第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社は、「事業は人なり而して人の和なり」「より良い品をより安くより多く」を社是とし、「株主重視」・「顧客重視」・「社員の生活向上」の理念に基づき、市場のニーズに的確に対応した高機能製品を提供する「抄紙用具の高度専門企業」として成長・発展することを目指して経営活動を展開しております。

 

■経営環境

当社グループを取り巻く経営環境は、紙媒体のデジタル化による国内市場の構造的な需要縮小、海外市場での価格や品質面での競争の激化、加えて、ウクライナ紛争の長期化及び各国の政策金利の高止まりや欧米での金融不安の影響などによる世界的な経済活動停滞の懸念など予断を許さない状況が続いております。

 

■中期経営計画“NE-24”策定経緯

このような環境下、当社グループは、2030年における世界経済や社会におけるメガトレンドを調査・検討し、その社会構造の変化にどのように当社グループが関わっていくのかを示し、全社員が目指す「2030年度に当社が実現する未来(IK VISION2030)」を決定いたしました。

IK VISION2030

サステナブルな社会に貢献し、イチカワを支える役職員、取引先、株主及び周辺の地域社会がそれぞれ高い満足度を持つ会社となる。

 

その上で、今後3回の連続する中期経営計画の第一段階として、2022年度を起点とする第7次中期経営計画(略称“NE-24”)を策定し、「経営方針」及び「経営目標」を次の通り定めました。“NE-24”では、「会社を創り直す3年」というスローガンのもと、製造コスト及び品質面での競争力を高め収益基盤の強化に努めてまいります。

経営方針

『社会と共存するイチカワを基本』として

1.抄紙用具事業

「抄紙プレスパートの総合ソリューション カンパニー」として、「世界一の品質」を目指す。

・「顧客志向」を追求し、ソリューションを提供することにより、「イチカワ=頼れる存在」ブランドへ移行する。

・世界市場において、強固な一角を占めるグローバル企業となる。

2.新事業

「環境にやさしい、人々の生活を豊かにする製品や部材を届ける」事業を創設する。

 

“NE-24”(2022年4月1日~2025年3月31日)

 

スローガン

経営目標(‟NE-24”)

「会社を創り直す」3年

・1株当たり連結当期純利益(EPS):150円

・連結売上高:120億円以上

・連結売上高営業利益率:5.0%以上

 

 

■‟NE-24”の初年度振り返りと課題

‟NE-24”の初年度にあたる当連結会計年度につきましては、主に次の施策に取組みました。

・安定的な収益基盤確保に向けた地域密着型営業による営業・技術サービス力の向上、市場ニーズに対応する競争力ある新製品の開発

・抄紙用ベルトの世界シェア拡大に向けた販売体制の強化と開発機能の増強

・世界標準の製造コストを目指す工程・製法の確立と品質安定性の向上

こうした中、当連結会計年度の業績は、期中における国内製品価格改定の実施、海外フエルトの増販に加え、為替が円安に推移した効果も伴って経営目標を達成いたしました。一方で、‟NE-24”における各施策の進捗に関しましては、一部に遅れが発生しており課題を残す結果となりました。

 

■‟NE-24”2年目で取り組むべきこと

‟NE-24”の2年目にあたる2023年度につきましては、遅延している施策の巻き返しを必須とし、引き続き世界標準の工程・製法の確立と原料・設計の統廃合などによるコストの低減及び新製品と新用途構築へ向けた開発体制の強化に努めると同時に、データとデジタル技術を効果的に活用することにより生産性の向上を図ってまいります。また、SDGs活動を経営の重要課題と位置付け、企業活動を通じて環境負荷の低減に取り組み、地域社会とともに持続的に成長していくことを目指してまいります。

 

■‟NE-24”展望

当社グループが製造している抄紙用具(抄紙用フエルト・シュープレス用ベルト・トランスファー用ベルト)が使用される取引先の抄紙機のプレスパート工程は、紙の水分を低下させることにより、乾燥工程でのエネルギー消費量削減に大きく寄与出来ることや、製造される紙の品質を決定づけることから、環境面・コスト面・品質面で最も重要な工程です。

当社グループは、取引先のプレスパート工程の能力が最大限に発揮される製品の組み合わせをご提案し、開発・製造・販売が出来る国内唯一、海外でも数社しかないメーカ-です。

‟NE-24”では、「会社を創り直す3年」として、DX戦略を加速し、人的投資、組織制度改革を含め全社的な基盤を創り直した上で、世界標準の製法・設計を確立し、品質安定性の向上とコスト競争力の強化を進めてまいります。また、全世界をカバーする販売体制を活用し、顧客ニーズに対応する製品を世界中の取引先へ積極的に拡販してまいります。

なお、工業用事業につきましても、需要拡大が期待される高機能クッション材や新規用途分野の開拓により、事業規模の拡大を目指してまいります。

 

■社会とともに成長するイチカワ

当社グル-プは、革新的な挑戦を続け、株主の皆様、取引先、従業員、地域社会などのステークホルダーに対する社会的責任を果たし、社会とともに成長する企業を目指し日々努力を重ねていきますとともに、その基盤構築のために、内部統制の一層の充実を図り、企業価値の増大に邁進してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1) サステナビリティ全般に関する考え方

解決すべき社会課題の中で、特に気候変動は深刻さを増しています。

当社グループは、環境保全活動を経営の重要課題と位置付け、企業活動を通じて環境負荷の低減に取り組むことにより、SDGsの達成に貢献し、地域社会と共に持続的に成長していくことを目指しております。

なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

 ①ガバナンス

当社グループは、環境行動指針などの方針や環境保全活動の基本目標を検討・立案・審議する環境・省エネ対策連絡会議を設置し、環境保全活動を推進しております。

環境・省エネ対策連絡会議で審議された内容は、年1回取締役会へ報告され、具体的な経営施策へ反映されます。

また、当社グループの生産拠点である柏工場及び岩間工場においてISO14001を認証取得し、環境マネジメントシステムを進めることにより、環境に関する地域社会へのリスク及び機会の検討を行っております。

柏工場長及び岩間工場長は、ISO14001に則った環境マネジメントシステムにおいて、当社のEMS環境活動を統括しており、両工場の戦略的な方向性、両工場の状況と両立するような「環境方針」及び「環境目標」を確立し、その改善を指示する権限を有しております。

 

 ②リスク管理

当社グループは、全般的なリスクの洗い出し、評価、対策等の管理についてリスク管理規程に定めており、職制により適切に予防及び対策を実施しております。リスク管理の状況につきましては、執行役員会において定期的に有効性を評価し、必要に応じて是正措置を行っております。

なお、特定の気候変動に関するリスク及び機会は、環境マネジメントシステムの中で課題化し、取り組んでおります。必要に応じて執行役員会へ報告を行い、全社リスクとしての統合管理を図っております。

 

 ③戦略

「地球温暖化対策長期ビジョン2050」〜カーボンニュートラル産業の構築実現〜(2021年1月20日 日本製紙連合会)にて打ち出されている「2050 年までにカーボンニュートラル産業の構築実現を目指す」をプレスパートの専門企業として、協働し実現してまいります。

環境に優しい紙づくりへ貢献するため、プレス工程で使用される抄紙用フエルト、抄紙用ベルトの機能を向上し、お取引先の抄紙工程のCO2削減に貢献してまいります。

さらに、省エネ活動の推進や生産性向上施策を推進し、環境リスクへの対応を積極的に展開してまいります。

今後も、地域社会との関係性を再点検し、持続的な社会の実現へ貢献してまいります。

また、当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は次のとおりです。

 1)当社グループの人事戦略を遂行することで経営目標達成に導くフロー概念図


 

 

2)社員個々の「能力」獲得に向けて

 当社グループは、社員個々の「能力」獲得に向けて、下記の「人財育成方針」の下、各種施策を進めております。

<人財育成方針>

・「自ら主体的に考え動く」、「失敗を恐れず挑戦する」を目指すべき二つの社員像とし、各種教育・研修を準備、実施してまいります。

 

・会社は各種委員会活動やプロジェクト活動を通じてチャレンジの機会を提供し、社員は様々な経験を積むことで「成長」を実感するという好循環を繰り返すことで、当社グループの業績向上および持続的な価値向上へと繋がっていくループづくりを行ってまいります。

<社内教育>

1 部署別教育(OJTを含む)

・職場毎に必要な専門知識や業務経験を難易度別に設定した能力要件表を用いて、個人毎に教育計画を立案、日常業務における知識習得とその実践を通じて、業務遂行能力を高めてまいります。

 

2 階層別教育(OFF-JT 座学 自己啓発)

・社員を階層別に分け、それぞれの階層で求められる能力・スキルを習得できる機会の提供を行っています。また、2022年7月より管理職を対象にジョブ型人事制度を導入、その効果測定を実施しながら、改めて職層別に必要な教育内容を洗い出し、その職位に望ましい研修や資格取得の機会などを会社として提供してまいります。

<外部派遣教育>

1 次世代経営層育成

・経営に関連する知識補強を目的として、2022年度より毎年数名の社員を外部教育機関に派遣しております。

・経験豊富な人事コンサルタントを招聘し、将来の経営層候補である中堅管理職向けにマネジメント研修を実施しています。

・「女性マネジメント層育成」を目的として、明治大学「女性のためのスマートキャリアプログラム」に2022年度より毎年1名ずつ社員を派遣しています。

 

2 専門人財育成

・当社の海外売上高比率は50%を超えており、海外で働く機会も増えてきていることから、海外派遣要員の養成を目的として、海外語学研修(期間1年)を行っています。

・「DX推進のための高度専門人財育成」として、サイバー大学に社員を数名派遣し、データーサイエンティスト等の育成を進めています。

<社員支援制度>

1 自己啓発支援

・個人のキャリア形成のために必要な自己啓発(e-ラーニング、通信教育、スクール(ビジネス・語学))や各種資格取得に関する支援(費用負担・奨励金支給)を充実させています。

 

 

当社グループの人財投資に関しては、特に2021年度よりその重要性を再度認識し、積極的な外部派遣等を通じて、社員の総合的な力量向上に努めております。特に、女性社員などは他社社員や学生層などから強い刺激を受け、自らのモチベーション向上などの良い影響が見られますことから、引き続き積極的な取り組みを継続してまいります。

 

 

3)社員個々が「能力」を発揮できる職場環境整備に向けて

<社内環境整備方針>

「目指す姿」

・挑戦意欲が高く、心理的安全性の高い職場の構築

・全体最適の組織運営

<重点課題>(マテリアリティ項目)

・快適な職場環境の形成

 社会の変化に伴い多様化する働き方に対して、社内環境および制度を整備してまいります。社員がのびのびと働ける心理的安全性の高い職場環境を整備してまいります。

・労働安全衛生・健康経営

 社員およびその家族を含めた健康維持のために、各事業所・イチカワ健康保険組合・各産業医・臨床心理士が一体となって健康施策を推進してまいります。

 各事業所にある安全衛生委員会は職場の環境整備と社員向け情報発信および教育を通じて、労働災害ゼロを目指してまいります。

 

 

当社グループは、変化の激しい現代社会において、会社が持続的な企業価値向上を実現していくためには、そこで働く社員の意識改革が必要であると考えております。そのためには、時代にそぐわない悪しき社風や伝統から脱却し、新しい価値観を踏まえて、社員が変わっていくことで会社を変えていくことを目指しております。その入り口としては、「挑戦意欲が高く心理的安全性の高い職場の構築」のために、管理職への教育研修や関連の小冊子の配付等を通じて、意識改革を進めてまいります。

 

4)多様性の継続的な拡大に向けて

<人財多様性推進の目的>

変化が激しく速いこの時代で持続的に企業価値を向上させるためには、同じ属性の画一的な社員集団では、限界があるため。

多様性は課題解決力向上のための必要条件であります。

①社会と共に成長するために:

・国際基準の人権感覚や環境重視の意識等を更に醸成してまいります。

②世界一の品質を実現するために:

・データおよびデジタル技術の力を使うことで、仕事のやり方を変えて、新たな価値が提供できるよう

 な会社に変えてまいります。

・それぞれの属性に縛られず、個の力を最大限に発揮できる心理的安全性のある職場環境を整備してま

 いります。  

③新事業の探索のために:

・従来にない発想と固有技術の化学反応による新事業探索を進めてまいります。

・「人々の生活を豊かにする」ためには、様々な生活者としての視点が求められ、多様な観点、価値観、

 経験値を持つ人、属性に囚われず活躍できる環境を提供してまいります。

 

 

 

 ④指標及び目標

 1)気候関連リスク・機会の管理に用いる指標

当社グループは、気候関連リスク・機会を管理するための指標については定めておりません。今後、必要な場合は指標の策定を検討してまいります。

2)温室効果ガス(CO2)の排出量推移

 

2013年度

2020年度

2021年度

2022年度

2030年度排出目標

2013年度比マイナス46%

Scope1 (t)

3,737

4,146

4,064

4,370

Scope2 (t)

5,556

5,317

4,604

0

合 計

9,293

9,463

8,668

4,370

前年比削減率 (%)

4.6

8.4

49.6

2013年度比削減率 (%)

基準年

△1.8

6.7

53.0

 

a. Scope1(燃料の使用、生産プロセスで排出)

省エネ活動によるエネルギー使用量の削減

・生産工程の効率化

・高効率機器設備への更新(本社空調設備、柏工場ガスコージェネレーション設備)

・グリーン熱証書等の都市ガスの検討

b. Scope2(購入電気・熱の使用に伴う間接排出)

・2022年4月 CO2排出量ゼロ達成

・太陽光発電設備の稼働(岩間工場・柏工場)

・全事業所の購入電力にCO2フリー電力100%切替完了

c. Scope3(その他の間接排出量)

・購入した原材料、製品、製品輸送、当社事業から排出される廃棄物等に起因する温室効果ガス排出に関しては、関連事業者と協働して、削減策の取り組みを継続中。

 

3) 人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する指標

  上記「③戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は次のとおりであります。

 a.社員個々の「能力」獲得に向けて

 

2020年度

2021年度

2022年度

人財開発・育成の総費用 (千円)

6,261

12,975

14,035

一人当たり研修投資額 (千円)

11

23

25

TOEIC700点以上社員数(累積)(人)

5

5

5

DX専門人財の育成実績(累積)(人)

0

0

2

ITパスポート保有者数(累積)(人)

0

6

18

 

 

 b.社員個々が「能力」を発揮できる職場環境整備に向けて

<快適な職場環境に関する数値目標>

当社グループは、2018年度より「企業風土改革」を念頭においた現状把握の手段として、「モラールサーベイ(従業員意識調査)」を2年毎に実施してまいりました。

 

 

大切にしたい企業風土

 

 

 

 

 

 

2018年度

2020年度

2022年度

2024年度目標

 

左表は、モラールサーベイにおいて、社員が「大切にしたい」及び「改善すべき」風土を3項目選択し、その集計結果からの各々上位3項目となります。当該項目をKPIとして設定し、改善施策を進めてまいります。

チャレンジ

46.7%

38.7%

37.1%

40.0%

 

現場第一主義

25.5%

26.9%

32.5%

35.0%

 

個性尊重

23.9%

29.0%

28.7%

32.0%

 

 

 

 

 

 

 

改善すべき企業風土

 

 

2018年度

2020年度

2022年度

2024年度目標

 

責任回避

28.9%

32.2%

31.7%

28.0%

 

現状維持

17.9%

18.7%

21.8%

19.0%

 

事なかれ主義

19.4%

20.2%

19.0%

15.0%

 

 

 

<労働安全衛生・健康経営に関する数値目標>

 社員の心身の健康を測定する一般的なガイドラインとして、下記3つをKPIに設定しておりますが、今後は「がん検診受診率」「人間ドック受診率」など社員の年齢層に応じたKPIとして設定し、健康面での改善施策を進めてまいります。

 

 

健康診断に関する状況

 

 

 

 

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

受診率

100%

100%

100%

100%

特定健診の実施率

98.6%

98.4%

98.7%

99.6%

特定保健指導の実施率

40.4%

33.0%

23.5%

23/9公表

 

 

ストレスチェックに関する状況

 

 

 

 

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

受検率

98.1%

98.7%

99.6%

99.1%

高ストレス者比率

18.1%

16.6%

17.6%

19.0%

 

 

喫煙率

 

 

 

 

 

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

喫煙率(40歳以上)

33.3%

33.1%

33.0%

33.6%

 

 

 

<その他の働き方の制度整備の状況>

当社グループは、社員の子育てや介護への対応、仕事とプライベートなどワークライフバランスの取れた日常生活を送るための制度整備を進めてまいりました。今後も社会の変容に応じた制度整備を進めてまいります。

 

 

導入年度

制度

2018

テレワーク勤務制度、フレックスタイム制度

2019

メンター制度、カジュアルフライデー制度、在宅勤務手当、外勤手当、時差出勤制度

 

 

c.多様性の継続的な拡大に向けて

多様性に関する状況

 

 

 

 

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

経験者採用実績

2名

2名

5名

4名

女性総合職比率

18%

22%

23%

24%

女性管理職数

2名

2名

2名

2名

障がい者雇用率

2.5%

2.5%

3.1%

3.1%

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

① 紙・板紙の生産動向

当社グループは、抄紙用具の専門企業として、国内外の製紙会社に製品を販売しておりますが、数量・金額ともに大きなウエイトを占める主要な販売先は国内製紙会社であります。したがって、主力製品の抄紙用フエルトや抄紙用ベルトの需要は、国内紙パルプ業界の紙・板紙の生産動向に大きく影響を受けております。紙媒体からデジタル化への変化が加速し、国内の新聞用紙及び印刷情報用紙需要が減少するリスクがあります。海外市場におきましては、価格競争の激化等といった事業環境の変化により収益性が低下するリスクがあります。

当社グループは、当該リスクに対し、国内外のお客様が求める高い水準のニーズに応えるため、自社製品を最適な組み合わせでご提案、ご提供できるよう全社一丸となって取り組んでまいります。また、お客様の抄紙機プレスパートの能力を最大化し、その提供を通じて、「省エネルギー、環境にやさしい紙づくり」に貢献いたします。

 

② 原材料

当社グループの主要原材料は石油関連素材であり、原油価格の高騰及び石油化学工業の生産動向等により原料コストや調達面で影響を受ける可能性があります。

当社グループは、当該リスクに対し、原材料の市場変動に柔軟に対応するため代替原料の検討や原料調達先の見直し等を国内外問わず進めております。また、主原料に限らず、副資材においても、同様の取り組みを進めてまいります。

 

③ 為替相場

当社グループの海外売上高比率は前連結会計年度52.1%、当連結会計年度は55.4%となっており、為替変動のリスクを負っています。外貨建売掛金に対しては、先物為替予約により短期的な為替変動による影響を最小限にとどめる措置を講じていますが、中長期的に大幅な為替変動が発生した場合には、当社グループの業績、財務状況に影響する可能性があります。

また、在外連結子会社の現地通貨建の資産、負債及び収益、費用は決算時の為替レートにより、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。

当社グループは、当該リスクに対し、米ドルやユーロ等の主要通貨については、為替予約により短期的な影響を最小限にするとともに、海外メーカーから生産設備等を購入する際に支払う一時金を想定し、外貨売上高の収入の一部は外貨預金として保有しております。

 

④ 金利

当社グループは、2023年3月末時点で、941百万円の有利子負債があり、中長期的に金利が大幅に上昇した場合には、当社グループの業績に影響する可能性があります。

当社グループは、当該リスクに対し、変化の激しい資金調達環境を注視してまいります。

 

⑤ 株価

当社グループは、2023年3月末時点で、主要な得意先や取引金融機関の株式など市場性のある株式を中心として投資有価証券を3,687百万円保有しており、これらの株価変動のリスクを負っています。同時点では1,998百万円の評価益を有しておりますが、今後の株価の動向次第でこの数字は変動します。

当社グループは当該リスクに対し、毎年、取締役会にて個別銘柄ごとに、保有目的、取引状況、当社のROEに与える影響、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を精査し、検証を行っております。その結果、保有意義が乏しいと判断された銘柄につきましては、当社事業への影響を考慮し、先方との協議を十分に重ねたうえで縮減してまいります。

 

⑥ 自然災害等

地震・風水害など不測の自然災害が発生し、生産設備や交通手段等のインフラが大きな被害をうけた場合に、製造が休止あるいは遅滞することで、事業の遂行に多大な影響が及び、業績が確保できない可能性があります。

当社グループは当該リスクに対し、全社員が迅速かつ的確に対応し、人的被害並びに業務への影響を最小限にとどめるため、被害直後の復旧対応事項に関する手順を「事業継続計画書」に定めております。

 

   ⑦ その他のリスク

世界的な景気の減速により、当社の事業活動に係る生産体制、物流体制、営業活動等に支障が生じた場合、当社グループの業績に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況は以下のとおりです。

 ① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響から緩やかに持ち直しているものの、原油価格等の高騰などエネルギー価格の高止まり、それに伴う原材料価格の高騰、及び日米金利差拡大による円安ドル高の進行など、一進一退を繰り返す状況となっております。

当社グループの主要取引先であります紙パルプ業界の動向は、国内につきましては板紙及び衛生用紙等の需要は横ばいで推移しておりますが、新聞用紙及び印刷情報用紙の需要は、新型コロナウイルス禍以前の水準までは回復に至らず減少傾向が続いております。海外につきましては、アジア地域において通販市場の拡大に伴う板紙及び衛生用紙の需要があるものの、新聞用紙及び印刷情報用紙は国内と同様に需要の減少傾向が続くと見込まれるなど、厳しい状況が継続しております。これを受け、当社は世界的な紙の需要減を見込み、抄紙用フエルトのコスト競争力を強化するべく生産体制の最適化を進めると同時に、原材料価格等の高騰によるコスト上昇に対応するため、製品価格への転嫁を推進してまいりました。加えて、品質面では衛生用紙向けベルトが世界的に評価され、拡販につなげるべく積極的な受注活動を行ってまいりました。

このような状況の中、原材料価格やエネルギー価格高騰による売上原価の増加、海上輸送の混乱や原油価格高騰による運送コストの増加がありましたが、期中における国内製品価格改定の実施、海外フエルトの増販に加え、為替が円安に推移した影響により、連結売上高は13,344百万円前期比8.0%増)、連結営業利益は800百万円前期比50.7%増)、連結経常利益は1,044百万円前期比37.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は833百万円(前期比59.1%増)となりました。

 

セグメントの業績は次のとおりです。

<抄紙用具関連事業>

(日本)

内需につきましては、抄紙用フエルトは需要の減少により販売数量が減少いたしましたが、製品価格への転嫁を推進したことにより売上高は増加いたしました。輸出につきましては、抄紙用フエルトは中国国内の一部顧客の商流を当社直販に変更したため販売数量が増加いたしました。

これに加え為替影響により、売上高は8,633百万円前期比8.0%増)、セグメント利益(営業利益)は2,041百万円前期比12.3%増)となりました。

(北米)

抄紙用フエルト及びベルトは、新型コロナウイルス感染症の影響による一部顧客の生産調整の一巡、及び板紙向けの需要増に加え受注活動が奏功し販売数量が増加いたしました。

これに加え為替影響により売上高は1,735百万円前期比24.5%増)、セグメント利益(営業利益)は98百万円前期比111.5%増)となりました。

(欧州)

抄紙用フエルトは、販売製品の選択と集中を行ったため販売数量が減少いたしました。抄紙用ベルトは、衛生用紙向け製品の品質が評価され販売数量が増加いたしました。

これに加え為替影響により売上高は1,970百万円前期比16.5%増)、セグメント利益(営業利益)は126百万円前期比25.8%増)となりました。

(中国)

抄紙用フエルト及びベルトは、中国国内の景気減速に加え一部顧客の商流を当社直販に変更したため販売数量が減少いたしました。

これにより、売上高は143百万円前期比70.8%減)、セグメント利益(営業利益)は38百万円前期比45.9%減)となりました。

(タイ)

抄紙用フエルトは、販売製品の選択と集中を行ったため販売数量が減少いたしましたが、製品価格への転嫁を推進したことにより売上高は増加いたしました。

これに加え為替影響により、売上高は313百万円前期比14.5%増)、セグメント利益(営業利益)は59百万円前期比32.8%増)となりました。

<工業用事業>

工業用フエルトは、需要拡大が期待されている高温成型用の耐熱緩衝材の販売数量が増加いたしました。

この結果、売上高は547百万円前期比6.4%増)、セグメント利益(営業利益)は69百万円前期比4.2%増)となりました。

 

当連結会計年度末の総資産につきましては、前連結会計年度末に比べ910百万円増加し、26,643百万円となりました。これは主として現金及び預金が1,332百万円増加した一方、有形固定資産が658百万円減少したことによるものであります。

負債につきましては、前連結会計年度末に比べ163百万円増加し、7,128百万円となりました。これは主として支払手形及び買掛金が225百万円増加した一方、未払法人税等が122百万円減少したことによるものであります。

純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ747百万円増加し、19,515百万円となりました。これは主として利益剰余金が553百万円増加したことによるものであります。

 

 ② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ1,329百万円増加し、5,765百万円(前年度末比30.0%増)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は以下の通りであります。

<営業活動によるキャッシュ・フロー>

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,045百万円の計上非資金費用である減価償却費1,005百万円の計上法人税等の支払による支出450百万円などにより1,729百万円の収入前期比149百万円の収入増)となりました。

<投資活動によるキャッシュ・フロー>

投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入132百万円、有形固定資産の取得による支出207百万円などにより103百万円の支出前期比354百万円の支出減)となりました。

<財務活動によるキャッシュ・フロー>

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払による支出279百万円などにより369百万円の支出前期比6百万円の支出増)となりました

 

 ③ 生産、受注及び販売の実績

 1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

抄紙用具
関連事業

日本

7,260

107.5

北米

欧州

中国

タイ

工業用事業

292

96.6

合計

7,553

107.1

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

   2 金額は、製造原価によっております。

 

 2) 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

抄紙用具
関連事業

日本

8,434

108.1

2,963

99.4

北米

1,390

92.6

875

83.4

欧州

2,039

122.4

1,130

113.7

中国

169

41.1

81

127.0

タイ

311

125.9

47

113.4

工業用事業

603

138.9

370

142.7

合計

12,948

107.3

5,468

101.4

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 受注生産品以外に仕入商品があります。

 

 3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

抄紙用具関連事業

日本

8,633

108.0

北米

1,735

124.5

欧州

1,970

116.5

中国

143

29.2

タイ

313

114.5

工業用事業

547

106.4

合計

13,344

108.0

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容等

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

  1)経営成績等

  a.売上高

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に対し8.0%増加13,344百万円となりました。国内売上高は、印刷情報用紙向け需要の減少により抄紙用フエルトの販売数量は減少しましたが製品価格への転嫁を推進したことにより、前連結会計年度に対し0.6%増の5,948百万円となりました。海外売上高は、抄紙用ベルトは衛生用紙向け製品の品質が評価されたものの景気減速の影響があり販売数量は減少しましたが、抄紙用フエルトは北米における板紙向け需要の増加により販売数量は増加し、また為替が円安に推移したことにより、前連結会計年度に対し14.8%増加し7,396百万円となり、海外売上高の比率は55.4%となりました。

  b.売上原価、販売費及び一般管理費

当連結会計年度の売上原価は、生産体制の最適化を進めることで生産性は向上したものの、原材料価格やエネルギー価格高騰により当社製造費用が増加したことで、前連結会計年度に対し222百万円増加7,915百万円となりました。販売費及び一般管理費は、海上輸送の混乱や原油価格高騰による輸送コストの増加や販売活動の再開に伴う出張コストの増加等により、前連結会計年度に対し496百万円増加4,628百万円となりました。

  c.営業外損益

当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に対し28百万円減少312百万円となりました。営業外費用は前連結会計年度に対し45百万円減少68百万円となりました。

  d.親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に対し309百万円増加833百万円となりました。また、1株当たり当期純利益金額は、前連結会計年度に対して67.61円増加し182.06円となりました。

 

  2)経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループは、2022年度から2024年度までの3年間を対象とする第7次中期経営計画(略称:“NE-24”)を策定し、事業活動を推進しております。初年度に当たる当連結会計年度の目標に対する実績は下記のとおりとなりました。

 

中期経営計画

 2023年3月期 計画

2023年3月期 実績

連結売上高

11,516百万円

13,344百万円

連結売上高営業利益率

3.5%

6.0%

1株当たり当期純利益

92円90銭

182円06銭

 

第7次中期経営計画策定時と当連結会計年度を比較して、為替は円安ドル高が進み原油価格は高騰するなど環境は大きく変わっております。

当連結会計年度は海外売上高の増加により増収・増益となりましたが、中期経営計画2年目にあたる翌連結会計年度につきましては、後半以降世界的な景気の減速が見込まれることや、国内市場での紙のデジタル化による構造的な需要縮小やグローバル市場での競争の更なる激化、加えて原材料価格やエネルギー価格高騰など、極めて厳しい経営環境が続いていく見通しであります。このような見通しの中、当社グループは、中期経営計画に基づき、生産体制の最適化を進めコスト競争力を高めるなどの諸施策を推進することにより、グローバル競争力を強化してまいります。また、当社グループの製品・サービス・それらを提供する社員を含めた、あらゆる面においてお客様から「世界一の品質」と評価されるよう努めることで、企業価値の増大に邁進してまいります。

 

 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループは、製品売上等の営業活動により多くのキャッシュ・フローを得ており、現在及び将来にわたって必要な営業活動及び設備投資などに備えるために、自己資金のほか金融機関からの借入により資金調達を図っております。グループ会社の資金については必要に応じて当社より融資しております。また、グループ会社の金融機関からの借入について当社が債務保証を行っております。

 

これら営業活動及び財務活動により調達した資金については、事業運営上必要な流動性を確保することに努め、機動的かつ効率的に使用することで金融負債の縮小化を図っております。また、当社グループは、流動性を確保するため取引金融機関と当座貸越契約を締結しており、高水準で推移している現預金と併せ、中期経営計画で掲げた戦略投資を機動的に実施することが可能となっています。
 今後とも入出金の厳格な管理により「営業活動によるキャッシュ・フロー」の拡大を目指し、財務体質の向上に努めてまいります。

 

 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、抄紙用具関連事業及び工業用事業ともに、優位化商品、新製品の開発及び技術開発を主体とし、また、環境に配慮したテーマをより多く取り上げて活動しております。

抄紙用具関連事業の研究開発活動については、最新の市場動向や抄紙技術にお応えするため、新素材の応用、新樹脂、新加工法の開発及び基盤技術開発を主体に行っております。

当連結会計年度につきましては、抄紙用ベルトにおいて、更なる機能向上を目指し、新製品の開発に取り組みました。

なお、当社グループの研究開発費は、そのほとんどがセグメントに配分できない基礎研究であり、当連結会計年度中に支出した研究開発費の総額は330百万円です。