第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「『伝統の継承』と『新たな挑戦』の融合で豊かな未来を創造します」を企業理念として掲げ、事業活動を展開しております。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループが策定した中期経営計画(平成29年4月から平成32年3月まで)の、平成32年3月期における目標とする指標は、次のとおりです。

連結売上高 120億円以上

連結営業利益 8億円以上

 

(3)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

次期の見通しにつきましては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、国内景気は緩やかな回復が続くことが期待されます。

しかしながら、紙・パルプ業界は、人口減や電子媒体へのシフトが進むなど、依然として厳しい経営環境が続くと予想されます。

このような状況におきまして、当社グループは平成29年度から平成31年度までの3ヵ年を対象とした中期経営計画を達成すべく、基本方針に基づいた以下の施策に取り組んでまいります。

 

① 総合抄紙用具企業としての確立

 抄紙用フェルトに関しましては、国内市場におけるシェアの拡大と高付加価値製品の拡販に注力するとともに、品質及び生産性向上に引き続き取り組んでまいります。ワイヤーにつきましては営業活動を強化し、従来の板紙向けに加え、新聞用紙、印刷・情報用紙向けにもバルメットテクノロジーズ社製ワイヤーの拡販を図ってまいります。また、一昨年度より取り扱いを開始いたしました抄紙用カンバスにつきましても、拡販を加速してまいります。

② 海外事業の強化

 中国や東南アジアでは人口増加に伴い、堅調な需要が見込まれます。現地代理店の活用、台湾惠爾得(股)との品質・技術関係の連携強化に取り組み、板紙・家庭紙を中心にさらに営業活動を充実させてまいります。

③ 産業資材事業の拡大

 高機能フィルターの開発・拡販を強化してまいります。

④ 人材の育成による企業体質の強化

 コア人材・グローバル人材の育成、事業拡大のための基礎教育・専門知識の取得を支援してまいります。

⑤ 新規事業の創出

 新規事業に取り組む風土づくり、体制整備とともに遊休資産の活用に注力してまいります。

⑥ 環境に配慮した事業活動

 地球環境に配慮した企業活動に努め、エネルギー消費原単位、生産工程における資源ロスの低減を図るとともに、近隣住民の生活環境へ配慮してまいります。

 

 以上の取り組みにより、抄紙用フェルトを中核とした総合抄紙用具企業として、「顧客第一」「品質第一」の姿勢で、お客様のご信頼とご期待に応えてまいります。あわせて、株主の皆様を重視した経営を行い、業績の向上・株主還元等に注力してまいります。「伝統の継承」と「新たな挑戦」の融合で豊かな未来を創造します、という企業理念のもとに、豊かな社会の実現に寄与する企業として力強く前進してまいります。

 

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、株価及び財政状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末日(平成30年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)紙・パルプ業界向け売上

 当社グループは、紙・パルプ業界向けの売上高が全体の約8割を占めております。同業界の景気後退による需要の減少、市況の下落等が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)製品市況

 当社グループの業績は、製紙用具メーカーのグローバル化による競争激化や製品市況の動向等により、大きく影響を受ける可能性があります。

(3)原材料の調達

 当社グループは、特殊な原材料を使用しており、その調達は一部の仕入先に依存しております。仕入先との取引は安定的に推移しておりますが、今後取引関係が継続困難になった場合や、供給状況、価格動向によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)退職給付債務

 当社グループは、従業員の退職給付債務の算定にあたり、割引率、年金資産の期待運用収益率等については、現在想定される前提条件に基づいて計算しておりますが、今後低金利の長期化による割引率の低下や年金資産の運用利回りの悪化等が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
 また、退職給付制度の変更により、未認識の過去勤務費用が発生する可能性があります。

(5)金融情勢

 今後の金利の急激な上昇等の金融情勢の変化により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6)自然災害等による生産の停滞・遅延

 当社グループは、埼玉工場、栃木工場を主力拠点として生産活動を行っておりますが、自然災害・火災などにより生産の停滞・遅延が起こった場合、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。なお、地震により発生する損害に対しては、地震保険を付保しておりますが、その補償範囲は限定されております。

(7)訴訟リスク

 当社グループは、業務を遂行するにあたり法令遵守に努めておりますが、訴訟リスクが皆無ではありません。

(8)株価の下落

 当社グループは、市場性のある株式を保有しており、株価の大幅な下落が、その他有価証券評価差額金の減少や評価損の発生など、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国の経済は、企業業績や雇用・所得環境の改善により、緩やかな景気回復基調が続きました。しかしながら、海外における地政学的リスクの高まりなど、政治、経済の動向が懸念され、依然として先行き不透明な状況が継続しております。

 当社グループの主要な得意先であります紙・パルプ業界は、国内需要の減少、原燃料価格の高騰など、厳しい経営環境が続いております。

 このような状況におきまして、当社グループは積極的な営業活動・きめ細やかな技術サービスの展開に努めてまいりました。その結果、当連結会計年度の売上高は、前期比2.6%増11,368百万円となりました。

 連結経常利益は、前期比13.8%増の904百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比15.4%増の582百万円となりました。

 当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べ788百万円増加しております。これは、受取手形及び売掛金が228百万円、ソフトウェア仮勘定が156百万円、投資有価証券が440百万円増加したことなどによるものです。

 負債は前連結会計年度末に比べ181百万円増加しております。これは、支払手形及び買掛金が77百万円、流動負債その他が133百万円、繰延税金負債(固定)が131百万円増加した一方、リース債務(流動及び固定)が120百万円、退職給付に係る負債が53百万円減少したことなどによるものです。

 純資産は前連結会計年度末に比べ606百万円増加しております。これは、利益剰余金が293百万円、その他有価証券評価差額金が327百万円増加したことなどによるものです。

 

② キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

  当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は1,062百万円(前期は1,038百万円の収入)となりました。これは、税金等調整前当期純利益が870百万円、減価償却費が653百万円となった一方、法人税等の支払が298百万円あったことなどによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、508百万円の支出(前期は1,047百万円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が564百万円あったことなどによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

  財務活動によるキャッシュ・フローは、416百万円の支出(前期は586百万円の支出)となりました。これはファイナンス・リース債務の返済による支出が157百万円、配当金の支払が288百万円あったことなどによるものです。

 以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ142百万円増加3,472百万円となりました。

③ 生産、受注及び販売の状況

(1) 生産実績

 当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。

品目

金額(千円)

前期比(%)

紙・パルプ用及び工業用フェルト

10,458,865

2.7

合計

10,458,865

2.7

  (注)1.金額は、販売価格に換算しております。

 2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2) 受注実績

 当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。

品目

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

紙・パルプ用フェルト

9,345,489

4.7

4,802,263

6.8

工業用フェルト

1,356,424

2.6

1,032,214

1.2

仕入商品

967,790

△9.7

97,007

△5.3

合計

11,669,704

3.1

5,931,485

5.6

  (注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(3) 販売実績

 当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

品目

金額(千円)

前期比(%)

紙・パルプ用フェルト

9,028,772

2.7

工業用フェルト

1,366,868

8.5

仕入商品

973,215

△5.9

合計

11,368,856

2.6

  (注)1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

日本製紙㈱

1,554,508

14.0

1,624,503

14.3

 2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末日(平成30年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして当社グループは、資産、負債、損益の計上金額に影響する見積りを行う必要があり、合理的な要因に基づき継続的にこれを行っております。実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
 特に以下の重要な会計方針が見積りに影響いたします。

1.当社グループは、顧客の支払不能による損失の見積額について貸倒引当金を計上しております。顧客の財務状態が悪化し支払能力が低下した場合、追加の引当が必要となる可能性があります。

2.当社グループは、従業員退職給付費用及び債務を、割引率、年金資産の期待運用収益等、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。前提条件の変化や実際の結果との差異は、将来の費用及び債務に影響いたします。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績)

 紙・パルプ用フェルトの連結売上高は、国内におきましては堅調に推移し、7百万円の増収となりました。国外におきましては、中国向け数量増と、為替の影響もあり、234百万円の増収となりました。

 工業用その他の製品につきましては、一部仕入商品が減収となったものの、フィルター、ワイヤー等が販売好調だったことにより46百万円の増収となりました。

 売上原価につきましては、販売、生産が増加したことにより、前連結会計年度に比べ141百万円増加いたしました。販売費及び一般管理費につきましても販売が増加したことにより、前連結会計年度に比べ25百万円増加いたしました。営業外収益につきましては受取賃貸料が増加した一方、前連結会計年度にあった施設設置奨励金や省エネルギーに関する補助金等の雑収入が減少したため前連結会計年度に比べ29百万円の減少となりました。営業外費用につきましては、休業手当が減少したことなどにより前連結会計年度に比べ18百万円減少いたしました。

 以上の結果、連結経常利益は、前期比13.8%増の904百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比15.4%増の582百万円となりました。

 当社グループは、平成29年度から平成31年度までの3ヵ年について中期経営計画を策定しております。1年目となる当連結会計年度の計画に対する実績は下記のとおりであります。

 

平成29年度

計画

平成29年度

実績

計画比

連結売上高

115億円以上

113億円

△1億円(△1.1%)

連結営業利益

7.4億円以上

7.5億円

+0.1億円(+2.6%)

 連結売上高については一部仕入商品の販売不振もあり計画未達となりましたが、連結営業利益につきましては中国向け数量増に伴い、生産効率が向上し計画より2.6%増益となりました。

 

(経営成績に重要な影響を与える要因について)

 当社グループの主力製品であります紙・パルプ用フェルトは、国内外の製紙用具メーカーとの厳しい競争にさらされており、製紙会社の生産設備の海外移転や景気変動等に伴う需要状況、販売シェア及び販売価格の動向が、当社グループの業績に影響を及ぼすことがあります。
 費用面では、原油の価格動向により、原燃料費が変動する可能性に加え、従業員の退職給付債務の算定にあたり、金利の動向による割引率の改定、年金資産の運用状況、退職給付制度の変更等により、退職給付費用が大きく変動する可能性があります。

 

(資本の財源及び資金の流動性)

 当社グループの資金需要として主なものは設備資金、製造費、販売費及び一般管理費等の運転資金、配当金の支払等があります。

 当社グループはこれら事業運営上必要な資金の流動性及び資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金については自己資金及び金融機関からの短期借入とし、大型の設備投資についてはファイナンス・リースまたは金融機関からの長期借入をすることを基本としております。

 なお、当連結会計年度末における借入金を含む有利子負債は1,235百万円であります。また、当連結会計年度末における現金及び預金同等物の残高は3,472百万円であります。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

5【研究開発活動】

 当社グループは、製紙用フェルト分野においては高機能製品、製紙用フォーミングファブリック分野においては新しい織り構造、工業資材分野においては高機能フィルターに重点をおいた開発を行っております。

 開発のスタッフはグループ全体で15名であり、これは全従業員の2.3%であります

 当連結会計年度の研究開発費の総額は149百万円となっております。当連結会計年度末において当社グループが所有している産業財産権は、73件であります。

 当連結会計年度における研究の目的、研究成果は次のとおりであります。

 

(1)紙・パルプ用フェルト

プレスフェルトの主要な機能である搾水性に重点をおいたノンウーブン基布製品、高機能製品の改良、開発を進めております。

 

(2)製紙用フォーミングファブリック

耐久性において高い評価を得ている新しい織り構造を持った製品の改良、開発を進めております。

 

(3)工業用フェルト

各種環境用フィルター・耐熱性を持つフェルト・チューブ状フェルトなど、得意先のニーズに対応できるよう、新製品の開発を進めております。