文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、創業以来「会社は社会の公器であることの精神に立ち業界をリードする技術とサービスをもって広く社会の発展に貢献する。」ことを経営理念としてきております。今日の当社グループは顧客のニーズに応え得る提案営業力(サービス)と商品開発(技術)をもって「健康な生活づくり」に、主として「食」の分野で貢献することを目指しております。
為替変動リスクや市場の動向などの環境の変化にも柔軟に対応し、より一層の高収益体質への転換を図るため、当社グループ全事業部門での黒字化に向けた事業の選択と集中を推し進めていくことと考えております。具体的には、3ヵ年経営計画「第137期中期経営計画(Toward the next stage)」 の最終年度として、経営方針「浜から食卓までを網羅し繋ぐ」をベースに、当社グループならではの一貫した体制で営業展開を推し進めてまいりました。
食品事業におきましては、引き続き利益体質の再構築を行うとともに、原料調達から製造・販売までの一貫した体制を整備し、徹底した品質管理のもと加工食品の拡販に注力してまいります。海洋・機械・資材の各事業におきましては、利益体質のさらなる安定化を図るとともに、新規商材の拡販や海外市場への販売強化など、積極的な営業活動に努めてまいります。その他、リスク管理や法令遵守を徹底するとともに、コーポレート・ガバナンス体制の整備や財務体質の改善を図ってまいります。
当社グループは、新3カ年経営計画「第140期中期経営計画(Breaking Through Toward 2028)」を作成し2028年3月期の最終年における数値目標を、連結売上高1,550億円、連結営業利益43億円、連結経常利益45億円、ROE10%以上、ROIC4.5%以上、D/Eレシオ1.0倍以内としております。
そのための主な各セグメントの施策は、食品事業では、“安心・安全・価値の高い商品作り”を通じて、水産物の需要を促進してまいります。海洋事業では“環境変動に応じた次世代水産業(新しい養殖・漁業)の構築”し、水産業の拡大を支援してまいります。機械事業では、“世界の食のニーズを叶える”ために、需要増が見込まれる海外へ食品加工機器を提供し、食品製造の生産性を向上させてまいります。資材事業では、“資材を通して人々の暮らしと環境に貢献する”ことを目指し、食品包装を通じて販売を加速させてまいります。また、4つの事業が相互に連携し、水産物のサプライチェーンをサポートすることが、当社最大の特徴であり、他社に真似のできない強みとして、磨きをかけ、目標達成に向けて邁進してまいります。
優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題といたしましては、個人消費の緩やかな改善やインバウンド需要の更なる拡大を背景に、景気は緩やかな回復が期待される一方で、引き続く地政学的リスクの増大に加え、米国をはじめとした各国の通商政策および経済情勢の変化による影響など、事業環境は依然として先行き不透明な状況が続いていくことが予想されております。
このような環境下ではありますが、当社グループは新たな3ヵ年経営計画「第140期中期経営計画(Breaking Through Toward 2028)」を策定いたしました。本中期経営計画では、水産業界で巻き起こる『パラダイムシフト』に対して、まず始めに10年後のあるべき姿を議論してまいりました。その議論した中で当社グループの強みは、100年以上の時代の変化にも柔軟に対応してきた「挑戦の歴史」と、そのなかで培ってきた「経験」をもとに、「技術とサービス」を提供することだと考えております。
この考えのもと、当社グループのパーパス(存在意義)として、“浜から食卓までを網羅し、挑戦の歩みを未来へ”を設定いたしました。コアビジネスである水産業のソリューションパートナーとして注力するとともに、バランスのとれた収益構造へ事業ポートフォリオを再構築し、“個の力を組織の力へ”と繋げ、「ベストソリューション」を追求してまいります。
具体的には、10年後を見据えたバックキャスト視点での3年間の指針として、「養殖、環境・資源保護分野、食品機械」などの新しい柱を構築し、未来へ新たな価値を創造する企業を目指してまいります。
これにより、次期の連結売上高は1,350億円、連結営業利益は33億円、連結経常利益は35億円、親会社株主に帰属する当期純利益は25億円と予想しております。
(1) 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
サステナビリティ基本方針『持続可能な社会への航路を拓く』
当社グループは、2021年12月に公表して以来、従業員の考え方や行動の軸となるサステナビリティ基本方針として『持続可能な社会への航路を拓く』を掲げ、未来に向けた大きなチャレンジとしてサステナブル経営を推進しています。企業活動として、水産物の漁獲~加工~販売までをトータルにサポートする当社の責務として、海の豊かな資源の保全および、環境に配慮した生産と流通のサポートを行いながら、世界的な水産物需要の拡大に応えるサステナブル経営に引き続き取り組んでいきます。
① ニチモウが目指すサステナビリティへの考え方
ニチモウグループが目指すサステナブル経営は、創業以来の経営理念に則り、「浜から食卓までを網羅し繋ぐ」を具現化すべく、グループの連携により、海の豊かな資源の保全および環境に配慮した生産と流通をサポートする責務を果たすことで、中長期的な企業価値の向上に努めていくことを主眼としています。これは昨今の自然環境や天然資源への保全意識が高まっている社会において、漁業・水産業を主たる事業領域として事業を展開する当社グループに強く求められているところであり、果たすべき責務であると考えています。
企業価値向上の観点から見ると、サステナブル経営を推進していく上で重要視している海面・陸上養殖や自然環境下で生分解性を有するバイオマス資材など、持続可能な事業に対する注目度は高く、引き合いも多くいただいております。
またリスクマネジメントの面から見ると、海洋環境・資源への配慮を怠れば水産物の調達リスクが高まり、温室効果ガス排出量の削減に向けた取組についても、今後導入が検討されている炭素税の導入によるコスト増など、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があり無視できません。
以上のことから、現行のサステナビリティに配慮した事業活動を推し進めるとともに、新規事業への取組にも着手し、コスト上昇以上の企業価値の向上に努めてまいります。
また、これらの取組における計画・目標設定とその進捗・改善は、ISOのPDCAサイクルを活用して管理・適正化を図ることで、最短ルートでの目標達成を目指してまいります。
当社は、国連グローバル・コンパクト(UNGC)に署名し、2023年5月に参加企業として登録されました。これにより、UNGCが定める「人権・労働・環境・腐敗防止」の4分野に関わる10原則の遵守・実践を通して、サステナブル経営を一層推進していきます。
詳細は以下のリンクからコーポレートサイトをご覧ください。
〇国連グローバル・コンパクトに署名
https://www.nichimo.co.jp/sustainability/policy/
〇人権・労働、環境、腐敗防止の方針
https://www.nichimo.co.jp/sustainability/policy/basic_policy.pdf
人権・労働、環境、腐敗防止の方針に関する詳細な情報については、2024年7月に公表の弊社記載の該当HPをご参照ください。
③ マテリアリティ(重要課題)
当社グループにおけるマテリアリティ特定のプロセスでは、UNGCが定める10原則を世界共通の課題と捉え、そこから当社グループが事業展開する漁業・水産業における課題と、自社のビジネス環境課題との整合性を意識して重視する課題の絞り込みを実施。2023年度、マテリアリティの決定および目標設定を行いました。今後は有識者やステークホルダーとのエンゲージメント、継続的な改善を実施することで、活動の精度向上に取り組んでいきます。

④ マテリアリティの特定プロセス
(a) STEP 1
マテリアリティの特定に際して各部署から担当者を選定し、基礎講座を開催。その後、環境・社会・ガバナンスの観点から、当社グループにおける現状の課題やあるべき姿をリスト化(社会課題の抽出)しました。
(b) STEP 2
この取組を中長期的な経営戦略とその計画に落とし込むため、改めて経営層を含めた教育を行い、UNGC4分野10原則やそれに付随する国際宣言・条約なども踏まえ、サステナビリティ推進委員会メンバー主導のもと「当社グループの企業活動における重要度」と「社会やステークホルダーに対する影響度」の2軸で重要課題をマッピングしました。
(c) STEP 3
この結果をもとに事務局でマテリアリティの素案を作成し、本委員会で審議・承認され、正式にマテリアリティとして特定されました。

〇マテリアリティの進捗状況
https://www.nichimo.co.jp/sustainability/policy/materiality.pdf
マテリアリティの進捗状況情報については、2025年8月に公表予定の弊社記載の該当HPをご参照ください。
当社グループは「サステナブル経営」の推進にあたり、2024年1月に代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会を設置し、四半期ごと(計4回)にサステナビリティに関わる基本方針、事業活動や戦略の審議・監督を行うとともに、取締役会への報告を行います。
取締役会および本委員会は気候変動問題を考慮した目標設定や計画、その進捗管理および投資決定を行います。
また、2022年以降ISO統合マネジメントシステム(ISO9001+14001)を活用し、品質および環境配慮を重視した取組を行っております。この取組は経営陣のみならず、各部門単位で運営を行うことで、社員一人ひとりのサステナビリティに対する意識を醸成し、全体で持続可能な社会の実現に貢献するものです。

<2024年度の活動実績>

(3)リスク管理
① 気候関連リスクの選別・評価・管理プロセス
リスクおよび機会につきましては、ISO14001に基づく環境側面(環境に直接・間接に影響を与える要素)、環境法令、業界・事業環境における課題、ステークホルダーのニーズおよび期待などから、気候変動に関するリスクと機会をサステナビリティ推進委員会で、事業リスク等を内部統制委員会でそれぞれ1年に1回以上の頻度で洗い出しています。 気候変動に関するリスクおよび機会を踏まえ、各部門は環境目標を設定し、ISO統合マネジメントシステムに基づいて活動します。環境目標の達成度は四半期ごとに開催されるサステナビリティ推進委員会で進捗管理を行い、1年に1回以上の頻度で取締役会へ報告しています。
② 総合的リスク管理の統合
当社グループが直面する具体的なリスクの識別・評価および、方針の決定は、内部統制委員会がその役割を担っております。気候関連リスクおよび機会とその対応策は、サステナビリティ推進委員会から内部統制委員会に提出され、全社リスクに統合されます。内部統制委員会は取締役会の監督のもと、代表取締役社長を委員長として年4回開催しています。

(4) 重要なサステナビリティ項目
上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける需要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。
・気候変動への対応について
・人的資本への対応について
それぞれの項目に係る当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
① 気候変動への対応について
TCFDが提唱するフレームワークに則り、シナリオ分析の手法を用いて、将来的に気候変動が当社グループの事業にもたらす影響を特定・評価を実施し、気候関連の定量的財務影響の算出と、リスクと機会に対する対応策の検討に取り組んでいます。シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)や、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照しています。
当社グループは、気候変動への対応として、2050年までにカーボンニュートラルを目指して、温室効果ガスの排出を削減し、エネルギーの効率的で持続可能な使用を促進するとともに、気候変動の緩和、適応に貢献する商品およびサービス等の開発・提供に努めます。
2024年に策定した環境方針においても、同内容を掲げ、ホームページ上で公開しています。
環境方針に関する詳細な情報については、2024年に公表の弊社記載の該当HPをご参照ください。
温室効果ガス排出量(Scope1,2,3算定)
当社グループは温室効果ガス排出量の把握を推進しており、今期の取組みとして、当社および主要な連結子会社を範囲として、2023年度のScope3の算出に加え、2024年度のScope1とScope2、Scope3の算出を実施いたしました。内訳は以下の通りです。
<Scope1,2算定について>
※GHGプロトコルに則り、Scope1,2算定を実施。
Scope1,2範囲としては、連結子会社を含む国内主要拠点を対象に算定。原則、事業所・営業所はScope1,2算定対象から除外しています。
※Scope1,2の算定方法および排出係数等は、「地球温暖化対策の推進に関する法律」の「温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度」に基づいて算出。
「排出係数算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」および、「電気事業者別排出係数」の調整後排出係数(Scope2マーケット基準)と全国平均係数(Scope2ロケーション基準)、「フロン類算定漏えい量の算定・報告に用いる冷媒種類別GWP一覧」を使用。
※2022年度からフロン類の排出量を含めて算定しております。
※2023年度の算定値は、2024年1月~3月の消費エネルギー量の実績値にて再算定しております。
※2023年度の算定値は、2024年1月~3月の消費エネルギー量の実績値にて再算定の上、更新しております。
※2024年度から連結子会社における配送に関する消費燃料を含めて算定しております。
※削減率は基準年を2021年度に設定して算出。
<Scope3算定について>
※GHGプロトコルに則り、Scope3算定を実施。Scope3は基本連結での算定とし、カテゴリ5はデータ収集できた拠点のみの算定としています。
※Scope3の算定方法および排出係数等は、「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」および「IDEA v2」に基づき算出。
※2022年度のカテゴリ 6 7 の排出量は再算定の上、更新しております。
※カテゴリ8:該当する活動はScope1,2で計上済み。
※カテゴリ9~12、15:今後算定を検討。
※カテゴリ14:該当なし。
※削減率は基準年を2022年度に設定して算出。
② 人的資本について
ニチモウグループの人材戦略について
第140期中期経営計画(以下、新中計)の策定に合わせて、人材戦略についても見直を行いました。
キーワードに「挑戦」を掲げた新中計は、各事業で10年後ありたい姿をイメージし、そこに到達するための突破口を開く3年間の計画として位置付けています。また中長期の目標達成およびパーパスや経営理念の追求に向け、社員一人ひとりが実践する「行動姿勢」も合わせて設定しました。これを実践することでお客様にベストソリューションを提供し、引いては企業価値の向上につながると考えています。
本計画策定において、“パラダイムシフト”が至るところで起こっている状況では、近い将来ですら予測が難しく、企業成長の階段を上がっていく為のカギはやはり人材であると再認識をする事となりました。改めて、人材のレベルアップ(=強い個)を実現させて、それを繋ぎ強い組織へと昇華させていく方針を堅持して参ります。従いまして、人材戦略は『人(従業員)をより強い個に成長させて繋ぐ』こととしました。中計内の「挑戦」を日々の業務おいても重要な行動の指針とし、従業員一人一人が挑戦的な目標を設定する事としており、営業的な側面だけでなく、業務効率の改善・システム環境の見直しといった事務的な側面についても取組を行う事で、個々の「挑戦」を繋げ、会社全体の底上げを目指して参ります。

「浜から食卓までを網羅し、挑戦の歩みを未来へ」を具現化する人材を育成するために、注力するポイントごとに区分けし、二つのSTAGEで中長期的な人材の育成を行ってまいります。
STAGE1として位置付けた2025年3月期までの取組としましては、長期的に求める能力の可視化や新たな教育機会の創出として、各資格等級に求められる能力を明確にし、各人の役割を再認識させると同時に、資格に紐づけられた能力の維持・向上のために教育機会を整理・新設しました。合わせて人事評価制度の見直しも行いより事業推進のモチベーション向上を促すものとしました。
STAGE2の取組につきましては、当社の重要課題である女性活躍の推進とその中心となる女性管理職の登用や候補・教育体制の設定などに注力していき行きます。また、新中計で重視する「挑戦」を促すようなグループ間交流やジョブローテーション制度の検討も進めてまいります。
全社アセスメント
2024年8月に第二回全社アセスメントを実施しました。今回のアセスメントの結果では、総じて前回より肯定回答率がやや下がったものの、傾向についてはほぼ同じく自身の担当業務や、人間関係を含む身の回りの職場環境への満足度が高い等、従業員の所属部門レベルでのエンゲージメントの高さを再確認できました。その一方で、全社・経営という部分では会社全体の方向性の共有が弱いという事も再確認しました。この改善余地に対する具体的な対応として、2025年4月から順次タウンミーティングを実施しています。140期中期経営計画の策定における重要なポイントとして“グループ全体への方針の浸透”を掲げており、グループ全体が経営方針理解の下でが事業運営を進めていく事を目指してまいります。
アセスメント

KPI進捗
また、当社グループでは、上記「②人的資本について(a) 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、上記「②人的資本について(b) 指標 KPI進捗」に、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
育休取得率(%)
当社グループにおける女性活躍推進は、新中計の達成および中長期での企業価値の向上を図るために重要な課題と認識しています。一方で業界全体として女性が幅広く活躍できる環境が整っていなかった側面が強く、まず女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、女性採用を増やすなどの実行性のある施策を進めています。なによりもこれからの女性が安心して長期就労ができる会社となる為の環境整備をしっかりと進めています。
当社グループでは、従業員が健康で安心して働き続けられる事が事業運営の基礎になるものと考えています。「健康管理面からも強い個の実現」を目指してまいります。そのため、形式的な取組ではなく、実質的な対応を丁寧に積み上げていく事も大事な方針としています。長時間労働防止のため、時間外労働の目標時間とアラートの設定・年休取得推奨日の設定、業務の見える化・フローの見直しやDXの推進などによる生産性の向上を図っています。定期健康診断・ストレスチェックついては受診率100%を継続しており、定期健康診断後の二次検診受診・特定保健指導も個別に対応を行っております。また、昨今は従業員のメンタルヘルスのケアの重要性が増しており、メンタル不調者については産業医だけでなく、場合によっては主治医との連携も行い、サポートを行っています。フィジカル・メンタルをしっかり整え業務に尽力できる環境整備を維持してまいります。これらの取組を通じて健康経営優良法人の取得についても準備を進めております。
当社グループの全売上高のおよそ6割前後を食品事業が占めておりますが、その中の主要商材は、その調達や販売において世界的な漁獲規制や漁獲量の変動及び水産物市況等の影響を受けております。従って、予期せぬ原料価格の高騰や漁獲量の変動等により、食品事業の主要商材の調達や販売が困難になった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
当社グループで取り扱う食品事業の主要商材は、その原料の大部分を海外から買付けており、為替レートの変動による影響を受けております。そのため、円建て決済や為替予約等のリスクヘッジを行い、為替レートの変動による当社グループの業績への影響を可能な限り軽減しております。しかしながら予期せぬ為替レートの急激な変動が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
当社グループで取り扱う食品事業の主要商材は、その安全性を最重要課題として位置付け、グループ工場や国内外の提携工場へのHACCPの導入や徹底した品質保証体制の確保と実践に努めております。しかしながら予期せぬ品質事故等による原料等の大規模な回収や製造物責任賠償等が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
当社グループで取り扱う食品事業の主要商材は、国内はもとより、北米、南米、ロシア及び東南アジア等の海外のさまざまな地域から供給されております。従って、予期せぬ自然災害がそれらの地域において発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
(5) 海外事業におけるリスク
当社グループでは、食品事業における主要商材の安定的な確保を目的として、海外における投資や事業展開を進めておりますが、現地の経済環境の変化、法規制等(各国政府の許認可等も含みます。)の変更、政治的・社会的混乱などが発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
当社グループは、十分な信用調査の上多くの取引先と取引を行っておりますが、取引先の業績の悪化や突発的なM&A、あるいは自然災害や事故、さらには、法令違反などの企業不祥事等が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
当社グループの事業活動の遂行は、国内及び海外の法規制等の影響を受けつつ事業活動を遂行しております。従って、予期せぬ法規制等の変更があった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
長期貸付金は、貸付先の信用リスクに晒されております。貸付先との取引を継続して行っており、貸付先の概況把握に努めることでリスクの軽減を行っておりますが、貸付先の財務状況が悪化した場合には、これらの貸付金の回収が困難となり、当社グループの業績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
新型コロナウイルス感染症のような大規模な感染症等の発生により事業を運営する人材が不足し、生産または販売体制に支障が生じた場合は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、将来減算一時差異および税務上の繰越欠損金に対して、将来の課税所得を合理的に見積もった上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得については、経営環境の変化等を踏まえ適宜見直しを行っておりますが、結果として繰延税金資産の全額または一部に回収可能性がないと判断し、繰延税金資産の取崩しが必要となった場合、当社グループ業績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻により、原材料価格の高騰、物流の遅延および経済制裁にともなう金融市場の規制など、様々な影響が顕在化しております。
当社グループにおきましては、食品事業においてロシアの水産物を取り扱っておりますが、本情勢により輸入水産物の調達や市況の乱高下など、安定的な供給に支障をきたす事態が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果に加え、インバウンド需要の増加等により、消費や投資活動の活性化が期待された一方、依然として地政学的緊張や原材料価格・エネルギー価格の高騰による物価上昇が個人消費改善の重石となったほか、今年に入ってからは、米国の政策動向により、一層不確実性が高まるなど、景気の先行きは不透明な状況で推移いたしました。
このような経済環境のなか、当社グループの事業基盤であります水産、水産加工・流通、食品の各分野におきましても、インバウンド需要の拡大により、外食産業を中心に盛り上がりを見せた一方で、海水温の上昇や国内近海での不漁など厳しい事業環境となったほか、個人消費については、物価上昇により節約志向が強まり、消費者の多様化するニーズへの柔軟な対応が求められるなど、舵取りの難しい環境下にありました。
こうした情勢のもとで、当社グループは、3ヵ年経営計画「第137期中期経営計画(Toward the next stage)」の最終年度として、経営方針である「浜から食卓までを網羅し繋ぐ」をベースに、当社グループならではの一貫した体制で営業展開を推し進めてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は1,339億円と前連結会計年度比61億44百万円の増加となりました。営業損益は30億2百万円の利益となり前連結会計年度比9億82百万円の増加となりました。経常損益は36億1百万円の利益となり前連結会計年度比10億38百万円の増加となりました。
特別損益におきましては、特別利益として2億95百万円を計上し、特別損失として4億6百万円を計上いたしました結果、親会社株主に帰属する当期純損益は26億66百万円の利益となり前連結会計年度比3億17百万円の増加となりました。
セグメント別の概況は次のとおりであります。
<食品事業>
すり身部門では、北海道における原料の水揚げが減少したことに加え、南米すり身の生産も伸び悩み、売上は減少いたしましたが、採算管理に努め、営業利益は増加いたしました。鮮凍水産物部門では、カニは、業務用・通販向け販売が堅調に推移し、ホタテは、海外向けの販売が伸長し、生産も順調に推移した結果、それぞれ売上、営業利益ともに増加いたしました。北方凍魚におきましても、赤魚・ホッケを中心に中国への販売を拡大してまいりました結果、売上、営業利益ともに増加いたしました。一方で助子は、原料価格が高騰するなか、価格転嫁を推し進め、採算重視の販売に努めてまいりましたが、生産コスト増を補うことができず、売上、営業利益ともに大きく減少いたしました。加工食品部門では、養殖銀ザケ・ツナの販売が順調に推移したことにより、売上は増加いたしましたが、煮魚・焼魚などの加工食品の販売が計画通り進まず、営業利益は減少いたしました。
これらの結果、売上高は841億2百万円となり前連結会計年度比18億13百万円の増加となりました。セグメント損益は19億53百万円の利益となり前連結会計年度比3億17百万円の増加となりました。
<海洋事業>
漁網・漁具資材部門では、海外において野球場を中心とした陸上ネットの販売は堅調に続いたものの、各種漁具資材については、昨年度の交換需要が一服したことや国内外での水産物の漁獲量減少などの影響により、販売が低調に推移いたしました結果、売上、営業利益ともに減少いたしました。船舶・機械部門におきましても、減船傾向のなかでの需要減少により、売上、営業利益ともに減少いたしました。一方、養殖部門におきましては、養殖用機資材や養殖用餌料の販売が堅調に推移したことに加え、海苔機資材の設備投資需要を確実に捉えた結果、売上、営業利益ともに大きく増加いたしました。
これらの結果、売上高は223億77百万円となり前連結会計年度比5億63百万円の増加となりました。セグメント損益は7億55百万円の利益となり前連結会計年度比2億51百万円の増加となりました。
<機械事業>
機械事業におきまして、国内では、インバウンド需要が旺盛な外食産業を中心に、生産の効率化に向けたニーズが高まるなど、積極的な設備投資意欲が継続しており、大中小と幅広く案件を受注し、一部の大型案件で納期の遅延などにも見舞われましたが、当期中に納入が完了したことにより、売上、営業利益ともに大きく増加いたしました。また、海外におきましても、省人化を主とした豆腐・総菜など各種生産設備を確実に受注できた結果、売上、営業利益ともに増加いたしました。
これらの結果、売上高は156億18百万円となり前連結会計年度比33億59百万円の増加となりました。セグメント損益は14億56百万円の利益となり前連結会計年度比4億89百万円の増加となりました。
<資材事業>
資材事業におきまして、化成品部門では、樹脂フィルムの受注が堅調に推移し、包装資材におきましても、海外向け産業資材の販売が伸長するなど、順調に推移いたしました。その他、各種商材の販売に共通して、原材料価格高騰に対し、採算重視の営業活動に努めました結果、売上、営業利益ともに増加いたしました。また、農畜資材につきましても、農業用資材・肥料の拡販に努めてまいりました結果、売上、営業利益ともに増加いたしました。
これらの結果、売上高は90億43百万円となり前連結会計年度比5億37百万円の増加となりました。セグメント損益は3億82百万円の利益となり前連結会計年度比32百万円の増加となりました。
<バイオティックス事業>
バイオティックス事業では、医療関係者向けの販売は堅調に推移したものの、通販や薬局向けOEM商品の販売が苦戦いたしました結果、売上高は2億93百万円となり前連結会計年度比15百万円の減少となりました。セグメント損益は17百万円の利益となり前連結会計年度比7百万円の減少となりました。
<物流事業>
物流事業では、慢性的な人員不足による経費増は続いているなか、引き続き事業の選択と集中を推し進めました結果、売上高は23億52百万円となり前連結会計年度比1億17百万円の減少となりました。セグメント損益は1億8百万円の利益となり前連結会計年度比2億28百万円の増加となりました。
<その他>
その他の事業といたしまして、不動産の賃貸、人材派遣業などを行っており、売上高は1億10百万円となり前連結会計年度比1百万円の増加となりました。セグメント損益は90百万円の利益となり前連結会計年度比58百万円の減少となりました。
当連結会計年度における資産の部は830億98百万円となり、前連結会計年度比20億6百万円の増加となりました。これは、主として、現金及び預金の減少24億2百万円、商品及び製品22億23百万円の増加などによるものであります。
負債の部は528億69百万円となり、前連結会計年度比1億26百万円の増加となりました。これは、主として短期借入金の減少57億32百万円、社債31億36百万円及び長期借入金37億77百万円の増加などによるものであります。
純資産の部は302億29百万円となり、前連結会計年度比18億80百万円の増加となりました。これは、利益剰余金の増加19億93百万円などによるものであります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、55億14百万円(前連結会計年度比28.0%の減)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益34億89百万円、棚卸資産の増加21億76百万円、仕入債務の減少23億54百万円などにより13億45百万円のマイナスとなりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得による支出23億2百万円などにより、19億80百万円のマイナスとなりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純減額57億26百万円、長期借入による収入83億円、長期借入金の返済による支出36億87百万円、社債の発行による収入39億36百万円などにより、11億86百万円のプラスとなりました。
a.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺処理しております。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺処理しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
当社グループは、3ヵ年経営計画第137期中期経営計画(Toward the next stage)」の最終年度として、人材と組織の連携強化を図るとともに、「浜から食卓までを網羅し繋ぐ」をカバーした当社グループならではの強みを生かしたきめ細かな営業活動に努めてまいりました。
財政状態の分析につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績の分析
当連結会計年度の経営成績は、売上高につきましては、1,339億円(前連結会計年度比4.8%増)となりました。損益につきましては、営業損益は30億2百万円の利益(前連結会計年度比48.6%増)、経常損益は36億1百万円の利益(前連結会計年度比40.6%増)、親会社株主に帰属する当期純損益は26億66百万円の利益(前連結会計年度比13.5%増)となりました。
「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
営業外損益は、当連結会計年度は5億98百万円の利益(前連結会計年度は5億41百万円の利益)となりました。これは主に、営業外収益として受取配当金2億16百万円及び持分法による投資利益6億74百万円の計上があるものの、営業外費用として支払利息4億11百万円などの計上があったことによるものであります。
特別損益は、当連結会計年度は1億11百万円の損失(前連結会計年度は9億58百万円の利益)となりました。これは主に、特別利益として投資有価証券売却益1億42百万円及び補助金収入1億46百万円の計上があるものの、特別損失として減損損失65百万円及び固定資産圧縮損1億46百万円、和解金1億88百万円などの計上があたことによるものであります。
親会社株主に帰属する当期純損益は、当連結会計年度は26億66百万円の利益(前連結会計年度は23億49百万円の利益)となりました。
c.キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品及び原料の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、事業上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。必要な資金については、銀行借入またはコミットメントラインの利用によって流動性を保持しております。当連結会計年度においてはサステナブル経営推進の方針に沿って中長期の課題に対応する為に金利動向を勘案し長期借入83億円並びに、社債発行40億円の調達を実施しました。また、水産物の相場変動に備えた在庫確保を進めた結果として当連結会計年度の有利子負債残高は312億58百万円となり、前連結会計年度末比22億4百万円増加いたしました。
資金の源泉として当連結会計年度末のコミットメントライン未実行額120億円を確保している他にも各金融機関と個別に当座貸越契約を締結しており、資金の流動性は十分に保持されております。また、今後見込まれる大規模投融資の長期的な資金については設備投資・事業投資計画に基づき、市場金利動向や既存長期借入金等の返済時期を総合的に勘案し、社債および長期借入金を個別に調達することによって流動性を保持しております。一方で事業活動に十分な流動性の確保を目的として当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は55億14百万円となっております。
当社グループは、3ヵ年経営計画「第137期中期経営計画(Toward the next stage)」の最終年度として、「浜から食卓までを網羅し繋ぐ」当社グループならではの強みを生かした営業活動に努めるとともに、事業横断による人材と組織の連携強化を図ってまいりました。各事業部門においても目標達成のための施策遂行に注力し、食品事業ではウクライナ情勢の長期化・中東情勢の緊迫化や為替を含めた原材料価格の急激な変動などのリスクを注視しつつ、鮮凍水産物部門(カニ、ホタテ、北方凍魚)を中心に採算重視の販売に努めてまいりました。海洋事業では既存事業領域の見直しと合わせ、新規事業にあたり部門を横断した営業活動を推進し、機械事業および資材事業では更なる営業基盤の強化や顧客の開拓に努めてまいりました。当連結会計年度の売上高は1,339億円、営業利益30億2百万円、経常利益36億1百万円、ROE9.1%と前年比増収増益となり事業強化・利益創出に一定の成果を出すことができましたが営業利益目標33億円とROE目標10%以上には届くことができませんでした。
当社は、財務上の特約が付された金銭消費貸借契約を締結いたしました。
当該契約の内容等は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(連結貸借対照表関係)に記載しているため、記載を省略しております。
当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は
セグメント別の研究開発活動は次のとおりであります。
当社において食品品質管理室を設置しており、その研究開発活動の主なものは次のとおりであります。
水産物を原料とする各種加工食品の商品開発、品質改良、各種調味料の開発・改良。各種水産加工品の諸検査及び基礎データ分析等。
当連結会計年度の研究開発費の額は管理費を含め
当社において研究開発室を、またノールイースタントロールシステムズINC.においてエンジニアリング部門を設置しており、その研究開発活動の主なものは次のとおりであります。
トロール漁具をはじめとする各種漁具類について漁獲効率の向上、省人省力化及び持続的資源利用等を目的とする技術開発・改良及び新商品開発等。
当連結会計年度の研究開発費の額は管理費を含め
当社において、機械・資材事業部門の新商品開発を行っております。
当連結会計年度の研究開発費の額は管理費を含め
当社において、機械・資材事業部門の新商品開発を行っております。
当連結会計年度の研究開発費の額は管理費を含め
ニチモウバイオティックス㈱における研究開発活動の主なものは次のとおりであります。
国内外の大学の研究室、製薬会社・食品会社・動物医薬品会社の研究部門との共同研究等。
当連結会計年度の研究開発費の額は管理費を含め