による価値の最大化」、「新たな発想による価値創造」、「圧倒的な競争力強化」、「人的資本経営による組織力の強化」、「資産の有効活用推進」の5つを基本方針とし、2028年3月期までに連結営業利益10億円を実現するための取り組みを進めてまいりました。あわせて、「肌と心がよろこぶ、今と未来へ。」をパーパスに、「肌心地から、感動を生み出す フィールウェアのアツギへ。」をビジョンとし、グループ一丸となってこれらを実現させるための取り組みを進めておりました。
しかしながら、当連結会計年度においては、収益面では原材料・エネルギー・人件費等のコスト上昇及び円安進行による調達コスト上昇の影響により、営業損益の黒字化には至りませんでした。これに加えて、繊維事業に係る一部の固定資産について減損損失を計上したこと等で親会社株主に帰属する当期純損失となり、掲げていた経営目標は未達となりました。
こうした状況を踏まえ、当社グループは一刻も早い業績回復と企業体質の強化を実現するべく、収益構造の再構築を行うとともに、顧客視点に立脚した高付加価値商品の拡大、市場における競争力の強化、人的資本経営の推進に取り組む所存でございますが、直近の世界情勢のめまぐるしい変化、国内景気の不安定さ、消費マインドの著しい変化等の不確実性を考慮した結果、中期経営計画につきまして、グループ全体の業績目標の設定、今後の事業展開や財務面への影響に関して抜本的な見直しや検討が必要であることから、中期経営計画を取り下げる判断をいたしました。新たな中期経営計画につきましては、現在、慎重に検討を行っており、内容が整い次第公表させていただきます。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス
当社グループでは、サステナビリティ課題への対応は主に2023年5月に設置されたサステナビリティ委員会が担います。サステナビリティ委員会は代表取締役社長を委員長として原則として四半期に1回開催し、気候変動やサプライチェーン上の人権保護などサステナビリティに関連する課題の特定及び対応策について議論します。また、審議内容を原則年2回取締役会に答申します。取締役会では対応方針が決議され、サステナビリティ委員会を通じて進捗管理や社内啓蒙が実施されます。
2025年度は2回のサステナビリティ委員会を開催し、主にサステナビリティ基本方針に関する内容について審議を行いました。サステナビリティ基本方針は取締役会決議の上策定しています。
<当社グループのサステナビリティに関する主な議論>
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サステナビリティ委員会 |
2026年1月 アツギグループ サステナビリティ基本方針について |
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2026年2月 アツギグループ サステナビリティ基本方針書面決議 |
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取締役会 |
2026年2月 アツギグループ サステナビリティ基本方針決議 |
(2)サステナビリティ全般に関するリスク管理
当社グループでは、気候変動をはじめとするサステナビリティ課題への対応は重要な経営課題の一つであると考え、全社的なリスク管理体制を構築しています。リスク・機会の特定はサステナビリティ委員会が担います。サステナビリティ委員会は代表取締役社長、管理本部長、レッグ事業本部長、インナー事業本部長、生産本部長、経営企画部長、人事総務部長、生産統括部長、生販計画部長、経理部長で構成されており、各部門の報告に基づき審議を行っています。また、気候変動関連リスク以外のリスク・機会を踏まえた相対的な評価(優先度の判定)はリスクマネジメント委員会が行います。なお、サステナビリティ委員会、リスクマネジメント委員会はともに社長が管轄しています。
(3)当社グループにおけるマテリアリティについて
①マテリアリティの特定プロセス
当社グループは、環境・社会・ガバナンス(ESG)が事業に与える影響や関わりの大きさを分析し、中長期的な企業価値の向上と持続可能性の確保に資するマテリアリティ(重要課題)を特定しています。これにあたり、以下のプロセスを通じて、優先的に取り組むべき課題を明確にしています。
②主要マテリアリティ項目一覧
当社グループの最主要マテリアリティ項目は、自社の事業運営において特に重要であると同時に、社会的なニーズも高い項目です。これらの課題に対して積極的に取り組みを進めるとともに、今後も優先的に対応を検討してまいります。
(4)重要なサステナビリティ項目
上記のガバナンス、リスク管理及びマテリアリティの特定を通じて識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。
①気候変動への対応
②サプライチェーン上の人権
③人的資本に関する取り組み
各項目の詳細は以下のとおりであります。
①気候変動への対応
a.気候変動に関する戦略
当社グループは、日本政府が掲げている温室効果ガス削減目標に沿ったサステナビリティの実現を目指しています。そのため、政府が達成年度に設定している2030年と2050年を基準としてリスク・機会を特定しました。リスク・機会の特定にあたっては、TCFD提言に基づき、1.5/2℃シナリオと4℃シナリオという複数のシナリオを用いました。複数シナリオの利用により、各戦略の将来にわたる柔軟性を確保しております。
当社グループはまず、1.5/2℃シナリオにおいて影響が大きい移行リスクについて特定しました。移行リスクでは、主に、炭素税導入をはじめとする政策・規制によるもの、原材料高騰等に関するものが特定されました。これらのリスクに対し、当社グループは、2024年竣工の煙台阿姿誼靴下有限公司第1工場(以下、第1工場)における再エネ電力導入等、使用エネルギーの見直しを行っています。また、第1工場では節水型の設備を導入し、2025年度には2022年度比で水使用量を47,455t(16%)削減しました。2026年度はさらに2025年度対比で7%の削減を目指しており、使用する原料についても水質汚染の少ないものを導入することを検討しています。さらに、輸送時の積載効率改善によって輸送コスト及び使用する燃料の削減を引き続き実施しています。
また、4℃シナリオにおいて影響が大きい物理リスクでは、異常気象の激甚化や干ばつ、平均気温上昇を背景として、生産拠点の操業停止、綿花の生育不良、季節性製品需要の変化が特定されました。これらのリスクに対し、当社グループは、現状中国への一極集中が見られる生産拠点を国内外の協力工場に分散させるといったBCP対応を進めております。更に今後は調達ソースの多様化や、サプライヤー選定基準に環境への取り組みを加えることにより、事業継続力を高めていくことを検討しております。当社グループは、リスク特定で用いた枠組みのもと、機会の特定も行いました。脱炭素社会への移行に伴う機会としては、環境配慮型製品の需要増加やESG投資による資金調達コストの削減等が特定されました。当社グループは現在、FSC認証紙の使用、商品パッケージやショッピングバッグの脱プラスチック推進、再生素材の導入、リサイクル活動の実施、EC販売における包装の簡素化、従来品よりも耐久性が高い商品の開発、販売等、調達から製品の販売に至るまで、様々な環境対策を行っています。これらの取り組みを継続、拡大していくことと並行して積極的な情報開示を行うことで、消費者、投資家のニーズをとらえた製品・サービスの提供が可能となると考えております。
気候変動の物理的な影響が顕在化することに伴い生じる機会は、EC販売の需要増加や涼感機能性商品の需要増加が特定されました。EC販売の需要増加については、引き続きEC販売の強化に注力し、自社ECサイトの運営体制強化及び外部ECモールへの出店による販売を行っております。また、涼感機能性商品の需要増加については、当社グループは、暑さに対応した商品の販売を拡大しています。冷感効果を持つ糸や汗のべたつきを軽減する素材を使用した商品、蒸れを軽減する仕様の商品、紫外線対策ができるUVカット機能を搭載した商品等、気温上昇による猛暑・酷暑で需要拡大が見込めるインナーウェア・レッグウェアを製造販売しています。
特定したリスク・機会に対応するため、全社で情報を共有し、環境経営に関する円滑な意思決定及びサステナビリティ推進活動の強化を図ってまいります。
■リスク機会一覧表
※補足
1.事業インパクトの項目のうち、時間軸は以下のように設定しています。
短期:0~3年 中期:4~10年(2030年) 長期:11~30年(2050年)
2.事業インパクトの項目のうち、影響度は以下のように設定しています。
大:事業及び財務への影響が大きくなることが想定される
中:事業及び財務への影響がやや大きくなることが想定される
小:事業及び財務への影響が軽微であることが想定される
b.気候変動に関する指標及び目標
当社グループは環境問題への取り組みの重要性を認識し、製品・サービスの環境配慮性能の向上やESG全般への取り組み強化に注力してまいりました。加えて、2022年度より温室効果ガス排出量のScope1、2算定を開始しております。脱炭素への国際的な合意の強化や、社会的要請が高まる中、当社グループも、事業を通じて社会的な責任を果たすため、また、気候変動関連リスク・機会の精度の高い分析を行うため、将来的にはサプライチェーン全体が対象であるScope3の算定も行ってまいります。
今後、日本政府が掲げている温室効果ガス削減目標に沿い、2030年度や2050年度等、具体的な年度設定を行ったうえで中長期的なロードマップを検討してまいります。
※補足
1.2022年度は中国国内において断続的な電力供給制限が行われたことや、上海市ロックダウン等の影響を受けて工場の稼働率が低下したことにより、一時的にScope2排出量が減少いたしました。
2.2024年度は工場移転に伴う稼働率の低下により電力使用量が減少し、一時的にScope2排出量が減少いたしました。また、第1工場では蒸気の調達方法を従来の外部購入からボイラーにより発生させる方法に変更したことによって、2024年度と2025年度において前年度対比でScope2の排出量減少とScope1の排出量増加が生じております。
②サプライチェーン上の人権
事業活動に関係する人権への負の影響を特定、予防、軽減するためにデューデリジェンスを継続的に実施し、適切な情報発信に努めます。2024年度には当社の一次取引先を対象としたデューデリジェンスを試験的に実施しました。今後は対象企業の範囲を拡大し、継続的にデューデリジェンスを実施いたします。
③人的資本に関する取り組み
当社グループは、事業環境や市場ニーズの変化を的確に捉え、顧客視点に立った価値の創出と競争力の強化を重要な経営課題として位置付けています。市場トレンドを反映した商品提供に加え、ヘルスケア分野やメディカル用途などの新たな事業領域への展開、さらには海外市場での事業拡大を進めていくためには、従来の枠組みにとらわれない発想と、多様な人材による活発な議論を通じた組織横断的な取り組みが不可欠であると認識しています。
こうした経営戦略の実現に向けて、当社グループは企業価値の持続的な向上と市場における競争優位性の確立を支える基盤として、「人財力」の強化に注力しています。社員一人ひとりが有する能力・経験・スキルを最大限に引き出すとともに、主体的に挑戦し行動できる環境を整備することで、変化への適応力と組織力の向上を図っています。
また、人事施策を経営戦略と連動させることで、従業員のモチベーション向上や自律的な成長を促進し、新たな価値創出やビジネスモデルの実現につながる企業風土の醸成を推進しています。これらの取り組みを通じて、当社グループは中長期的な成長と持続可能な企業価値の創出を目指しています。
a.人的資本に関するガバナンス
人的資本に関するガバナンスは、主に就業規則等の社内規程に基づき整備されています。従業員の登用は職能資格制度規程によって行われます。職能は能力開発職能、能力発揮職能、マネジメント職能に分けられ、それぞれの職能において求められる役割を明確に定義し、昇降格についても、規程上に明確に定め、社内に周知することによって人材登用の透明性を確保しております。さらに、将来の経営人財を育成することを目的としたサクセションシステムについても、その運用規程を社内に公開しています。サクセションシステムの対象者には、自身の課業に対する職務改善を論文にまとめ指名・報酬諮問委員会において報告するなどのカリキュラムを定め、将来の経営人財の育成を図っています。
b.人的資本に関する戦略
Ⅰ.人事制度・各種規程の整備
現状の人事制度は業績志向を高め、成果に基づく配分を重視する仕組みとしています。より業績志向を高めるため、賞与における配分指数を変更し、業務効率化及び業績改善意識を重視する制度としています。
各種規程においては育児・介護休業などをはじめとして、法改正に基づく就業規則整備を行い、個々のワークライフバランスに応じた勤務が可能となる制度整備を進めています。
また、海外出向規程においても見直しを実施し、現状の事業環境に即した制度へと改定しております。これにより、海外出向者が賃金及び待遇面において一定の選択肢を有し、納得感をもって職務に従事できる環境を整備することで、働きがいの向上を推進しています。
Ⅱ.キャリアパスを明確にした自律型人材の育成
当社は教育研修体系及びキャリアパスを再定義し、各種研修や自己啓発支援を実施しています。また、経営人材育成に向けたサクセションシステムの再整備や、公募型研修の導入を通じて、価値創造型人材の育成を推進しています。
2025年度にはマーケティング研修や業務効率化研修、職場リーダー研修、営業マネジメント研修など職種や階層に合わせた研修を実施しました。また、公募型研修を昇格要件に取り入れるなど、自発的で柔軟な人材育成を推進しています。
Ⅲ.人的資本可視化指針に資する活動の推進
人的資本経営の観点から、人材育成、組織強化、リスクマネジメントに取り組んでいます。特に、ハラスメント防止に関する全社的な活動を推進するとともに、女性活躍推進や次世代人材育成に向けた行動計画を具体化しています。
さらに、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)においては、シニア人材、育児・介護、LGBTQ、障がい者への対応強化にも注力しています。
また、2026年度においては人的資本投資の一環として「生成AI研修」や「テレワーク管理研修」などを実施することにより、業務効率化及び業務管理力強化を図る考えであります。なお、「生成AI研修」は実施済であり、社内で一定の制約を課したうえで業務効率化を目的としたAI活用を推進しております。
Ⅳ.労働環境の整備
「フレックスタイム制度」や、本社オフィスにおける「フリーアドレス」の活用、「テレワーク」の併用により、柔軟な働き方とワークライフバランスの充実を図り、労働生産性の向上を目指しています。
また、離職率や傷病休職の低減に向けては、心理的安全性を重視した時間外労働の削減や、メンタルヘルス対策、ストレスチェックの活用を推進しています。
Ⅴ.パーパス浸透とブランド力向上
クレド刷新や社内表彰制度「ATG賞(明るく・楽しく・元気にチャレンジしま賞)」の実施を通じて、パーパスの浸透と従業員エンゲージメントの向上を図り、企業ブランド力の強化に取り組んでいます。
また、社内プロジェクト「フェムサポ®チーム」によるフェムテック推進活動を通じて、社内外への情報発信を積極的に行っています。
Ⅵ.サステナビリティに関する教育
サステナビリティに関する基礎知識の定着を目的に、2024年度より動画型のeラーニングを導入しています。導入2年目となる2025年度においては、受講を継続的に推進した結果、延べ811時間59分(一人当たり2時間4分)の教育時間を実施しました。
c.人的資本に関するリスク管理
リスク管理を含む具体的な人事施策は人事総務部が中心となって検討し、異動や採用計画については経営会議での決議が行われます。 当社の人員構成においては、主に従業員の年齢構成の偏りによるリスクが見られます。年齢構成の偏りを改善するために、積極的な中途採用の実施に加え、2026年4月入社より新卒採用を再開し、若手人材の採用と育成を行っております。商品の企画や販売は人的資源に依存する業務が多いことからも、社内の多様性確保は重要な課題であり、採用した人材が定着する環境の構築が必要です。また、ハラスメント等に関する内部通報は監査役室内に内部通報窓口を設置し、常時受け付けております。内部通報受付に関する詳細は「倫理規程」に定め、その内容を社内に公開し、通報者の秘密が守られるよう対応することを明確にしています。
d.人的資本に関する指標及び目標
当社グループでは、上記の戦略に基づき、人材の多様性確保及び育成、社内環境整備に関する方針に対して、次の指標を用いて進捗を管理しています。
<女性活躍と次世代育成に資する環境整備>
厚生労働省が進める「女性活躍推進法」や「次世代育成支援対策推進法」による「行動計画」のうち、主たる宣言の2026年3月末現在の進捗は次の[ ]内記載のとおりです。
|
・2028年度末までに採用者に占める女性労働者の割合を50%以上 |
[2026年3月末現在 80.0%] |
|
・2028年度末までに管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合を30%以上 |
[2026年3月末現在 21.7%] |
|
・2028年度末までに有給休暇の取得率70%以上 |
[2025年度実績 70.8%]※全従業員 |
※補足
主要な事業を営む会社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われておらず、連結グループにおける記載が困難であるため、提出会社単体の指標を開示しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に最大限の努力をする所存であります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)為替レートの変動リスク
当社グループは、生産拠点を海外シフトしており、外国通貨建ての取引があります。従って、当社グループの取引及び投資活動等に係る損益は、外国為替の変動により影響を受ける可能性があります。
また、当社グループは、ヘッジ取引により、為替変動によるリスクを低減しておりますが、予測を超えた為替変動が業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(2)海外事業
当社グループは、主に生産拠点を中国へ移管しておりますが、中国政府による規制、人材確保の困難さ、通貨切上げ等のリスクが存在します。
このようなリスクが顕在化することにより、中国での事業活動に支障を生じ、業績及び将来の計画に影響を与える可能性があります。
(3)原油価格の変動リスク
原油価格の乱高下に伴い、当社グループの主力商品である靴下の主要な原材料であるナイロン糸及び電力・重油等の購入価格の上昇により、業績及び将来の計画に影響を与える可能性があります。
(4)市況による影響
当社グループの中核である繊維事業は、市況により業績に大きな影響を受ける業種であります。市況リスクとしては、ファッション・トレンドの変化による需要の減少、天候不順による季節商品の売上減少、デフレによる低価格商品の増加、海外からの低価格商品の輸入増等により、業績及び将来の計画に影響を与える可能性があります。
(5)貸倒リスク
当社グループは、販売先の状況及び過去の貸倒実績発生率による見積りに基づいて貸倒引当金を計上しておりますが、販売先の財政状態の悪化、その他予期せざる理由により、貸倒引当金の積み増しを行う可能性があります。
(6)製造物責任・知的財産
当社グループの製品の欠陥に起因して、大規模な製品回収や損害賠償が発生し、保険による補填ができない事態が生じた場合や、知的財産に係わる紛争が生じ、当社グループに不利な判断がなされた場合、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(7)災害や停電、感染症等による影響
当社グループの本社及び生産・物流拠点において災害、停電又はその他の操業を中断する事象が発生した場合、当社グループの事業及び経営成績に著しい影響を及ぼす可能性があります。また、感染症の影響が長期化した場合、減産や操業停止など、当社グループ全体の事業運営及び業績に影響が及ぶ可能性があります。
(8)固定資産の減損について
当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化により事業の収益性が低下して投資額の回収が見込めなくなった場合などには、固定資産の減損会計の適用による減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)重要事象等について
当社グループは、2018年まではインバウンド特需もあり営業利益を計上しておりましたが、その後の特需の激減、2020年からの新型コロナウイルス感染症の流行を境に働き方やオフィスにおける服装トレンドの変化が起こり、レッグウェア需要は減少傾向にあります。加えて円安の進行、原材料費の上昇、物流費の高止まり、人件費の継続的上昇等により製造原価が上昇しました。市場全般に物価の上昇傾向が定着するなかで、価格調整を実施しましたが、営業損益の黒字化となる水準までには至っていないことから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
このような状況の下、当社グループでは販売面においては、ヘルスケア商品の拡大、メディカル用途への参入等の高付加価値商品の拡大及び海外事業の強化を図ります。原価面においては、中国自社工場において自動化推進のための設備投資を行っており、生産体制の効率化による原価の低減を図ります。加えて更なるコスト削減を目指してアセアンでの供給体制の強化等を図り、一刻も早い業績回復と企業体質の強化を進めてまいります。財務面においては当連結会計年度末での自己資本比率は80.2%と高い水準にありますが、政策保有株式等の資産の売却を進めることで、キャッシュ・フロー改善に向けた施策を講じてまいります。
以上の対応策の実行状況等を踏まえ、継続企業の前提に重要な不確実性が認められないと判断しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、賃上げに伴う雇用・所得環境が改善している一方で米国の通商政策による影響や資源・エネルギー価格の高騰、金利・物価の上昇に伴い、依然として先行き不透明な状況で推移しております。
繊維業界においては、一部のインバウンド需要はあるものの、物価上昇の長期化等による消費者の生活防衛意識や節約志向の高まり等の影響から消費の縮小がみられ、引き続き厳しい状況が続いております。
当連結会計年度は、既存のストッキング・タイツの販売が伸び悩みましたが、OEM(相手先ブランド製造)等における販売が伸長いたしました。また、新たに開発した機能性を有する高付加価値商品を市場投入いたしましたが、当連結会計年度の売上高への寄与は限定的なものとなりました。さらに、Z世代向けの商品を拡販するなど新たな顧客層拡大へ向けた取り組みも進めております。しかしながら、利益面においては商品価格の一部見直しで改善を図ったものの、円安の進行による調達コストの上昇、原燃料価格や物流費の高止まり、人件費の上昇、中国自社工場における生産体制の見直しの遅れ等による製造コストの悪化等、厳しい状況で推移いたしました。これに加えて、繊維事業に係る一部の固定資産について、回収可能性が認められないと判断したことから、221百万円を減損損失として特別損失に計上いたしました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は21,469百万円(前年同期比1.9%減)、営業損失は1,019百万円(前年同期は930百万円の損失)、経常損失は912百万円(前年同期は233百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は1,137百万円(前年同期は376百万円の損失)となりました。
当社は、2025年9月24日に2028年3月期を最終年度とする中期経営計画を公表し、その業績目標の達成に向けて取り組んでまいりました。しかしながら、計画初年度である2026年3月期決算は、上記のとおり通期業績予想と大きな乖離が生じている状況であり、取り巻く環境が著しく変化する中では公表している中期経営計画の達成が困難であると判断し、これを取り下げるとともに、収益構造の改革を含む抜本的な見直しに着手することといたしました。新たな中期経営計画及び2027年3月期の業績予想につきましては、策定及び算定が可能となった段階で、速やかに開示いたします。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
[繊維事業]
レッグウェア分野は、円安を背景とする原材料高や物流費高騰等に対処するため、適正価格への見直しが進み、単価が上昇いたしましたが、販売数量の減少に伴い、同分野の売上高は11,060百万円(前年同期比4.8%減)となりました。
インナーウェア分野は、衣料専門店やEC販路、OEM(相手先ブランド製造)等における販売が好調で、既存販路における販売の減少を補ったこと等により、同分野の売上高は9,095百万円(前年同期比0.9%増)となりました。
これらの結果、当事業の売上高は20,156百万円(前年同期比2.3%減)、営業損失は1,495百万円(前年同期は1,378百万円の損失)となりました。
[不動産事業]
保有資産の有効活用を進めており、2024年10月より神奈川県海老名市に所有する土地の賃貸を開始しました。当連結会計年度は当該賃料収入が通期で寄与したことにより、当事業の売上高は697百万円(前年同期比9.1%増)、営業利益は538百万円(前年同期比10.9%増)となりました。
[その他]
その他の事業につきましては、太陽光発電による売電は堅調に推移しましたが、発電設備のメンテナンス費用の発生等により営業利益が減少いたしました。認知症高齢者向け介護施設であるグループホーム及び介護用品の販売につきましては堅調に推移いたしました。これらの結果、当事業の売上高は615百万円(前年同期比0.1%減)、営業利益は75百万円(前年同期比8.3%減)となりました。
②財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は39,902百万円となり、前連結会計年度末に比べ945百万円減少いたしました。これは主に、投資有価証券の増加651百万円、有形固定資産の増加603百万円、現金及び預金の減少1,772百万円、受取手形及び売掛金の減少461百万円等によるものであります。
負債の部は7,891百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,293百万円減少いたしました。これは主に、流動負債のその他の減少904百万円及び1年内返済予定の長期借入金の減少439百万円等によるものであります。
純資産の部は32,010百万円となり、前連結会計年度末に比べ348百万円増加いたしました。これは主に、その他の包括利益累計額の増加1,489百万円及び親会社株主に帰属する当期純損失1,137百万円の計上による利益剰余金の減少等によるものであります。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末の77.5%から80.2%となっております。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
対前年同期比(%) |
|
繊維事業 |
7,659 |
113.6 |
|
合計 |
7,659 |
113.6 |
(注)1.セグメント間取引については、内部振替前の数値によっております。
2.金額は、製造原価によっております。
b.受注状況
当社グループ(当社及び連結子会社)は見込生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
対前年同期比(%) |
|
繊維事業 |
20,156 |
97.7 |
|
不動産事業 |
697 |
109.1 |
|
その他 |
615 |
99.9 |
|
合計 |
21,469 |
98.1 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
㈱しまむら |
5,993 |
27.4 |
6,111 |
28.5 |
④キャッシュ・フローの状況
|
科目 |
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
増減(百万円) |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
415 |
△388 |
△803 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
719 |
△1,176 |
△1,895 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
53 |
△674 |
△727 |
|
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
317 |
518 |
200 |
|
現金及び現金同等物の増減額 |
1,504 |
△1,721 |
△3,225 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
5,354 |
3,633 |
△1,721 |
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の減少618百万円及び減価償却費582百万円等による増加、税金等調整前当期純損失1,083百万円及び仕入債務の減少354百万円等による減少により、388百万円の支出となりました。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出1,279百万円等により、1,176百万円の支出となりました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入れによる収入462百万円、短期借入金の返済による支出693百万円及び長期借入金の返済による支出439百万円等により674百万円の支出となりました。
この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,721百万円減少し、3,633百万円となりました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績等の詳細については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。
当社グループの経営に影響を与える大きな要因の詳細については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、3 事業等のリスク」をご参照ください。
当社グループにおける資金需要は、製品製造のための原材料費、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに設備新設、維持改修等に係る投資であります。これらの資金需要につきましては、自己資金を基本としており、必要に応じて、金融機関からの借り入れによる調達を行っております。また、当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、資金調達に関し、低コストかつ安定的な資金の確保を基本に、財務状況や金融環境に応じ、最適と思われる調達手段を選択しております。
③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの掲げていた経営目標については、原材料・エネルギー・人件費等のコスト上昇及び円安進行による調達コスト上昇の影響により、掲げていた経営目標は未達となりました。
こうした状況を踏まえ、当社グループは一刻も早い業績回復と企業体質の強化を実現するべく、収益構造の再 構築を行うとともに、顧客視点に立脚した高付加価値商品の拡大、市場における競争力の強化、人的資本経営の 推進に取り組む所存です。
新中期経営計画につきましては、グループ全体の業績目標の設定、今後の事業展開や財務面への影響に関して抜本的な見直しや検討が必要であることから、公表を延期する判断をいたしました。現在、慎重に検討を行っており、内容が整い次第、速やかに公表させていただきます。
該当事項はありません。
当社グループは、「肌と心がよろこぶ、今と未来へ。」というパーパスのもと、すべての人に寄り添い、従来のレッグウェア・インナーウェアというカテゴリーを超えた、フィールウェア(肌に心地よい・心に響く衣服)の提供を目指しております。この実現に向け、当社の強みである技術力及び商品開発力の強化を図り、研究開発活動を推進しております。
当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は
セグメントの研究開発活動は次のとおりであります。
[繊維事業]
(1)レッグウェア分野
ストッキング・ソックスの開発
2025年秋冬シーズンにおいては、多足組タイツブランド「Atsugi TIGHTS(アツギタイツ)」をリニューアルいたしました。全商品にサステナブル素材を採用し、環境配慮と快適な着用感を両立するとともに、購入しやすい価格帯での展開を行っております。
また、2026年春夏シーズンには、着圧レッグウェアの課題である着脱のしにくさに着目して開発された「スルッと着圧」を発売いたしました。縦横に伸縮性のある編み設計を採用し、脚のかたちに沿った形状に編み立てることで、着脱しやすく窮屈さを感じにくい快適なはき心地と、高い着圧値を両立しております。
(2)インナーウェア分野
インナーウェアの開発
2026年春夏シーズンにおいては、従来オンラインショップ専売商品として販売していた「透けにくいインナー」を「NUDE Make(ヌードメイク)」ブランドに採用し、卸売チャネルでの展開を開始いたしました。本商品は、肌の色味及びトーンによって選べる4色展開により、淡色の衣料着用時の下着の透けを防止する機能を備えております。
また、同ブランドにおいては、既存商品である「透けにくいインナー」及び「透けにくいブラトップ」に加え、接着仕様を採用することでアウターへのラインの影響を軽減した「透けにくいひびきにくいハーフトップ」及び「透けにくいひびきにくいショーツ」を新たに開発いたしました。